JP2006254905A - 海藻類飼料とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】対象となる飼料は、特に養魚の成育を促進させるための養魚用飼料の配合飼料であって、この飼料の主体は海藻類である。この海藻類に海藻類の3倍量の真水と、海藻類と真水の合計量の3重量%の炭酸水素ナトリウムを加えて溶解液とし、この溶解液を煮沸させることによって海藻類を液体化し冷却させて液体海藻類を製造する。この液体海藻類は養魚用飼料に配合され、魚類等に投与される。
【選択図】 図1
Description
海藻類を配合すること自体は、それなりに効果があるものとして個々に多くの研究がなされている。例えば、魚類のヒラメに対して植物発酵産物に配合させて飼料を施すと、非特異的免疫機構の活性化に効果を有し、白血球の貧食能、殺菌能、リゾチーム活性で、配合のない場合に比較し優位差を認めているのはその例である。
2)盲腸内の有害アンモニア及び遊離脂肪酸量の軽減。褐藻に含まれるラミナラン及びアルギン酸が糞便培養液のPHを低下させる。食用海藻ヒジキ、アオノリ等をラットに投与し、ラット血清中脂肪レベル及び盲腸内微生物フローラに及ぼす影響について、盲腸内のアンモニア量が減少している。
3)高脂血症及び高血圧症の改善。ラットに海藻類を投与した結果、血圧、総コレステロール、遊離コレステロール、低比重リポタンパクの低下が認められた。
4)血清及び肝臓中のコレステロール量の軽減。海藻は粒度が小さい方が分解されやすく、例えば、粒度を超微小(7μm)にすると、アルギン酸の消化率が向上すること。
5)脂質の酸化抑制効果によるストレスの軽減。植物発酵産物の効果として、魚類赤血球に対し、ラジカル消去活性と脂質過酸化抑制があるとしている。
6)肝臓中の過酸化脂質量の軽減。植物発酵産物が肝臓組織内の脂質の過酸化量を低下させる。
7)抗ウイルス作用の向上。植物発酵産物の経口投与により、ヒラメの非特異的免疫機構の活性化に効果。白血球の貧食能、殺菌能、リゾチーム活性で効果。コンブ抽出物を給餌した結果、疫病による死亡率が減少。
1)乳酸菌及び酵母による発酵物の配合。
2)微粉末(単細胞レベル、7μm程度)粉体の配合。
3)酢酸エチル、70重量%アセトン・エタノール等での抽出。
であり、いずれも海藻類の利用形態は粉末化や抽出技術に関わるものであり、海藻類を液体化させる本発明の技術は記載されていない。前述のように、本発明の液体化は所定割合の真水と炭酸水素ナトリウムとを海藻類とともに煮沸して液体化するものである。
1)養魚等の摂取動物に有益な水溶性のミネラル分や多糖類の吸収に障壁となる細胞膜が破壊され、吸収が容易になる。
2)消化され難い山菜や海藻をスープにして摂ると、グルタチオン等の抗酸化物が有効に吸収される。この関係で海藻類を液体化することは大きな効果を生む。
3)養殖業の漁村環境において、水揚げされた生鮮海藻類の水切り保存、液化作業、飼料等への配合利用が容易であるため、関連経費が軽減される。特別な設備を要することなく、どの漁場においても海藻類の鮮度を落とすことなく、容易に液体化できる。漁場において処理できる有利な点は、一時的に大量の生鮮海藻類の水切りや袋詰め等を行う場所を確保できることと、保管用の冷蔵設備も近隣に確保できること、又、煮沸用の釜が同様に容易に確保できること等である。
1)トラフグの腸管壁が肥厚し、腸・体長比が増大した。
2)ストレスによる咬み合いで短くなり易い尾鰭が維持又は再生され、尾鰭率が高まった。
3)肝臓の表面にたびたび見られる流れ星状の充血斑が消滅又は減少した。
4)魚体の背部にたびたび見られる表皮色素の脱落や組織の損傷が軽減した。
図2は、本発明の液体海藻類(コンブ)を実際に製造した過程をフローで示した図である。基本的には図1と同様である。本実施例の飼育実験地は、長崎県の橘湾奥に位置する長崎市戸石漁業協同組合管理の魚類養殖用区画漁業権内である。また、コンブ養殖地は、前記実験地の漁業権に隣接した同組合の共同漁業権内であり、コンブの種類はマコンブである。
このマコンブを収穫した後水切りし、圧縮させ袋詰めして冷凍した。通常収穫してすぐ全てを処理するようなことはしないので、一般的には冷凍して倉庫に保管する。使用するときに需要に応じて必要量を解凍する。一方予め、炭酸水素ナトリウムと真水、実際は水道水とを所定の割合の溶解液として準備しておいた。
以上のことから、トラフグのコンディションに多少の相違はあるものの、傾向として本発明の液体海藻物(コンブ)の有効性は確認できた。
次に示す表2は、前述同様の図2のフローにより製造した液体海藻類にもとづくトラフグの成長過程を調査したものである。使用した階層は、実施例1のものと同一のものを使用した。2才魚のトラフグへ本発明になる液体コンブをモイストペレット(MP)に配合して約40時間投与飼育した結果のものである。表2のA〜Dは異なる配合者を示しているが、配合条件は全て同一である。尚、測定開始時は10月10日で、測定終了時は11月24日である。
実施対象のトラフグへは秋に投与している。秋は一般に海水温の降下とともに食欲が高まり摂餌量が増え、成長量も急増する。本実施例の場合も1日当たり平均で6.14g、1ヶ月で平均185g、最大237gと順調に成長した。
しかも、食い込みによる肝・体重比が約25重量%増大したにもかかわらず、肝比重の軽減は見られず、脂肪肝症への移行がほとんどなく健康な成長状態にあると判断された。結果として、4者とも成長率の向上がみられ、2才魚は出荷時期の魚になるが、本発明の液体海藻類(液体コンブ)の有効性は確認できた。
2:溶解液浸漬処理
3:真水
4:炭酸水素ナトリウム
5:煮沸処理
6:冷却処理
7:保管処理
8:他の養魚用餌料
Claims (7)
- 動物の成育を促進させるために使用される飼料であって、
前記飼料は海藻類を液体化処理された液体海藻類飼料であることを特徴とする海藻類飼料。 - 請求項1に記載の海藻類飼料において、
前記飼料は、養魚用に使用される養魚用飼料であることを特徴とする海藻類飼料。 - 請求項1に記載の海藻類飼料において、
前記液体化処理は、前記海藻類を真水と炭酸水素ナトリウムの溶解液に浸して液体化処理することを特徴とする海藻類飼料。 - 請求項3に記載の海藻類飼料において、
前記液体化処理は、前記海藻類を前記溶解液とともに煮沸処理し液体化する処理であることを特徴とする海藻類飼料。 - 請求項3に記載の海藻類飼料において、
前記液体化処理は、前記海藻類の200〜400重量%の真水と、前記海藻類と前記真水を合わせた混合体の1〜10重量%の炭酸水素ナトリウムとを含む溶解液に海藻類を浸し液体化する処理であることを特徴とする海藻類飼料。 - 海藻類の水切りを行う工程と、
真水に炭酸水素ナトリウムを加え溶解液とする工程と、
前記溶解液に前記水切りされた海藻類を浸す工程と、
前記海藻類の浸された前記溶解液を煮沸して前記海藻類を液体化する工程と、
前記煮沸された液体海藻類を冷却する工程と
からなる海藻類飼料の製造方法。 - 請求項6に記載の海藻類飼料の製造方法において、
前記溶解液とする工程は、前記真水を前記海藻類の200〜400重量%とし、前記炭酸水素ナトリウムを前記海藻類と前記真水を合わせた混合体の1〜10重量%として溶解させた溶液であることを特徴とする海藻類飼料の製造方法。
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