JP2006234310A - 蓄熱装置 - Google Patents

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明志 毛笠
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、熱媒流体の温度が比較的大幅に変動する場合でも、潜熱蓄熱材でその熱媒流体の熱を効率良く蓄熱して有効利用し得る蓄熱装置を提供する点にある。
【解決手段】 熱媒流体Hが流通する熱媒流路32と、熱媒流体Hの熱を蓄熱可能な潜熱蓄熱材34a,35aが充填された蓄熱部34,35と、潜熱蓄熱材34a,35aと加熱対象流体W,Cとの熱交換を行う熱交換部36,39とを備えた蓄熱装置10において、蓄熱部34,35として、融解点が互いに異なる潜熱蓄熱材34a,35aが充填された複数の蓄熱部34,35を備え、複数の蓄熱部34,35の夫々に対して熱交換部36,39を備えた。
【選択図】 図2

Description

本発明は、熱媒流体が流通する熱媒流路と、前記熱媒流体の熱を蓄熱可能な潜熱蓄熱材が充填された蓄熱部と、前記潜熱蓄熱材と加熱対象流体との熱交換を行う熱交換部とを備えた蓄熱装置及びそれを備えた熱供給システムに関する。
上記のような蓄熱装置は、集合住宅やホテル等で用いられる熱媒流体循環式熱供給システムにおいて、各住居若しくは各室等の各熱消費箇所に分散設置される形態で利用される場合がある。
即ち、このような熱媒流体循環式熱供給システムは、ヒートポンプなどの熱源機で加熱された比較的高温の熱媒流体を循環させ、各熱消費箇所に分散設置された蓄熱装置に、その循環する熱媒流体の保有熱を蓄熱させ、各熱消費箇所において、その蓄熱装置に蓄熱した熱を消費するように構成される(例えば、特許文献1を参照。)。
従来の蓄熱装置として、潜熱蓄熱材が充填された蓄熱部において、熱媒流路を流通する熱媒流体の熱を潜熱蓄熱材に蓄熱し、熱交換部において、潜熱蓄熱材と給湯用の給水や暖房用又は風呂追焚き用の循環水などの加熱対象流体との熱交換を行って、加熱対象流体を加熱するように構成されたものがある。
また、加熱対象流体として水を加熱して温水を生成する場合に、用途によって、その温水の加熱目標温度が異なる。例えば、給湯用では風呂の湯張り温度として40℃〜45℃程度、業務用の暖房用では60℃程度、家庭用の暖房用や風呂追焚き用では80℃程度の温水が標準的に用いられる。従って、上記のような潜熱蓄熱材を利用した蓄熱装置においては、利用する温水温度よりわずかに高い融解点を持つ潜熱蓄熱材を選択することにより潜熱蓄熱を利用した蓄熱が可能である。
特開2004−211962号公報
上記のような従来の蓄熱装置は、熱媒流体が水を主とするものである場合において、その熱媒流体の温度が例えば50℃から90℃の間で比較的大幅に変動することがあり、その大幅に温度変動する熱媒流体の熱を潜熱蓄熱材で効率良く蓄熱して有効利用することは困難であった。
例えば、ある融解点を有する一種類の潜熱蓄熱材を充填した蓄熱部を有する蓄熱装置では、熱媒流体の温度が大幅に変動することを想定して、熱媒流路に潜熱蓄熱材の融解点以下の温度の熱媒流体が供給された場合には、その熱媒流体の熱を潜熱蓄熱材の潜熱として蓄熱することができず、逆に潜熱蓄熱材の潜熱が熱媒流体側に放熱されてしまう場合がある。また、そのような低温の熱媒流体の熱を効率良く蓄熱するために、潜熱蓄熱材の融解点を低くした場合には、熱交換部において加熱対象流体を高温に加熱することができなくなり、その加熱対象流体を暖房用又は風呂追焚き用の循環水等の高温に加熱する必要があるものに有効利用することができなくなる。
また、上記のように熱媒流体の温度が大幅に変動した場合でもその熱を効率良く蓄熱するために、互いに融解点が異なる複数種の潜熱蓄熱材を混合したものを蓄熱部に充填することが考えられるが、一般には混合された潜熱蓄熱材は、比重(融解時、凝固時)、相互の融解度、その他の物性等が異なるため、均一な混合状態を維持することができず、安定して蓄放熱を行うことは困難である。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱媒流体の温度が比較的大幅に変動する場合でも、潜熱蓄熱材でその熱媒流体の熱を効率良く蓄熱して有効利用し得る蓄熱装置及びそれを備えた熱供給システムを提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係る蓄熱装置は、熱媒流体が流通する熱媒流路と、前記熱媒流体の熱を蓄熱可能な潜熱蓄熱材が充填された蓄熱部と、前記潜熱蓄熱材と加熱対象流体との熱交換を行う熱交換部とを備えた蓄熱装置であって、その第1特徴構成は、前記蓄熱部として、融解点が互いに異なる前記潜熱蓄熱材が充填された複数の蓄熱部を備え、
前記複数の蓄熱部の夫々に対して前記熱交換部を備えた点にある。
上記第1特徴構成によれば、融解点が互いに異なる潜熱蓄熱材が充填された複数の蓄熱部を備えることで、熱媒流路に供給される熱媒流体の温度が大幅に変動する場合でも、その熱媒流体の熱を夫々の潜熱蓄熱材で効率良く蓄熱し有効利用することができる。
即ち、熱媒流路に夫々の潜熱蓄熱材の融解点よりも高温の熱媒流体が供給された場合には、その熱媒流体の熱を、夫々の潜熱蓄熱材の潜熱及び顕熱として比較的大量に蓄熱することができ、一方、熱媒流路に一部の潜熱蓄熱材の融解点よりも低温の熱媒流体が供給された場合でも、その熱媒流体の熱を、その熱媒流体の温度よりも低い融解点を有する潜熱蓄熱材の潜熱及び顕熱として効率良く蓄熱することができる。
更に、複数の蓄熱部の夫々に対して熱交換部を備えることで、複数の用途の加熱対象流体を、夫々の加熱目標温度よりも若干高い融解点を有する潜熱蓄熱材の放熱により、効率良くその加熱目標温度に加熱することができ、夫々の潜熱蓄熱材に蓄熱された熱を有効利用することができる。
即ち、加熱対象流体の加熱目標温度が比較的高い用途に対しては、比較的高い融解点を有する潜熱蓄熱材の放熱により加熱対象流体を比較的大量にその加熱目標温度に加熱することができ、一方、加熱対象流体の加熱目標温度が比較的低い用途に対しては、例えば高融解点の潜熱蓄熱材の潜熱が消費し尽くされた場合でも、比較的低い融解点を有する潜熱蓄熱材の放熱により、加熱対象流体を比較的大量にその加熱目標温度に加熱することができる。
本発明に係る蓄熱装置の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記熱媒流路が、前記複数の蓄熱部を仕切る形態で構成され、
前記熱媒流路に、前記熱媒流体を貯留する熱媒貯留部が形成されている点にある。
上記第2特徴構成によれば、熱媒流路を複数の蓄熱部を仕切る形態で構成することで、単一の槽を熱媒流路により複数に仕切って複数の蓄熱部を構成して装置構成を一体的なものとして、装置の小型化及び低コスト化を図ることができる。
更に、熱媒流路に熱媒貯留部を形成し、潜熱蓄熱材における潜熱及び顕熱としての蓄熱と共に、上記熱媒貯留部に熱媒流体を貯留することで、熱媒流体の保有熱(顕熱)をも併せて蓄熱に用いることができる。
また、このように熱媒流体の保有熱を蓄熱すれば、熱交換部における熱交換を迅速に行うことが可能になる。即ち、熱交換部で潜熱蓄熱材からの放熱により加熱対象流体を加熱する場合において、潜熱蓄熱材での伝熱は、固体の潜熱蓄熱材中の伝導、及び、融解して液体になった潜熱蓄熱材中での伝導と対流を介することになるが、その対流を強制対流とすることは困難なため、総括の熱伝達係数を大きく取ることができない。そこで、熱交換部において、伝熱速度の向上が要求される用途には、強制対流伝熱の可能な熱媒貯留部に貯留しておいた熱媒流体との直接的熱交換を行うように構成することができる。もちろん、熱媒貯留部における熱媒流体の温度低下を補うべく、潜熱蓄熱材から熱媒流体への熱伝達を配慮することも可能である。
本発明に係る蓄熱装置の第3特徴構成は、上記第1乃至第2特徴構成の何れかに加えて、前記複数の蓄熱部として、高温側潜熱蓄熱材が充填された高温側蓄熱部と、前記高温側潜熱蓄熱材よりも融解点が低い低温側潜熱蓄熱材が充填された低温側蓄熱部とを備え、
前記高温側蓄熱部に前記熱交換部としての高温側熱交換部が設けられ、前記低温側蓄熱部に前記熱交換部としての低温側熱交換部が設けられている点にある。
上記第3特徴構成によれば、熱媒流体の温度がある温度範囲で変動する場合を想定した場合に、上記高温側潜熱蓄熱材の融解点をその温度範囲の上限温度よりも若干低めに設定し、一方、上記低温側潜熱蓄熱材の融解点をその温度範囲の下限温度付近に設定することで、その温度範囲で温度が変動する熱媒流体の熱を、高温側潜熱蓄熱材及び低温側潜熱蓄熱材の潜熱及び顕熱として効率良く蓄熱することができる。更には、高温側熱交換部において加熱対象流体を比較的高温に加熱することができ、一方、例えば高温側潜熱蓄熱材の潜熱が消費し尽くされた場合でも、低温側熱交換部において加熱対象流体を比較的大量に少なくとも低温側潜熱蓄熱材の融解点よりも若干低めに加熱することができる。
本発明に係る蓄熱装置の第4特徴構成は、上記第3特徴構成に加えて、前記低温側熱交換部が、前記低温側潜熱蓄熱材と前記加熱対象流体としての給湯用の給水との間で熱交換を行うように構成され、
前記高温側熱交換部が、前記高温側潜熱蓄熱材と前記加熱対象流体としての暖房用又は風呂追焚き用の循環水との間で熱交換を行うように構成されている点にある。
例えば、給水を加熱して温水を生成する給湯の用途では、その給水の加熱目標温度は例えば40℃〜45℃というように比較的低いが、風呂の湯張りのように短時間に大量の温水が必要となる場合がある。そこで、上記第4特徴構成によれば、上記低温側熱交換部において、低温側潜熱蓄熱材の放熱により給湯用の給水を加熱すれば、比較的低温且つ大量の給湯用の温水を生成することができる。
例えば、暖房機器又は風呂との間で循環する循環水を加熱する暖房又は風呂の追焚きの用途では、その循環水の加熱目標温度は、例えば、業務用の暖房では60℃程度、家庭用の暖房や風呂追焚きでは80℃程度が標準的であるというように、比較的高い。そこで、上記高温側熱交換部において、高温側潜熱蓄熱材の放熱により暖房用又は風呂追焚き用の循環水を加熱すれば、その循環水を効率良く高い加熱目標温度に加熱することができる。
本発明に係る蓄熱装置の第5特徴構成は、上記第1乃至第4特徴構成の何れかに加えて、前記熱媒流体を前記熱媒流路に循環可能な熱媒循環手段を備えた点にある。
上記第5特徴構成によれば、熱媒流体を熱媒流路に循環させることで、比較的高い融解点を有する潜熱蓄熱材の蓄熱を、その循環する熱媒流体により、比較的低い融解点を有する潜熱蓄熱材が充填された蓄熱部に対して設けられた熱交換部に搬送して有効利用することができる。
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
尚、図1は、蓄熱装置を利用した熱供給システムの概念図であり、図2は、第1実施形態の蓄熱装置の概略構成図、図3は、第2実施形態の蓄熱装置の概略構成図である。
図1に示す熱供給システムは、集合住宅5にある各住居1(熱消費箇所の一例)に対して熱を供給するシステムであり、ガスエンジン発電機や燃料電池等の電力EPと共に熱を発生する熱電併給装置50(熱源機の一例)と、その熱電併給装置50が発生した熱により80℃程度と高温に加熱された熱媒水H(熱媒流体の一例)を各住居1に渡って循環させる循環配管2と、各住居1の共有部1bに分散設置された蓄熱装置10とを備え、各住居1において循環配管2を循環する熱媒水Hの熱が蓄熱装置10に一次蓄熱され、その蓄熱装置10に蓄熱された熱が各住居1の居住部1aにおいて給湯用A1、暖房用B1、風呂追焚き用B2として消費されるように構成されている。
更に、この熱供給システムには、上記熱電併給装置50の未利用排ガスEGの熱を回収して各住居1に供給される給水W(水道水)を予熱する予熱装置51が設けられており、よって、この予熱装置51により18℃程度に予熱された給水Wが、適宜貯槽タンク(図示せず)に一次貯留された後に、給水配管3を通じて各住居1側に供給されることになる。
尚、上記熱電併給装置50や予熱装置51において、熱媒水Hや給水Wを加熱するための熱源機の構成としては、例えばエンジン排熱を利用した熱源機やヒートポンプシステム等の公知の構成が採用されている。
上記熱供給システムの循環配管2は、シングルループ配管(単管配管)であり、熱電併給装置50側から各住居1側に温水を供給するための往配管と各住居1側から熱電併給装置50側に温水が戻るための復配管とを個別に設ける複管配管を用いた場合と比較して、半分の配管で済むためコストメリットがある。しかしながら、この循環配管2では、熱媒水Hの保有熱が、熱需要がある住居1毎に上流側から順次抜き出されていく形態となるので、下流側の住居1に行くに従って温度が低下してしまうことになり、更には、熱需要の有無多寡で熱媒水Hの温度が変動する場合がある。
そこで、各住居1側に分散設置された蓄熱装置10は、このように熱媒水Hの温度が変動する場合を想定して、熱媒水Hの温度が十分に高いときに蓄熱して、住居1の熱需要に備えるように構成されており、以下に、その蓄熱装置10の第1実施形態及び第2実施形態の構成について説明する。
〔第1実施形態〕
図2に示すように、第1実施形態の蓄熱装置10は、循環配管2から供給された熱媒水Hが流通する熱媒流路32と、熱媒水Hの熱を蓄熱可能な潜熱蓄熱材34a,35aが充填された蓄熱部34,35と、給湯用A1の給水Wや暖房用B1又は風呂追焚き用B2の循環水Cなどの加熱対象流体を潜熱蓄熱材34a,35aと熱交換により加熱する熱交換部36,39とを備えて構成されている。
即ち、この蓄熱装置10において、蓄熱部34,35に熱媒水Hの熱を蓄熱する場合には、ポンプ19を作動して、循環配管2から開閉弁13及び逆止弁15を通じて熱媒流路32に熱媒水Hを供給すると共に、熱媒流路32から排出された熱媒水Hを三方弁17、逆止弁16及び開閉弁14を通じて循環配管2に戻すように熱媒水Hが流通される。
すると、潜熱蓄熱材34a,35aが充填された蓄熱部34,35においては、熱媒流路32を流通する熱媒水Hの熱が、潜熱蓄熱材34a,35aの顕熱として蓄積されると共に、その潜熱蓄熱材34a,35aが融解することで潜熱として蓄積されることになる。
上記潜熱蓄熱材34a,35aとしては、公知の適当な融解点を有する潜熱蓄熱材を利用することができるが、特に、パラフィン系のものを利用することが適当である。パラフィン系の潜熱蓄熱材は、その分子量を限定することにより、適当な融解点を選定することが可能である。分子量の大きいパラフィンは高融点、小さいものは低融点となる。
この蓄熱装置10は、蓄熱部34,35として、融解点が互いに異なる潜熱蓄熱材34a,35aが充填された複数の蓄熱部34,35を備え、その複数の蓄熱部34,35の夫々に対して熱交換部36,39が設けられている。
複数の蓄熱部34,35としては、例えば85°程度の融解点を有する高温側潜熱蓄熱材34aが充填された高温側蓄熱部34と、その高温側潜熱蓄熱材34aよりも融解点が低く例えば50℃程度の融解点を有する低温側潜熱蓄熱材35aが充填された低温側蓄熱部35とが設けられている。
即ち、熱媒流路32に高温側潜熱蓄熱材34aの融解点よりも高温(例えば90℃程度)の熱媒水Hが供給された場合には、その熱媒水Hの熱が、高温側潜熱蓄熱材34a及び低温側潜熱蓄熱材35aの夫々の潜熱及び顕熱として比較的大量に蓄熱されることになる。
一方、熱媒流路32に高温側潜熱蓄熱材34aの融解点よりも低温の熱媒水Hが供給された場合でも、その熱媒水Hの温度が低温側潜熱蓄熱材35aの融解点よりも高温(例えば60℃程度)であれば、その熱媒水Hの熱が、低温側潜熱蓄熱材35aの潜熱及び顕熱として効率良く蓄熱されることになる。
更に、熱媒流路32は、円形断面を有する蓄熱タンク31内の空間において、複数の蓄熱部34,35を仕切る形態で上部から下部に渡って形成されている。
具体的には、蓄熱タンク31内において、高温側蓄熱部34が中心側に柱状に形成され、熱媒流路32がその高温側蓄熱部34を外囲する筒状に形成され、更に、低温側蓄熱部35が熱媒流路32を外囲する筒状に形成されている。即ち、熱媒流路32の内側の筒状の伝熱面が熱媒水Hと高温側潜熱蓄熱材34aとの熱交換に利用され、熱媒流路32の外側の筒状の伝熱面が熱媒水Hと低温側潜熱蓄熱材35aとの熱交換に利用されることになる。
このように複数の蓄熱部34,35が一の蓄熱タンク31内に一体に構成されているので、夫々の蓄熱部34,35を別体に構成する場合と比較して、小型化及び低コスト化が図られている。
この熱交換部36,39としては、高温側蓄熱部34に対して高温側熱交換部36が設けられ、低温側蓄熱部39に対して低温側熱交換部39が設けられている。
上記高温側熱交換部36は、高温側蓄熱部34内に設けられ、熱媒流路32の内側に接触しながら螺旋状に形成された伝熱管で構成されており、高温側潜熱蓄熱材34aと加熱対象流体としての暖房用B1又は風呂追焚き用B2の循環水Cとの間で熱交換を行うように構成されている。
詳しくは、上記高温側熱交換部36として、上方側に配置され暖房用B1の循環水C1を加熱するための暖房用熱交換部37と、その暖房用熱交換部37よりも下方に配置され風呂追焚き用B2の循環水C2を加熱するために風呂追焚き用熱交換部38が設けられている。
尚、放熱器で循環水C1の熱を放熱させて室内を暖める通常の暖房以外に、浴室を暖めて衣類や浴室を乾燥する乾燥も、上記暖房用B1の循環水C1を用いることができることから、一括して暖房として取り扱う。
そして、暖房用B1の循環水C1を加熱する場合には、循環ポンプ26を作動させて、暖房用熱交換部37にその循環水C1を循環させることで、主に高温側潜熱蓄熱材34aの放熱により循環水C1を比較的高温に加熱して、居住部1aに設けられた放熱器42により循環水C1の熱を放熱させることで暖房を行うことができる。
一方、風呂追焚き用B2の循環水C2を加熱する場合には、循環ポンプ27を作動させて、風呂追焚き用熱交換部38に、風呂43に溜められている水を循環水C2として循環させることで、主に高温側潜熱蓄熱材34aの放熱によりその循環水C2を比較的高温に加熱して、風呂の追焚きを行うことができる。尚、上記のように風呂43に溜められている水は、風呂追焚き用熱交換部38において直接的に加熱するのではなく、上記暖房用熱交換部37で加熱される循環水C1との間で熱交換を行う形態で間接的に加熱しても構わない。
一方、上記低温側熱交換部39は、低温側蓄熱部35内に設けられ、熱媒流路32の外側に接触しながら螺旋状態に形成された伝熱管で構成されており、低温側潜熱蓄熱材35aと加熱対象流体としての給湯用A1の給水Wとの熱交換を行うように構成されている。
そして、給湯用A1の給水Wを加熱する場合には、居住部1aに設けられた給湯栓41が開状態とされて、低温側熱交換部39に給水配管3から給水Wが供給されることで、主に低温側潜熱蓄熱材35aの放熱により給水Wを加熱することができ、その加熱された給水Wに対して混合弁25により適宜低温の給水Wを混合して設定温度とした後に給湯栓41に供給することができる。
よって、この低温側蓄熱部35において低温度の熱を大量蓄熱することができるので、例えば、風呂の湯張りのように短時間に大量放熱が必要になる給湯用A1に給水Wを加熱することができる。
また、高温側潜熱蓄熱材34aの潜熱と顕熱(高温側潜熱蓄熱材34aの融解点から低温側潜熱蓄熱材35aの融解点までの間の温度で高温側潜熱蓄熱材34aが保有する顕熱)が消費し尽くされた場合にも、低温側潜熱蓄熱材35aが凝固して潜熱を放出し、給湯用A1の給水の加熱温度を維持できる。
また、この蓄熱装置10においては、ポンプ19を作動させた状態で、三方弁17を熱媒流路32から排出された熱媒水Hを再度熱媒流路32に供給するように三方弁17を切り換えることで、高温側潜熱蓄熱材35aの保有熱をその循環する熱媒水Hを通じて低温側熱交換部39に搬送して、給湯用A1の給水Wの加熱に利用することができる。即ち、上記三方弁17及びポンプ19が熱媒水Hを熱媒流路32に循環可能な熱媒循環手段として機能することになる。
上記夫々の熱交換部36,39により、給湯用A1、暖房用B1、及び、風呂追焚き用B2の三種の用途において、加熱対象流体W,Cが分けられて互いの混合が生じることがないので、当然、飲用の可能性のある給湯用A1に対して、不凍液の混合がある暖房用B1の循環水C1や、入浴剤・洗剤の混じる風呂追焚き用B2の循環水C2が混入されることはない。
〔第2実施形態〕
図3に示すように、第2実施形態の蓄熱装置10は、上記第1実施形態と同様の構成については説明を割愛するが、熱媒流路32に、熱媒水Hを貯留する熱媒貯留部32aが形成されている。
即ち、蓄熱タンク31内において、熱媒流路32は熱媒水Hが適切な量貯留される空間として形成された熱媒貯留部32aとして形成されており、その熱媒貯留部32aに熱媒水Hが貯留されることで、熱媒水Hの保有熱が適切に蓄熱されることになる。
更に、高温側熱交換部36は、高温側蓄熱部34に内側を接触させる形態でその熱媒貯留部32a内に設けられているので、暖房用B1の循環水C1及び風呂追焚き用B2の循環水C2は、その熱媒貯留部32aに貯留されている熱媒水Hとの間で、強制対流による高い熱伝達率を利用して熱交換することになり、熱媒水Hの保有熱をも利用して迅速に加熱されることになる。
即ち、この第2実施形態の蓄熱装置10は、上記第1実施形態のものと比較して、潜熱蓄熱材蓄34a,35aの保有熱よりも熱媒水Hの保有熱をより直接利用するものであるといえ、熱媒水Hの保有熱が多い(流量が多いあるいは温度が平均して高い)場合に有効である。
〔別実施形態〕
(1) 上記実施の形態では、循環配管2を循環して熱を搬送するための熱媒流体として、水である熱媒水Hを利用したが、別に、熱媒流体としては、その熱搬送能力の増大手段として潜熱蓄熱材を懸濁した潜熱蓄熱材スラリーや、潜熱蓄熱材のマイクロカプセルを含有する流体等の別の流体を利用することができる。もちろん、熱媒流体において潜熱蓄熱材やマイクロカプセルの分離を起こさないように、例えば撹拌や流動を必要に応じて行うことが望ましい。
また、熱媒流体が、水以外の例えば上記のような潜熱蓄熱材やその他の摩擦低減材や不凍液等を含む場合には、蓄熱タンク31内でその熱媒流体が給湯用A1の給水Wに混入されないように蓄熱装置を設計すべきであるが、この点、低温側熱交換部39において、殆ど圧力のかからない潜熱蓄熱材35aと給湯用A1の給水Wとの間で熱交換を行う構成は、低温側熱交換部39の伝熱管が腐食等で万一穴が開くことがあっても、給湯用A1の給水Wに潜熱蓄熱材35aや熱媒水Hが混入することが防止される。
(2) 上記蓄熱タンク31としては、耐圧容器とする必要及び伝熱面積を縮小して放熱損失を少なくする必要から、円形断面を有するものを利用することが合理的ではあるが、別の形状のものを利用しても構わない。
また、熱交換部36,39としては、銅管等の伝熱管を螺旋状に巻いたものを利用したが、例えば、蓄熱部34,35内に鉛直方向に配置されたU字状の伝熱管のように、別の形状の伝熱管を利用することもできる。更に、熱交換部36,39の伝熱面積の拡大のためには、フィン付き管を利用することが効果的であるが、ハイフィンチューブを用いる場合には、U字状の伝熱管を利用することが好適になる。
本発明に係る蓄熱装置は、熱媒流体の温度が比較的大幅に変動する場合でも、潜熱蓄熱材でその熱媒流体の熱を効率良く蓄熱して有効利用し得る蓄熱装置として利用可能で、特に、集合住宅やホテル等で用いられる熱媒流体循環式熱供給システムにおいて、各住居若しくは各室等の各熱消費箇所に分散設置される形態で有効に利用される。
蓄熱装置を利用した熱供給システムの概念図 第1実施形態の蓄熱装置の概略構成図 第2実施形態の蓄熱装置の概略構成図
符号の説明
1:住居
10:蓄熱装置
32熱媒流路
32a:熱媒貯留部
34:高温側蓄熱部
34a:高温側潜熱蓄熱材
35:低温側蓄熱部
35a:低温側潜熱蓄熱材
36:高温側熱交換部
37:暖房用熱交換部
38:風呂追焚き用熱交換部
39:低温側熱交換部
A1:給湯用
B1:暖房用
B2:風呂追焚き用
C:循環水
H:熱媒水(熱媒流体)
W:給水

Claims (5)

  1. 熱媒流体が流通する熱媒流路と、前記熱媒流体の熱を蓄熱可能な潜熱蓄熱材が充填された蓄熱部と、前記潜熱蓄熱材と加熱対象流体との熱交換を行う熱交換部とを備えた蓄熱装置であって、
    前記蓄熱部として、融解点が互いに異なる前記潜熱蓄熱材が充填された複数の蓄熱部を備え、
    前記複数の蓄熱部の夫々に対して前記熱交換部を備えた蓄熱装置。
  2. 前記熱媒流路が、前記複数の蓄熱部を仕切る形態で構成され、
    前記熱媒流路に、前記熱媒流体を貯留する熱媒貯留部が形成されている請求項1に記載の蓄熱装置。
  3. 前記複数の蓄熱部として、高温側潜熱蓄熱材が充填された高温側蓄熱部と、前記高温側潜熱蓄熱材よりも融解点が低い低温側潜熱蓄熱材が充填された低温側蓄熱部とを備え、
    前記高温側蓄熱部に前記熱交換部としての高温側熱交換部が設けられ、前記低温側蓄熱部に前記熱交換部としての低温側熱交換部が設けられている請求項1又は2に記載の蓄熱装置。
  4. 前記低温側熱交換部が、前記低温側潜熱蓄熱材と前記加熱対象流体としての給湯用の給水との間で熱交換を行うように構成され、
    前記高温側熱交換部が、前記高温側潜熱蓄熱材と前記加熱対象流体としての暖房用又は風呂追焚き用の循環水との間で熱交換を行うように構成されている請求項3に記載の蓄熱装置。
  5. 前記熱媒流体を前記熱媒流路に循環可能な熱媒循環手段を備えた請求項1〜4の何れか一項に記載の蓄熱装置。
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