JP2006225612A - 重合性化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】屈折率異方性等の光学的性質を変化させることなく、耐熱性や強度に優れた光学部材を形成するために用いることができる重合性化合物を提供する。
【解決手段】P−X−M−X−P(ここで、Mはコア部であり、Pは重合性基を含む末端部であり、Xは結合基である。)で表され、4官能以上であり、直鎖のみのアルキル鎖が比較的短い重合性化合物例えば下記(B)と、液晶性重合性化合物例えば下記(A)を用いる。
Figure 2006225612

【選択図】なし

Description

本発明は、例えば位相差層や偏光選択反射層等の光学部材などに利用される新規な重合性化合物に関するものである。
自己整列機能を有する重合性液晶化合物は、比較的高い屈折率異方性を有し、重合することによってその配向状態を固定化できるという特徴を有する。近年、このような重合性液晶化合物は、その屈折率異方性を利用して、レンズ、偏光選択反射層、位相差層などの光学部材の構成材料として広く応用されている。特に、重合性液晶化合物を用いた、液晶ディスプレイ向けの位相差層や偏光選択反射層は、近年の市場拡大に伴いますますその有用性が認められてきている。
重合性液晶化合物の配向状態を固定化する方法としては、液晶性モノマーまたはジアクリレートモノマーを光重合させる方法が知られている。しかしながら、この方法を用いて固定化された膜や構造体は、比較的低いガラス転移温度を示すために、高温での使用時に配向が乱れて、屈折率異方性などの性質が大きく変化する。また、この膜や構造体は強度が低いばかりでなく、損傷も受け易いという問題があった。
また、液晶ディスプレイの位相差層や偏光選択反射層に重合性液晶化合物を用いる場合は、カラーフィルタなどの液晶ディスプレイの構成部材上に、重合性液晶化合物を含む液晶性組成物を直接塗布することにより、位相差層や偏光選択反射層を形成することが可能である。液晶ディスプレイは種々の構成部材を有することから、位相差層や偏光選択反射層の形成後も多くの製造工程があり、重合性液晶化合物を用いた位相差層や偏光選択反射層は、液晶ディスプレイの使用時だけでなく、製造時においても十分な耐熱性や耐久性を有していることが必要になる。
例えば液晶ディスプレイにおいては、駆動用液晶分子を配列させるために配向膜の製膜が必須である。一般に、この配向膜にはポリイミドなどの高分子材料が用いられ、高分子材料を溶剤に溶解した塗工液を塗布し加熱して必要に応じてラビング処理することにより、配向膜が形成される。この際の加熱温度は200℃前後である。このような高温になると、位相差層や偏光選択反射層中では、重合性液晶化合物がある程度重合しているにもかかわらず、分子の熱運動に起因する「揺らぎ」が生じるため、屈折率異方性が変化し、初期に設定した位相差量が低下してしまう。
そこで、特許文献1には、高温使用時における屈折率異方性等の特性が変化せず、強度や耐スクラッチ性などの機械的特性に優れる膜や構造体を形成し得る重合性化合物が提案されている。しかしながら、この重合性化合物は比較的長い直鎖のアルキル基を有しているため、製造時や使用時に高温環境になると、上述した分子の熱運動に起因する「揺らぎ」が生じやすいという問題がある。
特開2003−321430号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、屈折率異方性等の光学的性質を変化させることなく、耐熱性や強度に優れた光学部材を形成するために用いることができる重合性化合物を提供することを主目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、下記一般式(1)で表されることを特徴とする重合性化合物を提供する。
P−X−M−X−P (1)
(式(1)中、Mはコア部であり、−A−Z−(A−Z−)−A−で表される。ZおよびZはそれぞれ独立して、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−OCH−、−CHO−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−、または単結合である。A、AおよびAはそれぞれ独立して、1,4−フェニレン(ここで、1つまたは2つ以上のCH基は、Nにより置換されていてもよい)、1,4−シクロへキシレン(ここで、1つまたは2つの隣接していないCH基は、Oおよび/またはSにより置換されていてもよい)、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−ビシクロ(2,2,2)オクチレン、ピペリジン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、または1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2,6−ジイルであり、これらすべての基は、F、Cl、OH、CN、NOあるいは、1つまたは2つ以上のH原子をFまたはClにより置換されていてもよい、炭素数1〜7のアルキル基、アルコキシ基またはアルカノイル基で一置換または多置換されていてもよい。mは、0、1または2である。また、Pは重合性基を含む末端部であり、−B(−Bで表される。Bはそれぞれ独立して
Figure 2006225612
を表す(Rは−H、または−CHであり、kは1〜3の整数である)。B
Figure 2006225612
を表す(*1はXとの結合位置を示す)。jは2〜5の整数である。さらに、Xは結合基であり、*2−O−、*2−OCO−、*2−OCH−、または*2−OCO−CH=CH−である(*2はBとの結合位置を示す)。)
本発明の重合性化合物は4官能以上であり、剛直なコア部を有し、直鎖のみのアルキル鎖が比較的短いので、この重合性化合物を重合させた重合体は耐熱性や強度に優れるという利点を有する。また、重合性化合物は、一般的な重合性液晶化合物と構造が類似しているので、重合性液晶化合物との相溶性が良好である。このため、本発明の重合性化合物を重合性液晶化合物と混合して例えば光学部材を形成することができる。したがって、この場合は光学部材の耐熱性や強度を改善することができ、製造時や使用時に高温環境下におかれても屈折率異方性等の光学的性質が変化しにくく、位相差量の低下を抑制することが可能である。
また本発明は、上記重合性化合物からなることを特徴とする液晶硬化剤を提供する。本発明の液晶硬化剤は上記重合性化合物を用いたものであるので、この液晶硬化剤を重合性液晶化合物に添加してこれらの混合物を重合させた場合、得られる重合体の耐熱性や強度を向上させることが可能である。
さらに本発明は、上記重合性化合物と、重合性液晶化合物とを含有することを特徴とする液晶性組成物を提供する。本発明においては、重合性化合物と重合性液晶化合物との相溶性が良好であり、また液晶性組成物が所定の温度範囲において液晶性を示すので、本発明の液晶性組成物を重合させた場合には、良好な屈折率異方性が得られる。また、液晶性組成物を重合させた重合体においては、耐熱性や強度等を改善することができ、製造時や使用時に高温環境下におかれても屈折率異方性等の光学的性質の変化を抑制することが可能である。
本発明は、また、上記液晶性組成物を含有することを特徴とする光学部材形成用塗工液を提供する。本発明の光学部材形成用塗工液は上記液晶性組成物を含有し、この液晶性組成物は上述した重合性化合物を含有するので、このような光学部材形成用塗工液を用いることにより、良好な屈折率異方性を示し、耐熱性や強度に優れた光学部材を得ることが可能である。
さらに本発明は、上記液晶性組成物を固定化してなることを特徴とする光学部材を提供する。本発明の光学部材は、上述した液晶性組成物を固定化したものであり、すなわち上述した重合性化合物および重合性液晶化合物を重合させたものであるので、高温使用時においても屈折率異方性等の光学的性質が変化しにくく、耐熱性および強度に優れるという利点を有する。また、例えば液晶ディスプレイに光学部材を用いる場合は、液晶ディスプレイの製造時に高温環境下におかれることがあるが、本発明の光学部材はその製造時においても光学的性質が変化しにくく、高温による位相差量の低下を抑制することができる。
本発明の重合性化合物は多官能であり、直鎖のみのアルキル鎖が比較的短く、重合性液晶化合物との相溶性が良好であるので、この重合性化合物を重合性液晶化合物と混合して重合させることにより光学部材を形成した場合には、耐熱性および強度を改善することができ、高温環境によって屈折率異方性等の光学的性質が変化するのを抑制することができるという効果を奏する。
以下、本発明の重合性化合物、ならびにこれを用いた液晶硬化剤、液晶性組成物、光学部材形成用塗工液および光学部材について詳細に説明する。
A.重合性化合物
本発明の重合性化合物は、下記一般式(1)で表されることを特徴とするものである。
P−X−M−X−P (1)
上記一般式(1)において、Mはコア部、Pは重合性基を含む末端部、Xは結合基である。以下、それぞれについて説明する。
1.コア部;M
Mは、−A−Z−(A−Z−)−A−で表される。
およびZはそれぞれ独立して、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−OCH−、−CHO−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−、または単結合である。
また、A、AおよびAはそれぞれ独立して、1,4−フェニレン(ここで、1つまたは2つ以上のCH基は、Nにより置換されていてもよい)、1,4−シクロへキシレン(ここで、1つまたは2つの隣接していないCH基は、Oおよび/またはSにより置換されていてもよい)、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−ビシクロ(2,2,2)オクチレン、ピペリジン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、または1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2,6−ジイルである。これらすべての基は、非置換であってもよく、F、Cl、OH、CN、NOあるいは、炭素数1〜7のアルキル基、アルコキシ基またはアルカノイル基で置換されていてもよい。また、置換されている場合は、一置換であってもよく、多置換であってもよい。さらに、上記の炭素数1〜7のアルキル基、アルコキシ基またはアルカノイル基は、1つまたは2つ以上のH原子がFまたはClにより置換されていてもよい。
mは、0、1または2である。
Mの好ましい例としては、下記式(III-1)〜(III-25)が挙げられる。
−Phe−Z−Phe− (III-1)
−Phe−Z−Cyc− (III-2)
−Cyc−Z−Cyc− (III-3)
−PheL−Z−Phe− (III-4)
−PheL−Z−Cyc− (III-5)
−PheL−Z−PheL− (III-6)
−Phe−Z−Phe−Z−Phe− (III-7)
−Phe−Z−Phe−Z−Cyc− (III-8)
−Phe−Z−Cyc−Z−Phe− (III-9)
−Cyc−Z−Phe−Z−Cyc− (III-10)
−Phe−Z−Cyc−Z−Cyc− (III-11)
−Cyc−Z−Cyc−Z−Cyc− (III-12)
−Phe−Z−Phe−Z−PheL− (III-13)
−Phe−Z−PheL−Z−Phe− (III-14)
−PheL−Z−Phe−Z−Phe− (III-15)
−PheL−Z−Phe−Z−PheL− (III-16)
−PheL−Z−PheL−Z−Phe− (III-17)
−PheL−Z−PheL−Z−PheL− (III-18)
−Phe−Z−PheL−Z−Cyc− (III-19)
−Phe−Z−Cyc−Z−PheL− (III-20)
−Cyc−Z−Phe−Z−PheL− (III-21)
−PheL−Z−Cyc−Z−PheL− (III-22)
−PheL−Z−PheL−Z−Cyc− (III-23)
−PheL−Z−Cyc−Z−Cyc− (III-24)
−Cyc−Z−PheL−Z−Cyc− (III-25)
ここで、上記式(III-1)〜(III-25)において、Pheは1,4−フェニレンであり、PheLはそれぞれ独立して、1〜4個の置換基Lにより置換された1,4−フェニレン基であり、Lはそれぞれ独立して、F、Cl、OH、CN、NOあるいは、炭素数1〜7のアルキル基、アルコキシ基またはアルカノイル基である。この炭素数1〜7のアルキル基、アルコキシ基およびアルカノイル基は、1つまたは2つ以上のH原子がFまたはClにより置換されていてもよい。また、Cycは1,4−シクロへキシレンである。さらに、Zはそれぞれ独立して、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−OCH−、−CHO−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−、または単結合である。
さらに、Mの好ましい例としては、上記式(III-1)〜(III-25)の鏡像が含まれる。
また、Mとしては、上記式の中でも、(III-1)、(III-2)、(III-4)、(III-6)、(III-7)、(III-8)、(III-11)、(III-13)、(III-14)、(III-15)または(III-16)がより好ましい。この際、Zは、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−C≡C−、または単結合であることが好ましい。
さらに、Mとしては、下記式(IV-1)〜(IV-13)が特に好ましい。
Figure 2006225612
ここで、上記式(IV-1)〜(IV-13)において、Lは上記式(III-1)〜(III-25)におけるLと同様であり、rは0、1または2である。
Figure 2006225612
さらに、特に好ましいMの例としては、上記式(IV-1)〜(IV-13)の鏡像が含まれる。
Mとしては、上記式の中でも、(IV-4)、(IV-7)、(IV-8)、(IV-9)、(IV-10)または(IV-13)がより好ましい。この際、Lは、好ましくはF、Cl、CN、OH、NO、CH、C、OCH、OC、COCH、COC、COOCH、COOC、CF、OCF、OCHF、OC、より好ましくはF、Cl、CN、CH、C、OCH、COCHおよびOCF、最も好ましくはF、Cl、CH、OCHおよびCOCHである。
さらに、Mとしては、下記式が最も好ましい。
Figure 2006225612
2.重合性基を含む末端部;P
Pは、−B(−Bで表される。
jは2〜5の整数である。すなわち、Bには2〜5個のBが結合しており、Bは互いに同一であっても異なっていてもよい。
は、下記式(I-1)〜(I-5)で表される。
Figure 2006225612
ここで、上記式(I-1)〜(I-5)において、Rは−H、または−CHであり、kは1〜3の整数である。なお、式(I-5)において、AlkはAlkynoyl基を示す。
また、Bは、下記式(II-1)〜(II-10)で表される。
Figure 2006225612
ここで、上記式(II-1)〜(II-10)において、*1は、Xとの結合位置を示す。
Pの好ましい例としては、下記式が挙げられる。
Figure 2006225612
3.結合基;X
Xは、*2−O−、*2−OCO−、*2−OCH−、または*2−OCO−CH=CH−である。ここで、*2は、Bとの結合位置を示す。
Xとしては、上記の中でも、*2−OCO−が好ましい。
4.重合性化合物の具体例
本発明の重合性化合物の具体例を以下に示す。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006225612
5.重合性化合物の合成方法
本発明の重合性化合物の合成方法の例としては、一般式(2):HO−B(−Bで表される化合物と、芳香族ジカルボン酸または脂環式ジカルボン酸とを反応させることにより得られる中間体を、さらに芳香族ジオールまたは脂環式ジオールと反応させること等により合成する方法が挙げられる。
なお、上記式(2)において、B、Bおよびjは、上記式(1)中のそれぞれと同義である。また、Bを示す式(II-1)〜(II-10)において、*1はOHとの結合位置を示す。
本発明の重合性化合物の合成方法の具体例を以下に示す。
Figure 2006225612
上記の具体例においては、まず、上記式(2)で表される化合物1とテレフタル酸とを反応させて中間体2を合成し、次いで、この中間体2とヒドロキノンとを反応させることにより本発明の重合性化合物3が合成される。
このように本発明においては、縮合反応により重合性化合物を合成することができる。
上記式(2)で表される化合物は、市販もしくは既知の方法で合成できるものである。例えば、市販品としては共栄社化学(株)製のライトエステルG−101P(商品名)や、新中村化学工業(株)製のNKエステル701(商品名)などを用いることができる。
また、本発明の重合性化合物は、Molecular Crystal and Liquid Crystal Vol.261, p.465-480 (1995) “New Chiral Monomers for Polymer Stabilized Cholesteric Textures”やMakromol. Chem. 192, p.59-74 (1991) “In-situ photopolymerization of oriented liquid-crystalline acrylates, 5”等に記載の方法を参考にすることにより合成することもできる。
6.その他
本発明の重合性化合物は、液晶性を示すものであっても示さないものであってもよい。重合性化合物が液晶性を示さない場合は、液晶性を示す重合性液晶化合物と混合して用いればよいので、重合性化合物自身が液晶性を示す必要性はないからである。
また、本発明の重合性化合物は、コア部Mを中心として対称構造を有している。このような対称構造を有する重合性化合物は、非対称な構造を有する重合性化合物と比較して、分子設計が容易であり、製造しやすいという利点を有する。
さらに、上記コア部Mは、ベンゼン環やシクロヘキサン環を有することから、剛直な部分となっている。また、上記重合性化合物は、直鎖のみのアルキル鎖が比較的短いので、一般的な重合性液晶化合物と比較して、分子の熱運動に起因する「揺らぎ」が生じにくい。このため、この重合性化合物を重合性液晶化合物と混合して光学部材を形成した場合には、硬度を高めることができ、強度を向上させることが可能である。
また、本発明の重合性化合物は、コア部Mと重合性基を含む末端部Pを有し、一般的な重合性液晶化合物と構造が比較的類似しているので、重合性液晶化合物との相溶性が良好であるという利点を有する。
本発明の重合性化合物は、両末端にそれぞれ2〜5個の重合性基を有するものである。このように本発明の重合性化合物は重合性基を多数有することから、重合させる際に架橋結合する部分を増加させることができる。このため、本発明の重合性化合物を例えば重合性液晶化合物等と混ぜることにより、重合性液晶化合物のみを用いた場合と比較して、得られる重合体の軟化点を高めることが可能となる。したがって、重合性化合物および重合性液晶化合物を用いて形成した光学部材は、製造時や使用時に高温環境下におかれても屈折率異方性等の光学的性質が変化しにくいという利点を有する。このように、本発明の重合性化合物は、位相差層や偏光選択反射層などの光学部材の構成材料として好適に用いることができる。
さらに、本発明の重合性化合物は、クロロホルム、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン等の通常の溶媒に良好に溶解し、またその際の粘度もあまり高くないので、スピンコート法等の一般的な塗布方法により容易に基板上に塗布することができる。さらに、本発明の重合性化合物は、重合性基を有するので、例えば紫外線を照射することにより容易に重合させることができる。このように重合性化合物を重合させた重合体は、一般的な重合性液晶化合物を重合させた重合体と比較して、硬度や強度に優れているので、光学部材の保護膜として適用することが可能である。
また、本発明の重合性化合物は、上述したように紫外線照射により重合可能であるので、光重合性を有する。したがって、本発明の重合性化合物は、重合性モノマー、特に光重合性モノマーとして用いることが可能である。これにより、本発明の重合性化合物は、その重合性(光重合性)を利用して、例えば印刷回路板製造用、マイクロリソグラフィー用、光ファイバーコーティング用、磁気記録媒体塗料用、インク用、接着剤用、歯科材用、医科材用等に応用することができる。
B.液晶硬化剤
次に、本発明の液晶硬化剤について説明する。本発明の液晶硬化剤は、上述した重合性化合物からなることを特徴とするものである。
本発明に用いられる重合性化合物は、上記「A.重合性化合物」の欄に記載したように、重合性基を多数有することから、重合させる際に架橋結合する部分を増加させることができる。このため、この重合性化合物からなる液晶硬化剤を例えば重合性液晶化合物等に添加してこれらの混合物を重合させた場合は、得られる重合体の軟化点を高めることが可能である。したがって、本発明の液晶硬化剤を用いて光学部材を形成した場合には、製造時や使用時に高温環境下におかれても重合性液晶化合物に分子の熱運動に起因する「揺らぎ」が生じるのを抑えることができ、屈折率異方性等の光学的性質の変化を抑制することができる。これにより、例えば位相差層や偏光選択反射層に本発明の液晶硬化剤を用いた場合には、位相差量の低下を抑制することが可能である。
また、本発明に用いられる重合性化合物は、剛直なコア部Mを有し、直鎖のみのアルキル鎖が比較的短いので、分子の熱運動に起因する「揺らぎ」が生じにくい。このため、この重合性化合物からなる液晶硬化剤を用いて光学部材を形成した場合には、硬度を高めることができ、強度を向上させることが可能である。
さらに、本発明に用いられる重合性化合物は、一般的な重合性液晶化合物と構造が比較的類似しているので、この重合性化合物からなる液晶硬化剤は、重合性液晶化合物との相溶性が良好であるという利点を有する。
なお、重合性化合物については、上記「A.重合性化合物」の欄に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
C.液晶性組成物
次に、本発明の液晶性組成物について説明する。本発明の液晶性組成物は、上述した重合性化合物と、重合性液晶化合物とを含有することを特徴とするものである。
本発明においては、上記「A.重合性化合物」の欄に記載したように、重合性化合物と重合性液晶化合物との相溶性が良好であり、また液晶性組成物が所定の温度範囲において液晶性を示すので、本発明の液晶性組成物を重合させた場合には、良好な屈折率異方性が得られるとともに、耐熱性や強度等を改善することができる。
以下、本発明の液晶性組成物の各構成について説明する。
1.重合性化合物
本発明に用いられる重合性化合物としては、上記の「A.重合性化合物」の欄に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、本発明に用いられる重合性化合物は、液晶性を示すものであっても示さないものであってもよい。重合性化合物と重合性液晶化合物との混合物、すなわち本発明の液晶性組成物が液晶性を示せばよいからである。
上記重合性化合物の液晶性組成物中の含有量としては、本発明の液晶性組成物が液晶性を示すような量であり、液晶性組成物を白化させることなく、また液晶性組成物の重合後の軟化点および硬度を高めることができるような量であれば、特に限定されるものではない。例えば、用いる重合性化合物や重合性液晶化合物の種類、およびカイラル剤の添加の有無などにより、適宜調整される。具体的には、重合性化合物の含有量が液晶性組成物の全固形分の3重量%〜20重量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは5重量%〜15重量%の範囲内である。
2.重合性液晶化合物
本発明に用いられる重合性液晶化合物としては、一般的に重合性液晶化合物として用いられるものであれば特に限定されるものではないが、光重合性を有することが好ましい。光重合性を有する重合性化液晶材料は、紫外線等の照射により比較的容易に重合させることができるからである。
また、重合性液晶化合物は、上記重合性化合物と構造が類似していることが好ましい。具体的には重合性液晶化合物におけるコア部が上記重合性化合物におけるコア部と類似していることが好ましい。これにより、重合性液晶化合物と重合性化合物との相溶性を向上させることができるからである。
このような重合性液晶化合物としては、例えば特開平7−258638号公報や特表平10−508882号公報に開示されているような、重合性の液晶性モノマーを挙げることができる。この重合性の液晶性モノマーとしては、具体的に下記式(V-1)〜(V-11)に示すような化合物を挙げることができる。
Figure 2006225612
上記式(V-11)中のメチレン基の数(アルキレン基の鎖長)を示すaおよびbはいずれも整数で、各々個別に2〜5であることが好ましい。上記の化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
上記重合性液晶化合物の液晶性組成物中の含有量としては、本発明の液晶性組成物が液晶性を示すような量であれば、特に限定されるものではない。例えば、用いる重合性化合物や重合性液晶化合物の種類、およびカイラル剤の添加の有無などにより、適宜調整される。具体的には、重合性液晶化合物の含有量が液晶性組成物の全固形分の3重量%〜20重量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは5重量%〜15重量%の範囲内である。
3.カイラル剤
本発明においては、液晶性組成物にカイラル剤を添加することができる。これにより、コレステリック相もしくはカイラルスメクチック相を示す液晶性組成物とすることができる。
本発明に用いられるカイラル剤としては、一般的なカイラル剤を用いることが可能である。中でも、カイラル剤が重合性を有することが好ましく、光重合性を有することがより好ましい。重合性を有するカイラル剤は、重合させることにより固定化が可能であり、また光重合性を有するものであれば、紫外線等の照射により比較的容易に重合させることができるからである。
このような重合性のカイラル剤としては、例えば特開平7−258638号公報や特表平10−508882号公報に開示されているようなカイラル剤が挙げられる。また、重合性のカイラル剤としては、具体的に下記式(V-12)〜(V-14)に示すような化合物を挙げることができる。
Figure 2006225612
上記式(V-12)〜(V-14)中のメチレン基の数(アルキレン基の鎖長)を示すd,eおよびfはいずれも整数である。dおよびeは、いずれも2〜12であり、より好ましくは4〜10であり、特に好ましくは6〜9である。さらにfは2〜5である。また、式(V-12)中のRは水素またはメチル基を示す。さらに、式(V-12)および(V-13)中のYは、下記式(i)〜(xxiv)のいずれかであって、より好ましくは式(i)、(ii)、(iii)(v)もしくは(vii)のいずれかである。式(i)、(ii)中のRは水素またはメチル基を示す。
Figure 2006225612
上記カイラル剤の含有量としては、本発明の液晶性組成物が液晶性を示し、白化することがないような量であれば、特に限定されるものではない。例えば、用いる重合性化合物や重合性液晶化合物の種類などにより、適宜調整される。具体的には、カイラル剤の含有量が液晶性組成物の全固形分の0.5重量%〜20重量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは2重量%〜15重量%の範囲内である。
4.光重合開始剤
本発明においては、液晶性組成物に光重合開始剤が添加されていてもよい。本発明における光重合開始剤としては、一般的なラジカル系の光重合開始剤を使用することができ、例えばベンジル(ビベンゾイルともいう)や、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等を挙げることができる。
上記光重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物100重量部当り、0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の範囲とする。
5.溶剤
本発明の液晶組成物は、重合性化合物および重合性液晶化合物等を溶剤に溶解もしくは分散させたものであってもよい。これにより、本発明の液晶性組成物を塗布することにより光学部材を形成する場合には、液晶性組成物の塗工適性、粘性および配向性を調整することができるからである。
本発明に用いられる溶剤としては、例えば液晶性組成物を塗布する基材を侵食しないものであれば特に限定されるものではない。具体的には、アセトン、酢酸−3−メトキシブチル、ジグライム、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、塩化メチレン、メチルエチルケトン等を用いることができる。
また、上記重合性化合物および重合性液晶化合物などの固形分濃度は、通常5重量%〜50重量%、中でも10重量%〜30重量%とすることが好ましい。
6.その他
本発明の液晶性組成物には、その用途等に応じて、増感剤、着色剤、界面活性剤等の点化剤が添加されていてもよい。
また、本発明の液晶性組成物は、例えば位相差層、偏光選択反射層、カラーフィルタ等の光学部材や、オーバーコート層などを形成するために用いることができる。
D.光学部材形成用塗工液
次に、本発明の光学部材形成用塗工液について説明する。本発明の光学部材形成用塗工液は、上記液晶性組成物を含有することを特徴とするものである。
本発明においては、液晶性組成物に重合性化合物が含まれることから、この重合性化合物を含有する光学部材形成用塗工液を用いることにより、良好な光学特性を有し、耐熱性や強度に優れた光学部材を得ることが可能である。
本発明の光学部材形成用塗工液は、例えば位相差層、偏光選択反射層、カラーフィルタなどの光学部材を形成するために用いられる。
なお、光学部材形成用塗工液のその他の点については、上記「C.液晶性組成物」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
E.光学部材
次に、本発明の光学部材について説明する。本発明の光学部材は、上記液晶性組成物を固定化してなることを特徴とするものである。
本発明の光学部材は、上述した液晶性組成物を固定化したものであり、すなわち上述した重合性化合物および重合性液晶化合物を重合させたものであるので、高温使用時においても屈折率異方性等の光学的性質が変化しにくく、耐熱性および強度に優れるという利点を有する。また、例えば液晶ディスプレイに光学部材を用いる場合は、液晶ディスプレイの製造時に高温環境下におかれることがあるが、本発明の光学部材はその製造時においても光学的性質が変化しにくく、高温による位相差量の低下を抑制することができる。
本発明の光学部材としては、例えば位相差層、偏光選択反射層、カラーフィルタ等が挙げられる。
本発明においては、上述した液晶性組成物を含有する光学部材形成用塗工液を基材上に塗布し、液晶性組成物の配向処理を行い、重合性化合物および重合性液晶化合物等を重合させることにより、光学部材を形成することができる。
光学部材形成用塗工液の塗布方法としては、基材上に均一に塗布が可能であれば特に限定されるものではなく、例えばスピンコート、ダイコート、スリットコート等が挙げられる。また、これらを組み合わせた方法であってもよい。
光学部材を形成するために用いられる基材としては、例えばガラス基板や、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースなどのプラスチック基板等が挙げられる。また基材としては、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリプロプレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトンなどのプラスチックフィルムを用いることもできる。
さらに、液晶ディスプレイ等に光学部材を適用する場合は、液晶ディスプレイの構成部材上に光学部材形成用塗工液を塗布し、液晶性組成物の配向処理を行い、重合性化合物および重合性液晶化合物等を重合させることによっても光学部材を形成することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]:重合性化合物の合成
Figure 2006225612
(2-hydroxy-1,3-dimethacryloyloxy-propaneの精製)
2-hydroxy-1,3-dimethacryloyloxy-propane(新中村化学工業(株)製 商品名:NKエステル701(Lot.1016C))200gを6Kgのシリカゲルカラム(充填剤:関東化学(株)製 シリカゲル60N(球状、中性)、展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル=8/1)を用いて精製し、化合物1 105gを得た。安定剤として、p-メトキシフェノール約300ppmを添加した。
(中間体の合成)
10L反応容器に、化合物1 102.7g(0.45mole)、テレフタル酸224.3g(1.35mole)、4-ジメチルアミノピリジン6.6g(0.054mole)、ジメチルホルムアミド(DMF)5.5Lを仕込み、20℃付近にて1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide hydrochloride(WSC・HCl)103.5g(0.54mole)を約1時間かけて添加した。懸濁状の反応液が澄明になるまで約48時間攪拌した。氷水25Lに反応液を注入し、析出した結晶をろ過し、水で洗浄した。得られた結晶を酢酸エチル4Lで懸濁攪拌し、不溶物をろ過した。再度不溶物をクロロホルム2Lで懸濁攪拌し、不溶物をろ過した。ろ液を合わせて減圧濃縮し、残さ145gを得た。残さは2kgのシリカゲルカラム(充填剤:関東化学(株)製 シリカゲル60N(球状、中性)、展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル=10/1〜5/1〜2/1)を用いて精製し、粗化合物2 115gを得た。安定剤として、ヒドロキノン約300ppmを添加した。粗化合物2 115gをトルエン1.2Lに溶解し、若干の不溶物をろ過で除いた後、5℃に冷却し、一晩放置し、再結晶をした。結晶はろ過し、冷トルエンで洗浄し、減圧乾燥し、化合物2 85gを得た。母液より同様に再結晶をし、化合物2 8gを得た。
(重合性化合物の合成)
2L反応容器に、化合物2 93g(0.25mole)、ヒドロキノン10.9g(0.099mole)、4-ジメチルアミノピリジン3.3g(0.027mole)、ジメチルホルムアミド(DMF)1Lを仕込み、20℃付近にて1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide hydrochloride(WSC・HCl)52.1g(0.27mole)を約0.5時間かけて添加した。懸濁状の反応液が澄明になるまで約96時間攪拌した。氷水5Lに反応液を注入し、酢酸エチル4Lで2回抽出し、合わせた有機相を2回水洗した。無水硫酸マグネシウムで脱水した後、減圧濃縮し、残さ146gを得た。残さは2kgのシリカゲルカラム(充填剤:関東化学(株)製 シリカゲル60N(球状、中性)、展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル=20/1〜15/1)を用いて精製し、化合物3 68.6gを得た。
得られた化合物3(純度94.3%)1gを30gのシリカゲルカラム(充填剤:関東化学(株)製 シリカゲル60N(球状、中性)、展開溶媒:トルエン/酢酸エチル=10/1)を用いて精製し、純度97.6%の化合物3 0.7gを得た。
図1に化合物3のH NMRスペクトルを示す。なお、H NMRスペクトルの帰属は図中に示した。
[実施例2]:位相差層の形成
(位相差層形成用塗工液の調製)
重合性液晶化合物としては下記化学式(A)に示す化合物を用い、重合性化合物としては下記化学式(B)に示す化合物を用い、光重合開始剤としてはイルガキュアIrg184(Chiba Speciality Chemicals社製)を用いた。
Figure 2006225612
上記の重合性液晶化合物を80重量部、光重合開始剤を5重量部、および重合性化合物を15重量部で混合した。この混合物をトルエンに溶解し、固形分濃度が25重量%となるように調整し、位相差層形成用塗工液を調製した。
(位相差層の形成)
ガラス基板(1737材、コーニング社製)上に、AL1254(JSR社製)をフレキソ印刷によりパターン状に塗布して、加熱し、ラビング処理を施すことにより、厚み700Åの配向膜を形成した。
この配向膜上に、上記位相差層形成用塗工液をスピンコート法を用いて厚みが2μmとなるように塗布した。続いて、ホットプレート上で100℃、5分間加熱し、位相差層形成用塗工液中の溶剤を除去し、液晶相を発現させた。次いで、紫外線照射を行い(10J/cm、365nm)、塗布した位相差層形成用塗工液を硬化させた。さらに200℃のホットプレート上で10分間加熱して完全に硬化させ、位相差層を形成した。この位相差層は、ラビング方向に光学軸を有する屈折率異方性を示した。また、位相差層のレタデーションは140nmであった。
[比較例1]
実施例2において、重合性液晶化合物を95重量部および光重合開始剤を5重量部で混合し、トルエンに溶解して、固形分濃度が25重量%となるように位相差層形成用塗工液を調製した以外は、実施例2と同様にして位相差層を形成した。
[評価]
(耐熱性の評価)
実施例2および比較例1で得られた位相差層について、剛体振り子法により温度を変化させながら軟化点を測定した。具体的には、約1.5μmの膜厚を有するサンプルを作製し、(株)エイ・アンド・デイ製TEIC RPT−α100を用いて、昇温速度6.7℃/minで300℃まで加熱したときの対数減衰率の変化から軟化点を求めた。図1に軟化点の測定結果を示す。重合性化合物を添加しなかった比較例1では、軟化点が120℃付近であるのに対し、実施例2では軟化点が160℃付近であった。これにより、重合性化合物を添加することにより、耐熱性が向上することが分かった。
(強度の評価)
実施例2および比較例1で得られた位相差層について、ユニバーサル硬度を測定した。具体的には、約1.5μmの膜厚を有するサンプルを作製し、ビッカース圧子を装着した(株)フィッシャー・インスツルメンツ製フィッシャースコープH−100を用いて、室温で厚み方向に37.5μN/秒の割合で1.5mNまで荷重をかけ、5秒間保持した時の押し込み量からユニバーサル硬度を算出した。表1にユニバーサル硬度の測定結果を示す。
Figure 2006225612
重合性化合物を添加しなかった比較例1に比較して、実施例2ではユニバーサル硬度が高くなった。これにより、重合性化合物を添加することにより、強度が向上することが分かった。
実施例におけるH NMRスペクトルを示すグラフである。 実施例における軟化点を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表されることを特徴とする重合性化合物。
    P−X−M−X−P (1)
    (式(1)中、Mはコア部であり、−A−Z−(A−Z−)−A−で表される。ZおよびZはそれぞれ独立して、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−OCH−、−CHO−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−、または単結合である。A、AおよびAはそれぞれ独立して、1,4−フェニレン(ここで、1つまたは2つ以上のCH基は、Nにより置換されていてもよい)、1,4−シクロへキシレン(ここで、1つまたは2つの隣接していないCH基は、Oおよび/またはSにより置換されていてもよい)、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−ビシクロ(2,2,2)オクチレン、ピペリジン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、または1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2,6−ジイルであり、これらすべての基は、F、Cl、OH、CN、NOあるいは、1つまたは2つ以上のH原子をFまたはClにより置換されていてもよい、炭素数1〜7のアルキル基、アルコキシ基またはアルカノイル基で一置換または多置換されていてもよい。mは、0、1または2である。また、Pは重合性基を含む末端部であり、
    −B(−Bで表される。Bはそれぞれ独立して
    Figure 2006225612
    を表す(Rは−H、または−CHであり、kは1〜3の整数である)。B
    Figure 2006225612
    を表す(*1はXとの結合位置を示す)。jは2〜5の整数である。さらに、Xは結合基であり、*2−O−、*2−OCO−、*2−OCH−、または*2−OCO−CH=CH−である(*2はBとの結合位置を示す)。)
  2. 請求項1に記載の重合性化合物からなることを特徴とする液晶硬化剤。
  3. 請求項1に記載の重合性化合物と、重合性液晶化合物とを含有することを特徴とする液晶性組成物。
  4. 請求項3に記載の液晶性組成物を含有することを特徴とする光学部材形成用塗工液。
  5. 請求項3に記載の液晶性組成物を固定化してなることを特徴とする光学部材。
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