JP2006231233A - 粒状体選別装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 照明手段による異なる方向からの照明光量に差が生じることを阻止して、受光手段にて計測される受光量が適正光量範囲を外れているか否かを適切に判別することが可能となる粒状体選別装置を提供する。
【解決手段】 外周面が曲面である粒状体群を計測対象領域を通過させながら一層状態で移送して、粒状体の大きさよりも小さい範囲を単位受光対象範囲とする分解能状態で計測対象領域からの検出光を受光して受光量を計測する受光手段5の受光情報に基づいて、単位受光対象範囲毎に受光量を評価して粒状体を選別するように構成され、照明手段4が、計測対象領域の経路横幅方向に沿う方向視において、受光手段5の光軸に対して粒状体移送方向の上手側及び下手側の夫々に設けられる照明部のうちのいずれか一方がライン状光源にて構成され、他方が光反射体にて構成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば米粒や球状又は円筒形状の樹脂ペレット等、外周面に曲面を有する粒状体群を計測対象領域を通過させながら一層状態で且つ経路横幅方向に沿って複数列状に並ぶ横拡がり状態で移送する対象物移送手段と、粒状体の大きさよりも小さい範囲を単位受光対象範囲とする分解能状態で前記計測対象領域からの光のうち粒状体群の移送方向と交差する方向の検出光を受光する受光手段と、前記計測対象領域における前記経路横幅方向での全幅又はほぼ全幅を照明する照明手段と、前記受光手段の受光情報に基づいて前記単位受光対象範囲毎に受光量を評価して粒状体を選別する評価選別手段とが設けられ、前記照明手段が、前記計測対象領域の前記経路横幅方向に沿う方向視において、前記受光手段の前記検出光を受光する光軸に対して粒状体移送方向の上手側及び下手側の夫々に照明部を備えて、それらの照明部により前記計測対象領域を照明するように構成されている粒状体選別装置に関する。
上記構成の粒状体選別装置において、従来では、外周面が曲面である粒状体群として米粒群を評価して選別する構成のものにおいて、前記照明手段として次のように構成されたものがあった。すなわち、前記各照明部の夫々が、前記計測対象領域を直接照明する一対のライン状光源にて構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。因みに、前記評価選別手段は、前記受光手段における前記単位受光対象範囲毎に計測される光の受光量が適正光量範囲を外れていなければ正常物と判別し、前記受光量が適正光量範囲を外れていると異常物として判別する構成となっていた。
説明を加えると、照明手段によって粒状体群を照明しながら受光手段にて粒状体の大きさよりも小さい範囲を単位受光対象範囲とする分解能状態で前記計測対象領域からの光を受光する場合、粒状体群は外周面が曲面であるから、照明手段として1つのライン状光源を備えて、その1つのライン状光源から発光する光だけで直接照明を行うようにすると、粒状体群の外周面のうちの一部の領域が照明光に対して陰になる部分が発生して照明ムラが発生するおそれがある。このような照明ムラが発生すると、例えば適正に照明されて充分な光量があると受光手段にて計測される受光量が適正光量範囲に入る粒状体であっても、受光手段における単位受光対象範囲が、照明ムラに起因して照明光に対して陰になる部分を計測すると、光量が不足して受光手段にて計測される受光量が適正光量範囲から外れているとして評価選別手段により誤判別されるおそれがある。そこで、上述したような照明ムラを無くすために、上述した如く、前記受光手段の前記検出光を受光する光軸に対して粒状体移送方向の上手側及び下手側の夫々にライン状光源を備えて、それらのライン状光源により互いに異なる複数の照明方向から夫々前記計測対象領域を直接照明するようにしているのである。
又、上記特許文献1に記載される粒状体選別装置では、経年変化に起因して照明手段の照明光量が変動すること等に対しては、前記受光手段の受光情報に基づいて前記適正光量範囲を補正することにより装置の較正を行って適切な処理が行えるようにしている。
特開2001−272353号公報
上記従来構成においては、照明手段を構成する複数のライン状光源が夫々新たなに設置されて適正な光量にて照明を行っているときには良好に処理を行うことができる。又、一対のライン状光源が経年変化により同じような減衰具合で光量が減少しているような場合には、上記したような受光手段の受光情報に基づいて適正光量範囲を補正する処理により装置の較正を行って適切な処理を行うことが可能である。
しかしながら、長期間の使用に伴ってライン状光源の特性が劣化して光量が減少する場合に各ライン状光源の夫々の劣化の仕方が互いに異なることがある。そうすると、例えば、一方のライン状光源により照明される粒状体群の外面部分と一対のライン状光源のうちの他方のライン状光源により照明される粒状体群の外面部分とでは照明される光量に差が生じることになる。特に、ライン状光源として蛍光灯を用いる場合には、経年変化によって光量が劣化する場合、長手方向の両側端部付近で特に劣化が激しく光量の減衰が多くなる場合があり、このような劣化の仕方には個体差があり常に同じであるとは限らない。
又、粒状体群は対象物移送手段によって計測対象領域を通過するように移送されるが、受光手段は粒状体の大きさよりも小さい範囲を単位受光対象範囲とする分解能状態で計測対象領域からの光を受光する構成であるから、例えば、図18に示すように、粒状体群kが計測対象領域を上方から下方に向けて通過するように構成され、計測対象領域に位置しているときの粒状体の移送方向上手側箇所から斜め下方に向けて照明する上手側のライン状光源4Cと、計測対象領域に位置しているときの粒状体kの移送方向下手側箇所から斜め上方に向けて照明する下手側のライン状光源4Dとを備えて受光手段5にて受光するときに、単位受光対象範囲が粒状体群における移送方向(図では上下方向)の中心位置よりも移送方向下手側箇所に対応する状態となったり(図18(イ)参照)、あるいは、単位受光対象範囲が粒状体群における移送方向の中心位置よりも移送方向上手側箇所に対応する状態(図18(ロ)参照)になることがある。
そのとき、例えば、前記上手側のライン状光源4Cが前記下手側のライン状光源4Dよりも光量の減衰量が大きい場合であれば、粒状体の移送方向下手側外面部分を照明する光量が粒状体の移送方向上手側外面部分を照明する光量よりも大になる。そのような状態で、図18(イ)に示すように粒状体の移送方向下手側外面部分を計測する場合と、図18(ロ)に示すように粒状体の移送方向上手側外面部分を計測する場合とでは、同じ粒状体であっても受光手段により得られる受光量が異なる値となる。前記下手側のライン状光源4Dが前記上手側のライン状光源4Cよりも光量の減衰量が大きい場合であっても同様の問題がある。
このように、複数のライン状光源の劣化の仕方が互いに異なる場合には、受光手段にて受光するときの粒状体群の移送方向での位置の変化により、同一の粒状体であっても受光手段により得られる受光量が異なる値になり、受光手段の受光情報に基づく適正な評価判別処理を行えないものとなる不利があった。
以下、本出願人による測定データを参照しながら説明を加える。
この測定データは、特許文献1にて記載されるような構成を用いて測定したものである。すなわち、図15に示すように、白色であって且つ光を拡散させる表面を持つ円柱状の対象物tを計測対象領域Jを通過するように移送(図に示す例では上方から下方に向かうように移送)させ、蛍光灯からなるライン状光源4C,4Dを一対備えて互いに異なる方向から計測対象領域Jに位置する対象物tを照明して、複数の単位受光対象範囲に対応して設けられる複数の受光素子(図示せず)及び広い範囲の領域からの光を集光して小さい領域内に並んで設けられる前記複数の受光素子上に導く集光用の光学系(図示せず)を有するCCDカメラからなる受光手段5を備え、その受光手段5にて対象物tからの光を受光する構成である。
図16には、ライン状光源における長手方向すなわち計測対象領域の経路横幅方向での位置の変化に対する光量の変化(配光特性)を示している。そのうちラインL1はライン状光源として新しい蛍光灯を用いた場合の配光特性であり、ラインL2は長期間使用して劣化している古い蛍光灯を用いた場合の配光特性を示している。この図は蛍光灯における特に長手方向の端部付近で光量が減衰している状態を示している。
図17には、均一な拡散表面をもつ対象物が上方から下方に向かい計測対象領域を通過するように移送されるときの受光手段(CCDカメラ)における特定の受光部における時間の変化に対する受光量の変化を示している。特に、このデータは、受光手段5における複数の受光素子のうち、前記古い蛍光灯が光量減衰している箇所Qに相当する受光素子の計測データである。そして、図17のラインL3とラインL4は同一の対象物を計測したときのデータであり、そのうち、ラインL3は、一対のライン状光源として共に新しいものを使用して計測を行ったものであり、ラインL4は、前記上手側のライン状光源として新しい蛍光灯を使用し、前記下手側のライン状光源として光量が減衰している古い蛍光灯を使用して計測を行ったものである。すなわち、図17に示す受光量のデータは、図において左側から右側に向けて時間の経過に伴って変化するものであり、しかも、時間の経過と共に、前記単位受光対象範囲が対象物の移送方向の中心位置よりも移送方向下手側を計測する状態から移送方向上手側を計測する状態に変化するように順次計測を行った結果を示している。
光源が一定で対象物の表面が均一な拡散表面であれば、受光手段による受光量は光源と対象物の表面と受光手段のなす角度で決まる。これはランベルトの余弦則として一般に認識されていることである。従って、上下2つの光源の光量が等しければ、理想的には、図17のグラフは移送方向上手側と移送方向下手側とが左右で対称な形になる。図17のラインL3がほぼこの条件を満たしており、これは、対象物が上方から下方に向かい計測対象領域を通過するように移送される場合に、移送方向上手側と移送方向下手側とで計測結果(光量)に差が出ないことを意味する。
一方、図17のラインL4は、ラインL3に比較してグラフの右側、つまり、新しい蛍光灯が対応する移送方向上手側では差が少ないが、グラフの左側、つまり、古い蛍光灯が対応する移送方向下手側では差が大きくなっている。このことは、対象物が計測対象領域を通過する際に、対象物は均一であるにもかかわらず移送方向上手側と移送方向下手側とで計測結果が異なってしまうことを意味する。この結果に基づいて従来より更に精度の良い良否の判定を行う場合、従来よりも正確な判定を行うためには、受光手段における前記単位受光対象範囲が対象物の移送方向上手側を対象とする場合と移送方向下手側を対象とする場合との夫々に対応させて互いに異なった判定基準を設定する必要があり、評価選別手段による処理が極めて複雑になる不利がある。
本発明の目的は、評価選別手段による処理構成を複雑にすることなく、照明手段による異なる方向からの照明光量に差が生じることを阻止して、受光手段の受光情報に基づいて適正に評価判別することが可能となる粒状体選別装置を提供する点にある。
本発明に係る粒状体選別装置は、外周面が曲面である粒状体群を計測対象領域を通過させながら一層状態で且つ経路横幅方向に沿って複数列状に並ぶ横拡がり状態で移送する対象物移送手段と、粒状体の大きさよりも小さい範囲を単位受光対象範囲とする分解能状態で前記計測対象領域からの光のうち粒状体群の移送方向と交差する方向の検出光を受光する受光手段と、前記計測対象領域における前記経路横幅方向での全幅又はほぼ全幅を照明する照明手段と、前記受光手段の受光情報に基づいて前記単位受光対象範囲毎に受光量を評価して粒状体を選別する評価選別手段とが設けられ、前記照明手段が、前記計測対象領域の前記経路横幅方向に沿う方向視において、前記受光手段の前記検出光を受光する光軸に対して粒状体移送方向の上手側及び下手側の夫々に照明部を備えて、それらの照明部により前記計測対象領域を照明するように構成されているものであって、その第1特徴構成は、前記照明手段が、前記粒状体移送方向の上手側の照明部及び前記粒状体移送方向の下手側の照明部のうちのいずれか一方を、前記計測対象領域を直接照明するライン状光源とし、他方を、前記ライン状光源が発した光を反射してその反射した光により前記計測対象領域を照明する光反射体とするように構成されている点にある。
第1特徴構成によれば、前記ライン状光源が計測対象領域を経路横幅方向の全幅又はほぼ全幅にわたって直接照明する。一方、前記光反射体が前記ライン状光源が発した光を反射してその反射した光により前記ライン状光源による照明方向とは異なる照明方向から計測対象領域を経路横幅方向の全幅又はほぼ全幅にわたって照明するのである。つまり、計測対象領域に位置する粒状体群に対して夫々異なる方向からライン状光源と光反射体とにより各別に照明するようにしているので、外周面が曲面である粒状体群であっても照明ムラのない状態で良好に照明を行うことができる。
又、前記光反射体は、ライン状光源からの光を反射させるものであるから自ら発光する必要はなくライン状光源に比べて構成が簡素であり、しかも、長期間使用しても故障するおそれは少ないから、上記構成によれば、装置全体としての故障発生率を低いものにして装置の信頼性を向上することも可能となる。
前記ライン状光源は装置の使用に伴う経年変化により劣化して発光量が減少することがあるが、光反射体にて反射して粒状体群を照明する光量も同じ量だけ減少することになるから、計測対象領域に位置する粒状体群は夫々異なる方向から常に同じ又はほぼ同じ光量により照明することが可能となる。そうすると、粒状体群を照明する照明光量は受光手段の計測対象となる粒状体の外周面のどの領域においても同じ又はほぼ同じであるから、受光手段が、前記単位受光対象範囲として粒状体における移送方向上手側の箇所を計測している場合であっても、移送方向下手側の箇所を計測している場合であっても、受光する光量には差が出ないことになる。その結果、例えば、受光手段における前記単位受光対象範囲が対象物の移送方向上手側を対象とする場合と移送方向下手側を対象とする場合との夫々に対応させて互いに異なった判定基準を設定する等、評価選別手段の処理構成を複雑にしなくても、受光手段にて計測される受光量に基づいて適正に評価選別することが可能となる。
従って、評価選別手段による処理構成を複雑にすることなく、照明手段による異なる方向からの照明光量に差が生じることを阻止して、受光手段の受光情報に基づいて適正に評価選別することが可能となる粒状体選別装置を提供できるに至った。
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記光反射体の反射面が鏡面にて構成されている点にある。
第2特徴構成によれば、光反射体の反射面が鏡面にて構成されるものであるから、ライン状光源から発した光は殆ど減衰することなくそのままの光量で光反射体にて反射されて計測対象領域を照明することになる。従って、計測対象領域に位置する粒状体群を的確に夫々異なる方向から同じ又はほぼ同じ光量により照明することができる。
本発明の第3特徴構成は、第1特徴構成又は第2特徴構成に加えて、前記評価選別手段が、前記受光手段における前記単位受光対象範囲毎に、計測される光の受光量が適正光量範囲を外れていなければ正常物と判別し、前記受光量が適正光量範囲を外れていると異常物として判別する判別処理手段と、前記判別処理手段の判別結果に基づいて、前記計測対象領域よりも移送方向下手側箇所において、前記正常物と前記異常物とを異なる移送経路に分離して選別する分離手段とを備えて構成されている点にある。
第3特徴構成によれば、前記判別処理手段が、受光手段における単位受光対象範囲毎に、計測される光の受光量が適正光量範囲を外れていなければ正常物と判別し、前記受光量が適正光量範囲を外れていると異常物として判別する処理を実行する。そして、分離手段が、前記判別処理手段の判別結果に基づいて、計測対象領域よりも移送方向下手側箇所において正常物と異常物とを異なる移送経路に分離して選別する処理を実行する。
このように粒状体の大きさよりも小さい範囲である単位受光対象範囲毎に上述したような正常物と異常物との判別を行うようにしているので、粒状体の一部分にでも異常な部分が存在していれば、そのような異常部分を精度よく異常として判別して、そのような異常部分が存在する不良の粒状体を適切に判別して正常物と分離することが可能となる。
本発明の第4特徴構成は、第3特徴構成に加えて、前記選別評価手段が、前記受光手段における各単位受光対象範囲毎に得られた設定個数の受光量データに基づいて、夫々の単位受光対象範囲毎に、暗側から明側にわたる間を複数段階に区分けした各受光量に対する度数分布を求めて、その度数分布に基づいて前記適正光量範囲の上側光量値及び下側光量値を設定するように構成され、且つ、設定個数の受光量データを設定時間間隔で得るように構成され、その受光量データの中に、前記上側光量値よりも明るい光量値が含まれているときは前記上側光量値を明側に変更して、前記設定個数の受光量データの中に前記上側光量値よりも明るい光量値が含まれていないときは前記上側光量値を暗側に変更し、且つ、前記設定個数の受光量データの中に前記下側光量値よりも暗い光量値が含まれているときは前記下側光量値を暗側に変更して、前記設定個数の受光量データの中に前記下側光量値よりも暗い光量値が含まれていないときは前記下側光量値を明側に変更させる補正処理を設定時間ごとに実行するように構成されている点にある。
第4特徴構成によれば、受光手段における各単位受光対象範囲毎に得られた設定個数の受光量データに基づいて、夫々の単位受光対象範囲毎に、暗側から明側にわたる間を複数段階に区分けした各受光量に対する度数分布を求めて、その度数分布に基づいて前記適正光量範囲の上側光量値及び下側光量値を設定することになる。
粒状体群を実際に計測対象領域に通過させて、そのときの受光手段における各単位受光対象範囲毎に得られた受光量データから求めた度数分布に基づいて適正光量範囲が設定されるので、例えば、明るさの異なる種類の粒状体を検査する場合に、粒状体の種類毎に適正光量範囲を設定する作業を行なう必要がなく、しかも、実際の粒状体群の明るさの分布状態に応じて適切な適正光量範囲を設定できる。
そして、設定時間間隔で得た受光量データの中に、前記上側光量値よりも明るい光量値が含まれているときは前記上側光量値を明側に変更して、前記設定個数の受光量データの中に前記上側光量値よりも明るい光量値が含まれていないときは前記上側光量値を暗側に変更し、且つ、受光量データの中に前記下側光量値よりも暗い光量値が含まれているときは前記下側光量値を暗側に変更して、前記設定個数の受光量データの中に前記下側光量値よりも暗い光量値が含まれていないときは前記下側光量値を明側に変更させる補正処理を設定時間ごとに実行する。
従って、照明手段におけるライン状光源が劣化して光量が減衰することがあっても、その減衰した状態で照明を行う状態で、計測対象である粒状体について計測された受光量データに基づいて適正光量範囲を適正な状態に補正することができ、ライン状光源の劣化にかかわらず、適正光量範囲自体を常に適正な範囲として設定して粒状体を評価選別する処理を適正に行うことが可能となる。
以下、本発明に係る粒状体選別装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、前記粒状体選別装置には、広幅の板状のシュータ1が水平面に対して所定角度に傾斜されて設置され、このシュータ1の上部側に設けた貯留タンク2から振動フィーダ3によって搬送されて供給される外周面が曲面である粒状体群としての米粒群kが、シュータ1の上面を一層状態で経路横幅方向に沿って複数列状に並ぶ横拡がり状態で流下案内される構成となっている(図3参照)。尚、図3は動作説明図であるため、図1、図2とは装置構成の配置が異なる箇所がある。上記シュータ1は、幅方向全幅に亘って平坦な案内面に形成された平面シュータである。尚、ここでは、一層状態で移送させることを目的としているので、流れ状態により部分的に粒が重なって二層状態等になっても、一層状態の概念に含まれる。
貯留タンク2には、外部の精米機等から供給される米粒群kや、その外部からの米粒群kを1次選別処理した後再選別される正常物又は不良物が貯留される。貯留タンク2から振動フィーダ3上に落下した米粒群kのシュータ1への供給量は、振動フィーダ3の振動による米粒群kの搬送速度を変化させて調節される。そして、図2に示すように、米粒群kがシュータ1の下端部から移動落下する予定移送経路IK中に米粒群kに対する計測対象領域Jが設定されている。又、米粒群kは一層状態で且つ経路横幅方向に沿って複数列状に並ぶ横拡がり状態で計測対象領域Jを通過するように移送される構成となっている。従って、振動フィーダ3及びシュータ1により、外周面が曲面である粒状体群を計測対象領域を通過させながら一層状態で且つ経路横幅方向に沿って複数列状に並ぶ横拡がり状態で移送する対象物移送手段TIが構成されている。
又、前記計測対象領域Jにおける前記経路横幅方向での全幅又はほぼ全幅を照明する照明手段4が設けられている。詳述すると、前記照明手段4として、予定移送経路IKの装置前面側(図2において左側)に位置する前面側照明手段4Bと、装置後面側(図2において右側)に位置する後面側照明手段4Aとが設けられ、前面側照明手段4B及び後面側照明手段4Aは、夫々、前記計測対象領域Jの前記経路横幅方向に沿う方向視において、受光手段5の前記検出光を受光する光軸OLに対して粒状体移送方向の上手側及び下手側の夫々に照明部S1,S2を備えて、それらの照明部S1,S2により前記計測対象領域Jを照明する構成となっている。
以下、照明手段4の具体的な構成について説明する。
先ず、後面側照明手段4Aについて説明する。この後面側照明手段4Aは、図5にも示すように、予定移送経路IKの装置前面側において、前記計測対象領域Jを経路横幅方向の全幅又はほぼ全幅にわたって直接照明する2本の円柱状の蛍光灯を並べて構成されるライン状光源41Aと、そのライン状光源41Aが発した光を反射してその反射した光によりライン状光源41Aによる照明方向とは異なる照明方向から計測対象領域Jを経路横幅方向の全幅又はほぼ全幅にわたって照明する光反射体42Aとを備えて、互いに異なる複数の照明方向から夫々計測対象領域Jを照明するように構成されている。
従って、前記粒状体移送方向の上手側に設けられる照明部S1及び前記粒状体移送方向の下手側に設けられる照明部S2のうちの一方、すなわち、前記粒状体移送方向の上手側に設けられる照明部S1が、前記計測対象領域を前記経路横幅方向での全幅又はほぼ全幅にわたって直接照明するライン状光源41Aにて構成され、前記各照明部S1,S2のうちの他方、すなわち、前記粒状体移送方向の下手側に設けられる照明部S2が、前記のライン状光源41Aが発した光を反射してその反射した光により前記ライン状光源41Aによる照明方向とは異なる照明方向から前記計測対象領域を経路横幅方向の全幅又はほぼ全幅にわたって照明する光反射体42Aにて構成されている。
粒状体群としての米粒群の外周部は断面形状が略円形状又は略楕円形状であり、外周面が曲面となるものであるが、計測対象領域Jに位置している米粒群に対して、上述したように互いに異なる方向から夫々照明することで、照明ムラの少ない極力均一な状態で良好に照明できるようにしている。
前記ライン状光源41Aには、その背部側及び一部側方箇所を覆う状態で内面につや消しの白色塗装を施した曲面状の拡散反射板43が配置されている。そして、前記光反射体42Aは、米粒移送方向に対して幅狭でありライン状光源41Aの長手方向に沿って長尺の矩形状に構成され、反射面が鏡面にて構成されている。尚、ライン状光源41A及び光反射体42Aを装置に組付ける際には、前記計測対象領域Jにおいて、ライン状光源41Aにより照明される光量と光反射体42Aにて照明される光量とが同じ又はほぼ同じになるように、計測対象領域Jに対するライン状光源41Aの傾斜角度を適切な角度になるように調整を行った後に位置固定で組み付けることになる。因みに、この実施形態では、光反射体42Aは後述するような背景光量調節部8と共通な支持ブラケット44に支持される構成となっている。
図2に示すように、前記前面側照明手段4Bは、前記後面側照明手段4Aと同様に、前記計測対象領域Jに位置する米粒群kの移送方向上手側に位置する上手側外面部分を直接照明する2本の円柱状の蛍光灯を並べて構成されるライン状光源41Bと、そのライン状光源41Bが発した光を反射して、その反射した光により計測対象領域Jに位置する米粒群の移送方向下手側に位置する下手側外面部分を照明する光反射体42Bとを備えて構成されるが、各部材の配置構成が計測対象領域Jを中心として前後で対称な配置関係となるだけで、それ以外は後面側照明手段4Aと同じであるから詳細な説明は省略するが、ライン状光源41Bを上方側に位置させ、光反射体42Bを下方側、すなわち、米粒群の移送方向の下手側に位置させて設けるようにしているので、後述する如く計測対象領域Jよりも移送方向下手側に不良物分離用のエアー吹き付け装置6を設ける場合に、設置スペースをできるだけ広くして互いに干渉することなく良好に設置することが可能な構成となっている。
前面側照明手段4Bからの照明光が上記計測対象領域Jの前面側で反射した反射光を受光する前面側受光装置5Bと、後面側照明手段4Aからの照明光が計測対象領域Jの後面側で反射した反射光を受光する後面側受光装置5Aとが設けられている。
図8に示すように、前記各受光装置5A,5Bは、前記幅広の計測対象領域Jからの光を受光する複数個の受光素子5aを計測対象領域Jの経路横幅方向に沿って並置させる状態で備えて、米粒の大きさよりも小さい範囲を単位受光対象範囲とする分解能状態で計測対象領域Jからの検出光を受光するように構成されている。つまり、前記各受光装置5A,5Bは、前記米粒群の各米粒の大きさよりも小さい範囲p(例えば米粒の大きさの10分の1よりも小さい範囲)を夫々の受光対象範囲として、それら複数の受光対象範囲に対応する受光対象範囲である複数個の受光素子5aを前記幅広の計測対象領域Jに対応させてライン状に並ぶ状態で並置されたモノクロタイプのCCDセンサ部50と、計測対象領域Jの経路横幅方向に視野角を有する状態で受光した光を複数の受光素子に導く光学系51とから構成されている。そして、各受光装置5A,5Bは、後述するように、計測対象領域Jの経路横幅方向の全幅又はほぼ全幅を対象として計測対象領域Jに位置する米粒群kの像をCCDセンサ部50の各受光素子5a上に結像させる状態で設けられ、例えば図8において計測対象領域Jの右端側から左端側に向けて各受光素子5aから各受光情報が順次取り出されるように構成される。
前記各受光装置5A,5Bから計測対象領域Jを見たときに計測対象領域Jの背景に相当する箇所に、前記各受光装置5A,5Bに向けて光を投射する背景光量調整部8が設けられている。この背景光量調整部8は、図4に示すように、計測対象領域Jの横幅方向に沿って密状態で並べて設置される複数のLED発光素子80と、それらの複数のLED発光素子80が設置される領域の光投射側に配置されて複数のLED発光素子80が発光した光を拡散させる拡散板81とを備えて構成されている。そして、ケーシング83の内部に、複数のLED発光素子80が設置されたLED基板82が放熱板84に貼り付ける状態で取り付けられている。そして、図7に示すように、複数のLED発光素子80の発光出力を変更調整自在な調光装置85が備えられ、この調光装置85は、後述する制御装置24からの制御指令に基づいてLED発光素子80の発光出力を変更調整するように構成されている。
尚、この変更調節は手動設定にて行う構成となっているが、受光手段5の計測結果に基づいて、計測対象となる粒状体の種類の違い等に応じて制御装置24からの指令に基づいて光量を自動調整する構成としてもよい。
そして、予定移送経路IKの装置前面側及び装置後面側の夫々において、前記計測対象領域の像を縮小した像を受光手段5が受光するように、前記計測対象領域からの光を前記受光手段5における光軸方向に折り返して前記受光手段5に導く光反射式の折り曲げ光路形成手段9が備えられている。
次に、予定移送経路IKの装置後面側に位置する折り曲げ光路形成手段9について、第1の反射体10、第2の反射体11、及び、受光装置5Aの支持構造について具体的に説明する。
図5、図6に示すように、前記折り曲げ光路形成手段9は、計測対象領域Jからの光を反射する第1の反射体10と、その第1の反射体10にて反射した光を反射する第2の反射体11とを備えて構成され、且つ、前記第1の反射体10及び第2の反射体11の夫々が光反射面を平面状に形成して構成され、しかも、各反射体10、11はその反射面10a,11aが鏡面にて構成されており、略長方形の板状に形成されている。
装置枠体としての収納用ケーシング13の左右側壁にわたって略コの字形に屈曲した支持ステー14が架設される状態で設けられ、この支持ステー14に対して、その長手方向の中央部付近にて前記各反射体10、11並びに前記受光装置5Aが支持される構成となっている。つまり、支持ステー14から固定延設した支持ブラケット15を介して前記第1の反射体10が取り付け支持されている。そして、その第1の反射体10は、前記支持ブラケット15に対して前記経路横幅方向に沿う横軸芯X1周りで回動自在に支持され、且つ、複数の調節ネジ16を反射体10に当て付けた状態で締め付けることで第1の反射体10を位置固定することが可能であり、しかも、各調節ネジ16を回動させて位置を変更させることで第1の反射体10の前記軸芯X1周りでの傾斜角度を変更調節並びに固定自在に構成されている。
又、第2の反射体11と受光装置5Aとは、支持具17により一体的に組み付けた状態で、前記支持ステー14に固定装着する構成となっている。すなわち、前記支持具17は、底板17aとその底板17aの左右両側側から固定立設した左右の支持板17bとにより構成され、左右の支持板17bは支持ステー14に対する取り付け箇所から計測対象領域J側に向けて延設させる構成となっており、その延設方向の先端部付近において、左右の支持板17bにわたって第2の反射体11を架け渡す状態で取り付ける構成としている。又、この第2の反射体11は、第1の反射体10と同様に、前記経路横幅方向に沿う軸芯X2周りで回動自在に左右の支持板17bに支持されており、複数の調節ネジ18を第2の反射体11に当て付けた状態で締め付けることで第2の反射体11を位置固定することが可能であり、しかも、各調節ネジ18を回動させて位置を変更させることで第2の反射体11の前記軸芯X2周りでの傾斜角度を変更調節並びに固定自在に構成されている。
又、受光装置5Aを保持する受光装置保持具19を、前記左右の支持板17bにて前記経路横幅方向に沿う軸芯X3周りで回動自在に枢支する構成となっており、前記左右の支持板17bにおける前記軸芯X3の上下両側に位置する箇所に夫々設けられた調節ネジ20を受光装置保持具19に当て付けた状態で締め付けることで受光装置保持具19すなわち受光装置5Aを位置固定することが可能であり、しかも、各調節ネジ20を回動させて位置を変更させることで受光装置5Aの前記軸芯X3周りでの傾斜角度を変更調節並びに固定自在に構成されている。尚、前記支持ステー14及び支持具17の底板17aにおける前記受光装置5Aが位置する箇所には、受光装置保持具19の回動を許容するため上下の挿通する開口14Aが形成されている。
尚、予定移送経路IKの装置前面側に位置する折り曲げ光路形成手段9についても同様な構成であり、配置構成が前後で対称となるだけでそれ以外は同じ構成であるから説明は省略する。
従って、この実施形態では、前面側受光装置5A及び前面側に位置する折り曲げ光路形成手段9にて、粒状体の大きさよりも小さい範囲を単位受光対象範囲とする分解能状態で前記計測対象領域からの光のうち粒状体群の移送方向と交差する方向の検出光を受光して受光量を計測する受光手段5が構成されている。
図2に示すように、前面側照明手段4B、前面側受光装置5B、前面側の背景光量調整部8、前面側の折り曲げ光路形成手段9の夫々が前面側の収納ケーシング13に収納され、後面側照明手段4A、後面側受光装置5A、後面側の背景光量調整部8、後面側の折り曲げ光路形成手段9の夫々が後面側の収納ケーシング13に収納されており、両収納ケーシング13は側板が共通の一体の箱体に形成され、各収納ケーシング13は、計測対象領域Jに面する側に板状の透明なガラスからなる透過窓13A,13Bを備えている。
予定移送経路IKの前記計測対象領域Jから経路下手側の分離箇所において、計測対象領域Jでの受光情報に基づいて不良と判定された米粒や異物等の不良物に対してエアーを吹き付けて正常な米粒群kの移動方向から分離させるためのエアー吹き付け装置6が設けられ、このエアー吹き付け装置6は、噴射ノズル6aの複数個を、上記予定移送経路IKの全幅を所定幅で複数個の区画に分割形成した各区画に対応する状態で並置させ、不良物が存在する区画の噴射ノズル6aが作動されるように構成されている。従って、前記エアー吹き付け装置6が、前記分離箇所に移送された粒状体群のうちの正常物と不良物とを異なる経路に分離させる分離手段を構成することになる。尚、このエアー吹き付け装置6は、詳述はしないが、不良物が存在する区画の噴射ノズル6aが作動させるように、エアー状態を変更調節するエアー噴出状態を切り換え操作するエアー切り換えバルブが近接する状態で備えられる構成となっている。
そして、シュータ1の下端部から所定経路に沿って流下する米粒群kのうちで、前記噴射ノズル6aからのエアーの吹き付けを受けずにそのまま進行してくる正常な米粒kを回収する良米用の受口部21と、エアーの吹き付けを受けて正常な米粒kの流れから横方向に分離した着色米や胴割れ米等の不良米又は石やガラス片等の異物を回収する不良物用の受口部22とが設けられ、良米用の受口部21が横幅方向に細長い筒状に形成され、その良米用の受口部21の周囲を囲むように、不良物用の受口部22が形成されている。尚、良米用の受口部21にて回収された米粒k、及び、不良物用の受口部22にて回収された不良物は、再選別等のために、本装置の貯留タンク2又は他の選別装置に搬送される。
図1に示すように、表側の上部斜め部分に情報の表示及び入力用の操作卓23が設置され、又、装置外面を覆うカバーKが機枠に取り付けられている。
次に制御構成について説明する。図7に示すように、マイクロコンピュータ利用の制御装置24が設けられ、この制御装置24に、両受光装置5A,5Bからの各画像信号と、操作卓23からの操作情報とが入力されている。一方、制御装置24からは、前記ライン状光源41A,41Bを点灯させる点灯回路25に対する駆動信号と、エアー吹き付け装置6の各噴射ノズル6aへの各エアー供給をオンオフする複数個の電磁弁26に対する駆動信号と、前記振動フィーダ用振動発生器3Aに対する駆動信号と、前記調光装置85への制御指令用の信号とが出力されている。
そして、上記制御装置24を利用して、前記各受光装置5A,5Bの受光量を設定時間間隔でサンプリングして、そのサンプリングした受光量の光量値が米粒群における正常物からの検出光に対する適正光量範囲ΔE1,ΔE2を外れているか否かの判別を行う判別処理手段100が構成されている。具体的には、この判別処理手段100は、前面側の受光装置5Bの各受光素子5aの受光量を設定時間間隔でサンプリングして、そのサンプリングした光量値が各受光素子5a毎に設定された適正光量範囲ΔE2を外れているか否かの判別を各受光素子5a毎に行うとともに、後面側の受光装置5Aの各受光素子5aの受光量を設定時間間隔でサンプリングして、そのサンプリングした光量値が各受光素子5a毎に設定された適正光量範囲ΔE1を外れているか否かの判別を各受光素子5a毎に行い、上記両判別においていずれかの受光素子5aの受光量が適正光量範囲ΔE1,ΔE2を外れている場合に不良物の存在を検出する。
又、上記判別処理手段100は、各受光装置5A,5Bの各受光素子5a毎に、前記サンプリングにより得られた設定個数の受光量データについて、暗側から明側に亘る間を複数段階に区分けした各光量値に対する度数分布(ヒストグラムともいう)を求めて、その度数分布に基づいて前記適正光量範囲ΔE1,ΔE2を設定するように構成されている。具体的には、照明手段4からの照明光量が十分に安定した状態で、先ず、米粒群kを流さずに前記背景光量調整部8からの光を受光して、その受光量が検査を行なうのに十分な光量であることを確認する。次に、米粒群kを流しながら、各受光装置5A,5Bの各受光素子5aについて設定個数の受光量データをサンプリングし、その受光量データを256段階のデジタル値に変換する。尚、この場合において、前記エアー吹き付け装置6は作動させない。
そして、図9(イ)に示すように、判別処理手段100は、前記度数分布hgにおいて暗側から明側に亘って各光量値に対する度数値が連続して存在する連続領域(図において斜線で示す)の上端部の近傍位置に対応させて上側光量値TH1を設定するとともに、その上側光量値TH1から明側に設定光量K1離れた位置に前記適正光量範囲ΔE1,ΔE2の上限値T1を設定し、且つ、前記連続領域の下端部の近傍位置に対応させて下側光量値TH2を設定するとともに、その下側光量値TH2から暗側に設定光量K2離れた位置に前記適正光量範囲ΔE1,ΔE2の下限値T2を設定するように構成されている。尚、上記上側光量値TH1及び下側光量値TH2の設定については後述する。又、上記各設定光量K1,K2は制御定数として予め設定されている。
さらに、図9(イ)〜(ハ)に示すように、上記判別処理手段100は、前記サンプリングによって設定時間ごとに得られる設定個数の受光量データの中に、前記上側光量値TH1よりも明るい光量値が含まれているときは、前記上側光量値TH1を明側に設定量移動させる一方、前記設定個数の受光量データの中に前記上側光量値TH1よりも明るい光量値が含まれていないときは、前記上側光量値TH1を暗側に設定量移動させ、且つ、前記設定個数の受光量データの中に前記下側光量値TH2よりも暗い光量値が含まれているときは、前記下側光量値TH2を暗側に設定量移動させる一方、前記設定個数の受光量データの中に前記下側光量値TH2よりも暗い光量値が含まれていないときは、前記下側光量値TH2を明側に設定量移動させる補正処理を設定時間ごとに実行する。
尚、上記設定量としては、前記256段階の受光量データにおける1段階とし、前記各設定光量K1,K2の値はこの設定値よりも大きな値に設定されている。そして、図9の(イ)では、サンプリングにより得られた設定個数の受光量データの中に上側光量値TH1よりも明るい光量値が含まれているので、上側光量値TH1を明側に1段階移動させ、一方、下側光量値TH2よりも暗い光量値は含まれていないので、下側光量値TH2を明側に1段階移動させて、下側光量値TH2がちょうど連続領域の下端部に位置した状態を示す。
図9(ロ)では、(イ)の後に、サンプリングにより得られた設定個数の受光量データの中に、上側光量値TH1よりも明るい光量値及び下側光量値TH2よりも暗い光量値が共に含まれていないので、上側光量値TH1を暗側に1段階移動させ、下側光量値TH2を明側に1段階移動させている。
図9(ハ)では、(ロ)の後に、サンプリングにより得られた設定個数の受光量データの中に、上側光量値TH1よりも明るい光量値が含まれていないので、上側光量値TH1を暗側に1段階移動させる一方、下側光量値TH2よりも暗い光量値が含まれているので、下側光量値TH2を暗側に1段階移動させている。
以下、同様な補正処理を行なうことにより、上側光量値TH1は上記連続領域の上端部もしくはその付近に固定され、下側光量値TH2は上記連続領域の下端部もしくはその付近に固定されることになる。
さらに、図10に示すように、上記判別処理手段100は、前記連続領域の上端部に対応する上端光量値U1と前記連続領域の下端部に対応する下端光量値D1との光量値の差U1−D1が設定値HKよりも大きい場合には、前記補正処理を実行し、上端光量値U1と下端光量値D1との光量値の差U1−D1が設定値HKよりも小さい場合には、前記補正処理を停止するように構成されている。
つまり、上記設定値HKは、米粒群が計測対象領域Jを通過しているときは、図10に一点鎖線で示すように上記光量値の差U1−D1が設定値HKより大きくなるように設定され、米粒群が計測対象領域Jを通過していないときは、図10に実線で示すように、背面光量調節部8からの光のみを受光するために、その受光量データの度数分布hgの連続領域の幅が狭くなるのに対応させて、その上端光量値UHと下端光量値DHとの光量値の差UH−DHが設定値HKよりも小さくなるように設定されている。
従って、米粒群が計測対象領域Jを通過しているときは、前記補正処理が実行されて適正光量範囲ΔE1,ΔE2の上限値T1及び下限値T2が逐次修正されるが、米粒群が計測対象領域Jを通過していないときは、前記補正処理の実行が停止されて、直前に米粒群が計測対象領域Jを通過していたときの適正光量範囲ΔE1,ΔE2の上限値T1及び下限値T2の値が保持されることになる。
そして、上記のように各受光装置5A,5Bの各受光素子5a毎に、設定及び補正される前面側及び後面側の適正光量範囲ΔE1,ΔE2の上限値T1及び下限値T2の値は、図11に示すように、前記制御装置24内のメモリLUT(前面側用及び後面側用のLUT)に、不良検出処理用のルックアップテーブルとして記憶される。
即ち、位置データi(i=0〜〔受光素子の数−1〕)で表した各受光素子5a毎に、センサ出力電圧をとり得る全ての光量値j(前記256段階の光量値)の範囲で変化させながら、その各値jが前記適正光量範囲ΔE1,ΔE2内であれば、メモリLUTの該当番地(i,j)に判定出力として「0」を記憶させ、適正光量範囲ΔE1,ΔE2を外れていれば、メモリLUTの該当番地(i,j)に判定出力として「1」を記憶させる。そして、前記判別を行うときは、上記作成したメモリLUTに対して、各受光装置5A,5Bの受光素子5aの位置データi(i=0〜〔受光素子の数−1〕)と、その位置iでの各受光素子5aの光量値jとを入力すると、その各受光素子5aについて、正常物のときは判定出力「0」が、不良物のときは判定出力「1」が夫々出力されるので、それに基づいて前記判別を行う。
各受光装置5A,5Bの受光出力における不良物の判別について図12に例示する。図12において、e0は、正常な米粒粒からの標準的な反射光に対する出力電圧レベルであり、受光素子5aの出力電圧が適正光量範囲ΔE1,ΔE2よりも小さい場合e1,e2では、正常な米粒よりも光の反射率が小さい不良の米粒等の存在を判別し、適正光量範囲ΔE1,ΔE2よりも大きい場合e3では、正常な米粒粒kよりも反射率が大きい異物の存在を判別する。
そして、制御装置24は、計測対象領域Jを通過した米粒群kのうちで、不良物の存在が判別された場合には、計測対象領域Jから噴射ノズル6aの噴射位置に米粒群kが搬送されるのに要する時間間隔が経過するに伴って、不良物に対してその位置に対応する区画の各噴射ノズル6aからエアーを吹き付けて正常な米粒の経路から分離させるべくエアー吹き付け装置6を作動させて、正常な米粒は良米用の受口部21に回収し、不良米又は石やガラス片等の異物を不良物用の受口部22に回収する。従って、この実施形態においては、制御装置24により構成される判別処理手段100と分離手段としてのエアー吹き付け装置6とにより、受光手段5にて計測される光の受光情報に基づいて単位受光対象範囲毎に受光量を評価して粒状体を選別する評価選別手段Hが構成される。
次に、図13及び図14に示すフローチャートに基づいて、適正光量範囲の設定処理及び適正光量範囲の補正処理について説明する。
前記適正光量範囲の設定処理では、装置の電源をオンした後、先ず、前記計測対象領域Jに米粒を供給しない状態で、各受光素子5a毎に、前記各反射板8A,8Bからの反射光について設定個数の受光量データをサンプリングして、その受光量データの平均値Taを各受光素子5a毎に求める。尚、このときに、各受光素子5a毎の受光量データの平均値Taに基づいて、各背景光量調整部8からの受光量が検査を行なうのに十分な光量であることを確認する。
次に、前記計測対象領域Jへの米粒の供給を開始した状態で、上記と同様に、各受光素子5a毎に、前記計測対象領域Jからの光について設定個数の受光量データをサンプリングし、サンプリングが終了すると、計測対象領域Jへの米粒の供給を停止する。そして、各受光素子5a毎に、上記受光量データの最大光量値Tmaxと最小光量値Tminを求めるとともに、前記平均値Taとの上側偏差ΔT1(Tmax−Ta)及び下側偏差ΔT2(Ta−Tmin)を求め、それら受光素子の個数分の上側偏差ΔT1及び下側偏差ΔT2のうちで、極端に大きい値のものを除去するために、上側偏差ΔT1及び下側偏差ΔT2の夫々において、大きい方からn番目(例えば10番目)のものを選ぶ。
次に、上記選んだ上側偏差ΔT1を前記平均値Taに加算して上側設定値TH1を求め、さらに、その上側設定値TH1に設定値K1を加算して前記適正光量範囲ΔE1,ΔE2の上限値T1を求める処理、及び、上記選んだ下側偏差ΔT2を前記平均値Taから引算して下側設定値TH2を求め、さらに、その下側設定値TH2から設定値K2を引算して前記適正光量範囲ΔE1,ΔE2の下限値T2を求める処理を、各受光素子5a毎に行い、最後に、設定された上限値T1及び下限値T2のデータに基づいて、前記メモリLUTを作成する。
前記適正光量範囲の補正処理では、前記計測対象領域Jに米粒を供給して、各受光素子5aの受光量が適正光量範囲ΔE1,ΔE2を外れているか否かの判別を行っている状態で、各受光素子5a毎に、設定時間(例えば、数秒から数10秒)ごとに設定個数の受光量データをサンプリングして、そのサンプリングした受光量データについて前記度数分布を作成する。次に、その度数分布における連続領域の上端光量値U1と下端光量値D1との光量値の差U1−D1が設定値HKよりも大きいか否を判断して、その光量値の差U1−D1が設定値HKよりも大きくない場合には以下の処理は行わない。
上記光量値の差U1−D1が設定値HKよりも大きい場合には、先ず、上記度数分布において、現在の上側設定値TH1よりも明るい光量値データが存在する場合には、その上側設定値TH1の値を1増加させ、現在の上側設定値TH1よりも明るい光量値データが存在しない場合には、その上側設定値TH1の値を1減少させる。次に、上記度数分布において、現在の下側設定値TH2よりも暗い光量値データが存在する場合には、その下側設定値TH2の値を1減少させ、現在の下側設定値TH2よりも暗い光量値データが存在しない場合には、その下側設定値TH2の値を1増加させる。
最後に、上側設定値TH1及び下側設定値TH2の変更に応じて適正光量範囲ΔE1,ΔE2の上限値T1及び下限値T2を変更し、この変更された上限値T1及び下限値T2のデータに基づいて、前記メモリLUTの内容を修正する。
そして、制御装置24は、不良の判別情報に基づいて、前記両受光装置5A,5Bの計測対象領域Jに移送した米粒群kのうちで、米粒の不良又は異物の存在が判別された場合には、計測対象領域Jから噴射ノズル6aによるエアー噴射位置までの移送時間が経過するに伴って、流下している不良の米粒又は異物に対して、その位置に対応する区画の各噴射ノズル6aからエアーを吹き付けて正常な米粒の経路から分離させる。
〔別実施形態〕
次に、粉粒体検査装置の別実施形態について説明する。
(1)上記実施形態では、前記粒状体移送方向の上手側に設けられる照明部及び前記粒状体移送方向の下手側に設けられる照明部のうち、前記粒状体移送方向の上手側に設けられる照明部をライン状光源にて構成し、前記粒状体移送方向の下手側に設けられる照明部を光反射体にて構成するものを例示したが、このような構成に代えて、例えば、前記粒状体移送方向の上手側に設けられる照明部を光反射体にて構成し、前記粒状体移送方向の下手側に設けられる照明部をライン状光源にて構成するものでもよい。
(2)上記実施形態では、前記ライン状光源として蛍光灯を用いるようにしたが、このような構成に限らず、例えば、多数の発光ダイオード(LED)を横幅方向に並列配備したLEDアレイを用いる等、各種の形態で実施することが可能である。
又、上記実施形態では、前記光反射体として、反射面が鏡面にて構成されているものを例示したが、このような構成に限らず、例えば金属板の表面に光反射率が大きくなるようなメッキを施した反射体を用いる等、各種の形態で実施することが可能である。
(3)上記実施形態では、評価選別手段Hが、前記適正光量範囲を設定する場合に、前記度数分布hgにおける連続領域の上端部の近傍位置に対応させて上側光量値TH1を設定し、前記連続領域の下端部の近傍位置に対応させて下側光量値TH2を設定したが、このような構成に限らず、例えば、各受光素子5a毎に、前記度数分布hgにおける連続領域の上端部に対応させて上側光量値TH1を設定するとともに、その上側光量値TH1から明側に設定光量K1離れた位置に前記適正光量範囲ΔE1,ΔE2の上限値T1を設定し、且つ、前記連続領域の下端部に対応させて下側光量値TH2を設定するとともに、その下側光量値TH2から暗側に設定光量K2離れた位置に前記適正光量範囲ΔE1,ΔE2の下限値T2を設定する構成等、別の処理方向を用いて実施してもよい。
又、適正光量範囲を補正する補正処理についても別の処理方法を用いて実施してもよい。
(4)上記実施形態では、前記評価選別手段Hが、前記受光手段にて計測される光の受光量に基づいて粒状体を評価するにあたって、前記受光手段にて計測される光の受光量が適正光量範囲を外れていなければ正常物と判別し、受光量が適正光量範囲を外れていると異常物として判別するように構成したが、このような構成に限らず、例えば、粒状体の大きさを評価して小さい粒状体と大きい粒状体とを選別するように構成するものでもよい。
(5)上記実施形態では、前記受光手段として、前記計測対象領域からの光を光軸方向に折り返して受光装置に導く光反射式の折り曲げ光路形成手段を備える構成を例示したが、このような構成に代えて、前記計測対象領域からの光をそのまま受光装置が受光する構成のものにも本発明は適用できる。
(6)上記実施形態では、前記予定移送経路の装置前面側に位置する前面側受光装置5Bと装置後面側に位置する後面側受光装置5Aとが設けられ、前記照明手段4として、予定移送経路IKの装置前面側に位置する前面側照明手段4Bと装置後面側に位置する後面側照明手段4Aとが設けられる構成としたが、前面側受光装置5B及び前面側照明手段4Bだけを備える構成や、後面側受光装置5A及び後面側照明手段4Aだけを備える構成としてもよい。
(7)上記実施形態では、前記対象物移送手段として、経路横幅方向の全幅にわたって平坦な案内面に形成された平面シュータを備えて構成されるものを例示したが、このような構成に限らず、例えば直線状の溝を経路横幅方向に沿って複数列に並べる状態で形成した溝付きシュータにて構成して、それらの複数列の溝により粒状体群を移送するような構成としてもよい。
(8)上記実施形態では、受光手段として、モノクロタイプのCCDセンサ以外に、撮像管式のテレビカメラでもよい。又、モノクロタイプではなく、カラータイプのCCDセンサにて構成して、例えば、色情報R,G,B毎の受光量から不良米や異物の存否をさらに精度良く判別してもよい。
(9)上記実施形態では、分離手段が、不良物に対してエアーを吹き付けて、正常物と異なる経路に分離させるようにしたが、これに限るものではなく、例えば不良物をエアーで吸引して分離させるようにしたり、機械的な接当作用により分離させるようにしてもよい。
(10)上記実施形態では、粒状体群が米粒群である場合について例示したが、これに限るものではなく、外周面に曲面を有する粒状体であれば、例えば、球状又は円筒形状を有する樹脂ペレット等における不良物や異物の存否を検査する場合にも適用できる。
粉粒体検査装置の全体側面図 同要部側面図 動作状態を示すための要部斜視図 背景光量調整部の構成を示す図 反射体支持構成を示す図 反射体支持構成を示す図 制御構成のブロック図 受光手段の受光状態を示す図 適正光量範囲の設定及び補正処理を説明するグラフ 適正光量範囲の補正処理を説明するグラフ 不良判別用のメモリのブロック図 受光装置の受光出力電圧の波形図 制御作動のフローチャート 制御作動のフローチャート 本出願人による実測結果を示す図 本出願人による実測結果を示す図 本出願人による実測結果を示す図 本発明の課題を説明するための図
符号の説明
4 照明手段
5 受光手段
6 分離手段
41A,41B ライン状光源
42A,42B 光反射体
100 判別処理手段
H 評価選別手段
S1,S2 照明部
TI 対象物移送手段

Claims (4)

  1. 外周面に曲面を有する粒状体群を計測対象領域を通過させながら一層状態で且つ経路横幅方向に沿って複数列状に並ぶ横拡がり状態で移送する対象物移送手段と、
    粒状体の大きさよりも小さい範囲を単位受光対象範囲とする分解能状態で前記計測対象領域からの光のうち粒状体群の移送方向と交差する方向の検出光を受光する受光手段と、
    前記計測対象領域における前記経路横幅方向での全幅又はほぼ全幅を照明する照明手段と、
    前記受光手段の受光情報に基づいて前記単位受光対象範囲毎に受光量を評価して粒状体を選別する評価選別手段とが設けられ、
    前記照明手段が、前記計測対象領域の前記経路横幅方向に沿う方向視において、前記受光手段の前記検出光を受光する光軸に対して粒状体移送方向の上手側及び下手側の夫々に照明部を備えて、それらの照明部により前記計測対象領域を照明するように構成されている粒状体選別装置であって、
    前記照明手段が、
    前記粒状体移送方向の上手側の照明部及び前記粒状体移送方向の下手側の照明部のうちのいずれか一方を、前記計測対象領域を直接照明するライン状光源とし、他方を、前記ライン状光源が発した光を反射してその反射した光により前記計測対象領域を照明する光反射体とするように構成されている粒状体選別装置。
  2. 前記光反射体の反射面が鏡面にて構成されている請求項1記載の粒状体選別装置。
  3. 前記評価選別手段が、
    前記受光手段における前記単位受光対象範囲毎に、受光する光の受光量が適正光量範囲を外れていなければ正常物と判別し、前記受光量が適正光量範囲を外れていると異常物として判別する判別処理手段と、
    前記判別処理手段の判別結果に基づいて、前記計測対象領域よりも移送方向下手側箇所において、前記正常物と前記異常物とを異なる移送経路に分離して選別する分離手段とを備えて構成されている請求項1又は2記載の粒状体選別装置。
  4. 前記評価選別手段が、
    前記受光手段における各単位受光対象範囲毎に得られた設定個数の受光量データに基づいて、夫々の単位受光対象範囲毎に、暗側から明側にわたる間を複数段階に区分けした各受光量に対する度数分布を求めて、その度数分布に基づいて前記適正光量範囲の上側光量値及び下側光量値を設定するように構成され、且つ、
    設定個数の受光量データを設定時間間隔で得るように構成され、その受光量データの中に、前記上側光量値よりも明るい光量値が含まれているときは前記上側光量値を明側に変更して、前記設定個数の受光量データの中に前記上側光量値よりも明るい光量値が含まれていないときは前記上側光量値を暗側に変更し、且つ、前記設定個数の受光量データの中に前記下側光量値よりも暗い光量値が含まれているときは前記下側光量値を暗側に変更して、前記設定個数の受光量データの中に前記下側光量値よりも暗い光量値が含まれていないときは前記下側光量値を明側に変更させる補正処理を設定時間ごとに実行するように構成されている請求項3記載の粒状体選別装置。
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