JPH0687755B2 - 耐海水性の改善された人工飼料の製造法 - Google Patents

耐海水性の改善された人工飼料の製造法

Info

Publication number
JPH0687755B2
JPH0687755B2 JP1333473A JP33347389A JPH0687755B2 JP H0687755 B2 JPH0687755 B2 JP H0687755B2 JP 1333473 A JP1333473 A JP 1333473A JP 33347389 A JP33347389 A JP 33347389A JP H0687755 B2 JPH0687755 B2 JP H0687755B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
feed
seawater resistance
seawater
calcium salt
calcium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP1333473A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03195461A (ja
Inventor
英之 竹上
行植 高
康豊 永井
Original Assignee
辻製油株式会社
日本配合飼料株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 辻製油株式会社, 日本配合飼料株式会社 filed Critical 辻製油株式会社
Priority to JP1333473A priority Critical patent/JPH0687755B2/ja
Publication of JPH03195461A publication Critical patent/JPH03195461A/ja
Publication of JPH0687755B2 publication Critical patent/JPH0687755B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/80Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
    • Y02A40/81Aquaculture, e.g. of fish
    • Y02A40/818Alternative feeds for fish, e.g. in aquacultures

Landscapes

  • Feed For Specific Animals (AREA)
  • Fodder In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (技術分野) 本発明は、ウニ、アワビ、サザエ等の海産動物の育成乃
至は養殖に用いられる人工飼料の製造法に係り、特に、
該飼料の耐海水性を効果的に改善し得る製造法に関する
ものである。
(背景技術) 近年、アワビ、ウニ、サザエ等の人工採苗技術が進歩
し、種苗の放流が盛んになると共に、これらの海産動物
を飼育器に入れて沖吊りしたり、タンク中で飼育する養
殖が、産業化されるようになった。
ところが、従来の養殖法では、それら飼育動物の飼料と
しては、一般に、昆布等の天然海藻がそのまま用いられ
ているが、天然海藻は、その採取量に限界があり、養殖
が大規模になったときは勿論、将来的にも絶対量が不足
すること、また一年中海中で生育しているものではな
く、採取の季節が限られること等の理由から、安定供給
が難しく、天然海藻のない地域では、養殖が困難となる
等の問題があり、更に、飼育動物の生育が遅いこともあ
って、天然海藻に代わる人工飼料の開発が強く望まれて
いたのである。
ここにおいて、かかる人工飼料に要求される特性として
は、一般的に、(1)飼育動物の嗜好性が高いこと、
(2)海水中で良好に膨潤し、飼育動物が摂餌し易い形
態となること、(3)栄養価値が高く、飼料効率が優れ
ていること、(4)保存・給餌の際の取り扱いが簡便で
あること、(5)pHが8.0〜8.6の海水中での耐崩壊性に
優れている(耐海水性が良い)こと等が挙げられる。そ
して、日本の海面は、例えばアワビでは、北日本ではエ
ゾアワビ、南日本ではクロアラビが養殖対象種とされて
いるように、北日本と南日本で水温差があり、季節によ
る水温差も大きいところから、このような広範囲の水温
に亘って、上記の各特性が満足される必要があるのであ
る。
なかでも、飼料に耐海水性を持たせれば、残餌の回収作
業に当たり、回収頻度が低減されると共に、回収時にも
飼料が固体状態を保持するため、残餌が散逸することな
くサイフォンやホース、部分換水等により容易に作業が
為され得て、作業を著しく軽減出来るのであり、飼料の
実用性を左右する特性として、耐海水性の改善が強く望
まれているのである。しかしながら、これらの全ての条
件を満たす飼料は、今日まで、開発されてはいないので
ある。
例えば、特公昭25−1603号公報には、褐藻類を、動植物
性タン白質と共に、水酸化アルカリの如きタン白質とア
ルギン酸とを同時に溶解し得る薬品で処理し、酸性塩化
アルカリ土類塩水溶液中で凝固させて、人工釣餌を製造
する方法が明らかにされているが、この方法で得られる
ものは、耐海水性が低く、釣餌としてはともかく、養殖
用飼料には使用の困難なものであり、またpHも無視して
いることから、アワビ等による食いも認められないので
ある。
また、特開昭56−92747号(特公昭62−25334号)公報に
は、耐海水性、耐アルカリ性を向上させるために、先
ず、褐藻類を稀アルカリ水溶液で処理した後、2価のア
ルカリ土類金属塩を添加して、凝固した凝固物を分離、
洗浄した後、該凝固物を弱アルカリ水溶液にて再度溶解
せしめることにより、褐藻類溶液を調製し、次いで、該
褐藻類溶液に対して、紅藻類を稀酸性水溶液で処理して
得られる紅藻類溶液及び/又は多糖類を添加、混合し、
更に動物性または植物性タン白質含有材料を添加、混合
した後、凝固剤水溶液中に注入して凝固させ、且つ成形
して乾燥する方法が提案されており、また、耐海水性、
耐アルカリ性をより向上させるために、褐藻類の凝固物
を凍結、解凍させ、遊離水を除去することも併記されて
いる。しかしながら、この方法では、アワビ等にとって
好適でないヒジキ等の海藻類を処理する場合には、摂食
阻害物質等の貝類の食い、生育に不適な成分を除去出来
て、有効かもしれないが、好適な海藻類を処理する際に
は、各種の有効な成分が損失してしまう問題があった。
(解決課題) かかる状況下にあって、本発明が解決する課題とすると
ころは、アワビ、ウニ、サザエ等の海産動物の食いが良
く、成長に好適で、且つ耐海水性が効果的に向上せしめ
られた、実用上利用価値の高い人工飼料を、海藻の成分
を有効に利用しつつ、製造する手法を提供することにあ
る。
(解決手段) そして、上記課題を解決するため、本発明手法にあって
は、褐藻類等の、アルギン酸を含有する海藻類を、稀ア
ルカリ性水溶液にて処理して、溶解せしめた後、カゼイ
ン類を含む動植物性タン白質含有材料を添加して、製品
中において、それぞれ、タン白質含有量が10〜40重量%
となるように且つカゼイン含有量が0.5重量%以上とな
るように調整し、次いでこの得られた原料組成物のpHを
7.5〜9に調整し、更に必要に応じてカルシウム塩を海
藻類に対してカルシウムとして6%までの割合において
添加、混合せしめた後、カルシウム塩水溶液中において
固化させ、そして乾燥することにより、目的とする人工
飼料を製造することとしたのである。
また、本発明手法の有利な一態様として、前記カルシウ
ム塩水溶液を用いた固化操作に先立って、前記カルシウ
ム塩の添加された或いは添加されていないpH調整原料組
成物に対して、マイクロ波処理を施すことが、行なわれ
ることとなる。
(具体的構成) ところで、本発明の特徴の一つにカゼインを必須成分と
する点が挙げられるが、このカゼインに関しては、それ
がアワビ等の海産動物にとって好適なタン白源であると
の報告もあり〔日水誌51,1825(1985)〕、本発明者ら
は、このカゼインを必須の飼料成分として種々検討する
ことより、カゼインを含有せしめた場合には、アルギン
酸の凝固性が弱くなるpH領域でも耐海水性が良好となる
こと、また、凝固せしめられる原料組成物のpHを調整す
ることにより、得られる飼料に対するアワビ等の海産動
物の嗜好性と併せて、耐海水性を有利に高め得ること等
を見い出し、本発明を完成するに至ったものである。
以下に、本発明手法をより具体的に明らかにすることと
する。
先ず、本発明では、原料として選定された海藻類を裁断
し、それを炭酸ソーダの水溶液等の稀アルカリ性水溶液
中で溶解せしめる。その際、通常、60〜100℃程度の温
度にて、2〜6時間の加熱が行なわれることとなる。な
お、この本発明で用いられる海藻類としては、アワビ等
の海産動物の嗜好性の高いアルギン酸を含む海藻類が選
択されるものであり、主に昆布、ワカメ等の褐藻類が用
いられる。また、その他に、アオサ等の緑藻類や、オゴ
ノリ、エゴノリ等の紅藻類等を、養殖対象とする海産動
物の嗜好に応じて、混入させても、何等差支えない。そ
して、かかる海藻類は、製品中において、少なくとも5
重量%以上で含有されるようにするのが、好ましい。5
重量%に満たない場合には、飼料の耐海水性を維持出来
ない恐れがあるからである。なお、海藻類の含有量の上
限は、タン白質含有材料や他の配合例の配合量との兼ね
合いから、80重量%程度とされることとなる。
そして、上記のようにして海藻類が溶解せしめられる
と、飼料の栄養価を高めるために、各種のタン白質含有
材料が添加されて、原料組成物が調整されることとな
る。ここで添加されるタン白質含有材料としては、魚
粉、大豆粕、小麦グルテン、アルファルファミール、酵
母等、公知の各種の動植物性タン白質含有材料が適宜に
組み合わされて使用され、且つ本発明にあっては、カゼ
インが、更に、必須の飼料成分として添加されるのであ
る。
このカゼインは、アワビ等の海産動物にとって好適なタ
ン白源として、飼料効率を高めると共に、飼料の耐海水
性を高める効果を発揮するものであって、酸カゼイン、
カゼインソーダ、カルシウムカゼイネート等の各種のカ
ゼイン製品を添加することが出来る。その添加量として
は、良好な耐海水性を得るためには、製品中、カゼイン
として少なくとも0.5重量%以上となるような割合で添
加される必要がある。一方、その添加量の上限は、目的
に応じて適宜決定されるが、一般に40重量%以下の割合
で添加するのが好ましい。40重量%を越える量で添加し
ても、飼料効率が上がらないからである。
また、タン白質含有材料全体としての添加量は、製品中
において、タン白質含有量が10〜40重量%の割合となる
ように配合される。10重量%に満たない量では飼料効率
が悪く、40重量%を越える量で添加しても、飼料効率が
上がらないためである。
なお、かかる原料組成物に対して、人工飼料に従来から
配合されている、油脂類等を適宜に配合しても良いこと
は勿論であり、また、耐海水性を一層向上させるため
に、アルギン酸ソーダ、グルコマンナン、寒天、カラギ
ーナン等の多糖類を添加しても何等差支えない。
しかる後、得られた原料組成物のpHを7.5〜9に調整す
るのであるが、このようなpH調整を行なうことにより、
海産動物の嗜好性に合致した飼料を得ることが出来るこ
とに加えて、耐海水性の上でも大きな意味を持つのであ
る。即ち、酸性側のpHになっても、またpHが余りにもア
ルカリ性側となり過ぎても、本発明にて意図するアルギ
ン酸塩−カゼイン塩−Caイオンの新しい系の形成が困難
となり、耐海水性が低下するようになるからである。な
お、pH調整に用いる酸としては、例えば、塩酸、燐酸、
硫酸の如き無機酸や、酢酸、クエン酸、リンゴ酸の如き
有機酸を挙げることが出来る。
また、アルカリ下で分解の恐れのあるビタミン剤等は、
pH調整後添加され、更に、原料組成物の性状等に応じ
て、原料組成物中のタン白質含有材料の一部や油脂等を
pH調整後に添加しても良い。
そして、このpH調整が済むと、そのまま、従来と同様な
成形・固化操作に移されるか、或いは必要に応じて、更
にカルシウム塩を添加せしめ、しかる後、成形・固化操
作に移されることとなる。つまり、本発明にあっては、
カゼインを必須成分として含有せしめることにより、後
述する如く、カルシウム塩水中に浸漬することにより、
十分な耐海水性が得られるものであるが、この段階でカ
ルシウム塩を添加し、次いでカルシウム塩水中に浸漬す
る場合には、耐海水性をより向上せしめることが出来る
のである。
なお、カルシウム塩を添加する場合には、その添加量
は、海藻類に対してカルシウムとして6重量%以下とす
る必要がある。6重量%を越えて添加すると、部分的に
ゲルが生じて不均一な系となるため、無理に成形し、カ
ルシウム塩水中に浸漬せしめたとしても、耐海水性の劣
ったものとなるからである。なお、カルシウム塩として
は、通常塩化カルシウムを用いることとなるが、特に限
定されるものではなく、その他、グルコン酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム、酢酸カルシウム等の無機及び有機
のカルシウム塩が使用され得るものである。
ここで明らかなように、本発明手法にあっては、カルシ
ウム塩を添加する場合にも、あくまで原料組成物は均一
な流動性粘稠物として調製されるものであり、そして、
それがそのまま成形・固化されるため、海藻類の有効成
分を損失せしめることがなく、この点で、前記特公昭62
−25334号公報に開示の製造方法とは、顕著な差異を有
するものである。
そして、必要に応じてカルシウム塩の添加が行なわれる
と、通常粘稠である前記pH調整原料組成物は、押出しや
圧扁等の手法により、所望の形状に成形された後、カル
シウム塩水溶液中に浸漬せしめられることにより、固化
せしめられるのである。その際、最終的な成形工程と固
化工程は、原料組成物の性状等に応じて、前後させるこ
とが出来、製品としての最終的な形状に成形してから固
化したり、或いは一定の厚み、例えば1mm程度の厚みに
整えて固化せしめ、その後最終形状に切断しても良い。
そして更に、熱風乾燥等の、通常と同様の乾燥操作を施
すことにより、目的とする人工飼料が得られるのであ
る。
ところで、海藻類の使用量が多いときには、海水中での
膨潤の程度が低下する場合が生じ得るが、そのような場
合には、上述したカルシウム塩水溶液中への浸漬による
固化操作に先立って、前記カルシウム塩の添加された或
いは添加されていないpH調整原料組成物に対して、マイ
クロ波処理が施される。なお、このマイクロ波処理は、
原料組成物を押出しや圧扁等の手法にて成形した後に、
短時間処理するのが好ましく、より具体的には、例えば
原料組成物を1mm厚さに成形し、出力:5キロワット程度
のマイクロ波を、数秒〜1分程度照射すれば十分であ
る。処理が強過ぎると、得られる飼料が気泡を抱き過ぎ
て、海水中に沈降し難くなり、浮揚してしまうので、具
体的な処理条件は、処理物の性状や形状等に応じて適宜
に調節するようにする。
上記の一連の操作を経て得られた人工飼料は、アワビ等
の海産動物の食いが良く、同時に優れた耐海水性を有す
るものであるが、この効果は、単に、アルギン酸とカゼ
イン、カルシウムイオンとの相関関係だけによって得ら
れるものではなく、アルギン酸を含む褐藻類等の海藻類
を稀アルカリ処理せしめることにより、アルギン酸の種
々の塩類を生じさせ、これにカゼインを関与せしめ、更
にpH調整後、一定量のカルシウムイオンを関与せしめる
ことにより、初めて達成されるものである。即ち、この
ような特定の操作の組み合わせにより、単純なアルギン
酸とカゼインとカルシウムイオンとの系とは異なる、ア
ルギン酸塩−カゼイン塩−Caイオンの新たな系が生じ、
そのことにより、耐海水性が向上したと推察されるので
ある。
(実施例) 以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明を更に
具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのよ
うな実施例の記載によって、何等の制約をも受けるもの
でないことは、言うまでもないところである。
また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記
の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限り
において、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修
正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべ
きである。
実施例 1(耐海水性試験) 先ず、試験に用いる試料を得るべく、原料たる昆布を細
断し、その40gに、炭酸ソーダ10gを200mlの水に溶解し
てなる稀アルカリ性水溶液を加え、時々攪拌しながら70
℃で6時間加熱して、溶解せしめた。次いで、この得ら
れた溶液に、乾燥後の製品中において、タン白質含量が
約30%となるように、下記第1表に示される量で各タン
白質含有材料及びイカ油を加え、更に攪拌後、リン酸を
加えてpHを7.8に調整し、ビタミン剤を加えた。その
後、第1表に指定された量で各々塩化カルシウムを水溶
液の形態において添加、混合し、厚さが約1mmになるよ
うに押出成形した。そして、この得られた成形物を、10
%塩化カルシウム水溶液中に30分間浸漬し、若しくは浸
漬せずに、3×3cmの大きさに切断して、熱風乾燥し、
7種類の試料1〜7を得た。
また、比較対照のための試料8として、昆布粉末30gと
アルギン酸ソーダ10gと、更に第1表に示された量の各
タン白質含有材料、イカ油、ビタミン剤とを混合して、
水250mlに溶解せしめ、上記操作と同様にして、pH調
整、塩化カルシウム添加、押出成形、塩化カルシウム水
溶液浸漬および熱風乾燥を行ない、同形状の成形品を作
製した。
かくして得られた各試料の3片づつを、それぞれ、100m
lのビーカーに入れた海水中(pH8.12、温度19.5〜20.5
℃)に浸漬し、時々ゆるく攪拌しながら、ピンセットで
取り上げ、その保型性を観察した。その結果を、下記第
1表に示す。
上記第1表から明らかなように、カゼインを含有しない
試料1、2は、耐海水性が低く、塩化カルシウムを添加
することによって、その耐海水性を若干向上せしめるこ
とが出来るものの、2日程度が限度であることが認めら
れる。一方、カゼインを含有し且つ本発明手法に準拠し
て得られた試料3、4、5にあっては、何れも、3日以
上の保型性を有していることが判る。また、試料4と試
料5を比較することにより、カゼインを含有する場合に
は、塩化カルシウムを添加しなくても良好な耐海水性が
得られるが、添加することにより、より優れた耐海水性
が得られることが判る。
しかし、カゼインを含有するものの、塩化カルシウム水
溶液中に浸漬されていない試料6は、2日で崩壊し、ま
た、塩化カルシウムが7g(昆布に対しカルシウムとして
6.36%)添加された試料7には、ゲル化部分が生じてし
まい、それを無理に成形して、塩化カルシウム水溶液に
浸漬しても、耐海水性が劣ってしまうことが判明した。
また、試料8の結果から認められるように、稀アルカリ
処理をしないでアルギン酸ソーダで代替しても、耐海水
性は劣ることとなるものである。
なお、耐海水性が良好であった試料5を、実際に海中養
殖に用い、クロアワビを飼育したところ、3日後でもク
ロアワビによる摂餌な良く、且つ保型性も良好であり、
そのまま手による回収が可能であり、実用的に使用可能
な、耐海水性の良好な人工飼料であることが判明した。
実施例 2(pHによる嗜好性・耐海水性の試験) 実施例1における試料5の製造手法において、タン白質
含有材料添加後のpH調整を、pH=5〜10の各種pH値にて
実施し、それ以外の操作は実施例1と同様に行なうこと
により、6種類の試料を得た。
一方、3m×1.5m×0.5mの流水式巡流水槽中に飼育篭を6
篭設置し、各々の飼育篭中にアワビ用シェルターを設置
して、上記得られた6種類の試料を1篭に1種類づつ投
餌して、クロアワビ稚貝を飼育した。なお、各試料は15
g投餌し、各々の飼育篭にはクロアワビの稚貝を350個体
使用した。また、海水のpHは8.13で、水温は18.4〜19.5
℃であった。更に、飼育海水の回転率は3時間に1回
転、エアレーション量は1分間に1になるように調節
した。
そして、かかる飼育を15日間行ない、毎日餌を取り出し
てその食痕を調べ、1日当たりの食痕度を算出して、嗜
好性を比較した。摂餌面積の大きい順に、3(ほとんど
食べた),2,1,0(食いなし)の数値で評価した結果は、
次の第2表の通りである。
また、原料組成物のpHと得られる飼料の耐海水性の関係
を知るために、上記の嗜好性試験の各試料について、実
施例1の方法に従って、耐海水性を評価し、その結果
を、下記第2表に併せて示した。なお、比較例として、
特公昭25−1603号公報に示される手法に従い、pH7.8に
調製した生地(カゼインが用いられていない)を0.01N
塩酸の10%CaCl2溶液に浸漬して固化せしめたものの、
耐海水性の評価も行った。
この結果から、pHを6.5〜9.5に調整することによって、
クロアワビの食いが効果的に向上せしめられることが判
る。なお、より望ましくは、海水のpHに近い7.5〜9と
することが良いことも判った。
また、耐海水性の評価からしても、原料組成物のpHを7.
5〜9の領域に調整することにより、得られる飼料の耐
海水性を有利に高め得ることが判った。
実施例 3(飼料の海水中での膨潤度) 先ず、実施例1の操作に従って、下記第3表に示される
如き配合組成にて、2種類の試料A,B(3cm×3cm、厚さ1
mm)を製造した。なお、炭酸ソーダは、何れも、水200m
lを加えて水溶液として、稀アルカリ処理に供されるよ
うにし、またpH調整は、リン酸を用いてpH8.0に調整す
ることとした。更に、各試料は、何れも、10%塩化カル
シウム水溶液中で30分の浸漬を行なった。
次いで、かかる得られた試料A、Bを、海水中に投入
し、海水により膨潤して、経時的に増加する重量を測定
し、各々の膨潤率を算出した。その結果を第1図に示し
たが、試料Aは保型性を有しつつ、良好な膨潤度を示
し、一方、試料Bは膨潤度が劣った。また、クロアワビ
稚貝による食いを比較したところ、試料Aは良好で、試
料Bは劣った。
そこで、試料Bを作製する際、塩化カルシウムを添加
し、1mmの厚さに押出成形した段階で、マイクロ波処理
を行ない、その後、10%塩化カルシウム水溶液に浸漬し
て固化するようにしたところ、第1図に試料B′として
示すように、膨潤度が改善され、稚貝の食いも良好とな
った。なお、マイクロ波処理は、4.5キロワットの出力
で、周波数:2450±50メガヘルツのマイクロ波を1分間
照射することにより、行なった。
この結果より、飼料の組成によって膨潤度が不足する場
合には、適宜にマイクロ波処理を行なうことにより、膨
潤度を効果的に改善することが出来ることが判る。な
お、第1図中の試料Cは市販の飼料について、同様に膨
潤率を調べたものである。また、この試料Cについて
も、実施例1と同様な耐海水性試験を行なったところ、
1〜2日で崩壊することが認められた。
以上の試験結果から明らかなように、本発明手法によれ
ば、飼育動物の嗜好性が良く、膨潤度が良好で、且つ優
れた耐海水性を併わせ備えた人工飼料を得ることが出来
るのであり、海産動物の養殖、特に海中養殖用に、利用
価値の高い飼料として期待出来るのである。
実施例 4(飼育試験) 本発明に従って製造された人工飼料を用いて、実際にア
ワビ及びウニの飼育を行なった結果を、以下に示す。
(A)クロアワビの飼育試験 人工飼料として、前記実施例1で得られた試料5を用い
て、クロアワビ稚貝の飼育試験を行なった。なお、人工
飼料の一般分析値、アミノ酸含有量、脂肪酸組成は、以
下の通りであった。
一般成分 平均分析値(%) 粗タン白質 ・・・31.2 粗脂肪 ・・・・7.6 粗繊維 ・・・・5.0 粗灰分 ・・・17.6 水分 ・・・・8.5 カルシウム ・・・・5.4 リン ・・・・1.4 なお、飼育水槽は流水式巡流水槽を使用し、その中に飼
育篭を設置し、人工飼料給餌区(テスト区)を2群設定
すると共に、比較のため、天然昆布を飼料とする昆布給
餌区(コントロール区)を1群設定した。また、試験期
間中の飼育海水はpH:8.05〜8.20、水温:21.0〜27.0℃で
あり、換水率は3時間で1回転、エアレーション量は1
分間に1になるように調節した。
そして、試験は58日間行ない、2日乃至3日に1回投餌
し、残餌は2日乃至3日毎に回収し、給餌量と残餌量の
差として、飼料摂取量を求め(飼料摂取量=給餌量−残
餌量)、また、試験開始時と終了時に、クロアワビの殻
長、個体重量を測定した。この結果を、下記第4表に示
した。
この第4表の結果より、昆布給餌区に比べて、人工飼料
給餌区は、日間伸殻量、飼料効率、生存率共に、良好で
あることが明らかであり、かかる人工飼料は、高水温期
のクロアワビの成長低下、大量斃死を抑えられる人工飼
料であることが判明した。なお、人工飼料給餌区の飼料
効率は、市販の魚粉飼料の数倍の値となった。
(B)アカウニの飼育試験 人工飼料として、前記実施例1で得られた試料5を用い
て、アカウニのG.S.I.(生殖腺重量比)増加試験を行な
った。飼育水槽は、90cm×60cm×50cmの流水式水槽を用
い、その中にアカウニ50個体を収容した。なお、試験期
間中の飼育海水は、pH:8.06〜8.20、水温:21.0〜25.4℃
であり、換水率は2時間で1回転、エアレーション量は
1分間に1に調整した。
給餌は原則として、2日に1回とし、残餌を2日毎に回
収して飼料摂取量を算定すると共に、殻径、重量等を測
定した。
その結果を、下記第5表に示し、またG.S.I.値の変化を
第2図に示したが、それら第5表及び第2図より明らか
なように、2カ月間でG.S.I.値を10%から20%とするこ
とが出来、生殖腺未成熟のウニに、本発明手法に従って
製造された飼料を給餌することにより、ウニの商品化を
図ることが出来た。
(発明の効果) 以上の説明から明らかなように、本発明手法に従って製
造される飼料は、良好な耐海水性を有する、換言すれば
海水中における耐崩壊性が強いところから、海産動物の
飼育に際して、残餌の回収作業を効果的に緩和し得るも
のであって、例えばそのような作業は3日〜5日置きに
行なえば良いこととなり、しかも回収に当たり、飼料が
固体形状を保っているため、サイフォンやホース、部分
換水で容易に回収することが出来る等、該作業が大幅に
軽減され得るのである。
また、かかる飼料は、アワビ、ウニ等の海産動物の嗜好
性が高く、食いが良好であり、また膨潤性が良好で、動
物が摂餌し易く、飼料効率に優れており、更に乾燥製品
であるため、保存や給餌の際の取り扱いが簡便であっ
て、人工飼料に要求される特性を全て満足するものであ
って、それ故に、実使用上、極めて利用価値が高いもの
である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例3で製造された試料および市販の試料
の膨潤度を示すグラフであり、また第2図は、本発明手
法によって得られた飼料を用いて飼育したアカウニのG.
S.I.増加を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】褐藻類等の、アルギン酸を含有する海藻類
    を、稀アルカリ性水溶液にて処理して、溶解せしめた
    後、カゼイン類を含む動植物性タン白質含有材料を添加
    して、製品中において、それぞれ、タン白質含有量が10
    〜40重量%となるように且つカゼイン含有量が0.5重量
    %以上となるように調整し、次いでこの得られた原料組
    成物のpHを7.5〜9に調整し、更に必要に応じてカルシ
    ウム塩を海藻類に対してカルシウムとして6重量%まで
    の割合において添加、混合せしめた後、カルシウム塩水
    溶液中において固化させ、そして乾燥することを特徴と
    する耐海水性の改善された人工飼料の製造法。
  2. 【請求項2】前記カルシウム塩水溶液を用いた固化操作
    に先立って、前記カルシウム塩の添加された或いは添加
    されていないpH調整原料組成物に対して、マイクロ波処
    理が施される請求項(1)記載の人工飼料の製造法。
JP1333473A 1989-12-22 1989-12-22 耐海水性の改善された人工飼料の製造法 Expired - Fee Related JPH0687755B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1333473A JPH0687755B2 (ja) 1989-12-22 1989-12-22 耐海水性の改善された人工飼料の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1333473A JPH0687755B2 (ja) 1989-12-22 1989-12-22 耐海水性の改善された人工飼料の製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03195461A JPH03195461A (ja) 1991-08-27
JPH0687755B2 true JPH0687755B2 (ja) 1994-11-09

Family

ID=18266466

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1333473A Expired - Fee Related JPH0687755B2 (ja) 1989-12-22 1989-12-22 耐海水性の改善された人工飼料の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0687755B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006254905A (ja) * 2005-02-15 2006-09-28 Toshiyuki Kuhara 海藻類飼料とその製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07109589B2 (ja) * 1985-07-25 1995-11-22 日本電気株式会社 命令処理方式
JPS62179368A (ja) * 1986-02-03 1987-08-06 Tokyo Konbu Kaisou Kk 海藻類を主成分とする糸状食品の製法
JPS63196249A (ja) * 1987-02-06 1988-08-15 Yoichi Hirata 熱帯産原藻に依る寒天の製造方法
JPH01181749A (ja) * 1988-01-18 1989-07-19 Masayuki Matsumoto 褐藻類によるコンニャク状の食品ゲルの製造法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006254905A (ja) * 2005-02-15 2006-09-28 Toshiyuki Kuhara 海藻類飼料とその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH03195461A (ja) 1991-08-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2333668C2 (ru) Биоразлагаемая рыболовная приманка и материал
CN113508766B (zh) 一种大口黑鲈鱼苗驯食方法
US4764383A (en) Soft homogenous fish bait
CA2390410C (en) Gelled feed products, means for making the products and method for manufacture of said products
CN101273760B (zh) 黑鲪诱食剂的配制和使用方法
JP4436251B2 (ja) 飼料ブロック
CN102812913A (zh) 一种杂交全雌金鳟鱼苗种的培育方法
JPH0687755B2 (ja) 耐海水性の改善された人工飼料の製造法
CN102792910A (zh) 一种金鳟全雌杂交苗种的培育方法
CN107348105B (zh) 一种笋壳鱼浮性膨化配合饲料
US20230087189A1 (en) An aquaculture feed with high water and oil content and a system and method for manufacturing said aquaculture feed
JPS60153764A (ja) 養魚用飼料及びその製法
CN1012333B (zh) 松江鲈鱼人工繁殖法
JPH11151067A (ja) 養魚用エクスパンデッドペレット飼料の製造法
Prabowo et al. Performance Of Maintaining Brood Stock of Clarias gariepinus With Different Densities
WO1997000021A1 (en) A seaweed based foodstuff for marine organisms and process for preparing the same
RU2819215C1 (ru) Продукционный комбикорм для раков, обладающий водостойкостью
CN114027424B (zh) 条纹锯鮨幼鱼循环水养殖专用膨化饲料及其制备方法和应用
JP3921269B2 (ja) 養殖真珠貝用栄養物を用いた真珠貝の養殖方法
JPS6225334B2 (ja)
JP2016187337A (ja) ウニ用畜養飼料
JPH06125715A (ja) 養魚餌料用混合飼料及び養魚用餌料
CN1252947A (zh) 食用卤虾蛋白粉及其加工方法
JPH10248497A (ja) 巻貝類用飼料およびその製造方法
CN111226840A (zh) 一种南美洲鳗鲡白仔鳗的培育方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees