JP2006224950A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量で且つ耐久性に優れる上、操縦安定性にも優れた空気入りラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】サイド補強層8を備えた空気入りラジアルタイヤにおいて、1本当りの総デシテックスが1000〜6000dtexであり、下記式(I)及び式(II):
σ ≧ -0.01×E + 1.2 ・・・ (I)
σ ≧ 0.02 ・・・ (II)
[式中、σは、177℃における熱収縮応力(cN/dtex)であり;Eは、25℃における49N荷重時の弾性率(cN/dtex)である]の条件を満たすポリケトン繊維コードをコーティングゴムで被覆して前記サイド補強層8を構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りラジアルタイヤ、特にサイドウォール部の少なくとも一部にサイド補強層を備え、軽量で且つ耐久性に優れる上、操縦安定性にも優れた空気入りラジアルタイヤに関するものである。
昨今、車両の高速化に伴い、走行中のタイヤの各部に加わる力も大きくなってきており、これらの力に対し、タイヤの変形を防止して操縦安定性を改善することが求められている。この要請に対して、タイヤのサイドウォール部のゲージを厚くすることが考えられるが、この場合、タイヤの重量が増加してしまい、タイヤの低燃費性が悪化するという問題がある。
これに対して、タイヤの重量を増加させること無く、タイヤのサイドウォール部の剛性を高める手法として、スチールコード又は有機繊維コードをコーティングゴムで被覆してなるサイド補強層をサイドウォール部の少なくとも一部に配設する手法が採られている(特許文献1参照)。
特開2001−191743号公報
しかしながら、上記サイド補強層の補強部材としてスチールコードを用いた場合、タイヤの剛性が向上して、操縦安定性が向上するものの、タイヤの重量が増加して、転がり抵抗が増加するという問題がある。
一方、上記サイド補強層の補強部材として弾性率の高いアラミド繊維コードを用いた場合、タイヤ重量の増加を抑制しつつ、操縦安定性を向上させることができるが、該アラミド繊維コードは、熱収縮率が非常に小さいため、タイヤ中にたるみ無く配置することが難しく、配設位置、コードの長さ、コードの角度が制約されるという問題がある。また、配設されたアラミド繊維コードにたるみが発生してしまった場合、タイヤの操縦安定性を十分に改善することができないばかりでなく、たるみに起因する座屈の発生によって、タイヤの耐久性が大幅に低下してしまうという問題もある。
また、適度な熱収縮性を有するポリエステルやナイロンからなるコードは、上述のアラミド繊維コードを用いる場合のような製造上の難しさは無いものの、ポリエステルやナイロンからなるコードは、上記スチールコードやアラミド繊維コードに比べて弾性率が小さいため、タイヤの剛性を十分に高めることができず、結果として、タイヤの操縦安定性を十分に向上させることができない。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、軽量で且つ耐久性に優れる上、操縦安定性にも優れた空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、サイド補強層を備える空気入りラジアルタイヤにおいて、該サイド補強層に特定の熱収縮応力、弾性率及び総デシテックスのポリケトン繊維コードを用いることで、製造中のコードのたるみの発生を防止することができ、また、タイヤの重量を増加させること無く、操縦安定性を大幅に改善できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の空気入りラジアルタイヤは、一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在して、これら各部を補強する少なくとも一枚のカーカスプライからなるカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置した少なくとも二枚のスチールベルト層からなるベルトと、前記ビード部から前記サイドウォール部を経て前記トレッド部のショルダー部までの領域の少なくとも一部に配置した少なくとも一層のサイド補強層とを備えた空気入りタイヤにおいて、
前記サイド補強層がマルチフィラメント撚りのポリケトン繊維コードをコーティングゴムで被覆してなり、該ポリケトン繊維コードの1本当りの総デシテックスが1000〜6000dtexであり、更に、該ポリケトン繊維コードが下記式(I)及び式(II):
σ ≧ -0.01×E + 1.2 ・・・ (I)
σ ≧ 0.02 ・・・ (II)
[式中、σは、177℃における熱収縮応力(cN/dtex)であり;Eは、25℃における49N荷重時の弾性率(cN/dtex)である]の条件を満たすことを特徴とする。
ここで、上記ポリケトン繊維コードの177℃における熱収縮応力σは、一般的なディップ処理を施した加硫前のポリケトン繊維コードの25cmの長さ固定サンプルを5℃/分の昇温スピードで加熱して、177℃時にコードに発生する応力であり、また、上記ポリケトン繊維コードの25℃における49N荷重時の弾性率Eは、JISのコード引張り試験によるSSカーブの49N時の接線から算出した単位cN/dtexでの弾性率である。
本発明の空気入りラジアルタイヤの好適例においては、前記ポリケトン繊維コードが、下記一般式(III):
Figure 2006224950

[式中、Aは不飽和結合によって重合された不飽和化合物由来の部分であり、各繰り返し単位において同一でも異なっていてもよい]で表される繰り返し単位から実質的になるポリケトンの繊維からなる。ここで、前記式(III)中のAがエチレン基であることが特に好ましい。
本発明の空気入りラジアルタイヤの好適例においては、前記ポリケトン繊維コードは、高温下で収縮し、室温に戻すと伸長する可逆性を有する。
本発明によれば、特定の熱収縮応力、弾性率及び総デシテックスのポリケトン繊維コードをコーティングゴムで被覆してなるサイド補強層を備えた、軽量で且つ耐久性に優れる上、操縦安定性にも優れた空気入りラジアルタイヤを提供することができる。また、本発明の空気入りラジアルタイヤは、製造時にポリケトン繊維コードが弛むことが無いため、製造製に優れ、様々なタイヤ構造に対応することができる。
以下に、図を参照しながら本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の空気入りラジアルタイヤの一実施態様の右半分の断面図であり、図2、図3及び図4は、本発明の空気入りラジアルタイヤの変形例の右半分の断面図である。
図1に示すラジアルタイヤは、一対のビード部1及び一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、上記一対のビード部1間にトロイド状に延在してこれら各部1,2,3を補強する少なくとも一枚のカーカスプライからなるラジアルカーカス4と、該カーカス4のタイヤ半径方向外側に配置された少なくとも二枚のスチールベルト層からなるベルト5と、前記ビード部1内に夫々埋設したリング状のビードコア6のタイヤ半径方向外側に配置したビードフィラー7と、ビード部1からサイドウォール部2に渡って配設された少なくとも一層のサイド補強層8とを備える。
図示例のラジアルカーカス4は、一枚のカーカスプライから構成され、また、一対のビードコア6間にトロイド状に延在する本体部4aと、各ビードコア6の周りで、タイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部4bとからなるが、本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、ラジアルカーカス4のプライ数及び構造は、これに限られるものではない。
また、図示例のラジアルタイヤにおいては、上記ラジアルカーカス4のクラウン部のタイヤ半径方向外側には二枚のスチールベルト層からなるベルト5が配置されており、該スチールベルト層は、通常、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるスチールコードのゴム引き層からなり、2枚のスチールベルト層は、該スチールベルト層を構成するスチールコードが互いにタイヤ赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト5を構成する。なお、図中のベルト5は、二枚のスチールベルト層からなるが、本発明の空気入りラジアルタイヤにおいては、ベルト5を構成するスチールベルト層の枚数は、3枚以上であってもよい。
更に、図示例のラジアルタイヤにおいては、ビードフィラー7がカーカス本体部4aとカーカス折り返し部4bとの間に配置されているが、本発明の空気入りラジアルタイヤは、ビードフィラー7を備えていなくてもよい。ここで、図1に示すラジアルタイヤにおいては、一層のサイド補強層8が、ビード部1からサイドウォール部2に渡る領域においてビードフィラー7とカーカスの折り返し部4bとの間に配置されているが、本発明の空気入りラジアルタイヤは、少なくとも一層のサイド補強層8がビード部1からサイドウォール部2を経てトレッド部3のショルダー部までの領域の少なくとも一部に配置されている限り特に制限されるものではなく、二層以上のサイド補強層8を備えてもよい。
例えば、本発明の空気入りラジアルタイヤとしては、図2に示すように、サイド補強層8が、ビード部1からサイドウォール部2に渡る領域においてカーカス本体部4aとビードフィラー7との間に配置された態様、図3に示すように、サイド補強層8が、ビード部1からサイドウォール部2に渡る領域においてカーカス本体部4aとビードフィラー7との間並びにビードフィラー7とカーカスの折り返し部4bとの間の双方に配置された態様、図4に示すように、サイド補強層8が、ビード部1のビードフィラー7とカーカスの折り返し部4bとの間から、サイドウォール部2を経てトレッド部3のショルダー部まで延在した態様も好ましい。
本発明の空気入りラジアルタイヤにおいては、上記サイド補強層8に、マルチフィラメント撚りのポリケトン繊維コードをコーティングゴムで被覆してなるコード/ゴム複合体を用いる。ここで、該サイド補強層8に用いるポリケトン繊維コードは、コードの1本当りの総デシテックスが1000〜6000dtexであること、並びに下記式(I)及び式(II):
σ ≧ -0.01×E + 1.2 ・・・ (I)
σ ≧ 0.02 ・・・ (II)
[式中、σは、177℃における熱収縮応力(cN/dtex)であり;Eは、25℃における49N荷重時の弾性率(cN/dtex)である]の条件を満たすことを要する。
従来、サイド補強層8は、使用するコードの角度や幅を必要なタイヤ性能に応じて設定できるという利点を有していたが、加硫前の生タイヤと加硫後の製品タイヤとの形状の違いにより、加硫時に圧縮される部分があるため、サイド補強層8に熱収縮率の小さい有機繊維コード、例えば、アラミド繊維コードを使用した場合、加硫時の圧縮歪を吸収することができず、製品タイヤ中でコードがたるんだり、該たるみに起因して座屈が発生するという問題があり、特に、コードの角度を0°(タイヤ半径方向)や90°(タイヤ周方向)にした場合、この現象が発生し易い。なお、サイド補強層8にスチールコードを用いた場合は、スチールコード自体に真直性があるため、有機繊維コードを使用した場合よりも、たるみや座屈が発生しにくいものの、上述のように、タイヤの重量が増加して、転がり抵抗が増加するという問題がある。
これに対し、上記ポリケトン繊維コードは、高温時、即ち、177℃における熱収縮応力が高く、即ち、高温時に十分に熱収縮するため、タイヤの製造中にたるみなく、タイヤ中に配置することができる。そのため、本発明の空気入りラジアルタイヤでは、コードのたるみに起因する座屈の発生がなく、タイヤの耐久性を十分に維持することができる。ここで、上記ポリケトン繊維コードは、高温下で収縮し、室温に戻すと伸長する可逆性を有することが好ましい。この場合、タイヤ製造中のコードのたるみを確実に防止しつつ、タイヤの操縦安定性を十分に向上させることができる。また、20℃と177℃での熱収縮応力の差が0.20cN/dtex以上、好ましくは0.25cN/dtex以上の可逆的なポリケトン繊維コードを用いることで、通常走行時と高速走行時での効果を両立することができる。
また、上記式(I)及び式(II)の関係を満たすポリケトン繊維コードは、適度な熱収縮率を有する上、アラミド繊維コードに近い弾性率を有するため、タイヤの剛性を十分に向上させることができ、その結果、タイヤの操縦安定性を大幅に向上させることができる。なお、上記ポリケトン繊維コードの177℃における熱収縮応力σが0.02cN/dtex未満では、熱収縮が小さ過ぎるため、加硫時にコードがたるみ、また、弛みに起因して座屈が発生し易くなるため、タイヤの耐久性が低下する。また、式(I)の関係を満たさないポリケトン繊維コードでは、コードの熱収縮応力が高い(十分な熱収縮性を有する)と、弾性率が低過ぎ、一方、弾性率が高いと、熱収縮応力が小さ過ぎる(熱収縮性が不足する)ため、いずれの場合も、製造中のたるみの発生の防止と、タイヤの剛性の向上とを同時に達成することができないため、タイヤの操縦安定性を十分に向上させることができない。
ここで、上記ポリケトン繊維コードは、177℃における熱収縮応力σが1.5cN/dtex以下であることが好ましい。ポリケトン繊維コードの177℃における熱収縮応力σが1.5cN/dtexを超えると、加硫時の収縮力が大きくなり過ぎ、結果的に、タイヤ内部のコード乱れやゴムの配置乱れを引き起こし、耐久性の悪化やユニフォミティーの悪化を招いてしまう。また、上記ポリケトン繊維コードは、生タイヤの加硫時にコードの配置が乱れるのを防止する観点から、177℃における熱収縮応力σが1.30cN/dtex以下であることが更に好ましく、0.90cN/dtex以下であることがより一層好ましい。更に、上記ポリケトン繊維コードは、走行中のタイヤの変形を防止して操縦安定性を向上させる観点から、177℃における熱収縮応力σが0.05cN/dtex以上であることが好ましく、0.15cN/dtex以上であることが更に好ましく、0.4cN/dtex超であることがより一層好ましい。また更に、上記ポリケトン繊維コードは、走行中のタイヤの変形を防止して操縦安定性を向上させる観点から、25℃における49N荷重時の弾性率Eが60cN/dtex以上であることが好ましく、100cN/dtex以上であることが更に好ましい。
更に、上記ポリケトン繊維コードは、1本当りの総デシテックスが1000〜6000dtexであるため、高剛性で且つタイヤの操縦安定性を十分に向上させることができる上、スチールコードよりも軽く、タイヤの軽量化を可能とする。ここで、使用するポリケトン繊維コードの1本当りの総デシテックスが1000dtex未満では、高剛性なサイド補強層を1枚で構成することができず、また、6000dtexを超えると、サイド補強層のゲージが厚くなってしまい、タイヤを軽量化することができなくなる。
本発明の空気入りラジアルタイヤに用いるポリケトン繊維コードは、上記式(III)で表される繰り返し単位から実質的になるポリケトンのマルチフィラメントからなることが好ましい。また、式(III)で表される繰り返し単位から実質的になるポリケトンの中でも、繰り返し単位の97モル%以上が1-オキソトリメチレン[−CH2−CH2−CO−]であるポリケトンが好ましく、99モル%以上が1-オキソトリメチレンであるポリケトンが更に好ましく、100モル%が1-オキソトリメチレンであるポリケトンが最も好ましい。
上記ポリケトン繊維コードの原料のポリケトンは、部分的にケトン基同士、不飽和化合物由来の部分同士が結合していてもよいが、不飽和化合物由来の部分とケトン基が交互に配列している部分の割合が90質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
また、上記式(III)において、Aを形成する不飽和化合物としては、エチレンが最も好ましいが、プロピレン,ブテン,ペンテン,シクロペンテン,ヘキセン,シクロヘキセン,ヘプテン,オクテン,ノネン,デセン,ドデセン,スチレン,アセチレン,アレン等のエチレン以外の不飽和炭化水素や、メチルアクリレート,メチルメタクリレート,ビニルアセテート,アクリルアミド,ヒドロキシエチルメタクリレート,ウンデセン酸,ウンデセノール,6-クロロヘキセン,N-ビニルピロリドン,スルニルホスホン酸のジエチルエステル,スチレンスルホン酸ナトリウム,アリルスルホン酸ナトリウム,ビニルピロリドン及び塩化ビニル等の不飽和結合を含む化合物等であってもよい。
更に、上記ポリケトンの重合度としては、下記式:
Figure 2006224950

[式中、t及びTは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノール及び該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間であり;Cは、上記希釈溶液100mL中の溶質の質量(g)である]で定義される極限粘度[η]が1〜20dL/gの範囲にあることが好ましく、2〜10dL/gの範囲にあることが更に好ましく、3〜8の範囲にあることがより一層好ましい。極限粘度が1dL/g未満では、分子量が小さ過ぎて、高強度のポリケトン繊維コードを得ることが難しくなる上、紡糸時、乾燥時及び延伸時に毛羽や糸切れ等の工程上のトラブルが多発することがあり、一方、極限粘度が20dL/gを超えると、ポリマーの合成に時間及びコストがかかる上、ポリマーを均一に溶解させることが難しくなり、紡糸性及び物性に悪影響が出ることがある。
上記ポリケトンの繊維化方法としては、(1)未延伸糸の紡糸を行った後、多段熱延伸を行い、該多段熱延伸の最終延伸工程で特定の温度及び倍率で延伸する方法や、(2)未延伸糸の紡糸を行った後、熱延伸を行い、該熱延伸終了後の繊維に高い張力をかけたまま急冷却する方法が好ましい。上記(1)又は(2)の方法でポリケトンの繊維化を行うことで、上記ポリケトン繊維コードの作製に好適な所望のフィラメントを得ることができる。
ここで、上記ポリケトンの未延伸糸の紡糸方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、特開平2−112413号、特開平4−228613号、特表平4−505344号に記載のようなヘキサフルオロイソプロパノールやm-クレゾール等の有機溶剤を用いる湿式紡糸法、国際公開第99/18143号、国際公開第00/09611号、特開2001−164422号、特開2004−218189号、特開2004−285221号に記載のような亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液を用いる湿式紡糸法が挙げられ、これらの中でも、上記塩の水溶液を用いる湿式紡糸法が好ましい。
例えば、有機溶剤を用いる湿式紡糸法では、ポリケトンポリマーをヘキサフルオロイソプロパノールやm-クレゾール等に0.25〜20質量%の濃度で溶解させ、紡糸ノズルより押し出して繊維化し、次いでトルエン,エタノール,イソプロパノール,n-ヘキサン,イソオクタン,アセトン,メチルエチルケトン等の非溶剤浴中で溶剤を除去、洗浄してポリケトンの未延伸糸を得ることができる。
一方、水溶液を用いる湿式紡糸法では、例えば、亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液に、ポリケトンポリマーを2〜30質量%の濃度で溶解させ、50〜130℃で紡糸ノズルから凝固浴に押し出してゲル紡糸を行い、更に脱塩、乾燥等してポリケトンの未延伸糸を得ることができる。ここで、ポリケトンポリマーを溶解させる水溶液には、ハロゲン化亜鉛と、ハロゲン化アルカリ金属塩又はハロゲン化アルカリ土類金属塩とを混合して用いることが好ましく、凝固浴には、水、金属塩の水溶液、アセトン、メタノール等の有機溶媒等を用いることができる。
また、得られた未延伸糸の延伸法としては、未延伸糸を該未延伸糸のガラス転移温度よりも高い温度に加熱して引き伸ばす熱延伸法が好ましく、更に、該未延伸糸の延伸は、上記(2)の方法では一段で行ってもよいが、多段で行うことが好ましい。該熱延伸の方法としては、特に制限はなく、例えば、加熱ロール上や加熱プレート上に糸を走行させる方法等を採用することができる。ここで、熱延伸温度は、110℃〜(ポリケトンの融点)の範囲が好ましく、総延伸倍率は、10倍以上であることが好ましい。
上記(1)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、上記多段熱延伸の最終延伸工程における温度は、110℃〜(最終延伸工程の一段前の延伸工程の延伸温度−3℃)の範囲が好ましく、また、多段熱延伸の最終延伸工程における延伸倍率は、1.01〜1.5倍の範囲が好ましい。一方、上記(2)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、熱延伸終了後の繊維にかける張力は、0.5〜4cN/dtexの範囲が好ましく、また、急冷却における冷却速度は、30℃/秒以上であることが好ましく、更に、急冷却における冷却終了温度は、50℃以下であることが好ましい。ここで、熱延伸されたポリケトン繊維の急冷却方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、ロールを用いた冷却方法が好ましい。なお、こうして得られるポリケトン繊維は、弾性歪みの残留が大きいため、通常、緩和熱処理を施し、熱延伸後の繊維長よりも繊維長を短くすることが好ましい。ここで、緩和熱処理の温度は、50〜100℃の範囲が好ましく、また、緩和倍率は、0.980〜0.999倍の範囲が好ましい。
上記ポリケトン繊維コードは、上記ポリケトン製の繊維(PK繊維)を複数本撚り合わせてなり、例えば、上記PK繊維に下撚りをかけ、次いでこれを複数本合わせて、逆方向に上撚りをかけ、撚糸コードとして得ることができる。ここで、該ポリケトン繊維コードは、双撚り構造であることが好ましい。
上記のようにして得られたポリケトン繊維コードをコーティングゴムで被覆することで、上記サイド補強層8に用いるコード/ゴム複合体を得ることができる。ここで、コーティングゴムとしては、特に制限は無く、従来のサイド補強層に用いていたコーティングゴムを用いることができる。なお、ポリケトン繊維コードのコーティングゴムによる被覆に先立って、ポリケトン繊維コードに接着剤処理を施し、コーティングゴムとの接着性を向上させてもよい。
本発明の空気入りラジアルタイヤは、サイド補強層8に上述のポリケトン繊維コードをゴム引きしてなるコード/ゴム複合体を適用し、常法により製造することができる。なお、本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、タイヤ内に充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
図1〜図4のいずれかに示す構造を有する、サイズ205/65R15のラジアルタイヤを常法に従って試作した。なお、供試タイヤのカーカスは、コード構造が1670dtex/2で、撚り数が40×40/10cmのPET製コードを、打ち込み数100本/10cm、角度0°(タイヤのラジアル方向)で配置したカーカスプライ一枚からなり、また、ベルトは、1×5×0.25mm構造のスチールコードを、打ち込み数80本/10cm、角度70°で配置したスチールベルト層二枚からなる。
また、使用したコードの177℃における熱収縮応力σとして、一般的なディップ処理を施した加硫前のポリケトン繊維コードの25cmの長さ固定サンプルを5℃/分の昇温スピードで加熱して、177℃の時にコードに発生した応力を測定し、更に、使用したコードの25℃における49N荷重時の弾性率Eとして、JISのコード引張り試験によるSSカーブの49N時の接線から算出した単位cN/dtexでの弾性率を測定した。
上記のようにして得られたラジアルタイヤに対して、下記の方法で、操縦安定性及び耐久性を評価した。また、得られたタイヤの重量を比較例1のタイヤの重量を100%として、%表示した。これらの結果を、得られたタイヤの所見と共に表1に示す。
(1)操縦安定性
供試タイヤを実車に4本装着して、実車走行させ、ドライバーのフィーリングにて評価した。操縦安定性の評価基準を以下に示す。
+3:比較例1のタイヤに比べ一般ドライバーにも良いと認識できるレベル
+2:比較例1のタイヤに比べプロドライバーが良いと認識できるレベル
+1:比較例1のタイヤに比べプロドライバーが若干良いと認識レベル
±0:比較例1のタイヤと同等
−1:比較例1のタイヤに比べプロドライバーが若干悪いと認識できるレベル
−2:比較例1のタイヤに比べプロドライバーが悪いと認識できるレベル
−3:比較例1のタイヤに比べ一般ドライバーにも悪いと認識できるレベル
(2)耐久性
JATMAの最大荷重条件の200%荷重にてタイヤを走行させ20,000kmまで故障しないものをOKと判断し、20,000km未満で故障したものをNGと判断した。
Figure 2006224950
表1から、上記式(I)及び式(II)を満たし、総デシテックスが1000〜6000dtexのポリケトン繊維コードを用いた実施例のタイヤは、スチールコードを用いた比較例1と同等以上の操縦安定性を有し、また、比較例1に比べて軽量で且つ十分な耐久性を有していた。
一方、アラミド繊維コードを用いた比較例2のタイヤは、たるみがあるため、操縦安定性が劣っており、また、比較例3のタイヤは、座屈があるため、操縦安定性が劣る上、タイヤの耐久性も悪かった。更に、総デシテックスが1000〜6000dtexであるものの、上記式(I)を満たさないポリケトン繊維コードを用いた比較例4のタイヤは、比較例1のタイヤに比べて、操縦安定性が劣っていた。
本発明の空気入りラジアルタイヤの一実施態様の右半分の断面図である。 本発明の空気入りラジアルタイヤの変形例の右半分の断面図である。 本発明の空気入りラジアルタイヤの他の変形例の右半分の断面図である。 本発明の空気入りラジアルタイヤのその他の変形例の右半分の断面図である。
符号の説明
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 ラジアルカーカス
4a カーカス本体部
4b カーカス折り返し部
5 ベルト
6 ビードコア
7 ビードフィラー
8 サイド補強層

Claims (4)

  1. 一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在して、これら各部を補強する少なくとも一枚のカーカスプライからなるカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置した少なくとも二枚のスチールベルト層からなるベルトと、前記ビード部から前記サイドウォール部を経て前記トレッド部のショルダー部までの領域の少なくとも一部に配置した少なくとも一層のサイド補強層とを備えた空気入りラジアルタイヤにおいて、
    前記サイド補強層がマルチフィラメント撚りのポリケトン繊維コードをコーティングゴムで被覆してなり、該ポリケトン繊維コードの1本当りの総デシテックスが1000〜6000dtexであり、更に、該ポリケトン繊維コードが下記式(I)及び式(II):
    σ ≧ -0.01×E + 1.2 ・・・ (I)
    σ ≧ 0.02 ・・・ (II)
    [式中、σは、177℃における熱収縮応力(cN/dtex)であり;Eは、25℃における49N荷重時の弾性率(cN/dtex)である]の条件を満たすことを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記ポリケトン繊維コードが、下記一般式(III):
    Figure 2006224950

    [式中、Aは不飽和結合によって重合された不飽和化合物由来の部分であり、各繰り返し単位において同一でも異なっていてもよい]で表される繰り返し単位から実質的になるポリケトンの繊維からなることを特徴とする請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記式(III)中のAがエチレン基であることを特徴とする請求項2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記ポリケトン繊維コードは、高温下で収縮し、室温に戻すと伸長する可逆性を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
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