以下、図面を用いて、本発明に係る微粒子センサ及び排ガス浄化装置の具体的な実施の形態について説明する。
実施形態1
図1は、本発明の第1実施形態である排ガス浄化装置10の全体構成図を示す。また、図2は、本発明の第1実施形態の排ガス浄化装置10の要部(具体的には、故障を診断することができる故障検出装置18)の構成図を示す。
図1に示す本実施形態の排ガス浄化装置10は、内燃機関12(特にディーゼルエンジン)から排出される排ガスを浄化する装置である。排ガス浄化装置10は、内燃機関12に接続する排気管14上に設けられた、内燃機関12から排出される排ガス中に含まれる微粒子(PM)を捕捉可能な微粒子捕捉フィルタ(DPF)16を備えている。尚、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16の上流側の排気管14を排気管14aとし、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16の下流側の排気管14を排気管14bとする。
本実施形態の排ガス浄化装置10は、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16に故障が発生し、閾値以上の量のPMが排気管14上で微粒子捕捉フィルタ(DPF)16の下流側へ漏れ出した場合に、この故障を検出し、アラームやランプの点滅やランプの点灯等を行うことができる。排ガス浄化装置10は、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16の故障を検出する故障検出装置18(故障診断手段)を備えている(図1及び図2参照)。
故障検出装置18には、排ガス採取ライン17が設けられている。排ガス採取ライン17は、排気管14の、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16の下流側に接続されており、下流側排ガス導入手段として、大気に連通する主排気管14bとは別に設けられている。そして、排ガス採取ライン17は、主排気管14bから分岐されている。排ガス採取ライン17は、主排気管14bの流路断面積よりも小さな流路断面積(例えば、主排気管14bの流路断面積の1/1000程度)を有している。故障検出装置18は、排ガス採取ライン17に流れる排ガス中のPM量に基づいて微粒子捕捉フィルタ(DPF)16の故障を検出する。
故障検出装置18の排ガス採取ライン17上には、2つの微粒子検出フィルタ(以下、単に検出フィルタと称す。)20,22が設けられている。検出フィルタ20,22は、排ガス採取ライン17上において互いに直列接続されている。排ガス採取ライン17の下流端は、排ガス採取ライン17の上流側(主排気管14b側)の圧力よりも低い圧力を有する部位(例えば負圧タンクやエアインテーク部など)19に接続されている。このため、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16を通過した排気管14中の排ガスの一部は、排ガス採取ライン17側に吸引されて、検出フィルタ20,22をその順に通過する。以下、排ガス採取ライン17上での上流側の検出フィルタ20を上流側検出フィルタ20と、下流側の検出フィルタ22を下流側検出フィルタ22と、それぞれ称す。
本実施形態において、検出フィルタ20,22は、排ガス採取ライン17上の検出フィルタ20を通過する排ガスの温度と検出フィルタ22を通過する排ガスの温度との差ができるだけ小さい部位(より好ましくは、排ガス採取ライン17上の温度分布が同じ箇所)に配置される。このため、両検出フィルタ20,22を通過する排ガスの温度に差はほとんど生じない。検出フィルタ20,22は、排ガス中に含まれるPMの量を算出するための検出フィルタであり、層流型流量素子と本質的に同じであって、通過する排ガスの流量と前後の圧力差との関係が略直線的な関係となる構造を有している。検出フィルタ20,22は、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16と同様の多孔質セラミックなどの材質からなり、PMを捕捉することが可能なフィルタである。検出フィルタ20,22は、多孔質構造素子である。尚、検出フィルタ20,22は、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16よりも小型のフィルタであればよい。
図2に示す如く、故障検出装置18には、圧力導入管24,26が設けられている。圧力導入管24の一端は、排ガス採取ライン17の、上流側検出フィルタ20の上流側に接続されている。圧力導入管26の一端は、排ガス採取ライン17の、上流側検出フィルタ20の下流側に接続されている。また、圧力導入管24,26の他端は、圧力センサ28に接続されている。圧力センサ28には、圧力導入管24から排ガス採取ライン17の、上流側検出フィルタ20の上流側に作用する圧力が導かれると共に、圧力導入管26から排ガス採取ライン17の、上流側検出フィルタ20の下流側に作用する圧力が導かれる。圧力センサ28は、排ガス採取ライン17の、上流側検出フィルタ20の上流側と下流側との間に生じる圧力差(すなわち、上流側検出フィルタ20の入口と出口との間の圧力差)に応じた電気信号を出力する。
また、故障検出装置18には、圧力導入管30,32が設けられている。圧力導入管30の一端は、排ガス採取ライン17の、下流側検出フィルタ22の上流側に接続されている。圧力導入管32の一端は、排ガス採取ライン17の、下流側検出フィルタ22の下流側に接続されている。尚、図2に示す如く、下流側検出フィルタ22の上流側にある圧力導入管30と、上記した上流側検出フィルタ20の下流側にある圧力導入管26と、は同じ導入路を構成し、或いは、一部を共用するものである。
圧力導入管30,32の他端は、圧力センサ34に接続されている。圧力センサ34には、圧力導入管30から排ガス採取ライン17の、下流側検出フィルタ22の上流側に作用する圧力が導かれると共に、圧力導入管32から排ガス採取ライン17の、下流側検出フィルタ22の下流側に作用する圧力が導かれる。圧力センサ34は、排ガス採取ライン17の、下流側検出フィルタ22の上流側と下流側との間に生じる圧力差(すなわち、下流側検出フィルタ22の入口と出口との間の圧力差)に応じた電気信号を出力する。
故障検出装置18において、圧力センサ28,34には、マイクロコンピュータを主体に構成される演算部36が電気的に接続されている。圧力センサ28,34の各出力は、演算部36に供給される。演算部36は、圧力センサ28の出力信号に基づいて、排ガス採取ライン17内における、上流側検出フィルタ20の上流側と下流側との間に生じる圧力差ΔPaを検出すると共に、圧力センサ34の出力信号に基づいて、排ガス採取ライン17内における、下流側検出フィルタ22の上流側と下流側との間に生じる圧力差ΔPbを検出する。尚、圧力センサ28,34としては、ダイヤフラム圧力計や、例えばゲージ式、ベローズ式、熱式などの公知の圧力計を用いることとすればよい。
次に、図3及び図4を参照して、本実施形態の排ガス浄化装置10の備える故障検出装置18の動作について説明する。図3は、検出フィルタ20,22を通過する排ガスの流量Qと、その上流側と下流側との圧力差ΔPと、の検出フィルタ20のPM堆積量に応じた関係を表したグラフを示す。また、図4は、検出フィルタ20の上流側と下流側との圧力差の、PM堆積前(ΔPa0)とPM堆積後ΔPaとの比ΔPa/ΔPa0と、検出フィルタ20のPM堆積量との関係を表したグラフを示す。
本実施形態において、内燃機関12から排出された排ガスは、主排気管14aから微粒子捕捉フィルタ(DPF)16を通過した後、主排気管14b内を流通して大気へ放出され、或いは、排ガス採取ライン17内を流通して検出フィルタ20,22へ導かれる。すなわち、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16を通過した排ガスの大部分は、主排気管14b内を流通して大気へ放出されるが、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16を通過した排ガスの一部は、排ガス採取ライン17内を流通して検出フィルタ20,22へ導入される。
検出フィルタ20,22は、上記の如く、検出フィルタ20,22を通過する排ガスの流量と検出フィルタ20,22の前後の圧力差(圧損)との関係が略直線的な関係となる構造を有している。この点、排ガス採取ライン17を流通する排ガスの層流流れの流量Qは、次式(1)で表される。但し、rは排ガス採取ライン17の内径を、ΔPは検出フィルタ20,22前後の圧力差を、ηは排ガスの動粘度を、Lは排ガス採取ライン17の流れ方向の長さを、それぞれ示す。
Q=π・r4・ΔP/(8・η・L) ・・・(1)
尚、排ガス採取ライン17の流路形状が時間変化することはほとんどないため、上記のr及びLは共に固定値とみなすことができる。従って、上記(1)式は次式(2)の如く変形できる(K=π・r4/(8・L))。
ΔP=Q・η/K ・・・(2)
ここで、排ガスの温度が変化すると、その排ガスの動粘度ηが変化する。この際、排ガスの温度と排ガスの動粘度ηとの関係は略直線的に表される。排ガスの動粘度ηが変化すると、その排ガスの流量Qが変化し、或いは、検出フィルタ20,22前後の圧力差ΔPが変化する。すなわち、排ガスの流量Qと検出フィルタ20,22前後の圧力差ΔPとの関係を示す直線の勾配は排ガスの温度に応じて変化する。
尚、排ガスの温度変化が生ずると、検出フィルタ20の初期圧損ΔPa0(すなわち、前後圧力差の初期値のことであって、微粒子(PM)が堆積していないときの前後圧力差のことである。)、及び、検出フィルタ22の初期圧損ΔPb0はそれぞれ変化するが、この際、各初期圧損ΔPa0,ΔPb0の変化がそれぞれ一定の比率で行われれば、初期圧損の比(すなわち初期比)α(=ΔPa0/ΔPb0)は変化しないこととなる。その結果、次式(3)が式(2)から導かれる。
α=ΔPa0/ΔPb0
=(Qa/Qb)・(ηa/ηb)・(Kb/Ka) ・・・(3)
すなわち、式(3)に示す(Kb/Ka)は、排ガスの温度変化が生じても、固定値であるので変化しない。また、排ガスについて温度と動粘度ηとの関係は略直線的に表されるが、両検出フィルタ20,22を通過する排ガスの温度は互いに略同じであるので、排ガスの温度変化が生じても、検出フィルタ20を通過する排ガスの動粘度ηaと検出フィルタ22を通過する排ガスの動粘度ηbとは互いに略同じであり、(ηa/ηb)は略一定である。更に、排ガスについて温度と流量Qとの関係は略直線的に表されるが、両検出フィルタ20,22を通過する排ガスの温度は互いに略同じであるので、排ガスの温度変化が生じても、検出フィルタ20を通過する排ガスの流量Qaと検出フィルタ22を通過する排ガスの流量Qbとは互いに略同じであり、(Qa/Qb)は略一定である。従って、排ガスの温度変化が生じていても、初期圧損の比α(=ΔPa0/ΔPb0)は変化しない。
この点、上流側検出フィルタ20の初期圧損ΔPa0は、下流側検出フィルタ22の初期圧損ΔPb0と、温度変化に対して不変値である一定値αと、を用いて算出できる(ΔPa0=ΔPb0・α)。下流側検出フィルタ22への微粒子(PM)の堆積は皆無であるので、下流側検出フィルタ22の上流側と下流側との間の圧力差ΔPbは、同じ環境下であれば、下流側検出フィルタ22の初期圧損ΔPb0とほとんど変わらない。すなわち、下流側検出フィルタ22の上流側と下流側との間の現環境下での圧力差ΔPbから、同じ環境下での下流側検出フィルタ22の初期圧損ΔPb0を求めることができる。従って、排ガスの温度変化に対して不変値である一定値αと、圧力センサ34の出力に基づく下流側検出フィルタ22の上流側と下流側との間の現環境下での圧力差ΔPbと、に基づいて、排ガスの温度を検出することなく、その圧力センサ34を用いた下流側検出フィルタ22の圧力差ΔPbの検出時と同じ環境下での上流側検出フィルタ20の初期圧損ΔPa0を推定することができる。
また、上流側検出フィルタ20は、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16を通過した排ガス中の微粒子(PM)を捕捉することが可能であるので、上流側検出フィルタ20の下流には排ガス中の微粒子(PM)が排出されることはなく、下流側検出フィルタ22には微粒子(PM)を含まない排ガスが流通する。このように、上流側検出フィルタ20には微粒子(PM)が捕捉されるが、その微粒子(PM)の堆積量が増えると、上流側検出フィルタ20前後の圧力差ΔPaが増加する。上流側検出フィルタ20前後の圧力差の、堆積前の初期値(初期圧損)をΔPa0としかつ堆積後の値をΔPaとし、ΔPa/ΔPa0=βとした場合、このβは上流側検出フィルタ20に堆積した微粒子(PM)量に比例した関係となる(図4参照)。
上流側検出フィルタ20を通過する排ガスの流量Qaと、その上流側検出フィルタ20の上流側と下流側との間の圧力差ΔPaと、は上流側検出フィルタ20の微粒子(PM)の堆積量に応じた比例関係(上流側検出フィルタ20の微粒子(PM)の堆積量に応じて直線状に傾斜した関係)にある(図3参照)。すなわち、上流側検出フィルタ20の上流側と下流側との間の圧力差ΔPaの、上流側検出フィルタ20への微粒子(PM)の堆積前(ΔPa0)と堆積後(ΔPa)との比βは、上流側検出フィルタ20に堆積する微粒子(PM)量が同じであるものとした場合には排ガスの流量Qaにかかわらず略一定である(β=ΔPa/ΔPa0)。従って、上記した比βを算出すれば、その比βの大きさに基づいて、排ガスの流量Qaを検出することなく、上流側検出フィルタ20の微粒子(PM)堆積量を算出することができる。
そこで、本実施形態において、演算部36は、定期的に、圧力センサ28の出力信号に基づいて、排ガス採取ライン17内における、上流側検出フィルタ20の上流側と下流側との間に生じる圧力差ΔPaを検出する。また、演算部36は、定期的に、圧力センサ34の出力信号に基づいて、排ガス採取ライン17内における、下流側検出フィルタ22の上流側と下流側との間に生じる圧力差ΔPbを検出する。
演算部36は、検出フィルタ20,22の初期圧損の比α(=ΔPa0/ΔPb0)(具体的には、検出フィルタ20,22に微粒子(PM)が堆積していないとき(例えば排ガス浄化装置10の製造直後)において、圧力センサ28を用いて検出される検出フィルタ20の上流側と下流側との間の圧力差ΔPaと、圧力センサ34を用いて検出される検出フィルタ22の上流側と下流側との間の圧力差ΔPbと、の初期比)と、圧力センサ34を用いて検出した上記の圧力差ΔPbと、に基づいて、現環境下(すなわち、その圧力センサ34を用いた圧力差ΔPbの検出時と同じ温度環境下)での上流側検出フィルタ20の初期圧損ΔPa0を推定する。
次に、その推定した上流側検出フィルタ20の初期圧損ΔPa0と、圧力センサ28を用いて検出した上記の圧力差ΔPaと、に基づいて、それらの比β(=ΔPa/ΔPa0)を算出する。そして、その比βの大きさに基づいて、予め定められている比βと上流側検出フィルタ20の微粒子(PM)堆積量との関係を参照することにより、上流側検出フィルタ20に堆積する微粒子(PM)量を算出する。
このように、本実施形態においては、上流側検出フィルタ20に堆積する微粒子(PM)量を算出するのに、排ガス採取ライン17に直列接続されている上流側検出フィルタ20及び下流側検出フィルタ22の、上流側と下流側との間の各圧力差ΔPa,ΔPbを検出するだけで十分であり、排ガスの温度や流通する排ガスの流量を検出することは不要である。従って、本実施形態によれば、圧力センサ28,34を用いて検出される各圧力差ΔPa,ΔPbを用いることで、排ガスの温度や流通する排ガスの流量を検出することなく、すなわち、排ガス用の温度センサや排ガス用の流量センサを搭載することなく、上流側検出フィルタ20に堆積する微粒子(PM)量を精度よく算出することができる。このため、本実施形態によれば、排ガス浄化装置10や故障検出装置18の小型化かつ低コストを図ることが可能となっている。
本実施形態の故障検出装置18において、演算部36は、上述の如く、上流側検出フィルタ20の微粒子(PM)堆積量を算出すると、その上流側検出フィルタ20の微粒子(PM)堆積量に基づいて、主排気管14において微粒子捕捉フィルタ(DPF)16の下流側を流通する排ガス中に含まれる微粒子(PM)量を算出してその微粒子捕捉フィルタ(DPF)16の下流側に漏れ出した微粒子(PM)の量が閾値以上であるか否かを判別することで、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16の故障有無を判定する。そして、算出した上流側検出フィルタ20の微粒子(PM)堆積量に基づく判別の結果、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16に故障が生じたと判定したときは、故障検出装置18は、アラームやランプの点滅、点灯などを発する。従って、本実施形態によれば、上流側検出フィルタ20の微粒子(PM)堆積量を算出し主排気管14において微粒子捕捉フィルタ(DPF)16の下流側を流通する排ガス中に含まれる微粒子(PM)量を算出して微粒子捕捉フィルタ(DPF)16の故障有無を判定し、その故障有判定時には本実施形態の排ガス浄化装置10を搭載する車両等の運転者にその故障を知らせることが可能である。
尚、本実施形態においては、上記の如く、下流側検出フィルタ22の上流側にある圧力導入管30と、上流側検出フィルタ20の下流側にある圧力導入管26と、が同じ導入路を構成し、或いは、一部を共用するものである。このため、故障検出装置18の小型化・低コスト化を図ることが可能である。
実施形態2
図5は、本発明の第2実施形態である排ガス浄化装置100の全体構成図を示す。また、図6は、本実施形態の排ガス浄化装置100の要部構成図を示す。尚、図5において、上記図1に示す構成部分と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
本実施形態の排ガス浄化装置100は、図5に示す如く、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16を備えており、内燃機関12(すなわち、ディーゼルエンジン)から排出される排ガスを浄化する装置である。排ガス浄化装置100は、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16に堆積する微粒子(PM)の量を測定し、その微粒子(PM)量が閾値以上である場合に、その微粒子捕捉フィルタ(DPF)16に堆積した微粒子(PM)を酸化燃焼することで、その微粒子捕捉フィルタ(DPF)16を再生することができる。排ガス浄化装置100は、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16に堆積する微粒子(PM)の量を測定する測定装置104を備えている。
測定装置104には、排ガス採取ライン102が設けられている。排ガス採取ライン102は、排気管14の、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16の上流側に接続されており、上流側排ガス導入手段として、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16に接続する主排気管14aとは別に設けられている。排ガス採取ライン102は、主排気管14aから分岐されており、主排気管14aの流路断面積よりも小さな流路断面積(例えば、主排気管14aの流路断面積の1/1000程度)を有している。測定装置104は、排ガス採取ライン102に流れる排ガス中の微粒子(PM)量に基づいて、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16に堆積する微粒子(PM)量を測定する。
排ガス採取ライン102上には、図6に示す如く、2つの微粒子検出フィルタ(以下、単に検出フィルタと称す。)106,108が設けられている。検出フィルタ106,108は、測定装置104の中に、排ガス採取ライン102上において互いに直列接続されている。排ガス採取ライン102の下流端は、主排気管14の、DPF16の下流側(すなわち、主排気管14b)に接続されている。すなわち、排ガス採取ライン102は、主排気管14に並列に接続されている。このため、内燃機関12から排出された排ガスの一部は、主排気管14aから排ガス採取ライン102に流入して、検出フィルタ106,108をその順に通過し、その後、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16の下流側にある主排気管14bで微粒子捕捉フィルタ(DPF)16を通過した排ガスと合流する。以下、排ガス採取ライン102上での上流側の検出フィルタ106を上流側検出フィルタ106と、下流側の検出フィルタ108を下流側検出フィルタ108と、それぞれ称す。
本実施形態において、検出フィルタ106,108は、排ガス採取ライン102上の上流側検出フィルタ106を通過する排ガスの温度と下流側検出フィルタ108を通過する排ガスの温度との差ができるだけ小さい部位(より好ましくは、排ガス採取ライン102上の温度分布が同じ箇所)に配置される。このため、両検出フィルタ106,108を通過する排ガスの温度に差はほとんど生じない。検出フィルタ106,108は、排ガス中に含まれる微粒子(PM)の量を算出するためのフィルタであり、層流型流量素子と本質的に同じであって、検出フィルタ106,108を通過する排ガスの流量と検出フィルタ106,108の前後の圧力差との関係が略直線的な関係となる構造を有している。検出フィルタ106,108は、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16と同様の多孔質セラミックなどの材質からなり、微粒子(PM)を捕捉することが可能なフィルタである。尚、検出フィルタ106,108は、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16よりも小型のフィルタであればよい。
図6に示す如く、測定装置104には、圧力導入管110,112が設けられている。圧力導入管110の一端は、排ガス採取ライン102の、上流側検出フィルタ106の上流側に接続されている。圧力導入管112の一端は、排ガス採取ライン102の、上流側検出フィルタ106の下流側に接続されている。また、圧力導入管110,112の他端は、圧力センサ114に接続されている。圧力センサ114には、圧力導入管110から排ガス採取ライン102の、上流側検出フィルタ106の上流側に作用する圧力が導かれると共に、圧力導入管112から排ガス採取ライン102の、上流側検出フィルタ106の下流側に作用する圧力が導かれる。圧力センサ114は、排ガス採取ライン102の、上流側検出フィルタ106の上流側と下流側との間に生じる圧力差(すなわち、上流側検出フィルタ106の入口と出口との間の圧力差)に応じた電気信号を出力する。
また、測定装置104には、圧力導入管116,118が設けられている。圧力導入管116の一端は、排ガス採取ライン102の、下流側検出フィルタ108の上流側に接続されている。圧力導入管118の一端は、排ガス採取ライン102の、下流側検出フィルタ108の下流側に接続されている。尚、図6に示す如く、下流側検出フィルタ108の上流側にある圧力導入管116と、上記した上流側検出フィルタ106の下流側にある圧力導入管112と、は同じ導入路を構成し、或いは、一部を共用するものである。
圧力導入管116,118の他端は、圧力センサ120に接続されている。圧力センサ120には、圧力導入管116から排ガス採取ライン102の、下流側検出フィルタ108の上流側に作用する圧力が導かれると共に、圧力導入管118から排ガス採取ライン102の、下流側検出フィルタ108の下流側に作用する圧力が導かれる。圧力センサ120は、排ガス採取ライン102の、下流側検出フィルタ108の上流側と下流側との間に生じる圧力差(すなわち、下流側検出フィルタ108の入口と出口との間の圧力差)に応じた電気信号を出力する。
測定装置104において、圧力センサ114,120には、マイクロコンピュータを主体に構成される演算部122が電気的に接続されている。圧力センサ114,120の各出力は、演算部122に供給される。演算部122は、圧力センサ114の出力信号に基づいて、排ガス採取ライン102内における、上流側検出フィルタ106の上流側と下流側との間に生じる圧力差ΔPaを検出すると共に、圧力センサ120の出力信号に基づいて、排ガス採取ライン102内における、下流側検出フィルタ108の上流側と下流側との間に生じる圧力差ΔPbを検出する。尚、圧力センサ114,120としては、ダイヤフラム圧力計や、例えばゲージ式、ベローズ式、熱式などの公知の圧力計を用いることとすればよい。
次に、本実施形態の排ガス浄化装置100の備える測定装置104の動作について説明する。
本実施形態において、内燃機関12から排出された排ガスは、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16の上流側にある主排気管14aからDPF16を通過した後に主排気管14b内を流通して大気へ放出され、或いは、DPF16の上流側にある主排気管14aから排ガス採取ライン102内を流通して検出フィルタ106,108を通過した後に主排気管14b内へ流入して大気へ放出される。
検出フィルタ106,108は、検出フィルタ20,22と同様に、検出フィルタ106,108を通過する排ガスの流量と検出フィルタ106,108の前後の圧力差(圧損)との関係が略直線的な関係となる構造を有しているので、排ガス採取ライン102を流通する排ガスの層流流れの流量Qは上記(1)式で表される。従って、本実施形態においても、検出フィルタ106,108の温度変化に対して不変値である一定の初期圧損比αと、圧力センサ120の出力に基づく下流側検出フィルタ108の上流側と下流側との間の現環境下での圧力差ΔPbと、に基づいて、排ガスの温度を検出することなく、その圧力センサ120を用いた下流側検出フィルタ108の圧力差ΔPbの検出時と同じ環境下での上流側検出フィルタ106の初期圧損ΔPa0を推定することができる。また、その微粒子(PM)堆積前の上流側検出フィルタ106の初期圧損ΔPa0と、圧力センサ114の出力に基づく上流側検出フィルタ106の上流側と下流側との間の現環境下での圧力差ΔPaと、の比β(=ΔPa/ΔPa0)の大きさに基づいて、上流側検出フィルタ106を通過する排ガスの流量Qaを検出することなく、上流側検出フィルタ106の微粒子(PM)堆積量を算出することができる。
そこで、本実施形態において、演算部122は、定期的に、圧力センサ114の出力信号に基づいて、排ガス採取ライン102内における、上流側検出フィルタ106の上流側と下流側との間に生じる圧力差ΔPaを検出すると共に、圧力センサ120の出力信号に基づいて、排ガス採取ライン102内における、下流側検出フィルタ108の上流側と下流側との間に生じる圧力差ΔPbを検出する。
演算部122は、検出フィルタ106,108の初期圧損の比α(=ΔPa0/ΔPb0)(具体的には、検出フィルタ106,108に微粒子(PM)が堆積していないとき(例えば排ガス浄化装置100の製造直後)において、圧力センサ114,120を用いて検出される各検出フィルタ106,108の上流側と下流側との間の圧力差ΔPa,ΔPbの初期比)と、圧力センサ120を用いて検出した上記の圧力差ΔPbと、に基づいて、現環境下(すなわち、その圧力センサ120を用いた圧力差ΔPbの検出時と同じ温度環境下)での上流側検出フィルタ106の初期圧損ΔPa0を推定する。
次に、その推定した上流側検出フィルタ106の初期圧損ΔPa0と、圧力センサ114を用いて検出した上記の圧力差ΔPaと、に基づいて、それらの比β(=ΔPa/ΔPa0)を算出する。そして、その比βの大きさに基づいて、予め定められている比βと上流側検出フィルタ106の微粒子(PM)堆積量との関係を参照することにより、上流側検出フィルタ106に堆積する微粒子(PM)量を算出する。
このように、本実施形態においては、上流側検出フィルタ106に堆積する微粒子(PM)量を算出するのに、排ガス採取ライン102に直列接続されている上流側検出フィルタ106及び下流側検出フィルタ108の、上流側と下流側との間の各圧力差ΔPa,ΔPbを検出するだけで十分であり、排ガスの温度や流通する排ガスの流量を検出することは不要である。従って、本実施形態によれば、圧力センサ114,120を用いて検出される各圧力差ΔPa,ΔPbを用いることで、排ガスの温度や流通する排ガスの流量を検出することなく、すなわち、排ガス用の温度センサや排ガス用の流量センサを搭載することなく、上流側検出フィルタ106に堆積する微粒子(PM)量を精度よく算出することができる。このため、本実施形態によれば、排ガス浄化装置100や測定装置104の小型化かつ低コストを図ることが可能となっている。
本実施形態の測定装置104において、演算部122は、上述の如く、上流側検出フィルタ106の微粒子(PM)堆積量を算出すると、その微粒子(PM)堆積量に基づいて、主排気管14aにおいて微粒子捕捉フィルタ(DPF)16の上流側を流通する排ガス中に含まれる微粒子(PM)量を算出してその微粒子捕捉フィルタ(DPF)16に堆積した微粒子(PM)の量を算出・推定する。そして、算出した上流側検出フィルタ106の微粒子(PM)堆積量が閾値を超えた場合に微粒子捕捉フィルタ(DPF)16の微粒子(PM)堆積量が閾値を超えたものとして、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16中の微粒子(PM)を酸化燃焼させて微粒子捕捉フィルタ(DPF)16から微粒子(PM)を除去させる。具体的には、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16からの微粒子(PM)除去のため、内燃機関12から高温の排ガスを排出させる。従って、本実施形態によれば、上流側検出フィルタ106の微粒子(PM)堆積量を算出して微粒子捕捉フィルタ(DPF)16の微粒子(PM)堆積量を推定し、その微粒子(PM)堆積量が過大となった時にその微粒子捕捉フィルタ(DPF)16を再生させることが可能である。
尚、本実施形態においては、上記の如く、下流側検出フィルタ108の上流側にある圧力導入管116と、上流側検出フィルタ106の下流側にある圧力導入管112と、が同じ導入路を構成し、或いは、一部を共用するものである。このため、測定装置104の小型化・低コスト化を図ることが可能である。
実施形態3
ところで、上記の第1実施形態は、上流側検出フィルタ20と下流側検出フィルタ22とが略同じ性能や形状を有することを前提としたものではない。これに対して、本発明の第3実施形態は、上流側検出フィルタ20と下流側検出フィルタ22とが略同じ性能や形状を有することを前提としている。尚、本実施形態において、上記の第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
すなわち、本実施形態において、上流側検査用フィルタ20と下流側検査用フィルタ22とは、単一成形体等により構成されており、互いに略同じ性能や形状(例えば、同一の厚みや同一のPM捕集面積,同一の動粘度など)を有している。また、これらの検出フィルタ20,22は、排ガスの温度差が生じないほど近接して配置されている。
このため、本実施形態において、上流側検出フィルタ20の初期圧損ΔPa0と下流側検出フィルタ22の初期圧損ΔPb0とは略同じである(ΔPa0≒ΔPb0)と共に、両検出フィルタ20,22の間に生じる温度差は常に略ゼロである。また、下流側検出フィルタ22への微粒子(PM)の堆積は皆無であるので、下流側検出フィルタ22の上流側と下流側との間の圧力差ΔPbはその初期圧損ΔPb0とほとんど変わらない。
従って、圧力センサ34を用いて検出される下流側検出フィルタ22の前後の現環境下での圧力差ΔPbから、同じ環境下での下流側検出フィルタ22の初期圧損ΔPb0を求めることができ、ひいては、同じ環境下での上流側検出フィルタ20の初期圧損ΔPa0を求めることができる。この点、圧力センサ34を用いて検出される下流側検出フィルタ22の前後の現環境下での圧力差ΔPbに基づいて、排ガスの温度を検出することなく、その圧力センサ34を用いた下流側検出フィルタ22の圧力差ΔPbの検出時と同じ環境下での上流側検出フィルタ20の初期圧損ΔPa0を推定することができる。
また、上述した如く、排ガスに含まれる微粒子(PM)は、上流側検出フィルタ20に堆積する一方で、下流側検出フィルタ22には堆積しない。そして、上流側検出フィルタ20に堆積する微粒子(PM)の堆積量が増えるほど、上流側検出フィルタ20前後の圧力差ΔPaが増加する。すなわち、同じ排ガスの温度環境下でかつ同じ排ガスの流量下であれば、上流側検出フィルタ20前後の圧力差の、微粒子(PM)の堆積前の初期値と微粒子(PM)の堆積後の値との差(変化)は、微粒子(PM)堆積量に応じたものとなる。従って、同じ排ガスの温度環境下でかつ同じ排ガスの流量下において、上流側検出フィルタ20前後の圧力差の、初期圧損ΔPa0からの変化量を計算すれば、その変化量の大きさに基づいて、上流側検出フィルタ20の微粒子(PM)堆積量を算出することができる。
尚、上記の如く、算出される上流側検出フィルタ20の微粒子(PM)堆積量には、排ガスの温度や排ガスの流量に依存した因子が含まれているので、上流側検出フィルタ20の微粒子(PM)堆積量を精度良く算出するうえでは、かかる因子をキャンセルする無次元化を図ることが必要である。
そこで、本実施形態において、演算部36は、定期的に、圧力センサ28の出力信号に基づいて、排ガス採取ライン17内における、上流側検出フィルタ20の上流側と下流側との間に生じる圧力差ΔPaを検出すると共に、圧力センサ34の出力信号に基づいて、排ガス採取ライン17内における、下流側検出フィルタ22の上流側と下流側との間に生じる圧力差ΔPbを検出する。
演算部36は、圧力センサ34を用いて検出した上記の圧力差ΔPbに基づいて、現環境下(すなわち、その圧力センサ34を用いた圧力差ΔPbの検出時と同じ温度環境下)での初期圧損ΔPb0、すなわち、上流側検出フィルタ20の初期圧損ΔPa0を推定する。次に、その推定した初期圧損ΔPa0と、圧力センサ28を用いて検出した上記の圧力差ΔPaと、に基づいて、それらの差(変化量)を算出する(ΔPa−ΔPa0)。
演算部36は、その算出した変化量(ΔPa−ΔPa0)と、上記の如く推定した初期圧損ΔPa0と、に基づいて、それらの比(=(ΔPa−ΔPa0)/ΔPa0)を算出する。この場合には、算出される上記の変化量(ΔPa−ΔPa0)に含まれる排ガスの温度や排ガスの流量に依存した因子がキャンセルされることとなる。そして、その算出される比(=(ΔPa−ΔPa0)/ΔPa0)の大きさに基づいて、予め定められている比と微粒子(PM)堆積量との関係を参照することにより、上流側検出フィルタ20に堆積する微粒子(PM)量を算出する。
このように、本実施形態においても、上流側検出フィルタ20に堆積する微粒子(PM)量を算出するのに、排ガス採取ライン17に直列接続されている上流側検出フィルタ20及び下流側検出フィルタ22の、上流側と下流側との間の各圧力差ΔPa,ΔPbを検出するだけで十分であり、排ガスの温度や流通する排ガスの流量を検出することは不要である。従って、本実施形態によれば、圧力センサ28,34を用いて検出される各圧力差ΔPa,ΔPbを用いることで、排ガスの温度や流通する排ガスの流量を検出することなく、すなわち、排ガス用の温度センサや排ガス用の流量センサを搭載することなく、上流側検出フィルタ20に堆積する微粒子(PM)量を精度よく算出することができる。このため、本実施形態によれば、排ガス浄化装置10や故障検出装置18の小型化かつ低コストを図ることが可能となっている。
また、本実施形態においては、上流側検出フィルタ20と下流側検出フィルタ22とは、互いに略同じ性能や形状を有しているため、上記の第1実施形態と異なり、上流側検出フィルタ20に堆積する微粒子(PM)量を算出するのに、検出フィルタ20,22前後の初期圧損(ΔPa0,ΔPb0)の比を求め或いは記憶させておく必要はない。従って、本実施形態によれば、上流側検出フィルタ20の微粒子(PM)堆積量を算出するうえで、排ガス浄化装置10のハード・ソフトの両面で小型化かつ低コストを図ることが可能となっている。
尚、上記の第2実施形態も、上記の第1実施形態と同様に上流側検出フィルタ106と下流側検出フィルタ108とが略同じ性能や形状を有することを前提としたものではないが、上流側検出フィルタ106と下流側検出フィルタ108とが略同じ性能や形状を有することとして本実施形態を適用することとしてもよい。
すなわち、この変形例において、演算部122は、定期的に、圧力センサ114の出力信号に基づいて、排ガス採取ライン102内における、上流側検出フィルタ106の上流側と下流側との間に生じる圧力差ΔPaを検出すると共に、圧力センサ120の出力信号に基づいて、排ガス採取ライン102内における、下流側検出フィルタ108の上流側と下流側との間に生じる圧力差ΔPbを検出する。
演算部122は、圧力センサ120を用いて検出した上記の圧力差ΔPbに基づいて、現環境下(すなわち、その圧力センサ120を用いた圧力差ΔPbの検出時と同じ温度環境下)での初期圧損ΔPb0、すなわち、上流側検査用フィルタ106の初期圧損ΔPa0を推定する。次に、その推定した初期圧損ΔPa0と、圧力センサ114を用いて検出した上記の圧力差ΔPaと、に基づいて、それらの差(変化量)を算出する(ΔPa−ΔPa0)。
演算部122は、その算出した変化量(ΔPa−ΔPa0)と、上記の如く推定した初期圧損ΔPa0と、に基づいて、それらの比(=(ΔPa−ΔPa0)/ΔPa0)を算出する。この場合には、算出される上記の変化量(ΔPa−ΔPa0)に含まれる排ガスの温度や排ガスの流量に依存した因子がキャンセルされることとなる。そして、その算出される比(=(ΔPa−ΔPa0)/ΔPa0)の大きさに基づいて、予め定められている比と微粒子(PM)堆積量との関係を参照することにより、上流側検出フィルタ106に堆積する微粒子(PM)量を算出する。
このように、本実施形態においても、上流側検出フィルタ106に堆積する微粒子(PM)量を算出するのに、排ガス採取ライン102に直列接続されている上流側検出フィルタ106及び下流側検出フィルタ108の、上流側と下流側との間の各圧力差ΔPa,ΔPbを検出するだけで十分であり、排ガスの温度や流通する排ガスの流量を検出することは不要である。従って、本実施形態によれば、圧力センサ114,120を用いて検出される各圧力差ΔPa,ΔPbを用いることで、排ガスの温度や流通する排ガスの流量を検出することなく、すなわち、排ガス用の温度センサや排ガス用の流量センサを搭載することなく、上流側検出フィルタ106に堆積する微粒子(PM)量を精度よく算出することができる。このため、本実施形態によれば、排ガス浄化装置100や測定装置104の小型化かつ低コストを図ることが可能となる。
また、本実施形態においては、上流側検出フィルタ106と下流側検出フィルタ108とは、互いに略同じ性能や形状を有しているため、上記の第2実施形態と異なり、上流側検出フィルタ106に堆積する微粒子(PM)量を算出するのに、検出フィルタ106,108前後の初期圧損の比を求め或いは記憶させておく必要はない。従って、本実施形態によれば、上流側検出フィルタ106の微粒子(PM)堆積量を算出するうえで、排ガス浄化装置100のハード・ソフトの両面で小型化かつ低コストを図ることが可能となる。
以上、本発明を好ましい実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
例えば、第1実施形態の2つの圧力センサ28,34(第2実施形態では圧力センサ114,120)を用いて第1実施形態の2つの検出フィルタ20,22(第2実施形態では検出フィルタ106,108)の前後に作用する各圧力差をそれぞれ検出することとしているが、上流側検出フィルタ20(106)の上流側に作用する圧力、上流側検出フィルタ20(106)の下流側(すなわち下流側検出フィルタ22(108)の上流側)に作用する圧力、及び下流側検出フィルタ22(108)の下流側に作用する圧力を、それぞれ検出するための3つの圧力センサを設け、3つの部位の圧力をそれぞれ検出したうえで、演算により2つの検出フィルタ20,22(106,108)の前後に作用する各圧力差をそれぞれ検出することとしてもよい。
また、上記の第2実施形態においては、図5に示す如く、排ガス採取ライン102の上流端を主排気管14aに接続しかつその下流端を主排気管14bに接続して、排ガス採取ライン102を微粒子捕捉フィルタ(DPF)16をバイパスするように排気管14に並列に設けることとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、排ガス採取ライン102の下流端をポンプに接続して排ガス採取ライン102に排ガスを引き込むこととしてもよいし、また、排ガス採取ライン102の下流端を微粒子捕捉フィルタ(DPF)16の上流側の主排気管14aに接続することとしてもよいし、或いは、そのまま大気開放することとしてもよい。
また、上記の第2実施形態においては、排ガス採取ライン102及び検出フィルタ106,108の全体で流通する排ガスの温度を一定温度に保つための保温手段を設けることとはしていないが、図7に示す如く、そのための保温手段200を設けることとしてもよい。この保温手段200は、例えば電熱線などのヒータである。かかる本発明の実施形態の変形例の構成によれば、排ガス採取ライン102及び検出フィルタ106,108の全体における温度変化を抑制することができるので、排ガス採取ライン102及び検出フィルタ106,108内での結露を防止することができると共に、検出フィルタ106,108の各初期圧損ΔPa0,ΔPb0を一定に保つことができる。
また、上記の第2実施形態においては、上流側検出フィルタ106に堆積する微粒子(PM)を酸化燃焼して除去する微粒子除去手段(再生手段)を設けることとはしていないが、図8に示す如く、その再生手段300を設けることとしてもよい。この再生手段300は、例えばヒータ(電熱線)やバーナなどである。また、再生手段300は、例えば微粒子捕捉フィルタ(DPF)16の再生と同タイミングで上流側検出フィルタ106の再生が行われるように作動される。かかる本発明の実施形態の変形例の構成によれば、上流側検出フィルタ106に堆積する微粒子(PM)の酸化燃焼によりその上流側検出フィルタ106の再生を行うことができるので、微粒子捕捉フィルタ(DPF)16の微粒子(PM)堆積量を精度良く算出・推定することが可能となる。
尚、更に、上流側検出フィルタ106の下流側に微粒子(PM)が漏れる場合があるので、下流側検出フィルタ108に対しても微粒子除去手段(再生手段)を設けて、下流側検出フィルタ108に堆積する微粒子(PM)を酸化燃焼して除去しその下流側検出フィルタ108を再生することとしてもよい。
尚、上記の第1及び第2実施形態においては、故障検出装置18及び測定装置104が特許請求の範囲に記載した「微粒子センサ」に、上流側検出フィルタ20,106が特許請求の範囲に記載した「第1検出フィルタ」に、また、下流側検出フィルタ22,108が特許請求の範囲に記載した「第2検出フィルタ」に、それぞれ相当している。
また、上流側検出フィルタ20,106の上流側と下流側との圧力差ΔPaが特許請求の範囲に記載した「第1圧力差」に、演算部36,122が上流側検出フィルタ20,106の上流側と下流側との圧力差ΔPaを検出することが特許請求の範囲に記載した「第1差圧検出手段」に、下流側検出フィルタ22,108の上流側と下流側との圧力差ΔPbが特許請求の範囲に記載した「第2圧力差」に、また、演算部36,122が下流側検出フィルタ22,108の上流側と下流側との圧力差ΔPbを検出することが特許請求の範囲に記載した「第2差圧検出手段」に、それぞれ相当している。