JP2011074174A - ボビン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 フェノール樹脂成形材料を成形してなるボビンであって、前記フェノール樹脂成形材料全体に対して、フェノール樹脂10〜40重量%、タルク20〜60重量%、ウォラストナイト10〜40重量%を含有するフェノール樹脂成形材料を成形してなることを特徴とするボビン。好ましくは、前記タルクの平均粒径が1〜50μmであり、前記ウォラストナイトの平均長さが0.1〜100μmの針状形状である。
【選択図】なし
Description
近年、これらの部品の小型化、高出力化に伴い、ボビンに熱が発生しやすくなっており、ボビンへの蓄熱が起こることによりボビン自身の故障につながるだけでなく、ボビンから発生する熱により周囲の機器に悪影響を及ぼすことが懸念されている。
このような問題に対しては、熱放散性の高いフェノール樹脂成形材料を用いることによって成形品の熱伝導率を向上させ、ボビンから発生する熱を放散させることにより、ボビンとして安定した機能が発揮できると考えられる。
[1]フェノール樹脂成形材料を成形してなるボビンであって、
上記フェノール樹脂成形材料全体に対して、フェノール樹脂10〜40重量%、タルク20〜60重量%、ウォラストナイト10〜40重量%を含有するフェノール樹脂成形材料を成形してなることを特徴とするボビン。
[2]上記タルクの平均粒径が1〜50μmである上記[1]に記載のボビン。
[3]上記ウォラストナイトの平均粒子長さが0.1〜100μmの針状形状である上記[1]又は[2]に記載のボビン。
本発明のボビンは、フェノール樹脂成形材料を成形してなるボビンであって、
上記フェノール樹脂成形材料全体に対して、フェノール樹脂10〜40重量%、タルク20〜60重量%、ウォラストナイト10〜40重量%を含有するフェノール樹脂成形材料を成形してなることを特徴とする。
まず、本発明のボビンに使用されるフェノール樹脂成形材料(以下、単に「成形材料」ということがある)について説明する。
また、レゾール型フェノール樹脂を単独で使用する場合、あるいは、ノボラック型フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂とを併用する場合は、ヘキサメチレンテトラミンを用いなくてもよい。
フェノール樹脂の含有量を上記下限値以上とすることにより、成形材料の製造を効率的に行うことができるとともに、成形材料成形時の流動性を確保することができる。また、上記上限値以下とすることにより、成形材料中のタルク粒子同士の距離を好ましい範囲内として、熱伝導率の低下を抑制することができる。
まず、成形材料中にタルクを多く含有させることにより、成形品の電気絶縁性を損なうことなく、熱伝導性を大きく向上させることができる。
タルクの配合量が多い場合、成形材料の生産性や成形品の機械的強度が低下することがある。このとき、タルクの一部を他の無機充填材で置換すると、これらを抑えることができる場合がある一方で、成形品の熱伝導性の低下が見られることがある。
しかしながら、タルクの一部をウォラストナイトで置換する場合、すなわち、タルクとウォラストナイトとを併用する場合では、成形品の熱伝導性の低下を抑えることができ、かつ、成形材料の生産性や成形品の機械的強度の低下を抑えることができる。
これは、ウォラストナイトが針状形状であるため、タルクの一部をウォラストナイトで置換しても、ウォラストナイトがタルク粒子間の橋渡しのような役目を果たし、熱を効率よく伝導させるためであると考えられる。
このような理由で、タルクとウォラストナイトとを各々所定量併用することにより、熱伝導性、電気絶縁性、機械的強度のバランスのとれた成形品を得られる成形材料とすることができる。
タルクの含有量を上記下限値以上とすることにより、成形品の熱伝導性を向上させることができる。また、上記上限値以下とすることにより、相対的に充分な量のフェノール樹脂を含有できるので、成形材料の製造時に充分な混練を行うことができるとともに、成形品の機械的強度を良好なものとすることができる。
タルクの平均を上記下限値以上とすることにより、充分な熱伝導性を確保することができる。また、上記上限値以下とすることにより、成形品の機械的強度の低下を抑制することができる。
ウォラストナイトの含有量を上記下限値以上とすることにより、成形品の機械的強度を向上させることができる。また、上記上限値以下とすることにより、相対的に充分な量のタルクを含有できるので、成形品に良好な熱伝導性を付与することができる。
ウォラストナイトの平均長さを上記下限値以上とすることにより、成形品に良好な機械的強度や熱伝導性を付与することができる。また、上記上限値以下とすることにより、成形材料製造時のウォラストナイトの折れを抑制し、成形品の機械的強度の低下を防ぐことができる。
このような無機充填材としては、特に限定されないが、例えば、ガラス繊維、クレー、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ロックウール、マイカなどが挙げられ、これらを単独、または2種類以上併用することができる。
本発明のボビンは、以上に説明した成形材料を成形してなるものである。
本発明のボビンを用いると、ボビンのマグネットワイヤーより発生する熱がボビン本体を伝わり、外気へ放熱しやすくなる。このため、ボビンの最高到達温度が低くなることによりボビンの過熱による故障を防いだり、さらなる高出力化を行うことができると考える。また、熱放散性の効果を高めるためにボビンを設置する系を開放系にしたり、空冷装置をつけて冷却を促進すると、さらなる熱放散効果が期待できる。
(1)レゾール型フェノール樹脂:住友ベークライト社製・スミライトレジンPR
(2)ノボラック型フェノール樹脂:住友ベークライト社製・スミライトレジンPR
(3)タルク:平均粒径15μm
(4)ウォラストナイト:平均長さ20μm
(5)ガラス繊維:日本板硝子社製・チョップドストランドRES
(6)着色剤:カーボンブラック
(7)離型剤:ステアリン酸
(8)硬化助剤:消石灰
(製造例1)
レゾール型フェノール樹脂18部、ノボラック型フェノール樹脂7部、タルク50部、ウォラストナイト18部、ガラス繊維4部、着色剤、離型剤、硬化助剤各1部を配合した原料混合物を、70℃の加熱ロールにより3分間溶融混練した後取り出し、顆粒状に粉砕して成形材料Aを得た。
レゾール型フェノール樹脂18部、ノボラック型フェノール樹脂7部、タルク42部、ウォラストナイト26部、ガラス繊維4部、着色剤、離型剤、硬化助剤各1部を配合した原料混合物を、70℃の加熱ロールにより3分間溶融混練した後取り出し、顆粒状に粉砕して成形材料Bを得た。
レゾール型フェノール樹脂18部、ノボラック型フェノール樹脂7部、タルク34部、ウォラストナイト34部、ガラス繊維4部、着色剤、離型剤、硬化助剤各1部を配合した原料混合物を、70℃の加熱ロールにより3分間溶融混練した後取り出し、顆粒状に粉砕して成形材料Cを得た。
レゾール型フェノール樹脂19部、ノボラック型フェノール樹脂8部、ガラス繊維70部、着色剤、離型剤、硬化助剤各1部を配合した原料混合物を、70℃の加熱ロールにより3分間溶融混練した後取り出し、顆粒状に粉砕して成形材料Dを得た。
レゾール型フェノール樹脂19部、ノボラック型フェノール樹脂8部、タルク65部、ガラス繊維5部、着色剤、離型剤、硬化助剤各1部を配合した原料混合物を、70℃の加熱ロールにより3分間溶融混練した後取り出し、顆粒状に粉砕して成形材料Eを得た。
レゾール型フェノール樹脂18部、ノボラック型フェノール樹脂7部、ウォラストナイト67部、ガラス繊維5部、着色剤、離型剤、硬化助剤各1部を配合した原料混合物を、70℃の加熱ロールにより3分間溶融混練した後取り出し、顆粒状に粉砕して成形材料Fを得た。
(1)熱伝導率
製造例及び比較製造例で得られた成形材料を用いて、コンプレッション成形により120×120×10mmの試験片を作製した。成形条件は、金型温度175℃、硬化時間4分間とした。得られた試験片を迅速熱伝導率計(京都電子工業製)にてプローブ法により測定した。
(2)曲げ強さ
製造例及び比較製造例で得られた成形材料を用いて、トランスファー成形により試験片を作成した。成形条件は、金型温度175℃、硬化時間3分間とした。得られた試験片をJIS K 6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠し、測定した。
(3)絶縁抵抗
製造例及び比較製造例で得られた成形材料を用いて、トランスファー成形により試験片を作成した。成形条件は、金型温度175℃、硬化時間3分間とした。得られた試験片をJIS K 6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠し、測定した。
比較製造例2、3はそれぞれタルク、ウォラストナイトを単独で用いた成形材料であり、タルク単独では曲げ強さが弱く、ウォラストナイト単独では熱伝導率が低い結果となった。
成形材料の評価結果より、熱伝導率の高い製造例3の成形材料Cを用いて成形したボビンと、熱伝導率の低い比較製造例1の成形材料Dを用いてボビンを成形した。成形したボビンの、熱放散性の試験を実施した。
製造例3で得られた成形材料Cを用いて、射出成形装置を用い、シリンダー温度80℃、金型温度175℃、射出時間10秒間、硬化時間50秒間で成形し、寸法50×30×60mmのボビンを成形した。
比較製造例1で得られた成形材料Dを用いた以外は、実施例1と同様にしてボビンを成形性した。
実施例および比較例で得られたボビンを用いて、ボビンのマグネットワイヤーを巻く部分にセラミックヒーター(坂口電熱製マイクロセラミックヒーターMS−3)を貼り付け、ヒーターに15Vの電圧(15V時のセラミックヒーターの到達温度は130℃)をかけて10分間加熱した。加熱中のボビンをサーモグラフィーにて観察し、セラミックヒーターの最高到達温度を測定した。
実施例のボビンは、セラミックヒーターの最高到達温度が104℃であったのに対して、比較例のボビンは、118℃まで上昇した。これにより、実施例の本発明のボビンは、比較例のボビンと比較して熱伝導率が高く、熱放散性に優れたものであることが確認された。
Claims (3)
- フェノール樹脂成形材料を成形してなるボビンであって、
前記フェノール樹脂成形材料全体に対して、フェノール樹脂10〜40重量%、タルク20〜60重量%、ウォラストナイト10〜40重量%を含有するフェノール樹脂成形材料を成形してなることを特徴とするボビン。 - 前記タルクの平均粒径が1〜50μmである請求項1に記載のボビン。
- 前記ウォラストナイトの平均粒子長さが0.1〜100μmの針状形状である請求項1又は2に記載のボビン。
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