JP2016028866A - スクラッチカード - Google Patents

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Abstract

【課題】スクラッチカードにおいて、秘密情報を秘匿する手段はスクラッチ隠蔽層のみであって、不正者が容易にその偽造品を作製したり、覗き見できるという問題を有していた。また、その偽造を防止するため、最上層にホログラム層を設けたスクラッチカードも開発されたが、第三者がそのホログラム層を視認できるため、不正者が容易に類似の光学的効果を持つスクラッチカードを偽造できるという問題があった。
【解決手段】ホログラム層をスクラッチ隠蔽層で隠蔽することで、「秘密情報」のみならず、ホログラム再生像の発現をも秘匿して、スクラッチ隠蔽部をスクラッチして初めて、秘密情報、及び、ホログラム再生像を視認できる、偽造防止効果の高いスクラッチカードを提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、カード基材上の秘密情報表示部を隠蔽するためのスクラッチ隠蔽層及びホログラム層が設けられたスクラッチカードであって、カード基材上の秘密情報表示部を覆うようにホログラム層及びスクラッチ隠蔽層を設けることで、その秘密情報を隠蔽することができ、そのスクラッチ隠蔽層をスクラッチにより削り取ると、その秘密情報及びホログラム再生像を同時に視認できるようになるスクラッチカードに関する。
さらには、そのスクラッチ隠蔽層及びホログラム層をカード基材に埋め込んで、その断面に爪を入れることができず、結局、スクラッチ隠蔽層を削り出す他に手段は無く、一旦、削り出してしまうと、もはや、その凹部に、スクラッチ隠蔽層及びホログラム層を復元することが非常に困難であって、それらの貼り替えなどの変造や、偽造を物理的に不可能とすることができるスクラッチカードに関する。
そして、そのカード基材上にホログラム層とスクラッチ隠蔽層を埋め込んだ積層体を、一つの「三層積層体」と見做すと、その「ホログラム層」は、「カード基材」と「スクラッチ隠蔽層」とによって挟まれた状態(いわゆる「サンドイッチ」状態を意味する。)となっている。
より詳しくは、その「ホログラム層」の上面と下面は、それぞれ、「スクラッチ隠蔽層」と「カード基材」で覆われている状態(隠蔽されている状態。)となっており、「ホログラム層」の端部に位置する「四方」の「断面」は、「埋め込まれたカード基材の凹んだ側面に接している状態」となっている。
この『四方の断面』とは、いわゆる、『四方の切断面』を意味し、単なに『断面』とも表現する。また、この『ホログラム層』を一つの『直方体』と見做せば、その『直方体』を構成する『6つの面』、すなわち、『上面と下面、及び、4つの側面』のうち、この『4つの側面』が、その『四方の断面』に相当する。
本来、「ある一つの層」の端部に位置する「面」は、「端面」と定義すべき(すなわち、上下面と、4つの端面とすべき。)であるが、本発明のスクラッチカードにおいては、「切り立った面」という意味合いから、「断面」という語を使用する。従って、以下の説明における「断面」は、「端面」を含む。逆に、一般に用いられる「ある物体の『断面』」などと表現される「物体内部の形状を示す『語』としての『断面』」は、これに含まれない。
本発明のスクラッチカードにおいては、このホログラム層の4つの「断面」の内、少なくとも、その「一方の断面」から、「所定の入射光」が「入射」し、その「所定の入射光」が、その「ホログラム層」の中を通って、その「ホログラム層」に記録してある「第一のホログラム」によって「回折」され、その「ホログラム層」による「第一のホログラム再生像」を再生する「光」となり、さらに、この「光」が「ホログラム層」内を伝搬して(『ホログラム層』の上面や下面で反射されつつ伝搬することを含む。)、「ホログラム層」の「断面」の内、「他方の断面」から出射する「出射光」となって、この「出射光」を観察する者に、その第一のホログラム再生像を視認させることとなる。
但し、「ホログラム層」はカード基材に埋め込まれているため、その「ホログラム層」の4つの「断面」は、カード基材の中にあり、且つ、「埋め込まれたカード基材の凹んだ4つの側面」に接している状態であって、その「カード基材の凹んだ4つの側面」の内、少なくとも「1つの側面」を成す部分領域(『カード基材』のその『側面』を構成する材料からなる『部分領域』、その意味において、『カード基材の一部分』と言うこともできる。)は、少なくとも、「透明性を有する部分領域」である必要があり、上記した「所定の入射光」は、この「『透明性を有する』、カード基材の凹んだ側面を成す、『カード基材の一部分』」を通過して、上記したこのホログラム層の4つの「断面」の内、少なくとも、その「一方の断面」に入射する。
すなわち、このホログラム層の4つの「断面」の内、少なくとも、その「一方の断面」とは、上記した「『透明性を有する』、カード基材の凹んだ4つの側面」の内、「1つの側面」と接している面(密着している面。)であって、「所定の入射光」は、この「接している面」(密着している面)を通過することとなる。
そして、その「所定の入射光」が、その「ホログラム層」の中を通って、その「ホログラム層」に記録してある「第一のホログラム」によって「回折」され、その「ホログラム層」による「第一のホログラム再生像」を再生する「光」となり、さらに、この「光」が「ホログラム層」内を伝搬して、「ホログラム層」の「断面」の内、「他方の断面」から出射する「出射光」となって、「出射」すると同時に、その「他方の断面」と同様に接している(密着している。)、「『透明性を有する』、カード基材の凹んだ4つの側面の内、他の側面」に「出射」する。これが、カード基材から「出射」する「光」となって、この「出射光」を観察する者に、その第一のホログラム再生像を視認させる。
従って、その4つの「断面」のうち、少なくとも2つの「断面」が、カード基材の凹んだ4つの側面の内、透明性を有する2つの側面に接しておれば十分であって、他の2つの「断面」は、「スクラッチ隠蔽層」で覆われていても良い。
さらには、その4つの「断面」のうち、ただ1つの「断面」のみ、「透明性を有する1つの側面」に接した状態とし、その「断面」に所定の入射光を入射させ、且つ、その「断面」から上記の出射光を出射させることとすることも可能である。(この場合には、『ホログラム層』に『第一の反射型ホログラム』を記録することとなる。)
また、その「ホログラム層の断面の内、一方の断面に入射した所定の入射光」として、そのカード基材の「断面」に入射した「光」を用い、且つ、「ホログラム層の断面の内、他方の断面から出射した出射光」として、カード基材の「異なる断面」から出射した「光」を用いることで、
すなわち、「所定の入射光」を、予め「カード基材の断面」から入射させ、「カード基材」内部を透過させて、「ホログラム層の断面の内、一方の断面」へと「入射」させるものとし、そして、その「所定の入射光」が、「ホログラム層」を通過し、回折した「光」となって、「ホログラム層の断面の内、他方の断面」から「出射」する「出射光」とし、さらに、その「出射光」が、やはり「カード基材」内部を透過して、「カード基材の異なる断面」から出射するものとすることで、「第一の体積ホログラム再生像」の再生手段(真正性判定の手段となる。)を、カード基材の4つの断面の内、一方の断面から「所定の光」を入射させ、他方の断面から出射させるという、非常に簡易なものとすることで、その真正性判定を容易なものとすることができる。
但し、「ホログラム層」に、反射型の「第一の体積ホログラム」を記録した場合には、その「出射光」は、「カード基材の同一の断面」から出射するものとなる。
以上のごとく、「カード基材」の1つ以上の断面に「『ホログラム層』への入射光」を入射させたり、「『ホログラム層』からの出射光」を出射させるためには、「カード基材」そのものを、「透明な材料」で構成してもよいが、その場合には、「カード基材」の裏面から、「秘密情報」が視認可能となってしまうため、「カード基材」の一部に「秘密情報」を隠ぺいするための、いわゆる「隠蔽を目的とする『層』(白色顔料を含む白色印刷層など。)」を設けるか、「カード基材」を、「透明性を有するプラスチックフィルム」と「隠ぺい性を有するフィルム(白色顔料を練り込んだ、乳白プラスチックフィルムなど。)」の多層構成とする。
もちろん、「ホログラム層とスクラッチ隠蔽層」は、その「透明な材料」か、または、その「透明性を有するプラスチックフィルム」に、「埋め込む」こととなり、その「埋め込み」によって生じる「凹みを成す4つの側面」は、全て透明な「部分領域」を持つこととなる。
これに対して、「ホログラム層」の上面(スクラッチ隠蔽層のスクラッチにより、露出したホログラム層の表面を意味する。)に照明光を照射することにより、その「上面」より「第二のホログラム再生像」が再生されるこことなる、「第二のホログラム」が、その「ホログラム層」に記録されている。
この「第一のホログラム」と「第二のホログラム」は、光学的な視点より、「互いに直交している」ということができ、それぞれの再生像に対する、「互いの像の鮮明性を低下させ」たり、「互いの像を歪ませる」などの悪影響は比較的小さくすることができる。

本発明において、「カード基材」とは、秘密情報表示部を設けることができるプラスチックカードそのもの、もしくは、秘密情報を記録可能な種々のシート状、カード状、その他の形状を有するものを意味し、その素材も、プラスチック材料、金属材料、その他あらゆる材料を用いたものでよいが、少なくとも、本発明のスクラッチカードとして、その秘密情報を形成、且つ、隠蔽することができるものである。さらには、スクラッチ隠蔽層及びホログラム層をカード基材内へ埋め込むことができるものである。
また、本発明において、「秘密情報」とは、「その秘密情報を知り得る正当な権利者にのみ開示されるべき情報」を意味し、その「秘密情報」をカード基材上に設ける手段は、適宜な印刷方法や、個別情報を形成できるインクジェット方式を用いた方法、さらには、レーザー印字等、その「情報」としての文字、図形、記号、その他の、少なくとも目視認識可能な、あらゆる「情報」を形成可能な方法を用いることができるものである。
もちろん、そのカード基材上の「秘密情報」と、スクラッチカードが担持する別の「情報」(秘匿されていても開示されていてもよい。)との単なる組み合わせや、それらの「情報」を各種の情報合成手段等(暗号化処理も含まれる。)により合成して、「正当な権利者に開示される情報が形成される」ものであってもよい。
カード基材上に「秘密情報」を設けた部分を、「秘密情報」表示部、「秘密情報」印字部、または、「秘密情報」形成部と、適宜、表現する。
体積ホログラム形成層には、可干渉光による光干渉法を用いて干渉縞である体積ホログラムを記録することができ、もしくは、単一光ビーム等の単一エネルギービームによる、その干渉縞の直接形成によっても、体積ホログラムを記録することができる。
これは、体積ホログラム形成層が、「光」その他の「エネルギー」の照射によって、そのエネルギー強度分布に対応した屈折率分布を線形的に形成することができる性質を有することによる。
この性質を利用して、体積ホログラム形成層に、上記したような約1μm周期の連続的、且つ、不規則に変化する「干渉縞」ではなく、目視判定可能なサイズの「所定パターン」状、且つ、その領域内を「一定の均一な屈折率を有する領域」へと変化させた、「屈折率変化領域」を形成する。
このときの、「屈折率変化領域」の屈折率の変化量、すなわち、「屈折率変化領域」と、その周辺領域(屈折率を変化させていない領域を意味する。)の屈折率差△nは、0.01〜0.2である。この屈折率差△nが大きいほど、その「屈折率変化領域」の視認性が高まることは言うまでもない。(その『屈折率変化領域』と、その『周辺領域』との界面における反射率が高くなるという意味。)
このような「屈折率変化領域」は、体積ホログラム形成層内の所定の領域(二次元平面領域、もしくは、三次元体積領域。これが、「所定パターン表示領域としての屈折率変化領域」となる。)に対して、「その領域内」で「エネルギー強度を一定」とした「エネルギー照射」を施すことで得られる。
特に、その「『二次元平面領域、もしくは、三次元体積領域』そのもの形状を持つエネルギーの像」を体積ホログラム形成層内に結像させる、「結像光学系」を用いることで、その領域内の隅々までを、その領域の「周辺領域」の屈折率から「変化」させた「均一な屈折率を有する領域」とし、且つ、「屈折率変化領域」とその「周辺領域」の境界における屈折率変化を「急峻」(この境界線において、「周辺領域の屈折率」から、「その領域の屈折率」へと急激に変化するという意味。)とすることができる。
このことにより、例えば、「真」という文字を表示する「二次元平面領域」(「二次元平面領域」の元の像として、遮蔽平面上に設けた、「『真』を形どった『開口部』」(光の平面像となる)などを用いることとなる。)を、観察した際には、その「二次元平面領域」とその周辺領域の屈折率差による、二つの領域の界面での「光の反射」現象によって、「真」という文字が体積ホログラム形成層内に表示されているように見えることとなる。
ここでは、この「真」という文字が、「所定パターン」である。そして、「『真』を表示する領域」が、「屈折率変化領域」となる。
従って、「所定パターン」とは、この「所定パターン」を本発明のスクラッチカードの正規購入者が目視判定する文字等の「情報」であって、この「所定パターン」には、カード基材上に形成する「秘密情報」と同様の種々の「情報」を採用することができる。従って、カード基材上に形成した「秘密情報」とこの「所定パターン」が表示する情報とを併せたものが、「広義の秘密情報」を構成するということもできる。
さらに、本発明において、「スクラッチ」とは、コインや爪等によって「対象となる層」を削り取る行為であって、「対象となる層」を部分的、もしくは、全面的に除去する行為を意味する。特に、「対象となる層」の背後にあるものを視認することが目的であるため、「部分的な削り取り」であっても、「削り取った領域」においては、「対象となる層」の全てを、削り残し無く、除去することとなる。(これ以下、このスクラッチ操作を「スクラッチオフ」とも言う。)
また、本発明において、「光学的な鏡面」とは、ある「層」の表面の平滑性が、実質的に、平均表面粗さRaで、0.01μm〜0.1μmであることを意味する。そして、この「光学的な鏡面」をその表面に有する「ある層」の上に、その表面平滑性を維持した状態(その表面形状に何らの変化を及ぼさないことを意味する。)で、「別の層」を重ねた際に、この「ある層」と「別の層」との界面が、「光学的な鏡面」であるという。
本明細書において、配合を示す「部」は特に断わらない限り質量基準である。また、「ホログラム」は、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。
(主なる用途)通信網やコンピュータネットワークの普及に加え、データを送受信するコンピュータ端末の普及及びその携帯化が進むとともに、わが国においても第三次産業の占める割合が急速に伸び、様々な業者、さらには、公的機関によっても、様々なサービスの提供が行われている。
第三次産業とは、情報通信業、運輸業、郵便業、卸売業、小売業、金融業、保険業、不動産業、物品賃貸業、学術研究または専門技術サービス業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、教育または学習支援業、医療または福祉関連、電気事業、ガス事業、熱供給事業、水道業、公務、理容美容関連、複合サービス業、レジャーサービス、レンタルサービス、アウトソーシングサービス、交通サービス、外食サービス、エネルギー、エンターテインメント、コンサルティング、その他サービス業と位置づけられているが、このような第三次産業に携わる業者や公的機関は、物品の販売のみならず、特定のサービスの提供によっても対価を得ているため、物品を販売する形態とは異なる形態によっても、顧客や消費者へのサービス提供、もしくは、顧客や消費者(以下、顧客等ともいう。)からの料金や対価(以下、料金等ともいう。)の回収を行っていることが多い。
例えば、その料金や対価の回収方法として、顧客等の銀行口座から、利用したサービスに相当する対価を自動的に引き落とす方法や、信販会社に対してクレジット契約を予め締結しておき、信販会社を介して利用料金を決済する方法などは、ごく一般的な料金等の回収の形態であり、電気料金、ガス料金、水道料金などの公共サービスや、種々の情報提供サービスなどにおける料金等の決済の手法として広く利用されている。そして、プリペイドカードの販売という形式により、将来提供されるべきサービスに対して、料金等の回収を先に行ってしまう方法も普及している方法であり、料金や、運賃、その他の対価の回収に広く利用されている。
さらに、販売する「物品」そのものが、データ端末装置、パーソナルコンピュータ、デスクトップパソコン、オンライン対応ゲーム機、電話回線機器、ファクシミリ、モデム等のデータ回線終端装置、ラジオ受信機や、テレビ受像機等の通信機器(情報機器)、特に携帯して利用可能な通信機器である携帯通信機器(端末)や、携帯して利用可能な情報機器である携帯情報機器(端末)、すなわち、携帯音楽プレーヤー、ICレコーダー、ポータブルDVDプレーヤー、ポケットコンピュータ、スマートブック、タブレットPC、PDA、電卓、携帯ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ラップトップコンピュータ、ノートパソコン、ハンドヘルドパソコン、携帯プリンター、携帯スキャナ、携帯モデム、電子辞書、電子手帳、電子書籍、ポータブルデータターミナル、携帯電話端末、PHS端末、ポケットベル端末、携帯ラジオ、携帯テレビ、ワンセグ、腕時計、懐中時計、補聴器、ハンドヘルドGPS、防犯ブザー、テレビ電話、GPS受信機、カーナビゲーション端末、リモコン端末、電子マネー、デジタルキー、デジタルロックやポイントカード用のICカード等を用いて顧客に届けられるものとなり、音楽、映画、ゲームソフト等の文字、画像、映像、動画、音声、映画の著作物や、Webアニメ等のマルチメディア関連のコンテンツを、これらの「物品」として、ダウンロード販売、クラウドコンピューティング、音楽配信、IP放送、インターネット放送、インターネットテレビ、インターネット放送ネットワーク、インターネットラジオ、ポッドキャスト、ビデオ・オン・デマンド、動画共有サービス等の手段を用いて配信する方法も広く利用されている。
そして、これらの付加価値の対象である「物品」そのものや、上記した様な種々の「サービス」を受けることができる「資格」や「権利」を顧客に付与するもの、すなわち、それらの付加価値の受領、または、利用を要求している者が、正当な「資格」、または、「権利」を保有している者であるか否かを判定する媒体として、各種のカード類が広く一般的に用いられている。
これらカード類は、身分を証明するIDカード、会員カードや、金銭的価値を有するキャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード、定期券、もしくは、回数券等として多くの分野で使用されており、その数は増加の一途をたどっている。この中で、前払い方式でサービスを提供する際の前払証票、いわゆるプリペイドカードは、特に数量的な増加率が高く、一定単位の金額を予め支払い、その金額分の価値情報を利用できるものとして広く普及している。
そして、そのカード上には、価値情報や識別情報が、カード基材に印字または印刷表示した絵柄や文字情報として記録され、また、カード基材上に設けられた磁気記録部または光学記録部、場合によってはICチップに機械読み取り情報として記録されており、用途に応じた様々な情報を保持し、様々な場面でそれらの情報を利用可能とするものである。
そのプリペイドカードの代表とも言えるテレホンカードにおいては、価値情報や識別情報がテレホンカードそのものに記録され、電話端末においてテレホンカードを使用する都度、その通話料金をテレホンカードに記録してある価値情報から減額し、その残金を再びテレホンカードに記録しておくものであったが、その後、テレホンカードの偽造や変造に対処する方式として、テレホンカード上にはランダムな「番号」のみを印字しておいて、テレホンカードの発行、登録、販売、利用、減額処理、登録抹消等を管理しているホストコンピュータ上にその「番号」に対応した価値データを持たせ、テレホンカードの使用者が、そのホストコンピュータにアクセスした時に利用金額分の通話を行うことができるという、いわゆる「スクラッチオフ方式のテレホンカード」、すなわち、秘匿性の許可番号(秘密情報。)を交付する形式のテレホンカードを使用する方式が実用化され、そのカード発行数量も多くなってきている。
この方式では、流通段階において許可番号の漏洩が発生すると、その許可番号を不正に入手した者による不正サービス受給や、正規購入者に対して正当な利用を提供できなくなる等のトラブルを招くのみならず、もはや、「実際にその許可番号を利用した行為」が、正規購入者による行為なのか、もしくは、不正入手者による行為なのかを判別する手段も無くなってしまい、不正行為の特定ができず、従って、その損害額の特定、そして、その特定に基づく損害賠償請求も不可能となる。
このため、テレホンカードにその許可番号を印字した後、その許可番号が第三者に簡単に盗まれることを防止する目的で、削り取り(スクラッチ)が可能な隠蔽層でその許可番号を一旦覆って流通させ、テレホンカード購入者(正規購入者)が、その隠蔽層をスクラッチして除去して、その下に隠蔽されている許可番号を読み取り、その許可番号を利用するという方式である、「スクラッチオフ方式」の採用が必須となっている。
例えば国際電話のアクセス方式として、中継基地となる電話会社(中継会社という。)と契約し、料金先払いで所定の金額(例えば、千円。)を支払うことによりその契約者個有のナンバーが記載されたカードが発行され、国際電話を掛ける際にはカードに表示されたアクセスナンバー(フリーダイヤル。これが秘密情報となる。)を入力して中継会社にアクセスし、次いで契約者個人に与えられた個人ナンバーを入力したのち、相手方の電話番号を入力することによって通話ができるシステムが、国際電話を低料金で掛けられ、且つ、中継会社へアクセスした際に所定秒時コマーシャルを流すことによる宣伝媒体としての利用を図ることができる方式として広く普及しつつある。
このシステムに加入すると、個人に与えられた個人ナンバーはスクラッチ加工(スクラッチ可能な隠蔽処理という意味。)により外部からは完全に見えないように処理されており、このスクラッチ加工部分を削るようにして剥すことにより初めて個人ナンバーが現われるようになされている。
また、従来より、イベントくじやゲーム用カード等において、秘密情報である、例えば、「あたり」又は「はずれ」に相当する絵柄や文字や番号などのくじの結果をスクラッチが可能な隠蔽層で一時的に隠蔽した後、このスクラッチが可能な隠蔽層を爪やコインなどで擦ることで、その隠蔽層の下に表示された秘密情報の内容を見ることができるようにしたスクラッチが可能な隠蔽層付き印刷物は知られている。これらの印刷物は、一般的に複数個所にスクラッチが可能な隠蔽層を設けておき、その中から「あたり」と思われる1ヶ所の隠蔽層をコイン等で削り取ることで、下層に表示された秘密情報の表示を目視で確認するもので、もし仮に2ヶ所以上の隠蔽層を削り取った場合は、無効とするなどの規則とする場合が多い。
さらに、スピードくじや、ファーストフード店等においてサービス的に用いられているチケットは、カード基材に数字や文字等(秘密情報)を印刷した後、その上にスクラッチが可能な隠蔽層を印刷して、下地の印刷が見えないように構成され、くじの購入者やチケットを受け取った者が、爪や硬貨を用いてその隠蔽層を擦り取ると、下地に印刷されている数字や文字等が出現する。この出現した数字や文字を、予め決定されている数字や文字等と比較して、合致した場合には当選が決まるシステム(秘密情報がある意味において暗号情報となっており、他の情報との照合、いわば、解読により、「当たり」が決まる仕組み。)となっている
また、抽せんコードの如き機密の個別データをスクラッチが可能な隠蔽層で隠蔽してあるインスタント抽選付ゲームカードやインスタント抽選付商品等においては、機密の個別データを複雑なゲームにも利用できるものとし、その隠蔽層を擦り取ると、「あたり」の文字や懸賞番号等のメッセージが浮かび上がるように構成されている
このように「スクラッチ方式」は、いわば「簡易くじ」としても用いられており、その用途としては、宝くじなどの各種くじ等の他、商品の購入時の景品提供の手段、教習具や、ゲームカード等があるが、より具体的には、携帯電話ショップで、スクラッチ枠を11か所設け、その内5か所だけを擦って、自分の携帯電話番号といくつ一致するかでもらえる景品が決まり、裏面には新規契約の方への特別割引クーポン券がついているもの、大手ドラッグストアで、ポイントカード会員獲得のために、ポイント5倍などのスクラッチに使用するもの、会員登録したその日からクーポン券として利用可能で、クーポン券の利用期間を設けるもの、大手鶏卵メーカーで、大手スーパー量販店様への卵パックの中に封入し、当たりが出たら「当たり券」をハガキに貼って裏面記載の係りあてに応募すると、購入先で使用できる商品券がプレゼントされるもの、住宅展示場、ファーストフードショップ、遊園地、観光スポット、スポーツ観戦に使用されるもの等、さらには、食品業界、ファッション業界、美容業界や医療関係等用の、擦った後に削りカスが出にくいもの等、または、被封くじであって、当せんパターンがスクラッチ印刷され、これを削ることにより抽せんを行う、インスタントくじ、スクラッチ宝くじ等、スクラッチ可能な隠蔽層をパターン状に複数設けて、それらの何れかを削って、所定のマークを出すことができた場合に「当たり」とするもの、そのマークを出すまでの削り回数や、削った軌跡で「当たり」のレベル(例えば商品価格)を定めるもの、そのパターンが、縦横マス目状に設けられ、そのマークがそのマス目のどの位置にあるかによって、「当たり」のレベルを定めるもの等がある。
また、抽選用品としてのスクラッチ三角くじやおみくじ用、キャラクター抽選会、おもちゃの抽選会、菓子等食品の抽選会、生活用品の抽選会等の抽選会景品セット用、サイコロを使う景品セット、輪なげや射的景品セット、おもちゃ釣りや千本つり景品セット、穴あけ宝箱景品セット、ガチャガチャやカプセル景品セット、つかみどりやすくいどり景品セット、詰め放題や玉入れ遊び景品セット、季節の抽選セットや景品抽選セット、夏の花火景品セット、夏の縁日景品抽選セット、夏のサマーグッズ抽選セット、クリスマス景品抽選セット、お正月景品抽選セット、年末年始景品抽選セット等のイベント景品セット用として、
さらには、来店促進のためのお買物券や割引券等、店頭でのイベントなどに用いられる名刺サイズやハガキサイズのもの、イベント案内のダイレクトメールにスクラッチを活用するもの、店頭への誘導にハガキだけでなく、V折やZ折などの圧着ハガキDMへスクラッチ印刷したもの等、1日1回で数十回スクラッチすると、その回数に応じて、景品引換券や、家具や洋服等の店頭で販売している商品が手に入るものや、スクラッチカードの四つ角に決まったアイテムが用意され、これを参考にすれば、欲しいアイテムを効率良く集めることができるように構成されているもの等がある。
このような「スクラッチ方式」の普及により、その「秘密情報」として、単純な「あたり」または「はずれ」の文字や、シリアルナンバー等の番号類のみならず、バーコードや二次元バーコード等の機械認識コード類、顧客データ、メッセージ等、あらゆる語句や記号、もしくは特定のマーク等の図形を固定もしくは可変で構成するもの、さらには、これらの「情報」が発色機構や消色機構を利用して浮き出るものや、特定の光源によってのみ、その「秘密情報」を読み取ることができるものなども提案されている。
(先行技術)上記したように、銀行口座からの自動引き落としや、信販会社を介した決済という方法は、非常に堅実な方法ではあるが、事前の手続きが面倒で、また、サービスの利用開始までに時間がかかるという問題があり、公共料金など利用が不可欠なサービスについては、有効な料金回収方法であるとしても、顧客にとって恣意的なサービスについての料金回収方法としては、必ずしも適切ではなく、利用料金の支払いのための手続きが面倒であったり、実際に利用が可能になるまでに何日も待たされたりすれば、顧客はそのサービスの利用に躊躇せざるを得なくなる。
そのため、プリペイドカードを用いた料金回収方法が、非常に手軽な方法であり、サービスによっては非常に有効な方法であることから、すなわち、通常の物品を購入する場合と同じ形態で、サービスに対する対価の支払いを行うことができ、かつ、プリペイドカードを購入した時点からそのサービスを利用できるようになることから、いわゆる「プリペイドカード方式」が拡大したが、その半面、プリペイドカードの偽造や変造という問題が生じるに至り、すなわち、一般的なプリペイドカードは、磁気的に残存対価を記録する方式を採っているため、この磁気的な記録の改竄という方法による不正利用が蔓延する結果となり、従来の磁気記録を利用した「プリペイドカード方式」は、安全性の面で些か問題があるのではないかとの認識が広がった。
このような理由も追い風となり、カードそのものには金額等の記録を保持せず、「認証番号等」のみを「秘密情報」として保持させて、そのカードを購入した者がその「番号等」を「申告する」ことにより種々のサービスを受けることができるという新規な「プリペイドカードサービス」が普及した。この「番号等」は、「秘密情報」として秘匿するために、スクラッチが可能な隠蔽層等により隠蔽されているため、従来の磁気型プリペイドカードに対して、番号型プリペイドカードとも呼ばれる。
この番号型プリペイドカードには、公衆電話用カード、携帯電話用カード、国際電話用カード等の通信系、ゲームソフトや音楽ソフト、その他有料ソフトの決済カード等の決済系、ショッピングカード、ギフトカード、コインカード等の物品購入系等が実用化されている。
本発明のスクラッチカードは、このような、付加価値のある「秘密情報」が設けられたカード等の「カード基材」、すなわち、そのカード等を構成している「カード基材」であってその上に「秘密情報」が設けられているものに対して、その「秘密情報」を覆うようにスクラッチ隠蔽層を設けて、その「秘密情報」を第三者に対して秘匿し、その「秘密情報」の開示を受けられる正当な権利を有する者のみが、そのスクラッチカードのスクラッチ隠蔽層をスクラッチして初めて、その「秘密情報」を確認することができるようにするものである。
この目的を達成するための技術として、特許文献1には、カードそのものには金額等の記録を保持せず、「認証番号等」のみを秘密情報として保持させて、そのカードを購入した者がその「番号等」を「申告する」ことにより種々のサービスを受けることができる、これらのプリペイドカードサービスとして、この「番号等」を、秘密情報として秘匿するために、スクラッチが可能な隠蔽層等で隠蔽する技術が開示されている。
また、インスタント抽選券、秘密情報伝達カード、クイズカード等で、一時的に秘密にしたい情報をシート上にプリンター等で印字表示し、それらの秘密情報表示部の上層に引っ掻くことで破壊されるスクラッチ可能な隠蔽層を形成させてなる「スクラッチカード」が既に広く用いられているが、これらのスクラッチ可能な隠蔽層は、比較的容易に入手できる原料から形成することが可能であるため、偽造や変造を行うことも容易である。
例えば、販売前の段階において、販売関係者が宝くじ等のインスタント抽選券のスクラッチ可能な隠蔽層を一旦引っ掻いて剥離し、抽選番号を見て当たりの抽選券と外れの抽選券を事前に確認して判別しておき、再度抽選番号の表示部分上にスクラッチ可能な隠蔽層を再形成することで、見かけ上、元の状態に戻しておき不正行為が行われたことを気づかれないようにカムフラージュし、当たりの抽選券を知り合いに販売することで特定の客に儲けさせる等の不正行為を働くことも物理的に可能であるため、この対策として、スクラッチ可能な隠蔽層に香料を含んだマイクロカプセルを入れ、真偽判定をする方法が提案されている。しかし、この方法では、正当な使用者がスクラッチした際、バラの匂い等、嗅覚に訴える販促的効果は期待できるが、不正者が一度スクラッチをした後、再度同様の匂いの香料を含むスクラッチ可能な隠蔽層を設けても、その後入手した正当な使用者にとって、目視にて容易に判読できる不正の痕跡を残すことは困難であった。(例えば、特許文献2参照。)
以上のごとき、カムフラージュ行為を直接的に阻止する方法として、スクラッチ可能な隠蔽層の上、または、スクラッチ可能な隠蔽層とカード基材とに跨るように、ホログラム画像を形成したホログラム層を設け、不正を行おうとする者にホログラム画像の存在を認識させて、「ホログラム層」を形成することの困難さを持って不正行為を阻止しようとする技術も開発されている。(例えば、特許文献3または4参照。)
しかし、これらの技術は、ホログラム層の存在や、そのホログラムデザインが第三者にあらかじめ開示されていることから、そのホログラム再生像に類似した光学効果を有するものを十分な時間を掛けて偽造したり、もともと、この構成自体がホログラム層とスクラッチ可能な隠蔽層を同時に削る仕様となっていることから、「ホログラム層もろともスクラッチ可能な隠蔽層を全て削ってしまった」と偽ることにより、ホログラム層が全く存在しない変造品を持参しながら、あたかも正規品であったかの如く振る舞う等の不正を防ぐことができないという欠点を有していた。
特開平10−214320号公報 特開2001−47777号公報 特開平11−34565号公報 特開2005−305844号公報
本発明は、カード上の「秘密情報」及び体積ホログラム層を、スクラッチ隠蔽層で隠蔽したスクラッチカードを提供し、ホログラム層をスクラッチ隠蔽層の背後に設けて、第三者に対してホログラムの存在、及び、そのホログラムデザインを秘匿可能とし、スクラッチ隠蔽層をスクラッチして初めて、そのホログラムの存在を確認できるという高い偽造防止性と、スクラッチ後には、隠蔽した秘密情報とその鮮明なホログラムデザインを重ねて視認できるという高い意匠性、さらには、そのホログラムが存在するか否かを目視によって判定するという真正性判定の簡易性をも併せ持つスクラッチカードを提供する。
すなわち、ホログラムデザインを第三者に開示していないことから、不正者が、例え、本発明のスクラッチカードを複数枚入手して、その構造やホログラムの存在を知り得たとしても、そのホログラムデザインが統一された唯一のデザインなのか、複数のデザインを任意に配したものなのか、もしくは、特定の秘密情報に対して特定のホログラムデザインを対応させてあるものかを知ることができないものとしており、この原理によって、入手したスクラッチカード以外の秘密情報を有するスクラッチカードに対しての「偽造品」を作ることを事実上不可能とした、スクラッチカードを提供する。
しかも、そのホログラム層内に、ホログラムとは異なる記録方式による別の「パターン」が形成されており、そして、その「パターン」の記録を、そのスクラッチカード形成後に施すことで、個々のスクラッチカードに個々の「パターン」記録を設けることをも可能として、その変造や偽造をさらに困難としたスクラッチカードを提供する。
さらには、その体積ホログラム層及びスクラッチ隠蔽層を、カード基材の中に埋め込んでしまい、これらの層を注意深く剥離するなどの変造を阻止し、その偽造を困難なものとした、スクラッチカードを提供する。
その上、その体積ホログラム層に、断面への入射照明光によって断面から出射再生するホログラムを記録しておき、スクラッチ隠蔽層をスクラッチする前に、不正者には想像することも出来ない方法での真正性判定が可能となる、著しく偽造防止性に優れるスクラッチカードを提供する。
また、スクラッチ隠蔽層と体積ホログラム層の界面を「光学的な鏡面」として、そのホログラム再生像の鮮明度を確保して、これを偽造することを非常に困難とし、さらには、スクラッチ隠蔽層に平均粒径の異なる顔料を配して、不正な目的でカードを湾曲させたりしたときに、その剥離痕を発生させ、もはや、その剥離痕を修復することは不可能となる構造として、その偽造防止性を著しく高めることを可能としたスクラッチカードを提供する。
上記の目的を達成するために、
本発明のスクラッチカードの第1の態様は、
カード基材の一方の表面に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチカードであって、前記表面の少なくとも一部に、前記秘密情報を覆うように体積ホログラム形成層及び、スクラッチ隠蔽層がこの順序で設けられ、前記スクラッチ隠蔽層の最表面が、前記カード基材の前記表面と面一、または、前記カード基材の前記表面から凹んだ位置にあり、且つ、前記体積ホログラム形成層の断面の内、一方の断面に入射した所定の入射光により、前記所定の入射光に基づく第一の体積ホログラム再生像が再生されるとともに、前記体積ホログラム形成層の断面の内、他方の断面から出射された出射光から、前記第一の体積ホログラム再生像を視認することができ、さらに、前記体積ホログラム形成層に、所定パターン表示領域として屈折率変化領域が記録されており、前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報、及び、前記屈折率変化領域による前記所定パターン表示領域が視認可能となることを特徴とするものである。
上記第1の態様のスクラッチカードによれば、
カード基材の一方の表面に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチカードであって、前記表面の少なくとも一部に、前記秘密情報を覆うように体積ホログラム形成層及び、スクラッチ隠蔽層がこの順序で設けられ、前記スクラッチ隠蔽層の最表面が、前記カード基材の前記表面と面一、または、前記カード基材の前記表面から凹んだ位置にあり、且つ、前記体積ホログラム形成層の断面の内、一方の断面に入射した所定の入射光により、前記所定の入射光に基づく第一の体積ホログラム再生像が再生されるとともに、前記体積ホログラム形成層の断面の内、他方の断面から出射された出射光から、前記第一の体積ホログラム再生像を視認することができ、さらに、前記体積ホログラム形成層に、所定パターン表示領域として屈折率変化領域が記録されており、前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報、及び、前記屈折率変化領域による前記所定パターン表示領域が視認可能となることを特徴とするスクラッチカードを提供することができ、その「秘密情報」の覗き見や、偽造及び変造を困難としたスクラッチカードを提供することができる。
本発明のスクラッチカードの第2の態様は、
第1の態様のスクラッチカードにおいて、前記所定の入射光は、前記カード基材の断面に入射したものであり、且つ、前記出射光は、前記カード基材の前記断面と同一の断面、または、異なる断面から出射するものであることを特徴とするものである。
上記第2の態様のスクラッチカードによれば、
前記所定の入射光は、前記カード基材の断面に入射したものであり、且つ、前記出射光は、前記カード基材の前記断面と同一の断面、または、異なる断面から出射するものであることを特徴とする第1の態様のスクラッチカードを提供することができ、その「第一の体積ホログラム再生像」の判定を容易とし、偽造及び変造を、より困難としたスクラッチカードを提供することができる。
本発明のスクラッチカードの第3の態様は、
第1の態様または第2の態様のスクラッチカードにおいて、
前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報、前記屈折率変化領域による前記所定パターン表示領域、及び、前記体積ホログラム形成層により再生される第二の体積ホログラム再生像が視認可能となることを特徴とするものである。
上記第3の態様のスクラッチカードによれば、
第1の態様または第2の態様のスクラッチカードにおいて、前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報、前記屈折率変化領域による前記所定パターン表示領域、及び、前記体積ホログラム形成層により再生される第二の体積ホログラム再生像が視認可能となることを特徴とする第1の態様または第2の態様のスクラッチカードを提供することができ、その「秘密情報」の覗き見や、偽造及び変造を、より困難としたスクラッチカードを提供することができる。
本発明のスクラッチカードの第4の態様は、
第1の態様から第3の態様の何れかの態様のスクラッチカードにおいて、前記スクラッチ隠蔽層と前記体積ホログラム形成層との界面が、「光学的な鏡面」であることを特徴とするものである。
上記第4の態様のスクラッチカードによれば、
前記スクラッチ隠蔽層と前記体積ホログラム形成層との界面が、「光学的な鏡面」であることを特徴とする第1の態様から第3の態様の何れかの態様のスクラッチカードを提供することができ、より鮮明なホログラム再生像を出現可能とし、その偽造防止性と意匠性を高めたスクラッチカードを提供することができる。
本発明のスクラッチカードの第5の態様は、
第1の態様から第4の態様の何れかの態様のスクラッチカードにおいて、前記スクラッチ隠蔽層の前記体積ホログラム形成層が形成されている面とは反対の面に、地紋印刷が施されていることを特徴とするものである。
上記第5の態様のスクラッチカードによれば、
前記スクラッチ隠蔽層の前記体積ホログラム形成層が形成されている面とは反対の面に、地紋印刷が施されていることを特徴とする第1の態様から第4の態様の何れかの態様のスクラッチカードを提供することができ、より偽造防止性と意匠性を高めたスクラッチカードを提供することができる。
本発明のスクラッチカードの第6の態様は、
第1の態様から第5の態様の何れかの態様のスクラッチカードにおいて、前記スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいることを特徴とするものである。
上記第6の態様のスクラッチカードによれば、
前記スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいることを特徴とする第1の態様から第5の態様の何れかの態様のスクラッチカードを提供することができ、その偽造防止性を著しく高めたスクラッチカードを提供することができる。
本発明のスクラッチカードの第7の態様は、
第1の態様から第6の態様の何れかの態様のスクラッチカードにおいて、前記体積ホログラム形成層に記録された前記屈折率変化領域が、前記カード基材の前記表面の一部に、前記秘密情報を覆うように前記体積ホログラム形成層及び、前記スクラッチ隠蔽層がこの順序で設けられた後に、結像光学系を用いて設けられていることを特徴とするものである。
上記第7の態様のスクラッチカードによれば、
前記体積ホログラム形成層に記録された前記屈折率変化領域が、前記カード基材の前記表面の一部に、前記秘密情報を覆うように前記体積ホログラム形成層及び、前記スクラッチ隠蔽層がこの順序で設けられた後に、結像光学系を用いて設けられていることを特徴とする第1から第6の態様の何れかの態様のスクラッチカードを提供することができ、「所定のパターン」をより鮮明なものとして、その偽造防止性を著しく高めたスクラッチカードを提供することができる。
本発明のスクラッチカードに用いられる、体積ホログラムが形成された体積ホログラム形成層は、フォトポリマーフィルム等の透明なフィルムそのものを、体積ホログラムを有する「体積ホログラム形成層」とする方法、または、適宜な透明基材面に、フォトポリマー等の感光材料をコーティングして、体積ホログラムを有する「体積ホログラム形成層」を設けた積層体とし、その体積ホログラム形成層をスクラッチする直前に、その適宜な透明基材を剥離して用いる方法等により得られる。
本発明のスクラッチカードに用いられるカード基材としては、秘密情報表示部を設けることができ、さらには、スクラッチ隠蔽層及び体積ホログラム形成層をそのカード基材内に埋め込むことができるものであって、体積ホログラム形成層との接着性を有するものであれば、あらゆる材料、すなわち、プラスチック材料、金属材料、セラミック材料、生体材料、それらの複合材料、さらには、それらを多層構造としたものなどを用いることができる。
ここで、「スクラッチ隠蔽層及び体積ホログラム形成層をそのカード基材内に埋め込む」とは、最終的に、「スクラッチ隠蔽層の最表面が、カード基材表面と面一になっている」ことをいう。
一例としては、「厚さ30μm、幅10mm×長さ30mmのスクラッチ隠蔽層に、厚さ10μm、幅10mm×長さ30mmの体積ホログラム形成層を積層した2層積層体」であって、全体厚さ40μmの積層シートを、クレジットカードサイズで、厚さ760μmの軟質塩化ビニルシート(100μmの透明塩化ビニルシート+560μmの乳白塩化ビニルシート+100μmの透明塩化ビニルシート)からなるカード基材の一方の表面に、2層積層体の体積ホログラム形成層が挟み込まれるように、且つ、その体積ホログラム形成層が、そのカード基材の中央部に配置されるように重ね(カード基材のその中央部に設けられている「秘密情報」を覆うように重ねる。)、この積層体を、常温→150度→常温の加熱サイクル(1サイクル30分〜90分。)により、且つ、表面鏡面仕上げステンレス板に挟んだ平板加圧状態で、1.0MPa(メガパスカル。N/平方ミリメートル)の圧力を掛けつづけて、その2層積層体の全厚さを、その760μmの軟質塩化ビニルシート内に埋め込むことをいう。(カード基材の一方の表面に形成された『凹み』を成す『4つの側面』は、いずれも『透明な部分領域』となっている。)
このとき、触針式表面粗さ計を用いて、カード基材に埋め込まれているスクラッチ隠蔽層の最表面とその周辺のカード基材表面を測定(すなわち、「スクラッチ隠蔽層等を埋め込んだ部分とカード基材表面との『埋め込み境界線』の周辺領域」を「その境界線に直交する方向」に測定)し、その境界線における段差が、1.0μm以下である状態が「面一」となっている状態である。
さらに、「スクラッチ隠蔽層をそのカード基材内に埋め込む」ために、予め、カード基材表面に、深さ40μm、幅10.2mm、長さ30.2mmの凹みを設けておき(プラスチック等であれは、その成形加工時に「凹み」を設けても良いし、カード基材表面を切削加工などにより削り込んで、凹みを設けてもよい。その凹みの底部に「秘密情報」が形成されている。)、その凹みに、上記したスクラッチ隠蔽層と体積ホログラム形成層の2層積層体が入り込むようにして固定することも、その製造安定性から好適である。この場合には、上記したような、高温加熱や、高圧プレスの必要がないため、スクラッチ隠蔽層や体積ホログラム形成層、さらには、「秘密情報」に対する変形や歪みが発生し難いという利点がある。(特に、体積ホログラム形成層は、加熱や加圧により、その再生像の歪みや変形を発生し易いため、この手段が好適となる。)
但し、この凹みの4つの側面と、埋め込まれた「ホログラム層」の4つの断面との間に「隙間」が発生するため、その「隙間」を適宜な「充填材料(屈折率差を緩和するためのインデックスマッチング液など)」を充填する必要が生じるという課題を含んでおり、また、偽造や変造を防止する観点からは、加熱及び加圧によりカード基材に埋め込む方式が望ましい。
本発明のスクラッチカードに用いられるカード基材の形状としては、あらゆる形状、すなわち、シート状、フィルム状、板状、立方体状、直方体状、カード状、はがき状、伝票状、封筒状、円盤状、楕円体状、球体状、棒状、及びこれらの組み合わせや、これらに変形、切断、穴あけ、接着等の加工処理を施したものなどを採用することができる。
その厚さも、秘密情報表示部を支持することができ、且つ、ハンドリング可能であればよく、特に制限はないが、通常、3.0μm〜3.0mmの厚さとする。もちろん、封筒状や、箱状のものであれば、その立体形状の寸法は、それぞれの用途に適したものとするため、この範囲内とする必要はない。
但し、これらのカード基材上に設けた秘密情報をスクラッチ隠蔽層で秘匿することとなるが、そのスクラッチ隠蔽層を設けた側面とは反対の側面から、カード基材に対して、強度の大きい可視光線や、赤外線、紫外線、X線等、さらには、電子線等の粒子線(以上を総称して「光線」と称する。)を照射して、その「透過『光線』」や「反射『光線』」、さらには、特性X線等から、その秘密情報そのものを読み取ろうという試みに対抗するため、そのカード基材の性質として、これらの「光線」を「遮蔽」したり、「反射」、もしくは、「散乱」させる性質を保有することが望ましい。
これらカード基材の代表例としては、いわゆる「プリペイドカード」として用いられているカード基材及び形状や、「プラスチックカード」として用いられているカード基材及び形状、特に、JIS規格やISO規格で定められているものがある。すなわち、その「埋め込み適正」及び「汎用性」(加工汎用性を含む。)から、「JIS規格やISO規格で定められている『プラスチックカード』として用いられているカード基材及び形状」が望ましい。
これらは、既に、全世界に大量に頒布され、普及しているため、そのハンドリングや、保持することに抵抗感がなく、また、それらを携帯したり、使用したりする場合の周辺機器や、関連グッズ等も既に普及しているため、これらのものへの適用もスムースであって好適である。
本発明のスクラッチカードが秘匿する「秘密情報」としては、暗証番号、個人認証番号、口座番号、その他の個人特有の番号または記号や、抽選番号または記号、管理番号または記号等、もしくは、単なる連続番号や記号であって、登録することによりその有効性を発現するもの、暗号鍵番号である共通鍵番号のように同一の番号、さらには、全くの乱数であってスクラッチカードのカード基材を作製するときに発生させ作製者も含め誰もその番号の内容を知り得ないように工夫した番号等、知ることが許された者(正規な購入者等を意味する。もちろん、スクラッチカードのシステム設計者や、スクラッチカード発行者等が含まれる場合もある。)のみが見ることができ、その他の者は物理的に見ることができないよう設定される番号または記号等がある。
また、そのスクラッチカードの用途により、番号または記号のみならず、文字、図形、マークその他、個人及びそのスクラッチカードの供給者が共通に認識できるもの(この対象は、いわゆる「情報」全てとなる。)であれば何れも用いることができる。そして、その認識方法も、少なくとも目視確認により認識できる情報を有しながら、目視以外の認識方法、例えば、光学読取方法、磁気的読取方法、その他、あらゆる物理的もしくは化学的読取方法を採用することができ、且つ、秘密情報と重ねて視認できる第二の体積ホログラム再生像の中にも、さらには、断面から再生される第一の体積ホログラム再生像の中にも、ホログラム再生原理を利用した光学読取方法を含めることができて、いずれも、その偽造防止性を高めるために好適である。
この「秘密情報」をスクラッチカードのカード基材上に設ける方法としては、可変情報を形成する方式として、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、光学的もしくは物理的直接描画方式、電子写真方式及び、インクジェット方式等があり、固定情報を形成する方式としては、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、活版印刷方式、凹版印刷方式、スクリーン印刷方式等がある。
また、カード基材そのものを発色材料や消色材料で構成し、その発色原理や消色原理を用いて、可変情報や固定情報を記録する方法を用いてもよい。
すなわち、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱発色材料からなるカード基材や、基紙となる紙材料やフィルム材料上に、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱発色層を設けたもの、さらには、それらの基紙上に、カプセル内包の発色剤と顕色剤とからなる感圧発色層を設けたものを、カード基材として用いることができる。
また、発色と消色を繰り返して操作できる、感温材料等を用いたサーマルリライタブル層や、フルギド系やスピロピラン系などのフォトクロミック材料等を用いる光リライタブル層を設けることも、その意外性や偽造防止性が高まり、好ましい。
特に、これらの「リライタブル層」を設けて、「秘密情報」を表示させると、正規購入者が、その「秘密情報」を確認するときのみ「秘密情報」が現れ、それ以外のときには「非表示」とすることで、不要な第三者による「秘密情報」の視認を阻止することができる。
感熱発色材料としては、発色剤、顕色剤、及び、増感剤からなる系を用いることができ、発色剤としては、ベンゾイルロイコメチレンブルー、クリスタルバイオレットラクトン等のフタリド化合物等、顕色剤としては、4−4´ビフェノール、1−ナフトール等の酸など、さらに、増感剤としては、4−ベンジルビフェニル、フルオレン等を用いる。
感熱記録とは,基紙上の層に分散させた発色剤及び顕色剤を熱により溶融させ、接触させることにより発色させる仕組みである。その高感度化のために、低融点の増感剤を添加するが、様々な酸発生方法とこの発色機構を組み合わせることにより、繰り返しの書き込みや消去が可能なリライタブル感熱記録を実現できるものである。例えば、低い熱エネルギーにて発色する赤色感熱記録層と,高い熱エネルギーにて発色する黒色感熱記録層を積層させることにより,その印加エネルギーを使い分けることで赤/黒の2色での記録を可能にする2色発色感熱記録材料を用いてもよい。
これらのロイコ系感熱発色材料や、フォトクロミック系光発色材料は、その発色機構である「紫外領域または赤外領域→可視領域への変化」を、「可視領域→紫外領域または赤外領域への変化」とすべく材料選定をすることにより、消色記録材料として用いることができる。
このような消色機構を用いると、正規購入者が、その「秘密情報」を確認した後、正規購入者の判断により、速やかに、もしくは、適宜なタイミングで、「秘密情報」を消色(消去)することを可能とし、その偽造防止性を高めることを可能とする。
また、カード基材上へ「秘密情報」を設ける位置、もしくは、配置についても、特に制限は無いが、プリペイドカード等のように、薄く強靭な素材を用いた場合には、そのカード基材を容易に湾曲させることができるため、そのカード基材の中央部分に設けることを避け、その右端、もしくは、左端、さらには、上端、もしくは、下端に設けることが望ましい。(湾曲した際に、スクラッチ隠蔽層にその変形圧力が掛からないように配慮するという意味。)もしくは、湾曲した際の比較的曲がっていない部分に、2箇所またはそれ以上の箇所に分散して設けてもよい。
また、磁気カード仕様や、ICカード仕様上のいわゆる「禁止エリア」(磁気部エリアやIC部エリアのように、印刷やエンボス加工等を禁止しているエリアのこと。所定の機能以外のものを設けることを禁止しているエリアを意味する。)を避けて設けたり、さらには、カードに加える様々な加工処理、例えば、エンボッシング処理、磁気記録処理、接触タイプのICチップ加工処理、非接触タイプのICチップやアンテナ類の加工処理、サインパネル加工処理やホログラム加工処理において、不具合が発生しない位置に設ける。
また、「秘密情報」を一つの位置に設けるのみ(一つの情報として読み取ることができるものが一か所に固まっているという意味。)ならず、カード基材上に、分散して複数の位置に設けたり、カード基材の表裏に設けることも、その秘匿性が向上し好適である。もちろん、その場合には、それぞれの位置に、それぞれのスクラッチ隠蔽層を設けることは言うまでもない。
上記した方法、または、方式により、その「秘密情報」をスクラッチカードのカード基材上に形成し、そして、体積ホログラム形成層、及びスクラッチ隠蔽層を適宜な配置で、その「秘密情報」を覆うように設けた後、もしくは、その両層を埋め込み積層体とした後、そのスクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去すると、その「秘密情報」が視認可能となるスクラッチカード(比較的透明性を有する体積ホログラム形成層を通して『秘密情報』を視認するという意味。)、さらには、その「秘密情報」を視認すると同時に、スクラッチ隠蔽層の背後にある体積ホログラム形成層から再生される体積ホログラム再生像(第二の体積ホログラム再生像)が視認可能となるスクラッチカードを作成することにより、その「秘密情報」を第三者が目視によって判読したり、不正者が盗読することを防ぎ、且つ、正当な使用者がスクラッチ隠蔽層をスクラッチして、その「秘密情報」を判読できるスクラッチカードを構成することができる。
ここで、カード基材及び「秘密情報」形成部と、体積ホログラム形成層との間に、接着層を設けて、カード基材、「秘密情報」、接着層、スクラッチ隠蔽層、及び体積ホログラム形成層という順序として(この接着層は、体積ホログラム形成層に対応して、体積ホログラム形成層に直接設けてもよいし、また、カード基材の「秘密情報」形成部を覆うように、カード基材の表面に設けてもよい。さらに、体積ホログラム形成層を覆うように且つ体積ホログラム形成層のサイズより大きいサイズ《例えば、縦×横それぞれ1.1倍〜2.0倍とする。このことにより、スクラッチ隠蔽層が体積ホログラム形成層の断面を覆うようになり、体積ホログラム形成層の秘匿性が向上する。》でスクラッチ隠蔽層を設ける場合には、体積ホログラム形成層の位置を含んで、スクラッチ隠蔽層全体に対応して設けてもよい。但し、ホログラム形成層の2つの断面の断面全体領域、もしくは、それらの断面の一部領域《この領域を入射光や出射光が通過する。》が少なくとも露出するように配慮する。)、そのスクラッチ適正を確実なものとしたり、また、体積ホログラム形成層の背後、すなわち、体積ホログラム形成層とカード基材との間に黒色層を設けて(もちろん、「秘密情報」形成部の視認性を阻害しないように、「秘密情報」形成部に対応する領域を除いて設けることとなる。)、「第二の体積ホログラム再生像」を非常に鮮明なものとすることができる(但し、『第一の体積ホログラム再生像』が、『再生される』ときに、その再生光(入射光が再生光となり、出射光となる過程における、その再生光を意味する。)が体積ホログラム形成層と黒色層との界面で1回以上、反射することを想定する場合には、その反射する界面領域に該当する部分も除くこととなる。)。
いずれも、その偽造防止性を高めたり、意匠性を高める効果があり、好適である。
また、スクラッチ隠蔽層と体積ホログラム形成層との間に地紋印刷を施したり、もちろん、スクラッチ隠蔽層上に(最上層の上に)、地紋印刷を施すことも、その偽造防止性を高めたり、意匠性を高める効果があり、好適である。
本発明に用いられる体積ホログラムは、その体積ホログラム形成層の層中に、種々の屈折率のパターンとして、そのホログラム画像を形成する(ホログラム記録ともいう。体積ホログラム形成層は、ホログラム記録用媒体にホログラム画像を形成した際の記録層を意味する。)、いわゆる、位相ホログラムであって、この体積ホログラムが透過型ホログラムである場合には、その体積ホログラム形成層に光をあて、これを透過させるとき、光の位相は、「屈折率のパターン」により変調され、その先においてホログラム再生像を観察することができる。また、この体積ホログラムが反射型ホログラムである場合には、その体積ホログラム形成層に光をあてると、この体積ホログラム形成層に侵入した光の位相は、「屈折率のパターン」により変調されると同時に反射され、その戻り光においてホログラム再生像を観察することができる。
本発明の「体積ホログラム形成層」を一つの「直方体」に見立てて、その上面及び下面の形状、すなわち、所定の「縦」と、所定の「横」を有する「長方形」とし、その上面と下面の「距離」を、所定の「厚さ」と定義して、「所定の縦」×「所定の横」×「所定の厚さ」で一義的に定まる「直方体」としたときに、本発明の体積ホログラム形成層は、「所定の縦」や「所定の横」に対して、「所定の厚さ」が、その1/10以下、特には、1/100以下となる、いわゆる、「薄手のシート状」の形状をしている。
そして、その直方体の4つの側面は、すなわち、4つの「体積ホログラム形成層の『断面』」は、「『所定の縦』×『所定の厚さ』」や「『所定の横』×『所定の厚さ』」で定まる、いわゆる、「細長い長方形」の形状となる。
この「『所定の縦』及び『所定の横』」でその形状が定まる、「体積ホログラム形成層の『上面』、または、『下面』」を通して、「体積ホログラム」を記録した場合には、その「体積ホログラム」は、「第二の体積ホログラム」であって、その「体積ホログラム再生像」は、「第二の体積ホログラム再生像」となる。
また、この「『所定の縦』×『所定の厚さ』」や「『所定の横』×『所定の厚さ』」で定まる、「体積ホログラム形成層の『断面』」のいずれかを通して、「体積ホログラム」を記録した場合には、その「体積ホログラム」は、「第一の体積ホログラム」であって、その「体積ホログラム再生像」は、「第一の体積ホログラム再生像」となる。
このことから、「第一の体積ホログラム」及び「体積ホログラム再生像」は、それぞれ「断面体積ホログラム」及び「断面体積ホログラム再生像」と称することも可能である。
まず、「第二の体積ホログラム」、及び、「第二の体積ホログラム再生像」につき、以下に、詳述する。
ホログラム画像として画像化される「物体」(一般的には、3次元物体、もしくは2次元物体が用いられる。もしくは、「物体光」を与え得るものであれば、「光学系」であっても、別途作成したホログラムからの「ホログラム再生像」であってもよい。)は、レーザー等が発振するコヒーレントな光によって照明され、そして感光性の記録用媒体が、この「物体」から反射(発散)された光を受けるように配置される。「物体」上の各点は記録媒体の全体に対して光を反射し、また記録用媒体上の各点は「物体」全体からの光を受け入れる。この反射(発散)された光束は「物体光」といわれている。
同時に、コヒーレントな光の一部は「物体」をバイパスし(「物体」を避けて通るという意味。)、反射鏡等により、記録用媒体に向けられる。この光束は「参照光」といわれている。
記録用媒体上に記録されるものは、媒体上に当たった「参照光」と「物体光」との相互作用で生ずる「干渉パターン」であり、この記録が、ホログラムとなる。
この記録用媒体、すなわち、記録されたホログラムが、照明され、適切に観察されるとき、照明光源からの光(これが、『照明光』となる。)は、「物体」から記録用媒体にもともと到達した波面を再生するように、そのホログラムにより回折され(透過、または、反射され)、それにより、ホログラムは、透過側、または、反射側からの観察者に対して、「物体」の虚像を、記録媒体という「窓」を通して、完全な遠近差をもつ3次元の「物体」を見たように、認識させる。
次に、「第一の体積ホログラム」、及び、「第一の体積ホログラム再生像」、すなわち、「断面体積ホログラム」、及び、「断面体積ホログラム再生像」につき、以下に、詳述する。
この「第一の体積ホログラム」、すなわち、「断面体積ホログラム」を記録する「感光性の記録用媒体」(本発明においては、これが「体積ホログラム形成層」となる。)は、上記の場合と異なり、その「露光面」が「非常に細長い長方形」の形状を成し、且つ、それと同一形状をしている「裏面(背面)」までの「距離(すなわち、『厚さ』とも言える。)」が、比較的大きくなっている(『奥行』が深いことを意味する。)。
従って、「ホログラム」を記録するための「物体光」(上記と同様。)を、所定の光学系、すなわち、所定の大きさ(縦横サイズ及びレンズ半径)を有する「シリンドリカルレンズ」を含む光学系や、「凸レンズ」を含む光学系を用いて、「比較的大きく、縦横に広がっている『物体光』」を、その「『非常に細長い長方形』の形状」をしている、その「露光面」に「投影」する。
このときの「投影」とは、縦横に大きく広がっている「物体光」の情報を、その「露光面」、すなわち、「体積ホログラム形成層」の一つの「断面」へと収束させることを意味する。
例えば、「物体光」が、縦30mm×横30mmのサイズの広がりを持つものとし、これを、「長方形を成す『底面』のサイズが、縦30mm以上×横30mm以上の大きさを有し、焦点距離500mmのシリンドリカルレンズ」を通して、その「物体光」の広がりを、縦0.1mm×横30mmのサイズまで圧縮(縦方向の圧縮となる。)し、縦100μm×横30mmの長方形の形状をした「体積ホログラム形成層」の「他方の断面」(ホログラムを再生させるための『照明光』は、この『断面』から再生光を出射することとなるため『他方の断面』と呼称している。)へほぼ垂直に入射させることとなる。
この「断面」を通過した「圧縮された物体光」は、そのまま「体積ホログラム形成層」の中を進み、奥行50mmの所では(『体積ホログラム形成層』の『所定の横』の長さを50mmとする。)、縦10μm(縦方向が1/10となる。)×横30mmの「さらに圧縮された物体光」となり、「体積ホログラム形成層」の、その「他方の断面」と対向する位置にある「一方の断面」(ホログラムを再生させるための『照明光』は、この『断面』に入射することとなるため『一方の断面』と呼称している。)から出射することとなる。
上記した「シリンドリカルレンズ」は、「円柱」や「楕円柱」を、その「円の直径」や「楕円の長軸」に沿って2分する平面(もしくは、その平面に平行な平面。)で、分割した「立体形状」を成すものであり、その「底面」のサイズとして、「物体光」の広がりに応じて、縦10〜300mm(カード基材の表面に垂直な方向。)×横10〜100mm(カード基材の表面に平行な方向。)の大きさを有することとなる。
また「シリンドリカルレンズ」の「焦点距離」(『焦点距離』は、上記した『円』の半径や『楕円』の軸の長さと、構成する材料の屈折率によって定まる。また、その『円』の曲率半径で直接的にその『形状』を定義できるが、ここでは、『焦点距離』をもって定義する。)として、50〜1000mmのものを用いる。
その「底面」のサイズは、広がった「物体光」が入射する面となるため、その「物体光」全体を入射させるに十分なサイズとするため、「物体光」のサイズを同等、もしくは、そ以上の大きさとし、「焦点距離」は、「圧縮された物体光」が、「体積ホログラム形成層」の「上面」や「下面」で繰り返し反射を生じないように、「体積ホログラム形成層」の「他方の断面」から入射した「物体光」が、その「一方の断面」で「焦点」を結ぶように設定することによって定まる。
もちろん、この「焦点」の位置は、その「一方の断面」を超えた位置に設定してもよいが、「焦点距離」が1000mmを超えると、光学系が大きくなり過ぎ、また、光学系の振動などの影響を受けやすくなるため、不適当である。
また、「焦点距離」を、50mm未満とすると、「体積ホログラム形成層」の「上面」や「下面」で繰り返し反射が多くなり、その「上面」や「下面」における反射の乱れなどの影響を受けやすくなり、不適当である。
但し、その「上面」や「下面」が「光学的な鏡面」を成し、繰り返し反射において、不要な散乱光などが発生しない場合には、敢えて「焦点距離」を小さく設定して、「体積ホログラム形成層」の「上面」や「下面」の「繰り返し反射」を発生させ、その「繰り返し反射」光をも、体積ホログラムの「物体光」として、所定の「参照光」と干渉させ、記録することも好適である。その場合においても、カード基材等とその光学系が接触しないように、「焦点距離」は、少なくとも30mmは必要である。
このような「物体光」と、同一方向に進み、且つ、上記の各『断面』に垂直に進む「平行光」を「参照光」として、その「物体光」と、その「参照光」を、その「体積ホログラム形成層」の中で干渉させ、「第一の体積ホログラム(断面体積ホログラム)」を記録する。
本発明においては、このようにして「第一の体積ホログラム」を記録した「体積ホログラム形成層」をカード基材に埋め込んだ後、「所定の入射光」として、まず、カード基材の一部領域(透明性を有する部分領域。カード基材の表面の一部領域、または、カード基材の断面の一部領域を意味する。)を透過させた後、「体積ホログラム形成層」の一方の断面(上記の説明における『他方』の『断面』に相当する。)に、上記の平行光とは波長が同一で、進行方向が「光学的に『逆』」となる「平行光」(所定の直径を持つ『平行ビーム光』でもよい。)を入射させ、「体積ホログラム形成層」の中で「その『所定の入射光』に基づく『第一の体積ホログラム再生像』」を再生させつつ、その「体積ホログラム形成層」の中を進ませ、その「第一の体積ホログラム再生像」の「情報」を担持した「光」(これが、出射光となる。)を、対向する「他方の断面」(上記の説明における『一方』の『断面』に相当する。)から、「出射光」として出射させ、さらに、カード基材の他の一部領域(透明性を有する他の部分領域。カード基材の表面の他の一部領域、または、カード基材の他の断面の他の一部領域等を意味する。)を透過させた後、観察者向かう「光」とする。
この際、カード基材への入射する光(所定の入射光)の入射角度、及び、カード基材からの出射する光(出射光)の出射角度は、カード基材への入射位置や、カード基材から出射する位置における「屈折」を考慮して設計する。
但し、「所定の入射光」及び「出射光」を、「カード基材そのものの『断面』」へのそれぞれ、垂直に入射及び出射する、入射光、及び、出射光とする場合には、その配慮は不要となる。
そして、観察者は、本発明のスクラッチカードのスクラッチ隠蔽層をスクラッチしなくとも、この「他方の断面」から出射され、カード基材の他の一部領域を透過した「出射光」から、その「体積ホログラム再生像」を視認することができ、その真正性を判定することができる。(もちろん、スクラッチオフした後も、同様の『真正性判定』は可能である。)
上記した、「投影」する角度、すなわち、「収束」させる角度は、「開き角度」として、比較的小さくすることが望ましく、5度〜30度、好適には、5度〜10度とする。
この「角度」が、30度を超えると、その「断面」に入り込んだ「物体光」が、「断面」を通過後、「所定の厚さ」と同様の距離だけ進むまでに、焦点を結ぶこととなる。
また、この「角度」が、5度未満であると、「物体」から「断面」までの「光学距離」が大きくなり過ぎて、ホログラム記録には不適切となる(ホログラム撮影時における振動等の影響が大きくなることを意味する。)。
但し、この「光学距離」は、適宜な「光学系」を組み上げることで、容易に圧縮することが可能であって、また、一旦、「焦点」を結んだ「物体光」が、「焦点」を超えて再び広がり、「体積ホログラム形成層の上面や下面」で反射されつつ、「体積ホログラム形成層」内を進むことから、これらの「物体光」と、上記した「参照光」とがこの領域においても干渉し、その「干渉縞」を記録することとなる。(この「干渉縞」も、ホログラム再生時には、その再生に寄与することとなる。)
そして、「ホログラム」を記録するための「参照光」は、所定の光学系にて、「平行光」とし、その「断面」に対して、ほぼ「垂直」に入射させ、この「参照光」が、「奥行」方向に延びて(進んで)、上記した「裏面」に対しても、ほぼ「垂直」に到達するものとする。
記録用媒体上に記録されるものは、その「参照光」と「物体光」との相互作用で生ずる「干渉パターン」であり、この記録が、ホログラムとなる。
この記録された「第一の体積ホログラム」が、「適切に照明」され、「適切に観察」されるとき、照明光源からの「光」(照明光を意味する。)は、「物体」から記録用媒体にもともと到達した波面を再生するように、そのホログラムにより回折され(透過、または、反射され)、それにより、ホログラムは、透過側、または、反射側からの観察者に対して、「物体」の虚像を、記録媒体という「窓」から広がるように、(特に、「厚さ」方向に広がって。)、完全な遠近差をもつ3次元の「物体」を見たように、認識させる。
このとき、「適切に照明」されるとは、ホログラム記録時の「参照光」と同様の波長を持ち、同様の平行光を用いて、「参照光」とは進行方向が「光学的に逆(『進行方向』のみが、「180度」だけ異なるのみという意味。)」となる「照明光」を照射することを意味し、「適切に観察」されるとは、「物体光」のもととなる「物体」が置かれた位置、さらにはその位置より、後方の位置から観察されることを意味する。
また、特に、その「物体」が「平面画像」(透過原稿など。)を平行光で透過させた「もの」である場合には、その「物体」の位置に、適宜な「スクリーン」を配置して、その「スクリーン」上に再生された「平面画像」を読取る、観察方法も好適である。
特に、POS(『Point of Sale』)端末リーダーに通常使用される光源装置(可視光半導体レーザー。光源波長650nm±10nm。『ビーム径』数mmφ。)を、その「照明光」として使用する場合には、入射する「断面」上を、走査速度50〜100スキャン/秒でラスタースキャンさせることにより、「断面」上のそれぞれの位置に入射する「光(ビーム光)」による、それぞれの体積ホログラム再生像(再生すべき領域の一部を部分的に照明することによる、部分的な再生となる。但し、『ホログラム記録再生原理』の特徴である『冗長性』により、それぞれの照明においても再生像全体のかなりの範囲がそれぞれ再生される。)が、その走査速度に応じて再生し、残像効果をもって、「全体の再生像」として観察者に視認されることとなるため、好適である。
さらに、「体積ホログラム形成層」の「断面」、さらには、「カード基材の断面」は、その形成過程、もしくは、製造過程から、比較的粗い「粗面」となり易く、以下に詳述する「光学的な鏡面」とは異なり、不規則な三次元曲面状となっているため、この「断面」を通過する「所定の入射光」や、「所定の出射光」の進行方向が不揃いとなるものの、記録した「体積ホログラム」の性質である「方向選択性」(記録時に定まる方向に進む光のみ、その強度が大きくなる性質。)により、鮮明なホログラム再生像を得ることができるものである。
もちろん、この「断面」をも、下記するような「光学的な鏡面」とすることが、好ましいことは言うまでもない。
さらには、「所定の入射光」が入射する位置に該当する「カード基材」の「表面」部分(その『表面』の一部領域という意味。)や、「出射光」が出射する位置に該当する「カード基材」の他の「表面」部分(その『表面』の他の一部領域という意味。)をも、そのような「光学的な鏡面」とすることも、好ましい。
本発明のスクラッチカードに用いられる体積ホログラム形成層には、「第二の体積ホログラム」、または、第一の体積ホログラム」として、上記した「反射型ホログラム」、または、「透過型ホログラム」のいずれをも記録することができる。
「第二の体積ホログラム」として、「反射型ホログラム」を記録した場合には、本発明のスクラッチカードのスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフした際、体積ホログラム形成層にて反射されて観察側に戻ってくる「体積ホログラム再生像」を視認することができる。
そして、「第一の体積ホログラム」として、「反射型ホログラム」を記録した場合には、本発明のスクラッチカードの「体積ホログラム形成層」の一つの「断面」に対して、所定の入射光を照射すると、その「断面」から「第一の体積ホログラム再生像」が出射されることとなる。
また、「第二の体積ホログラム」として、「透過型ホログラム」を記録した場合には、体積ホログラム形成層を透過した光が、体積ホログラム形成層の背後にある、カード基材との界面にて正反射して、もしくは、黒色層との界面にて吸収されなかった光が正反射して、観察側に戻ってくる「体積ホログラム再生像」を視認することとなる。
そして、「第一の体積ホログラム」として、「透過型ホログラム」を記録した場合には、本発明のスクラッチカードの「体積ホログラム形成層」の「一方の断面」に対して、所定の入射光を照射すると、その「裏面(反対面)」にあたる「他方の断面」から「第一の体積ホログラム再生像」が出射されることとなる。
「透過型ホログラム」は、「参照光」と「物体光」を同一の側から記録用媒体中に入射させ、両者がほぼ同じ方向に進行するようにして形成したホログラムであって、体積ホログラム形成層自体を透明なものとすることにより、その「位相分布」のみを記録として残したものである。
この場合において、記録媒体中の「物体光」と「参照光」との相互作用は、屈折率の変化する材料の屈折率変化という「フリンジ(干渉縞)」を形成するが、このフリンジは、記録用媒体の面に対して、「物体光」と「参照光」とが対称な角度で入射する場合には、ほぼ垂直なフリンジとなる。そして、その「物体光」と「参照光」とが非対称な角度で入射する場合には、そのフリンジは、記録用媒体の面に対して、やや傾いたものとなる。
また、「反射型ホログラム」は、「参照光」と「物体光」を反対の側から記録用媒体中に入射させ、両者がほぼ反対方向に進行するようにして形成したホログラム、いわゆる、「リップマンホログラム」である。(以下、体積ホログラムであって、反射型ホログラムとしたものを「リップマンホログラム」ともいう。)
この場合において、記録媒体中の「物体光」と「参照光」との相互作用は、屈折率の変化する材料の屈折率変化という「フリンジ(干渉縞)」を形成するが、このフリンジは、記録用媒体の面に対して、ほぼ平行な面となる。
このリップマンホログラムを再生するとき、これらの各フリンジは入射光を観察者に向けて反射する「鏡」として作用し、それで、このリップマンホログラムは、「透過」よりもむしろ「反射」で観察される。
このように形成された「ホログラム」は、「波長感度」が甚だ高いため(波長選択性のこと。特定の波長にのみ作用するという意味。)、その再生には、「白色光」を用いることができるものである。
すなわち、ホログラムを記録した際の光源に用いた波長の光をあらかじめ準備してその光で再生しなくとも、容易に得られる、広い波長領域を持つ光(例えば、波長範囲が可視光線波長[400nm〜800nm]をカバーするような太陽光や、ハロゲンランプ光など。)を、その再生光として用いたとしても、その「ホログラム記録に用いた波長」以外の波長の光(「ホログラム記録に用いた波長」以外の波長成分という意味。)は、ほとんど位相変化を受けずそのまま透過し、「ホログラム記録に用いた波長」の光(該当する波長成分という意味。)のみ反射して、その光の像(該当する波長成分により作られる、リップマンホログラム再生像)を、視認することができる。
これらの「反射型ホログラム」、または、「透過型ホログラム」を「体積ホログラム形成層」に記録するには、上記したように、光学系を用いて、直接、「体積ホログラム形成層」にホログラムの干渉縞を記録することもできるが、予め、「反射型ホログラム」、または、「透過型ホログラム」を記録した「マスター版(「未記録感光材料」と「記録済み感光材料」をマッチング液等を介在して積層し、両層にレーザー照射を行う等の、光学的な複製を行うための『複製用マスター』という意味。)」を準備し、その「マスター版」を用いて、「体積ホログラム形成層」に光学的手段によって「複製」することも好適である。もちろん、その併用も望ましい。
そして、それらの「直接的なホログラム記録」または「複製によるホログラム記録」を、カード基材上に設けてある状態の「体積ホログラム形成層」に施すこともでき、この方法は、多様なホログラムデザインを用いたり、個々のスクラッチカードに個別のホログラム記録を施す場合に好適である。
この記録の際には、体積ホログラム形成層と、カード基材、さらには、黒色層との界面の状態、すなわち、これらの界面から反射する光の状態が、そのホログラム記録や複製の、精度や品質(すなわち、体積ホログラム再生像の鮮明度。)に大きな影響を及ぼし、また、ホログラム再生像を観察し、その真正性を判定する際には、観察(判定)するための照明光が、スクラッチ隠蔽層をスクラッチオフして露出した体積ホログラム形成層の露出面(スクラッチ隠蔽層と体積ホログラム形成層との界面)を通過するため、この界面の状態、すなわち、この界面を通過する光の状態が、その体積ホログラム再生像の鮮明度に大きな影響を及ぼす。
この中でも、スクラッチ隠蔽層と体積ホログラム形成層の界面が「光学的な鏡面」であることは非常に重要であって、特に、スクラッチ隠蔽層をスクラッチオフした後の体積ホログラム形成層の露出面の「光学的な鏡面」性の維持は必須要件となる。
但し、体積ホログラム再生像に「ぼかし効果」等の特殊効果を付与する場合には、敢えて、それらの層の界面(スクラッチ隠蔽層と体積ホログラム形成層、体積ホログラム形成層とカード基材、さらには、体積ホログラム形成層と黒色層との界面)を0.1〜5.0μm程度の「粗面」とすることも好適である。この「粗面」化処理は、例えば、カード基材表面、さらには、体積ホログラム形成層の表面に対して施す場合には、例えば、2枚の「表面鏡面仕上げのステンレス板」に、カード基材そのもの、もしくは、カード基材上に体積ホログラム形成層を設けたもの等を挟み込んで、適宜な加熱、及び適宜な加圧処理を施す際に、その「表面鏡面仕上げ」を「上記の粗面仕上げを部分的に施し、それ以外の領域を表面鏡面仕上げ、もしくは、全面に粗面仕上げ」としたステンレス板に挟みこむことで、施すことができる。そして、この体積ホログラム形成層の上にスクラッチ隠蔽層を設けて、再度、「面一」にする。
ホログラムの原理で作製される「ホログラフ鏡」は、「反射型ホログラム」のもっとも簡単なものである。これは、2つのコヒーレントな平面波を、記録用媒体に対して反対の方向から投射し、記録用媒体中でその2つのコヒーレントな平面波が交差する、ホログラムである。これは単一のレーザー光を分割し記録用媒体の所で両光を合体させるか、あるいは分割しないレーザー光を、記録用媒体を通して、その後ろの「平面鏡」上に投射することにより作ることができる。これにより均一な間隔のフリンジの「一組」が形成され、投射された2つの光間の鈍角の2等分線に対して平行に配列され、三角関数の強度を有することになる。
この鈍角が、「180度」であり、2つの投射した光の波面が媒体の面に対して直角であるならば、各フリンジは媒体の面に対して平行となる。
そして、この鈍角が、「180度以下」であるか、または2つの光が媒体の面に対して直角でないときは、反射性のフリンジは媒体の面に関して鋭角に傾いて形成される。ホログラフ鏡はその反射効率、屈折率変調、および反射光の分光帯域と分光特性などにより特性化される。
「反射ホログラム」を形成する実質的に水平なフリンジは、「透過型ホログラム」を形成する垂直なフリンジよりも、記録することが困雌である。
その第1の理由は、より高い解像性、すなわち、単位長さ当りに、より多数のフリンジが必要であって、フリンジの間隔は非常に小さくなる。「反射型ホログラム」は「透過型ホロクラム」よりも単位長さ当り約3倍〜約6倍多いフリンジを必要とする。
その第2の理由は、記録用媒体の収縮に対する水平なフリンジの敏感性である。露光中の記録用媒体の収縮はフリンジの消失を招き、もし収縮がひどいときはホログラムの形成が妨げられる。これは「透過型ホログラム」の場合とは対照的なものであり、「透過型ホログラム」では収縮はほとんど影響がないか、あるいはフリンジが媒体の面に対して直角ならば影響がなく、フリンジが媒体の面から45度以上傾いているときに、比較的僅かな画像の歪みを生ずるだけである。
従って、透過型ホログラムの再生像を真正性判定に使用することは好ましい。
そのような、体積ホログラムを形成する、体積ホログラム形成層には、各種の透明な材料又は、透明なフィルムが用いられる。
すなわち、銀塩写真乳剤、重クロム酸ゼラチン、フォトレジスト、フォトポリマー材料、無機材料からなるフォトリフラクティブ材料、フォトクロミック材料等及び、それらの材料からなるフィルムがある。
銀塩写真乳剤としては、高感度及び、高解像度が求められる。
フォトレジストには、ポジ型フォトレジストと、ネガ型フォトレジストをいずれも用い得る。
フォトポリマー材料としては、架橋型フォトポリマー、ラジカル重合型フォトポリマー、カチオン重合型フォトポリマー、化学増幅型フォトポリマー、ナノ粒子分散系フォトポリマー等を用いることができ、その取り扱い適正は、特に優れる。
フォトクロミック材料は、光や熱等の特定の環境下において、その色調が変化するため、その意匠性はさらに高いものとなる。
重クロム酸ゼラチンは、その屈折率変調の高さ(すなわち、高い回折効率、帯域幅対応性)から、「反射ホログラム」の製作に選ばれる材料である。但し、重クロム酸ゼラチンは保存性に課題があり、「反射ホログラム」形成後に、湿式処理を必要とする。このため、この材料はホログラム記録の直前に新たに調製しなければならず、あるいは、予備硬化させたゼラチンを使用しなければならず、画像の再生効率を低下させる。
湿式処理は、ホログラム形成に際し、付加的工程をもち込むことになり、そして処理中に材料が膨潤し、ついで収縮する際に寸法的な変化を生じやすい。これらの寸法的な変化はフリンジの間隔に影響する。従って、重クロム酸ゼラチンによって高品質の「反射ホログラム」を作製することは、時間がかかり、かつ、困難である。
いくつかの処理工程を必要とする、銀塩写真乳剤、或いは、重クロム酸ゼラチンに対して、1回処理工程のみを必要とする固体光重合性材料、すなわち、フォトポリマー材料は、好適である。
フォトポリマー材料の例としては、固体の光重合性組成物であって、熱可塑性重合体結合剤、付加重合可能なエチレン系不飽和単量体、及び、不飽和単量体の重合を活性化する光開始剤からなる、屈折率変調を有する光重合性組成物が挙げられる。
熱可塑性重合体結合剤は、溶媒可溶性の熱可塑性重合体であるが、単独で、又は、互に組合せて使用することができ、例えば、アクリレート及びアルファーアルキルアクリレートエステル、ポリビニルエステル、飽和及び不飽和ポリウレタン、ブタジェン及びイソプレン重合体及び共重合体、エポキシ化物、ポリアミド等、並びに、それらの混合物を使用できる。
エチレン系不飽和単量体は、単一の単量体として、又は、組合せて使用することができる単量体として、スチレン、2−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、メトキシスチレン、アクリル酸フェニル等を用いることができる。
光開始剤としは、遊離ラジカル発生付加重合開始剤等を使用することができる。
フォトポリマー材料としては、さらに、フッ素含有ポリマー、付加重合可能なエチレン性不飽和モノマー、及び、光開始剤を有する、光重合性組成物を用いることができる。
フッ素含有ポリマーとしては、テトラフルオロエチレンまたはへキサフルオロプロピレンのような、過フッ素化モノマーとビニルアセテートとから作られたポリマーが挙げられる。
コヒーレント光による露光によって、このモノマーは、未露光域とは異なる屈折率とレオロジー的性質をもつ、高分子量のフォトポリマーを形成するように(光)重合する。この高分子量のフォトポリマーは実質的に固体ではあるが、各成分は電離放射線による一様、且つ、全面に渡る露光、または、高温度で熱処理することで「定着」されるまでは、コヒーレント光による露光中、および、露光後も、内部拡散をする。
このフォトポリマーは、その厚さと屈折率変調とにより決定される、所定の中心波長、及び、波長領域(分散帯域)をもつ光を反射する。そこで、その厚さは、用途、および、光学系の光学的な要請、すなわち使用中にホログラムを照明(再生)するのに用いる光の帯域幅、に対して一致させられる。一般的に狭い帯域幅用の応用には、比較的厚いフォトポリマーが選ばれ、広い帯域幅用の応用には比較的薄いフォトポリマーが選ばれる。
使用されるフッ素含有ポリマーは、フォトポリマーのその他の各成分と両立し得るフッ素含有ポリマーであり、塗布されたときに実質的に固体の透明な皮膜を作るものである。
「実質的に固体」とは塗布された皮膜が、溶剤を除去した後に、一般的に固体材料の有している諸特性(例えば寸法安定性)を有していることを意味している。
フッ素含有ポリマー中のフッ素の存在は、一般に、フォトポリマーの屈折率を低下させ、これによりホログラム画像化後のフォトポリマーにおいて、増加した(「より大きな」という意味。)屈折率変調が達成される。屈折率変調は、フッ素含有量の増加とともに増大するが、フォトポリマーに不透明化を起こさせないためには、そのフッ素の存在量は限定される。
従って、フッ素の含有量は、その効果が、1%のような低レベルにあっても達成されるものの、代表的には、10〜20%の範囲内とされる。フッ素の含有量は、用途に応じた屈折率変調を達成するために調整可能である。
フッ素は、フッ素含有ポリマーを構成する他のモノマーとフッ素含有モノマーとを共重合するか、または、フッ素含有ポリマーとの反応により導入する。例えば、フッ素含有ポリマーが、アルコール、または、酸置換基のような官能基を含むとき、フッ素を導入するためには縮合、アセタール化、ケタール化、またはエステル化反応などが使用できる。
フッ素含有ポリマーには、ビニルエステル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルアセタール/ブチラール、またはプレポリマー類あるいはこれらの混合物と、フッ素化モノマーとのポリマー類等を用いることができる。
以上のフッ素含有ポリマー、付加重合可能なエチレン性不飽和モノマー、及び、光開始剤からなる、光重合性組成物は、その透明性を維持しつ、大きな屈折率変調を有するため、高い透明性と、鮮明なホログラムの再生を必要とする、本発明のスクラッチカードに好適である。
また、透明な樹脂、すなわち、光重合性組成物としては、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、特定波長の光に感光してラジカル重合性化合物を重合させる光ラジカル重合開始剤系、及び上記特定波長の光に対しては低感光性であり、別の波長の光に感光してカチオン重合性化合物を重合させる光カチオン重合開始剤系からなる感光性材料が用いられる。
この光重合性組成物は、光ラジカル重合開始剤系が感光するレーザー光等の光を照射し、次いで光カチオン重合開始剤系が感光する上記レーザー光等の光とは別の波長の光を照射することによりリップマンホログラムが記録される。レーザー光等の光の照射(以下、第1露光)によってラジカル重合性化合物を重合させた後、カチオン重合性化合物は、その次に行う全面露光(以下、後露光)によって組成物中の光カチオン重合開始剤系を分解させて発生するブレンステッド酸あるいはルイス酸によってカチオン重合するものである。
カチオン重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物の重合が比較的低粘度の組成物中で行なわれるように室温液状のものが用いられる。そのようなカチオン重合性化合物としてはジグリセロールポリグリシジルエーテル等が例示される。
ラジカル重合性化合物は、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましい。また、ラジカル重合性化合物の平均屈折率は上記カチオン重合性化合物のそれよりも大きく、好ましくは0.02以上大きいとよく、小さいと屈折率変調が不十分となり好ましくない。ラジカル重合性化合物としては、アクリルアミド、メタクリルアミド等が例示される。
光ラジカル重合開始剤系は、体積ホログラム作製のための第1露光によって活性ラジカルを生成し、その活性ラジカルがラジカル重合性化合物を重合させる開始剤系であればよく、また、一般に光を吸収する成分である増感剤と活性ラジカル発生化合物や酸発生化合物を組み合わせて用いてもよい。光ラジカル重合開始剤系における増感剤は可視レーザー光を吸収するために色素のような有色化合物が用いられる場合が多いが、無色透明体積ホログラムとする場合には、シアニン系色素が好ましい。
シアニン系色素は、一般に光によって分解しやすいため、後露光、または室内光や太陽光の下に数時間から数日放置することにより、体積ホログラム中の色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明な体積ホログラムが得られる。
このような無色透明性は、体積ホログラム再生像の鮮明度を向上させるのみならず、体積ホログラム形成層の背後に設けた地紋印刷や、デザイン印刷等を視認する際に好適となる。
光カチオン重合開始剤系は、第1露光に対しては低感光性で、第1露光とは異なる波長の光を照射する後露光に感光してブレンステッド酸、あるいはルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物を重合させるような開始剤系とするとよく、第1露光の間はカチオン重合性化合物を重合させないものが特に好ましい。
その体積ホログラム形成層の厚さは、5.0μm〜300μmとする。好適には、30μm〜100μmである。もちろん、この厚さは薄い方がコスト面や、透明性を確保するためには有利であるが、5.0μm未満では、十分な光選択性が得られず、また、鮮明なホログラム再生像を得ることが困難である。
しかし、300μmを超えると、コスト面で不利となるだけでなく、加工処理中の熱変形などによるホログラム再生像の歪みが顕著となり、また、その加工適性も劣化する。
以上の方法は、樹脂を担持するための「適宜な透明基材」を介することなく、直接樹脂から形成することができるため、あらかじめそのような透明基材に樹脂をコーティングしておく工程を不要とすることも可能で、この場合には、コスト面及び、管理面において優れるものとなる。
但し、「適宜な透明基材」を用いると、そのハンドリング適正が著しく向上するため、本発明のスクラッチカードの使用目的や用途によっては、敢えて、「適宜な透明基材」を用いることも好適である。
その場合には、その透明基材の一方の面に、透明な樹脂をコーティングして、体積ホログラムを有する「体積ホログラム形成層」を設けた積層体を、一旦、形成することとなる。
体積ホログラム形成層は、光重合性組成物の塗布液(例えば、固形分15〜25%)を、透明基材が、1枚毎のシート状であればバーコート、スピンコート、または、ディッピング等により塗布形成され、また、透明基材が、ロール状の長尺の状態で塗布するのであれば、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、または、コンマコート等により塗布する。体積ホログラム形成層は、塗布液に合わせた乾燥、乃至、硬化の手段を用いて固化される。
また、「体積ホログラム形成層」の断面を「光学的な鏡面」とするために、炭酸ガスレーザーや、YAG個体レーザー等の高出力のレーザー切断装置を用いて切断する「レーザー切断法」や、非常に鋭利な断裁刃を用いて物理的に切断するなどして、「体積ホログラム形成層」を所定のサイズに切断し、少なくとも1つ以上の切断面を「光学的な鏡面」とした後、カード基材上にラミネートしたり、転写形成したりして設けることが好ましい。
さらには、同様の手段を用いて、カード基材の断面をも、「光学的な鏡面」とすることができる。
体積ホログラム形成層に用いられる光重合性組成物としては、一例として、組成物全体に対してカチオン重合性化合物を10〜50%、ラジカル重合性化合物を40〜70%、光ラジカル重合開始剤系を1〜5%、及び、光カチオン重合開始剤系を1〜5%とするとよく、全量を100%となるように配合する。
光重合性組成物は、必須成分および任意成分をそのまま、もしくは必要に応じてメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセルソルブ等のセルソルブ系溶媒、メタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒と配合し、冷暗所にて、高速撹拌機を使用して混合することにより調製される。
この光重合性組成物は、その透明性を維持しつ、鮮明な体積ホログラムを再生でき、且つ、高い破断強度、小さい破断伸度、さらには、高い鉛筆硬度を有するため、高い透明性と、引張り耐性や耐摩耗性等の強靭な物理特性などの高い信頼性を必要とする偽造防止用途に、好適である。
光重合性組成物そのものからなるシートや、フィルム、さらには、透明基材上にコーティングした光重合性組成物、すなわち、体積ホログラム形成層に、上記した方法を用いて体積ホログラムを形成することができる。
体積ホログラムは、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を上記したような、いわゆる、体積ホログラムの原理でホログラムを記録したものであり、例えば、フレネルホログラムなどのレーザー再生ホログラム、イメージホログラム及び白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、ホログラフィックステレオグラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などとすることができる。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
また、CGH手法を用いて、「体積ホログラム形成層」の「上面」(もしくは、『下面』)からの記録により、「第一の体積ホログラム」を記録することは、その記録の容易性からさらに好ましい。
ここで、本発明のスクラッチカードのスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフして、露出した体積ホログラム形成層を観察する者に、この体積ホログラム形成層の全面に、「単なるリップマンホログラム」が設けられていると思わせるためには、自然光下では視認できない透過型ホログラムに加えて、それらの観察者が自然光下で目視にて鑑賞可能な反射型ホログラム、すなわち、リップマンホログラムを、少なくとも1種類は、多重記録しておくことが必須である(隠しホログラムである透過型ホログラムの記録に重ねて、反射型ホログラムを記録するという意味。)。
この際、透過型ホログラムの再生効率(ホログラムとして、回折格子を記録した際の回折効率に相当する。)を反射型ホログラムの再生効率よりも小さくすることが、その透過型ホログラムの隠し効果を高める上で、好適である。
体積ホログラム形成層は、いわゆる「ホログラフィー露光装置」による所定の波長範囲のレーザー光等の光を使用し、ラジカル重合性化合物を重合させてその内部に干渉縞が記録される。この段階で、記録された干渉縞による回折光が得られ、体積ホログラムが形成されるが、体積ホログラム形成層として、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系、及び光カチオン重合開始剤系からなる感光性材料を用いた場合には、未反応のまま残っているカチオン重合性化合物を更に重合させるために、後露光として光カチオン重合開始剤系の感光する光(例えば波長200〜800nm)を全面照射して体積ホログラムを固定化するとよい。なお、後露光の前に体積ホログラム形成層を熱や赤外線で処理することで回折効率、回折光のピーク波長、半値巾などを変化させることもできる。
体積ホログラムを形成した体積ホログラム形成層は、そのホログラムを形成したときに使用したレーザー等の光源波長(これが、上記した「参照光」や、「物体光」となる。)によって、その「層」の中に、フリンジ(干渉縞)を「屈折率の部分的な変化(屈折率変調)」という形で、「3次元的」に記録したもの(フリンジ全体が立体的構造となるという意味。)である。
このフリンジは、上記したホログラム形成時に使用した光源波長で照明したときにのみ、「干渉現象」を発生し、観察者の目に視認可能となる反射再生像(体積ホログラム再生像)を出現させる。
しかしながら、このフリンジを、上記の波長以外の光で照明したときは、上記した「干渉現象」が発生せず、わずかな散乱現象が生じるのみで、その光はそのまま透過することになる。
例えれば、可視光線領域内である、発振波長442nmの固体レーザー(HeCdレーザー。)を用いて体積ホログラムを形成し、体積ホログラム形成層とすると、その体積ホログラム形成層に、470nmや、520nm等の可視光線領域に別の発光波長を有する光源の光を投射しても、体積ホログラム再生像を再生せず、しかも、反射光をも発生しない(層表面と空気との界面でのわずかな界面反射は存在するが、フリンジによる反射光は発生しない。)。
これらの体積ホログラムを形成する際に用いられる光源としては、可視光波長領域にあるコヒーレントな光を発振(発光)するものであれば、いずれも用いることができるが、例えば、ガスレーザーとして、HeNeレーザーLGシリーズ(発振(発光)波長は、594nm、633nm、0.5mW〜30mW)、HeNeレーザーLHシリーズ(同、594nm、604nm、612nm、633nm、0.3mW〜4.0mW)、アルゴンレーザー(同、488nm、40mW)、HeCdレーザーIKシリーズ(同、442nm、20mW〜200mW)、窒素/色素レーザーGL−301、窒素/色素レーザーGL−302(同、360nm〜990nmから選択可能。)等、固体レーザーとして、ルビーレーザー(同、694nm、パルスレーザー)、小型CWレーザー(Nd:YAG、Nd:YLF、Nd:YVO4レーザー)Direct(同、405nm、445nm、447nm、488nm、638nm、643nm、655nm、690nm)、小型CWレーザー(同)Crystal(同、473nm、593nm、657nm、660nm、671nm)、波長変換レーザーOptiシリーズ(同、488nm、589nm)、TOL90色素レーザー(同、420nm〜900nmから選択可能。)等、半導体レーザーとして、SWL−7513H(同、633nm、660nm、8mW〜20mW)、FK LA−100(同、457nm、1W)、LDM(同、405nm、440nm、473nm、635nm、665nm、690nm、10mW〜200mW)等を用いることができる。
この中でも、発振(発光)波長が、650nm±10nmのレーザーを用いることは、上記したPOS端末に対応することを可能とし、本発明のスクラッチカードのPOS端末での真正性判定を可能とするため、特に、好適である。(体積ホログラムにおいては、ホログラム記録時の記録用光源波長と、ホログラム再生時の照明光源波長とを同一にする必要があるため。)
ここで、本発明のスクラッチカードの真正性を判定する際に、2枚のスクラッチカード(スクラッチカードA、及び、スクラッチカードB)を用い、それぞれに埋め込んであるスクラッチ隠蔽層を接するように重ね合わせ、一つの平面となった、2枚のカード基材の断面にほぼ均等に「所定の入射光」を入射させ、それぞれの「体積ホログラム」を通過させた後、同様に一つの平面となった、2枚のカード基材の他の断面からの出射光により、体積ホログラム再生像を再生させることができる。
このことは、スクラッチカードA及びBの、それぞれのスクラッチ隠蔽層が、それぞれのカード基材に「面一」に埋め込まれていることにより可能となるものであって、スクラッチカードA及びBの、それぞれの体積ホログラム形成層に、「一つの合成ホログラム」を二つに分解した、「部分ホログラムA」と「部分ホログラムB」を、それぞれ記録しておき、上記のように重ね合わせて、同時に両方を照明することで、それらの体積ホログラム(部分ホログラム)が一つに合成された新たな体積ホログラム「合成ホログラム」を再生することを可能とする。
例示すれば、一つの意味のある再生像を再生する「合成ホログラム」、例えば、「二つの文字の再生像『A B』」を、二つの部分ホログラムに分解する際に、再生像「文字状再生像『A』」の部分ホログラムAと、再生像「文字状再生像『B』」の部分ホログラムBに、「分解」してもよいし、いわゆる「連想ホログラム」のごとく、個々の部分ホログラムAとBには、なんらの再生像をも出現しない「干渉縞A」と「干渉縞B」を記録し、この部分ホログラムA(「干渉縞A」)と部分ホログラムB(「干渉縞B」)を所定の空間的配置(立体的な配置を意味する。)に置き、同時に照明することで、「『干渉縞A』と『干渉縞B』」が同時に作用して、一つの再生像(文字状再生像『A B』)を出現するものとしてもよい。
この際、一方のスクラッチカードをマスターカードとして、カード販売者が保有し、他方のスクラッチカードを販売する時に、カード販売者が2枚のカードを重ね合わせて真正性を判定する手順とすることも、その偽造防止性を著しく向上させることができ、好適である。もちろん、3枚以上の本発明のスクラッチカードを用いて、上記したような、一つの「合成ホログラム」を再生するものとしても良いことは言うまでもない。
本発明のスクラッチカードは、スクラッチカードのカード基材上に、「秘密情報」が設けられ、その「秘密情報」を覆うように、体積ホログラム形成層、スクラッチ隠蔽層、もしくは、接着層、体積ホログラム形成層、スクラッチ隠蔽層、または、その体積ホログラム形成層上や、スクラッチ隠蔽層上にさらに地紋印刷を設けたもの、及び、その体積ホログラム形成層に黒色層を付加したもので構成され、その「体積ホログラム形成層とスクラッチ隠蔽層」、「接着層、体積ホログラム形成層、スクラッチ隠蔽層、そのスクラッチ隠蔽層上にさらに地紋印刷を設けたもの、または、スクラッチ隠蔽層と体積ホログラム形成層との間に、さらに地紋印刷を設けたもの」や「その体積ホログラム形成層に黒色層を付加したもの」などの積層体を、カード基材に埋め込んで「面一」としたものである。
ここで、「黒色層」は、体積ホログラム形成層の領域に対してその領域全面に対応して形成してもよいし(もちろん、「秘密情報」形成部を覆う領域には設けない。)、いわゆる「パターン形状」に形成してもよい。
このことは、「接着層」の形成位置や形成パターンについても同様として、「接着層」を形成することができることは言うまでもない。
体積ホログラム形成層は、カード基材及び「秘密情報」形成部、または、スクラッチ隠蔽層を溶解したり、変質させたりしない溶剤を用いて、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の印刷方式や、スピンコーティング方式、カーテンコート方式、フォトレジスト処理方式等の形成手段を用いて、乾燥後の厚さとして、5.0μm〜300μm、さらには、30μm〜100μmの厚さで、カード基材及び「秘密情報」形成部上、または、スクラッチ隠蔽層上に形成する。
もしくは、「適宜な透明基材」に、予め上記の厚さで、体積ホログラム形成層を設けておき、その体積ホログラム形成層(体積ホログラム記録前、もしくは、記録後)の露出面を、カード基材面に接するように積層する手順としたり、さらに、その「適宜な透明基材」を体積ホログラム形成層との界面で剥離して、体積ホログラム形成層を最表面とする手順とすることもできるが、この際も、上記の形成手段を適宜用いることができる。
この厚さが、5.0μm未満であると体積ホログラムの記録が困難となり、300μmを超える厚さでは、この体積ホログラム形成層の上に部分的に設けるスクラッチ隠蔽層の厚さとのバランスが悪化し、スクラッチ隠蔽層のカード基材への埋め込みに支障をきたしたり(埋め込みのための圧力が、スクラッチ隠蔽層部分に集中せず、分散してしまうことを意味する。)、または、スクラッチカードのカード基材上のスクラッチ隠蔽部分(「秘密情報」を隠蔽するための、スクラッチ隠蔽層や体積ホログラム形成層等の積層部分をいう。)の総厚さが大きくなりすぎ、そのスクラッチ適正やハンドリング適正が低下する。
記録する体積ホログラムのデザインは、単独のホログラムデザインでも、複数のホログラムデザインの集合体でもよい。この「集合体」とは、記録領域が異なるホログラムの集合体、もしくは、記録領域が同一のホログラム多重記録による集合体でもよい。
さらには、リップマンホログラムである反射型ホログラムを通常の観察角度で鮮明に視認される鑑賞用として記録しておき、これに加えて、透過型ホログラムをその観察角度とは、大きく異なる角度(その角度差を30度〜60度とする。)で多重記録して、特殊な観察角度のみで視認可能とすることで、本発明のスクラッチカードの偽造防止性を高めることも好適である。
この体積ホログラム形成層に、さらに、「屈折率変化領域」を「所定パターン」として記録する。
すなわち、この体積ホログラム形成層に、上記した体積ホログラム記録に加えて、目視判定可能なサイズの「所定パターン」表示領域であって、且つ、その領域内を「一定の均一な屈折率を有する領域」へと変化させた、「屈折率変化領域」を形成する。
スクラッチカードの正規購入者は、スクラッチ隠蔽層のスクラッチオフにより、「秘密情報」及び体積ホログラム形成層により再生される体積ホログラム再生像に加えて、この「屈折率変化領域」によって表示される「所定パターン」を視認することとなる。
「屈折率変化領域」としては、「二次元平面領域」、もしくは、「三次元体積領域」を形成するが、視認(もしくは、表示)される「所定パターン」としては、この体積ホログラム形成層内に設けられた「屈折率変化領域」を、体積ホログラム形成層に対して垂直上方から観察する際に視認される「パターン」となるため、
体積ホログラム形成層の形成面に平行に設けられた「二次元平面領域」では、その「『二次元平面領域』の形そのもの」として、
また、「三次元体積領域」では、「その『三次元体積領域』をその形成面に平行な面で切り取った断面形状(厳密には、全ての「断面形状」を重ねあわせた、その最大領域を成す「形状」となる。)」として、視認(もしくは、表示)される。
このような、「屈折率変化領域」を体積ホログラム形成層内に形成する手段としては、体積ホログラム形成層内に仮想的に設けた「二次元平面領域」や、「三次元体積領域」に向かって、「光」その他の「エネルギー」を照射すると同時に集光し(焦点を結ばせるという意味。)、それらの「領域」の隅から隅までを一定の照射時間と一定の走査速度で、スキャンすることで得られる。
もしくは、体積ホログラム形成層上に、「所定パターン」を開口部とした遮蔽版を重ね、その上から、体積ホログラム形成層面に垂直にエネルギー照射を施して、体積ホログラム形成層の厚さ方向に均一な屈折率を持ち、且つ、その断面が「所定パターン」となっている「屈折率変化領域」を形成することもできる。
いずれにしても、その「領域」の隅から隅まで、一定のエネルギー強度の照射を施して、その「領域」内の屈折率を、その「領域」の周辺領域の屈折率から、一定の値だけ「変化」させる。(その「領域」内に一様なエネルギー強度分布を与えて、「均一な、より高い屈折率」へと「変化」させるという意味。)
特に、観察者から見て「所定パターン」を表示可能となるような、「『二次元平面領域、もしくは、三次元体積領域』を「エネルギーの像」、例えば、「光の像」(以下、「エネルギーの像」の代表例として「光の像」につき詳述する。)を、レンズ系を含む光学系を用いて、体積ホログラム形成層内に結像させる、「結像光学系」を用いることで、その「領域」内の隅々までを、瞬時に、且つ、均一に、変化させることができ、簡便に、且つ、再現性良く高い精度で、所望の「屈折率変化領域」を設けることができ、好適である。
この場合に、上記した「光の像」を、遮蔽版に設けた開口部に均一な照明をして設けたり、反射防止を施した金属板やガラス板に、「所定パターン」の散乱面を形成し、その全体を照明して設けたり、種々の光源そのものを用いたりすることで、準備することができる。
もちろん、この「光の像」を、体積ホログラム形成層内に、その結像位置を変えて、繰り返し記録してもよいことは言うまでもない。
さらには、そのそれぞれの結像位置において、「光の像」のエネルギー強度を変え、屈折率の異なる「屈折率変化領域」を設けることも、その偽造防止性を高めることに寄与するため好適である。
そして、この「光の像」のエネルギーをステップバイステップに変化させることも同様に好適である。
特に、この「光の像」は、その「光の像」を通して、「秘密情報」を判別可能であるため好適である。
上記したエネルギー強度を照射する手段としては、
熱放射による白熱電球,ハロゲン電球とルミネッセンスによる蛍光ランプ,アーク灯、水銀ランプ,蛍光水銀ランプ,安定器内蔵型水銀ランプ,メタルハライドランプ,高圧ナトリウムランプ,低圧ナトリウムランプ、無電極放電灯、低圧放電灯、発光ダイオード、例陰極型蛍光管、外部電極型蛍光管、エレクトロルミネッセンスライト、紫外線ランプ、赤外線ランプ等を用いることができる。
また、エネルギー強度としては、0.1mW〜、10Wの光源を用いて、体積ホログラム形成層に対しては、5.0mJ/cm2〜5.0J/cm2の露光量となるように照射する。エネルギー強度が、0.1mW未満であると、エネルギー照射に時間を要し、「屈折率変化領域」の形成精度が低下する。特に、エネルギー強度として、1.0mW〜100mWの光源を用いて、10mj/cm2〜1.0J/cm2が好ましい。
ここで、エネルギー強度が、10Wを超えると、「屈折率変化領域」の周辺領域まで、屈折率を変化させることとなり、結果として、「屈折率変化領域」の形成精度が低下することとなり、不適当である。
このエネルギー強度を照射する手段によって、「屈折率変化領域」の屈折率を、その周辺領域より、0.01〜0.3だけ高くすることができる。
そして、この体積ホログラム形成層への、「屈折率変化領域」の記録は、本発明のスクラッチカードの製造工程中、体積ホログラム形成層への体積ホログラムの記録の際、特に、高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2の紫外線を照射したり、更に120℃で120分間加熱処理して、体積ホログラムを定着させる処理を施す直前に、行う。
また、本発明のスクラッチカードの各製造手順において、体積ホログラム形成層をカード基材に形成した際、スクラッチ隠蔽層上に体積ホログラム形成層を形成した際に、いずれも、最表面に体積ホログラムが露出している状態で行う。
さらに、カード基材、「秘密情報」形成、体積ホログラム形成層形成、そして、スクラッチ隠蔽層を形成した後に、そのスクラッチ隠蔽層で覆われた体積ホログラム形成層に、「屈折率変化領域」を形成する。
この場合には、体積ホログラム形成層の表面がスクラッチ隠蔽層で覆われているため、体積ホログラム形成層の露出している断面から、もしくは、カード基材が、〔透明材料層/不透明材料層〕のように2層、もしくは、それ以上の構成を成し、且つ、その体積ホログラム形成層に接している層が透明であった場合には、その透明材料層を通して、「屈折率変化領域」を形成することとなる。
特に、「結像光学系」を用いて、「光の像」を、体積ホログラム形成層の断面に、入射角度30度〜80度で入射させ(入射角度は、体積ホログラム形成層の表面に垂直な角度を0度とし、その角度からの開きを意味する。)、そして、その体積ホログラム形成層の断面を通過させて、その断面の近傍に結像させるか、もしくは、その断面通過後、体積ホログラム形成層とカード基材との界面で一旦、反射させて(または、多重反射させて)、その後に、体積ホログラム形成層内で結像させる。この時、体積ホログラム形成層の上下の面が「光学的な鏡面」であることが、高い精度で「屈折率変化領域」を設けるためには望ましい。
さらには、カード基材が、少なくとも〔透明材料層/不透明材料層〕の2層以上の構成であった場合には、カード基材の体積ホログラム形成層形成位置より外側から、「光の像」を、その透明材料層に入射させ、その透明材料層と不透明材料層との界面で、反射させて、体積ホログラム形成層内部へと導き、体積ホログラム形成層内で結像させる。この時も、体積ホログラム形成層の上下の面、及び、カード基材の透明材料層と不透明材料層との界面までも「光学的な鏡面」であることが、高い精度で「屈折率変化領域」を設けるためには望ましい。
また、カード基材、「秘密情報」形成、体積ホログラム形成層形成、そして、スクラッチ隠蔽層を形成した後に、そのスクラッチ隠蔽層で覆われた体積ホログラム形成層に、「屈折率変化領域」を形成する場合は、既に、カード基材への個別印刷等(カードに固有の番号や、カード個別のデザイン印刷、さらには、カード保持者に関する個人情報等を意味する。)を施した後に、「屈折率変化領域」を形成する手順とすることができ、「所定パターン」の記録を、これらの個別印刷に対応した、個々のスクラッチカードに固有の「情報」に対応した記録として、もしくは、これらの「情報」の少なくとも一部を含んだ記録として施すことが容易、且つ、好適となり、その変造や偽造をさらに困難としたスクラッチカードとすることができる。
しかも、「結像光学系」を用いた「光の像」の光路中に、「秘密情報」形成部を含めることで、この「秘密情報」そのものを含んだ「所定のパターン」とすることができ、その変造や偽造を、著しく困難なものとすることができる。
体積ホログラム形成層の断面は、縦方向(厚さ方向)の長さが非常に小さい(5.0〜50μm。横方向の長さは十分大きい。)ものであるが、「結像光学系」の設計により、その断面通過時の「光の像」の縦方向の長さを制御することで、比較的大きく、目視可能なサイズの「屈折率変化領域」を設けることが可能となる。
また、「所定パターン」としては、上記した「秘密情報」と同様の「情報」を採用することができるが、あくまで、屈折率差を利用した光の反射現象を用いて、「表示」するものであるため、比較的単純で、比較的大きな形状のものを用いることが好ましい。
「二次元平面領域」の表示となる「文字」情報で例えれば、文字画数の20画以下の文字を採用し、そのサイズも5.0mm以上(且つ、体積ホログラム形成層のサイズより小さく。)、もしくは、フォントサイズで、10〜40ポイントの「文字」を採用する。他の情報、及び、「三次元体積領域」の表示もこれに対応したものとする。
そして、スクラッチ隠蔽層は、カード基材上及び、カード基材上の「秘密情報」形成部の上に、その「秘密情報」を覆うように体積ホログラム形成層を設けた、その体積ホログラム形成層上に、もしくは、その体積ホログラム形成層を覆うように設けた後、カード基材に「面一」に埋め込むことで得られる。
または、体積ホログラム形成層上に、スクラッチ隠蔽層を形成して、2層積層体とした後、その2層積層体を、カード基材上の「秘密情報」形成部の上に、その体積ホログラム形成層形成部分が「秘密情報」を覆うように設けた後、その2層積層体をカード基材に埋め込むことで得られる。
従って、スクラッチ隠蔽層の露出面を「光学的な鏡面」とした場合には、その上に設ける体積ホログラム形成層のインキ組成物としては、スクラッチ隠蔽層を部分的に溶解したり、膨潤させたり、変形や変質を生じさせないものを用いる。
スクラッチ隠蔽層用インキ組成物としては、例えば、ゴム系天然樹脂、ジエン系樹脂、アクリル系樹脂や、ビニル系樹脂の中から選定したものを樹脂成分とし、隠蔽性とスクラッチ性を得るために、金属系微粉末やそれらの酸化微粉末等の顔料成分を固形分全体の20〜80%の割合で含有するものを用いる。また、スクラッチ隠蔽層の隠蔽性を向上させるために、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の隠蔽性の強い顔料成分を1〜10%含有させてもよい。スクラッチ隠蔽層用インキ組成物を以上の組成物から構成することにより、印刷適性とスクラッチ性との双方を満足することができるようになる。
スクラッチ隠蔽層は、このインキ組成物を、体積ホログラム形成層、さらには、カード基材を部分的に溶解したり、膨潤させたり、上記のような変形や変質を生じさせない溶剤で希釈したもの(以下では、これを含めて、「スクラッチ隠蔽層用のインキ組成物」という。)を、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の印刷方式を用いて、乾燥後の厚さとして、5μm〜50μm、さらには10μm〜30μmの厚さで、基材上(「秘密情報」形成部上)や、体積ホログラム形成層上に形成する。
この際、体積ホログラム形成層の表面を「光学的な鏡面」とし、この上に、上記した配慮等を施してスクラッチ隠蔽層を設けることにより、体積ホログラム形成層とスクラッチ隠蔽層の界面を、「光学的な鏡面」とすることができる。
スクラッチ隠蔽層の厚さが5μm未満では、「秘密情報」が透けて見える可能性があり、50μmを超える厚さでは、やはり、スクラッチカードのカード基材上のスクラッチ隠蔽部分の総厚さが大きくなりすぎ、カード基材への埋め込みに支障をきたす。さらにその厚さが、10μm以上あれば「秘密情報」の隠蔽性は十分であり、30μm以下であれば形成作業性に優れ、スクラッチカードを1000枚重ねた際の突出量は皆無であって、自搬送処理等に適するものとなる。また、スクラッチ隠蔽層の厚さがこの範囲であれば、コインや、指もしくは爪で容易に粉砕可能である。
但し、このスクラッチ隠蔽層と体積ホログラム形成層との界面は、反射型ホログラム再生像の「通過面」であって、また、この界面を「2度」通過して、透過型や反射型ホログラム再生像を出現させるため、この界面を「光学的な鏡面」とする必要がある。
このスクラッチ隠蔽層と体積ホログラム形成層との界面が、「光学的な鏡面」とならず、いわゆる「ランダムな散乱光を発する粗面状」となっている場合には、この「粗面状の界面」を体積ホログラム再生像を視認するための照明光で照明したときに、その「光の位相」が乱され、透過型及び反射型ホログラム再生像に対して、位相の揃った光の干渉により発生するホログラムの再生そのものを阻害して、それらの体積ホログラム再生像の視認性を低下させ、場合により、体積ホログラム再生像の存在すら確認することができないものとしてしまう。
このような「光学的な鏡面」とは、スクラッチ隠蔽層や体積ホログラム形成層の表面の平滑性が、実質的に、平均表面粗さRaで、0.01μm〜0.1μmであることを意味するものであって、あるべき面から逸脱するような不規則な凹凸の無い「滑らかな面」であることを言い、敢えて定義すれば、「比較的小さい領域であってその領域内では、ほぼ平面と近似できる面領域における平均表面粗さRaの値が、どの領域においても0.01μm〜0.1μmであること」と定義できる。
通常、スクラッチ隠蔽層を上記のような印刷方式を用いて、基材上(「秘密情報」形成部上)、体積ホログラム形成層上に形成すると、その最表面(その形成直後の露出面)は、1.0μm〜30.0μm程度、場合によってはそれ以上の「粗さ」となり、その「粗さ」が、コインや、指もしくは爪で粉砕することを容易なものとし、スクラッチオフ適正という点では望ましいとされている。(スクラッチオフとは、コインや爪によるスクラッチによりスクラッチ隠蔽層を部分的に除去することを意味する。)
しかし、スクラッチ隠蔽層の体積ホログラム形成層と接している面は、本発明の目的より、上記したように「光学的な鏡面」とする必要があるため、適宜な剥離性フィルム上に、スクラッチ隠蔽層を形成後、上記した「光学的な鏡面」以上の平滑な表面を有する、「表面平滑化処理を施した金属板」等を用いて、100〜200℃の加熱、及び、107〜109Paでの加圧をする平板プレス処理、もしくは、「表面平滑化処理を施した金属ロール」等を用いてロール幅1cmに対して1.0kg以上の線圧を掛けるロールプレス処理により、一旦、スクラッチ隠蔽層の、体積ホログラム形成層と接する面を「光学的な鏡面」とし、その面の「光学的な鏡面」性を維持したまま、体積ホログラム形成層を設けて、2層積層体を形成後、その適宜な剥離性フィルムを剥がして、スクラッチカードのカード基材上の所定の位置に配置後、カード基材に設ける手順とすることも好適である。
このとき、その2層積層体をカード基材上に設ける前に、その体積ホログラム形成層の上に、接着層や黒色層を設けたり、黒色層上にさらに接着層を設けて、カード基材に埋め込む手順としてもよいし、体積ホログラム形成層の露出面を「光学的な鏡面」とした後に、黒色層を形成し、その後、同様に、カード基材に埋め込む手順としてもよい。
もちろん、適宜な剥離性フィルム上に、スクラッチ隠蔽層(「光学的な鏡面」である面を有する。)、その上に、もしくは、その上の一部分に、体積ホログラム形成層を設けたもの、もしくは、その体積ホログラム形成層の上に黒色層を設けたもの、さらには、それらの最上層に接着層をもうけたものを準備し、スクラッチカードの基材上の「秘密情報」形成部が、「そのスクラッチ隠蔽層によって覆われるように配置」して、その剥離性フィルムを有するまま、その適宜な剥離性フィルムごと、平板プレス処理を行うことでも、同様の状態とすることができる。この場合には、その適宜な剥離性フィルムの厚さ分だけ、スクラッチ隠蔽層の最表面が、カード基材表面より凹むこととなる。
また、スクラッチカードのカード基材上に設けた所定の深さを持つ凹部に、上記のように、体積ホログラム形成層及びスクラッチ隠蔽層(接着層や黒色層を含めてもよい。)を所定の高さに設けて、基材表面と面一、もしくは、基材表面より凹む高さとする手順としてもよい。
そして、この凹部の側面と体積ホログラム形成層の断面との「隙間」から、「所定の入射光」を入射させ、やはり、その「隙間」から、出射光を引き出すこととしてもよい。
このため、スクラッチ隠蔽層の「平坦な面」、または、体積ホログラム形成層の「平坦な面」の物理特性を、このような体積ホログラム形成層形成段階や、スクラッチ隠蔽層形成段階において、その面を「光学的な鏡面として維持できるレベル」まで向上させる必要がある。
例えば、スクラッチ隠蔽層や体積ホログラム形成層のインキ組成物に2液硬化性樹脂や、熱硬化樹脂を用いた場合には、「平坦な面」形成時に、その平板、もしくは、ロールそのものを加熱して、「平坦な面」近傍の硬化度を促進し、完結させたり、体積ホログラム形成層のインキ組成物に、電離放射線樹脂を用いた場合には、平板やロール処理後、または、スクラッチ隠蔽層や体積ホログラム形成層形成後、さらに、電離放射線を追加照射(ポストキュア。)して、スクラッチ隠蔽層や体積ホログラム形成層全体の架橋度を98%以上とする。
さらには、その平板、もしくは、ロールを電離放射線透過性の素材を用いて作製し、その平板、もしくは、ロールを体積ホログラム形成層に押し当てたまま、電離放射線を十分に照射して、「平坦な面」形状を高い精度に保ったまま、その物理特性を上記したレベルまで向上させることも好適である。
そして、いずれの層においても、上記の印刷方式のみならず、ロールコーティング方式や、レジスト処理方式を用いることも以上の目的のためには好適である。
または、スクラッチ隠蔽層を、体積ホログラム形成層の面上に、所定の厚さで形成後、「乾燥、さらには、硬化する段階」において、スクラッチ隠蔽層に用いるスクラッチ隠蔽層用インキ組成物の中の顔料成分の移動や、樹脂成分の移動を十分に起こすために、その「乾燥条件や硬化条件」を通常の処理時間の2倍〜10倍の処理時間とすることも、スクラッチ隠蔽層の固まった界面そのものを「光学的な鏡面」として仕上げることができ好適である(この界面付近に粒径の小さい顔料が集まったり、顔料と顔料の隙間に樹脂成分が十分に充填されることを意味する。)。
もちろん、予め、「『光学的な鏡面』を持つ適宜なフィルム」上に、スクラッチ隠蔽層を仮形成して、スクラッチ隠蔽層のその「光学的な鏡面」と接している面を、実質的に「光学的な鏡面」とし、これを、「適宜な仮転写用フィルム」上に「仮転写(転移)」して、その「光学的な鏡面」を露出させ、これを、ある意味で新たな「平板、もしくは、ロール」と見立てて、体積ホログラム形成層に押し当てて、その適宜な仮転写用フィルムから転写(スクラッチ隠蔽層の転移。)して、スクラッチ隠蔽層の鏡面性を確実に高めた状態で、体積ホログラム形成層とスクラッチ隠蔽層の積層体とすることも、また、この積層体の体積ホログラム形成層側を、カード基材上の「秘密情報」形成部に押し当て、もしくは、接着層を介して、その「秘密情報」を覆うようにカード基材上に積層させる方法も、「光学的な鏡面」を高い精度で確実に得ることができる手段として好ましい。
黒色層は、微粒子カーボンブラック(一次粒子径:0.2〜2.0μm)や、超微粒子カーボンブラック(一次粒子径:0.01〜0.1μm)、その他の炭素系黒色顔料や酸化物系黒色顔料の微粒子や超微粒子、さらには、含金属黒色染料(金属錯塩染料)等のように、観察する光(可視光)の全波長領域に対する吸収性を有する顔料や染料を、熱可塑性樹脂、または、熱硬化性樹脂に分散したもの(顔料や染料の含有率:20〜70質量%)からなるものであって、且つ、観察する光の波長である約0.5μmの5倍〜50倍、すなわち、2.5μm〜25μmの厚さ、さらには、10倍〜40倍、5.0μm〜20μmの厚さを有していることにより、反射型ホログラムを記録した体積ホログラム形成層を透過した光(反射型ホログラム再生像を再生する光を含んでいない。)をほぼ全て吸収して、その体積ホログラム再生像の鮮明度を非常に高いものとする。または、透過型ホログラムを記録した体積ホログラム形成層を透過した光(透過型ホログラム再生像を再生する光を含んでいる。)をパターン状に吸収して、その体積ホログラム形成層のホログラムデザインをより意匠性の高いものとする。
さらには、上記した種々の手段を採用して、この黒色層の表面を「光学的な鏡面」とし、この面で全反射する角度(ブリュスター角より大きい角度を意味する。)に入射する観察光を、「正反射光」として反射し、その偽造防止性の確保に寄与することもできる。
その厚さが、観察光の波長の5倍以下では、光の吸収が不十分であり、50倍以上では、スクラッチ隠蔽層との厚さのバランスが悪化して、カード基材へスクラッチ隠蔽層等の埋め込みに支障をきたす。
黒色層の表面を「光学的な鏡面」とする場合には、超微粒子黒色顔料を用い、且つ、3本ロールミルや、ニーダー等の、インキに対する顔料の高分散処理が可能な装置を用いてインキ化することが望ましい。
黒色層の形成方法は、上記のインキを用いて、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式等、形成パターンに適宜な方式を用いることができる。さらには、にじみや、インキダレを抑えるため、フレキソ印刷方式を用いることが望ましい。
黒色層を形成する位置は、体積ホログラム形成層の背後、すなわち、体積ホログラム形成層とカード基材(カード基材上の「秘密情報」を視認可能とするため、「秘密情報」形成部に対応する部分を除いて形成する。)との間であって、体積ホログラム形成層全面に亘るサイズとして形成してもよいし、複数の領域に適宜なパターンで離散的に形成してもよい。
それぞれ、体積ホログラムデザインとの同調性、各層厚さとのバランス、使用する樹脂層の屈折率差、接着性を考慮して形成方法、形成パターン形状を定める。
また、体積ホログラム形成層をスクラッチカードのカード基材上の「秘密情報」を覆うように設ける際、そのカード基材(及び、「秘密情報」)と体積ホログラム形成層との間に、接着層を設けることができる。もしくは、カード基材(及び、「秘密情報」)と、「体積ホログラム形成層及びスクラッチ隠蔽層」積層体、または、「黒色層、体積ホログラム形成層及びスクラッチ隠蔽層」積層体との間に、接着層を設けることができる。
接着層を設けることで、カード基材及び「秘密情報」と、体積ホログラム形成層、スクラッチ隠蔽層(一部分)、または、黒色層との接着力を高めることができ、スクラッチオフの際や、体積ホログラム形成層を不正に剥がそうとする場合に、不要なスクラッチ隠蔽層や、体積ホログラム形成層の剥がれを防止することができ、且つ、「秘密情報」の改ざんや改変を阻止することができる。
また、スクラッチ隠蔽層と体積ホログラム形成層からなる「積層体」を予め作成した後、その「積層体」をこの接着層を介して、カード基材及び「秘密情報」上に、加熱、及び加圧プレス処理により、そのスクラッチ隠蔽層部分の埋め込みと同時に固着させる手順とすることもでき、その作成手順の自由度を高めることができる。
接着層は、乾燥後の厚さとして、1.0μm〜30μmの厚さで形成する。
この接着層用のインキ組成物としては、カード基材及び「秘密情報」を部分的に溶解したり、膨潤させたり、変形や変質を生じさせないものを用いる。もちろん、この接着層用インキ組成物を、体積ホログラム形成層、スクラッチ隠蔽層(一部分)、または、黒色層上に設ける手順とする場合には、それらの層を部分的に溶解したり、膨潤させたり、変形や変質を生じさせないものを用いる。
そのインキ組成物としては、溶剤系及び水系のいずれの接着剤をも用いることができ、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体や、天然ゴムなどのゴム系樹脂などを挙げることができる。また、自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス等の天然素材から作製されたものを用いることが好適である。
接着層は、1.0μm未満であると、スクラッチカードのカード基材、及び、「秘密情報」との接着性(「秘密情報」との接着性とは、その「秘密情報」形成部との接着性という意味。)が不十分となり、30μmを超えると、やはり、カード基材への埋め込み工程等に支障をきたす。もちろん、カード基材に予め凹みを設ける場合には、その凹みを深くすれば、これらの厚さをより厚く設定可能であるが、カード基材の一部に設ける凹みを深くすればするほど、そのカード基材の物理的強度が損なわれるため、偽造防止媒体として好ましくない。
但し、「秘密情報」をインクジェット方式でカード基材上に設けた際に、その「秘密情報」印字部の高さ(印字部の盛り上がりを意味する。)が、5.0μm〜20μmと高くなった場合には、その「秘密情報」の上に、体積ホログラム形成層やスクラッチ隠蔽層を設けるときに、接着層が、その「高い」印字部を柔らかく包み込むように適宜な変形を生じ、その「高さ」を吸収して、「秘密情報」印字部の盛り上がりパターンを体積ホログラム形成層や、スクラッチ隠蔽層の盛り上がりに繋がらないようにすることができ好適である。この目的のためには、接着層の厚さを、インクジェット方式で設けた「秘密情報」の盛り上がり高さ(印字部のカード基材面から印字部表面までの距離を意味する。)の2.0倍〜5.0倍とすることが好適であって、上記した厚さの上限を超えることもやむを得ない。
この厚さが、その盛り上がり高さの2.0倍未満であると、その吸収性が不十分となり、5.0倍を超えると、不必要な厚さとなり、やはり、カード基材への埋め込みに支障をきたしたり、カード基材そのものの物理的強度を低下させることとなる。
接着層の形成方法としては、グラビアコート、ロールコート、コンマコートや、スクリーン印刷などの方法で、塗布し乾燥して形成することができる。
接着層の接着力は、スクラッチカードのカード基材、及び、「秘密情報」形成部との接着力、また、スクラッチ隠蔽層との界面の剥離強度として、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、1.0〜3.0kg/25mm巾の範囲にすることが望ましい。もちろん、それ以上の剥離強度を有していても、本発明の目的には適合している。特に、カード基材及びカード基材上の「秘密情報」形成部との接着力は、本発明の目的より、体積ホログラム形成層やスクラッチ隠蔽層(一部分)をカード基材及びカード基材上の「秘密情報」形成部から剥がすことが困難となるレベルまで大きいものとする必要があるが、その接着層とカード基材及びカード基材上の「秘密情報」形成部との界面の剥離強度よりも、接着層と体積ホログラム形成層との界面の剥離強度を、より大きいものとなるように設計する。
このようにして、スクラッチカードのカード基材、その上に設けた「秘密情報」、その「秘密情報」を覆うようにして設けた、体積ホログラム形成層、さらにそれらの層を覆うように設けられたスクラッチ隠蔽層からなる本発明のスクラッチカードを得る。
または、スクラッチカードのカード基材、その上に設けた「秘密情報」、その「秘密情報」を覆うようにして設けた、接着層、体積ホログラム形成層(さらに黒色層が設けられている場合もある。)及びスクラッチ隠蔽層からなる本発明のスクラッチカードを得る。
また、スクラッチ隠蔽層を、一旦、適宜な剥離性フィルムに設ける手順とする場合に、その剥離性フィルムの表面の一部(「正規購入者のみが知り得る「秘密情報」形成部の位置」を表示するような「パターン」状として設けたり、バーコード状、網点状、市松模様状に設ける。)を、平均表面粗さRaで、1.0μm〜30μm、もしくはそれ以上の粗さに設定した「粗い粗面」としておくことも、スクラッチ時の破壊性を均一、且つ、容易化することができ、スクラッチオフ適正の向上に寄与する。
もちろん、スクラッチ隠蔽層を体積ホログラム形成層上に設ける際に、その印刷版に上記した「粗い粗面」を予め設けておいてもよく、さらには、スクラッチ隠蔽層を形成後、上記した「粗い粗面」を有する平板やロールを用いて、加熱、且つ、加圧して、スクラッチ隠蔽層の最表面を所定の「粗い粗面」とすることも好適である。
さらには、このような「粗い粗面」部分の導入を、スクラッチ隠蔽層と体積ホログラム形成層の界面に実施しても、そのスクラッチ適正の向上や、意匠性の向上に好適である。
そして、スクラッチ隠蔽層の体積ホログラム形成層が形成されている面とは反対の面に、または、スクラッチ隠蔽層と体積ホログラム形成層との界面に、さらには、スクラッチ隠蔽層と面一となっているカード基材面上に、地紋印刷を施して、その「地紋」が存在することによる偽造防止性の向上のみならず、不正にスクラッチした際にその「地紋」も同時に削れてしまうことによって、偽造や変造を防止する効果を高めることができる。
また、その地紋印刷のデザインが、そのスクラッチ隠蔽層とカード基材表面の境界を跨るものであって、スクラッチ隠蔽層を剥がそうとすると、その境界を跨っている部分が破断されるように設定することも、その偽造防止性を高めることができ、好適である。
この地紋印刷は、主要なデザイン模様の背景となる淡色系のパターンや彩文の印刷のことであり、単色の印刷用インキを使用してもよいが、より偽造防止性を高めるため、多色の印刷用インキを使用することも好ましい。この多色の地紋印刷には、オフセット印刷や、グラビア印刷も使われるが、オルロフ印刷やシムルタン印刷などの特殊な印刷方式もその高い偽造防止性から好適である。
オルロフ印刷とは、凸版多色集合印刷のことであり、それぞれの色のインキに対応する部分版(パターンローラ)に転移したそれぞれの色のインキを中間のローラに集合し、その集合ローラから一つの凸版版面にそれらのインキを同時に着肉する。凸版版面から直接印刷する場合(オルロフ印刷)とゴム胴(ブランケット胴)にインキを転移してから印刷する方法(オフセット・ザンメル)とがある。版面は一つであるが、一つの画線の途中から色を何色かに変化させることが出来るものである。
また、シムルタン印刷とは、複数の版面(平版や樹脂版、もしくは金属版などの凸版版面)を一つのゴム胴(ブラン胴)の周りに配置して、各版面からのインキをゴム胴に集合してから印刷する。印刷位置精度は版胴への版面の取り付け精度でほとんど決まり、カード基材の伸縮などの影響が少ないため、高い見当合わせが安定して可能となるものである。
この地紋印刷のデザインとしては、装飾的効果をあげるための図形であって、規則正しく繰り返される「文様」や、紋章的な感じを含む図文である「紋様」、その他染織等に用いられる「型」として繰り返される意匠等を用いることができる。
特に、スクラッチによって、容易にそのデザインが破壊されることを目的として、それらの画線の幅を非常に細く、30〜100μm程度とした「細線」、もしくは、「細紋」とすることも好適である。
地紋印刷における「地紋」の形成厚さは、1.0〜10.0μmとする。
ここで、スクラッチ隠蔽層の表面は「粗い」面であるため、この凹凸に追従して印刷可能なインクジェット方式や、この凹凸に影響され難い感熱転写方式、もしくは、昇華転写方式を用いて地紋印刷を行ってもよい。さらに、このような転写方式を用いて、スクラッチ隠蔽層の凹凸の凸部のみに印刷を行い、不正なスクラッチにより非常に容易に地紋印刷が破壊されるようにすることも好適である。
特に、昇華転写方式は、スクラッチ隠蔽層を構成する樹脂層にのみ浸透し、独特の風合いを醸し出すとともに、同一のものを偽造することが困難であるため好ましい。
また、この地紋印刷のデザイン及び、形成位置を、スクラッチ隠蔽層の上下で同一とすることも、その意外性や偽造防止性を高めるため好適である。
そして、本発明のスクラッチカードのスクラッチ隠蔽層を、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料の両方を含んでいるものとすると、スクラッチカードを不正な目的で曲げたり、湾曲させたりした際に、さらには、そのスクラッチ隠蔽層部分そのものを剥がそうとした際に、スクラッチ隠蔽層に対して、いわゆる「剥離痕」を残すことが可能となり、その偽造防止性を著しく高めることが可能となる。しかも、この「剥離痕」は、一旦、発生すると、もはや、その「剥離痕」を修復する手段はないため、その偽造防止性を著しく高めることとなる。
スクラッチ隠蔽層用のインキ組成物に含める顔料成分としては、上記したごとく、金属系微粉末やそれらの酸化微粉末等(もちろん、窒化物やその他の化合物微粉末でもよい。)の顔料成分を20〜80%含有するものを用いるが、この顔料成分として、平均粒子径1.0μm〜10μmの比較的粒子径の大きい顔料、または、顔料群(「群」とは、複数の顔料を混合することも含める意味。以下、「顔料、または、顔料群」を略して、「顔料(群)」ともいう。)と、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料、または、顔料群を準備し、これらの混合系を用いることで、粒子径の大きい顔料(群)の隙間に微粒子顔料(群)が入り込む構造とし、スクラッチ隠蔽層が極度の変形を受けた際に、微粒子顔料(群)が粒子径の大きい顔料間の滑り剤の役目を果たして、粒子径の大きい顔料の層内移動を容易かつ不可逆なものとする(塑性変形を生じることを意味する。)。さらに、この「滑り」効果を助長するためにシリコーンオイルやタルク等の滑り性付与剤を1%〜5%添加することも好適である。
スクラッチカードを不正な目的で、90度から180度の「折れ曲がり変形」させると、スクラッチ隠蔽層自体も同様の変形を受け、スクラッチ隠蔽層の一方の面は、カード基材と固着してズレ変形を生じ難い状態となっていることから、スクラッチ隠蔽層の他方の面にその変形圧力が集中し、上記の塑性変形を大きくして、そのスクラッチ隠蔽層の他方の面に不規則な凹凸や、不規則な裂け目を発生させ、この不規則な凹凸や、不規則な裂け目が、「剥離痕」として視認されることとなる。
このような「剥離痕」をより確実に発生させるためには、粒子径の大きい顔料(群)と、微粒子顔料(群)の比率を、10対1〜10対30、特には、10対5〜10対10とすることが好ましい。
「粒子径の大きい顔料(群)」10に対して、「微粒子顔料(群)」の比率が1未満であると、スクラッチ隠蔽層に「剥離痕」が発生し難くなり、「微粒子顔料(群)」の比率が30を超えても、やはり「剥離痕」が発生し難くなる。
さらには、スクラッチ隠蔽層用インキ組成物に用いる樹脂として、凝集破壊し易い脆弱性の樹脂を用いることもこの「剥離痕」の発生を確実なものとするが、この場合には、スクラッチオフ(コインや爪によるスクラッチによりスクラッチ隠蔽層を部分的に除去することを意味する。)を容易とする効果も発現するため好適である。
また、そのインキ組成物に、粒子径の大きい顔料(群)と、微粒子顔料(群)の比率を、10対1〜10対5として配合することで、スクラッチ隠蔽層の塑性変形をし易くすることは、スクラッチ隠蔽層の最表面に上記したような平圧プレスやロールプレス処理を施すことにより「光学的な鏡面」とする際にも望ましいものとなる。
さらに、スクラッチ隠蔽層の体積ホログラム形成層が積層されている領域以外の領域において(スクラッチ隠蔽層のサイズが、体積ホログラム形成層のサイズより大きく設定してあることを意味する。スクラッチ隠蔽層の体積ホログラム形成層よりはみ出した部分は、カード基材と直接接することとなる。)、スクラッチ隠蔽層とカード基材との接着強度に「所定パターン」状の変化(例えば、接着層の材料を代えて、「接着の強い部分」と「積層の弱い部分」を設け、その強度比を、2/1〜5/1とすることを意味する。)を持たせたり、または、スクラッチ隠蔽層の「秘密情報」形成部以外の領域において、スクラッチ隠蔽層を部分的に、例えば、文字状にスクラッチし難い層として、すなわち、「不正」や「開示」等の文字状にスクラッチ隠蔽層を体積ホログラム形成層上や、カード基材上に固着させて、むやみにスクラッチ隠蔽層を隅から隅までスクラッチオフしようとする行為に対する牽制とすることも好ましい。
この場合には、例えば、スクラッチ隠蔽層を、上層と下層の2層構成とし、スクラッチ隠蔽層の下層を設ける際に、予め、スクラッチカードの体積ホログラム形成層面やカード基材面に固着し、且つ、爪等によっては剥がすことができない強度(硬度)を有する樹脂層を用いて、「文字パターン」の印刷を行っておき、このパターン部分を除いて、通常のスクラッチ隠蔽層の下層を設け、それらを全て覆うように、スクラッチ隠蔽層の上層を設ける等の工夫が必要となる。
このようにして得られた、本発明のスクラッチカードを、その外観から観察した場合には、スクラッチ隠蔽層及び体積ホログラム形成層に覆われた「秘密情報」を視認することはできなかったが、スクラッチカードのスクラッチ隠蔽層をコインで一部削り取ることにより、その削りとった領域から、「秘密情報」及び、体積ホログラム形成層からの体積ホログラム再生像を同時に視認することができた。
また、スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいる本発明のスクラッチカードのカード基材を湾曲させて、スクラッチ隠蔽層の断面を露出(より見えやすくするという意味も含む。)させようとすると、スクラッチ隠蔽層の表面に「剥離痕」が発生し、不正を働こうとした痕跡を残さずスクラッチ隠蔽層を元の状態に戻すことはもとより、スクラッチカードに何らかの変造を加えようとすることは困難と思われた。
さらには、本発明のスクラッチカードのスクラッチ隠蔽層を、その下にある「秘密情報」形成部の位置を知らずに一部スクラッチオフしたところ、その領域には「秘密情報」が現れず、結局、やみくもに全てのスクラッチ隠蔽層を剥がすこととなり、正規購入者によるスクラッチオフでないことが一目瞭然となった。このことは、スクラッチカードの正規購入者でない者が、「秘密情報」を覗き見する等の不正を働くことに対する牽制効果を有すると思われた。
本発明によれば、カード上の「秘密情報」及び体積ホログラム層をスクラッチ隠蔽層で隠蔽したスクラッチカードを提供することができ、スクラッチ隠蔽層をスクラッチオフして、初めて、体積ホログラムの存在、及び、「秘密情報」と同時に、「屈折率変化領域」の「パターン」表示と体積ホログラム再生像を視認可能となるその意外性や偽造防止性に優れるスクラッチカードを提供することができる。
すなわち、ホログラムデザインを第三者に開示していないことから、不正者が、例え、本発明のスクラッチカードを複数枚入手して、その構造やホログラムの存在を知り得たとしても、そのホログラムデザインが統一された唯一のデザインなのか、複数のデザインを任意に配したものなのか、もしくは、特定の秘密情報に対して特定のホログラムデザインを対応させてあるものかを知ることができないものとしており、この原理によって、入手したスクラッチカード以外の秘密情報を有するスクラッチカードに対しての「偽造品」を作ることを事実上不可能とした、スクラッチカードを提供することができる。
さらには、その体積ホログラム層及びスクラッチ隠蔽層を、カード基材の中に埋め込んでしまい、これらの層を注意深く剥離するなどの変造を阻止し、その偽造を困難なものとした、スクラッチカードを提供することができる。
しかも、本発明によれば、その体積ホログラム層内に、ホログラムとは異なる記録方式による別の「パターン」が形成されており、そして、その「パターン」の記録を、そのスクラッチカード形成後に施すことで、個々のスクラッチカードに個々の「パターン」記録を設けることをも可能として、その変造や偽造をさらに困難としたスクラッチカードを提供することができる。
さらには、その体積ホログラム層に、断面への入射照明光によって断面から出射再生するホログラムを記録しておき、スクラッチ隠蔽層をスクラッチする前に、不正者には想像することも出来ない方法での真正性判定が可能となる、著しく偽造防止性に優れるスクラッチカードを提供する。
また、本発明によれば、スクラッチ隠蔽層と体積ホログラム層の界面を「光学的な鏡面」として、そのホログラム再生像の鮮明度を確保して、これを偽造することを非常に困難とし、さらには、スクラッチ隠蔽層に平均粒径の異なる顔料を配して、不正な目的でカードを湾曲させたりしたときに、その剥離痕を発生させ、もはや、その剥離痕を修復することは不可能となる構造として、その偽造防止性を著しく高めることを可能としたスクラッチカードを提供することができる。
従って、本発明は、偽造や変造を著しく困難とした新規なスクラッチカードを提供することを可能とし、第三次産業においてそのカード保持者が正当な権利を有する者であるとの証明や、「スクラッチくじ」などの用途のみならず、高額商品や高額サービスを提供するシステムにおいて、いわゆる「鍵」の役割を担う用途に有用である。
本発明の一実施例を示すスクラッチカードH2を作製するための中間生成物H 1の断面図である。(SEC1、及び、SEC2は、体積ホログラム形成層3 の、それぞれ『一方の断面』及び『他方の断面』である。) 本発明の一実施例を示すスクラッチカードH2の断面図である。(体積ホログ ラム形成層3及びスクラッチ隠蔽層4がカード基材1に埋め込まれ、スクラッ チ隠蔽層4の最表面が、カード基材1の表面と「面一」となっている図。スク ラッチ隠蔽層4の最表面が、カード基材1の表面より「凹んだ」位置にある図 は表示していない。) 本発明のスクラッチカード7のカード基材1の所定の位置に、「秘密情報」2 を覆うように、体積ホログラム形成層3(屈折率変化領域5を含む。図中では 「長方形」で示した。)及びスクラッチ隠蔽層4を形成した図である。ここで 、(a)は、スクラッチカード7を上から見た図であり、(b)は、そのA− A断面図である。(地紋印刷6は表示していない。) スクラッチカード7のカード基材1の上に「秘密情報:12345678」2 を印字した図。(「秘密情報」を囲む枠は便宜上記載してあるのみ。) カード基材1の所定の位置に、「秘密情報」2を覆うように、体積ホログラム 形成層3、スクラッチ隠蔽層4が形成された、本発明のスクラッチカード7の 、そのスクラッチ隠蔽層4の上(最上層に)、さらに、地紋印刷6を設けた図 である。(図中、地紋印刷6のみを強調して図示している。)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
(カード基材、及び、「秘密情報」形成部)
本発明のスクラッチカードH2及び7、さらには、「スクラッチカードH2を作製するための中間生成物H1」に用いられるカード基材1としては、「秘密情報」2表示部を設けることができ、体積ホログラム形成層3及びスクラッチ隠蔽層4を、そのカード基材1上に設け、且つ、体積ホログラム形成層3及びスクラッチ隠蔽層4を、そのカード基材1に埋め込むことができるものであれば、あらゆる材料、すなわち、プラスチック材料、金属材料、セラミック材料、生体材料、それらの複合材料、さらには、それらを多層構造としたり、さらに複雑に組み合わせたりしたものなどを用いることができる。且つ、その表面や裏面に、本発明のスクラッチカードH2及び7の用途に応じた印刷等の手段による適宜な表示を設けたものであってもよい。(図1〜図5参照。図3〜図5では、カード基材1の表面に「☆スクラッチカード☆」などの印刷を施しているが、この「印刷デザイン」を、スクラッチ隠蔽層4の上に設けてもよいし、また、この「印刷デザイン」を体積ホログラム形成層3に記録する「ホログラムデザイン」として、体積ホログラム形成層3に記録しておいてもよい。)
その形状も、あらゆる形状、すなわち、シート状、フィルム状、板状、立方体状、直方体状、カード形状(磁気カード、ICカード、非接触ICカード、ポストカード、グリーティングカード、名刺、ポイントカード、ライセンスカード、遊戯用カード等の形形状)、はがき形状、リーフ形状、帳票形状、伝票形状、Sメール形状、ラベル形状、シール形状、証券類形状、通帳形状、パスポート形状、郵便物形状、配送物形状、封筒状、袋状、箱状、ケース状、円盤状、ディスク状、楕円体状、球体状、曲面形状、棒状、及びこれらの組み合わせや、これらに変形、切断、穴あけ、接着等の加工処理を施したものなどを採用することができる。さらには、電子端末や、携帯用端末等、あらゆる工業製品やあらゆる商品をもカード基材1として採用することができる。
その厚さも、「秘密情報」2表示部を支持することができ、且つ、ハンドリング可能であればよく、特に制限はないが、通常、3.0μm〜3.0mmの厚さとする。もちろん、封筒状や、箱状のものであれば、その立体形状の寸法は、それぞれの用途に適したものとするため、この範囲内とする必要はない。
但し、これらのカード基材1上に設けた「秘密情報」2をスクラッチ隠蔽層4で秘匿することとなるが、そのスクラッチ隠蔽層4を設けた側、もしくは、その反対側から、カード基材1に対して、1000ルクスを超える強度の大きい可視光線照射や、0.5W/平方センチメートル以上の赤外線照射、0.1W/平方センチメートル以上の紫外線照射、1ギール/分以上のX線照射等、さらには、100kV以上の電子線等の粒子線(以上を総称して「光線」と称する。)を照射して、その「透過『光線』」や「反射『光線』」、さらには、特性X線等から、その「秘密情報」や「スクラッチ隠蔽層4の位置や形状」を読み取ろうという試みに対抗するため、そのカード基材1の性質として、これらの「光線」を「遮蔽」したり、「反射」、もしくは、「散乱」させる性質を保有するものを採用することができる。
すなわち、可視光線照射に対しては、可視光線を遮蔽したり散乱させたりする隠蔽性の高い顔料や、鱗片状の金属材料、さらには、金属板そのもの等をカード基材1中に混入させたり、カード基材1に用いる基紙にコーティングしたり、ラミネートしたり、複合化したりする(以上を総合して、「混在させる」と称する。)。(図示せず。)
赤外線照射に対しては、さらに赤外線吸収剤等を、紫外線照射に対しては、さらに紫外線吸収剤等を、X線照射に対しては、金属板の中でも鉛材料等を、電子線等の粒子線照射に対しては、それらの粒子線を吸収する素材を混在させることで、その効果を増すことができる。
また、これらカード基材1の代表例として、いわゆる「プリペイドカード」として用いられている材料及び形状や、「プラスチックカード」として用いられている材料及び形状、特に、JIS規格(「プリペイドカード JIS X 6310シリーズ」や、JIS X 6301、JIS X 6300シリーズ、JIS X 6320シリーズ、JIS X 6330シリーズ等。)やISO規格(ISO/IEC7810シリーズ、ISO/IEC7816シリーズ、ISO/IEC14443シリーズ、ISO/IEC15457シリーズ等。)で定められているものがある。(図示せず。)
その中でも、その「埋め込み適正」(接着層、体積ホログラム形成層3やスクラッチ隠蔽層4の積層体をそのカード基材1内に安定して埋め込むことができると共に、そのスクラッチ隠蔽層4の最表面とカード基材1の表面とを再現性良く「面一」とすることができる性質をいう。)及び「汎用性」(加工汎用性を含む。この「加工汎用性」とは、「保護層/磁気層/接着層」からなる磁気ストライプをカード基材に埋め込んだり、カード基材を積層体とする等の製造ラインや製造条件が確立していることを意味する。)から、「JIS規格やISO規格で定められている『プラスチックカード』として用いられているカード基材及び形状」が望ましい。
これらは、既に、全世界に大量に頒布され、普及しているため、それらをハンドリングしたり、保持することに抵抗感がなく、また、それらを携帯したり、使用したりする場合の周辺機器(入退室用ゲート端末、駅務ゲート端末、クレジットカード端末その他のカード利用機器を意味する。)や、関連グッズ(カードを携帯するためのカード入れや、カード用装飾品等を意味する。)等も既に普及しているため、これらのものに対する適用もスムースであって好適である。
特に、不透明性を有するフィルム状もしくはシート状のプラスチックがその加工適正やコスト面で好ましく、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や耐溶剤性および耐熱性をも有するものが用いられる。例えば、その材料として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の各種のプラスチックフィルム材料があげられる。そして、これらのプラスチックそのものが透明性を有する場合には、不透明化処理のために、二酸化チタンや炭酸カルシウム等の不透明性付与のための顔料等を適宜練り込むなど、不透明性付与材料を混在させた、フィルム状もしくはシート状のプラスチックを例示することができる。
さらに、これらの材料に、フッ素系樹脂パウダーや、シリコン系樹脂パウダー等を混入したプラスチックフィルムは、耐擦傷性が著しく高く好適である。
そして、体積ホログラム形成層3及びスクラッチ隠蔽層4をそのカード基材1内に、加熱温度60℃〜200℃、好適には、80℃〜150℃、且つ、プレス圧力104Pa〜1010Pa(N/平方メートル)、好適には、106Pa〜108Paの条件下で、「面一」に埋め込むことが可能なものが用いられる。
これらのフィルム状もしくはシート状のプラスチック材料からなるカード基材1の厚さは、通常、3.0μm〜1.0mmであるが、中間生成物H1やスクラッチカードH2または7としての加工適正や取り扱い適正から50〜300μmとすることが望ましい。
この厚さが、3.0μm未満であると、このカード基材1上に体積ホログラム形成層3を設けたり、もしくは、スクラッチ隠蔽層4を設けたりする際の加工適正に劣るものとなり、この厚さが1.0mmを超えると、シート処理や巻き取り処理における取扱いに困難を生じるため好ましくない。(図1〜図5参照。)
具体的には、50μm〜1000μmの厚さの軟質塩化ビニルシートや硬質塩化ビニルシート、もしくは、その組み合わせ(積層体という意味。)が好適である。
カード基材1として、100μmの軟質塩化ビニルシートを用いて、
厚さ25μの積層体(カード基材1の厚さの約1/4の厚さを有する。厚さ10μで、幅10mmの帯状の体積ホログラム形成層3と、厚さ15μmで、幅10mmの帯状のスクラッチ隠蔽層4の積層体。)を、150℃の加温、及び106Paの加圧にて、3mm厚さの表面鏡面仕上げのステンレス板で挟み込み、「常温→加温→150℃→冷却→常温」の加熱&冷却サイクル(1サイクル30分〜90分。)を通した場合には、体積ホログラム形成層3とスクラッチ隠蔽層4が全て、カード基材1内に埋め込まれ、スクラッチ隠蔽層4の最表面とカード基材1の表面が面一となった。
同様の条件下においては、カード基材1の厚さ100μmに対して、5μm〜50μmまでの上記同様の積層体を「面一」とすることができるが、50μmを超える厚さの積層体に対しては、その境界における段差が、1.0μmを超えるものとなり、「面一」とするためには、より高温、且つ、高圧の条件とする必要が生じる。
しかしながら、上記の条件をより過酷な条件に設定することは、カード基材1の大きな変形や、変質を招くとともに、体積ホログラム形成層3の変形や変質をも発生させてしまうため、スクラッチカード7としての用途には不向きであり、カード基材1の厚さに対する「埋め込み深さ」は、「カード基材1の厚さの1/20〜1/2」とする。
また、「面一」の状態とは、上記したように、その境界における段差が、1.0μm以下となった状態を意味するが、「埋め込む小片(埋め込む対象層、もしくは、対象物を意味し、ストライプ状のもの等を含む。)」のサイズによって、その「小片」全体が均一に埋め込まれる場合(その「小片」を含むカード基材1の厚さが、「小片」のある個所や、その他の箇所で同一となっている状態。)や、「小片」の埋め込み量に偏りがある場合(「小片」の端部(境界に近い部分)に対して「小片」の中央部の埋め込み量が少なくなっている状態。)、さらには、カード基材1の材料が「小片」の断面を覆い隠すように流動した場合等を含むものとし、結果として、その「小片」が面一に埋め込まれた状態となることを指す。
この際、カード基材1上に、予め接着層や黒色層を設けたものを用いてもよい。
さらには、この「面一」の状態から、敢えて、「凹んだ状態」とすることもその偽造防止性を高めることや、スクラッチカード7の利便性向上に効果があり、そのためには、「耐熱性を有する剥離性フィルム(10μm)/上記と同様の積層体(15μm)」の2層積層体を、同一条件下でカード基材1に埋め込み、その剥離性フィルムを剥離することで、スクラッチ隠蔽層4の最表面が、カード基材1の表面より、10μm凹んだ状態とすることができる。
すなわち、この積層体における「剥離性フィルム」の厚さだけ、カード基材1の表面より凹ませることができることとなる。
この「凹み」は、カード基材1の厚さに対して、1/10以下とし、望ましくは、1/20以下とする。
また、このような「剥離性フィルム」は、スクラッチ隠蔽層4の保護層の代用となるため、製造工程中、さらには、製品として販売され、正規購入者がスクラッチオフをする直前まで残しておくことで、スクラッチ隠蔽層4の最表面の汚れや傷の発生を防止できる。
さらには、このような凹みをカード基材1面上の他の箇所にも設けて、「秘密情報」2形成部の「真」の位置をカムフラージュすることも好適である。(凹んだ状態や、「剥離性フィルム」を付加した状態は、図示せず。)
本発明のスクラッチカードH2及び7、さらには、スクラッチカードH2を作製するための中間生成物H1が秘匿する「秘密情報」2としては、文字、図形、記号、模様、マーク、形状、立体、もしくは、これらの結合、または、これらと色彩との結合その他、さらには、識別コード、識別番号、識別文字等のあらゆる識別情報、その他何らかの手段によって識別することが可能なものであれば、特に制限はなく、採用することができる。(図1〜図4参照。)
この識別手段としては、目視識別、携帯カメラ認識やバーコード認識等の光学的識別、機械識別、その他の物理的識別手段等をいう。
識別可能であれば、全てが同一のものであっても、全てが個別のものであってもよく、また、個人や企業、さらには、特定の業界特有のものであってもよい。
また、「意匠」のごとく、物品(物品の部分を含む。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって視覚を通じて美感を起こさせるもの、または、これと類似のものであってもよく、「商標」のごとく、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合であって、業として商品を生産し、証明し若しくは譲渡する者がその商品について使用するもの、または業として役務を提供し若しくは証明する者がその役務について使用するもの、または、これと類似のものであってもよい。その他、「称号」や、「商号」、さらには、種々の場面において照合の対象となるものでもよい。
そして、「文字」には、楷書体、隷書体等のあらゆる書体の文字が含まれ、「記号」には、特殊文字記号、顔文字記号、電気文字記号、地図記号等も含まれ、HTML記号等の限られた業種の限られた場面においてのみ用いられる記号もその特殊性から好ましい。
また、英文字、ギリシャ文字その他各国で使用されている文字や、シンボル、数学記号等も、不正者が瞬間的に覗き見した程度では暗記できないものとなり、好ましい。
さらには、これらの情報の中に、目視等の単なる情報読取手段では判別できない隠し情報や、暗号情報を含ませて、スクラッチカードH2及び7、さらには、スクラッチカードH2を作製するための中間生成物H1の運用を管理する者のみが所定の情報処理手段によって、それらの隠し情報や、暗号情報を判読することができるものとすることも好適である。
このような特殊性を有するものは、正規購入者によってもその登録や照合等の場面で、誤記や誤入力の原因となるため、携帯カメラ認識等の自動認識手段を併用することが好ましい。
以下、これらのものを総称して、「番号等」という。
さらに「秘密情報」2には、暗証番号等、個人認証番号等、口座番号等、その他の個人特有の番号等や、何らかの個別番号等、抽選番号等、管理番号等、もしくは、単なる連続番号等であって、登録することによりその有効性を発現するもの、暗号鍵番号である共通鍵番号のように同一の番号等、さらには、全くの乱数であってスクラッチカードH2及び7、さらには、スクラッチカードH2を作製するための中間生成物H1のカード基材1を作製するときに発生させ作製者含め誰もその番号等の内容を知らないよう工夫した番号等、知ることが許された者(正規な購入者等を意味する。もちろん、スクラッチカードH2及び7、さらには、スクラッチカードH2を作製するための中間生成物H1のシステム設計者や、スクラッチカードH2及び7、さらには、スクラッチカードH2を作製するための中間生成物H1の発行者等が含まれる場合もある。)のみが見ることができ、その他の者は物理的に見ることができないよう設定される番号等を含めることができる。
また、そのスクラッチカードH2及び7の用途により、上記した番号等のみならず、文字、図形、マークその他、個人及びそのスクラッチカードH2及び7の供給者が共通に認識できるもの(この対象は、いわゆる「情報」全てとなる。)であれば何れも用いることができる。
そして、その認識方法も、少なくとも目視確認により認識できる情報を有しながら、目視以外の認識方法、例えば、光学読取方法、磁気的読取方法、その他、あらゆる物理的もしくは化学的読取方法を採用することができ、且つ、秘密情報と重ねて視認できる体積ホログラム再生像の中にも、マシンリーダブルホログラム等の、ホログラム再生原理を利用した光学読取方法を含めることもその偽造防止性を高めるために好適である。(認識方法や手段は図示せず。)
これらの「秘密情報」2をスクラッチカードH2及び7、さらには、スクラッチカードH2を作製するための中間生成物H1のカード基材1上に設ける方法としては、可変情報を形成する方式として、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、光学的もしくは物理的直接描画方式、電子写真方式及び、インクジェット方式等があり、固定情報を形成する方式としては、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、活版印刷方式、凹版印刷方式、スクリーン印刷方式等がある。(図1〜図4参照。)
もちろん、電子端末のディスプレー上に「秘密情報」2を表示するものであってもよい。
また、カード基材1そのものを発色材料や消色材料で構成し、その発色原理や消色原理を用いて、可変情報や固定情報を記録する方法を用いてもよい。
すなわち、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱発色材料からなるカード基材1や、そのカード基材1を構成する基紙となる紙材料やフィルム材料上に、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱発色層を設けたもの、さらには、それらの基紙上に、カプセル内包の発色剤と顕色剤とからなる感圧発色層を設けたものを、カード基材1として用いることができる。
また、発色と消色を繰り返して操作できる、感温材料等を用いたサーマルリライタブル層や、フルギド系やスピロピラン系などのフォトクロミック材料等を用いる光リライタブル層を同様の目的で、さらには、別の位置に単なる情報表示の目的で設けることも、その意外性や偽造防止性が高まり、好ましい。
特に、これらの「リライタブル層」を設けて、「秘密情報」2を表示させると、正規購入者が、その「秘密情報」2を確認するときのみ「秘密情報」2が現れ、それ以外のときには「非表示」とすることで、不要な第三者による「秘密情報」2の視認を阻止することができる。(カード基材1の種々の構成は図示せず。)
感熱発色材料としては、発色剤、顕色剤、及び、増感剤からなる系を用いることができ、発色剤としては、ベンゾイルロイコメチレンブルー、クリスタルバイオレットラクトン等のフタリド化合物等、顕色剤としては、4−4´ビフェノール、1−ナフトール等の酸など、さらに、増感剤としては、4−ベンジルビフェニル、フルオレン等を用いる。
感熱記録とは,基紙上の層に分散させた発色剤及び顕色剤を熱により溶融させ、接触させることにより発色させる仕組みである。その高感度化のために、低融点の増感剤を添加するが、様々な酸発生方法とこの発色機構を組み合わせることにより、繰り返しの書き込みや消去が可能なリライタブル感熱記録を実現できるものである。例えば、低い熱エネルギーにて発色する赤色感熱記録層と,高い熱エネルギーにて発色する黒色感熱記録層を積層させることにより,その印加エネルギーを使い分けることで赤/黒の2色での記録を可能にする2色発色感熱記録材料を用いてもよい。
これらのロイコ系感熱発色材料や、フォトクロミック系光発色材料は、その発色機構である「紫外領域または赤外領域→可視領域への変化」を、「可視領域→紫外領域または赤外領域への変化」とすべく材料選定をすることにより、消色記録材料として用いることができる。
このような消色機構を用いると、正規購入者が、その「秘密情報」2を確認した後、正規購入者の判断により、速やかに、もしくは、適宜なタイミングで、「秘密情報」2を消色(消去)することを可能とし、その偽造防止性を高めることを可能とする。
このようにしてカード基材1上に「秘密情報」2形成部を設け、その「秘密情報」2形成部を覆うように、体積ホログラム形成層3、さらには、その上に、スクラッチ隠蔽層4を設ける。(図1〜図3参照。)
但し、これらの発色、または、消色機構を用いる場合には、上記したカード基材1への埋め込み条件下ではそれらの変化を示さない材料を使用するか、または、その条件下で変化したとしても、常温に戻すことで元に戻る可逆変化性を有する材料を使用する。
(スクラッチ隠蔽層)
本発明のスクラッチカードH2及び7、さらには、スクラッチカードH2を作製するための中間生成物H1のカード基材1上に「秘密情報」2形成部を設け、その「秘密情報」2形成部を覆うように、体積ホログラム形成層3、さらには、その上に、スクラッチ隠蔽層4を設けて、本発明のスクラッチカードH2を作製するための中間生成物H1を得る。
そして、その体積ホログラム形成層3及びスクラッチ隠蔽層4をカード基材1に「面一」に埋め込んで、本発明のスクラッチカードH2もしくは7を得る。(図1〜図3参照。)
この埋め込みの際、スクラッチ隠蔽層4の最表面を、カード基材1の最表面より、所定の深さだけ凹ませることもできる。(図示せず。)
本発明のスクラッチカードH2及び7、さらには、スクラッチカードH2を作製するための中間生成物H1のスクラッチ隠蔽層4に用いるインキ組成物としては、熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂を用いることができる。
特には、上記したカード基材1への埋め込み条件下において、変形し難い、耐熱性に優れる熱硬化性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、エチルセルロース、硝酸セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン等のスチレン樹脂、あるいはスチレン共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの単独あるいは共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等のビニル共重合体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、重合ロジン等のロジンエステル樹脂、クマロン樹脂、ビニルトルエン樹脂、ポリアミドや、ポリイミド等を挙げることができる。また、スクラッチオフ性を満足する範囲でこれらの樹脂に硬化剤等を混合して、擦れ等によるスクラッチ隠蔽層4の表面の不要な剥離や、剥がれを防止してもよい。(図1〜図3参照。)
また、熱硬化性樹脂としては、シリコン樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、エポキシ樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂等をあげることができ、シリコン樹脂として、シリコンゴム(シロキサン結合が5000〜10000の直鎖構造分子。)や、ケイ素樹脂、ゴム系天然樹脂として、天然ゴム、塩酸ゴム、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等を用いることができる。
さらには、スクラッチオフするという行為における環境影響を考慮して、スクラッチ隠蔽層4に用いるインキ組成物として、生分解性プラスチックを用いることも好適である。
生分解プラスチックとしては、化学合成系として、εーカプロラクトン等のラクトン系樹脂、ポリブチレンサクシネート−アジペート等のポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリ乳酸等、低分子量脂肪族ジカルボン酸と低分子量脂肪族ジオールより合成したポリエステル樹脂等、変性ポリビニルアルコールと脂肪族ポリエステル樹脂と澱粉の混合物等、または、低分子量脂肪族ポリエステルに脂肪族イソシアネートを添加して重合させたものなどが、また、天然物系として、ゼラチンなどの動物性天然物質、セルロースなどの植物性天然物質など、または、ポリヒドロキシブチレート等の微生物生産系物質などが好適である。
スクラッチ隠蔽層4に用いるインキ組成物としては、これらの樹脂成分を含む固形分全体に対して、隠蔽性とスクラッチ性を付与するために、金属系微粉末(アルミニウム粉末、黄銅微粉末、銅微粉末等)やそれらの酸化微粉末、窒化微粉末、その他の化合物微粉末等の顔料成分を20〜80%含有するものを用いる。
また、スクラッチ隠蔽層4の隠蔽性をさらに向上させるために、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の隠蔽性の強い顔料成分を1〜10%含有させてもよい。スクラッチ隠蔽層4用インキ組成物を以上の組成物から構成することにより、印刷適性とスクラッチ性との双方を満足することができるようになる。
スクラッチ隠蔽層4は、この組成物を適宜な溶剤で希釈したものを、体積ホログラム形成層3を覆うように、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の印刷方式を用い、乾燥後の厚さとして、5μm〜50μm、さらには10μm〜30μmの厚さで形成する。(図1〜図3参照。)
さらに、スクラッチ隠蔽層4用インキ組成物として、金属ペースト、樹脂材料及び助剤を、水と低級アルコールに分散せしめて水性エマルジョンインキとしたものも使用でき、特に、体積ホログラム形成層3の上にスクラッチ隠蔽層4を設ける際に、その体積ホログラム形成層3の表面に不要な変形や変質を与えないため好適である。
その金属ペーストの金属としては、銅と亜鉛の合金であるブロンズパウダーや、アルミニウムパウダーを用いる。また、アルミニウムを微粉末化して、脂肪酸等で表面を処理したものを沸点の高い炭化水素溶剤( ミネラルスピリットなど)でペースト状にしたアルミニウムペーストとしてもよい。
これに、一般の印刷インキに使用する黄、マゼンタ、シアンまたは墨用の着色顔料、チタン白等体質顔料を、適宜、含めて着色タイプとしてもよい。
その樹脂材料としては、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂や、ポリアクリル酸系樹脂等を用いることができ、このこれら樹脂材料のエマルジョンをインキ組成物の25 〜50%としてアルミニウムペーストや、着色顔料などに、10〜35%の水と5%未満のイソプロピルアルコールを加えて攪拌して水性のエマルジョンインキとするものである。これに消泡剤や界面活性剤、もしくは防腐剤等の助剤を0.1〜3%添加することもできる。
この水性エマルジョンインキ組成物を用いたスクラッチ隠蔽層4の形成は、グラビア印刷法、スクリーン印刷法あるいはアニロックスローラーを介して印刷するフレキソ印刷法などが全面印刷あるいは部分印刷に好適な方法として適用され得る。
また、スクラッチ隠蔽層4用インキ組成物として、層内にて凝集破壊し易い脆弱性の樹脂を溶剤に溶かしたものに、隠蔽性の顔料としてアルミニウム粉末(銀色)、真鍮粉末(金色)、銅粉末(赤色)など金属粉末、あるいはタルク、カオリンなどの白色の体質顔料を混合したもの、あるいは、これに適宜色の着色顔料や染料を混合して着色したものを使用できる。
その凝集破壊し易い樹脂としては、異種の樹脂を適宜な配合比率でブレンドしたブレンド樹脂が使用でき、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン系重合体、スチレン−ブタジエンゴム、各種ワックス、ロジン、テルペン系樹脂、テルペン系重合体などの樹脂のうちのいずれか2種以上を適宜比率にて配合したブレンド樹脂が使用できる。
この樹脂を溶解する溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、シクロヘキサノール、酢酸イソブチル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサノン、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコール誘導体など、又はこれらの混合溶剤が使用できる。
スクラッチ隠蔽層4用インキ組成物に用いられる顔料としては、さらに、有機顔料として、キナクリドン系レッド・マゼンタ、アンスラキノン系レッド・イエロー、ポリアゾ系イエロー、ベンズイミダゾロン系イエロー・オレンジ、フタロシアニン系顔料として、銅フタロシアニンブルー(α型、β型)、銅フタロシアニングリーン、異種金属フタロシアニンブルー、スレン系ブルー、アゾ系顔料として、溶性アゾ顔料(カーミン6B、パーマネントレッド2B他)、不溶性アゾ顔料(ジスアゾ系、モノアゾ系他)、不溶性多環式顔料(赤:キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、橙:ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、黄:キノフタロン、イソインドリノン、緑:フタロシアニン、青:フタロシアニン、インダンスレン、紫:ジオキサジン他)、不溶性レーキ顔料(赤:レーキレッドC、ウォチュングレッド他)等がある。
無機顔料としては、複合酸化物系顔料、微粒子複合酸化物系顔料、紺青、ハイブリッド型顔料等があるが、さらに、弁柄、モリブデンレッド、カドミウムレッド、鉛丹(以上、赤色。)、黄鉛(赤口)、モリブデンオレンジ(橙色)、カドミウムオレンジ(橙色)、群青(ウルトラマリンブルー)、紺青(プルシアンブルー)、コバルトブルー、セルリアン、マンガン青(以上、青色。)、アンバー(茶色。)、黄鉛、カドミウムイエロー、チタン黄、黄色酸化鉄(以上、黄色。)、酸化クロム、コバルトグリーン、ビリジアン、ピーコック(以上、緑色。)、マルス紫、コバルトバイオレット、マンガンバイオレット(以上、紫色。)その他、体質顔料や、金属粉顔料等が用いられる。
これらの顔料の粒径を、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料(群)、もしくは、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料(群)として仕上げる。特に、微粒子顔料(群)は、二次凝集しやすく、再分散処理等を施す必要がある。
もちろん、スクラッチ隠蔽層4用インキ組成物として、体積ホログラム形成層3、及び、カード基材1との接着性を考慮して材料選定を行う。
さらに、スクラッチ隠蔽層4の体積ホログラム形成層3から「はみ出す部分」は、特にスクラッチオフ適正を持つ必要がないため、カード基材1に強固に接着させて、スクラッチ隠蔽層4のスクラッチオフの際に、カード基材1上に残る部分として設計してよい。
そして、その固着して残る部分を、「所定のパターン状」、すなわち、「不正」、「覗き見」、「削り済み」や「開示」等の「既に削られたことを示す文字や情報を表すパターン状」としてその偽造防止性を高めることができる。
この目的でのスクラッチ隠蔽層4の形成は、上記と同様の印刷方式等を用いることができる。
但し、上記した「所定のパターン状」での固着部分を設けるため、スクラッチ隠蔽層4の形成を2段階に分け、その第一段階として、その「所定のパターン状」にあらかじめ、2液硬化型の樹脂材料における硬化剤等を所定の割合の2倍〜5倍程度添加したスクラッチ隠蔽層4用インキ組成物で、一旦、目的の厚さより薄く設けておき(例えば、目的の厚さの1/5〜3/5等。)、第二段階において、その「所定のパターン状」部分を覆うように(他の部分を埋めるように。)、残りの厚さだけ、スクラッチ隠蔽層4用インキ組成物を上乗せする方法を用いてもよい。
そして、体積ホログラム形成層3及びスクラッチ隠蔽層4をそのカード基材1内に、少なくとも「面一」に埋め込む条件は、加熱温度60℃〜200℃、好適には、80℃〜150℃、且つ、プレス圧力104Pa〜1010Pa(N/平方メートル)、好適には、106Pa〜108Paとする。
(体積ホログラム形成層、及び地紋印刷)
本発明のスクラッチカードH2及び7、さらには、スクラッチカードH2を作製するための中間生成物H1のカード基材1の一方の表面に「秘密情報」2形成部を設け、その「秘密情報」2形成部を覆うように、カード基材1の一部に、体積ホログラム形成層3を設け、さらには、その体積ホログラム形成層3をそのカード基材1に埋め込む。(図1〜図3参照。)
この際、体積ホログラム形成層3を、カード基材1の上にラミネートする手順、または、予め、体積ホログラム形成層3を、スクラッチ隠蔽層4の上に形成し、そのスクラッチ隠蔽層4の体積ホログラム形成層3が設けてある側を、カード基材1の「秘密情報」2形成部のある側に接するように、そして、その「秘密情報」2形成部の位置とそのスクラッチ隠蔽層4とが対面するように(スクラッチ隠蔽層4が「秘密情報」2を隠蔽するようにという意味。)重ね合わせた後、ラミネート(すなわち、積層体とすることを意味する。)する手順等により設けることができる。(手順は図示せず。)
さらには、体積ホログラム形成層3の「断面」を「光学的な鏡面」とするため、体積ホログラム形成層3を、予め、レーザー切断等の方法により、所定のサイズに切断し、その切断面(『断面』)を「光学的な鏡面」として仕上げた後、上記のような加工を施すことも好適である。(手順は図示せず。)
そして、体積ホログラム形成層3への「所定の入射光」や、体積ホログラム形成層3からの「所定の出射光」を、カード基材1の表面に平行な「光」ではなく、その表面に対して仰角10度〜60度の入射角、もしくは、出射角とするため、体積ホログラム形成層3の「断面」から内側に1mm〜10mmの領域に、「ホログラム『反射鏡』」(体積ホログラム用の記録材料に対して、互いに所定の角度を成す「コヒーレントな平行光」どおしの干渉縞を記録すると、その体積ホログラムは、入射光を鏡のように反射する『反射鏡』となる。この『反射鏡』を用いて、仰角10度とするためには、カード基材1の表面に対して5度の斜面となる『反射鏡』を記録し、仰角60度とするためには、カード基材1の表面に対して30度の斜面となる『反射鏡』を記録することを意味する。)を多重記録する。
または、体積ホログラム形成層3の「断面」の外側に隣接して、同一の厚さで、同一の横幅を持ち、奥行方向(縦方向を意味する。)に1mm〜10mmの長さを持つ、「別の体積ホログラム形成層」をそれぞれ、「入射光」側と、「出射光」側に設け、同様の体積ホログラム記録を施しておくことも、その工程の容易性から好ましい。
もちろん、この「別の体積ホログラム形成層」を利用して、屈折率変化領域5を設けることも好適である。
体積ホログラム形成層3には、各種の透明な材料又は、透明なフィルムが用いられる。
すなわち、銀塩写真乳剤、重クロム酸ゼラチン、フォトレジスト、フォトポリマー材料、無機材料からなるフォトリフラクティブ材料、フォトクロミック材料等及び、それらの材料からなるフィルムを用い得る。
銀塩写真乳剤としては、高感度、高解像度が求められ、超微粒子銀塩や、金―カルコゲン増感や、還元増感を施した材料等が用い得る。
フォトレジストとしては、ポジ型フォトレジストとして、ノボラック−DNQ系、又は、化学増幅型フォトレジスト、ネガ型フォトレジストとして、光架橋型フォトレジスト、又は、光重合型フォトレジスト等を用いることができる。
銀塩写真乳剤、或いは、重クロム酸ゼラチンは、処理工程が多く煩雑であるが、固体光重合性材料、すなわち、フォトポリマー材料は、処理工程が1回のみであるため、好適である。
これは、1工程で、固体の光重合性フィルムから、安定な高解像度のホログラムを作成することができ、ホログラフ情報をもつコヒーレントな光源に対する1回の露光により、「屈折率変調を固定化した画像」が得られることを意味する。このようにして形成されたホログラムは、光に対するその後の均一な露光によっても破壊されることなく、むしろ定着されまたは強化される。
フォトポリマー材料は、熱可塑性重合体結合剤、付加重合可能なエチレン系不飽和単量体、及び、不飽和単量体の重合を活性化する光開始剤からなる、屈折率変調を有する光重合性組成物を用いる。
熱可塑性重合体結合剤は、溶媒可溶性の熱可塑性重合体であり、単独で、又は、組合せて使用する。具体的には、
〔アクリレート及びアルファーアルキルアクリレートエステル、例えば、ポリメタクリル酸メチル及びポリメタクリル酸エチル、〕、〔ポリビニルエステル、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸/アクリル酸ビニル、ポリ酢酸/メタクリル酸ビニル及び加水分解型ポリ酢酸ビニル;エチレン/酢酸ビニル共重合体〕、飽和及び不飽和ポリウレタン、ブタジェン及びイソプレン重合体及び共重合体、エポキシ化物、例えば、アクリレート又はメタクリレート基を有するエポキシ化物、〔ポリアミド、例えば、N−メトキシメチルポリヘキサメチレンアシツクアミド〕、〔セルロースエステル、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートサクシネート及びセルロースアセテートブチレート〕、〔セルロースエーテル、例えば、メチルセルロース、並びにエチルセルロース〕、ポリカーボネート等、並びに、〔ポリビニルアセタール、例えば、ポリビニルブチラール及びポリビニルホルマール〕等。
特に好適には、セルロースアセテートラクテート重合体、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル/メタクリル酸及びメタクリル酸メチル/アクリル酸共重合体を含むアクリル系重合体及びプレポリマー、メタクリル酸メチル/アクリル酸又はメタクリル酸(C2〜C4)アルキル/アクリル酸又はメタクリル酸の3元重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール等、並びに、それらの混合物である。
さらに、ポリスチレン、ポリ(スチレン/アクリロニトリル)、ポリ(スチレン/メタクリル酸メチル)、並びに、ポリビニルペンデル、及び、それらの混合物を含むこともできる。
エチレン系不飽和単量体は、単一の単量体として、又は、組合せて使用することができる単量体として、スチレン、2−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、メトキシスチレン、アクリル酸フェニル、アクリル酸p−クロロフェニル、アクリル酸2−フェニルエチル、アクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、フェノールエトキシレートアクリレート、アクリル酸2−(p−クロロフェノキシ)エチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−(1−ナフチロキシ)エチル、又はジメタクリレート、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジメタクリレート、ポリオキシエチル−2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジメタクリレート、ビスフェノール−Aジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、エトキシル化ヒスフェノール−Aジアクリレート、ビスフェノール−A−ジ(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、ビスフェノール−A−ジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、テトラクロロ−ビスフェノール−A−ジ(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、テトラクロロ−ビスフェノール−A−ジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、テトラブロモ−ビスフェノール−A−ジ(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、テトラブロモ−ビスフェノール−A−ジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、ジフェノール酸−ジ(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、1,4−ベンゼン・フォールジメタクリレート、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、ベンゾキノンモノメタクリレート、並びにアクリル酸2−〔β−(N−カルバジル)プロピオニロキシ〕エチル等、を用いることができる。
この単量体が、置換又は非置換フェニル、フェノキシ、ナフチル、ナフトキシ、3つまでの芳香族環を有するヘテロ芳香族、塩素、臭素、よりなる群から選択される、1つ又はそれ以上の部分を含有する場合には、これらを含む光重合性組成物は、いわば「単量体配向型系」と称することができる。
この単量体配向型系に好適な単量体は、アクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸フェノールエトキシレートアクリレート、アクリル酸2−(p−クロロフェノキシ)エチル、アクリル酸p−クロロフェニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−フェニルエチル、ビスフェノール−A−ジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、エトキシル化ヒスフェノール−Aジアクリレート、並びにアクリル酸2−(1−ナフチロキシ)エチル、である。
そして、エチレン系不飽和カルバゾール単量体;アクリル酸2−ナフチル;アクリル酸インタクロロフエ=ル;ビスフェノール−Aジアクリレート;アクリル酸2−(2−ブチロキシ)エチル; 並びに、N−フェニルマレイミドのような第2の固体単量体と混合して使用してもよい。
また、予め形成された重合体材料(プレポリマーを意味する。)が、置換又は非置換フェニル、フェノキシ、ナフチル、ナフトキシ、3つまでの芳香族環を有するヘテロ芳香族、塩素、臭素、よりなる群から選択される、1つ又はそれ以上の部分を含有する場合には、これらを含む光重合性組成物は、いわば「結合剤配向型系」と称することができる。
この系に使用される単量体には、フェニル、フェノキシ、ナフチル、ナフチロキシ、3つまでの芳香族環を有するヘテロ芳香族、塩素及び臭素よりなる群からとられる部分を含まないものを使用する。
「結合剤配向型系」に好適な単量体は、付加重合することができ、100℃より高い沸点を有する液体、エチレン系不飽和化合物である。単一の単量体としてか又は他の単量体と組合せて使用することができるこの型の適当な単量体は、次のものを含む。
すなわち、アクリル酸一ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソーホルニル、1,5−ベンタンジオールジアクリレート、N、N´−エチルアミノエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールノアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、1,3−プロノぐンジオール・クアクリレート、デカメチレングリコールジアクリレー)、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパンジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−プロパンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリメチロールプロJRントリメタクリレート、1,5−ベンタンジオールジメタクリレート、フマル酸ジアリル、アクリル酸パーフロロオクチル、メタクリル酸フロロオクチル、並びに1−ビニル−2−ピロリジノン等。
上記のエチレン系不飽和単量体の外、少なくとも300の分子量を有する、1種又はそれ以上の遊離ラジカル開始型、連鎖生長性、付加重合可能、エチレン系不飽和化合物も含有することができる。
また、単量体は、2〜15の炭素原子のアルキレングリコール又は1〜10のエーテル結合のポリアルキレンエーテルグリコールから製造されるアルキレン又はポリアルキレングリコールジアクリレート、並びに、末端結合として存在する時、複数の付加重合可能なエチレン結合を有するものであってもよい。
さらに、デカンジオールジアクリレート、アクリル酸イソ−ボルニル、トリエチレングリフールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸エトキシエトキシエチル、エトキシル化トリメチロールプロノンのトリアクリレートエステル、等である。また、同じ型の第2の固体単量体、例えば、N−ビニルカプロラクタムと混合して使用してよい。
光開始剤として適当な、遊離ラジカル発生付加重合開始剤は、共役炭素環状環系中、2つの環内炭素原子を有する化合物である置換又は非置換多核キノン、例えば、9,10−アンスラキノン、1−クロロアンスラキノン、2−クロロアンスラキノン、2−メチルアンスラキノン、2−エチルアンスラキノン、2−三級−ブチルアンスラキノン、オクタメチルアンスラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンスレンキノン、1,2−ベンズアンスラキノン、2,3−ベンズアンスラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1,4−ジメチルアンスラキノン、2,3−ジメチルアンスラキノン、2−フェニルアンスラキノン、2,3−ジメチルアンスラキノン、アンスラキノンアルファースルホン酸のナトリウム塩、3−クロロ−2−メチルアンスラキノン、7,8,9,10−テトラヒドロナフタセンキノン、を含む。
また、ベンゾイン、ピパロイン、アシロインエーテル、例えば、ベンゾインメチル及びエチルエーテル;α−メチルベンゾイン、α−アリルベンゾイン、及び、α−フェニルベンゾインを含む、α−炭化水素置換芳香族アシロインを含んでもよい。
さらに好適な光開始剤には、2−(0−クロロフェニル)−4,5−ビス(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体;1,1′−ビイミダゾール、2,2′−ヒス(0−クロロフェニル)−4,4’、5,5’−テトラフェニルー:並びに、1H−イミダゾール、2,5−ビス(0−クロロフェニル)−4−3,4−・ジメトキシフェニル−2量体(そのおのおのは、典型的には水素ドナー、例えば、2−メルカプトベンズオキサゾールと共に使用される)を挙げることができる。
フォトポリマー材料としては、さらに、フッ素含有ポリマー、付加重合可能なエチレン性不飽和モノマー、及び、光開始剤からなり、画像化(光記録)されたとき、0.001よりも大きな屈折率変調を有する、光重合性組成物を用いることができる。これには、さらに、可塑剤を含めてもよい。
フッ素含有ポリマーとしては、テトラフルオロエチレンまたはへキサフルオロプロピレンのような、過フッ素化モノマーとビニルアセテートとから作られたポリマーを用いることができ、他のモノマーを含むこともできる。例えば、10〜20%のフッ素を含有しているものを使用する。
使用されるフッ素含有ポリマーは、フォトポリマーのその他の各成分と両立し得るフッ素含有ポリマーであり、塗布されたときに実質的に固体の透明な皮膜を作るものである。
フッ素は、フッ素含有ポリマーを構成する他のモノマーとフッ素含有モノマーとを共重合するか、または、フッ素含有ポリマーとの反応により導入し、フッ素含有ポリマーが、アルコール、または、酸置換基のような官能基を含むとき、フッ素を導入するためには縮合、アセタール化、ケタール化、またはエステル化反応などを使用する。
フォトポリマー材料にこのようななフッ素含有ポリマーを含めることは、スクラッチ隠蔽層4と体積ホログラム形成層3の界面におけるスクラッチオフ適正が向上し、また、露出した体積ホログラム形成層3の表面が「光学的な鏡面」を維持し易くなるため好適である。
フッ素含有ポリマーには、ビニルエステル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルアセタール/ブチラール、またはプレポリマー類あるいはこれらの混合物と、フッ素化モノマーとのポリマー類を含む。例えば、フッ素含有ポリマーは、ビニルアセテートとフッ素化モノマーとのポリマーとすることができ、必要に応じ、このポリマーのアセテート置換基は、加水分解によりとり除き、フッ素化したポリ(ビニルアルコール)誘導体を得ることもできる。このフッ素化ポリ(ビニルアルコール)は、例えば、ブチルアルデヒドと縮合させ、フッ素化したポリ(ビニルブチラール)誘導体にすることができる。
フッ素化したポリ(ビニルホルマール)、ポリ(ビニルアセタール)など、または、これらの混合物も同じ方法で作ることができる。フッ素化モノマーは、テトラフルオロエチレン、および/または、へキサフルオロプロピレンのような、過フッ素化モノマーが好適であるが、ビニルフロライドまたはビニリデンフロライドのような、その他のモノマーも特定の用途のために選定することができる。
必要に応じ、他のモノマー類も存在させることができる。例えば、フォトポリマーの溶解性、接着性、柔軟性、または硬さなどのような、化学的、もしくは、物理的諸性質を調整するために、モノマー混合物中にエチルビニルエーテルを混在させることができる。このようなフォトポリマーは通常のフリーラジカル重合法を用いて製造される。
フッ素化したフッ素含有ポリマーは、また適切に置換されているポリマーと、フッ素化された化合物との反応により作ることもできる。ヒドロキシルまたはカルボキシル基のような、潜在的な反応位置をもったポリマーは、フッ素化された化合物との反応によりフッ素化されたフッ素含有ポリマーに変換することができる。例えば、フッ素化されたポリ(ビニルブチラール)は、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアルデヒドと、ポリ(ビニルアルコール)の縮合により調製することができる。カルボキシル酸を含むポリマー類はフッ素化したアルコール類でエステル化することができ;ポリ(ビニルアルコール)、部分ケン化されたポリ(ビニルアセテート)、またはフッ素化されたモノマーとビニルアセテートとのポリマー類の部分ケン化またはケン化されたものなどのような、ヒドロキシル基含有のポリマー類は、フッ素化されたカルボキシル酸によりエステル化することができる。
フルオロオレフィン類は標準的なグラフト化技術を用いて、適切に置換されているポリマー上にグラフト化することができる。ビニルエステル、少なくとも、1つのフッ素化されたモノマー、および、得られるポリマーの物理的性質を調整するための任意の他のモノマーとのポリマーが好ましい。
一般に、フッ素含有量が低下するとその効果も減少するから、フッ素含有ポリマーは少なくとも10%のフッ素を含有するようにされる。しかしながら、フッ素含有量が余りにも高すぎると、得られるフォトポリマーは不透明となる傾向があり、体積ホログラム形成層の調製のためには有用でない。さらには、窓用フィルムとして用いる場合に、再接着用の糊との接着性が著しく低下する。従って、好ましいフッ素含有ポリマーは、10〜20%のフッ素含有量を有している。
フッ素含有ポリマーのビニルエステル成分としては、ビニルアセテートが特に好ましいが、他のビニルエステルおよび類似の結果を与える構造的に関連した化合物も、これに加えて、またはビニルアセテートの代りに選定することができる。例えば、ビニルピバレート、ビニルプロピオネート、ビニルステアレート、ビニルアルコール、または、n−ブチルビニルエーテルなどを選ぶことができる。テトラフルオロエチレン、または、へキサフルオロプロピレンのような過フッ素化モノマー類は、フッ素化モノマー成分として特に有用であると認められているが、ビニルフルオライド、ビニリデンフルオライド、フルオロオレフィン類、フロロアルキルアクレリートおよびメタアクリレートなどのようなその他の化合物も、特定の用途のためには選ぶことができる。
フッ素化されていない対応物よりも、フッ素化されているフッ素含有ポリマーを選ぶことは屈折率変調を劇的に増加させ、それでホログラムの回折効率も増加させる。
例えば、他のすべての成分を同じにして、ポリビニルアセテートによって達成されるのは約0.025〜0、031の範囲の値であるのに反して、ビニルアセテート/過フッ素化物モノマーのフォトポリマーの使用では0.040を超え、0.076の高い屈折率変調の値が達成される。
フッ素化フッ素含有ポリマーは、全フッ素含有ポリマーの1部分だけに選択することができる。この場合、フッ素含有ポリマーのフッ素化されていない対応物は、2つのフッ素含有ポリマーが互いに両立し、そして塗布用溶剤および他のフォトポリマー成分とも両立し、そしてフォトポリマーの透明性、機械的諸性質などを不当に犠牲としないならば、その他の成分として選択することができる。
フォトポリマーは、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含み、これはフリーラジカルで開始される重合し得るもので、100℃以上の沸点を有し、塗布溶剤および選ばれたフッ素含有ポリマーと両立し得るものである。このモノマーは通常末端位置に不飽和性基を含んでいる。一般に液体のモノマーが選定されるが、固体のモノマーが実質的に固体のフォトポリマー組成物中で内部拡散し得るならば、固体のモノマーも1個または数個の液体モノマーと組み合わせて用いることができる。
モノマーは、付加重合をすることができかつ100℃以上の沸点をもつ液体の、エチレン性不飽和化合物であり、これは3個までの芳香環;塩素;および臭素を含む、置換または未置換のフェニル、ビフェニル、フェノキシ、ナフチル、ナフチルオキシ、およびヘテロ芳香基、よりなる群から選ばれた1個または数個の部分を含んでいる。モノマーはこのような部分を少なくとも1つ含み、またモノマーが液体でとどまるならば、同一または異なるこのような部分を2個またはそれ以上含むことができる。低級アルキル、アルキオキシ、ヒドロキシ、フェニル、フェノキシ、カルボキシ、カルボニルイミド、シアノ、クロロ、ブロモまたはこれらの組み合わせのような置換基を、モノマーが液体モノマーにとどまり、かつ光重合性層中で拡散し得るならば存在させることができる。
代表的な液体モノマーには、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタアクリレート、フェノールエトキシレートモノアクリレート、2− (p−クロロフェノキシ)エチルアクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、フェニルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレ−1−、2− (1−ブチルオキシ)エチルアクリレート、0−ビフェニルメタアクリレート、0−フェニルアクリレート、およびこれらの混合物などが含まれる。
モノマーは、通常、液体であるが、エチレン性不飽和カルバゾールモノマーのような、1個または数個のエチレン性不飽和固体モノマーと混合して使用することもできる。
カルバゾール部分の窒素原子に結合したビニル基を含んだ、エチレン性不飽和カルバゾールモノマーは代表的に固体である。このタイプの好適なモノマーには、N−ビニルカルバゾールと3、6−ジプロモー9−ビニルカルバゾールとが含まれる。特に好ましいエチレン性不飽和モノマーの混合物は、N−ビニルカルバゾールと液体モノマーの1個または数個、特に2−フェノキシエチルアクリレート、フェノールエトキシレートモノアクリレート、エトキシレートビスフェノール−Aジアクリレート、またはこれらの混合物などとの組み合わせからなるものである。
フォトポリマーを架橋化(光重合)するときは、組成物中に2個または数個の末端エチレン性不飽和基を含む、多官能性モノマーの少なくとも1つを5%まで加えることができる。この多官能性モノマーは、組成物の他の成分と両立し得るものでなければならず、また好ましくは液体である。多官能性モノマーには、ビスフェノール−Aのジ(2−アクリルオキシエチル)エーテル、エトキシレートビスフェノール−Aジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、およびその他が含まれる。エトキシレートビスフェノール−Aジアクリレートは、特に好ましい。
光開始剤系は、電離放射線により活性化されたときに、フリーラジカルを直接に与える1個または数個の化合物からなるものである。「電離放射線」は、モノマー材料の重合を開始するのに必要な、フリーラジカルを生成させるような活性な放射線を意味している。
この系はまた複数の化合物から構成されることもでき、その1つは別の化合物、または増感剤が放射線により活性化された後に、フリーラジカルを生ずるものである。
有用な開始剤系は、種々の増感剤を含んでいてもよく、多数のフリーラジカル生成化合物を利用できる。特に色素を含むレドックス系、例えばローズベンガル/2−ジブチルアミノエタノールを用いることもできる。光還元性色素および還元剤、オギサジン、およびキノン系の各色素、色素−オウ酸塩コンブレックス、色素増感されたアジニウム塩、およびトリクロロメチルトリアジンなどを、光重合を開始させるために用いることができる。
好ましい光開始剤系は、可視光線用増感剤で増感され、連鎖移転剤または水素供与剤、およびこれらの混合物をもった、2,4,5−トリフェニルイミダゾリルダイマーである。 これには、2−(0−クロロフェニル)−4,5−ビス(m−メトキシフェニル)−イミダゾールダイマー;1,1’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(0−クロロフェニル’)−4,4’5,5’−テトラフェニル;およびIH−イミダゾール、2,5−ビス(0−クロロフェニル)−4−(3,4−ジメトキシフェニル〕−タイマーなどが含まれ、それぞれ代表的に水素供与体とともに用いられる。
増感剤には、ビス(p−ジアルキルアミノベンジリジン)ケトン類、および、アリーリチンアリールケトン類が含まれる。
水素供与体の適当なものには、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、4−メチル−4H−1,2,4−1−リアゾール−3−チオール、およびその他が含まれる。
N−ビニルカルバゾールモノマーを含む組成物に対して好ましい、この他の水素供与体は、5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール;2−メルカプトベンゾチアゾール、 IH−1,2、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、1−ドデカンチオール、およびこれらの混合物などである。
その他の成分として、フォトポリマー組成物に一般に添加されるその他の各成分はフォトポリマーの物理的特性を変えるだめのものである。このような成分には可塑剤、熱安定剤、光学的増白剤、紫外線安定剤、接着性変更剤、塗布助剤、および剥離剤などが含まれる。
可塑剤は、フォトポリマーの接着性、柔軟性、硬さ、およびその他の物理的緒特性を変えるために存在させられる。可塑剤には、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジプロピオネート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジエチルセパケート、ジブチルスベレート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、イソゾロビルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、ポリ(プロピレングリコール)、トリ酪酸グリセリル、アジピン酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、スペリン酸・ノブチル、燐酸トリブチル、燐酸トリス(2−エチルヘキシル)、などが含まれる。
有用な熱安定剤には、ハイドロキノン、フェニドン、p−メトキシフェノール、アルキルおよびアリール置換されたハイドロキノンとキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、ベータナフトール、塩化第一銅、2,6−ジーt−ブチル−p−クレゾール、フェノチアジン、レジン酸銅、ナフチルアミン、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、フロラニール、およびクロルアニールなどが含まれる。ジニトロソダイマー類もまた有用である。
塗布助剤として、非イオン性界面活性剤を光重合性組成物に加えることができる。好ましい塗布助剤は、フッ素化された非イオン性活性剤である。
有用な光学増白剤は、7−(4’−クロロ−6′−ジエチルアミノ−1’,3’,5’−トリアジン−4′イル)アミノ3−フェニルクマリンである。さらに、紫外線吸収材料を適宜用いることができる。
また、透明な樹脂、すなわち、光重合性組成物としては、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系、及び、カチオン重合性化合物を重合させる光カチオン重合開始剤系からなる感光性材料が用いられる。
カチオン重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物の重合が終始比較的低粘度の組成物中で行なわれるように室温液状のものが用いられる。そのようなカチオン重合性化合物としてはジグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等が用いられる。
ラジカル重合性化合物は、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましい。また、ラジカル重合性化合物の平均屈折率は上記カチオン重合性化合物のそれよりも大きく、好ましくは0.02以上大きいとよく、小さいと屈折率変調が不十分となり好ましくない。ラジカル重合性化合物としては、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、2−ブロモスチレン、フェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2,3−ナフタレンジカルボン酸(アクリロキシエチル)モノエステル、メチルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、β−アクリロキシエチルハイドロゲンフタレート等が用いられる。
光ラジカル重合開始剤系は、体積ホログラム作製のための第1露光によって活性ラジカルを生成し、その活性ラジカルがラジカル重合性化合物を重合させる開始剤系であればよく、また、一般に光を吸収する成分である増感剤と活性ラジカル発生化合物や酸発生化合物を組み合わせて用いる。
光ラジカル重合開始剤系における増感剤は可視レーザー光を吸収するために色素のような有色化合物が用いられる場合が多いが、無色透明な体積ホログラムとする場合にはシアニン系色素が好ましい。シアニン系色素は一般に光によって分解しやすいため、後露光、または室内光や太陽光の下に数時間から数日放置することにより体積ホログラム中の色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明な体積ホログラムが得られる。
シアニン系色素の具体例としては、アンヒドロ−3,3'−ジカルボキシメチル−9−エチル−2,2'チアカルボシアニンベタイン、アンヒドロ−3−カルボキシメチル−3',9−ジエチル−2,2’チアカルボシアニンベタイン、3,3',9−トリエチル−2,2'−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,9−ジエチル−3'−カルボキシメチル−2,2'−チアカルボシアニン・ヨウ素塩等が例示される。
シアニン系色素と組み合わせて用いてもよい活性ラジカル発生化合物としては、ジアリールヨードニウム類、あるいは2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類が挙げられる。高い感光性が必要なときは、ジアリールヨードニウム類の使用が特に好ましい。上記ジアリールヨードニウム類としては、ジフェニルヨードニウム、4,4'−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4'−ジメトキシジフェニルヨードニウム等が例示される。また、2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等が例示される。
光カチオン重合開始剤系は、第1露光に対しては低感光性で、第1露光とは異なる波長の光を照射する後露光に感光してブレンステッド酸、あるいはルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物を重合させるような開始剤系とするとよく、第1露光の間はカチオン重合性化合物を重合させないものが特に好ましい。光カチオン重合開始剤系としては、例えばジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類あるいは鉄アレン錯体類等を挙げることができる。ジアリールヨードニウム塩類で好ましいものとしては、光ラジカル重合開始剤系で示したヨードニウム類のテトラフルオロボレート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアルセネート塩およびヘキサフルオロアンチモネート塩等が挙げられる。トリアリールスルホニウム塩類で好ましいものとしては、トリフェニルスルホニウム、4−ターシャリーブチルトリフェニルスルホニウム等が挙げられる。
光重合性組成物には、必要に応じてバインダー樹脂、熱重合防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、着色剤などを併用してよい。バインダー樹脂は、体積ホログラム形成前の組成物の成膜性、膜厚の均一性を改善する場合や、レーザー光等の光の照射による重合で形成された干渉縞を後露光までの間、安定に存在させるために使用される。バインダー樹脂は、カチオン重合性化合物やラジカル重合性組成物と相溶性のよいものであれば良く、その具体例としては塩素化ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体、塩化ビニルとアクリロニトリルの共重合体、ポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。バインダー樹脂は、その側鎖または主鎖にカチオン重合性基などの反応性を有していても良い。
その体積ホログラム形成層3の厚さは、5.0μm〜300μmとする。好適には、30μm〜100μmとする。
カード基材1上に、透明な樹脂をコーティングして、体積ホログラム形成層3を設ける場合には、体積ホログラム形成層3は、光重合性組成物の塗布液を、バーコート、スピンコート、又はディッピング等、または、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、又はコンマコート等により塗布し、形成する。体積ホログラム形成層3は、乾燥ないし硬化手段を用いて固化される。
その光重合性組成物としては、組成物全体に対してカチオン重合性化合物を10〜50%、ラジカル重合性化合物を40〜70%、光ラジカル重合開始剤系を1〜5%、及び、光カチオン重合開始剤系を1〜5%とし、全量を100%となるように配合する。
光重合性組成物は、必要に応じて、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、芳香族系溶媒、セルソルブ系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒等と配合し、冷暗所にて、高速撹拌機で混合し調製する。
上記の樹脂材料を用い、キャスティング法や、ダイコート法等を用いて、体積ホログラム形成層3をカード基材1上に設けることもできる。
さらには、体積ホログラム形成層3の「断面」を、表面平滑な面としたり、「光学的な鏡面」とするために、フォトレジスト法や、凹版印刷(特に、『凹版』の内面、特に、凹部の側面を、平滑仕上げしたものを用いる。)処理手段を採用することも好適である。
これらの体積ホログラム形成層3に、適宜な光学系を用いて、体積ホログラムである、透過型ホログラムや、反射型ホログラムを記録する。または、その両方を多重記録する。(図示せず。)
以下に、その方法を説明する。
まず、ホログラム画像として画像化される「物体」を準備する。
「物体」としては、彫刻や模型等の実在する、3次元物体(高名な作者のものであれば、その意匠性は非常に高いものとなる。)、もしくは、絵画やブランドデザイン等の2次元物体が用いられる。もしくは、「物体光」を与え得るものであって、空間変調器等のような電子的にセル変換が可能な光学素子を用いた光学系によって、記録用媒体面に投影されるような「光の像」であってもよい。
もちろん、あらかじめ作成した「ホログラム」からの「ホログラム再生像」(立体的な光の像となる。)を用いることもできる。
この「物体」を、所定の波長を選択した、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レーザー、各種色素レーザー等のコヒーレント光を用いて照明し、上述したような「所定の光学系」を準備し(図示せず。)、透過型ホログラムを記録する。
もしくは、適宜なホログラム記録用のフォトレジストに、同様な「所定の光学系」を準備し、マスターホログラムを記録し、現像処理する。
次いで、このマスターホログラムを所定の光学系を用いて、「物体」の体積ホログラムを、上記で使用した光源を再度用いて、体積ホログラム形成層3に、「反射型ホログラム」として記録する。
透過型ホログラムに上記の光学系で用いた参照光と同一の照明を行う(これが「照明光」となる。)と、その照明光が透過し向かう方向からの観察により、体積ホログラム形成層3を通して、所定の位置に「物体」の像、すなわち、透過型ホログラム再生像を視認することができる。(図示せず。)
また反射型ホログラムの場合には、参照光を用いずとも、その波長選択性により、所定の波長でのみ再生された「物体」の像、すなわち反射型ホログラム再生像を視認することができる。この場合の「再生角度」も同様である。
以上の方法を用いる際、「物体」を2つ準備し、2つの光源(第1の波長、及び第2の波長を有する2つのレーザー光源)を用いて、それぞれ体積ホログラム形成に各々、角度を変えて記録して、2つの体積ホログラムを多重記録することができる。
もちろん、上記した透過型ホログラムと反射型ホログラムを同一の体積ホログラム形成層3に記録し、「透過型ホログラムと反射型ホログラムを多重記録」することも可能である。
このときに用いる体積ホログラム形成層3は、例えば、2つの光源に感度を持つように、2種類の増感剤を含めたものとする。
また、体積ホログラム形成層3を単層として、その一つの層に多重記録するのみならず、体積ホログラム形成層3を多層として、それぞれの層に、それぞれのフォトポリマーを用い、それぞれの体積ホログラムを記録することも、個々のホログラム再生像の鮮明度を高めるため好適である。
2つの体積ホログラムを多重記録した場合には、2つの観察方向に、各々の「物体」像を見ることができる。(図示せず。)
ホログラムとしては、レーザー再生ホログラム、白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィックステレオグラム、ホログラフィック回折格子、複合回折格子で構成されるホログラムなどを、適宜、記録することができる。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し、「秘密情報」2として、もしくは、「秘密情報」2の一部構成情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。(図示せず。)
体積ホログラムは、「上記のようにして記録した体積ホログラム形成層3(単独の層。)」上に、「まだ体積ホログラムを記録していないカード基材1と体積ホログラム形成層3の積層体」のその体積ホログラム形成層3面上に、「単独の層である記録済み体積ホログラム形成層3」を密着させて重ねたものに(インデックスマッチング液等をその間に挿入してもよい。)、その「記録済み体積ホログラム形成層3」側から、適宜なレーザー光を照射する方法により、大量に複製することができる。(図示せず。)
この体積ホログラム形成層3内に、上記した手段を用いて、所定パターン表示領域として、上記した「所定パターン」を表示可能なように、「屈折率変化領域5」を記録する。(図1〜図3参照。)
このとき、その「屈折率変化領域5」、すなわち、「所定パターン」表示領域として記録された「屈折率変化領域5」を、体積ホログラム形成層3の形成面に垂直上方から観察した際に、視認できる「パターン」が「所定パターン」となる。(「所定パターン」は図示せず。また、「結像光学系」も図示していない。)
これらの体積ホログラム形成層3、及び/または、スクラッチ隠蔽層4の上に、さらには、黒色層の上に、本発明のスクラッチカードH2及び7の用途に応じた印刷デザインや、ホログラムデザインにより、オフセット印刷や、グラビア印刷等を用いて、1.0〜10.0μmの厚さで地紋印刷6を施す。(図5参照。体積ホログラム形成層3上に幾何学模様の地紋印刷6を施している。)
体積ホログラム形成層3、及び/または、スクラッチ隠蔽層4の上に、さらには、黒色層の上に、この地紋印刷6以外の通常デザイン(主要なデザイン模様等)の印刷を施し、その意匠性を高めることができることは言うまでもない。
さらに、スクラッチ隠蔽層4の上に、または、スクラッチ隠蔽層4及び地紋印刷6の上に、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、これらの共重合体さらには電離放射線硬化樹脂等の保護層を、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、インクジェット方式で、1〜3μm厚さに形成して、「秘密情報」2の隠蔽をさらに強化してもよい。(図示せず。)
但し、体積ホログラム形成層3やスクラッチ隠蔽層4の表面の一部が、上記したように、意図して「粗い粗面」を設けた部分である場合には、この大きな凹凸に追従して印刷可能なインクジェット方式や、この凹凸に影響され難い感熱転写方式、もしくは、昇華転写方式を用いて地紋印刷6を行ってもよい。さらに、このような感熱転写方式、もしくは、昇華転写方式を用いて、その大きな凹凸の凸部のみに印刷を行い、不正なスクラッチにより非常に容易に地紋印刷6が破壊されるようにすることもできる。
特に、昇華転写方式は、体積ホログラム形成層3を構成する樹脂層に浸透し、独特の風合いを醸し出すことができる。
地紋印刷6を形成する位置は、体積ホログラム形成層3上やスクラッチ隠蔽層4上の全面に均一に設けてもよいし(図5参照。図5では、スクラッチ隠蔽層4上に地紋印刷6をその全面に形成している例を示している。)、部分的に設けてもよく、さらには、複数の領域に分散して設けてもよい。(図示せず。)
そして、この地紋印刷6を、スクラッチ隠蔽層4上、及びスクラッチ隠蔽層4と体積ホログラム形成層3との間、の両方に設け、且つ、そのデザイン及び、形成位置をスクラッチ隠蔽層4の上下で、位置を異ならせたり、同一としたりすることも、その意外性や偽造防止性を高めるため好適である。(図示せず。)
(黒色層)
本発明のスクラッチカードH2及び7、さらには、スクラッチカードH2を作製するための中間生成物H1において、体積ホログラム形成層3の背面に、すなわち、カード基材1と体積ホログラム形成層3との間(その上に形成された「秘密情報」2形成部上を除く)の所定の位置に、黒色層を設けることができる。(図示せず。)
ここで、黒色層は、部分的、且つ、離散的に複数形成してもよい。そして、この黒色層のパターンによって、何らかのデザインを表すものとしてもよい。(図示せず。)
黒色層は、微粒子カーボンブラックや、超微粒子カーボンブラック、その他の炭素系黒色顔料や酸化物系黒色顔料の微粒子や超微粒子、さらには、含金属黒色染料(金属錯塩染料)等を、含有率で20〜70質量%として、透明樹脂、例えば、熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等に2次凝集を少なくするように、ガラスビーズやスチールビーズを用いたボールミル、ニーダー、ロールミル等による混練りを十分行い、溶剤等で粘度調整をして、グラビア方式、オフセット方式、シルクスクリーン方式、カーテンコート方式、ノズルコート方式、インクジェット方式さらには、フレキソ印刷方式を適宜用いて均一な厚さに形成することができる。(図示せず。)
この場合、体積ホログラム形成層3、または、カード基材1上との密着性の高いものを選定する。
もちろん、黒色層として、上記の顔料や染料を同様の割合含んだプラスチックフィルムを用いることも好適である。
この場合には、予め、そのフィルムの表面を「光学的な鏡面」として仕上げておくことができ、且つ、屈折率を調整し易く、さらには、その厚さムラも高い精度で制御することが可能となる。
黒色層の厚さは、2.5μm〜25μmとし、好適には、5.0μm〜20μmとする。
(接着層)
本発明のスクラッチカードH2及び7、さらには、スクラッチカードH2を作製するための中間生成物H1において、カード基材1(その上に形成されている「秘密情報」2形成部を覆うように設けることとなる。)と体積ホログラム形成層3との間、カード基材1と上記した黒色層との間、さらには、部分的ではあるが、カード基材1とスクラッチ隠蔽層4との間に、接着層を設けることができる。(図示せず。)
ここで、接着層としては、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの接着剤、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴムなどのゴム系樹脂などが挙げられる。自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス、それを変性したもの、特に天然ゴムにスチレン特にメタクリルさんメチルとをグラフト重合させて得た天然ゴムラテックス等の天然素材から作製されたものを用いても良い。(参照。)
接着層に用いられる溶剤としては、溶剤類、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、イソホロン、ジイソブチルケトン、等。)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール等、さらにはその水溶液。)、芳香族類(ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベッソNo.100、ソルベッソNo.150、カクタスP−180等。)、環状炭化水素類(シクロヘキサン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸セルソルブ、エチルー3−エトキシプロピオネート等。)、エーテル類(テトラヒドロフラン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、t−ブチルセルソルブ等。)等を用いることができる。
接着層の形成厚さは、1.0μm〜30μmとする。
接着層の形成方法としては、グラビアコート、ロールコート、コンマコートなどの方法で、カード基材1上、及び、「秘密情報」2上に、塗布し乾燥して形成することができる。また、より精密な印刷を要する場合には、ステンレススクリーン印刷方法や、活版印刷方式、オフセット印刷方式、フォトレジスト処理方式等を用いることができる。(図示せず。)
または、カード基材1上に、体積ホログラム形成層3及びスクラッチ隠蔽層4を形成する前に、その体積ホログラム形成層3のカード基材1側に、接着層を設け、スクラッチ隠蔽層4とともに、カード基材1に接着させる手順、さらには、カード基材1に埋め込む手順を採用することができる。
もしくは、体積ホログラム形成層3(この上に黒色層が設けられていてもよい。)より一回り大きく設けたスクラッチ隠蔽層4の露出面を含んで、体積ホログラム形成層3の全体及びスクラッチ隠蔽層4のその一部分に、接着層を設け、体積ホログラム形成層3及びスクラッチ隠蔽層4をカード基材1上に設ける手順とし、体積ホログラム形成層3の断面をスクラッチ隠蔽層4が覆い隠すものとする。
または、体積ホログラム形成層3及びスクラッチ隠蔽層4をカード基材1に埋め込んで体積ホログラム形成層3及びスクラッチ隠蔽層4と、カード基材1とを一体化し、本発明のスクラッチカードH2、もしくは7の外観からは、その中に、体積ホログラム形成層3が閉じ込められているとは全く想像することすらできないものとする。
いずれの手順においても、それぞれ、同様の形成方法を用い、同様の厚さとすることができる。
接着層の接着力は、カード基材1、及び、「秘密情報」2と、接着層との界面の剥離強度、さらには、少なくとも体積ホログラム形成層3と、接着層との界面の剥離強度として、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、1.0〜3.0kg/25mm巾の範囲にすることが望ましい。もちろん、それ以上の剥離強度を有していても、本発明の目的には適合している。
特に、カード基材1及びカード基材1上の「秘密情報」2形成部との接着力は、本発明の目的より、本発明のスクラッチカードH2及び7、さらには、スクラッチカードH2を作製するための中間生成物H1のカード基材1及びカード基材1上の「秘密情報」2形成部から剥がすことが困難となるレベルまで大きいものとする必要があるが、その接着層とカード基材1及びカード基材1上の「秘密情報」2形成部との界面の剥離強度よりも、接着層と体積ホログラム形成層3との界面の剥離強度を、より大きいものとなるように設計する。
接着層には、その接着強度やその堅さ(層としての堅牢度を意味する。)及び耐熱性を調整する目的で、微粒子透明顔料や超微粒子顔料を添加することができる。
その微粒子透明顔料や超微粒子顔料としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、クレー、カオリン、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、珪藻土、石膏、タルク、珪石粉等の体質顔料を細かく粉砕したものや、マイクロシリカ等の無機微粒子、シリコン樹脂やフッ素樹脂粉末等の微粒子樹脂紛体、その他、平均粒径で、0.1μm〜0.01μmとした微粒子顔料や、0.01μm以下とした超微粒子顔料を使用する。
具体的には、天然に産する方解石、氷州席、アラゴナイト、石灰岩、大理石、貝殻、チョーク、重晶石、石膏、ギブス石などを微粉砕したものや、その合成物において平均粒径を調整したもの、さらには、一般的に用いられる無機顔料、や有機顔料においても、超微粒子酸化チタンや超微粒子酸化ジルコニウム等、その平均粒径を、0.01μm以下としたもの等は、適宜な樹脂材料との混合において、透明となるため、好適である。
具体例としては、超微粒子酸化チタン(石原産業株式会社製TTO−55N:屈折率n=2.4)を適宜な樹脂に分散した場合に、その屈折率は、1.9〜2.0であり、また、超微粒子酸化ジルコニウム(動的光散乱法における平均粒径0.0001μm〜0.05μm)を適宜な樹脂に分散した場合に、「層」としての屈折率は、1.7〜1.9となる。
但し、この粒径のものは、二次凝集しやすく、ニーダー等の適宜な分散処理機に繰り返し通すなどの再分散処理等を施す必要がある。添加量は、屈折率の向上度合いと透明性とのバランスで決められるが、通常、1%〜20%添加が好適である。
その形成方法、及び、厚さは、上記した方法、及び、厚さとする。
このように、接着層をも高い屈折率を持つものとすると、接着層と体積ホログラム形成層3とが直接接している界面における反射率を高くすることができ、この界面上に位置する体積ホログラム形成層3から再生される体積ホログラム再生像をより鮮明なものとすることができ好適である。
このようにして形成した本発明のスクラッチカードH2及び7を、通常の照明光下で、観察したところ、「単なるスクラッチカード」であると判断できたが、そのスクラッチ層の下に隠されていると推定される「秘密情報」2は、全く視認できず、もちろん、体積ホログラム形成層3については、その存在すら想像できないものであった。(図1〜図3参照。)
この際、カード基材1上の所定の位置に、「秘密情報」2として、連続数字1〜8が印字されており(図4参照。図4には、その所定の位置を示す枠が便宜上表示されている。)、その「秘密情報」2を覆うように、体積ホログラム形成層3及びスクラッチ隠蔽層4が設けられることとなる。(図1〜図3参照。)
また、本発明のスクラッチカード7のスクラッチ隠蔽層4上に、幾何学模様からなる地紋印刷6を施した。(図5参照。)
いずれの場合も、目視では、スクラッチ隠蔽層4で覆われた「秘密情報」2、さらには、体積ホログラム形成層3を、視認することはできず、また、この層を、爪等で破断なくきれいに剥がすことは、到底、不可能であると思われた。
次に、本発明のスクラッチカードH2及び7のカード基材1の、スクラッチ隠蔽層4が埋め込まれている領域の近傍の表面に、「所定の入射光」を斜めに入射させて、その「所定の入射光」が、カード基材1の中を通過して、体積ホログラム形成層3の「4つの断面の内、一方の断面SEC1」に到達するようにした。(『所定の入射光』は、カード基材1の表面で所定の角度で『屈折』し、「断面の内、一方の断面SEC1」において、再度、『屈折』することとなる。)
その「所定の入射光」は、体積ホログラム形成層3に記録してある「第一の体積ホログラム」で回折されつつ体積ホログラム形成層3を通過し、「断面の内、一方の断面SEC1」の対向面にある、体積ホログラム形成層3の「4つの断面の内、他方の断面SEC2」から出射する「出射光」となり、カード基材1の、スクラッチ隠蔽層4が埋め込まれている領域の近傍の表面から、出射する。
そして、その「出射光」を目視にて観察したところ、体積ホログラム形成層3による「第一の体積ホログラム再生像」を視認することができた。(図示せず。)
また、体積ホログラム形成層3に記録してある「第一の体積ホログラム」を、体積ホログラム形成層3の「断面の内、一方の断面SEC1」と、「断面の内、他方の断面SEC2」に垂直な方向に入射する、「記録用の光源光と参照光」を用いて記録した場合には、
本発明のスクラッチカードH2及び7のカード基材1の4つの断面の内、一方の断面(『カード基材1の断面』。体積ホログラム形成層3の『断面の内、一方の断面SEC1』に平行、且つ、最も近い位置にある『カード基材1の断面』。)から、「所定の入射光」を垂直に入射させて、その「所定の入射光」が、カード基材1の中を通過して、体積ホログラム形成層3の「4つの断面の内、一方の断面SEC1」に、やはり、垂直に到達するようにし、体積ホログラム形成層3に記録してある「第一の体積ホログラム」で回折されつつ体積ホログラム形成層3を通過させる。
その結果、「所定の入射光」は、体積ホログラム形成層3の「断面の内、一方の断面SEC1」の対向面にある、体積ホログラム形成層3の「4つの断面の内、他方の断面SEC2」から垂直に出射する「出射光」になり、さらに、カード基材1の中を通過して、カード基材1の4つの断面の内、他方の断面(『カード基材1の異なる断面』。体積ホログラム形成層3の『断面の内、他方の断面SEC2』に平行、且つ、最も近い位置にある『カード基材1の断面』。)から、出射して、上記と同様に、その「出射光」の目視観察により、体積ホログラム形成層3による「第一の体積ホログラム再生像」を視認することができることとなる。(図示せず。)
もちろん、「第一の体積ホログラム」が、「反射型体積ホログラム」であった場合には、その「出射光」は、「『所定の入射光』を入射させた『カード基材1の断面』と『同一の断面』」から出射する。
そして、本発明のスクラッチカードH2及び7のスクラッチ隠蔽層4、もしくは、地紋印刷6とスクラッチ隠蔽層4を、コインを用いて部分的に削り取ると、その削り取った領域から、その下に隠れていた「秘密情報」2と同時に、「屈折率変化領域5」の「所定パターン」表示が視認可能となり、このようなスクラッチカードH2及び7を偽造することは困難であると思われた。もしくは、その「秘密情報」2と「屈折率変化領域5」の「所定パターン」表示と同時に、体積ホログラム形成層3による「第二の体積ホログラム再生像」が観察可能となって、このようなスクラッチカードH2及び7を偽造することは非常に困難であると思われた。(図示せず。)
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(実施例1)
スクラッチカードH2、もしくは7のカード基材1として、厚さ260μmの乳白硬質塩化ビニルシートを、厚さ250μmの透明軟質塩化ビニルシート2枚で挟み込み、総厚さ760μmとした、3層積層塩化ビニルシート(クレジットカードサイズ)を用いる。
所定のデザイン印刷は、その硬質塩化ビニルシート上にオフセット印刷にて施した後、所定のラミネート条件にて、3層積層体とした。(図1、図2、及び、図3参照。カード基材1の積層状況は図示せず。)
このカード基材1の所定の領域(カード基材1のほぼ中央に位置する領域。)に、インクジェットプリンターにて、「秘密情報」2として、「12345678」の番号(各数字文字の高さ4mm、幅2mm、文字間隔1mm。)を印字した。(図1〜図3、及び、図4参照。)
ここで、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフイルム上に、膜厚100μmのフォトポリマー(「体積ホログラム形成層3」となる層。)が積層され、その上に保護フィルムとして、厚さ50μmポリエチレンテレフタレートフイルムが積層されたフォトポリマー積層フィルム(デュポン社製「HRF705」のフォトポリマー層を貼り合わせて所定の厚さとしたもの。)を用い、この積層フィルムを、縦30mm×横50mmのサイズに、その表面が滑らかな表面仕上げを施してあるステンレス製の断裁刃(刃先形状を『片刃形状』としたもの。)を用いて、丁寧にカッティングし、その4つの「断面」を滑らかな面(滑らかな平面)とした。
このとき、体積ホログラム形成層3の断面の形状として、縦100μm×横30mmの長方形を成す2つの「断面」を、他の2つの「断面」(他の2つの『断面』の形状は、縦100μm×横50mmの長方形となっている。)と区別するため、スクラッチカードH2、もしくは7に体積ホログラム形成層3が既に埋め込まれた状態を想定し、その状態で、スクラッチカードH2、もしくは7を上方から観察して、「カード正面右側」に位置する「断面の内、一方の断面SEC1」、及び、スクラッチカードH2、もしくは7を上方から観察して「カード正面左側」に位置する「断面の内、他方の断面SEC2」と定め、「カード正面全体」に対する位置関係を明確にした。(図1参照。)
次いで、クリプトンレーザー(発光波長647nm)を光源とし、所定の透過型ホログラム撮影光学系(図示せず。)を用いて、縦10mm×横10mmの「真」と「正」の文字(文字太さ1.0mm。)を、5mmの間を開けて配置した「透過原稿」(この『透過原稿』の背後から、平行光をあてて透過させることにより、『縦10mm×横25mm』の広がりを持つ『物体1』とする。)を、透過型体積ホログラムとして、以下の手順により、体積ホログラム形成層3に、「第一の体積ホログラム(断面体積ホログラム)」を記録した。(記録する状況は図示せず。)
すなわち、露光強度2.0mWにて、「縦10mm×横25mm」のサイズの広がりを持つ「物体1の物体光」を、「『底面部分』が縦15mm×横30mmの大きさを有し、『半円筒レンズ部分』が焦点距離500mmを持つ『シリンドリカルレンズ』」を通して、その「物体1の物体光」の広がりを、縦0.1mm×横30mmのサイズまで圧縮し(縦方向の圧縮となる。この『物体1の物体光』はこの圧縮により、『明るさ』が強まるため、光路中に拡大光学系を挿入して、その強度を弱め、調整した。)、縦100μm×横30mmの長方形の形状をした「体積ホログラム形成層3」の「断面の内、他方の断面SEC2」の断面中央垂線に対して斜め(+45度。断面の縦方向に広がる角度)の角度で入射させ、この「物体1の物体光」と、同一方向に進み、且つ、その「断面の内、他方の断面SEC2」、及び、「その断面に対向している『断面の内、一方の断面SEC1』」の断面中央垂線に対して斜め(−45度。同上。)の角度で進む「平行光」を「参照光1」として、その「物体1の物体光」と、その「参照光1」を、50mJ/cm2の露光量となるように照射し、その「体積ホログラム形成層3」の中で干渉させ、「第一の体積ホログラム(断面体積ホログラム)」を記録した。(記録する状況は図示せず。)
この時、その30mm×50mmサイズの積層フィルムの体積ホログラム形成層3の右下の部分に、開口部として「1111」の文字情報(認証番号)の逆像(フォントサイズ20ポイント)を設けた厚さ、1mmのステンレス遮蔽板を、そのステンレス遮蔽板と上記保護フィルムとが接する様に重ねた後、ステンレス遮蔽板の後方から、20Wハロゲンランプを用いて、体積ホログラム形成層3に対する露光量100mJ/cm2で光照射し、「1111」の文字情報の逆像として、「屈折率変化領域5」の「所定パターン」表示を記録した(本発明のスクラッチカード7の使用者は、『秘密情報』2に加えて、この『認証番号:1111』を読み取ることとなる。)。
その後、このステンレス遮蔽板を除去し、高圧水銀灯を用いて、500mJ/cm2の紫外線を照射し、更に120℃で120分間加熱処理し、上記保護フィルムを剥離して、「『透過原稿』及び、『認証番号』が記録された体積ホログラム形成層3が積層されている、厚さが200μmで、サイズが30mm×50mmのシート」を作製した。このときの「第一の体積ホログラム(断面体積ホログラム)」の回折効率は、30%とし、「屈折率変化領域5」のその周辺領域との屈折率差△nは、0.05とした。
次に、この厚さ200μmのシートの体積ホログラム形成層3の露出面と、カード基材1の「秘密情報」2を設けた表面が接するように、且つ、その「秘密情報」2形成部を覆うように、さらには、30mm×50mmサイズ(形状)が、このカード基材1のほぼ中央に位置するように、この厚さ200μmのシートとカード基材1をラミネートし、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフイルムを剥離して、カード基材1上に、厚さ100μmで、サイズが30mm×50mmの体積ホログラム形成層3を転写形成した。(図1参照。)
その体積ホログラム形成層3の上に、下記組成のスクラッチ隠蔽層4用インキ組成物を、ステンレススクリーン印刷方式にて形成し、乾燥後の厚さとして、スクラッチ隠蔽層4を15μmの厚さで形成し、本発明の実施例1のスクラッチカードH2を作製するための中間生成物H1を得た。(図1参照。)
<スクラッチ隠蔽層4用インキ組成物>
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体 20部
アクリル樹脂 5部
顔料ノンリーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 40部
顔料リーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 10部
イソシアネート系硬化剤 1部
トルエン 10部
酢酸エチル 5部
エチルセルソルブ 9部
その「実施例1のスクラッチカードH2を作製するための中間生成物H1」の「積層体」を、「表面を鏡面仕上げしたステンレス板」に挟みこみ、120℃、106Pa、及び、60分の、加熱、及び、加圧をし、次いで、冷却処理を施して、常温に戻し、スクラッチ隠蔽層4の最表面とカード基材1の表面を「面一」とし、本発明の実施例1のスクラッチカードH2、もしくは7を得た。(図2及び図3参照。)
この実施例1のスクラッチカードH2、もしくは7を、通常の蛍光灯下で観察したところ、スクラッチカードH2、もしくは7上にて、「カードの一部に埋め込まれた銀色の印刷層」を観察できるのみであり、その下に埋め込まれ、形成されている、「秘密情報」2の存在、さらには、「屈折率変化領域5」や、体積ホログラム形成層3の存在を窺い知ることはできなかった。(図2及び図3参照。『体積ホログラム形成層3』の『断面の内、一方の断面SEC1』、または、『断面の内、他方の断面SEC2』については、カード基材1の表面から、注意深く観察すると視認できたが、『それらの断面』から、『何らかの体積ホログラム』の存在を認識することは出来なかった。)
次いで、この実施例1のスクラッチカードH2、もしくは7上のカード基材1の表面に埋め込まれてる「銀色の印刷層」部分のスクラッチ隠蔽層4の下にある、体積ホログラム形成層3の「断面の内、一方の断面SEC1」、及び、「断面の内、他方の断面SEC2」(体積ホログラム形成層3を成す、『縦30mm×横50mm×厚さ100μmの直方体』の、『縦30mmの一辺と、厚さ100μmの一辺により形作られる長方形』で表される、対向する2つの『断面』となっている。)の内、「断面の内、一方の断面SEC1」に、斜め(+45度。断面の厚さ方向に広がる角度。)の角度で、記録時の「参照光1」と同様の平行光で、且つ、その「進行方向が逆」の「所定の入射光」を入射させる。
そのために、予め、カード基材1に埋め込まれているスクラッチ隠蔽層4の近傍にあたる、カード基材1の表面領域に、且つ、その表面の垂線に対して斜め50度の角度で、カード基材1の上方から「所定の入射光」を、入射させる。このことにより、「所定の入射光」は、カード基材1の表面で屈折し、カード基材1内を進んで、上記した「断面の内、一方の断面SEC1」に斜め(+45度。同上。)の角度で入射することとなる。
そして、体積ホログラム形成層3の「断面の内、他方の断面SEC2」から、「第一の体積ホログラム」による、「第一の体積ホログラム再生像」(物体1、すなわち、「真」及び「正」の文字からなる「透過原稿」の体積ホログラム再生像。)を含んだ「出射光」が、その面に対して斜め(+45度。同上。)の角度で出射し、やはりカード基材1内を通過して、カード基材1に埋め込まれているスクラッチ隠蔽層4の近傍にあたる、カード基材1の表面領域から(入射した表面領域とは対向する位置にある表面領域。)から、その表面の垂線に対して斜め50度の角度で、出射する「出射光」となって出現し、この「出射光」によって、「第一の体積ホログラム再生像」(物体1:「真」及び「正」の文字からなる「透過原稿」の体積ホログラム再生像。)が再生され、視認することが出来た。(ホログラム再生像が再生されている状況は図示せず。)
さらに、このスクラッチカードH2、もしくは7のカード基材1に埋め込まれている「銀色の印刷層」部分をコインで引っ掻く(「体積ホログラム形成層3、及びスクラッチ隠蔽層4」が積層されている領域の、そのスクラッチ隠蔽層4の一部をスクラッチにより除去する。)と、スクラッチ隠蔽層4が部分的に削れ、その削れた部分から、「秘密情報」2の一部を視認でき、さらには、その「銀色の印刷層」の左下部分をスクラッチオフすると、「屈折率変化領域5」の「所定パターン」表示である「1111」の文字情報(認証番号)をも併せて視認できるようになり、このようなスクラッチカードH2、もしくは7を偽造することは、困難と思われた。(図示せず。)
(実施例2)
実施例1において、カード基材1の4つの断面を、その表面が滑らかな表面仕上げを施してあるステンレス製の断裁刃(刃先形状を『片刃形状』としたもの。)を用いて、丁寧にカッティングし、その4つの「断面」を滑らかな面(滑らかな平面)としたこと、及び、「物体1の物体光」を、「体積ホログラム形成層3」の「断面の内、他方の断面SEC2」に垂直に入射させ、この「物体1の物体光」と、同一方向に進み、且つ、その「断面の内、他方の断面SEC2」、及び、「その断面に対向している『断面の内、一方の断面SEC1』」に垂直に進む「平行光」を「参照光1」として、その「物体1の物体光」と、その「参照光1」を用いて、「第一の体積ホログラム(断面体積ホログラム)」を記録したこと(記録する状況は図示せず。)以外は、実施例1と同様にして、本発明の実施例2のスクラッチカードH2、もしくは7を得た。
この実施例2のスクラッチカードH2、もしくは7を、実施例1と同様に評価したところ、この実施例2のスクラッチカードH2、もしくは7上のカード基材1の表面に埋め込まれてる「銀色の印刷層」部分のスクラッチ隠蔽層4の下にある、体積ホログラム形成層3の「断面の内、一方の断面SEC1、及び、断面の内、他方の断面SEC2」(体積ホログラム形成層3を成す、『縦30mm×横50mm×厚さ100μmの直方体』の、『縦30mmの一辺と、厚さ100μmの一辺により形作られる長方形』で表される、対向する2つの『断面』となっている。)の内、「『断面の内、一方の断面SEC1』に平行な面を成し、且つ、最も近傍にあるカード基材1の『断面』」に対して、垂直に、「記録時の『参照光1』と同様の平行光で、且つ、その『進行方向』が逆の『所定の入射光』」を入射させて、その「所定の入射光」が、カード基材1内を通過し、「『断面の内、一方の断面SEC1』に垂直に入射したこと、及び、体積ホログラム形成層3の「断面の内、他方の断面SEC2」から、「第一の体積ホログラム」による、「第一の体積ホログラム再生像」(物体1、すなわち、「真」及び「正」の文字からなる「透過原稿」の体積ホログラム再生像。)を含んだ「出射光」が、その面に対して垂直に出射し、やはりカード基材1内を通過して、その「『断面の内、他方の断面SEC2』と平行な面を成し、且つ、最も近傍にあるカード基材1の『異なる断面』」から、その「カード基材1の『異なる断面』」に垂直に、「出射光」が出現して、その「出射光」によって、「第一の体積ホログラム再生像」(物体1、すなわち、「真」及び「正」の文字からなる「透過原稿」の体積ホログラム再生像。)が再生され、視認することが出来き(ホログラム再生像が再生されている状況は図示せず。)、その真正性判定が非常に容易となり、且つ、その真正性判定の信頼性が向上したと感じたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。
(実施例3)
スクラッチカードH2、もしくは7のカード基材1として、実施例1と同様に、総厚さ760μmの3層積層塩化ビニルシート(クレジットカードサイズ)を用いる。(図1〜図3参照。カード基材1の積層状況は図示せず。)
このカード基材1の所定の領域(カード基材1のほぼ中央に位置する領域。)に、インクジェットプリンターにて、「秘密情報」2として、「12345678」の番号(各数字文字の高さ4mm、幅2mm、文字間隔1mm。)を印字した。(図1〜図3、及び、図4参照。)
ここで、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフイルム上に、膜厚100μmのフォトポリマー(「体積ホログラム形成層3」となる層。)が積層され、その上に保護フィルムとして、厚さ50μmポリエチレンテレフタレートフイルムが積層されたフォトポリマー積層フィルム(デュポン社製「HRF705」を貼り合わせて形成したもの。)を用い、反射型ホログラム(「第二の体積ホログラム」)として、クリプトンレーザー(発光波長647nm)を光源とし、所定の反射型ホログラム撮影光学系(図示せず。)を用いて、30mm×50mmサイズの「絵画モチーフ」(「物体2」)を反射型体積ホログラムとして、その結像位置を、記録面から2mmの位置として撮影した。
この時、露光強度2.0mWにて、記録角度(「参照光2」の角度。「物体2」である「絵画モチーフ」は、その積層フィルムに対しその参照光2と反対の位置にある。参照光2が積層フィルムを透過し、この「絵画モチーフ」上で反射して発散される光が、再び、その積層フィルムに戻り、『物体2の物体光』となる。)を体積ホログラム形成層3に対して、(その積層フィルム面の垂線方向に対し)20度とし、50mJ/cm2の露光量となるように照射した。
この積層フィルムを、この「絵画モチーフ」に沿って、その表面が滑らかな表面仕上げを施してあるステンレス製の断裁刃を用いて、丁寧にカッティングし、その4つの「断面」を滑らかな面とした。
このとき、体積ホログラム形成層3の断面の形状として、縦100μm×横30mmの長方形を成す2つの「断面」を(残りの2つの断面の形状は、縦100μm×横50mmとなっている。)区別するため、スクラッチカードH2、もしくは7に設けた状態を想定し、その状態で、スクラッチカードH2、もしくは7を上方から観察して、右側に位置する「断面の内、一方の断面SEC1」(「第二の体積ホログラム」である「絵柄モチーフ」を正面から見て、その右側を意味する。)、及び、スクラッチカードH2、もしくは7を上方から観察して左側に位置する「断面の内、他方の断面SEC2」(「第二の体積ホログラム」である「絵柄モチーフ」を正面から見て、その左側を意味する。)と、それぞれ位置付けた。(図1〜図3参照。)
次いで、縦10mm×横10mmの「真」と「正」の文字(文字太さ1.0mm。)を、5mmの間を開けて配置した「透過原稿」(この『透過原稿』の背後から、平行光をあてて透過させることにより、『縦10mm×横25mm』の広がりを持つ『物体1』とする。)を透過型体積ホログラムとして、以下の手順により、体積ホログラム形成層3に、「第一の体積ホログラム(断面体積ホログラム)」を上記の反射型体積ホログラム記録に重ねて記録した。(『第二の体積ホログラム』と『第一の体積ホログラム(断面体積ホログラム)』を多重記録するという意味。記録する状況は図示せず。)
すなわち、「縦10mm×横25mm」のサイズの広がりを持つ「物体1の物体光」を、「『底面』形状が、縦15mm×横30mmであって、焦点距離500mmのシリンドリカルレンズ」を通して、その「物体2の物体光」の広がりを、縦0.1mm×横30mmのサイズまで圧縮(縦方向の圧縮となる。)し、縦100μm×横30mmの長方形の形状をした「体積ホログラム形成層3」の「断面の内、他方の断面SEC2」へほぼ垂直に入射させ、この「物体2の物体光」と、同一方向に進み、且つ、その「断面の内、他方の断面SEC2」、及び、「その断面に対向している『断面の内、一方の断面SEC1』」のいずれにも垂直に進む「平行光」を「参照光1」として、その「物体1の物体光」と、その「参照光1」を、その「体積ホログラム形成層3」の中で干渉させ、「第一の体積ホログラム(断面体積ホログラム)」を記録した。(記録する状況は図示せず。)
その後、多重記録した二つの「体積ホログラム」に対して、高圧水銀灯を用いて、500mJ/cm2の紫外線を照射し、更に120℃で120分間加熱処理し、上記保護フィルムを剥離して、「『絵画モチーフ』及び『透過原稿』が多重記録された体積ホログラム形成層3が積層されている、厚さが200μmで、サイズが30mm×50mmのシート」を作製した。このときの回折効率は、第二の体積ホログラム、及び、第一の体積ホログラムにつき、それぞれ、30%、及び、20%とした。
次に、この厚さ200μmのシートの体積ホログラム形成層3の露出面と、カード基材1の「秘密情報」2を設けた表面が接するように、且つ、その「秘密情報」2形成部を覆うように、さらには、30mm×50mmサイズの「絵画モチーフ」がこのカード基材1のほぼ中央に位置するように、このシートとカード基材1をラミネートし、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフイルムを剥離して、カード基材1上に、厚さ100μmで、サイズが30mm×50mmの体積ホログラム形成層3を転写形成した。(図1及び、図3参照。)
その体積ホログラム形成層3の上に、下記組成のスクラッチ隠蔽層4用インキ組成物を、ステンレススクリーン印刷方式にて形成し、乾燥後の厚さとして、スクラッチ隠蔽層4を15μmの厚さで形成し、実施例3のスクラッチカードH2を作製するための中間生成物H1を得た。(図1参照。)
<スクラッチ隠蔽層4用インキ組成物>
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体 20部
アクリル樹脂 5部
顔料ノンリーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 40部
顔料リーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 10部
イソシアネート系硬化剤 1部
トルエン 10部
酢酸エチル 5部
エチルセルソルブ 9部
その「実施例3のスクラッチカードH2を作製するための中間生成物H1」の「積層体」を、「表面を鏡面仕上げしたステンレス板」に挟みこみ、120℃、106Pa、及び、60分の、加熱、及び、加圧をし、次いで、冷却処理を施して、スクラッチ隠蔽層4の最表面とカード基材1の表面を「面一」とし、本発明の実施例3のスクラッチカードH2、もしくは7を得た。(図2及び図3参照。)
この実施例3のスクラッチカードH2、もしくは7を、通常の蛍光灯下で観察したところ、スクラッチカードH2、もしくは7上にて、「カードの一部に銀色の印刷層」を観察できるのみであり、その下に形成されている、「秘密情報」2の存在、さらには、体積ホログラム形成層3の存在を窺い知ることはできなかった。(図2及び図3参照。『体積ホログラム形成層3』の『断面の内、一方の断面SEC1』、及び、『断面の内、他方の断面SEC2』は、注意深く観察すると視認できたが、『それらの断面』から、『何らかの体積ホログラム』の存在を認識することは出来なかった。)
次いで、この実施例3のスクラッチカードH2、もしくは7上の、カード基材1の表面に埋め込まれている「銀色の印刷層」部分の「断面の内、一方の断面SEC1、及び、断面の内、他方の断面SEC2」(縦30mm×横50mmの長方形の縦30mmの一辺と、厚さ100μmの一辺により形作られる長方形で表される断面となっている。)の内、カード基材1の対応する端面(所定の断面)を通して「断面の内、一方の断面SEC1」に垂直に、記録時の「参照光1」と同様の平行光であって、その「進行方向が逆」の「所定の入射光」を入射させると、「断面の内、他方の断面SEC2」から、そして、カード基材1の対応する端面(所定の断面とは異なる断面)から、「第一の体積ホログラム」による、「第一の体積ホログラム再生像」(物体1、すなわち、「真」及び「正」の文字からなる「透過原稿」の体積ホログラム再生像。)が再生され、視認することが出来た。(ホログラム再生像が再生されている状況は図示せず。)
次いで、この実施例3のスクラッチカードH2、もしくは7上の「銀色の印刷層」部分をコインで引っ掻く(「体積ホログラム形成層3、及びスクラッチ隠蔽層4」が積層されている領域の、そのスクラッチ隠蔽層4の一部をスクラッチにより除去する。)と、スクラッチ隠蔽層4が部分的に削れ、その削れた部分から、「秘密情報」2の一部を視認でき、さらには、体積ホログラム形成層3による「第二の体積ホログラム再生像」(物体2、すなわち、『絵画モチーフ』の体積ホログラム再生像。)の一部を同時に観察でき、このようなスクラッチカードH2、もしくは7を偽造することは、さらに困難と思われた。(図示せず。)
(実施例4)
実施例3において、適宜な剥離性フィルム(厚さ38μの表面離形処理ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に、一旦、スクラッチ隠蔽層4を形成し、その露出面と、その剥離性フィルムを、厚さ3mmのステンレス板2枚(その表面に樹脂コートを施して、平均表面粗さRaで、0.1μmとした「光学的な鏡面」に仕上げたもの。)の間に挟み込み、その両側から、200℃、109Paでの加圧をする平板プレス処理を施して、スクラッチ隠蔽層4の露出面を「光学的な鏡面」とし、この露出面を、「体積ホログラム形成層3が積層されている厚さ200μmのシート」の体積ホログラム形成層3面に接するようにラミネートし、その「厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフイルム」を剥離して、体積ホログラム形成層3をスクラッチ隠蔽層4上に転写形成した。
この時、スクラッチ隠蔽層4と体積ホログラム形成層3との界面が、「光学的な鏡面」となっている。
そして、この「『適宜な剥離性フィルム』上に、『スクラッチ隠蔽層4』、及び、『体積ホログラム形成層3』が、この順序で積層されているシート」を、実施例3と同様に、30mm×50mmのサイズにカットし、その体積ホログラム形成層3が、カード基材1の「秘密情報」2形成部を覆う位置にあたるように調整した後、且つ、その「秘密情報」2形成部を覆うように、さらには、30mm×50mmサイズの「絵画モチーフ」がこのカード基材1のほぼ中央に位置するように、このシートとカード基材1をラミネートし、それらをさらに積層した「積層物」とし、この「積層物」のスクラッチ隠蔽層4と接している厚さ38μmの適宜な剥離性フィルムを剥離して、スクラッチ隠蔽層4を露出させ、カード基材1上に、厚さ115μm(厚さ15μmのスクラッチ隠蔽層4と、厚さ100μmの体積ホログラム形成層3の積層となる。)で、サイズが30mm×50mmの「スクラッチ隠蔽層4と体積ホログラム形成層3の積層体」を転写形成し、それ以外については、実施例3と同様にして、本発明の実施例4のスクラッチカードH2、もしくは7を得た。(図2、及び、図3参照。図2において、スクラッチ隠蔽層4と体積ホログラム形成層3の界面が、「光学的な鏡面」となっている状態は図示していない。)
この実施例4のスクラッチカードH2、もしくは7を、実施例3と同様に評価したところ、体積ホログラム形成層3による第二の体積ホログラム再生像「絵柄モチーフ」がより鮮明に観察でき(図示せず。)、このようなスクラッチカードH2、もしくは7を偽造することは、より困難と思われたこと以外は実施例3と同様の良好な結果を得た。
(実施例5)
実施例1のスクラッチ隠蔽層4の体積ホログラム形成層3と接している面とは反対の面(スクラッチ隠蔽層4の露出している面)上に、昇華転写プリンターにて幾何学模様からなる黄色の地紋印刷6を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の実施例5のスクラッチカードH2、もしくは7を得た。(図2、図3、及び、図5参照。図2、及び、図3において、地紋印刷6は図示していない。図3において、「秘密情報」2を覆う層は、「3及び4」でなく、「3、4及び5」となる。)このとき、昇華転写プリンターの印字部分、すなわち、地紋印刷6の部分はスクラッチ隠蔽層4に浸透しており、スクラッチ隠蔽層4の最表面と、地紋印刷6の表面は同一面を形成している。
この実施例5のスクラッチカードH2、もしくは7を、実施例1と同様に評価したところ、地紋印刷6が独特の風合いを呈して金色に観察されたこと、及び、コインでスクラッチしたところ、地紋印刷6とスクラッチ隠蔽層4が同時に削れ、このスクラッチカードH2、もしくは7の偽造が、より困難と思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例6)
実施例3において、黒色層に下記組成の黒色層用インキ組成物を用いて、「体積ホログラム形成層3が積層されている厚さ200μmのシート」の体積ホログラム形成層3上に、スクリーン印刷方式を用いて、乾燥後の厚さ10μmでその全面に形成して(但し、カード基材1に積層する際に、「秘密情報」2形成部の位置に当たる予定の領域は、除いて形成した。)、「体積ホログラム形成層3及び黒色層が積層されている厚さ210μmのシート」としたこと、及び、この「シート」の黒色層面を、カード基材1の「秘密情報」2形成部を含む面に接するようにして、積層したこと以外は、実施例3と同様にして、本発明の実施例6のスクラッチカードH2、もしくは7を得た。(図2及び図3参照。いずれも、黒色層は図示していない。)
<黒色層用インキ組成物>
ウレタン樹脂 25部
カーボンブラック 20部
トルエン 15部
イソプロピルアルコール 15部
ブチルセルソルブ 25部
この実施例6のスクラッチカードH2、もしくは7を、実施例3と同様に評価したところ、体積ホログラム形成層3による第二の体積ホログラム再生像「絵柄モチーフ」が非常に鮮明に観察でき、このスクラッチカードH2、もしくは7を偽造することは、より困難と思われたこと以外は実施例3と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例7)
実施例1において、下記組成のスクラッチ隠蔽層4用インキ組成物を用いて、同様の方式、同様の厚さで、スクラッチ隠蔽層4を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の実施例7のスクラッチカードH2、もしくは7を得た。(図2及び図3参照。)
<スクラッチ隠蔽層4用インキ組成物>
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体 20部
アクリル樹脂 5部
顔料アルミペースト アルミニウム微粉末(平均粒径8μm) 30部
微粒子酸化ジルコニウム(平均粒径:0.01μm) 20部
シリコーンオイル 5部
トルエン 10部
酢酸エチル 5部
エチルセルソルブ 5部
この実施例7のスクラッチカードH2、もしくは7を実施例1と同様に評価し、さらに、そのスクラッチ隠蔽層4を、その「層全体」を剥がす試みとして、カード基材1を90度近く湾曲させたところ、実施例1と同様の良好な結果に加え、スクラッチ隠蔽層4のスクラッチオフしていない部分に「剥離痕」状のシワが発生し、そのシワがカード基材1を再び平らな状態に戻しても消えず(逆に、シワが発生した部分に、一部、裂け目まで発生。)、固定化してしまったことから、このスクラッチカードH2、もしくは7の偽造が非常に困難であると思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例8)
実施例2において、あらかじめ「屈折率変化領域5」を記録せず、体積ホログラム形成層3及びスクラッチ隠蔽層4をカード基材1に埋め込んだ後、カード基材1上の体積ホログラム形成層3形成領域の横の辺から、下側から、レンズを含む結像光学系を用いて、「縦5mm×横23mmの2次元平面領域」の「光の像」を入射させ、カード基材1を構成する250μmの透明軟質塩化ビニルシートを通過して、その透明軟質塩化ビニルシートと260μmの乳白硬質塩化ビニルシート(『不透明な塩化ビニルシート』である。)との界面で反射させ、カード基材1上に設けられた「秘密情報」2形成部をその光路に含んで、体積ホログラム形成層3の中央(厚さ方向の中央。)で結像させて、「秘密情報」2を一部含んだ「☆」(フォントサイズ10ポイントの『☆』の『マーク』)の「屈折率変化領域5」を記録した。
そして、スクラッチ隠蔽層4をスクラッチオフした際には、「屈折率変化領域5」の「所定パターン」表示である、「『☆』マークと『秘密情報』2を含んだ『縦5mm×横23mmの2次元平面領域』の一部」も併せて視認できたこと、以外は、実施例2と同様の良好な結果を得た。
(比較例)
実施例1において、体積ホログラム形成層3を設けず、スクラッチカードを形成したこと以外は、実施例1と同様にして比較例のスクラッチカードを得た。
このスクラッチカードを実施例1と同様に評価したところ、スクラッチオフにより、「秘密情報」2を視認することはできたが、ホログラム(再生像)が発現せず、このスクラッチカードの偽造や変造が容易と推定された。
H2、7 スクラッチカード
H1 スクラッチカードH2を作製するための中間生成物
1 カード基材
2 「秘密情報」
3 体積ホログラム形成層
SEC1 断面の内、一方の断面
SEC2 断面の内、他方の断面
4 スクラッチ隠蔽層
5 屈折率変化領域
6 地紋印刷

Claims (7)

  1. カード基材の一方の表面に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチカードであって、
    前記表面の少なくとも一部に、前記秘密情報を覆うように体積ホログラム形成層及び、スクラッチ隠蔽層がこの順序で設けられ、
    前記スクラッチ隠蔽層の最表面が、前記カード基材の前記表面と面一、または、前記カード基材の前記表面から凹んだ位置にあり、
    且つ、前記体積ホログラム形成層の断面の内、一方の断面に入射した所定の入射光により、前記所定の入射光に基づく第一の体積ホログラム再生像が再生されるとともに、前記体積ホログラム形成層の断面の内、他方の断面から出射された出射光から、前記第一の体積ホログラム再生像を視認することができ、
    さらに、前記体積ホログラム形成層に、所定パターン表示領域として屈折率変化領域が記録されており、前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報、及び、前記屈折率変化領域による前記所定パターン表示領域が視認可能となることを特徴とするスクラッチカード。
  2. 請求項1に記載のスクラッチカードにおいて、
    前記所定の入射光は、前記カード基材の断面に入射したものであり、且つ、前記出射光は、前記カード基材の前記断面と同一の断面、または、異なる断面から出射するものであることを特徴とするスクラッチカード。
  3. 請求項1または2に記載のスクラッチカードにおいて、
    前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報、前記屈折率変化領域による前記所定パターン表示領域、及び、前記体積ホログラム形成層により再生される第二の体積ホログラム再生像が視認可能となることを特徴とするスクラッチカード。
  4. 請求項1から3の何れかの請求項に記載のスクラッチカードにおいて、
    前記スクラッチ隠蔽層と前記体積ホログラム形成層との界面が、「光学的な鏡面」であることを特徴とするスクラッチカード。
  5. 請求項1から4の何れかの請求項に記載のスクラッチカードにおいて、前記スクラッチ隠蔽層の前記体積ホログラム形成層が形成されている面とは反対の面に、地紋印刷が施されていることを特徴とするスクラッチカード。
  6. 請求項1から5の何れかの請求項に記載のスクラッチカードにおいて、前記スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいることを特徴とするスクラッチカード。
  7. 請求項1から6の何れかに記載のスクラッチカードにおいて、前記体積ホログラム形成層に記録された前記屈折率変化領域が、前記カード基材の前記表面の一部に、前記秘密情報を覆うように前記体積ホログラム形成層及び、前記スクラッチ隠蔽層がこの順序で設けられた後に、結像光学系を用いて設けられていることを特徴とするスクラッチカード。
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