JP2004282923A - コンミテーター用フェノール樹脂成形材料 - Google Patents

コンミテーター用フェノール樹脂成形材料 Download PDF

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Tadatoshi Tsuruta
忠利 鶴田
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Abstract

【課題】機械的強度に優れ、異方差の少ないコンミテーター用フェノール樹脂成形材料を提供する。
【解決手段】本発明は、成形材料全体に対して、フェノール樹脂を25〜40重量%、タルクを10〜20重量%、およびガラス繊維を30〜55重量%含有することを特徴とするコンミテーター用フェノール樹脂成形材料であり、また、本発明は、成形材料全体に対して、フェノール樹脂を25〜40重量%、タルクを10〜20重量%、ガラス繊維を30〜55重量%、およびクレー、炭酸カルシウムおよびウォラストナイトの1種以上を5〜25重量%含有することを特徴とするコンミテーター用フェノール樹脂成形材料である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンミテーター用フェノール樹脂成形材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガラス繊維入りフェノール樹脂成形材料は耐熱性、寸法安定性、成形性等に優れ、自動車分野、電気分野、電子分野等の基幹産業分野で長期にわたり使用されている実績を有する。近年は、ガラス繊維入りフェノール樹脂成形材料に対して更なる特性の向上が求められているが、特に、自動車部品などの基幹部品の分野では常温での強度だけでなく熱時での強度向上や熱による劣化の抑制及び寸法変化の低減が必要となってきている。
【0003】
その中でもコンミテーターに使用される材料に要求される基本的な特性として、熱時強度や熱時寸法安定性などの耐熱性、耐湿寸法安定性がある。特にその寸法安定性については、材料の流動時にガラス繊維などの配向により生じる線膨張係数の差(異方差)で生じる寸法変化の違いでコンミテーターの真円度がずれて生じるひずみなどが上げられる。また小型モーターに使用されるコンミテーターは、フェノール樹脂成形材料で成形したコンミテーターの内径に、その内径寸法よりやや太いシャフトを直接圧入する場合が多いため、圧入時にコンミテーターが割れないよう靭性に優れることが要求される。
コンミテーター用フェノール樹脂成形材料の充填材に関する文献としては、例えば、特許文献1,2などがある。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−95595号公報
【特許文献2】
特開平7−150009号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のフェノール樹脂製コンミテーターに比べて、機械的特性は同等であり、異方差が少ないため長期の寸法変化が均等であることから真円度に優れたフェノール樹脂製コンミテーターを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(3)に記載の本発明により達成される。
(1) 成形材料全体に対して、フェノール樹脂を25〜50重量%、タルクを10〜20重量%、およびガラス繊維を30〜55重量%含有することを特徴とするコンミテーター用フェノール樹脂成形材料。
(2) 成形材料全体に対して、フェノール樹脂を25〜50重量%、タルクを10〜20重量%、ガラス繊維を30〜55重量%、およびクレー、炭酸カルシウムおよびウォラストナイトの1種以上を5〜25重量%含有することを特徴とするコンミテーター用フェノール樹脂成形材料。
(3) タルクおよび、クレー、炭酸カルシウムおよびウォラストナイトから選ばれた1種以上が、平均粒径が30〜100μmのものである前記(1)または(2)に記載のコンミテーター用フェノール樹脂成形材料。
【0007】
本発明は、成形材料全体に対して、フェノール樹脂を25〜50重量%、タルクを10〜20重量%、およびガラス繊維を30〜55重量%含有することを特徴とするコンミテーター用フェノール樹脂成形材料である。
また、本発明は、成形材料全体に対して、フェノール樹脂を25〜50重量%、タルクを10〜20重量%、ガラス繊維を30〜55重量%、およびクレー、炭酸カルシウムおよびウォラストナイトの1種以上を5〜25重量%含有することを特徴とするコンミテーター用フェノール樹脂成形材料である。
【0008】
本発明に用いられるフェノール樹脂は、ノボラック型又はレゾール型など、単独で使用してもよく、また両者併用してもよい。ノボラック型フェノール樹脂については、数平均分子量が800〜1000でオルソ結合対バラ結合の比(O/P比)が1以下のものを用いるのが好ましい。かかるノボラック型フェノール樹脂は、成形材料化する段階での作業性、成形性(特に射出成形)、得られた成形物の特性が比較的良好であるからである。ノボラック型フェノール樹脂は、通常、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを樹脂に対し15〜20重量%配合する。15重量%未満では、硬化が不十分となることがあり、20重量%を超えて配合しても硬化性はこれ以上よくなることはなく、逆に分解ガス等により成形不良の原因となることがある。
【0009】
フェノール樹脂の配合量は、ヘキサメチレンテトラミンを配合する場合はそれを含めて、成形材料全体に対して、25〜50重量%である。樹脂量が25重量%未満では、成形材料としての流動が十分でないことがあり、50重量%を越えるとガラス繊維量が少なくなることにより耐熱性や寸法安定性などのコンミテーターの特性を満足しなくなることがある。
【0010】
本発明の成形材料は、無機基材であるタルクを含有する。タルクを含有することにより、得られるコンミテーター等の成形物の異方差を低減することが可能になる。この理由は明確ではないが、タルクは、形状が板状であり面方向の滑性が大きいので、ガラス繊維による異方性を小さくする作用があるものと考えられる。タルクは、平均粒径30〜100μmのものを使用することが好ましい。平均粒径30μm未満のものを使用すると異方差低減の効果が現れにくく、一方で100μmを超えるものを使用すると強度低下を招くことがあり、また成形材料化段階での作業性を低下させることがある。
【0011】
前記タルクの含有量は、成形材料全体に対して10〜20重量%が好ましい。タルクの含有量が前記下限値よりも少ないと、コンミテーター成形体の異方差低減の効果が不十分となる場合があり、前記上限値よりも多いと、成形材料製造時の作業性の低下と強度の低下が起こる場合がある。
【0012】
本発明の成形材料は、ガラス繊維を含有する。カラス繊維を含有することにより、得られる成形体の機械的強度が向上する。ガラス繊維の繊維径は、特に限定されないが、10〜15μmが好ましい。これにより、成形材料化段階での作業性を向上させることができる。また、ガラス繊維の繊維長は、特に限定されないが、1〜3mmのチョップドストランドタイプのものを使用することが好ましい。これにより、成形材料化時の作業性、成形性及び成形体の強度を向上させることができる。
【0013】
前記ガラス繊維の含有量は、成形材料全体に対して30〜55重量%が好ましく、特に40〜50重量%が好ましい。ガラス繊維の含有量が前記下限値よりも少ないと、成形体の機械的強度が不十分となる場合があり、前記上限値よりも多いと、成形材料製造時の作業性が低下する場合がある。
【0014】
本発明の成形材料は、前記ガラス繊維以外の無機充填材を含有することが好ましい。これにより、得られる成形体の強度を向上させるとともに寸法安定性を向上させることができる。
前記無機充填材としては、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、アルミナ、シリカ、クレー(未焼成クレー、焼成クレー)、硫酸バリウム等を挙げることができる。これらの中でもクレー、炭酸カルシウム、ウォラストナイトが好ましく、これらの中から1種以上を選択し使用することができる。これにより成形品の寸法安定性をさらに向上させることができる。これらの無機充填材は平均粒径30〜100μmのものを使用することが好ましい。平均粒径30μm未満のものを使用すると強度および寸法安定性向上の効果が現れにくく、一方で100μmを超えるものを使用すると強度低下を招くことがあり、また成形材料化段階での作業性を低下させることがある。
【0015】
前記ガラス繊維以外の無機充填材の含有量は、特に限定されないが、成形材料全体の5〜30重量%が好ましく、特に9〜25重量%が好ましい。かかる含有量が前記下限値未満であると成形品の耐熱性、寸法安定性などが充分でない場合があり、前記上限値を超えると成形材料製造時の作業性や、成形品の機械的強度が低下する場合がある。
【0016】
本発明のコンミテーター用フェノール樹脂成形材料には、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤、硬化助剤、顔料、エラストマー等の添加剤を添加することができる。
本発明のフェノール樹脂成形材料を製造する方法は、通常の方法が採用される。すなわち、ノボラック樹脂、硬化剤、無機基材、離型剤、硬化助剤、顔料等を加えて、均一に混合後、加熱ロール、コニーダ、二軸押出し機等の混練機単独又はロールと他の混合機との組合せで加熱混練し、粉砕して得られる。
本発明のフェノール樹脂成形材料は、常温において、高い機械的強度を有しており、フェノール樹脂製のコンミテーター用材料に適用できる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。部は重量部を、濃度、配合等の%は重量%を示す。
表1に示した配合からなる材料組成を90〜100℃の加熱ロールで約15分間混練、冷却後粉砕して成形材料を得た。実施例及び比較例の材料組成と特性を表1および表2に示す。
【0018】
【表1】
Figure 2004282923
【0019】
【表2】
Figure 2004282923
【0020】
(使用した材料)
ノボラック樹脂:住友ベークライト(株)製「A−1082」(数平均分子量800)
タルク:SP−38(富士タルク工業(株)製、平均粒子径50μm、実施例4,5はそれぞれ所定の粒子径に篩分した。即ち、実施例4は平均粒子径30μmに調整して使用、実施例5は平均粒子径100μmに調整して使用した。)
ガラス繊維:CS−3E479FB(日東紡績(株)製、繊維径11μm、繊維長3mm)
未焼成クレー:ECKALITEI(シール・カオリン(株)製、平均粒子径50μm)
炭酸カルシウム:日東粉化工業社製、平均粒子径50μm
ウォラストナイト:キンセイマテック社製、平均粒子径50μm
顔料:カーボンブラック
硬化助剤:水酸化カルシウム
離型剤:ステアリン酸カルシウム
【0021】
(試験片の作製)
特性評価用試験片はトランスファー成形により下記条件で成形し、評価方法は下記の通りである。
予熱温度:95〜100℃
金型温度:170〜175℃
注入圧力:50MPa
硬化時間:3分間
アニール条件:180℃、8時間(曲げ強さ試験片について実施)
【0022】
(評価方法)
曲げ強さ、曲げ弾性率、曲げ伸び率:JIS K 6911による。
線膨張係数:JIS K 6911に準じる曲げ試験片を用いた。その試験片を4×5×高さ10mmに切り出し線膨張係数を測定した。また、成形時成形材料の流れ方向と直行方向の2方向について測定し、異方差を計算した。
【0023】
以上の結果から明らかなように、実施例は、比較例に比べて、機械的特性は同等またはそれ以上であり、線膨張の異方差が低減されていた。比較例1,2は、線膨張の異方差が大きく、比較例3は、線膨張の異方差は小さいものの曲げ強さが小さいものであった。このことから、実施例で得られたフェノール樹脂成形材料は、機械的特性と寸法安定性がともに優れていてバランスしていることから、コンミテーター用として好適であることがわかる。
【0024】
【発明の効果】
本発明のコンミテーター用フェノール樹脂成形材料は、従来のコンミテーター用成形材料に比べて、機械的特性は同等ないしそれ以上であり、線膨張係数の異方差が小さいことから、各種コンミテーター用として好適である。

Claims (3)

  1. 成形材料全体に対して、フェノール樹脂を25〜50重量%、タルクを10〜20重量%、およびガラス繊維を30〜55重量%含有することを特徴とするコンミテーター用フェノール樹脂成形材料。
  2. 成形材料全体に対して、フェノール樹脂を25〜50重量%、タルクを10〜20重量%、ガラス繊維を30〜55重量%、およびクレー、炭酸カルシウムおよびウォラストナイトの1種以上を5〜25重量%含有することを特徴とするコンミテーター用フェノール樹脂成形材料。
  3. タルクおよび、クレー、炭酸カルシウムおよびウォラストナイトから選ばれた1種以上が、平均粒径が30〜100μmのものである請求項1または2に記載のコンミテーター用フェノール樹脂成形材料。
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