以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る断熱容器は、図1及び図2に示す如く、熱湯を注ぐことで飲食することができる食品(例えば、即席麺や、スープ、みそ汁、コーヒー等のインスタント食品)Fが収容される有底筒状の容器本体1と、該容器本体1の外周を覆う外装体2とで構成されている。
前記容器本体1は、合成樹脂を射出成形やブロー成形等の成型方法により成型、或いは合成樹脂からなるシートを真空成形、或いは圧空成形等の成形方法により成型した樹脂成型品である。該合成樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、或いはこれらを発泡させた発泡樹脂等を採用することができる。また、シートとしては、前記合成樹脂の単層シート或いはガスバリア性を有する樹脂等との積層シート等を採用することができる。
該容器本体1は、略真円筒状の大径部10と、該大径部10の下端部に接続された筒状の周壁部(周壁)11とで構成されている。
前記大径部10は、別途用意された蓋(図示しない。)によって閉塞される開口12を画定している。本実施形態に係る大径部10の上端部には、径方向外方に向けて延出した鍔状のフランジ部13が接続され、該フランジ部13の外周端縁には、大径部10と対向する折返部14が接続されている。これにより、大径部10、フランジ部13、及び折返部14は、断面コの字状を呈している。
前記周壁部11は、前記大径部10の下端部に接続され、本実施形態においては、下方側ほど小径になるようにテーパー筒状に形成されている。本実施形態に係る周壁部11は、縦断面形状が略直線をなすように形成され、下端部が円板状の底板部15によって閉塞されている。これにより、容器本体1は外観がカップ状をなすように形成されている。
本実施形態において、前記周壁部11は、大径部10に接続される上端部の外径が該大径部10よりも小径に設定されており、大径部10の下端部から内側に延出した水平環状部16の開口縁部に該上端部が接続されている。即ち、本実施形態に係る周壁部11は、段差部17を介して大径部10の下端(下端部)に接続されている。なお、本実施形態にかかる断熱容器Vは、上述の如く、熱湯を注ぐことで食することのできる即席麺やスープ、みそ汁、コーヒー等のインスタント食品Fを収容するものであり、前記水平環状部16の上面(周壁部11が接続された角部)は、熱湯を注ぐ際の目安となる入り目線Lとして機能させるようにもなっている。
前記外装体2は、熱収縮性を有する樹脂シートを熱収縮させて成形したもので、前記大径部10及び周壁部11の外周を覆う筒状の胴部20と、該胴部20の下端部に接続された円環状の底部21とを備えている。なお、該外装体2の製造方法については、後述することとする。
前記胴部20は、大径部10に外嵌可能に形成された外嵌部200と、該外嵌部200と底部21とを接続して周壁部11を覆う被覆部201とで構成されている。本実施形態において、外嵌部200及び被覆部201は連続的な外周面を形成しており、該外周面には文字や図柄等からなる商品表示が印刷されている。
前記外嵌部200は、大径部10に外嵌した状態で一端(上端)開口縁部が容器本体1のフランジ部13の裏面に当接させることで位置決めされるようになっている。本実施形態において、該外嵌部200は、内径が前記大径部10の外径に対してやや小さめに形成されており、大径部10に外嵌したときに、外嵌部200の伸縮力によって大径部10に締め付け力を作用させるようにしている。該外嵌部200の軸線方向の長さは、大径部10の軸線方向の長さよりもやや長く設定されている。これにより、大径部10に外嵌した状態(フランジ部13に当接させて位置決めした状態)で、外嵌部200の下端が大径部10の下端よりも下方に位置するようになっている。
前記被覆部201(周壁)は、縦断面形状が非直線状をなすように形成されている。具体的には、本実施形態に係る外装体2は、被覆部201(胴部20)の外周面に、周方向に延びる螺旋状の凸条(以下、螺旋凸条部という。)201aが所定ピッチを有して形成されている。即ち、該被覆部201は、螺旋凸条部201aと螺旋状の凹条(螺旋状凹条部)201bとが軸線方向において交互に形成されている。そのため、外装体2の胴部20の縦断面形状は、波形を呈しており非直線状になっている。即ち、該外装体2は、樹脂シートから成形したものであるので、胴部20の厚みは樹脂シートの厚みに対応しており、内周形状が外周形状に対応した形状となって被覆部201の縦断面形状が波線状を呈している。
前記底部21は、該被覆部201の下端部から内方に向けて延出して円環状(ドーナツ板状)に形成されている。本実施形態に係る外装体2は、底部21の内周端縁に被覆部201の内側に向けて延出した環状支持部210が接続されており、該環状支持部210で容器本体1の底板部15を支持できるようになっている。
これにより、外装体2が外嵌された容器本体1内に食品Fを食すべく熱湯が注がれた際に、軟化して底板部15が垂れ下がるような傾向になっても、容器本体1(底板部15)が環状支持部210に支持され、外装体2の底部21と容器本体1の底板部15との間での断熱用の空間の形成の維持を図りつつ、容器本体1の底板部15が底部21の開口を介して外側に突出するのを防止できるようになっている。これにより、熱湯を注いで食品Fを食する消費者が被覆部201及び底部21を把持しても容器本体1の底板部15等に直接触れることがなく、消費者が火傷を負うといった事態になるのを防止できるようになっている。
また、本実施形態に係る断熱容器Vは、容器本体1の大径部10と周壁部11とが段差部17を介して接続されているため、周壁部11と被覆部201との間にも断熱用の空間が形成されている。これにより、容器本体1に熱湯を注いでも、熱伝導率の低い空気の存在により、熱湯の熱の全てが外装体2(被覆部201)には伝わらず、食品Fを飲食する消費者が火傷を負う等をいった事態になるのを防止している。また、上述の如く、外装体2は、後述する発泡層を備えた樹脂シートから成形しているので、外装体2自体にも断熱性が付与され、断熱容器Vは断熱効果が非常に優れたものとなっている。
次に、外装体2の製造方法について説明するが、具体的な説明に先立ち、外装体2の製造に用いられる樹脂シート及び型について概略説明する。
前記樹脂シートは、図3に示す如く、熱収縮性を有する発泡ポリスチレン製のシート(以下、発泡層という。)Fと、非発泡樹脂シートとしてのPS(ポリスチレン)フィルム(以下、ラミネート層という。)Rとの積層体である。該樹脂シートSは、発泡層Fの厚さが、0.05mm〜1.0mm、好ましくは、0.2mm〜0.5mmに設定され、ラミネート層Rの厚さが、0.01mm〜0.1mm、好ましくは、0.02mm〜0.05mmに設定されている。本実施形態に係る発泡層F(発泡樹脂シート)は、発泡倍率が2〜10倍(好ましくは2.5倍から7倍)のものが採用され、筒状にした際に周方向となる一方向に熱収縮性を有している。即ち、樹脂シートSは、略同一の熱収縮性を有する発泡層F及びラミネート層Rが熱収縮方向を一致させて積層されることで構成されている。樹脂シートの熱収縮率は、120℃で30%以上が好ましい。なお、本実施形態に係る樹脂シートSは、長方形状に形成されており、外装体2を成形するに際して長手方向の両端部同士を接着することで筒状にされるため、熱収縮性は筒状にした際に周方向となる長手方向に設定されている。
本実施形態においては、完成品としての断熱容器Vの装飾性を高めるべく、外装体2(胴部20)の外周面(表面)となる樹脂シートSのラミネート層R上に文字、図柄等からなる商品表示や商品情報等の印刷Pが施されている。即ち、成型品たる外装体2は、軸線から外周面までの距離が、軸線方向の各位置で異なるため、外装体2に対して直接印刷すると印刷用の版が外周面の密接できない部分ができて適正な印刷ができないとして、外装体2に成型する前の樹脂シートSに印刷Pを行っている。なお、ラミネート層Rに対する印刷Pは表刷り又は裏刷りの何れであってもよいが、裏刷りを行う場合には、単層状態にあるラミネート層Rに印刷を施した後、印刷面と発泡層Fとが対向するように発泡層Fとラミネート層Rとを積層して樹脂シートSを構成すればよい。また、表刷りをする場合であっても、単層状態にあるラミネート層Rに印刷を施した後、発泡層Fとラミネート層Rとを積層して樹脂シートSを構成しても勿論よい。
該発泡層Fを構成する発泡ポリスチレンとしては、汎用ポリスチレンを各種発泡剤によって発泡させたものや、ポリスチレンにブタジエン、アクリロニトリル、メタクリル酸、アクリル酸、アクリル酸エステル類等を共重合させたコポリマを主成分とし、且つそのスチレン成分を50重量%以上(好ましくは70%以上)含有したものを各種発泡剤によって発泡したもの等を採用することができる。発泡層は、前記発泡ポリスチレン製が比較的剛性を有するため好ましいが、ポリプロピレン系樹脂等でもよい。また、ラミネート層は、延伸ポリスチレン(OPS)や、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の各種熱収縮性フィルムであってもよい。
次に、型について概略説明すると、図4に示す如く、本実施形態に係る型4は、胴部20(外嵌部200及び被覆部201)及び底部21を成形するための第一金型5と、該第一金型5と協働して環状支持部210を成形するための第二金型6とで構成されている。
前記第一金型5は、外嵌部200を成形するための第一成型部50と、該第一成型部50に連設され、前記被覆部201を成形するための第二成型部51とを備え、筒状にした樹脂シートSを第一成型部50及び第二成型部51に外挿し、該樹脂シートSを周方向に熱収縮させることで、該樹脂シートSを第一成型部50及び第二成型部51の形状に即した形状することができるようになっている。更に、第一金型5は、第一成型部50及び第二成型部51に対して樹脂シートSを適正な位置で位置決めすべく、外挿した樹脂シートSの一端を当接させる当接部52を更に備えている。
前記第一成型部50は、外径が容器本体1の大径部10の外径と略同一或いはやや小径の円柱状に形成されており、軸線方向の長さが大径部10の軸線方向の長さよりも長く設定されている。一方、前記第二成型部51は、前記第一成型部50の一端面に同心で連設された円錐台状をなすテーパー部51aと、該テーパー部51aの軸心方向において所定ピッチ(完成品たる外装体2の螺旋凸条部201aのピッチと同一のピッチ)となるように、該テーパー部51aの外周面上に螺旋状に凸設された凸条51bとで構成されている。さらに、該第二成型部51の先端面(後述する基体5aの一端(先端)面)には、第二金型6を嵌め合わせる円錐台状の凹部53が第一成型部50(基体5a)と同心になるように凹設されている。なお、凹部53は、内部側ほど先細りするようにテーパー状に形成されている。
上記構成の第一金型5は、前記第一成型部50に外方に向けて突出した凸条51bが形成されているため、外装体2を成形するに当たり、筒状の樹脂シートSが熱収縮して第一成型部50及び第二成型部51に即した形状になった状態で外装体2(樹脂シートS)の内周面(螺旋凸条部201aの裏面)と第一金型5の凸条51bとが嵌合状態となってしまい、成形後の外装体2から第一金型5を直接抜き取ることができないとして、本実施形態に係る第一金型5は分割可能に構成されている。
該第一金型5について具体的に説明すると、該第一金型5は、図4及び図5に示す如く、柱状の基体5aと、該基体5aの外周回りに配設される複数の分割型5b,5cとを備えている。本実施形態に係る基体5aは、角柱状に形成されている。前記複数の分割型5b,5cは、基体5aの外周回りで組み合わせた状態で、該基体5aとの間に隙間を形成する内径の筒状をなすようになっており、本実施形態においては、基体5aの対向する二面に沿って四分割された態様をなしている。即ち、四つの分割型5b、5cは、基体5aの外周を構成する長方形状の平面の幅以下(図においては、基体5aの軸線と直交する方向における基体5aの幅と同等)の幅に設定されると共に、高さが基体5aの高さ(軸心方向の長さ)と略同一に設定された一対の第一分割型5bと、該第一分割型5bの側端面(分割面)に当接状態で配置される一対の第二分割型5cとで構成されている。これにより、該第一金型5は、第一分割型5b,5b…及び第二分割型5c,5c…を基体5aの周囲に配置することで、第一分割型5b,5b…及び第二分割型5c、5c…の連続した外面によって、前記第一成型部50及び第二成型部51が形成されるようになっている。また、第一分割型5b、5b及び第二分割型5c,5cの何れも、基体5a側にスライド可能に構成されており、各第一分割型5b,5b…を中心側(基体5a側)に移動させて第二分割型5c,5c…の移動を許容するようにし、基体5a、第一分割型5b,5b及び第二分割型5c,5c(第一金型5)を成形後の外装体2から分離できるようになっている。本実施形態においては、第一金型5に外挿した筒状の樹脂シートSが熱収縮しても、外部から第一分割型5b,5b及び第二分割型5c,5cを基体5aに向けてスライドさせることができるように、第一分割型5b,5bの下端、及び第二分割型5c,5cの下端にブロック状の操作部G1,G2が連設されている。
更に、該第一金型5は、第一成型部50よりも大径に設定された円柱体5dが基体5aの他端に連結され、該円柱体5dの端面で前記当接部52が構成されている。これにより、筒状にした樹脂シートSを第一成型部50及び第二成型部51に外挿したときに、該樹脂シートSの一端開口縁部が円柱体5dの端面(当接部52)に当接して該樹脂シートSを位置決めできるようになっている。また、該円柱体5dの上面には、前記操作部G1,G2がスライド可能に嵌入されるガイド溝D1,D2が、平面視略十字状をなすように外周から基体5aに向けて形成されており、嵌入された操作部G1,G2を外部から操作できると共に、前記第一分割型5b、5b及び第二分割型5c、5c(操作部G1,G2)を互いに直交方向に案内できるように構成されている。
第二金型6は、前記第二成型部51の先端面よりも小径な円柱体からなる第二金型本体60と、該第二金型本体60の一端(下端)面に略同心となるように凸設され、前記環状支持部210を形成するための凸部61とを備えている。該凸部61は、第一金型5の凹部53に対応して円錐台状に形成されており、大径側の端面が第二金型本体60の下端面に接続されている。
次に、上記構成の樹脂シートS及び型4を用いて外装体2を製造する工程について説明すると、図6(イ)に示す如く、筒状にした樹脂シートSを第一金型5の第一成型部50及び第二成型部51に外挿(外嵌)し、該樹脂シートSの一端開口縁部を当接部52に当接させて位置決めを行う。
そして、図6(ロ)に示す如く、樹脂シートSに熱風Aを吹き付けて加熱を行う。そうすると、図6(ハ)に示す如く、樹脂シートSは、周方向に熱収縮し、第一成型部50及び第二成型部51の外形に即した形状となり、外嵌部200及び被覆部201が形成され、第二成型部51の先端面よりも上方に突出した部分については、周方向の収縮力の作用によって内側に倒れ込むことになる。
そして、図6(ニ)に示す如く、樹脂シートSにおける第二成型部51の先端面よりも上方に突出していた部分が第二成型部51の先端面に沿った態様、即ち、底部21が形成されると、図7(イ)に示す如く、第二金型6の凸部61を第一金型5の凹部53に嵌め合わせる。そうすると、第二成型部51の先端面に沿った樹脂シートSの先端部が凹部53内に押し込まれ、凹部53の内周面及び凸部61の外周面(テーパー面)に沿った形状となり、環状支持部210が形成されることになる。なお、環状支持部210を形成するに際し、熱風Aの吹き付け(加熱)は停止されるが、外嵌部200及び被覆部201の形成に伴う余熱によって樹脂シートSが軟化状態にあるので、該樹脂シートSに対して加熱を行わなくても凹部53及び凸部61の形状に即して変形する。
そして、図7(ロ)に示す如く、第二金型6の凸部61を凹部53から外した後、成形後の樹脂シートS、即ち外装体2を第一金型5から抜き取る。この際、図7(ハ)に示す如く、操作部G1を介して第一分割型5bを基体5a側にスライドさせ、第一分割型5bの凸条51bと樹脂シートS(外装体2)との凹部との係合を解除すると共に、第二分割型5cの移動を許容できる状態にする。その後、図7(ニ)に示す如く、操作部G2を介して第二分割型5cを基体5a側にスライドさせると、樹脂シートS(外装体2)と第一金型5との係合が完全に解除されることになり、当該第一金型5と外装体2とを完全に分離することで外装体2が完成する。
以上のように、本実施形態に係る断熱容器Vは、熱収縮性を有する樹脂シートSから外装体2を成形するようにしたので、胴部20の外周面が起伏した形状であっても成形することができる。即ち、熱収縮性を有する樹脂シートSを第一金型5に嵌め込んで熱収縮させれば、該樹脂シートSを第一金型5の第一成型部50及び第二成型部51の形状に即した形状に成形することができるので、本実施形態の螺旋凸条部201aの如く外周面が複雑に隆起した形状(縦断面形状が非直線状(波線状)をなす形状)の外装体2を成形することができ、興趣に富む断熱容器Vを提供することができる。その上、前記樹脂シートSに対して予め印刷を施し、該印刷済みの樹脂シートSで外装体2を成形するようにしたので、胴部20の縦断面形状が非直線状となるように外装体2を成形しても、該胴部20の外周面に適正な印刷を施したものにすることができる。従って、外装体2の胴部20の形状及び印刷によって、消費者の購買意欲を高めることができる興趣に富んだ断熱容器Vを提供することができる。
また、容器本体1と外装体2(胴部20)との間に断熱用の空間が形成されているので、容器本体1に熱湯を注いでも、その熱は空間(熱伝導率の低い空気)の存在によって外装体2にまで完全に至らず、優れた断熱効果を得ることができる。これにより、消費者が誤って火傷を負う等といった事態になるのを防止することができる。
また、前記外装体2を成形するための樹脂シートSを発泡層Fとラミネート層Rとの積層体で構成し、該ラミネート層R上に印刷を施すようにしているので、高品質な印刷Pで仕上げることができる。即ち、発泡層Fは、外表面に発泡による凹凸が形成されているため、印刷を行っても光沢等を得ることができにくいが、ラミネート層Rは表面が均一(滑面)であるため、印刷面に光沢等を付与することができる。さらに、樹脂シートSが発泡層Fを備えているので、前記断熱用の空間に加えて更なる断熱効果を得ることができる。
また、上述の如く、外装体2の胴部20に螺旋凸条部201aを凸設するようにしたので、消費者が該断熱容器Vを把持するに際し、指が螺旋状凹条部201bに嵌り込んでフィットした状態となり、誤って断熱容器Vを滑り落とす等といった事態になるのを防止することができる。
さらに、外装体2の底部21に内周端縁に環状支持部210を延設するようにしたので、内嵌された容器本体1の底板部15と外装体2の底部21との間に断熱用の空間を形成しつつ容器本体1を支持することができ、断熱効果を担保した上で、消費者が底部21の開口を介して容器本体1の底板部15に誤って触れてしまうのを防止することができる。
前記胴部20が、大径部10に密接状態で外嵌可能に形成された略真円筒状の外嵌部200と、該外嵌部200と底部21とを接続して容器本体1の周壁部11を覆う被覆部201とで構成されているので、大径部10に外嵌部200を外嵌した状態で面接触状態となり、外装体2を確実に容器本体1に外嵌することができる。その上、外嵌部200を大径部10よりもやや小さめに成形したので、大径部10に外嵌部200を外嵌したときに該外嵌部200の伸縮性によって固着状態となり、接着剤に頼らなくても外装体2を容器本体1に確実な固定することができ、安全性が重要となる食品Fを収容する容器として最適である。
尚、本発明の断熱容器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
上記実施形態において、外装体2の胴部20の外周面に螺旋凸条部201aを形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、図8に示す如く、胴部20(胴部20の周壁)の縦断面形状が、下方側ほど小径となるように外方に向けて突出する複数の湾曲線(図8に置いては三本の湾曲線)が連続した形状(立体形状において鏡餅状をなす形状)や、図9に示す如く、外装体2の底部21を略矩形状に形成し、胴部20の周壁のうち、底部21の各端縁に接続された一部の領域(図9においては略半楕円状の領域)を平面にした形状、胴部20の横断面形状が多角形をなす形状等であってもよい。つまり、外装体2は、印刷用のヘッド又は版を沿わせることができない形状の胴部20、即ち、被印刷領域となる胴部20の一部に、縦断面形状が非直線状をなす領域、或いは、横断面形状が非円環状をなす領域が形成されたものであればよい。以上の何れの形態であっても、胴部20の少なくとも一部に、縦断面形状が非直線状をなす領域、及び横断面形状が非円形状をなす領域の少なくとも何れか一方が形成されるため、胴部20の全周に亘って直接印刷ができないが、上記実施形態と同様に予め印刷Pを施した樹脂シートSから外装体2を成形すれば、外装体2を好適な印刷を施したものにすることができる。
上記実施形態において、外装体2を成形するための樹脂シートSに発泡層Fとラミネート層Rとの積層シート(積層体)を採用したが、これに限定されるものではなく、樹脂シートSは、例えば、熱収縮性を有する発泡層F(発泡樹脂シート)単層であってもよい。
上記実施形態において、周壁部11がテーパー筒状をなす容器本体1を採用したが、外装体2によって周壁部11が覆われる容器本体1はこれに限定されるものではなく、例えば、図10に示す如く、周壁部11が、上端部が大径部10に接続された筒状の上壁部11aと、該上壁部11aよりも小径に設定された筒状の下壁部11bと、前記上壁部11aと下壁部11bとを接続する水平環状部11cとで構成され、複数の縦リブ18,18…が前記上壁部11aと下壁部11bとに跨って周方向に間隔を有して凸設されたものであってもよい。
また、図11に示す如く、周壁部11が、上端部が大径部10に接続された筒状の上壁部11aと、該上壁部11aよりも小径に設定された筒状の下壁部11bと、前記上壁部11aと下壁部11bとを接続する水平環状部11cとで構成され、上壁部11aの外周面に軸線方向に延びる凹条110…及び凸条111…が周方向に交互に形成されると共に、複数の縦リブ18…が下壁部11bの外周面に周方向に間隔を有して凸設されたものであってもよい。このように、周壁部11の外周面に複数の縦リブ18…を設けることで、万一、外装体2が変形しても該外装体2(胴部20)が縦リブ18…に接触することになるので、外装体2(胴部20)が周壁部11に触れることがなく、当該断熱容器Vの断熱効果を確実に維持することができる。
上記実施形態において、底部21の開口縁部に環状支持部210を延設したが、これに限定されるものではなく、環状支持部210は必要に応じて設けるようにすればよい。但し、外装体2の底部21と容器本体1の底板部15との間で断熱用の空間を形成することや、断熱容器Vの全体的な強度等を鑑みれば、上記実施形態と同様に環状支持部210を設けることが好ましい。
外装体2の底部21を円形状(円環状)に形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、胴部20の下端部に接続される底部21の外周縁が、楕円形状をなす形状や、外周縁が三角形、四角形、五角形等の多角形をなす形状、外周縁が凹凸状に形成された形状、円形の外周縁部の一部が切り欠かれた形状等のような非円形状を呈するように底部21を形成するようにしてもよい。このようにしても、胴部20の下端開口は底部21の外周縁部に接続されるので、該胴部20の外周に、縦断面形状が非直線状をなす領域、又は横断面形状が非円環状をなす領域が形成されることになる。従って、予め印刷Pを施した樹脂シートSから外装体2を成形すれば、上記実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
上記実施形態において、外装体2の底部21の内周端縁に環状支持部210を延設して中央部分を開口したままの状態にしたが、例えば、環状支持部210を設けることなく、樹脂シートで開口を塞ぐようにしてもよい。この場合、外装体2を構成する樹脂シートSと同材質の樹脂シートSを用いることが好ましい。
上記実施形態において、容器本体1に対する外装体2の固定を大径部10と外嵌部200との嵌合により行うようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、大径部10と外嵌部200とを接着剤で接着するようにしてもよい。このようにすれば、大径部10と外嵌部200との嵌合に加えて、接着剤の接着力が作用するので、容器本体1に対して外装体2を強固に固定することができる。
1…容器本体、2…外装体、4…型、5…第一金型、5a…基体、5b…第一分割型、5c…第二分割型、5d…円柱体、6…第二金型、10…大径部、11…周壁部(周壁)、11a…上壁部、11b…下壁部、11c…水平環状部、12…開口、13…フランジ部、14…折返部、15…底板部、16…水平環状部、17…段差部、18…縦リブ、20…胴部、21…底部、50…第一成型部、51…第二成型部、51a…テーパー部、51b…凸条、52…当接部、53…凹部、60…第二金型本体、61…凸部、110…凹条、111…凸条、200…外嵌部、201…被覆部、201a…螺旋凸条部(凸条)、201b…螺旋状凹条部(凹条)、210…環状支持部、V…断熱容器、L…入り目線、A…熱風、F…インスタント食品(食品)、S…樹脂シート、F…発泡層(発泡樹脂シート)、R…ラミネート層(ラミネートフィルム)、P…印刷