JP2006225526A - フェノール樹脂成形材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のフェノール樹脂成形材料と比較して、機械的強度及び成形性を実用的なレベルに維持しつつ、長期耐熱性に優れたフェノール樹脂成形材料を提供する。
【解決手段】フェノール樹脂と、メラミン誘導体とを含有することを特徴とし、好ましくは、前記フェノール樹脂の一部としてフェノールアラルキル樹脂及び/又は多環芳香族型フェノール樹脂を含有し、更に前記メラミン誘導体はポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩を含み、更に前記メラミン誘導体の含有量は、前記フェノール樹脂100重量部に対し、1〜50重量部であるフェノール樹脂成形材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フェノール樹脂成形材料に関するものである。
フェノール樹脂成形材料は機械的強度、耐熱性、寸法安定性、成形性等に優れ、自動車、電気、電子等の基幹産業分野で長期に渡り使用されてきた実績がある。特に最近では、金属部品をガラス繊維で強化した高強度のフェノール樹脂成形品に置換することで、大幅なコストダウンが可能となることから、積極的に金属部品からの代替検討が行われている。しかしながら近年、フェノール樹脂成形材料に対する要求レベルは益々高度化しており、特に高温雰囲気下で使用される場合、従来のフェノール樹脂の耐熱性、特に長期耐熱性において不充分であることがある。
フェノール樹脂成形材料の長期耐熱性を向上させる方法については種々検討されており、フェノール樹脂の一部に熱劣化因子であるフェノール性水酸基を少なくしたフェノールアラルキル樹脂や多環芳香族型フェノール樹脂を配合する技術(例えば、特許文献1参照)や、メラミンを配合する技術(例えば、特許文献2参照)が開示されている。しかしながら、フェノールアラルキル樹脂や多環芳香族型フェノール樹脂を配合してもフェノール性水酸基を完全に無くすことは難しいため、非常に高温な雰囲気下では長期耐熱性が不充分となる場合がある。また、メラミンを配合する場合も、メラミンの分解温度を越えた雰囲気下では長期耐熱性が不充分となる場合がある。
特開平07−138454号公報 特開2001−302878号公報
本発明は、従来のフェノール樹脂成形材料と比較して、機械的強度や成形性を実用的レベルに維持しつつ、長期耐熱性に優れたフェノール樹脂成形材料を提供することである。
このような目的は、下記の本発明(1)〜(6)によって達成される。
(1)フェノール樹脂と、メラミン誘導体とを含有することを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
(2)更に、前記フェノール樹脂の一部としてフェノールアラルキル樹脂及び/又は多環芳香族型フェノール樹脂を含有する(1)に記載のフェノール樹脂成形材料。
(3)前記メラミン誘導体は、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩を含むものである(1)または(2)に記載のフェノール樹脂成形材料。
(4)前記メラミン誘導体の含有量は、前記フェノール樹脂100重量部に対し、1〜50重量部である(1)ないし(3)のいずれかに記載のフェノール樹脂成形材料。
(5)更に、エラストマを含有するものである(1)ないし(4)のいずれかに記載のフェノール樹脂成形材料。
(6)前記エラストマの含有量は、前記フェノール樹脂成形材料全体に対して、0.5〜6重量%である(5)に記載のフェノール樹脂成形材料。
本発明は、フェノール樹脂と、メラミン誘導体とを含有することを特徴とするものであり、機械的強度及び成形性を実用的なレベルに維持しつつ、長期耐熱性(機械的強度の保持)に優れた成形品が得られるフェノール樹脂成形材料を提供するものである。
以下、本発明のフェノール樹脂成形材料(以下、「成形材料」ということがある)について説明する。
本発明の成形材料は、フェノール樹脂と、メラミン誘導体とを含有することを特徴とする。
本発明において、フェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂またはレゾール型フェノール樹脂を単独、あるいは両者を併用することができる。
ノボラック型フェノール樹脂を使用する場合、通常、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを使用する。ヘキサメチレンテトラミンを用いる場合、その含有量は特に限定されないが、ノボラック型フェノール樹脂100重量部に対して、10〜30重量部を含有することが好ましく、更に15〜20重量部含有することが好ましい。ヘキサメチレンテトラミンの含有量が上記上限値を超えると、成形品の機械的強度が低下する場合があり、上記下限値未満では、成形収縮量を十分低減することができず、また、成形品の機械的強度が低下する場合がある。
本発明の成形材料には、上記フェノール樹脂の一部として、更にフェノールアラルキル樹脂及び/又は多環芳香族型フェノール樹脂を含有させることができる。これにより、成形品の長期耐熱性を向上させることができる。その理由は、フェノールアラルキル樹脂及び多環芳香族型フェノール樹脂は、樹脂骨格に結合した熱劣化因子であるフェノール性水酸基が少ないためと考えられる。
上記フェノールアラルキル樹脂は、フェノール、クレゾールなどのフェノール類と、p−キシリレングリコールなどのキシリレン誘導体とを反応させて得られる樹脂である。
また、多環芳香族型フェノール樹脂としては例えば、ナフタレン、アントラセンなどの多環芳香族炭化水素化合物で変性したフェノール樹脂などが挙げられる。
本発明の成形材料において、フェノールアラルキル樹脂及び/又は多環芳香族型フェノール樹脂の含有量は特に限定されないが、フェノール樹脂(フェノールアラルキル樹脂及び/又は多環芳香族フェノール樹脂を併用する場合はそれも含めて)100重量部に対し、10〜50重量部が好ましく、20〜40重量部がさらに好ましく、25〜35重量部が特に好ましい。フェノールアラルキル樹脂及び/又は多環芳香族型フェノール樹脂の含有量が上記下限値未満では、長期耐熱性向上の効果が小さくなる場合があり、上記上限値を上回ると、成形性が低下する場合があり、熱間での機械的強度等の特性が低下することがある。
フェノール樹脂(ノボラック型フェノール樹脂を使用した場合は、ヘキサメチレンテトラミンも含む)の合計含有量は、特に限定されないが、成形材料全体に対して20〜50重量%が好ましく、更に25〜45重量%が好ましい。
フェノール樹脂の含有量が上記下限値未満では、成形材料製造時の生産性や成形品の機械的強度が低下する場合があり、上記上限値を超えると、成形品の耐熱性、寸法安定性などの向上効果を低下させる場合がある。
本発明の成形材料は、メラミン誘導体を含有することを特徴とする。
ここで用いられるメラミン誘導体としては、特に限定されないが、例えば、メラム、メレム、メロンなど、メラミン以外のアミノ基を有する窒素含有環状化合物、メラム、メレム、メロン、メラミンなどのアミノ基を有する窒素含有環状化合物と、酸素酸、有機リン酸、ヒドロキシル基を有する窒素含有化合物との塩のほか、ポリリン酸アミド、環状尿素化合物、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩、ポリメタリン酸メラミン、硫酸メラミン、ピロ硫酸メラム、有機スルホン酸メラム、有機ホスホン酸メラミン、及び、有機ホスフィン酸メラミンなどが挙げられる。
上記メラミン誘導体をフェノール樹脂とともに使用すると、フェノール樹脂の長期耐熱性が向上する。その理由は明確ではないが、窒素含有化合物中に含まれるアミノ基の窒素原子がフェノール性水酸基と水素結合することにより、熱劣化因子であるフェノール性水酸基を保護することができるためと考えられる。
上記メラミン誘導体の中でも、成形品の使用環境温度よりも分解温度開始が高いものを選択することが好ましい。メラミン誘導体の分解開始温度が使用環境温度よりも低い場合、メラミン誘導体が分解する場合があり、長期耐熱性向上の硬化が低下する場合がある。例えば、270℃での長期耐熱性を向上させたい場合、分解開始温度が270℃より高いポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩を用いることが好ましい。ポリリン酸メラミンを複塩化することで、単にポリリン酸メラミンを用いるよりも、耐熱性を向上させることができる。この理由は明確ではないが、複塩化することでポリリン酸メラミンよりも分解温度が高くなり、ポリリン酸が高温域においてフェノール性水酸基に保護皮膜を形成することにより耐熱性が向上するものと推測される。
上記メラミン誘導体の含有量は、特に限定されないが、フェノール樹脂100重量部に対し、1〜50重量部が好ましく、5〜25重量部が更に好ましい。メラミン誘導体の含有量が上記下限値未満では、長期耐熱性向上効果が小さくなる場合があり、上記上限値を超えると、成形材料製造時の生産性を低下させる場合があり、機械的強度等の特性の向上効果を低下させる場合がある。
上記メラミン誘導体と、上記フェノールアラルキル樹脂及び/又は多環芳香族型フェノール樹脂を併用することにより、更に耐熱性を向上させることができる。この理由は明らかでないが、それぞれの特性向上効果である、水酸基を無効化して劣化を抑制すること及びフェノール性水酸基数を減少させることが相乗的に働いて耐熱性を向上させるものと推測される。
本発明の成形材料には、さらに、無機充填材を配合することができる。これにより、成形品に機械的特性、寸法特性等を向上させることができる。
本発明の成形材料に用いる無機充填材は、特に限定されないが、ガラス繊維と、粉末状の無機充填材とを併用することが好ましい。ガラス繊維を配合することにより、成形品に高度の機械的強度を付与することができる。また、粉末状の無機充填材を配合することにより、成形品の寸法精度を向上させることができる。
本発明の成形材料に用いるガラス繊維の形態としては、特に限定されないが、平均繊維径が10〜15μmのものが好ましい。また、平均繊維長は1〜3mmのものが好ましい。これにより、成形材料化段階での作業性を向上させ、得られた成形品の機械的強度を良好なものとすることができる。平均繊維径が上記下限値未満では機械的強度の向上効果が小さくなることがある。また、上記上限値を超えると、成形材料製造時に混練ロールを使用する場合は、ロールへの追従性が低下し、混練が充分に行えなくなることがある。平均繊維長が上記下限値未満では機械的強度の向上効果が小さくなる場合があり、上記上限値を超えるとロール混練時に繊維が折れ、機械的強度の向上効果がこれ以上望めない場合がある。
ガラス繊維の含有量は特に限定されないが、成形材料全体に対し25〜60重量%が好ましく、更に30〜50重量%が好ましい。含有量が上記下限値未満では機械的強度の向上効果が充分でないことがあり、上記上限値を越えると成形材料段階での作業性が低下することがある。
また、本発明の成形材料には粉末状の無機充填材を用いることができる。粉末状の無機充填材としては特に限定されないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、焼成クレー、未焼成クレー、ウォラストナイト、タルク、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化マグネシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
これらの中でも、焼成クレー、未焼成クレー、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、タルクから選ばれた1種以上を含むことが好ましく、特に焼成クレーを用いることが好ましい。これにより、上記効果を更に向上させることができる。
上記粉末状の無機充填材の含有量は特に限定されないが、成形材料全体に対し5〜50重量%が好ましく、更に10〜35重量%が好ましい。含有量が上記下限値未満であると成形品の耐熱性、寸法安定性などが十分でない場合があり、上記上限値を超えると成形材料製造時の作業性や、成形品の機械的強度の向上効果を低下させる場合がある。
上記ガラス繊維と粉末状の無機充填材とを併用する場合、合計含有量は特に限定されないが、成形材料全体に対し50〜80重量%であることが好ましく、更に55〜75重量%が好ましい。
上記ガラス繊維と粉末状の無機充填材との合計含有量が上記下限値未満では、機械的強度の向上効果が充分でないことがあり、寸法変化も大きくなる場合がある。また、上記上限値を越えると成形材料段階での作業性が低下し、相対的に樹脂分の含有量が低下することから機械的強度の向上効果を低下させる場合がある。
本発明の成形材料には、さらに、エラストマを用いることが好ましい。エラストマを配合することにより、長期耐熱性を向上させることができる。その理由は明確ではないが、加熱分解が進行し始める段階で成形品に生ずるマイクロクラックの発生を防止し、空気との接触面積が増大することを抑制する効果によるものと推測される。
エラストマとしては特に限定されないが、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリビニルブチラール、酢酸ビニル等が挙げられる。これらの中でも、アクリロニトリルブタジエンゴムとポリビニルブチラールという異なるタイプのエラストマを併用することが好ましい。これらの相乗作用により、一方のエラストマを単独で配合した場合よりも、可撓性及び靭性をバランスよく付与することができる。
エラストマの含有量は特に限定されないが、アクリロニトリルブタジエンゴムとポリビニルブチラールとを併用する場合は、両者併せて成形材料全体に対して、0.5〜6重量%が好ましい。更に好ましくは1〜5重量%である。
アクリロニトリルブタジエンゴムの含有量が上記下限値未満では靭性等、上記効果が小さい場合があり、上記上限値を越えると機械的強度が低下することがある。また、ポリビニルブチラールの含有量が上記下限値未満では機械的強度の向上効果が小さい場合があり、上記上限値を超えると熱時特性が低下することがある。
アクリロニトリルブタジエンゴムとポリビニルブチラールとを併用する場合、その割合は、特に限定されないが、重量比率で25:75〜80:20が好ましい。更に好ましくは50:50〜75:25である。これにより、可撓性と靭性とのバランスの向上効果を最も高めることができる。
本発明の成形材料には、以上に説明した成分の他にも、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤、硬化助剤、顔料等の添加剤を添加することができる。
本発明の成形材料を製造する方法は、通常の混練方法が適用できる。
例えば、フェノール樹脂(フェノールアラルキル樹脂及び/又は多環芳香族型フェノール樹脂を含む)、メラミン誘導体、ガラス繊維、粉末状の無機充填材、エラストマのほか、必要に応じて硬化助剤、顔料、離型剤を加えて混合した後、溶融混練し、冷却後粉砕して得ることができる。溶融混練は、混練ロール、コニーダ、二軸押出し機等の混練装置単独あるいは混練ロールと他の混合装置との組み合わせにより行うことができる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例及び比較例の配合と特性を表1に示す。表1に示す含有量は全て重量%を表す。
Figure 2006225526
(表1の注)
1.原材料
(1)ノボラック型フェノール樹脂:住友ベークライト社製・「A-1082」(数平均分子量850)
(2)フェノールアラルキル樹脂:住友ベークライト社製・「R―55024」
(3)ガラス繊維:日本板硝子社製・「RES03−BM38」(平均繊維径11μm、平均繊維長3mmのチョップドストランド)
(4)焼成クレー:イメリス社製・「ポールスター501」
(5)硬化助剤:秩父石灰工業社製・「消石灰」
(6)離型剤:日本油脂社製・「ステアリン酸」
(7)アクリロニトリルブタジエンゴム:JSR社製・「SBP−4300」
(8)ポリビニルブチラール:積水化学工業社製・「エスレックBX−5」
(9)顔料:三菱化学社製・「カーボンブラック#750B」
(10)ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩:日産化学社製・「PMP−200」
(11)メラミン:三菱化学社製・「ユカメラミン」
2.成形材料の作製
(実施例1)
ノボラック型フェノール樹脂17.5重量%、フェノールアラルキル樹脂7.5重量%、ヘキサメチレンテトラミン4重量%、エラストマ成分としてアクリロニトリルブタジエンゴム1.5重量%、ポリビニルブチラール1.5重量%、無機充填材としてガラス繊維32重量%、焼成クレー27重量%、硬化助剤として消石灰2重量%、離型剤としてステアリン酸2重量%、顔料としてカーボンブラック1重量%、メラミン誘導体としてポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩4重量%を混合して組成物を調製した。
上記組成物を80〜90℃の混練ロールで約15分間溶融混練し、冷却後粉砕して成形材料を得た。
(実施例2)
フェノールアラルキル樹脂を4重量%に減量し、焼成クレーを31重量%に増量した以外は、実施例1と同様にして成形材料を得た。
(実施例3)
フェノールアラルキル樹脂を17重量%に増量し、焼成クレーを18重量%に減量した以外は、実施例1と同様にして成形材料を得た。
(実施例4)
焼成クレーを28重量%に増量し、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩を3重量%に減量した以外は、実施例1と同様にして成形材料を得た。
(実施例5)
焼成クレーを25重量%に減量し、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩を6重量%に増量した以外は、実施例1と同様にして成形材料を得た。
(実施例6)
アクリロニトリルブタジエンゴムと、ポリビニルブチラールを各々0.5重量%に減量し、焼成クレーを29重量%に増量した以外は実施例1と同様として、成形材料を得た。
(実施例7)
焼成クレーを30重量%に増量し、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩を1重量%に減量した以外は実施例1と同様として、成形材料を得た。
(実施例8)
焼成クレーを23重量%に減量し、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩を8重量%に増量した以外は、実施例1と同様にして成形材料を得た。
(実施例9)
ノボラック型フェノール樹脂を23重量%に増量し、フェノールアラルキル樹脂を2重量%に減量した以外は、実施例1と同様にして成形材料を得た。
(実施例10)
焼成クレーを23重量%に減量し、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩を8重量%に増量した以外は、実施例9と同様にして成形材料を得た。
(比較例1)
フェノールアラルキル樹脂とメラミン誘導体であるポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩を用いず、ノボラック型フェノール樹脂25重量%、ヘキサメチレンテトラミン4重量%、エラストマ成分としてアクリロニトリルブタジエンゴム1.5重量%、ポリビニルブチラール1.5重量%、無機充填材としてガラス繊維32重量%、焼成クレー31重量%、硬化助剤として消石灰2重量%、離型剤としてステアリン酸2重量%、顔料としてカーボンブラック1重量%を混合した組成物を80〜90℃の混練ロールで約15分間溶融混練し、冷却後粉砕して成形材料を得た。
(比較例2)
焼成クレーを27重量%に減量し、メラミンを4重量%用いた以外は、比較例1と同様にして成形材料を得た。
(比較例3)
ノボラック型フェノール樹脂を17.5重量%に減量し、フェノールアラルキル樹脂を7.5重量%用いた以外は、比較例1と同様にして成形材料を得た。
3.試料の作製及び評価方法
(1)シャルピー衝撃強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率
トランスファー成形(金型温度175℃、硬化時間3分間)により試料を作製し、JIS K 6911に準拠して行った。
(2)長期耐熱性
試験片を270℃雰囲気中で500時間処理したときの強度保持率を下記算出式より算出した。
強度保持率(%)=(熱処理後の曲げ強度)/(熱処理前の曲げ強度)×100
試験片は、トランスファー成形(金型温度175℃、硬化時間3分間)により作製し、180℃×8時間のベーキング処理を行ったものを用いた。
(3)硬化性
トランスファー成形(金型温度175℃、硬化時間3分間)により、φ50mm×3mmの円板を作製し、取り出し10秒後のバコール硬度により評価を行った。
実施例1〜10は、フェノール樹脂と、メラミン誘導体とを含有する本発明の成形材料であり、これらから得られた成形品は、メラミン誘導体を含まない比較例1〜3から得られた成形品と比較して、機械的強度及び成形性(硬化性)を実用的なレベルに維持しつつ、長期耐熱性を向上させることができた。
特に、実施例1及び4〜6は、フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、及び、メラミン誘導体の配合量が最適であったため、これらの特性のバランスに優れたものとなった。
本発明の成形材料は、機械的強度及び成形性を実用的なレベルに維持しつつ、長期耐熱性に優れた成形品を得ることができるため、高温雰囲気下で使用される部品に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. フェノール樹脂と、メラミン誘導体とを含有することを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
  2. 更に、前記フェノール樹脂の一部としてフェノールアラルキル樹脂及び/又は多環芳香族型フェノール樹脂を含有する請求項1に記載のフェノール樹脂成形材料。
  3. 前記メラミン誘導体は、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩を含むものである請求項1または2に記載のフェノール樹脂成形材料。
  4. 前記メラミン誘導体の含有量は、前記フェノール樹脂100重量部に対し、1〜50重量部である請求項1ないし3のいずれかに記載のフェノール樹脂成形材料。
  5. 更に、エラストマを含有するものである請求項1ないし4のいずれかに記載のフェノール樹脂成形材料。
  6. 前記エラストマの含有量は、前記フェノール樹脂成形材料全体に対して、0.5〜6重量%である請求項5に記載のフェノール樹脂成形材料。
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