JP2006226808A - パティキュレート量の測定装置、パティキュレート量の測定方法、及び排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 内燃機関と、当該内燃機関から排出された排気ガスを浄化するためのディーゼルパティキュレートフィルタと、の間に取り付けて、排気ガス中に含まれるパティキュレートの含有量を測定するためのパティキュレート量の測定装置であって、排気ガスの一部を、サンプルガスとして導入させる導入部と、サンプルガス中のパティキュレートを吸着するための検査用フィルタと、検査用フィルタの前後における圧力の差を測定するための圧力センサと、を備えることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
このようなDPFの再生方法として、排気ガスの温度や流量、さらにDPF前後における排気ガスの差圧をもとに、DPFに堆積したPM量を推定して、推定されるPM量が所定量を超える場合に再生させる方法がある(例えば、特許文献1参照)。
また、一般的に、DPFを再生する際に、フィルタの中心部に堆積していたPMのみが酸化(燃焼)され、周辺部に堆積していたPMが残ってしまうことにより、PMがDPFに対して不均一に堆積してしまう場合があった。したがって、実際のPMの堆積量から算出される圧損よりも低い値が算出されてしまい、吸着されたPM量を精度良く推定することが困難であるという問題があった。
すなわち、本発明の目的は、PM捕集用のDPFとは別の検査用のフィルタを用いて、DPFに流入する排気ガス中に含まれるPM量を精度良く検証可能なパティキュレート量の測定装置、そのような測定装置を用いたパティキュレート量の測定方法、及びそのような測定装置を備えた排気浄化装置を提供することである。
パティキュレート量の測定装置における導入部から、排気ガスの一部をサンプルガスとして取り出す工程と、
サンプルガス中のパティキュレートを検査用フィルタにより吸着させる工程と、
検査用フィルタの前後における圧力差を測定する工程と、
得られた圧力差の測定値をもとに、検査用フィルタに吸着されたパティキュレート量を算出するとともに、排気ガス中に含まれるパティキュレートの含有量を検証する工程と、
を含むことを特徴とするパティキュレート量の測定方法である。
第1実施形態は、内燃機関と、当該内燃機関から排出された排気ガスを浄化するためのディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)と、の間に取り付けて、排気ガス中に含まれるパティキュレート(PM)の含有量を測定するためのパティキュレート量の測定装置を備えた排気浄化装置である。
かかる排気浄化装置に備えられるパティキュレート量の測定装置は、排気ガスの一部を、サンプルガスとして導入させる導入部と、サンプルガス中のパティキュレートを吸着するための検査用フィルタと、検査用フィルタの前後における圧力の差を測定するための圧力センサと、を備えることを特徴とする。
以下、第1実施形態に係るPM量の測定装置を備えた排気浄化装置について説明する。なお、図1は、本実施形態の排気浄化装置の具体的構成を説明するために供する図であり、図2は、PM量の測定装置の具体的構成を説明するために供する図である。
第1実施形態に係る排気浄化装置は、図1に示すように、内燃機関51から排出される排気ガス中に含まれるPMを除去するためのDPF36と、当該DPF36に流入するPM量の測定装置10とを備えている。
すなわち、排気ガス中のPMを除去するためのDPFは、時間の経過とともにPMが目詰まりを生じるために、定期的にPMを酸化(燃焼)させて再生させる必要がある。そのために、DPFとは独立的に、擬似的なかつ小型の排気浄化装置からなり、排気ガスの一部に含まれるPM量を測定し、DPFに流入する排気ガス全体に含まれるPM量を精度良く推定するための測定装置を備えている。したがって、DPFに吸着したPMを適切なタイミングで燃焼させてDPFを効率的に再生し、PMの浄化効率が低下しないようにすることができる。
(1)全体構成
また、PM量の測定装置10は、図2に示すように、基本的に、導入部11と、検査用フィルタ13と、圧力センサ15と、を備えている。すなわち、排気ガス浄化用のDPFとは別個独立に、排気ガスの一部を取り出したサンプルガス中のPM量を算出するための、擬似的なかつ小型化された排気浄化装置からなる測定装置10である。
このようなPM量の測定装置10によって、内燃機関の運転状態やDPFの捕集状態等にかかわらず、排気ガスから取り出したサンプルガス中のPM量を、誤差が生じないように算出することができるために、DPFに流入する排気ガス中のPM量を精度良く推定することができる。したがって、かかる推定結果をもとに、効率的にDPFを再生させることができる。
なお、図2のPM量の測定装置10は、流量センサ16と、温度センサ17と、演算手段19と、再生手段21と、をさらに備えた例である。
導入部11は、例えば、内燃機関の排気通路の途中に接続され、排気ガスの一部をサンプルガスとして取り入れるための部材である。
かかる導入部の形状は特に制限されるものではなく、例えば、断面が円形又は矩形の管状部材とすることができる。ただし、排気ガス中に含まれるPMの浄化は主としてDPFにおいて行われ、PM量の測定装置においては、あくまでも排気ガス中のPM量を推定することを主目的とするために、導入部からは大量の排気ガスを取り入れる必要はない。したがって、例えば、導入部として管状部材を用いる場合に、その径を5〜10mmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、検査用フィルタ13は、導入部11を介して流入してくるサンプルガス中のPMを捕集するためのフィルタである。そして、かかる検査用フィルタに吸着されたPM量を測定した値が、DPFに流入する排気ガス中に含まれるPMの含有量を推定するために用いられる。
かかる検査用フィルタ13の材質についても特に制限されるものではなく、一般的に使用されているDPFと同様の材質からなるフィルタを使用することができる。ただし、上述のように、検査用フィルタ13に流入してくるサンプルガスの流量は、排気ガスの全体量に対して少量であるために、排気ガス中のPM浄化用のDPFの大きさよりも、小さくすることが好ましい。この理由は、PM量の測定装置10の小型化を図ることができるとともに、検査用フィルタ13に吸着されたPMを酸化(燃焼)させて行う検査用フィルタ13の再生を、効率的に行うことができるためである。
また、圧力センサ15は、検査用フィルタ13に吸着されたPM量を測定する際のデータとして、検査用フィルタ13の前後における圧力差を測定するためのセンサである。すなわち、検査用フィルタ13にPMが堆積すると、検査用フィルタ13の前後に圧力差(圧損)が生じることとなる。したがって、かかる圧損を測定することにより、検査用フィルタ13に堆積したPM量を算出するために利用することができる。
また、PM量の測定装置10は、検査用フィルタ13に吸着されたPM量を測定する際のデータとして、検査用フィルタ13を通過するサンプルガスの流量を測定するための流量センサ16をさらに備えることが好ましい。この理由は、上述の圧損の値は、排気ガスの流量にも依存するために、かかる排気ガスの流量を測定して、検査用フィルタ13に吸着されたPM量をより精度良く算出するためである。
かかる流量センサ16の種類は特に制限されるものではなく、例えば、ピトー管、電熱線、ベンチュリ管、容積測定流量計、タービンメータ、電磁流量計、及び超音波流量計の少なくとも一つを使用することができる。
また、流量センサを、検査用フィルタの下流側に配置することが好ましい。この理由は、流量センサがPMによって汚染されるのを防止するためである。
また、PM量の測定装置10は、検査用フィルタ13に吸着されたPM量の測定する際のデータとして、検査用フィルタ13に流入するサンプルガスの温度を測定するための温度センサ17をさらに備えることが好ましい。この理由は、上述の圧損の値は、サンプルガスの温度にも依存するために、かかるサンプルガスの温度を測定して、検査用13フィルタに吸着されたPM量をさらに精度良く算出するためである。
また、かかる温度センサ17を複数備えることが好ましい。この理由は、例えば、検査用フィルタ13の入口及び出口を含む複数箇所における排気ガスの温度を測定して、その平均値を算出することにより、排気ガスの温度にばらつきがある場合であっても、検査用フィルタ13中の排気ガスの温度を精度良く測定することができるためである。
また、PM量の測定装置10は、上述の圧力センサ15、さらには流量センサ16、及び温度センサ17において測定された測定値をもとに、検査用フィルタ13に吸着されたPM量を算出するための演算手段19をさらに備えることが好ましい。
かかる算出方法の一例については、第2実施形態に係るパティキュレート量の測定方法において説明する。
また、PM量の測定装置10は、検査用フィルタ13を加熱して、再生させるための再生手段21をさらに備えることが好ましい。この理由は、検査用フィルタ13においても、時間の経過とともにPMが堆積して、上述の圧損等をもとにした検査用フィルタ13に吸着されたPM量の算出に誤差が生じやすくなるためである。したがって、定期的に検査用フィルタ13に吸着されたPMを燃焼させて検査用フィルタ13を再生させることにより、検査用フィルタ13に吸着されたPM量の測定、ひいては、DPFに流入するPM量の推定をより精度良く行うことができる。
かかる再生手段21としては、直接的に検査用フィルタに吸着されたPMを燃焼させる燃焼バーナや、ヒータ(電熱線)等を使用することができる。ただし、本発明のPM量の測定装置10は、DPFよりも著しく小型化されたものであるので、かかる検査用フィルタ13を再生させる際に、大量の時間や、エネルギを消費することがないため、最も簡易な構成で、PMを完全に燃焼させることができることから、ヒータを備えることが好ましい。
また、排気浄化装置を設置する内燃機関としては、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンが典型的であるが、排気浄化部材の取り付けが必須であるばかりか、その再生が必須のディーゼルエンジンを対象とすることが適している。
また、図1において示される排気通路30は、内燃機関の排気口32に接続されており、他端がDPF36に接続される。かかる排気通路30の断面形状は、円形、楕円、あるいは角柱の排気通路30であれば特にその形態は特に制限されるものではない。
ただし、内燃機関51とは独立的に、所定量の一酸化炭素、燃料ガス、及び所定熱量をDPF36に対して供給すべく、DPFの再生手段40を取り付けやすくするために、図2に例示するように、排気通路30の途中に屈曲部38を設けることが好ましい。そして、その屈曲部38に噴射出口39を介して、DPFの再生手段40を接続できるように構成してあることが好ましい。
また、DPF36としては公知材料から構成することができるが、例えば、セラミック材料から構成されたハニカム構造のフィルタであって、排気ガス中のPM等の微粒子を補集してこれを浄化するものである。
また、DPF36の上流側に酸化触媒42を備えることが好ましい。
この理由は、DPF36に排気ガスを流入させる前に、排気ガス中に含まれるHCやNO等を酸化させることができるためである。また、DPF36が目詰まり状態となってきたときに、排気ガスに含まれるHCやCOを効率的に酸化して、酸化触媒42を昇温活性化させるとともに、排気ガスを昇温させることができるために、DPF36に捕集されたPM等を加熱酸化させて、効率的に再生させることができるためである。さらに、酸化触媒42によって酸化されたNO、すなわちNO2がDPF36に捕集されたPMを酸化させることで、当該DPF36をより効率的に再生させることもできるためである。
DPFの再生手段40は、DPFに吸着されたPMを酸化(燃焼)させてDPFを再生させるための手段であり、上述した、PM量の測定装置を用いて推定された、DPFに流入する排気ガス中のPM量が所定値を超える場合に稼動するように制御されていることが好ましい。
例えば、かかるDPFの再生手段40としては、所定量の生ガス(HC)や一酸化炭素(CO)を含む不完全燃焼ガスを発生可能なバーナ40とすることができる。かかるバーナを用いることにより、所定の設定空燃比となるように不完全燃焼ガスを噴射させて、所定量のHC、CO、及び熱量を含む不完全燃焼ガスを供給することにより、DPFの上流側に配置された酸化触媒を昇温活性化させ、排気ガスを高温にして、DPFに吸着されたPMを効率的に燃焼させることができるためである。
この理由は、内燃機関から独立して、内燃機関の排気通路に連通する噴射出口を介して接続してあることにより、内燃機関の運転状態が、仮にアイドリング状態であって、排気温度が比較的低い場合であっても、バーナにおいて、燃料及び空気を所望濃度で混合して、当該内燃機関の運転状態に応じた所定の設定空燃比で燃焼させることができる。あるいは、仮に通常の運転状態であって、排気温度が比較的高い場合であっても、同様に、当該内燃機関の運転状態に応じた所定の設定空燃比で燃焼させることができる。逆に言えば、バーナの燃焼状態もまた、内燃機関の運転状態等に影響を与える可能性が少ないことから、DPFの再生の際に、内燃機関の運転状態等を所定状態に定める必要が無い。したがって、DPFの再生に関して、当該DPFの性能が低下してきた場合に、内燃機関の運転状態にかかわらず、定期的に再生することはもちろんのこと、任意時期であってもDPFを再生することができる。
この理由は、このように構成することにより、例えば、予備混合タイプの構成のバーナと比較して、バーナ40の小型化を図ることができるとともに、噴射する燃焼ガスに含まれる未燃焼のHCの量を容易に制御することができるためである。より詳細には、拡散タイプのオリフィス65によって、燃料を拡散して噴射させることにより、その中心部の燃料は、第2の空気導入管67から取り入れた空気に触れないために不完全燃焼させることができる。したがって、HCやCOを燃焼ガス中に含んだ状態で噴射させることができるものである。
また、排気通路51に連通するDPFの再生手段の噴射出口39と、DPF36との間に、排気ガスの空燃比を測定するラムダセンサ44を備えることが好ましい。
この理由は、このようにラムダセンサ44を備えることにより、バーナ40から噴射された不完全燃焼ガスが混合された排気ガスの空燃比に基づいて、バーナ40での設定空燃比を調整することができるためである。
また、内燃機関51の運転状態に対応させて、DPF36に対し、所定量のCO、HC、及び所定熱量を含む不完全燃焼ガスをDPFに供給することもできる。すなわち、内燃機関51からの排気ガスの温度が比較的高い場合や低い場合、あるいはかかる排気ガスに含まれるCOやHCの含有量が多い場合には、それらを考慮して、所定量のCO、HC、及び所定熱量を調整した上で、不完全燃焼ガスをDPFに供給することができ、より効率的にDPFを再生することができる。
第2実施形態は、図4にそのフローを示すように、パティキュレート量の測定装置を用いて、内燃機関から排出された排気ガス中に含まれるパティキュレートの含有量を測定するためのパティキュレート量の測定方法である。
かかる測定方法は、パティキュレート量の測定装置における導入部から、排気ガスの一部をサンプルガスとして導入させる工程と、サンプルガス中のパティキュレートを検査用フィルタにより吸着させる工程と、検査用フィルタの前後における圧力差を測定する工程と、得られた圧力差の測定値をもとに、検査用フィルタに吸着されたパティキュレート量を算出するとともに、排気ガス中に含まれるパティキュレートの含有量を検証する工程と、を含むことを特徴とする。
以下、第2実施形態に係るPM量の測定方法として、図1に示す、第1実施形態で説明した排気浄化装置であって、所定の導入部、検査用フィルタ、圧力センサ、流量センサ、温度センサ、演算手段、再生手段を備えたPM量の測定装置を備えた排気浄化装置におけるPM量の測定方法について説明する。
まず、排気通路30に接続したPM量の測定装置10における導入部11から、排気通路30中を流れる排気ガスの一部をサンプルガスとして取り出す(S1)。このとき、所定時間毎にサンプルガスを取り出すのではなく、導入部11に対して常に排気ガスの一部が流れ込むようにして、連続的に取り出すようにする。
また、サンプルガスを、検査用フィルタを通過させながら、検査用フィルタ13の前後に配置した圧力センサ15によって、圧力差(圧損)ΔPを測定する(S3)。このとき、PM量の測定装置10が、温度センサを備える場合には、同時に、検査用フィルタ13の前後における、複数箇所に配置した温度センサ17a、17bによって、検査用フィルタ13を通過するサンプルガスの温度TA、TBを測定するとともに、当該測定温度をもとに、検査用フィルタ13の前後におけるサンプルガスの温度差ΔTを算出する。さらに、PM量の測定装置10が流量センサ16を備える場合には、同時に、検査用フィルタ13を通過するサンプルガスの流量mを測定する。
また、サンプルガスの流量測定は、検査用フィルタの下流側で測定することが好ましい。この理由は、流量センサがPMによって汚染されるのを防止するためである。
次いで、測定された検査用フィルタ13の前後における圧損ΔP、サンプルガスの流速U、及びサンプルガスの温度差ΔTをもとに、検査用フィルタ13に吸着されたPM量SLを算出する。例えば、検査用フィルタに吸着されたPM量SLの値は、下記式(1)及び(2)から算出することができる。
α=(ΔP−βρU2)/μU …(1)
α=m3(ΔT)SL 3+m2(ΔT)SL 2+m1(ΔT)SL+m0(ΔT) …(2)
μ:排気ガスの温度に依存する排気ガスの粘性
ρ:排気ガスの温度に依存する排気ガスの密度
ここで、m0〜m4はそれぞれ、以下の予備実験による解析方法により、温度差ΔTの値によって、あらかじめ定められる値である。また、定数βは、以下の予備実験による解析方法によって求められる実験値であって、例えば、0.089とすることができる。
次いで、測定された複数の測定データのうち、検査用フィルタの前後における温度差ΔTSの値が一致するデータをピックアップし、下記式(3)にあてはめて、それぞれの温度差ΔTSにおけるαS及びβSの値を求める。
ΔP=αS・μ・US+βS・ρ・US 2 …(3)
μ:排気ガスの温度に依存する排気ガスの粘性
ρ:排気ガスの温度に依存する排気ガスの密度
そして、SL及びαSが以下の式(4)の関係にあると仮定し、αSをSLに対してプロットしたグラフから、それぞれの温度差ΔTにおけるm0〜m3をそれぞれ求める。
α=m3SL 3+m2SL 2+m1SL+m0 …(4)
このようにして、それぞれの温度差ΔTの値ごとに求められたm0〜m3を上記式(2)に用いることにより、検査用フィルタに捕集されたPM量SLの値を算出することができる。
例えば、サンプルガスの流量をm、DPFに流入する排気ガスの流量をMとした場合には、DPFに流入する排気ガス中のPM量SFLは、SFL=SL×M/mとして算出することができる。このようにすることにより、内燃機関の運転状態やDPFにおけるPMの捕集状態にかかわらず、単位時間当たりのサンプルガス中に含まれるPM量をもとに、同じ単位時間当たりにDPFに流入した排気ガス中に含まれるPM量を精度良く算出することができる。
かかる図5に示すように、DPFに実際に堆積したPM量が、図中にXで示す、所定量に達するまでは、検査用フィルタを用いて算出される推定量が、実際の堆積量よりも小さい値を示すものの、それらの関係を示す実線Aは、理想線Bとほぼ平行に、リニア的に推移している。一方、DPFに実際に堆積したPM量が、所定量Xを超えると、検査用フィルタを用いて算出される推定量と実際の堆積量との関係を示す実線Aは、理想線Bとは異なる角度で推移している。すなわち、実際にDPFに堆積したPM量が所定量Xに達するまでであれば、PM量を推定する際に補正処理することで、算出されるPMの推定量と実際の堆積量との関係を、理想線とほぼ一致させることができる。
したがって、検査用フィルタに捕集されるPM量が所定量Xに到達する前段階で、検査用フィルタを繰り返し再生しながら、DPFに堆積するPM量の推定を行うことにより、DPFに流入する排気ガス中のPM量を精度良く推定できることが理解される。
次に、本発明のPM量の測定方法によって推定されたDPFに流入するPM量が所定値を超える場合に行われる、DPFの再生方法の一例として、上述した所定のバーナを用いた再生方法について説明する。
まず、DPFを再生させる必要が生じた場合には、かかるバーナから不完全燃焼ガスを噴射させる。そうすると、噴射された不完全燃焼ガスに含まれる熱量が、DPFの上流側に配置された酸化触媒に導入され、当該酸化触媒を活性化温度以上まで加熱することができる。そして、燃焼ガス中に含まれる発熱剤としてのCO及びHCが、当該酸化触媒によって酸化反応することにより、酸化触媒の温度がさらに昇温活性化する。したがって、排気ガスの温度が昇温され、当該酸化触媒の下流側に配置されたDPFを効率的に加熱し、フィルタに吸着されたPM等を酸化(燃焼)させることにより、DPFの再生を極めて効率的に行うことができる。
すなわち、内燃機関を通常運転させている場合には、排気温度が比較的高温であり、DPFにおいて、PMの燃焼が効率的に行われる。一方、エンジンの始動時やアイドリング状態等には、排気温度が低温であり、DPFの温度を上昇させることができないために、DPFに吸着したPMの燃焼を行うことが困難となる。したがって、DPFの上流側で、排気通路に連通する噴射出口を介して接続されたバーナから、内燃機関の運転状態に対応させて、バーナでの空燃比を設定して不完全燃焼ガスを噴射させることにより、DPFを効率的に再生させることができる。
この理由は、空燃比が所定範囲内の値となるように、所定の不完全燃焼ガスを噴射させることにより、ディーゼルエンジン等の運転状態がどのような状態にあっても、DPFを所定温度に加熱することができるためである。
また、バーナでの空燃比(ラムダ値)が所定範囲内の値であれば、不完全燃焼ガスの温度を250〜1,200℃の範囲内の値とすることができる。すなわち、例えば、ラムダ値を0.9程度にした場合には、不完全燃焼ガスの温度を約800℃とすることができる。また、ラムダ値を0.5程度にした場合には、不完全燃焼ガスの温度を約450℃とすることができる。さらに、ラムダ値を0.4以下の値とした場合には、その値が小さくなるつれ、不完全燃焼ガスの温度が低下していくものの、次第に横這いになっていく傾向が見られる。
したがって、バーナでの空燃比(ラムダ値)を0.1〜1.0未満の範囲内の値することが好ましく、0.15〜0.8の範囲内の値とすることがより好ましく、0.2〜0.6の範囲内の値とすることがさらに好ましい。このような空燃比となるように不完全燃焼させることにより、所定量のCO、あるいはHCを、DPFの上流側に配置された酸化触媒に対して、250〜1,200℃の高温状態で吹き付けることができる。したがって、酸化触媒を効果的に昇温活性化させるとともに、排気ガスを効果的に昇温させてDPFに導入させることができ、DPFの再生を極めて効率的に行なうことができる。
なお、かかるバーナでの空燃比は、ラムダセンサを用いて実測することもできるし、あるいは、使用する燃料量及び空気量から計算で算出することもできる。
そして、上述したようなバーナを用いるとともに、DPF36の上流側で、排気通路30に連通する噴射出口39を介して接続して、不完全燃焼ガスを噴射させることにより、当該ガスに含まれるCO及びHC、熱量の量を所定範囲内に調整することが極めて容易である。
11:導入部
13:検査用フィルタ
15:圧力センサ
16:流量センサ
17:温度センサ
19:演算手段
21:再生手段
30:排気通路
36:DPF
40:還元剤供給手段(バーナ)
42:酸化触媒
Claims (12)
- 内燃機関と、当該内燃機関から排出された排気ガスを浄化するためのディーゼルパティキュレートフィルタと、の間に取り付けて、前記排気ガス中に含まれるパティキュレートの含有量を測定するためのパティキュレート量の測定装置であって、
前記排気ガスの一部を、サンプルガスとして導入させる導入部と、
前記サンプルガス中のパティキュレートを吸着するための検査用フィルタと、
前記検査用フィルタの前後における圧力の差を測定するための圧力センサと、
を備えることを特徴とするパティキュレート量の測定装置。 - 前記検査用フィルタを通過する前記サンプルガスの流量を測定するための流量センサをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のパティキュレート量の測定装置。
- 前記検査用フィルタを通過する前記サンプルガスの温度を測定するための温度センサをさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のパティキュレート量の測定装置。
- 前記圧力センサにより得られた測定値、さらには前記流量センサ及び温度センサにより得られた測定値をもとに、前記検査用フィルタに吸着されたパティキュレート量を算出する演算手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のパティキュレート量の測定装置。
- 前記検査用フィルタを加熱して、再生するための再生手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のパティキュレート量の測定装置。
- 前記流量センサが、前記検査用フィルタの下流側に配置してあることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のパティキュレート量の測定装置。
- 前記流量センサが、ピトー管、電熱線、ベンチュリ管、容積測定流量計、タービンメータ、電磁流量計、及び超音波流量計のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載のパティキュレート量の測定装置。
- 前記再生手段として、電熱線又はバーナを備えることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載のパティキュレート量の測定装置。
- パティキュレート量の測定装置を用いて、内燃機関から排出された排気ガス中に含まれるパティキュレートの含有量を測定するためのパティキュレート量の測定方法であって、
前記パティキュレート量の測定装置における導入部から、前記排気ガスの一部をサンプルガスとして取り出す工程と、
前記サンプルガス中のパティキュレートを前記検査用フィルタにより吸着させる工程と、
前記検査用フィルタの前後における圧力差を測定する工程と、
得られた前記圧力差の測定値をもとに、前記検査用フィルタに吸着されたパティキュレート量を算出するとともに、前記排気ガス中に含まれるパティキュレートの含有量を検証する工程と、
を含むことを特徴とするパティキュレート量の測定方法。 - 前記検査用フィルタを通過する前記サンプルガスの流量及び温度を測定する工程をさらに含むとともに、得られた前記流量及び温度の測定値をさらに考慮して、前記排気ガス中に含まれるパティキュレートの含有量を検証することを特徴とする請求項9に記載のパティキュレート量の測定方法。
- 前記検査用フィルタを定期的に再生しながら、前記排気ガス中に含まれるパティキュレートの含有量を検証することを特徴とする請求項9又は10に記載のパティキュレート量の測定方法。
- 請求項1〜8のうちのいずれか一項に記載されたパティキュレート量の測定装置を備えた排気浄化装置。
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