JP2006225281A - 歯科用粘膜調整材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 口腔内使用時における材料からの溶出成分が少なく、使用される通常の期間内であれば、初期の柔軟性が維持され、且つ義歯床の劣化も引き起こさない歯科用粘膜調製材を提供する。
【解決手段】 ポリブチルメタクリレート等のTgが0〜60℃の範囲にある(メタ)アクリル系の非架橋ポリマー粉末を主成分とする粉材と、質量平均分子量が1000〜10000の範囲にあり、かつ分子量500以下のオリゴマーの割合が10質量%以下である液状ポリマーを主成分とする液材とからなり、使用時に両材を混合して用いる。上記液状ポリマーの材質としては、粉材との練和性の観点などからイソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート等が好適である。さらに、液材に水溶性有機溶媒を、粉材に架橋ポリマー粉末やTgが60℃以上かつ平均粒径1μm以下の非架橋ポリマーを加えると、保存安定性や操作性を向上させることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、歯科治療において口腔粘膜の変形や炎症などを有する義歯装着患者のための歯科用粘膜調整材に関する。
義歯使用者が義歯を長期にわたって使用していると顎堤を形成する歯槽骨の吸収等が原因となり口腔の形状が次第に変化することが知られている。この様な場合、義歯床と口腔粘膜との適合が悪くなり、義歯が不安定になる。適合不良な義歯をそのまま使用し続けると義歯床下粘膜に不均一な圧力が加わるため、該粘膜に潰瘍や炎症が発生したり、咬合圧による疼痛が引き起こされたりするようになる。上記のような不適合が起こった場合には新しい義歯を作製するか、使用中の義歯を裏装するなどして、義歯の粘膜に対する適合性を回復させる必要がある。
しかしながら、著しい潰瘍や炎症がある患者の口腔粘膜は極めて不安定な状態であるため、新しい義歯の作製や裏装の前に口腔粘膜が比較的健全な状態になるのを待ち、義歯床下粘膜との良好な適合性を確保する必要がある。
このような場合に使用される材料が歯科用粘膜調整材である。即ち、歯科用粘膜調整材は義歯床下粘膜の形態、色調が正常な状態に回復するまで使用中の義歯の粘膜面に裏装して用いられる治療用材料である。
現在、義歯床に関連する軟質材料としては、大きく分けて義歯床固定用糊材(いわゆる義歯安定材)、歯科用粘膜調整材、軟質裏装材の3種類があるが、これらはいずれも使用目的、方法、使用期間、所要性状などが異なっている。
例えば義歯床固定用糊材は、疼痛緩和のために患者本人が自ら施術して非常に短い期間使用するものである。一時的な使用に限定されるものであり治療を目的とする材料ではない。粉状、クリーム状、シール状のものがあり、また水溶性のものと非水溶性のものがある。前者はだ液の粘性を高め、義歯床の粘膜面との粘着力の増大を期待する。非水溶性のものは義歯床と粘膜面の隙間をなくして適合性をよくするとともに辺縁封鎖効果による吸着力などを期待している。その組成物はほとんど弾性を有しておらず、咬合するたびにその咬合圧に応じた大きな塑性変形が起こるため、該義歯床固定用糊材の使用期間は1日ないしは数日間に限定される。
これに対し、歯科用粘膜調整材及び軟質裏装材はいずれも施術者が医師である点では共通しているが、その使用目的の違いによりそれぞれ要求される物性が大きく異なっている。具体的には歯科用粘膜調整材は、前述したように義歯修理の前段階で口腔粘膜の治療用として使用するものである。義歯床下粘膜のひずみ、圧痕を開放し、各部の被圧変位性に対応した機能的な形態を印記するために、義歯床下粘膜面に用いられる軟性高分子材である。粉末と液の混和によって、始めは流動性の高いペースト状を示すが、液が粉末に浸透して粘弾性が発現してくる。ペーストに流動性のあるうちに義歯床粘膜面に盛りつけ、口腔内に挿入して賦形する。使用期間として口腔粘膜が健全な状態に回復するまでの1週間〜数週間必要である。その目的からして咬合時に義歯と粘膜面の間より押し出されず粘膜面に保持されながらも、柔軟で且つ口腔粘膜の回復に追従する程度の微小変形が可能でなければならない。より詳細には、粘膜調整材を適合不良となった義歯の粘膜面に裏装することで義歯と口腔粘膜の適合性を回復させて疼痛を緩和させつつ、口腔粘膜の潰瘍や炎症が次第に消失するのを待つ。口腔粘膜の潰瘍や炎症が次第に消失するに伴い口腔粘膜の形態も経時的に本来あるべき状態へと回復していくが、このとき、該粘膜調整材は口腔粘膜の形態変化に合わせて塑性変形する必要がある。なぜならば、粘膜調整材が上記のような変形を生じない場合には、口腔粘膜の形態の回復に従い適合性が失われていくことになり、逆に再度の疼痛を生じる要因となってしまうためである。
軟質裏装材のような義歯床裏装材は、上記のようにして最終的に口腔粘膜の潰瘍や炎症が消失し、口腔粘膜が健全な状態を得た後に用いる材料である(ただし、潰瘍や炎症がない場合には、通常は粘膜調整材を用いずに、すぐに裏装材を用いる)。粘膜調整材は潰瘍や炎症が存在する場合に用いるため、非常に柔らかい材料である必要があるが、このような目的に対して要求される柔らかさは、長期に渡る義歯の適切な保持、義歯の使用感という観点からすると柔らかすぎる。また、回復後の口腔粘膜はそれ以上大きな変形を起こさないため、粘膜調整材の有する高い可塑性も義歯の保持性や使用感に対して悪影響を与える。従って、義歯床裏装材としては、軟質裏装材のような柔らかい材料であっても、粘膜調整材よりは若干硬く、また、大きな塑性変形を示さ
ない必要がある。さらに、粘膜調整材の場合には、その使用期間が数日〜数週間であるのに対し、最終的な補修義歯を構成することになる義歯床裏装材は、最低でも6ヶ月はその機能を発現することが要求される。さらに、義歯床裏装材としては、その引張強度等の機械的物性も粘膜調整材に求められるものよりも遥かに高い。
このように、上記の3種の材料は形式的にはいずれも軟質材料で義歯を裏装して使用するものであるが、その使用目的及び要求性能から歯科用材料として明確にその分類を異にするものである。
上記のように、粘膜調整材にはそれほど高い強度が求められない反面、高い柔軟性と可塑性が要求されており種々の組成が提案されているが、使用時の簡便性などの点から(メタ)アクリル系の重合体粉末からなる粉材と、各種可塑剤からなる液材とを主成分とするものが多い(例えば、非特許文献1、2、特許文献1、2参照)。上記可塑剤は柔軟性と可塑性を発現させるために必要な成分であり、現在は、フタレート系の可塑剤が主流である。より詳細には、(メタ)アクリル系の歯科用粘膜調整材としては、ポリエチルメタクリレートもしくはその共重合体などの(メタ)アクリル系の重合体粉末からなる粉成分と、エタノールを4〜30質量%程度含有するフタレート系可塑剤からなる液成分との練成材料が広く使用されている。なお、液成分には、練和性や練和後の物性などを改良するために、エタノールが配合されることが多い。
しかしながら、上記のような可塑剤を用いた粘膜調整材では、使用している可塑剤が徐々に溶出していく(例えば、非特許文献1〜3参照)。
川口 稔、外3名、「試作粘膜調整材からのフタル酸エステル類の溶出性に影響をおよぼす因子について」、歯科材料・器械、日本歯科理工学会、平成16年7月、第23巻、第4号、p.273−278 中村 正明、「フタル酸エステルフリーの粘膜調整材の開発を目指して」、[online]、2003年3月、日本歯科医師会、[平成17年1月12日検索]、インターネット<URL:http://eturan.bookpark.ne.jp/jdab/pdf/JDAB-200307-008.pdf> 佐藤 吉則、外5名、「粘膜調整材の経時的な表面粗さに関する研究 − 短期的変化について−」、[online]、日本大学歯学部、[平成17年1月12日検索]、インターネット<URL:http://www.dent.nihon-u.ac.jp/drc/A-5.pdf> 特開平3−20204号公報 特開平2−297358号公報
上記可塑剤の溶出により、粘膜調整材からは経時的にその粘弾性が失われ硬くなっていく。この溶出は、数日間程度の比較的短期間に起こるため、義歯床裏装材に比べて使用期間が短い粘膜調整材にとっても問題となり、通常は、数日ごとに粘膜調整材を貼り換える必要がある。さらに、フタル酸エステル系の可塑剤は、エストロゲン様作用を示すことが疑われており、粘膜調整材から溶出した可塑剤は体内に飲み込まれていくことから、健康への影響も懸念されている。さらにこのような可塑剤の含まれた素材が他の物質と接触して放置されると可塑剤が拡散により他の物質へと移っていく傾向にある。従って、可塑剤の含まれた粘膜調整材を、義歯床の口腔粘膜面に貼付して口腔内で使用していると、可塑剤が徐々に義歯床に移行していく。その結果、可塑剤の移行により義歯床の軟化、劣化等の問題を起こす。
健康への影響が懸念される該フタレート系に替わる可塑剤として、近年、セバケート系可塑剤が用いられるようになった。しかしながら、前述の可塑剤溶出に伴う柔軟性低下や、可塑剤の義歯床への移行に伴う義歯床劣化等の課題は解決されていない。
従って本発明の目的は、最低でも4週間程度は柔軟性の低下がなく、また、使用することによって義歯床の劣化を起こすような成分の溶出のない粘膜調整材を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、質量平均分子量が1000〜10000の範囲にあり、且つ分子量500以下のオリゴマーの割合が10質量%以下である液状ポリマーを用いると、柔軟性が維持され、且つ義歯床の劣化を引き起こさない粘膜調整材を調製できることを見出した。そしてこの知見に基づき更に検討を進めた結果、本発明を完成した。
即ち本発明は、(1)粉材と(2)液材とに分割して包装、保存されており、使用時には両材を混和したペーストとして用いる歯科用粘膜調整材において、(1)粉材が、ガラス転移温度が0〜60℃の範囲にある(メタ)アクリル系の粉末状の非架橋ポリマーを主成分とし、(2)液材が、質量平均分子量が1000〜10000の範囲にあり、かつ分子量500以下のオリゴマーの割合が10質量%以下の液状ポリマーを主成分とすることを特徴とする歯科用粘膜調整材である。
本発明の歯科用粘膜調整材は、健康に影響を及ぼす不安を与える可塑剤を使用せず、また口腔内使用時における材料からの溶出成分が少なく、さらに歯科用粘膜調製材が使用される通常の期間内であれば、初期の柔軟性が維持され、且つ義歯床の劣化も引き起こさない材料である。
本発明の歯科用粘膜調整材は、(1)粉材と(2)液材とに分割して包装、保存されており、使用時には両材を混和したペーストとして用いる。この(1)粉材としては、ガラス転移温度が0〜60℃の範囲にある(メタ)アクリル系の粉末状の非架橋ポリマーを主成分としたものであり、(2)液材としては、質量平均分子量が1000〜10000の範囲にあり、かつ分子量500以下のオリゴマーの割合が10質量%以下の液状ポリマーを主成分とする必要がある。
またさらに、(1)粉材に、粉末状の架橋ポリマー、ガラス転移温度が60℃以上、且つ体積平均粒子径が1μm以下の粉末状のポリマー、無機粉末等を配合することにより付加的に様々な効果を得ることができる。同様に(2)液材には水溶性有機溶媒を配合することにより、粉材と液材との練和性などを向上させることができる。以下、これら配合成分につき詳述する。
(1)粉材に配合される(メタ)アクリル系の粉末状ポリマーは、ガラス転移温度(以下、Tgとも称する)が0〜60℃の範囲になくてはならない(なお以下では、該ポリマーを単に「低Tg非架橋ポリマー」と称す場合がある)。Tgが0℃を下回るポリマーでは室温(使用前の粘膜調整材が保存される環境温度;18〜35℃程度)で粉材を保存する間に、該非架橋ポリマー粒子同士が極めて強く凝集を起こすために粘膜調整材として用いるために練和してペーストを得ることができなくなる。また60℃を越えると粉液を練和して得た組成物が硬くなるため粘膜調整材として用いることのできる柔軟性を付与できなくなる。なお、ここでいう柔軟性とはショアA硬度が20以下であることを意味する。該柔軟性を粘膜調整材としてより適切なものとしやすく、また保存時の凝集を防止しやすい点で、Tgが10〜50℃の範囲にあるポリマーの粉末が好ましい。
また歯科用粘膜調整材は構成する他の成分の全てと混合した時点で、該組成物(混合物)の性状がペースト状になることが必要である。よって、該低Tg非架橋ポリマーは液材成分に溶解可能な非架橋のものである必要がある。
また本発明の粘膜調整材においては、(メタ)アクリル系義歯床とのなじみがよく、また適度な粘弾性を得やすい点で上記ポリマーとして(メタ)アクリル系のものを採用する。ここで(メタ)アクリル系のポリマーとは、重合性基としてアクリル基またはメタクリル基を有する重合性単量体(以下、(メタ)アクリル系単量体)を単独重合させて得られたホモポリマー、2種以上の異なる(メタ)アクリル系単量体を共重合させたコポリマー、及び(メタ)アクリル系単量体と(メタ)アクリル系単量体以外の重合性単量体とを共重合させて得られたコポリマー(但し、(メタ)アクリル系単量体に基づく単量体単位の割合が50mol%以上)のいずれも含むものである。
このようなTgが0〜60℃の範囲にあるホモポリマーを具体的に例示すると、ポリ(ベンジルアクリレート)、ポリ(4−ブトキシカルボニルフェニルアクリレート)、ポリ{3−クロロ−2,2−ビス(クロロメチル)プロピルアクリレート}、ポリ(2−クロロフェニルアクリレート)、ポリ(4−クロロフェニルアクリレート)、ポリ(4−メトキシフェニルアクリレート)、ポリ(2,4−ジクロロフェニルアクリレート)、ポリ(シクロヘキシルアクリレート)、ポリ(シクロドデシルアクリレート)、ポリ(2−メトキシカルボニルフェニルアクリレート)、ポリ(3−メトキシカルボニルフェニルアクリレート)、ポリ(2−エトキシカルボニルフェニルアクリレート)、ポリ(3−エトキシカルボニルフェニルアクリレート)、ポリ(4−エトキシカルボニルフェニルアクリレート)、ポリ(ヘプタフルオロ−2−プロピルアクリレート)、ポリ(ヘキサデシルアクリレート)、ポリメチルアクリレート、ポリネオペンチルアクリレート、ポリフェニルアクリレート、ポリ(m−トリルアクリレート)、ポリ(o−トリルアクリレート)、ポリ(p−トリルアクリレート)、ポリ(N−ブチルアクリルアミド)、ポリ(プロピルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(i−ブチルメタクリレート)、ポリ(ネオペンチルメタクリレート)、ポリ(シクロヘキシルメタクリレート)、ポリ(ヘキサデシルメタクリレート)、ポリ(オクタデシルメタクリレート)、ポリ(3−オキサブチルメタクリレート)、ポリ(ベンジルメタクリレート)、ポリ(2−t−ブチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ブチルブトキシカルボニルメタクリレート)、ポリ(1H,1H−ヘプタフルオロブチルメタクリレート)、ポリ(1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート)、ポリ(1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート)等が挙げられる。
また、(メタ)アクリル系単量体のみを共重合させたコポリマーとしては、ポリ(メチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート)、ポリ(プロピルメタクリレート−n−ブチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート)、ポリ(プロピルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート)、ポリ(i−ブチルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート)等が挙げられ、(メタ)アクリル系単量体と他の重合性単量体とを共重合させたコポリマーとしては、ポリ(スチレン−n−ブチルメタクリレート)等が挙げられる。これらコポリマー(共重合体)は、前記条件を満たす限り、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体等の如何なる共重合体でもよい。コポリマーである場合、共重合比等によりTgを調整することができ、単独重合体のTgが60℃よりも高い重合性単量体に基づく単量体単位を含むものであってもよい。
上記の低Tg非架橋ポリマーのなかでも、溶解性や取扱いの容易さ等の点で、単量体単位として(メタ)アクリル酸エステル系のモノマーに基づく単量体単位を有する非架橋ポリマーが好ましく、特に、ポリ(プロピルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)等の、炭素数3〜20(より好ましくは3〜10)のアルコールの(メタ)アクリル酸エステルに基づく単量体単位が50〜100モル%(より好ましくは80〜100モル%)であるホモポリマー又はコポリマーが好ましい。
上記低Tg非架橋ポリマーは粉末状であればその大きさは特に限定されないが、粉材としての取り扱い易さ(流動性、凝集性)や、液材との混合・練和性などの点から、体積平均粒子径が0.1〜100μmの粉末であることが好ましく、1〜90μmの粉末であることがより好ましく、5〜50μmの粉末であることが特に好ましい。
同様に粉末状であればその平均分子量や分子量分布は特に限定さるものではないが、平均分子量が小さすぎる場合には、液材と混合・練和して得たペーストの操作性が不良であったり、あるいはTgが0℃を下回ったり、極端な場合には液状になってしまったりする場合がある。一方、平均分子量が極めて大きなものは合成・入手が困難であるのみならず、やはりペーストの操作性を良好なものとし難い場合がある。従って、本発明の粘膜調整材における(1)粉材に配合される、本発明における低Tg非架橋ポリマーとしては、質量平均分子量が2万〜500万のものが好適であり、5万〜100万のものがより好ましい。
なお、上記低Tg非架橋ポリマー、後述する液状重合体などの重合体における質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略す)により測定される、標準ポリスチレン換算分子量である。
本発明の粘膜調整材に配合される上記低Tg非架橋ポリマーとしては、該ポリマーを構成する単量体単位の種類や割合、平均分子量や分子量分布、平均粒子径等の異なる2種以上の粉末状ポリマーを併用してもよい。
本発明の粘膜調整材における(1)粉材には、上記Tgが0〜60℃の範囲にある粉末状の非架橋ポリマーに加えて、粉末状の架橋ポリマー(以下、単に「架橋ポリマー」とも称す)が配合されていることが好ましい。粉末状の架橋ポリマーを粉材に配合しておくことにより、粉/液を混合・練和して得られるペーストに良好な初期流動性を付与することができる。即ち、粉材と液材とを混合・練和すると、前記低Tg非架橋ポリマーが液材成分に溶解し、粘度が上昇する。ここで、架橋ポリマーも液材成分により膨潤して粘度を上昇させるが、その粘度上昇速度は、非架橋ポリマーよりも遅く、よって最終的な粘膜調整材として適切な粘度となるように粉末状の非架橋ポリマーと架橋ポリマーの双方を配合しておくと、初期には該最終粘度よりも粘度が低く流動性に優れたペーストとなり、よって付形性などの操作性に優れた粘膜調整材とすることができる。
上記粉末状の架橋ポリマーとしては、本発明の効果を妨げない範囲であれば特に制限なく用いることができる。中でも架橋の(メタ)アクリル系ポリマーが物性に大きな影響を及ぼさないことから好適に用いられる。そのような架橋ポリマーを具体的に示すと、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリプロピル(メタ)アクリレート、ポリイソプロピル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリイソブチル(メタ)アクリレート、ポリヘキシル(メタ)アクリレート、ポリ−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ポリシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレート系の架橋ポリマーが挙げられる。該架橋ポリマーとしては、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記架橋ポリマーの粒径は特に制限はないが、練和時の練和感のよさを維持させる点や練和後の組成物の触感をよりよく保つ観点から、体積平均粒子径が0.1〜100μmの粉末であることが好ましく、1〜50μmの粉末であることがより好ましい。
上記の架橋ポリマーの配合量は、本発明の効果を妨げない範囲であれば特に制限されないが、調製した粉材と液材の練和感、最終組成物の柔らかさを良好なものとするため、前記Tgが0〜60℃の範囲にある(メタ)アクリル系の粉末状の非架橋ポリマー100質量部に対して、5〜100質量部の範囲で用いることが好ましく、10〜90質量部の範囲で用いることがより好ましい。
上記架橋ポリマーとしては、該ポリマーを構成する単量体単位の種類や割合、平均分子量や分子量分布、平均粒子径等の異なる2種以上の粉末状ポリマーを併用してもよい。
本発明の粘膜調整材における(1)粉材に配合される前記ガラス転移温度が0〜60℃の範囲にある(メタ)アクリル系の粉末状の非架橋ポリマーは、そのTgの低さゆえ、保存中に凝集しやすく、保存容器からの取り出しやすさや、液材との混合・練和性が低下する傾向がある。該凝集を防止するために、本発明の粘膜調整材における(1)粉材には、Tgが60℃よりも高く、且つ体積平均粒子径が1μm以下の粉末状ポリマー(以下、単に「高Tgポリマー」とも称する)をさらに添加することが好ましい。平均粒子径が1μmを越えると十分な凝集抑制効果が得られないことがある。
該高Tgポリマーとしては、架橋でも非架橋でもよく、架橋ポリマーの場合には、上記したように初期流動性(操作性)を向上させる効果も同時に得ることができる。しかしながら、体積平均粒子径が1μm以下の架橋ポリマー粉末の入手は困難であるため、非架橋ポリマーを用いる方が好ましい。即ち、本発明の粘膜調整材における粉材(1)には、初期流動性を向上させるための粉末状の架橋ポリマー(通常、体積平均粒子径が1μm以上)と、保存時の凝集を防止するためのTgが60℃より高く、且つ体積平均粒子径が1μm以下の粉末状の非架橋ポリマー(以下、単に「高Tg非架橋ポリマー」とも称する)との双方が更に配合されていることが好ましい。
このような高Tgポリマーとしては公知の如何なるものでもよいが、一般に化学的安定性、透明性などの点で、(メタ)アクリル系ポリマーが好適に使用され、中でも義歯床を構成するポリマーに組成の類似したポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)が特に好適に使用される。
上記、高Tgポリマーの配合量は、凝集防止効果が得られ、かつ、本発明の効果を妨げない範囲であれば特に制限はない。高Tgポリマーとして架橋したものを用いる場合には、前述のような初期流動性の向上効果も併せて得るために、前記低Tg非架橋ポリマー100質量部に対して、5〜100質量部の範囲で用いることが好ましく、10〜90質量部の範囲で用いることがより好ましい。高Tgポリマーとして非架橋のものを用いる場合には、練和性の観点などから、前記低Tg非架橋ポリマー100質量部に対して、0.01〜30質量部の範囲で用いることが好ましく、0.1〜20質量部の範囲で用いることがより好ましい。
本発明の粘膜調製材における(1)粉材に、架橋ポリマーと高Tg非架橋ポリマーとの双方を配合する場合には、両者を合わせて、前記低Tg非架橋ポリマー100質量部に対して、100質量部以下の範囲で用いる。より具体的に特に好適な配合量を示せば、低Tg非架橋ポリマー100質量部に対して、架橋ポリマーが10〜90質量部と、高Tg非架橋ポリマーが0.1〜20質量部とが配合されており、かつ該架橋ポリマーと高Tg非架橋ポリマーの合計量が10.1〜100質量部となる範囲である。
上記Tgが60℃よりも高い粉末状ポリマーとしては、該ポリマーを構成する単量体単位の種類や割合、平均分子量や分子量分布、平均粒子径等の異なる2種以上の粉末状ポリマーを併用してもよい。
本発明の粘膜調整材には、さらに無機粉末を加えてもよい。無機粉末を加えることにより、最終的な組成物の硬度を調整することができる。
即ち、本発明の粘膜調整材に無機粉末が配合されることにより、最終的な硬度が高くなる。従って、保存安定性、練和性、経済性等の観点から決定された他の配合成分(上記、各ポリマー粉末や、後述する液材に配合される液状ポリマー、有機溶媒等)を所定の割合で混合して得られる組成物の硬度が柔らかくなりすぎる場合には、無機粉末を加えて粘膜調整材として適切な所望の硬度(ショアAで5〜20程度。好ましくは10〜20程度)に上げることができる。該無機粉末は粉材、液材のいずれに加えても良いが、保存安定性、練和性等の観点から粉材に配合することが好ましい。
該無機粉末の種類は特に制限されるものではなく、一般的な樹脂組成物に添加されている補強材、充填材の中から選択することが可能である。具体的に例示すると、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硅石粉末、ガラス粉末、珪藻土、シリカ、珪酸カルシウム、タルク、アルミナ、ベントナイト、ゼオライト、カオリンクレー、マイカ、石英ガラスなどが挙げられる。取扱の容易さ、液材とのなじみ、唾液への溶解性(溶出)等の観点からシリカやアルミナが好適に用いられる。
該無機粉末の粒径は特に限定されるものではないが、保存安定性、練和性等の観点から体積平均粒子径が1μm以下のものが好ましく、0.1μm以下のものがより好ましい。このような粒径の無機粒子の入手の容易さ等を考慮すると、ヒュームドシリカが最も好ましい。むろん、材質や平均粒径等の異なる2種以上の無機粉末を併用しても構わない。
上記無機粉末は、本発明の効果を妨げない範囲であれば特に制限なく加えることが可能であるが、多すぎると粘膜調整材として必要な硬度よりも高くなってしまう。また粉材と液材の練和感のよさ等の点から、無機粉末を配合する場合には、その量は、Tgが0〜60℃の範囲にある非架橋ポリマー100質量部に対して、0.001〜5質量部であることが好ましく、0.01〜2質量部であることがより好ましい。
本発明の歯科用粘膜調整材は、上記のような各成分を含む粉材(1)と、以下に述べる液材(2)とを使用直前に混合、練和して均一なペースト状にして用いるものである。
本発明における最大の特徴は、該液材(2)に、質量平均分子量が1000〜10000の範囲にあり、且つ分子量500以下のオリゴマーの割合が10質量%以下である非水溶性の液状ポリマーが含まれる点にある(以下、単に「液状ポリマー」とも称する)。該液状ポリマーを液材における主成分とすることにより、本発明の歯科用粘膜調整材が粘弾性を有すものとなり、且つ口腔内で使用しても柔軟性が長く維持される。さらに可塑剤の義歯床へ移行がないため義歯床を傷めない。なお本発明において、液状であるとは、室温〜口腔内温度、即ち18〜40℃の範囲の温度下で液状であることを意味する。該温度範囲内で液状でない場合には、粉/液練和ができなかったり、粘膜調整材がペーストにならなかったり、適度な粘弾性が得られなかったりする。
質量平均分子量が1000未満の化合物や水溶性の化合物では、該化合物は口腔内のような環境では溶出しやすく、比較的短時間で粘弾性や柔軟性が失われる場合がある。なお、非水溶性であるとは、本発明の軟質裏装材用硬化性組成物の硬化体の使用温度、即ち、口腔内の平均的な温度である37℃での、水に対する溶解度が5質量%以下であることを意味し、好ましくは水に対する溶解度が3質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以下である。上記液状重合体は前記の平均分子量の範囲を満たすものであればその分子量分布は特に制限されないが、分子量が500以下の重合体は溶出しやすく、義歯床への移行も起きやすいため本発明の効果を充分に得ることができず、よってこのような重合体は10質量%以下である必要があり、7質量%未満であることがより好ましい。また練和性などの観点から、質量平均分子量が1200〜7000の範囲にある液状ポリマーが好ましく、質量平均分子量が1500〜5000の範囲にある液状ポリマーがより好ましい。
他方、質量平均分子量が10000を超える場合には適度な硬化体に適度の柔軟性を付与することができず、粘膜調整材とすることが困難となる。また、液状でかつ質量平均分子量が10000を超えるポリマーの入手も困難である。液状ポリマーの分子量分布は前記の平均分子量の範囲を満たすものであれば特に制限されないが、一般的に分子量が大きくなるほど他の成分との相溶性が低下する傾向にあるため、分子量分布で10000を越える部分が10質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましい。
当該液状ポリマーの材質は特に限定されるものではないが、前記粉材に配合される(メタ)アクリル系の粉末状ポリマーとのなじみがよく、練和性や得られるペーストの各種物性に優れる点で、(メタ)アクリル系の液状ポリマーであることが好ましく、なかでも上記分子量の範囲で液状のポリマーが得やすい点で、(メタ)アクリル酸エステル系{(メタ)アクリレート系とも呼ぶ}のポリマーがより好ましい。なお、該(メタ)アクリル系ポリマーは、前記粉材に配合される(メタ)アクリル系ポリマーと同義である(但し、液材に配合されるものは液状であり、かつ平均分子量が限定される点で異なる)。
このような液状ポリマーの製造方法は特に限定されるものではなく、公知の方法で製造されたものを特に制限されることなく使用できるが、代表的には、(メタ)アクリル系モノマー、又は(メタ)アクリル系モノマーと、該(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能な他のモノマーを、質量平均分子量1000〜10000の範囲となるように重合させればよい。
上述の液状ポリマーを得るために用いるモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系モノマーが挙げられる。また、(メタ)アクリレート系のモノマーと共重合可能なその他のモノマーとしては、酢酸ビニル、スチレン等が挙げられる。この場合、1種又は2種以上の(メタ)アクリレート系モノマーと、1種又はそれ以上のその他の共重合可能なモノマーを重合させて得られるコポリマーを用いることが可能であるが、溶解性、膨潤性の面から前記(メタ)アクリレート系モノマーに基づく単量体単位を50モル%以上、好ましくは80モル%以上含んでなるものが好適である。
中でも、粉材に用いられる前記(メタ)アクリル系の粉末状の非架橋ポリマーとの相溶性が良好であることから、液状重合体としてはエチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートより1種選んで重合させたホモポリマー、もしくはこれらのうちの2種又はそれ以上の種類のモノマーを重合させたコポリマーが特に好適に使用される。
このような(メタ)アクリレート系ポリマーをより具体的に例示すると、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリプロピル(メタ)アクリレート、ポリイソプロピル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリ{2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート}、ポリ{エチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート}、ポリ{エチル(メタ)アクリレート−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート}、ポリ{エチル(メタ)アクリレート−メトキシエチル(メタ)アクリレート}、ポリ{エチル(メタ)アクリレート−グリシジル(メタ)アクリレート}、ポリ{ブチル(メタ)アクリレート−メトキシエチル(メタ)アクリレート}、ポリ{ブチル(メタ)アクリレート−グリシジル(メタ)アクリレート}等が挙げられる。
上記例のような単量体単位からなる質量平均分子量が1000〜10000の範囲にある液状ポリマーを得る方法は、一般的な重合反応を用いた方法で得ることができる。即ち、モノマーと重合開始剤の配合比を制御することで、所望の平均分子量を有する液状ポリマーを得ることができる。平均分子量の制御が容易なイオン重合やリビングラジカル重合が好適に用いられる。特にアニオン重合では分子量分布が非常にシャープで、質量平均分子量/数平均分子量が殆どの場合2以下の単分散に近い重合体(ポリマー)を得ることができ、分子量500以下の重合体を含まないという条件を満たすことも容易である。
むろん、本発明の粘膜調整材に配合する液状ポリマーとしては、上記分子量に関する条件を満たす限り、広い分子量分布を有するものを用いてもよいし、また、分子量分布の異なる2種以上のポリマーを併用してもよい。さらに、ポリマーを構成する単量体単位の種類や割合の異なる2種以上の液状ポリマーを併用してもよい。
本発明の粘膜調整材における液材(2)には、上記液状ポリマーに加えてさらに、水溶性有機溶媒が配合されていることが好ましい。水溶性有機溶媒を配合することにより、液材の流動性が向上して取り扱いやすくなり、さらに粉材と液材を混合、練和した際の練和性、初期流動性が向上する。これは、上記液状ポリマーが、前記粉材に配合される(メタ)アクリル系の粉末状ポリマーを溶解したり膨潤させたりする際の浸透しやすさ、なじみやすさ等を向上させるためであると考えられる。なお本発明の粘膜調整材は比較的長期に渡って口腔内で使用されるものであるため、人体への有害性が懸念される非水溶性有機溶媒は好ましくない。
添加することが可能な上記水溶性有機溶媒を具体的に例示すると、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類等が挙げられ、特に生体への為害性、臭気等の面からエタノールやイソプロピルアルコール等のアルコール類が好適であり、エタノールが特に好ましい。
上記水溶性有機溶媒の配合量は、本発明の効果を得られる範囲であれば特に制限はないが、組成物の取扱いや臭気、ペーストから溶出した後の物性変化が大きくなる可能性等の観点から、液材に配合される上記液状ポリマー100質量部に対して1〜30質量部の範囲であることが好ましい。特に3〜20質量部の範囲とすることにより、良好な操作感を得ることができる。
さらに本発明の歯科用粘膜調整材には、上記各成分に加えて、必要に応じ、染料、顔料等の着色材料、香料、抗菌剤、防黴剤等を配合してもよい。
なお本発明の粘膜調整材には、フタル酸ジエステル系可塑剤、セバシン酸ジエステル系可塑剤などの、分子量が500以下で、かつ不揮発性の成分も本発明の効果を妨げない限り含まれていてもよいが、このような成分は、徐々に溶出し、義歯床に移行してしまうなどして本発明の効果を得ることを妨げる可能性が高いため、粉材と液材とを混合して得られる最終組成物の総量を100質量%としたとき、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。前述のように、本発明の粘膜調整材では、柔軟性を付与するために用いられてきた上記のようなカルボン酸ジエステル系可塑剤が配合されていなくても充分な柔軟性が得られる。
本発明の歯科用粘膜調整材は、使用時に粉材と液材を所定量計り取り、混合・練和して用いる。粉材と液材との混合比は適宜設定され、上述したような各任意成分の配合量などにもよるが、好ましくは粉材に配合される低Tg非架橋ポリマー100質量部に対して、液材に配合される液状ポリマーの量が50〜300質量部となる範囲が好ましく、80〜250質量部となる範囲がより好ましい。また粉材と液材との割合に大きく差があると、双方を混合してもペーストとならない場合があり、該観点から、粉材と液材とを質量比で粉/液=0.5〜2.5の範囲で混合すればよいように各配合成分が調整されていることが好ましく、使用時の計量や混合も容易である点で、質量比で粉/液=0.8〜2.0程度で混合すればよいように調整されていることがより好ましい。
本発明の粘膜調整材は、上記粉材と液材とを混合・練和して得られたペースト状の組成物を義歯床の上に盛り付け、一定時間口腔内で保持させることによって所望の形状に賦形させて用いる。本発明の粘膜調整材は、従来公知の粘膜調整材に比して(メタ)アクリル系の義歯床に対する接着性が低い傾向があるため、上記盛り付けの際には、予め義歯床樹脂の表面に適当な接着剤を塗布しておくことが好ましい。これにより該粘膜調整材と義歯床とを強固に接着させることが可能である。本発明の粘膜調整材と組み合わせて用いる上記接着剤は特に限定されるものではないが、本発明者等の検討によれば、メチル(メタ)アクリレートに基づく単量体単位、及び炭素数3以上のアルコール類の(メタ)アクリレートに基づく単量体単位の双方を有する重合体(以下、単に共重合体)を0.5〜30質量%含む有機溶媒溶液からなる組成物を接着剤として用いることが特に好ましい。
上記接着剤を用いることによって(メタ)アクリル系義歯床と本発明中の歯科用粘膜調整材が効果的に接着する機構は定かではないが、上記共重合体において(メタ)アクリル系義歯床の主成分であるメチル(メタ)アクリレートに基づく単量体単位部分が義歯床と、炭素数3以上のアルコール類の(メタ)アクリレートに基づく単量体単位部分が粘膜調整材とそれぞれ絡み合うことによって、これらが接着しているものと推測される。
上記本発明の接着剤に配合させる共重合体においては、メチル(メタ)アクリレートに基づく単量体単位と炭素数3以上のアルコール類の(メタ)アクリレートに基づく単量体単位の双方を有している。これにより、メチル(メタ)アクリレートに基づく単量体単位を含まない共重合体(あるいは単独重合体)、やメチル(メタ)アクリレートの単独重合体、メチル(メタ)アクリレートとエチル(メタ)アクリレート{即ち、炭素数2のアルコールの(メタ)アクリレート}との共重合体などを用いた場合に比べて遥かに高い接着強度が得られる。
炭素数3以上のアルコールの(メタ)アクリレートとしては公知の如何なるものでもよいが、炭素数が20を越えるアルコールの(メタ)アクリレートは入手が困難であり、さらに、このような(メタ)アクリレートに基づく単量体単位が多くなるにつれ、溶媒に溶解しにくくなり、義歯床に塗布可能な溶液の調整が困難になるため、本発明における上記共重合体における、炭素数3以上のアルコール類の(メタ)アクリレートとしては、炭素数3〜20のアルコール類の(メタ)アクリレートが好ましい。
このような炭素数3〜20のアルコール類の(メタ)アクリレートを具体的に例示すると、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも、溶液の調製の容易さ、入手や合成の容易さ等の点から、炭素数3〜10のアルコール類の(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数3〜5のアルコール類の(メタ)アクリレートがより好ましい。特に好ましくは、n−ブチル(メタ)アクリレート及びi−プロピルアクリレートである。
また、上記共重合体には、上記炭素数3以上のアルコールの(メタ)アクリレートに基づく単量体単位として、炭素数などの異なる2種以上の単量体単位が含まれていてもよい。
上記共重合体における、メチル(メタ)アクリレートに基づく単量体単位と、炭素数3以上のアルコールの(メタ)アクリレートに基づく単量体単位の割合(共重合比)は特に限定されるものではないが、初期における充分な接着性と、除去の容易性を両立させやすい点で、両者がモル比で10:90〜80:20であることが好ましく、さらに15:85〜75:25であることがより好ましい。また該共重合体には、その効果を損なわない範囲で、メチル(メタ)アクリレート及び炭素数3以上のアルコール類の(メタ)アクリレート以外の重合性単量体に基づく単量体単位(その他の単量体単位)が含まれていてもよい。この場合、該その他の単量体単位の割合は、全体の20モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることが特に好ましい。
また上記共重合体における共重合の配列に特に制限はなく、またランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれでも好適に用いることができる。製造が容易な点で、ランダム共重合体が好ましい。
上記共重合体における分子量は、該共重合体が有機溶媒に溶解する範囲であれば特に制限はなく用いることが可能であるが、合成の容易さ、有機溶媒に対する溶解性の面から、質量平均分子量が5万〜100万であることが好ましく、10万〜80万であることがより好ましい。
接着剤成分として用いる上記のような共重合体は、如何なる製造方法で製造してもよく、代表的には、メチル(メタ)アクリレートと、炭素数3以上のアルコール類の(メタ)アクリレートとを公知の方法で共重合させて容易に得ることができる。また、市販品として入手することもできる。
上記メチル(メタ)アクリレートに基づく単量体単位、及び炭素数3以上のアルコール類の(メタ)アクリレートに基づく単量体単位の双方を有する重合体は、室温近辺では固体であるか、極めて高粘度の液体であるため、義歯床に塗布するために有機溶媒に溶解する必要があり、さらに、適度な塗布性と接着性を両立させるために、その濃度を0.5〜30質量%とすることが好ましい。
上記有機溶媒としては、本発明における前記共重合体を溶解させるものであれば特に限定されない。該有機溶媒を具体的に、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン等の炭化水素化合物;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物;エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール化合物;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル等のエーテル化合物;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン化合物;ぎ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル等のエステル化合物等の非ハロゲン系有機溶媒が挙げられる。さらに平成10年に厚生省より各都道府県に対して通知された医薬審307号「医薬品の残留溶媒ガイドライン」の中で医薬品中の残留溶媒について毒性によってクラス1〜3に分類がなされており、本発明の接着性調整剤においても安全性の観点からその中に示されたクラス1、2に属さない有機溶媒を使用するのがより好ましい。また、これら非ハロゲン系有機溶媒の中でも、低沸点で揮発性を有するものは乾燥が早く取扱いが容易であることから、20〜150℃の沸点を有するものが特に好適である。このような観点から、上記した中でも酢酸エチル、アセトン、エチルメチルケトン、酢酸プロピルが最も好適に使用できる。これら有機溶媒は単独で、もしくは数種類のものを混合して用いることができる。
上記のような接着剤は、(メタ)アクリル系義歯床に本発明の粘膜調整材を適用するに際し用いられる。当該(メタ)アクリル系義歯床としては、公知の(メタ)アクリル系義歯床であれば特に限定されない。一般的な(メタ)アクリル系義歯床は、ポリ(メチルメタアクリレート)を主成分とし、一部エチルメタクリレートやスチレンなどが共重合していたり、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋剤により架橋していたりする。
上記接着剤は、本発明の粘膜調製材の適用に先立って、上記のような(メタ)アクリル系義歯床への粘膜調整材の築盛時に、該義歯床表面に接着性調整剤を塗布し、有機溶媒等の揮発成分を除去、乾燥させ、ついで粘膜調整材の練和物を盛り付けて口腔内で保持させることで、粘膜調整材と義歯床とを接着させる。
前述したように、本発明の粘膜調整材は経時的な硬度変化がないため、従来公知の粘膜調整材のように頻繁に張替える必要がないが、口腔粘膜が健全な状態に回復した後には、本格的な義歯床の裏装のために除去する必要がある。この場合の除去方法は特に限定されるものではないが、以下のような剥離剤を用いること好ましい。このような剥離剤を用いることにより、極めて容易に本発明の粘膜調整材を義歯床から除去することができる。なお、前述したように、本発明の粘膜調整材は、従来公知の粘膜調整材のような可塑剤の移行がないため、剥離後の義歯床の面荒れ等もない。
上記接着剤を用いて義歯床に接着させておいた本発明の粘膜調整材を除去する際に用いる剥離剤としては、剥離剤溶液に対して30〜60質量%の水を含む有機溶媒の均一溶液からなる組成物が好適であり、非水溶性有機溶媒を含まないことがより好適である。有機溶媒のみでは、義歯床を溶解してしまい面荒れを生じる場合がある。このような剥離剤に用いられる非水溶性有機溶媒としてはアセトン、エタノール、イソプロピルアルコール等が具体的に挙げられる。
上記剥離剤を粘膜調整材と義歯床の境界部分に直接塗布し、染み込ませながら粘膜調整材を引き剥がすことで容易に除去できる。このようにして粘膜調整材を剥離した後、定法に従って義歯床裏装材を用いて裏装などが行われる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。各実施例、比較例における各種物性の評価方法は以下の通りである。
(1)ガラス転移点(Tg)の測定方法
Tgは示差走査熱量測定装置(DSC6200/セイコー社製)を用いて測定した。およそのTgよりも30℃ほど高温まで10℃/分で初期昇温を続け、そこで5分間保持後、50℃/分で降温した。次いで直ちに最昇温して得られたシグナルにおいて得られる3本の接線の交点の温度を求め、それらの中間の温度をTgとした。
(2)硬度の測定方法
柔軟性の指標であるショアA硬度は、JIS−K7215(デュロメータ タイプA)に基づいて測定した。測定は練和後37℃で一晩静置した時点と、そのまま37℃で1ヶ月間水中浸漬させた時点でそれぞれ行った。
(3)義歯床の曲げ強度測定方法
義歯床樹脂材料(アクロン/ジーシー社製)を用いて作製したアクリル板(50×50×2mm)を耐水研磨紙#800で研磨した。研磨した2枚のアクリル板の間に厚さが2mmになるように粘膜調整材を挟み、37℃の水中に1ヶ月間浸漬保存した。保存後粘膜調整材を除去し、50×10×2mmの短冊状に切断した後、オートグラフ(AG−1/島津製作所製)を用いて3点曲げ試験を行った。なお、比較として粘膜調整材を挟んでいないアクリル板について3点曲げ試験を行って得られた値(初期値)は120MPaである。
(4)接着性の評価方法
表面を800番の耐水研磨紙で注水研磨したアクリル板(アクロン/ジーシー社製)に接着剤を塗布し、粘膜調整材の粉材/液材を質量比1.1で練和して得られたペースト状の練和物を、20×20×1mmのモールドを用いて上記のアクリル板上に盛り付けた。これを37℃で10分間静置した後、接着力を評価した。即ち、アクリル板と粘膜調整材との界面からスパチュラで剥離させようとし、そのときの破壊の様子を観察し評価した。評価点は以下の判定に従い、AからCの3段階で評価した。
A:粘膜調整材の100%凝集破壊(接着力強)
B:凝集破壊と界面破壊の混合破壊(接着力弱)
C:界面破壊(接着力なし)
また、上述の方法で作製した接着サンプルを37℃の水中に1ヶ月間浸漬保存し、同様に接着力を評価した。
(5)練和時間の測定方法
予め液材を計りとっておいたラバーカップに、1.1質量倍の粉材を加えて練和を開始し、加えた粉材が液材になじみ均一なペースト状になるまでスパチュラで練和し続けた。練和開始から均一なペーストが得られるまでの時間を計測し、練和時間とした。
(6)練和時の初期粘度測定方法
動的粘弾性測定装置CSレオメーター「CVO120HR」(ボーリン社製)を用いて測定した。直径20mm、1°コーンを使用し、測定温度(プレート温度)23℃、ショアレート10(1/sec)の条件で測定した。上記(5)練和時間の測定方法に記載した方法で練和し、均一なペーストが得られた時点(練和時間)から30秒後の粘度を初期粘度とした。
(7)体積平均粒子径
ベックマンコールター社製LS230を用いて測定した。測定は水を分散媒とし、測定前に超音波で3分以上処理した後、すみやかに測定した。
(8)保存安定性の評価方法
調製した粉材の保存開始前後の体積平均粒子径の変化で評価した。即ち、調製した粉材100gをポリプロピレン製ボトルに充填し、キャップをして37℃インキュベーター中に3ヶ月間静置した。静置前後における平均粒子径を比較し、保存安定性の指標とした。平均粒子径の変化が大きいほど、ボトルからの取り出しやすさなどが変わることになり、よって保存安定性に劣る。
また各実施例及び比較例で使用した各種化合物は以下の通りである。
1.粉材成分
実施例、比較例にて用いた粉材中の主成分となる非架橋ポリマーは以下の表1に示す通りである。なお表1中、PEMA及びPOMAは、本発明における低Tg非架橋ポリマーが要求するTg範囲を外れる非架橋ポリマーであり、これらは比較例で用いた。
Figure 2006225281
製造例1
PHDMAの合成;三つ口フラスコにヘキサデシルメタクリレートを31.1g(100mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN)を0.02g、トルエン20mlを加え、窒素ガスを5ml/分の割合で2時間流しつづけた。窒素ガスを止めた後、オイルバスを取り付け、バス温度70℃で6時間攪拌を続けた。反応物を10倍量のメタノールに入れ、生じた沈殿を回収し、メタノールで洗浄した。得られた沈殿物をベンゼンに溶解した後凍結乾燥を行い、18.6gの残留物を回収した(収率60%)。これをGPC測定したところ質量平均分子量が230,000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.80であった。得られた固体を凍結粉砕機(ホソカワミクロン社製リンレックスミル)で粉砕して体積平均粒子径80μmの粉末とした。
製造例2
PTMHMAの合成;ヘキサデシルメタクリレートに代えて、3,5,5−トリメチルヘキシルメタクリレートを21.2g(100mmol)用いた以外は製造例1と同様の操作を行い、11.7gの残留物を回収した(収率55%)。これをGPC測定したところ質量平均分子量が250,000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.83であった。得られた固体を凍結粉砕機(ホソカワミクロン社製リンレックスミル)で粉砕して体積平均粒子径80μmの粉末とした。
製造例3
POMAの合成;ヘキサデシルメタクリレートに代えて、n−オクチルメタクリレートを19.8g(100mmol)用いた以外は製造例1と同様の操作を行い、10.9gの残留物を回収した(収率55%)。これをGPC測定したところ質量平均分子量が220,000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.78であった。このものは室温で液状(ペースト状)であった。
任意成分である架橋ポリマーは、以下の表2に示す通りである。
Figure 2006225281
任意成分である高Tg非架橋ポリマーとしては、質量平均分子量20万、平均粒子径0.1μmのポリメチルメタクリレート(綜研化学社製、MP1451)を用いた。なお以下では、該ポリマーをPMMAと略記する。
任意成分である無機粉末としては以下の表3に示す通りである。
Figure 2006225281
2.液材成分
実施例、比較例にて用いた液材中の主成分となる液状ポリマーは以下の表4に示す通りである。これらは以下の製造例4〜8に記すように対応するモノマーを重合させて得た。なお表2中、PBA−5〜PBA−7は、本発明における液状ポリマーが要求するオリゴマー割合及び/又は質量平均分子量範囲を外れるポリマーであり、これらは比較例で用いた。
Figure 2006225281
製造例4
PPA:トリ(n−ブチル)アルミニウムのトルエン溶液(1.0mol/l)3.0ml(3.0mmol)をトルエン40mlと混合し、−78℃に冷却した。これにt−ブチルリチウムのトルエン溶液(1.0mol/l)7.4ml(7.4mmol)を加え、数分間攪拌させた後、プロピルアクリレート14.8g(130mmol)を、反応系中の温度が上がらないように注意しながら加えた。この反応は窒素雰囲気下、標準的なシュレンク管中で行い、試薬の移動は注射器を用いて行った。トルエンはナトリウム上で還流した後、窒素雰囲気下で蒸留した。プロピルアクリレートは塩基性アルミナカラム及びモレキュラーシーブス4Aのカラムを通して精製した。24時間攪拌させた後、メタノールを加えて反応を停止させた。分液漏斗を用いて50%メタノール水溶液で洗浄した後120℃で真空乾燥して、10.2gの無色透明の液状化合物を得た(収率69%)。GPC測定したところ質量平均分子量が2000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.15であり、分子量500未満のものが5%含まれていた。
製造例5
PEA:トリ(n−ブチル)アルミニウムのトルエン溶液(1.0mol/l)2.4ml(2.4mmol)、t−ブチルリチウムのトルエン溶液(1.0mol/l)5.9ml(5.9mmol)、エチルアクリレート13.0g(130mmol)を用いて製造例4と同様の方法で合成し、8.5gの無色透明の液状化合物を得た(収率65%)。GPC測定したところ質量平均分子量が2000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.20であり、分子量500未満のものは5%含まれていた。
製造例6
PEHA:トリ(n−ブチル)アルミニウムのトルエン溶液(1.0mol/l)4.4ml(4.4mmol)、t−ブチルリチウムのトルエン溶液(1.0mol/l)10.9ml(10.9mmol)、2−エチルヘキシルアクリレート23.9g(130mmol)を用いて製造例4と同様の方法で合成し、16.3gの無色透明の液状化合物を得た(収率68%)。GPC測定したところ質量平均分子量が2000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.18であり、分子量500未満のものは5%含まれていた。
製造例7
PGA(質量平均分子量2000);トリ(n−ブチル)アルミニウムのトルエン溶液(1.0mol/l)3.0ml(3.0mmol)、t−ブチルリチウムのトルエン溶液(1.0mol/l)7.4ml(7.4mmol)、エチルアクリレート16.1g(126mmol)を用いて製造例4と同様の方法で合成し、10.1gの無色透明の液状化合物を得た(収率63%)。GPC測定したところ質量平均分子量が2000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.18であり、分子量500未満のものは5%含まれていた。
製造例8
PBA−1:トリ(n−ブチル)アルミニウムのトルエン溶液(1.0mol/l)3.0ml(3.0mmol)をトルエン40mlと混合し、−78℃に冷却した。これにt−ブチルリチウムのトルエン溶液(1.0mol/l)7.4ml(7.4mmol)を加え、数分間攪拌させた後、ブチルアクリレート16.1g(126mmol)を、反応系中の温度が上がらないように注意しながら加えた。この反応は窒素雰囲気下、標準的なシュレンク管中で行い、試薬の移動は注射器を用いて行った。トルエンはナトリウム上で還流した後、窒素雰囲気下で蒸留した。ブチルアクリレートは塩基性アルミナカラム及びモレキュラーシーブス4Aのカラムを通して精製した。24時間攪拌させた後、メタノールを加えて反応を停止させた。分液漏斗を用いて50%メタノール水溶液で洗浄した後120℃で真空乾燥して、11.6gの無色透明の液状化合物を得た(収率72%)。GPC測定したところ質量平均分子量が2000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.15であり、分子量500未満のものが5%含まれていた。
製造例9
PBA−2:トリ(n−ブチル)アルミニウムのトルエン溶液(1.0mol/l)1.0ml(1.0mmol)、t−ブチルリチウムのトルエン溶液(1.0mol/l)2.5ml(2.5mmol)を用いて製造例2と同様の方法で合成し、10.1gの無色透明の液状化合物を得た(収率63%)。GPC測定したところ質量平均分子量が6000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.12であり、分子量500未満のものが1%未満であった。
製造例10
PBA−3:トリ(n−ブチル)アルミニウムのトルエン溶液(1.0mol/l)0.76ml(0.76mmol)、t−ブチルリチウムのトルエン溶液(1.0mol/l)1.9ml(1.9mmol)を用いて製造例2と同様の方法で合成し、10.9gの無色透明の液状化合物を得た(収率68%)。GPC測定したところ質量平均分子量が8000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.15であり、分子量500未満のものは1%未満であった。
製造例11
PBA−4:トリ(n−ブチル)アルミニウムのトルエン溶液(1.0mol/l)3.0ml(3.0mmol)をトルエン40mlと混合し、−78℃に冷却した。これにn−ブチルリチウムのトルエン溶液(1.0mol/l)8.0ml(8.0mmol)を加え、数分間攪拌させた後、ブチルアクリレート16.1g(126mmol)を、反応系中の温度が上がらないように注意しながら加えた。この反応は窒素雰囲気下、標準的なシュレンク管中で行い、試薬の移動は注射器を用いて行った。トルエンはナトリウム上で還流した後、窒素雰囲気下で蒸留した。ブチルアクリレートは塩基性アルミナカラム及びモレキュラーシーブス4Aのカラムを通して精製した。24時間攪拌させた後、メタノールを加えて反応を停止させた。分液漏斗を用いて50%メタノール水溶液で洗浄した後120℃で真空乾燥して、9.6gの無色透明の液状化合物を得た(収率60%)。GPC測定したところ質量平均分子量が2000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.35であり、分子量500未満のものが8%含まれていた。
製造例12
PBA−5;三つ口フラスコにBA12.8g(100mmol)、AIBN2.0g、及びトルエン100mlを加え、窒素ガスを5ml/分の割合で2時間流しつづけた。ブチルアクリレートは塩基性アルミナカラム及びモレキュラーシーブス4Aのカラムを通して精製した。窒素ガスを止めた後、オイルバスを取り付け、噴出しないように気をつけながらバス温度70℃で2時間攪拌を続けた。分液漏斗を用いて50%メタノール水溶液で洗浄した後120℃で真空乾燥して、4.6gの無色透明の液状化合物を得た(収率36%)。GPC測定したところ質量平均分子量が2000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=2.01であり、分子量500未満のものが15%含まれていた。
製造例13
PBA−6:トリ(n−ブチル)アルミニウムのトルエン溶液(1.0mol/l)50μl(50μmol)、t−ブチルリチウムのトルエン溶液(1.0mol/l)124μl(124μmol)を用いて製造例4と同様の方法で合成し、12.3gの無色透明の液状化合物を得た(収率76%)。GPC測定したところ質量平均分子量が17000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.14であり、分子量500未満のものは含まれていなかった。
製造例14
PBA−7:トリ(n−ブチル)アルミニウムのトルエン溶液(1.0mol/l)20ml(20mmol)、t−ブチルリチウムのトルエン溶液(1.0mol/l)50ml(50mmol)を用いて製造例4と同様の方法で合成し、8.7gの無色透明の液状化合物を得た(収率54%)。GPC測定したところ質量平均分子量が300(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.15であり、分子量500未満のものが95%であった。
3.接着剤
各実施例、比較例で粘膜調製材を(メタ)アクリル系の義歯床に接着する際に用いた接着剤は以下の通りである。なお、いずれの接着材も重合体の濃度が5質量%である。また接着剤を調製する際に用いた共重合体(又は単独重合体)の製造方法は、以下の製造例15〜27に示す。
なお下記表5中の構成モノマーの欄、及び以下の製造例15〜27で用いられている略号は、以下の(メタ)アクリレート系モノマーを指す。
MMA;メチルメタクリレート
BMA;n−ブチルメタクリレート
EHMA;2−エチルヘキシルメタクリレート
i−BMA;i−ブチルメタクリレート
OMA;n−オクチルメタクリレート
ODMA;n−オクタデシルメタクリレート
BA;n−ブチルアクリレート
EMA;エチルメタクリレート
Figure 2006225281
製造例15
MMAとBMA(30:70)共重合体の合成;三つ口にMMA3.0g(30mmol)、BMA10.0g(70mmol)、AIBN0.02g、及びトルエン10mlを加え、窒素ガスを5ml/分の割合で2時間流しつづけた。窒素ガスを止めた後、オイルバスを取り付け、バス温度70℃で6時間攪拌を続けた。反応物を10倍量のメタノールに入れ、生じた沈殿を回収し、メタノールで洗浄した。得られた沈殿物をベンゼンに溶解した後凍結乾燥を行い、8.6gの残留物を回収した(収率66%)。GPC測定したところ質量平均分子量が180,000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=2.10であった。
製造例16
MMAとEHMA(30:70)共重合体の合成;製造例15においてBMAのかわりにEHMA13.9g(70mmol)を用いた以外は製造例15と同様の方法で合成を行った。その結果11.5gの共重合体を得た(収率68%)。GPC測定したところ質量平均分子量が180,000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=2.12であった。
製造例17
MMAとi−BMA(30:70)共重合体の合成;製造例15においてBMAのかわりにi−BMA10.0g(70mmol)を用いた以外は製造例15と同様の方法で合成を行った。その結果8.0gの共重合体を得た(収率62%)。GPC測定したところ質量平均分子量が180,000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=2.22であった。
製造例18
MMAとOMA(30:70)共重合体の合成;製造例15においてBMAのかわりにOMA13.9g(70mmol)を用いた以外は製造例15と同様の方法で合成を行った。その結果10.5gの共重合体を得た(収率62%)。GPC測定したところ質量平均分子量が180,000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=2.25であった。
製造例19
MMAとODMA(30:70)共重合体の合成;製造例15においてBMAのかわりにODMA23.7g(70mmol)を用いた以外は製造例15と同様の方法で合成を行った。その結果18.7gの共重合体を得た(収率70%)。GPC測定したところ質量平均分子量が180,000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=2.20であった。
製造例20
MMA、BMA、及びi−BMA(20:40:40)共重合体の合成;三つ口フラスコにMMA2.0g(20mmol)、BMA5.1g(40mmol)、i−BMA5.1g(40mmol)、AIBN0.02g、及びトルエン10mlを加え、製造例15と同様の方法で合成を行った。その結果6.1gの共重合体を得た(収率50%)。GPC測定したところ質量平均分子量が180,000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=2.30であった。
製造例21
MMAとBA(30:70)共重合体の合成;製造例15においてBMAのかわりにBA12.8g(100mmol)を用いた以外は製造例15と同様の方法で合成を行った。その結果7.2gの共重合体を得た(収率46%)。GPC測定したところ質量平均分子量が180,000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=2.32であった。
製造例22
MMAとBMA(50:50)共重合体の合成;製造例15においてMMA5.0g(50mmol)、BMA6.4g(50mmol)を加えた以外は製造例15と同様の方法で合成を行った。その結果7.4gの共重合体を得た(収率65%)。GPC測定したところ質量平均分子量が180,000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=2.15であった。
製造例23
MMAとBMA(70:30)共重合体の合成;製造例15においてMMA7.0g(70mmol)、BMA3.8g(30mmol)を加えた以外は製造例15と同様の方法で合成を行った。その結果7.1gの共重合体を得た(収率66%)。GPC測定したところ質量平均分子量が180,000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=2.12であった。
製造例24
MMAとBMA(30:70)共重合体の合成(質量平均分子量500,000);四つ口フラスコにMMA3.0g(30mmol)、BMA10.0g(70mmol)、AIBN0.01g、水15ml、及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル0.14gとラウリルアミン酢酸塩0.14gを加え、窒素ガスを5ml/分の割合で2時間流しつづけた。窒素ガスを止めた後、オイルバスを取り付け、バス温度70℃で6時間攪拌を続けた。反応後エマルジョンを凍結してポリマーを遊離させた後、得られたポリマーを10倍量のメタノールに入れ、生じた沈殿を回収し、メタノールで洗浄した。得られた沈殿物をベンゼンに溶解した後凍結乾燥を行い、8.6gの残留物を回収した(収率66%)。GPC測定したところ質量平均分子量が500,000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.65であった。
製造例25
MMA単独重合体の合成;三つ口フラスコにMMA10.0g(100mmol)、AIBN0.02g、及びトルエン10mlを加え、窒素ガスを5ml/分の割合で2時間流しつづけた。窒素ガスを止めた後、オイルバスを取り付け、バス温度70℃で6時間攪拌を続けた。反応物を10倍量のメタノールに入れ、生じた沈殿を回収し、メタノールで洗浄した。得られた沈殿物をベンゼンに溶解した後凍結乾燥を行い、7.1gの残留物を回収した(収率71%)。GPC測定したところ重量平均分子量が180,000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=2.15であった。
製造例26
BMA単独重合体の合成;三つ口フラスコにBMA14.3g(100mmol)、AIBN0.02g、及びトルエン10mlを加え、窒素ガスを5ml/分の割合で2時間流しつづけた。窒素ガスを止めた後、オイルバスを取り付け、バス温度70℃で6時間攪拌を続けた。反応物を10倍量のメタノールに入れ、生じた沈殿を回収し、メタノールで洗浄した。得られた沈殿物をベンゼンに溶解した後凍結乾燥を行い、8.7gの残留物を回収した(収率61%)。GPC測定したところ重量平均分子量が180,000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=2.20であった。
製造例27
EMA単独重合体の合成;三つ口フラスコにEMA11.4g(100mmol)、AIBN0.02g、及びトルエン10mlを加え、窒素ガスを5ml/分の割合で2時間流しつづけた。窒素ガスを止めた後、オイルバスを取り付け、バス温度70℃で6時間攪拌を続けた。反応物を10倍量のメタノールに入れ、生じた沈殿を回収し、メタノールで洗浄した。得られた沈殿物をベンゼンに溶解した後凍結乾燥を行い、6.8gの残留物を回収した(収率60%)。GPC測定したところ重量平均分子量が180,000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=2.15であった。
実施例1
Tgが20℃の非架橋ポリマーであるPBMAの粉末からなる粉材と、質量平均分子量(Mw)が2000、オリゴマー含有率が5質量%の液状ポリマーであるPPAのみからなる液材とを用いて粘膜調製材とした。この粘膜調製材の評価結果を表6に示す。なお粉材と液材とは、粉/液=1.1(質量比)で混合して用いた。
実施例2〜9、比較例1
液材として用いる液状ポリマーを表6に記載のものに変化させた以外は、実施例1と同様にして粘膜調整材を調製し、評価した。評価結果を表6に示す。
比較例2
液材として用いる液状ポリマーとして、質量平均分子量が17000のPBA−6を採用し、これを実施例1と同じ粉材と混合、練和しようとしたが、液材の粘度が極めて高く、手練和では均一な混合物(ペースト)を得ることができなかった。
Figure 2006225281
上記表6に示したように、本発明の粘膜調製材は、初期硬度が20以下と粘膜調製材として良好な値を示すのみならず、一般的な粘膜調製材の使用期間である一ヶ月経過した後でも硬度変化が殆どない。特に分子量500以下のオリゴマー含有率が7質量%未満のものは、それよりも多い場合(実施例8)に比べてさらに優れている。それに対し、オリゴマー含有率が15質量%の場合(比較例1)には、一ヵ月後には初期硬度の2.3倍にもなっており、このような組成の粘膜調製材では、頻繁に張り替えが必要になる。また、オリゴマー含有率が低くても平均分子量が高い場合(比較例2)には、粉材と液材の混合が困難であり、歯科用の粘膜調製材としての使用は困難である。
さらに、実施例5と、実施例6、7との比較などから理解されるように、液状ポリマーの質量平均分子量が低い方が、均一になるまでの練和時間が短くてすみ、その練和物の粘度も低いため操作性に優れる。
比較例3
粉材に用いる粉末状の非架橋ポリマーとしてTgが65℃であるPEMAを用いた以外は実施例1と同様にして評価した。その評価結果を前掲した実施例1の結果と併せて表7に示すが、この場合には、調製初期の硬度が高すぎて粘膜調製材としての使用はできなかった。
比較例4
粉材に用いる非架橋ポリマーとして、Tgが−20℃のPOMAを用いて粘膜調整材用の粉材を調製しようとしたが、前記製造例3に記載の通り、このポリマーは室温でペースト状であったため、粉材の調製ができなかった。
Figure 2006225281
実施例10〜12
液材として用いる液状ポリマーを、質量平均分子量2000、オリゴマー含有率5質量%のPBA−1に固定し、粉材に用いる非架橋ポリマーを表7に示すように変化させ、実施例1と同様に粉材/液材=1.1の比で混合したものを粘膜調整材として各種評価を行った。結果を前記実施例5の結果と併せて表7に示す。
Figure 2006225281
実施例13
粉末状の非架橋ポリマーとしてTgが20℃のPBMAを用いた粉材と、液状ポリマーとしてのPBA−1が100質量部と、有機溶媒としてのイソプロピルアルコール(IPA)が10質量部との混合液からなる液材とを用い、粉材/液材=1.1で混合練和して粘膜調整材を調製して評価を行った。結果を表9に示す。
実施例14〜17
液材に配合する有機溶媒の種類及び量を変化させた以外は実施例13と同様にして粘膜調整材を調製し評価を行った。結果を表9に示す。
Figure 2006225281
表9に示すように、液材に少量の水溶性有機溶媒を配合することにより、配合しない場合(例えば、実施例5)に比べて練和時間が大幅に短縮され、より操作性に優れる粘膜調整材とすることができる。さらにこのように水溶性有機溶媒を配合しても、他の物性に与える影響は殆どない。
比較例5
液材として、質量平均分子量300(分子量500以下のものの割合95wt%)のPBA−7が100質量部と、エタノールが20質量部との混合液を用いて実施例13と同様にして評価を行った。結果を表9に示したが、この場合には、初期の硬度は良好なものの、一ヶ月経過後には硬度が著しく上昇していた。これは上記液状ポリマーの分子量が小さく、経時的に抜けていっていまったためであると推測される。
比較例6,7
液材として、従来から粘膜調整材における可塑剤として使用されているセバシン酸エステル系(2−エチルヘキシルセバケート;分子量427)又はフタル酸エステル系(2−エチルヘキシルフタレート;分子量391)の可塑剤100質量部と、エタノール10質量部とからなる混合液を用い、実施例13と同様にして評価を行った。結果を表9に示したが、この場合にも上記比較例5と同様に、一ヶ月後には硬度が上昇してしまうのみならず、義歯床(アクリル板)の曲げ強度も半分程度まで低下してしまった。
実施例18〜27
表10に示す組成の粉材と液材とを調製、粉材/液材=1.1(質量比)で混合して粘膜調製材とし、物性を評価した。結果を表11に示す。
Figure 2006225281
Figure 2006225281
上記表10,11から明らかなように、粉材に架橋ポリマーを配合することにより(実施例18〜20,26,27)、配合しない場合(実施例5等)に比べて初期粘度が低下し、より操作性に優れる粘膜調整材とすることができる。
また実施例21,26,27などに示されるように、高Tgポリマーを配合することにより、粉材を保存しておいても平均粒径の変化が少ない。このため、粉材を長期間保存しておいても、操作感が変わってしまうなどの問題が少なくなる。
また実施例22〜25などに示されるように、少量の無機粉末を配合することにより、最終練和物の硬度を向上させることができ、これにより物性の微調整が容易となる。また、粉材の粒径変化も無機粉末の配合により若干抑制することができる。
実施例28
実施例5で評価したのと同じ粘膜調整材を用い、前記した接着剤A1−1を用いて接着性の評価を行った。結果を表12に示す。
実施例29〜44、参考例1〜4
粘膜調整材、接着剤をそれぞれ表12に示すように変化させて接着性の評価を行った。結果を併せて表12に示す。
Figure 2006225281
表12に示したように、本発明の粘膜調整材を(メタ)アクリル系の義歯床に接着するためには、メチル(メタ)アクリレートと炭素数3〜20のアルコール類の(メタ)アクリレートとの共重合体、及び有機溶媒を含んでなる溶液が優れた効果を発揮する。

Claims (9)

  1. (1)粉材と(2)液材とに分割して包装、保存されており、使用時には両材を混和したペーストとして用いる歯科用粘膜調整材において、(1)粉材が、ガラス転移温度が0〜60℃の範囲にある(メタ)アクリル系の粉末状の非架橋ポリマーを主成分とし、(2)液材が、質量平均分子量が1000〜10000の範囲にあり、かつ分子量500以下のオリゴマーの割合が10質量%以下の液状ポリマーを主成分とすることを特徴とする歯科用粘膜調整材。
  2. (2)液材が、水溶性有機溶媒をさらに含むものである請求項1記載の歯科用粘膜調整材。
  3. (1)粉材が、粉末状の架橋ポリマーをさらに含むものである請求項1又は2記載の歯科用粘膜調整材。
  4. (1)粉材が、ガラス転移温度が60℃より高く、且つ体積平均粒子径が1μm以下の粉末状のポリマーをさらに含むものである請求項1又は2記載の歯科用粘膜調整材。
  5. (1)粉材が、粉末状の架橋ポリマーと、ガラス転移温度が60℃より高く、且つ体積平均粒子径が1μm以下の粉末状の非架橋ポリマーとの双方をさらに含むものである請求項1又は2記載の歯科用粘膜調整材。
  6. (1)粉材が、無機粉末をさらに含む請求項1乃至5記載の歯科用粘膜調整材。
  7. (メタ)アクリル系義歯床に、メチル(メタ)アクリレートと炭素数3〜20のアルコール類の(メタ)アクリレートとの共重合体、及び有機溶媒とを含んでなる液状接着剤を塗布、乾燥し、ついで、請求項1乃至6記載の歯科用粘膜調整材を築盛することを特徴とする粘膜調整材が築盛された(メタ)アクリル系義歯床の製造方法。
  8. 請求項1乃至6記載の歯科用粘膜調整材と、(メタ)アクリル系義歯床とを接着させるために用いる、メチル(メタ)アクリレートと炭素数3〜20のアルコール類の(メタ)アクリレートとの共重合体、及び有機溶媒とを含んでなる液状接着剤。
  9. 請求項1乃至6記載の歯科用粘膜調整材と、請求項8記載の接着剤とからなる歯科用粘膜調整材キット。
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