JP2006244814A - 燃料電池システム及び固体高分子型燃料電池の運転方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明に係る燃料電池システム10は、固体高分子電解質膜の両面に燃料極及び空気極が接合された膜電極接合体を備えた固体高分子型燃料電池20と、固体高分子型燃料電池20に水及び/若しくは水蒸気を供給し、並びに/又は、固体高分子型燃料電池20から排出される水及び/若しくは水蒸気を回収するための加湿経路70と、加湿経路70のいずれかに、自ら過酸化物又は過酸化物ラジカルと反応することによって、過酸化物を安定化させ又は過酸化物ラジカルを消滅させる機能を有する犠牲剤を供給する犠牲剤供給手段とを備えている。
【選択図】 図1
Description
また、全フッ素系電解質は、耐酸化性に優れるが、一般に極めて高価である。そのため、固体高分子型燃料電池の低コスト化を図るために、炭化水素系電解質(高分子鎖内にC−H結合を含み、C−F結合を含まない電解質)、又は部分フッ素系電解質(高分子鎖内にC−H結合とC−F結合の双方を含む電解質)の使用も検討されている。
また、電極反応を効率よく進行させるためには、触媒層内に電極触媒、電解質及び反応ガスが共存する三相界面を確保する必要がある。しかしながら、特にカソード側では、電極反応により生成した水あるいは反応ガスに含まれる水によって三相界面が閉塞する、いわゆるフラッディングが生じ、反応効率が低下しやすいという問題がある。
さらに、固体高分子型燃料電池を安定に作動させるためには、電解質膜を適度な湿潤状態に保つ必要がある。そのため、固体高分子型燃料電池においては、一般に、反応ガスへの加湿が行われている。しかしながら、燃料電池の温度が0℃以下になると、MEA内で水が凍結してMEAを損傷させたり、あるいは、始動時において、反応ガスに含まれる水又は電極反応により生成した水がガス流路内で凍結することによってガス流路が閉塞し、発電継続が困難になる場合がある。
一方、大環状金属錯体や遷移金属酸化物は、過酸化水素を分解する作用があり、しかも、貴金属に比べて安価であるが、電子伝導性は低い。そのため、MEAの耐久性を向上させるためにこれらの化合物を電極に多量に添加すると、内部抵抗あるいは接触抵抗の上昇を招き、電池性能が低下するという問題がある。
また、過酸化物ラジカルは、触媒層及び拡散層に含まれる炭素材料を劣化させる場合がある。しかしながら、炭素材料の劣化を積極的に抑制するための手段が提案された例は、従来にはない。
燃料ガス供給装置30から供給される燃料ガス(例えば、水素ガス)は、吸気マニホールド(図示せず)を介して各MEAの燃料極側に分配され、各燃料極から排出されるガスは、排気マニホールド(図示せず)を介して排出されるようになっている。同様に、酸化剤ガス供給装置50から供給される酸化剤ガス(例えば、空気)は、吸気マニホールド(図示せず)を介して各MEAの空気極側に分配され、各空気極から排出されるガスは、排気マニホールド(図示せず)を介して排出されるようになっている。
さらに、固体高分子型燃料電池20には、その運転状態の監視・制御を行うための各種センサ(例えば、電圧測定装置22、温度測定装置24等)が設けられている。
水素ポンプ40の下流側には、背圧を調整するためのバルブ36bが設けられている。水素ポンプ40及びバルブ36bを介して排出された排ガスは、空気極側の排ガスによって希釈され、大気中に排出されるようになっている。
さらに、水素吸気管34aの圧力調整バルブ34b−水素吸気バルブ34c間と、水素排気管36aの水素ポンプ40−バルブ36b間とは、逆止弁42bを備えた連結管42aで繋がれている。SUS製の逆止弁42bは、排気側からの大気の混入を防止するためのものである。
酸化剤ガス供給装置50の排気系統は、固体高分子型燃料電池20の空気極側の排気マニホールド(図示せず)に繋がれた空気排気管58と、空気排気管58を介して排出される排ガスに含まれる水分を分離する空気気液分離器60とを備えている。水分が分離された空気極側の排ガスは、希釈水素の排気系に導かれるようになっている。
空気気液分離器60には、回収管62aを介して加湿器54に繋がれている。空気気液分離器60は、排ガスから分離された水を回収管62aに排出する構造になっている。また、回収管62aには、空気気液分離器60の水を加湿器54側又は排水側に切り替えるための三方弁62bと、回収管62aを開閉するための開閉バルブ62cが設けられている。
また、図1に示す燃料電池システム10において、水素吸気管34aのいずれかに、燃料ガスを加湿するための加湿器を設けてもよい。この場合、水素吸気管34a及び燃料極側の加湿器、並びに、水素吸気管34aに設けられた各種バルブは、加湿経路70の構成要素となる。
また、図1に示す燃料電池システム10において、燃料極側から排出される水を回収し、固体高分子型燃料電池20の加湿に用いるための循環経路を設けてもよい。この場合、燃料ガス供給装置30の吸気系統に加えて、排気系統の一部(例えば、水素排気管36a、水素気液分離器38、開閉バルブ40b、水素ポンプ40など)も、加湿経路70の構成要素となる。
さらに、図1に示す燃料電池システム10において、燃料源として水素ボンベ32を用いているが、これに代えて改質器システムを用いても良い。同様に、酸化剤ガスとして、空気を用いているが、これに代えて酸素や酸素+窒素の混合ガスを用いても良い。
本発明において、「犠牲剤」とは、自ら過酸化物又は過酸化物ラジカルと反応することによって、過酸化物を安定化させ又は過酸化物ラジカルを消滅させる機能を有するものをいう。電解質膜及び触媒層内電解質の劣化を抑制し、固体高分子型燃料電池の耐久性を向上させるためには、犠牲剤は、以下のような条件を備えているものが好ましい。
第2に、犠牲剤は、固体高分子型燃料電池20の作動温度において、液体又は気体であるものが好ましい。燃料電池の作動温度において液体又は気体である犠牲剤を用いると、加湿経路70への犠牲剤の供給が容易化する。
なお、作動温度で固体であるものは、水溶性であることが好ましい。具体的には、作動温度における水に対し、0.01wt%以上溶解させることができるものが好ましい。この場合、運転停止時に水に溶解していた犠牲剤が触媒層や拡散層で析出し、電池性能に悪影響を及ぼさないように、過大な添加は避けるべきである。特に、(1)適時純水加温に切り替えて、MEAを洗浄する、(2)高負荷運転時に犠牲剤の添加を止め、生成水によって系外に排出する、等の施策をとることが好ましい。
第3に、犠牲剤は、ベンゼン環及び/又はハロゲンを含まない有機物が好ましい。ベンゼン環及び/又はハロゲンを含む有機物であっても、犠牲剤として機能するものがある。しかしながら、これらは、一般に、環境に対する負荷が大きいものが多い。従って、過酸化物又は過酸化物ラジカルとの反応に消費されなかった犠牲剤をそのまま大気中に放出するタイプ(開放型)の燃料電池システムにおいては、環境に対する負荷が相対的に小さい有機物(すなわち、ベンゼン環及び/又はハロゲンを含まない有機物)を用いるのが好ましい。
第4に、犠牲剤は、酸素、窒素又は硫黄を含む有機物が好ましい。酸素、窒素又は硫黄を含む有機物は、一般に、これらを含まない有機物に比べて過酸化物又は過酸化物ラジカルとの反応性が高いので、相対的に少量の添加で、固体高分子型燃料電池20の耐久性を大幅に向上させることができる。特に、酸素を含む有機物は、反応性が高いことに加えて、環境に対する負荷が小さいものが多いので、犠牲剤として好適である。
第5に、犠牲剤は、過酸化物又は過酸化物ラジカルとの反応で生成した劣化生成物が、固体高分子電解質膜及び/又は触媒層内電解質を再び攻撃せず、再度、過酸化物又は過酸化物ラジカルを消滅させる働きを持つものが好ましい。後述するように、メタノール及びギ酸は、劣化生成物が固体高分子電解質膜及び/又は触媒層内電解質を攻撃すると考えられるので、犠牲剤として用いるのは好ましくない。
第6に、犠牲剤は、過酸化物又は過酸化物ラジカルとの反応によりCO2を生成しやすいものが好ましい。燃料電池を長期間運転すると、MEAに含まれる炭素材料の表面が酸化されることによって親水化し、あるいは、炭素材料がガス化して消耗し、電池性能が低下する。これに対し、犠牲剤としてCO2が生成しやすいものを用いると、電極近傍のCO2分圧が高くなり、炭素材料の劣化・消耗を抑制することができる。
(1) 炭化水素類、アルコール類、カルボン酸類、アミノ酸類、アミノカルボン酸類、アミノスルホン酸類、糖類、脂肪族アルデヒド類、テルペン類、
(2) 含硫黄有機化合物、
(3) 含酸素有機化合物、
などがある。
(1) エタノール(C2H5OH)、イソプロパノール((CH3)2CHOH)、n−プロパノール(C2H5CH2OH)、t−Buアルコール、n−Buアルコール(C4H9OH)、イソアミルアルコール((CH3)2CH(CH2)2OH)、n−へキサノール(C6H13OH)、シクロヘキサノール(C6H11OH)、n−ヘプタノール(CH3(CH2)6OH)、n−オクタノール(CH3(CH2)7OH)等のC2〜C8の1価アルコール、
(2) エチレングリコール(HOCH2CH2OH)、プロピレングリコール(CH3CHOHCH2OH)、1,6ヘキサンジオール(HO(CH2)6OH)、ジエチレングリコール(HO(CH2)2O(CH2)2OH)、ポリエチレングリコール(HO(CH2CH2O)nH)、ポリプロピレングリコール(HO[CH2CH(CH3)O]nH)、PE(ペンタエリストロール、C(CH2OH)4)、TMP(トリメチロールプロパン、CH3CH2C(CH2OH)3)、NPG(ネオペンチルグリコール、HOCH2C(CH3)2CH2OH)、1,4−シクロヘキサンジメタノール(HOCH2C6H4CH2OH)、マンニトール(HOCH2(CHOH)4CH2OH)、グリセリン(CH2(OH)CH(OH)CH2(OH))、ソルビトール(HOCH2(CHOH)4CH2OH)等の多価アルコール、
などがある。
(1) 酢酸(CH3COOH)、プロピオン酸(CH3CH2COOH)、酪酸(CH3(CH2)2COOH)等のC2以上の1価カルボン酸、
(2) シュウ酸((COOH)2)、マロン酸(CH2(COOH)2)、フマール酸((CH)2(COOH)2)、コハク酸((CH2)2(COOH)2)、グルタル酸((CH2)3(COOH)2)、アジピン酸((CH2)4(COOH)2)、ピメリン酸((CH2)5(COOH)2)、スベリン酸((CH2)6(COOH)2)、アゼライン酸((CH2)7(COOH)2)、セバシン酸((CH2)8(COOH)2)等の多価カルボン酸、
(3) 乳酸(CH3CH(OH)CO2H)、クエン酸(HO2CCH2C(OH)(CO2H)CH2CO2H)、リンゴ酸(HO2CCH2CH(OH)CO2H)、酒石酸(HO2CCH(OH)CH(OH)CO2H)等のヒドロキシカルボン酸、
などがある。
キレート剤は化学的な安定性が比較的大きく、生物による分解が困難で環境負荷が大きい。そこで、GLDA(L−グルタミン酸二酢酸)、L−アスパラギン酸二酢酸、MGDA(メチルグリシン二酢酸)等の生分解性に優れるキレート剤が特に好ましい。これらキレート剤には、犠牲剤として働く作用の他に、Fe2+、Fe3+イオンに配位安定化(キレート化)し、・OHラジカルの生成速度を低下させる作用があるため、極少量の添加で電解質を保護する作用を有する。
糖類には、
(1)グルコース、フルクトース、ガラクトース等の6炭糖(C6(H2O)6)、
(2)スクロース(ショ糖)、マルトース、ラクトース、トレハロース等の二糖類、などがある。
テルペン類には、α−イオノン、β−イオノン、ミント、ミルセン、ゲラニオール、リモネン、カルヴォン、カンファー、ピネン等のモノテルペン(unit monoterpenes C10H16)、及び、α−テルピネオール、L−メンニトール等のアルコール、ヒノキチオールなどがある。
エーテル類には、
(1) ジメチルエーテル(CH3OCH3)、ジエチルエーテル(C2H5OC2H5)、ジメトキシメタン(MeOCH2OMe)、ジメトキシエタン(MeOC2H4OMe)、ジエトキシエタン(C2H5OC2H2OC2H5)、イソプロピルエーテル([(CH3)2CH]2O)、
(2) エチレングリコールモノメチルエーテル(CH3OCH2CH2OH)、エチレングリコールモノエチルエーテル(C2H5OCH2CH2OH)、エチレングリコールモノブチルエーテル(C4H9OCH2CH2OH)、
(3) テトラヒドロフラン(C4H8O)、メチルテトラヒドロフラン(C5H10O)、
(4) ジエチレングリコールモノメチルエーテル(DEGME、CH3O(CH2CH2O)2H)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(TEGME、CH3O(CH2CH2O)3H)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGEE、C2H5O(CH2CH2O)2H)、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(TEGEE、C2H5O(CH2CH2O)3H)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGBE、C4H9O(CH2CH2O)2H)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGBE、C4H9O(CH2CH2O)3H)、
(5) ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、
などがある。
(1) メチルホーメート(HCOOCH3)、メチルアセテート(CH3COOCH3)、メチルプロピオネート(C2H5COOCH3)、エチルホーメート(HCOOC2H5)、エチルアセテート(CH3COOC2H5)、イソプロピルホーメート(HCOOC3H7)、イソアミルアセテート(CH3COO(CH2)2CH(CH3)2)、n−アミルアセテート、2−イソペンテニルアセテート、エチルプロピオネート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート(CH3COOCH2CH(CH3)2)、エチルイソブチレート、アミルプロピオネート、エチルカプロエート、アミルブチレート、エチルカプリレート、ヘキシルブチレート、エチルブチレート、エチルバレレート等の鎖状エステル、
(2) γ−ブチルラクトン(BL)、アセチルブチルラクトン(ABL)、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン(DL)、δ−ヘプタラクトン(HL)等のラクトン(環状エステル)、
(3) DMC(ジメチルカーボネート)、DEC(ジエチルカーボネート)、DPC(ジプロピルカーボネート)、DBC(ジブチルカーボネート)、EMC(エチルメチルカーボネート)、VC(ビニレンカーボネート)、炭酸ビニルエチレン、オルト炭酸テトラエチル等の鎖状炭酸エステル、
(4) MC(メチルカーボネート)、EC(エチルカーボネート)、PC(プロピレンカーボネート)等の環状炭酸エステル、
などがある。
これらの中でも、アルコール類は、安価であり、取り扱いも容易であるので、犠牲剤として好適である。また、アルコール類の中でも、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のC2〜C8の1価アルコールは、その毒性及び環境負荷も小さく、容易に過酸化物ラジカルと反応するので、犠牲剤として特に好適である。さらに、C2〜C8の1価アルコール及び多価アルコールは、水への溶解度が相対的に高く、水中でのラジカルとの反応性が高いことに加え、ラジカルとの反応により生成した劣化生成物による電解質の攻撃が生じにくいので、犠牲剤として好適である。
なお、アルキル基の炭素数が1の場合、
(1)分解生成物としてメタノールやギ酸を生成し、腐食性が大きいこと、
(2)これらに起因するラジカル活性が比較的大きく、電解質を攻撃しやすいこと、及び、
(3)メタノールやギ酸の分解がCO止まりになり、触媒を被毒するおそれがあること、
から、アルキル基の炭素数は、1でないこと(2以上であること)が好ましい。
さらに、尿素類は、CO2に加えて、分解生成するNH3が水のpH低下を防ぎ、過酸化物のイオン分解速度を上げて、・OHラジカルによる炭素材料及び電解質へのアタックを抑制する利点がある。
過酸化物は、主として、空気極側で発生すると考えられているので、酸化剤ガスに犠牲剤を添加すると、効率よく過酸化物又は過酸化物ラジカルを消滅させることができる。また、過酸化物は、酸素が燃料極側にクロスオーバーすることによって燃料極側においても発生すると考えられているので、酸化剤ガスに代えて又はこれに加えて、燃料ガスに犠牲剤を供給しても良い。
また、燃料ガス供給装置30は、水素ボンベ32、水素吸気管34a、圧力調整バルブ34b、及び、水素吸気バルブ34cを備えている。燃料ガスに犠牲剤を供給する場合、犠牲剤供給手段は、水素吸気管34aに設けるのが好ましい。
例えば、犠牲剤が室温において気体である場合、酸化剤ガス供給装置50及び/又は燃料ガス供給装置30の吸気系統のいずれかに、犠牲剤を充填したボンベを接続すればよい。この場合、犠牲剤の供給量は、犠牲剤を充填したボンベと吸気系統の間に設けられたバルブの開度を調節することにより行う。
犠牲剤供給手段として蒸気発生器を用いる場合、犠牲剤の供給量は、蒸気発生器と吸気系統の間に設けられたバルブの開度や、犠牲剤の加熱温度を調節することにより行う。
一方、犠牲剤供給手段としてミスト発生器を用いる場合、犠牲剤の供給量は、ミスト発生源の駆動エネルギ(例えば、超音波タイプの場合は、超音波振動子に印加する電圧、電圧印加時間等。ノズルタイプの場合は、ノズルに供給する液体の圧力、噴霧時間等。)を調節することにより行う。
この場合、犠牲剤は、加湿用の水に可溶である必要がある。犠牲剤の水への溶解度は、特に限定されるものではなく、少なくとも、過酸化物又は過酸化物ラジカルを消滅させるために必要な量を水(具体的には、少なくとも0.01wt%)に溶解させることができるものが好ましい。
なお、酸化剤ガスに犠牲剤を供給するのが好ましい点、燃料ガスに犠牲剤を供給しても良い点、蒸気又はミストを発生する手段として、公知の蒸気発生器及び/又はミスト発生器をそのまま用いることができる点は、第1の具体例と同様である。
図1に示す燃料電池システム10において、空気極から排出された酸化剤ガスは、そのまま系外に排出されるが、空気極側から排出された水は、空気気液分離器60により分離され、加湿器54に戻される。このような加湿水を循環させるタイプの燃料電池システムにおいては、空気極で生成した過酸化物又は過酸化物ラジカルが加湿水に濃縮されやすい。このような場合には、排気系統のいずれか(例えば、空気排気管58、空気気液分離器60、空気回収管62aなど)に犠牲剤供給手段を設けても良い。
例えば、犠牲剤を加湿水に溶解させ、これを電極に供給する場合、加湿水に添加する有機物の濃度は、1ppm〜10000ppm(1wt%)が好ましい。犠牲剤の添加量が1ppm未満では、耐久性の向上効果が小さい。一方、犠牲剤の添加量が1wt%を超えると、電極反応の阻害要因となり、電池性能を大きく低下させることがある。また、1wt%を超える供給は、電池系外へそのまま分解されずに排出されたり、アルデヒド、有機酸、ケトン等の環境負荷の大きい有機物となって排出されることがあるため好ましくない。また、これらの分子内にCO結合を含む有機物の高濃度の使用は、加湿経路のシール部、パッキング等に使われる高分子材料や触媒層に使用される高分子電解質や電解質膜にダメージを与えることがあるため、勧められない。
従って、システムの高コスト化、電池性能の低下、及び/又は、環境に対する悪影響を抑制するためには、犠牲剤の供給量は、系内の過酸化物及び/又は過酸化物ラジカルを消滅させるのに必要かつ十分な量とするのが好ましい。
燃料極側から空気極側へ水素が透過すると、透過水素は、(1)式に示すように、空気極の触媒上において酸化され、プロトンと電子を生成する。
H2 → 2H++2e− ・・・(1)
また、空気極側の酸素は、次の(2)式に示すように、(1)式のプロトン及び電子を受け取り、過酸化水素となる。すなわち、酸素が2電子還元されることにより、過酸化水素が生成する。
O2+2H+++2e− → H2O2 ・・・(2)
さらに、生成した過酸化水素は、次の(3)式に示すように、価数が変わる遷移金属イオンの存在下において、過酸化物ラジカル(・OOH、・OH)に分解する。
2H2O2 → HOO・+HO・+H2O ・・・(3)
すなわち、1モルの透過水素から1モルの過酸化水素又は過酸化物ラジカルが生成することになる。空気極における過酸化水素の生成は、(1)式の反応が律速すると考えられるので、少なくとも水素ガス当量に相当する量の犠牲剤が供給されれば、系内の過酸化物又は過酸化物ラジカルを消滅させることができる。
電極面積を13cm2とすれば、単位時間当たりの過酸化物の生成速度は、(1)式及び(2)式、並びに、ファラディの法則から、0.0012モル/hrと計算される。
(3)式に示すように、1モルの過酸化水素から1モルの過酸化物ラジカルが生成し、かつ、1モルの犠牲剤が必要(1:1に反応して捕捉)と仮定すると、過酸化物ラジカルを消滅させるに必要な犠牲剤の供給速度は、0.0012モル/hrとなる。
加湿を1リットル/分、80℃フル加湿とすると、水分供給速度は、12.7g/hr(0.70モル/hr)となる。
従って、例えば、犠牲剤を予め加湿水中に添加し、電極に供給する場合、必要な犠牲剤のモル%は、
(0.0012/0.7)×100≒0.17モル% ・・・(4)
となる。また、犠牲剤がメタノール(分子量=32)である場合、加湿水中の濃度は、0.31wt%と計算される。
従って、定置型燃料電池のように、一定負荷条件で運転する場合には、(4)式で得られる量の1/100程度(0.0017モル%、メタノールで30ppm)の犠牲剤を供給するだけで、触媒層内電解質や電解質膜の劣化を抑制することができる。
また、例えば、負荷のON/OFFが繰り返される場合において、総運転時間に占める開回路時間及び過渡応答時間と閉回路(定常運転)時間との比率が既知又は推定可能であるときには、総運転時間内の平均の水素ガス当量に相当する一定量の犠牲剤を常時、供給しても良い。
また、例えば、負荷のON/OFFが繰り返される場合、水素ガス当量の変動に応じて、犠牲剤の供給量を変動させても良い。
また、例えば、負荷のON/OFFが繰り返される場合、開回路時または過渡応答時の水素ガス当量は、閉回路時(定常運転時)の水素ガス当量に比べて遙かに大きいので、開回路時及び/又は過渡応答時にのみ、水素ガス当量に相当する一定量の犠牲剤を供給しても良い。
しかしながら、一般に、膜中の酸素ガスの透過速度は、水素ガスの1/3〜1/4であり、酸素ガス当量は、水素ガス当量に比べて小さい。従って、燃料ガスに対し、少なくとも、開回路時又は過渡応答時の水素ガス当量以下に相当する量の犠牲剤を供給すれば、過酸化物ラジカルによる電解質膜及び/又は触媒層内電解質の劣化を抑制することができる。
また、閉回路時に比べて、開回路時又は過渡応答時の方が酸素ガス当量が多い点は、水素ガス当量と同様である。従って、酸化剤ガスに犠牲剤を供給する場合と同様の考え方に従い、燃料電池の運転状態や酸素ガス当量の変動に応じて、燃料ガスに供給する犠牲剤の量を変動させ、あるいは、犠牲剤の供給のON/OFF制御を行っても良い。
過酸化水素は、価数が変わる遷移金属イオン(Mn+/M(n+1)+)の存在下において、過酸化物ラジカルに分解する。この反応は、次の(5)式及び(6)式で表される。
HOOH+M(n+1)+ → HOO・+H++Mn+ ・・・(5)
HOOH+Mn+ → HO・+OH−+M(n+1)+ ・・・(6)
(5)式及び(6)式より、上述した(3)式が得られる。(3)式より、過酸化水素1モルから過酸化物ラジカル(HOO・、HO・)1モルが生成する事がわかる。
例えば、X=Fのフルオロポリマ(RX)と、・OHラジカルとが反応すると、次の(7)式のように分解してFイオン(HX)を放出する。分解により生成したアルコキシラジカル・ROは、互いに結合して安定な化合物(例えば、ROOR)になるか、あるいは、さらに安定な化合物(例えば、H2O、CO2など)へと変化する。
RX+・OH → ・RO+HX ・・・(7)
例えば、電解質膜の水素透過速度を低下させるために、電解質のすべて又は一部を水素透過速度の小さい炭化水素系電解質とし、比較的水素透過速度の大きなフルオロポリマと複合化することも考えられる。しかしながら、炭化水素系電解質は、過酸化水素に対し極めて脆弱であるため、単独の炭化水素系電解質はもちろんの事、過酸化水素を分解する作用を有する触媒を大量に加えて炭化水素系電解質とフルオロポリマとを複合化させても、十分な耐久性が得られないのが現状である。
すなわち、ある種の有機物(QH)は、過酸化物又は過酸化物ラジカルと反応し、これらを消滅させる作用がある。例えば、有機物(QH)と、過酸化物ラジカルの一種である・OHとの反応は、次の(8)式のように表せる。
QH+HO・ → Q・+H2O ・・・(8)
反応により生成したQ・ラジカルは、それ自身が不安定であるため、互いに結合して安定な化合物(例えば、QQ)になるか、あるいは、さらに安定な化合物(例えば、アルコール、カルボン酸、CO2、H2Oなど)に分解する。
過酸化物(例えば、H2O2)や他の過酸化物ラジカル(・OOH)の場合も同様であり、ある種の有機物(QH)と反応させると、過酸化物や過酸化物ラジカルが消滅する。また、反応生物は、安定な化合物となる。
これに対し、犠牲剤として、C2〜C8の1価アルコールなどの特定の有機物を添加すると、活性の高い劣化生成物の生成が相対的に少なくなり、劣化生成物による電解質の劣化が抑制される。
(1) 炭素材料は、本来、高温の高電位状態では安定ではなく、COやCO2ガスとなって消耗する、
(2) 副生成する過酸化水素が炭素材料をアタックして、表面にC=OやC−OH、COOH等の親水性の官能基を生成し、撥水性を低下させる、
ためと考えられる。
C+2H2O → CO2+4H++4e− ・・・(9)
ここで、25℃における(9)式の熱力学的な平衡電位E25℃は、プールベダイアグラム(Pouubaix diagram)より、次の(10)式で表される。
E25℃=0.207−0.0591pH+0.0148logP(CO2)
・・・(10)
すなわち、CO2の分圧が10倍になることで、Cの酸化電位は約15mV上昇する(酸化されにくくなる)。
1wt%の過酸化水素とFe10ppm相当の塩化第1鉄を含む水溶液(比較例5)、及び、これにさらに種々の有機物を所定濃度となるように加えた水溶液(実施例1〜4、比較例1〜4)を作製した。これらの水溶液200mlに、膜厚45μm、大きさ7.2cm×7.2cmのフッ素系電解質1枚を入れ、100℃×8hrの浸漬試験を行った。浸漬試験終了後、水溶液中に溶出したFイオンの濃度をオリオン社製のイオン選択電極で調べた。また、浸漬試験前後で80℃×2hrの真空乾燥処理を行い、浸漬試験での膜重量減少を求めた。表1に、その結果を示す。
添加剤の劣化生成物の影響を調べるために、実施例1と同じ材質、同じ大きさのフッ素系電解質を用い、実施例1と同様の試験を2回行い、溶出したFイオン濃度を測定した。
すなわち、1wt%の過酸化水素及びFe10ppm相当の塩化第1鉄、並びに、0.1wt%相当のC2〜C8の1価アルコールを含む水溶液200mlに、フッ素系電解質1枚を入れ、100℃×8hrの浸漬試験を行った。次に、フッ素系電解質を含む浸漬試験後の水溶液に、さらに1wt%相当の過酸化水素を追加し、100℃×8hrの条件で2回目の浸漬試験を行った。2回目の浸漬試験後の水溶液中に溶出したFイオン濃度をオリオン社製のイオン選択電極で測定した。図2に、その結果を示す。なお、図2には、1回目の浸漬試験後のFイオン濃度も併せて示した。
1wt%の過酸化水素とFe10ppm相当の塩化第1鉄を含む水溶液(比較例9)、及び、これに0.1wt%相当のイソプロピルアルコール(実施例6)又はラウリルアルコール(比較例8)を加えた水溶液を作製した。これらの水溶液に、膜厚45μm、大きさ7.2cm×7.2cmのフッ素系電解質1枚を入れ、40℃、60℃、80℃又は100℃×8hrの浸漬試験を行った。浸漬試験終了後、水溶液中に溶出したFイオンの濃度をオリオン社製のイオン選択電極で調べた。図3に、その結果を示す。
図3より、無添加及びラウリルアルコール添加は、イソプロピルアルコール添加に比べて、60℃以上での反応が顕著であることがわかる。
ラウリルアルコールのF排出抑制効果がイソプロピルアルコールに比べて小さいのは、ラウリルアルコールの水への溶解度がイソプロピルアルコールより小さく、水中のラジカルとの反応性が乏しいためと考えられる(図4(http://www.chemikalienlexikon.de/aroimfo/0375-aro.htm)参照)。
1wt%の過酸化水素とFe10ppm相当の塩化第1鉄を含む水溶液(比較例10)、及び、これに0.1wt%相当のアルコール以外の有機物(実施例7〜54)又はラウリルアルコール(比較例11)を加えた水溶液を作製した。これらの水溶液に、膜厚45μm、大きさ7.2cm×7.2cmのフッ素系電解質1枚を入れ、100℃×8hrの浸漬試験を行った。浸漬試験終了後、水溶液中に溶出したFイオンの濃度をオリオン社製のイオン選択電極で調べた。また、浸漬試験前後で80℃×2hrの真空乾燥処理を行い、浸漬試験での膜重量減少を求めた。表2に、その結果を示す。表2より、1価アルコール以外の有機物であっても、F排出抑制効果があることがわかる。
なお、実施例7〜10は脂肪族炭化水素、実施例11は単環式アルコール、実施例12〜13はテルペン環アルコール(テルペノール)、実施例14〜20は多価アルコール、実施例21〜23はヒドロキシカルボン酸、実施例24はアスコルビン酸、実施例25〜28は多価カルボン酸、実施例29はアミノスルホン酸、実施例30〜35はアミノカルボン酸、実施例36〜39はキレート剤、実施例40〜48は硫黄含有有機化合物、実施例49〜53はテルペン類、実施例54は糖類の例を示す。
60wt%Pt/C触媒0.5gに蒸留水2.0g、エタノール2.5g、プロピレングリコール1.0g、22wt%ナフィオン(登録商標)溶液(デュポン社製)0.9gをこの順で加え、超音波ホモジナイザーで分散させて触媒インクを作製した。これをポリテトラフルオロエチレンシート上に塗布、乾燥して転写電極を得た。Pt使用量は、カソードが0.5〜0.6mg/cm2、アノードが0.3〜0.4mg/cm2の範囲で一定とした。これらの電極を36mm角に切り出し、フッ素系電解質膜の片面に熱圧着(120℃、50kgf/cm2(4.9MPa))して、膜電極接合体(MEA)を作製した。
ポリテトラフルオロエチレン内筒の容器に1wt%のH2O2及びFe10ppm相当の塩化第1鉄を含む水溶液200mlを入れ、これに各種含酸素有機化合物及び含硫黄有機化合物0.2gを添加した。これらの水溶液に、それぞれ、厚さ45μm、大きさ7.2×7.2cmのフッ素系電解質膜1枚を入れ、100℃×8hrの浸漬試験を行った。浸漬試験終了後、水溶液中に溶出したFイオンの濃度をオリオン社製のイオン選択電極で調べた。また、浸漬試験前後で80℃×2hrの真空乾燥処理を行い、浸漬試験での膜重量減少を求めた。表4に、その結果を示す。
表4より、ここで示した各種化合物は、いずれも無添加の場合に比べて、重量減少を抑え、かつ、Fイオンの溶出を抑制する効果があることがわかる。
加湿水に加える有機物として、γ−ブチロラクトン又は炭酸ジエチルを用いた以外は、実施例55〜56と同一の条件下で、耐久試験を行った。
なお、実施例79の場合、カソード側加湿水には、γ−ブチロラクトンを30ppm加えたイオン交換水を用い、アノード側加湿水には、イオン交換水を用いた。
また、実施例80の場合、カソード側加湿水には、炭酸ジエチルを30ppm加えたイオン交換水を用い、アノード側加湿水には、イオン交換水を用いた。さらに、比較例22の場合、カソード側加湿水及びアノード側加湿水には、それぞれ、イオン交換水を用いた。表5に、その結果を示す。
60wt%Pt/C触媒0.5gに蒸留水2.0g、エタノール2.5g、プロピレングリコール1.0g、22wt%ナフィオン(登録商標)溶液(デュポン社製)0.9gをこの順で加え、超音波ホモジナイザーで分散させて触媒インクを作製した。これをポリテトラフルオロエチレンシート上に塗布、乾燥して転写電極を得た。Pt使用量は、カソードが0.5〜0.6mg/cm2、アノードが0.3〜0.4mg/cm2の範囲で一定とした。これらの電極を36mm角に切り出し、フッ素系電解質膜の片面に熱圧着(120℃、50kgf/cm2(4.9MPa))して、膜電極接合体(MEA)を作製した。
20 固体高分子型燃料電池
70 加湿経路
Claims (17)
- 固体高分子電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体を備えた固体高分子型燃料電池と、
該固体高分子型燃料電池に水及び/若しくは水蒸気を供給し、並びに/又は、前記固体高分子型燃料電池から排出される水及び/若しくは水蒸気を回収するための加湿経路と、
該加湿経路のいずれかに、自ら過酸化物又は過酸化物ラジカルと反応することによって、過酸化物を安定化させ又は過酸化物ラジカルを消滅させる機能を有する犠牲剤を供給する犠牲剤供給手段とを備えた燃料電池システム。 - 前記犠牲剤供給手段は、前記電極に供給される反応ガスの少なくとも一方に、前記犠牲剤のガス、蒸気又はミストを供給するものである請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記犠牲剤供給手段は、予め加湿用の水に前記犠牲剤を加えて溶液とし、該溶液の蒸気又はミストを前記電極に供給される反応ガスの少なくとも一方に供給するものである請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記犠牲剤供給手段は、開回路時、又は、閉回路から開回路に若しくは開回路から閉回路に切り替わる過渡応答時における、前記燃料極から前記固体高分子電解質膜を通り前記空気極へ透過する水素ガス当量以下に相当する量の前記犠牲剤を供給するものである請求項1から3までのいずれかに記載の燃料電池システム。
- 前記犠牲剤供給手段は、開回路時、又は、閉回路から開回路に若しくは開回路から閉回路に切り替わる過渡応答時に前記犠牲剤を供給するものである請求項1から4までのいずれかに記載の燃料電池システム。
- 前記犠牲剤供給手段は、閉回路時に前記犠牲剤を供給するものである請求項1から5までのいずれかに記載の燃料電池システム。
- 前記犠牲剤供給手段は、前記水素ガス当量に応じて、前記犠牲剤の供給量を増減させるものである請求項1から6までのいずれかに記載の燃料電池システム。
- 前記犠牲剤供給手段は、前記固体高分子型燃料電池の作動温度に連動させて、前記犠牲剤の供給量を増減させるものである請求項1から7までのいずれかに記載の燃料電池システム。
- 前記犠牲剤は、前記過酸化物又は前記過酸化物ラジカルとの反応性が前記固体高分子電解質膜及び/又は前記電極に含まれる触媒層内電解質より高いものである請求項1から8までのいずれかに記載の燃料電池システム。
- 前記犠牲剤は、前記固体高分子型燃料電池の作動温度において液体若しくは気体であり、又は、前記固体高分子型燃料電池の作動温度の水に対し、0.01wt%以上溶解させることができる有機物である請求項1から9までのいずれかに記載の燃料電池システム。
- 前記犠牲剤は、炭化水素類、アルコール類、カルボン酸類、アミノ酸類、アミノカルボン酸類、アミノスルホン酸類、糖類、ヒドロキシカルボン酸類、脂肪族アルデヒド類、及びテルペン類から選ばれる1種又は2種以上である請求項1から10までのいずれかに記載の燃料電池システム。
- 前記犠牲剤は、含硫黄有機化合物である請求項1から11までのいずれかに記載の燃料電池システム。
- 前記犠牲剤は、含酸素有機化合物である請求項1から12までのいずれかに記載の燃料電池システム。
- 前記含酸素有機化合物は、エーテル類、エステル類、ケトン類、及び、尿素類から選ばれる1種又は2種以上である請求項13に記載の燃料電池システム。
- 前記犠牲剤は、C2〜C8の1価アルコール、L−メントール、α−テルピネオール、酢酸、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、D−ソルビトール、D−マンニトール、DL−トレハロース、クエン酸、シュウ酸、アジピン酸、マロン酸、コハク酸、タウリン、グリシン、DL−アラニン、DL−トリプトファン、DL−グルタミン酸、DL−ヒスチジン、DL−メチオニン、CyDTA、NTA、ジメチルスルホキシド、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ジメチルスルホン、ジメチルスルファイド、ジメチルスルホキシド、ジメチルジスルファイド、アリルスルファイド、及び、スルホランから選ばれる1種又は2種以上である請求項1から14までのいずれかに記載の燃料電池システム。
- 前記犠牲剤は、尿素、アセトン、ジメトキシメタン、1,2ジメトキシエタン、1,2ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、炭酸テトラエチル、γブチロラクトン、二炭酸ジ−tブチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、酢酸エチル、及び酢酸ブチルから選ばれる1種又は2種以上である請求項1から15までのいずれかに記載の燃料電池システム。
- 固体高分子型燃料電池に水及び/若しくは水蒸気を供給し、並びに/又は、前記固体高分子型燃料電池から排出される水及び/若しくは水蒸気を回収するための加湿経路のいずれかに、自ら過酸化物又は過酸化物ラジカルと反応することによって、過酸化物を安定化させ又は過酸化物ラジカルを消滅させる機能を有する犠牲剤を供給する犠牲剤供給工程を備えた固体高分子型燃料電池の運転方法。
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