JP2006225627A - 水性スクラッチ組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 隠蔽性を有する顔料粒子と、凝集団塊性を有する樹脂の水性エマルションを含む水性スクラッチ組成物であって、
前記隠蔽性を有する顔料粒子が、鱗片状のアルミニウム粒子又は合成樹脂粒子であり、
前記凝集団塊性を有する樹脂の水性エマルションが、スチレンブタジエンゴム又はカルボキシ変性スチレンブタジエンゴムの水性エマルションである。
【選択図】 なし
Description
前記組成物に凝集団塊性を与えるところの前記樹脂としては、具体的にはスチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム又はカルボキシ変性スチレンブタジエンゴムなどの水性エマルションであるゴムラテックスである。
また、例えば、乾燥温度が常温乾燥であれば、前記組成物中に、上限値が−30℃以下、好ましくは−40℃以下、より好ましくは−50℃以下、下限値が好ましくは−100℃、より好ましくは−70℃のガラス転移温度(Tg)を持つ水性樹脂エマルションが含まれていることが好ましい。具体的には、前記組成物中に、−30℃以下のガラス転移温度(Tg)を持つスチレンブタジエンゴム、カルボキシ変性スチレンブタジエンゴムなどのスチレンブタジエンゴム(SBR)系等の水性エマルションやアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)の水性樹脂エマルションが含まれていることが好ましい。
また、例えば、形成される塗膜の乾燥温度以上の最低造膜温度(MFT)又ガラス転移温度(Tg)を有する樹脂の水性エマルション(ラテックス)を用いることができる。具体的には、前記組成物中に、形成される塗膜の乾燥温度以上の最低造膜温度(MFT)又ガラス転移温度(Tg)を有するスチレンブタジエンゴム、カルボキシ変性スチレンブタジエンゴムなどのスチレンブタジエンゴム(SBR)系等の水性エマルションやアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)の水性樹脂エマルションが含まれていることが好ましい。
例えば、乾燥温度が常温乾燥であれば、前記組成物中に、下限値が30℃以上、好ましくは35℃以上、より好ましくは40℃以上、上限値が80℃以下、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下のガラス転移温度(Tg)を持つ樹脂の水性エマルションが含まれていることが好ましい。具他的には、前記組成物中に、30℃以上のガラス転移温度(Tg)を持つスチレンブタジエンゴム、カルボキシ変性スチレンブタジエンゴムなどのスチレンブタジエンゴム(SBR)系等の水性エマルションやアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)の水性樹脂エマルションが含まれていることが好ましい。
上記により、−30℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂の水性エマルションは凝集団塊性を持ち、30℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂の水性エマルションは造膜せずに脆い凝集体を形成することから、−30℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂の水性エマルションと、30℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂を混合を調整することによって、紙種に応じた乾燥塗膜の剥離性(剥離強度又は接着強度)をコントロールすることが可能となる。
本発明では、スクラッチ組成物とするために、隠蔽性を有する顔料粒子、好ましくは鱗片状粒子を用いることができる。例えば、アルミニウム顔料、プラスチックピグメント(合成樹脂粒子顔料)、タルク、アルミナ等の無機顔料などの、隠蔽性を有する顔料粒子を単独又は混合して用いることもできる。
中空形状の粒子としては、例えば、Rhom and Hass社製の商品名、ローペイクHP−1055(平均粒子径:1.00μm)、ローペイクHP−91(平均粒子径:1.00μm)、ローペイクOP−84J(平均粒子径:0.55μm)、ローペイクHP433J(平均粒子径:0.40μm)、日本ゼオン社製の商品名MH5055(平均粒子径:0.50μm)、JSR社製の商品名、SX866(A)(平均粒子径:0.30μm)、SX866(B)(平均粒子径:0.30μm)、SX866(C)(平均粒子径:0.30μm)、SX866(D)(平均粒子径:0.30μm)、SX8782(D)(平均粒子径:1.00μm)、SX8782(A)(平均粒子径:1.10μm)、SX8782(P)(平均粒子径:1.00μm)を用いることができる。
微粒子集合体状の粒子としては、三井東圧化学社製のミューティクル110C(平均粒子径:1.00μm)をもといることができる。
偏平状樹脂粒子としては、例えば、三井東圧化学社から、商品名:ミューティクルPP240D(平均粒子径:0.5μm)などを用いることができる。
上記合成樹脂粒子顔料を用いることが好ましい。中でも、中空状粒子及び又は偏平状粒子の合成樹脂粒子顔料(樹脂球)を用いることが好ましい。隠蔽剤としては、上記合成樹脂粒子顔料を用いる場合、有彩色の顔料及び又は染料と、隠蔽剤として合成樹脂粒子顔料を含むようにすれば、インキに隠ぺい性を与えるとともに有彩色に応じた多彩な色彩を与えることができる。またアルミニウムを隠蔽剤として用いる場合と異なり、インキ中での沈降が防止されるため、インキの保存安定性が良好である。
本発明で用いられる凝集団塊性を有する樹脂は、水性エマルション(O/Wエマルション)として用いることができる。樹脂として例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、カルボキシ変性スチレンブタジエンゴムなどのSBRエマルションを用いることができ、スクラッチ組成物中にそれぞれの水性エマルションの状態で含有することができる。具体的には、JSR社製、商品名「0561」(固形分69重量%、ガラス転移点−63℃)、同社製商品名「2853」(固形分50重量%、ガラス転移点−51℃)、同社製商品名「0602」(固形分52重量%、ガラス転移点40℃)、同社製商品名「0640」(固形分48重量%、ガラス転移点55℃)を用いることができる。
なお、既述の通り、−30℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂の水性エマルションは凝集団塊性を持って造膜し、30℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂の水性エマルションは造膜せずに脆い凝集体を形成することから、−30℃以下のガラス転移温度(Tg)を有するスチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、カルボキシ変性スチレンブタジエンゴムなどの水性SBRエマルションと、30℃以上のガラス転移温度(Tg)を有するスチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、カルボキシ変性スチレンブタジエンゴムなどの水性SBRエマルションの混合を調整することによって、紙種に応じた乾燥塗膜の剥離性(剥離強度又は接着強度)をコントロールすることが可能となる。
−30℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂Aと、30℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂Bとの混合比は、接着する紙種に応じて適宜調整することができるが、例えば普通紙では弱い剥離強度に、コート紙では高い剥離強度に調整することが好ましい。具体的には、[樹脂B/樹脂A]の混合比が0.1〜10、好ましくは0.45〜9.4の範囲内にある。
また湿潤剤を用いることができる。特に、スクラッチ組成物をスタンプインキとして用いる場合は湿潤剤を用いることが好ましい。例えば、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ソルビトールなどである。グリセリン、ソルビトールが好ましい。湿潤剤は、スクラッチ組成物全量に対して、60重量%以下、特に10〜40重量%含有することが好ましい。湿潤剤がスクラッチ組成物中に60重量%を超えて含有されていると、当該組成物が乾燥しにくい。一方、湿潤剤がスクラッチ組成物中に10重量%未満含有すると、キャップオフ性が低下する。
本発明のスクラッチ組成物には、前記隠蔽性の鱗片状粒子(顔料粒子)の沈降を防止するために増粘剤を用いることができる。増粘剤としては水溶性増粘剤が好ましく、特にチキソトロピー性付与剤が更に好ましい。微生物産系多糖類とその誘導体が好ましく、プルラン、キサンタンガム、ウエランガム、ラムザンガム、サクシノグリカン、デキストランを例示することができる。また水溶性植物系多糖類とその誘導体も好ましく、トラガンシガム、グアーガム、タラガム、ローカストビ−ンガム、アラビアガム、ペクチン、デンプン、カラギーナン、寒天、アルギン酸を例示することができる。また水溶性動物系多糖類とその誘導体が好ましく、ゼラチン、カゼインを例示することができる。チキソトロピー性付与剤として用いられるラムザンガム、ウエランガム、キサンタンガム、サクシノグリカンを、より好ましく用いることかできる。
本発明のスクラッチ組成物は、水性スクラッチ組成物とするために水を用いる。水は例えばイオン交換水を用いることができる。水は具体的には0.1〜90重量%用いることができるが、配合する各種成分に応じて残部の含有量として調整することができる。
本発明では着色剤を用いることができる。本発明で用いられる着色剤としては、前記隠蔽性の顔料粒子とは別に、たとえば酸性染料、直接染料、塩基性染料などの水溶性染料のほか、カーボンブラック、酸化チタン、アルミナのシリカ、タルクなどの無機顔料、アゾ系顔料、ナフトール系顔料、フタロシアニン系顔料、スレン系顔料、キナクリドン系顔料、アンスラキノン系顔料、ジオキサン系顔料、ジオキサジン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、インドレノン系顔料、アゾメチン系顔料などの有機顔料のほか、アルミニウム粉、ブロンズ粉等などの金属粉顔料、蛍光顔料、パール顔料、光輝性顔料などが挙げられる。また、これらを顔料分散体として用いることもできる。また本発明ではこれらの着色剤は1種又は2種以上を混合して使用することもできる。また、球状、偏平状、中空等の各種形状のプラスチックピグメント(合成樹脂粒子顔料)などを用いることができる。例えば本発明では100μm以下の樹脂粉末にして用いるか又は100μm以下の樹脂粉末を水中に分散させたものを用いることが好ましい。上記樹脂粉末は顔料・染料で着色して着色樹脂エマルジョンとして使用することができる。
なお、本発明の組成物では、着色剤は含まれても含まれなくてもよく、必要に応じて添加できる。その含有量は例えば水性スクラッチ組成物全量に対して0〜20重量%で実施可能である。
本スクラッチ組成物には、その他、水溶性有機溶剤、界面活性剤、防腐防黴剤、防錆剤、消泡剤、香料、酸化防止剤、光安定剤等を含ませることができる。
鱗片状粒子; 水性アルミニウムペースト、商品名「WXM1415」、東洋アルミニウム社製、粒子径51μm
鱗片状粒子;
水性アルミニウムペースト、商品名「WXM1440」;東洋アルミニウム社製、粒子径30μm
水性樹脂エマルション; SBRエマルション、商品名「0561」、ガラス転移点−63℃、JSR社製、固形分69%
水性樹脂エマルション; SBRエマルション、商品名「2853」、ガラス転移点−51℃、JSR社製、固形分50%
水性樹脂エマルション; アクリルエマルション、商品名「モビニール700」、クラリアントポリマー社製、固形分50%
水性樹脂エマルション; ウレタンエマルション、商品名「ユーコートUWS145」、三洋化成社製、固形分35%
水性樹脂エマルション; アクリルエマルション、商品名「ポリゾールAP−3700」、昭和高分子社製、固形分50%
中空樹脂粒子:アクリル系樹脂エマルション(固形分:30%、平均粒子径:0.3μm、ロームアンドハース社製、商品名「ローペイクウルトラ」)
偏平状樹脂粒子:アクリル系樹脂エマルション(固形分:50%、平均粒子径:0.5μm、三井東圧化学社製、商品名「ミューティクルPP240D」)
鱗片状粒子;
水性アルミニウムペースト、商品名「WXM1440」;東洋アルミニウム社製、粒子径30μm
水性樹脂エマルション; SBRエマルション、商品名「2853」、ガラス転移点−51℃、JSR社製、固形分50%
水性樹脂エマルション; SBRエマルション、商品名「0602」、ガラス転移点40℃、JSR社製、固形分52%
水性樹脂エマルション; SBRエマルション、商品名「0589」、ガラス転移点0℃、JSR社製、固形分50%
下記基準で目視で評価した。
○:下地の文字が判読できない
×:下地の文字が判読できる
2)指で擦った時の接着性
指の腹で塗膜を擦った場合の塗膜状態を目視で評価した。
○:塗膜は剥がれずに、下地の文字が判読できない
×:塗膜が剥がれて、下地の文字が判読できる
3)コインで擦った時の接着性
10円硬貨で塗膜を擦った場合の塗膜状態を目視で評価した。
○:塗膜が剥がれる
×:塗膜が剥がれにくい
4)擦って剥がれた後の文字の判読
下記基準で目視で評価した。
○:下地の文字が判読できる
×:下地の文字が判読困難
5)塗膜の硬さ
10(強い)〜1(弱い)の10ポイントで官能評価した。
表2に示すように、−30℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂と、30℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂とを混合した実施例は、はがき用紙でも普通紙でもスクラッチ用途に適した適度な剥離性をもたせることができる。
Claims (16)
- 隠蔽性を有する顔料粒子と、凝集団塊性を有する樹脂の水性エマルションを含む水性スクラッチ組成物。
- 前記顔料粒子が、鱗片状粒子である請求項1記載の水性スクラッチ組成物。
- 前記鱗片状粒子が、アルミニウム粒子である請求項2記載の水性スクラッチ組成物。
- 前記顔料粒子が、粒径が0.05〜10μmの合成樹脂粒子である請求項1記載の水性スクラッチ組成物。
- 前記顔料粒子が、中空状粒子及び又は偏平状粒子である請求項4記載の水性スクラッチ組成物。
- 前記樹脂が、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム又はカルボキシ変性スチレンブタジエンゴムである請求項1乃至5のいずれかの項に記載の水性スクラッチ組成物。
- さらに、湿潤剤を含む請求項1乃至6のいずれかの項に記載のスタンプ用水性スクラッチ組成物。
- 隠蔽性を有する鱗片状粒子と、−30℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂の水性エマルションを含む水性スクラッチ組成物。
- 隠蔽性を有する鱗片状粒子と、塗膜の乾燥温度以上のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂の水性エマルションを含む水性スクラッチ組成物。
- 隠蔽性を有する鱗片状粒子と、30℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂の水性エマルションを含む水性スクラッチ組成物。
- 隠蔽性を有する鱗片状粒子と、−30℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂の水性エマルションと、30℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂の水性エマルションを含む水性スクラッチ組成物。
- 前記樹脂が、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム又はカルボキシ変性スチレンブタジエンゴムである請求項8乃至11のいずれかの項に記載の水性スクラッチ組成物。
- さらに着色剤として、有彩色の顔料及び又は染料を含む請求項1乃至12のいずれかの項に記載の水性スクラッチ組成物。
- 隠蔽性を有する顔料粒子と、凝集団塊性を有する樹脂の水性エマルションを含む水性スクラッチ組成物であって、
前記隠蔽性を有する顔料粒子が、鱗片状のアルミニウム粒子であり、
前記凝集団塊性を有する樹脂の水性エマルションが、スチレンブタジエンゴム又はカルボキシ変性スチレンブタジエンゴムの水性エマルションであって、
前記鱗片状粒子は水性スクラッチ組成物全量に対して1〜60重量%、
前記凝集団塊性を有する樹脂が水性スクラッチ組成物全量に対して固形分で5〜40重量%、含まれている水性スクラッチ組成物。 - 隠蔽性を有する顔料粒子と、凝集団塊性を有する樹脂の水性エマルションを含む水性スクラッチ組成物であって、
前記隠蔽性を有する顔料粒子が、合成樹脂粒子であり、
前記凝集団塊性を有する樹脂の水性エマルションが、スチレンブタジエンゴム又はカルボキシ変性スチレンブタジエンゴムの水性エマルションであって、
前記合成樹脂粒子は水性スクラッチ組成物全量に対して5〜35重量%、
前記凝集団塊性を有する樹脂が水性スクラッチ組成物全量に対して固形分で5〜40重量%、含まれている水性スクラッチ組成物。 - 隠蔽性を有する顔料粒子と、凝集団塊性を有する樹脂の水性エマルションを含む水性スクラッチ組成物であって、
前記隠蔽性を有する顔料粒子が、鱗片状のアルミニウム粒子であり、
前記凝集団塊性を有する樹脂の水性エマルションが、スチレンブタジエンゴム又はカルボキシ変性スチレンブタジエンゴムの水性エマルションであって、
前記湿潤剤がグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ソルビトールの群から選ばれる湿潤剤であり、
さらに、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンモノ脂肪酸エステルから選ばれるチキソトロピー性増粘剤を含有し、
前記鱗片状粒子は水性スクラッチ組成物全量に対して1〜60重量%、
前記凝集団塊性を有する樹脂が水性スクラッチ組成物全量に対して固形分で5〜40重量%、
前記湿潤剤が水性スクラッチ組成物全量に対して60重量%以下、
前記チキソトロピー性増粘剤が水性インキ組成物全量に対して60重量%以下
であるスタンプ用水性スクラッチ組成物。
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