JP2006249484A - 金めっき液および金めっき方法 - Google Patents

金めっき液および金めっき方法 Download PDF

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【課題】 非シアン系のもので、環境への負荷を軽減でき、また、カーボンナノファイバーを好適に膜中に取り込める金めっき液を提供する。
【解決手段】 金めっき液は、塩化金酸塩を主体とする非シアン系金めっき液において、界面活性剤とカーボンナノファイバーとを含むことを特徴とする。界面活性剤は0.02〜5g/l、カーボンナノファイバーは0.1〜10g/l含むと好適であり、特に界面活性剤は、トリメチルステアリルアンモニウムクロリドが好適である。
【選択図】 図4

Description

本発明は、金めっき液および金めっき方法に関する。
金めっきは、多くの電子部品に施されている。金めっき膜は、酸化しにくく、耐食性にも優れ、配線の保護膜として適しているからである。
一方、カーボンナノファイバーは、導電性、伝熱性、および強度に優れることから、種々の用途が開発されている。
特開2004−253229には、金めっき膜中にカーボンナノファイバーを含ませ、接点部材として用いる技術が開示されている。
特開2004−253229
ところで、上記特開2004−253229に示されている金めっき液は、シアン系の金めっき液であり、環境に負荷を与える課題がある。
そこで、本発明は、非シアン系のもので、環境への負荷を軽減でき、また、カーボンナノファイバーを好適に膜中に取り込める金めっき液およびこれを用いた金めっき方法を提供するものである。
本発明に係る金めっき液は、塩化金酸塩を主体とする非シアン系金めっき液において、界面活性剤とカーボンナノファイバーとを含むことを特徴とする。
界面活性剤を0.02〜5g/l、カーボンナノファイバーを0.1〜10g/l含むことを特徴とする。
界面活性剤が、カチオン系界面活性剤および/またはノニオン系界面活性剤であることを特徴とする。
カチオン系界面活性剤が、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、ベンジルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、および塩化ベンザルコニウムから選ばれる1種以上のカチオン系界面活性剤であることを特徴とする。
ノニオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレン(2)ノニルフェニルエーテル、ポリアクリル酸、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリエチレングリコールから選ばれる1種以上のノニオン系界面活性剤であることを特徴とする。
本発明に係る金めっき方法は、上記金めっき液を用い、被めっき物に電解金めっきを行うことを特徴とする。
被めっき物が、コネクタ、その他の電子部品であることを特徴とする。
極性を反転させるサイクルを複数回繰り返す逆電流法によりめっきを行うと好適でる。
また、本発明に係る金めっき方法は、塩化金酸塩を主体とする非シアン系金めっき液に、界面活性剤とカーボンナノファイバーとを添加し、このめっき液を用いて被めっき物に金めっきを行うことを特徴とする。
本発明によれば、非シアン系の金めっき液であって、環境への負荷を軽減できるとともに、カーボンナノファイバーを金めっき皮膜中に取り込むことができ、電子部品の金めっきに用いて好適である。
以下本発明における最良の実施の形態を詳細に説明する。
本発明に係る金めっき液は、塩化金酸塩を主体とする非シアン系金めっき液において、界面活性剤とカーボンナノファイバーとを含むことを特徴とするものである。
塩化金酸塩としては、塩化金酸ナトリウムが好適であり、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩を添加することにより、亜硫酸金錯体を形成する。
また、必要に応じて、2,2´−ビピリジル:(C54N)2などの安定剤を添加するとよい。
上記非シアン系の基本金めっき液は公知のものである。各成分の添加量としては、塩化金酸塩が0.05M程度、亜硫酸塩が0.5M程度、安定剤が100ppm程度が好適であるが、もちろんこれに限定されるものではない。
本発明では、上記の基本金めっき液に界面活性剤およびカーボンナノファイバーを添加したことを特徴としている。
界面活性剤の添加量は0.02〜5g/l、カーボンナノファイバーの添加量は0.1〜10g/lが好適である。
界面活性剤は、カチオン系界面活性剤および/またはノニオン系界面活性剤を好適に用いることができる。
カチオン系界面活性剤としては、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド:C2146ClN、ベンジルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド:C2750ClN、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド20%:[(CH2CHCH22N(CH32]Cl、塩化ベンザルコニウム:[C65CH2N(CH32R]Clが好適である。特にトリメチルステアリルアンモニウムクロリドを用いると、カーボンナノファイバーが金めっき液中で均一に分散し、また、電解めっきを行った際、金めっき膜中へのカーボンナノファイバーの取り込み量も多く、好適であった。
また、ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(2)ノニルフェニルエーテル:(C919−C64O−(C24O)2H、ポリアクリル酸5000、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル:C1225(OCH2CH223OH、ポリエチレングリコール2000:HO(CH2CH2O)nHが好適である。
なお、これらの界面活性剤は単独でも、併用してもよい。
めっき液のpHは、7(中性)〜アルカリ側とし、例えばpH8前後に調整するとよい。浴温は、室温〜90℃とし、例えば60℃程度がよい。電流密度は0.1〜50mA/cm2とし、例えば5mA/cm2程度がよい。陽極は白金めっきを行ったチタン製(メッシュ)のものなどが好適である。
コネクタその他の電子部品等の被めっき物に電解めっきを行うことによって、金めっき膜によりカーボンナノファイバーが取り込まれためっき皮膜を得ることができる。
金めっき皮膜中にカーボンナノファイバーが取り込まれることによって、例えばコネクタや接点の場合、導電性が向上し、接触抵抗が減少し、チャタリングなども減少することが期待できる。
なお、極性を反転させるサイクルを複数回繰り返す逆電流法によりめっきを行うようにするとより好適に金めっきを行うことができる。
また、界面活性剤やカーボンナノファイバーは、金めっきを行う直前に、上記の基本めっき液に添加するようにしてもよい。
次の基本金めっき液を作成した。
塩化金酸(III)ナトリウム NaAuCl4・2H2O 0.05M
亜硫酸ナトリウム Na2SO3 0.5M
2,2´-ビピリジル (C54N)2 0.1g/l
この基本金めっき浴を用いて、次の条件により金めっきを行った際の金めっき膜の表面のSEM写真を図1(a)、(b)に示す。光沢めっき皮膜が得られている。図1(a)は2000倍、図1(b)は5000倍のものである(以下の図も、(a)は2000倍、(b)は5000倍である)。
電流密度:5mA/cm2、pH:8、浴温度:60℃、クーロン量:9.46C 被めっき電極の面積:2cm2、非めっき物:ニッケルめっきを行った銅板
上記基本金めっき液に、トリメチルステアリルアンモニウムクロリドを1g/l、カーボンナノファイバー(以下CNTという)を2g/l添加した金めっき液を調整し、上記と同一のめっき条件で金めっきを行った金めっき膜の表面のSEM写真を図2(a)、(b)に示す。多数の金めっき粒子が寄り集まった比較的大きな粒子にCNTの端部が埋没して取り込まれ、CNTの他端側が突出して他の粒子に取り込まれた構造のものとなっている。CNTが取り込まれたことで、金めっき皮膜は、比較的に荒い表面状態の黒っぽい色の皮膜となっている。取り込まれたCNT量は、金めっき皮膜量に対して、数vol%〜10vol%程度で、多量のCNTが取り込まれている。
実施例1と同様の金めっき液を用い、逆電流法を用いて金めっきを行った。その他のめっき条件は実施例1と同一である。めっきシステムは、北斗電工(株)による電気化学測定システム「HZ−3000」を使用した。
逆電流法は、初期安定期30秒間は電流を流さず、その後は、図3に示すように、5mA/cm2で30秒間めっきをして、次いで30秒間電流を流さず安定させ、次に逆方向に(極性を反転させて)240mA/cm2で5秒間電流を流してめっき皮膜を溶かし、次に30秒間電流を流さずに安定させる。このサイクルを31回繰り返して行った(析出9.46C狙い)。得られた金めっき膜の表面のSEM写真を図4(a)、(b)に示す。図2のものに比較すると、金めっき粒子が寄り集まった粒子は小さくなり、また、露出していたCNT表面にも金めっき粒子が付着し、樹枝状となっていて、さらに平坦さが増加した。
なお、電流反転時間は上記に限られず、数m秒、あるいは数μ秒サイクルで電流を反転するパルスめっきであってもよい。
上記基本金めっき液に、ベンジルオクタデシルメチルアンモニウムクロリドを1g/l、CNTを2g/l添加した金めっき液を調整し、実施例1と同一のめっき条件で金めっきを行った金めっき膜の表面のSEM写真を図5(a)、(b)に示す。取り込み量は少ないがCNTが金めっき皮膜に取り込まれている。
上記基本金めっき液に、塩化ベンザルコニウムを2g/l、CNTを2g/l添加した金めっき液を調整し、実施例1と同一のめっき条件で金めっきを行った金めっき膜の表面のSEM写真を図6(a)、(b)に示す。取り込み量は少ないがCNTが金めっき皮膜に取り込まれている。
上記基本金めっき液に、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド20%を5g/l、CNTを2g/l添加した金めっき液を調整し、実施例1と同一のめっき条件で金めっきを行った金めっき膜の表面のSEM写真を図7(a)、(b)に示す。取り込み量は少ないがCNTが金めっき皮膜に取り込まれている。
上記基本金めっき液に、ポリオキシエチレン(2)ノニルフェニルエーテルを2g/l、CNTを2g/l添加した金めっき液を調整し、実施例1と同一のめっき条件で金めっきを行った金めっき膜の表面のSEM写真を図8(a)、(b)に示す。取り込み量は少ないがCNTが金めっき皮膜に取り込まれている。
上記基本金めっき液に、ポリアクリル酸(PA)5000(分子量)を0.5g/l、CNTを2g/l添加した金めっき液を調整し、実施例1と同一のめっき条件で金めっきを行った金めっき膜の表面のSEM写真を図9(a)、(b)に示す。取り込み量は少ないがCNTが金めっき皮膜に取り込まれている。
上記基本金めっき液に、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルを2g/l、CNTを2g/l添加した金めっき液を調整し、実施例1と同一のめっき条件で金めっきを行った金めっき膜の表面のSEM写真を図10(a)、(b)に示す。取り込み量は少ないがCNTが金めっき皮膜に取り込まれている。
上記基本金めっき液に、ポリエチレングリコール2000を2g/l、CNTを2g/l添加した金めっき液を調整し、実施例1と同一のめっき条件で金めっきを行った金めっき膜の表面のSEM写真を図11(a)、(b)に示す。取り込み量は少ないがCNTが金めっき皮膜に取り込まれている。
基本金めっき液により金めっきを行った金めっき皮膜表面のSEM写真である。 基本金めっき液に、トリメチルステアリルアンモニウムクロリドとCNTを添加して金めっきを行った金めっき皮膜表面のSEM写真である。 逆電流法による通電サイクルの一例を示す電流密度図である。 実施例1の金めっき液を用い、図3の逆電流法で金めっきを行った金めっき皮膜表面のSEM写真である。 基本金めっき液に、ベンジルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリドとCNTを添加して金めっきを行った金めっき皮膜表面のSEM写真である。 基本金めっき液に、塩化ベンザルコニウムとCNTを添加して金めっきを行った金めっき皮膜表面のSEM写真である。 基本金めっき液に、ジアリルメチルアンモニウムクロリドとCNTを添加して金めっきを行った金めっき皮膜表面のSEM写真である。 基本金めっき液に、ポリオキシエチレン(2)ノニルフェニルエーテルとCNTを添加して金めっきを行った金めっき皮膜表面のSEM写真である。 基本金めっき液に、ポリアクリル酸5000とCNTを添加して金めっきを行った金めっき皮膜表面のSEM写真である。 基本金めっき液に、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルとCNTを添加して金めっきを行った金めっき皮膜表面のSEM写真である。 基本金めっき液に、ポリエチレングリコール2000とCNTを添加して金めっきを行った金めっき皮膜表面のSEM写真である。

Claims (9)

  1. 塩化金酸塩を主体とする非シアン系金めっき液において、界面活性剤とカーボンナノファイバーとを含むことを特徴とする金めっき液。
  2. 界面活性剤を0.02〜5g/l、カーボンナノファイバーを0.1〜10g/l含むことを特徴とする請求項1記載の金めっき液。
  3. 界面活性剤が、カチオン系界面活性剤および/またはノニオン系界面活性剤であることを特徴とする請求項1または2記載の金めっき液。
  4. カチオン系界面活性剤が、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、ベンジルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、および塩化ベンザルコニウムから選ばれる1種以上のカチオン系界面活性剤であることを特徴とする請求項3記載の金めっき液。
  5. ノニオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレン(2)ノニルフェニルエーテル、ポリアクリル酸、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリエチレングリコールから選ばれる1種以上のノニオン系界面活性剤であることを特徴とする請求項3記載の金めっき液。
  6. 請求項1〜5いずれか1項記載の金めっき液を用い、被めっき物に電解金めっきを行うことを特徴とする金めっき方法。
  7. 被めっき物が、コネクタ、その他の電子部品であることを特徴とする請求項6記載の金めっき方法。
  8. 極性を反転させるサイクルを複数回繰り返す逆電流法によりめっきを行うことを特徴とする請求項6または7記載の金めっき方法。
  9. 塩化金酸塩を主体とする非シアン系金めっき液に、界面活性剤とカーボンナノファイバーとを添加し、このめっき液を用いて被めっき物に金めっきを行うことを特徴とする金めっき方法。
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