JP2006214118A - 既設橋梁の鋼床版補強装置及び補強方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Uリブ15にボルト30を通し、Uリブ15の内部に軽量モルタル等の充填材50を充填し、この充填材50内にボルト15の中間部を埋め込む。ボルト30がUリブ15の外部に突出した部分を用いて補強部材20のベース部21をUリブ15の外側面に取り付けるとともに、この補強部材20とボルト30の突出部分にねじ込んだナット32との間にカム機構40を挟んでおく。そして、ボルト30を締め付けカム機構40のカム作用で補強部材20の押し当て部23を鋼床版13に押し当てる。
【選択図】図3
Description
特許文献1:特開2001−248114に記載のものでは、Uリブの内部にコンクリートを充填している。
特許文献2:特開2002−173912に記載のものでは、Uリブより下側にこれと直交するように補強桁を架け渡し、この補強桁に設けた支持金具にてUリブを下から支持するようになっている。
特許文献3:特開2003−183769には、鋼材の材質として疲労亀裂しにくいものを用いることが記載されている。
既設橋梁においてリブが溶接された鋼床版を補強する装置であって、
(a)前記リブに摺動可能に宛がわれるとともにボルトにて止められるベース部と、前記鋼床版に押し当てられるべき押し当て部とを有する補強部材と、
(b)前記補強部材のベース部と前記ボルトの頭部又はナットとの間に設けられ、前記ボルトの締め込み力を前記補強部材の前記鋼床版への押力に変換するカム機構と、
を備えたことを特徴とする。
これによって、動荷重による鋼床版の変形を抑制でき、鋼床版とリブの溶接部における局所応力を緩和でき、疲労寿命を向上させることができる。
充填材は、軽量モルタル又は軽量コンクリートであることが望ましい。これによって、自荷重を軽減できる。
前記リブに補強部材をボルトにて取り付けるとともにこの補強部材とボルトの頭部又はナットとの間にカム機構を挟んでおき、ボルトを締め付け前記カム機構のカム作用で前記補強部材を鋼床版に押し当てることを特徴とする。
さらに、前記ボルトがUリブの外部に突出した部分を用いて補強部材をUリブの外側面に取り付け、この補強部材と前記ボルトの突出部分にねじ込んだナットとの間にカム機構を挟んでおき、
前記ボルトを締め付け前記カム機構のカム作用で前記補強部材を鋼床版に押し当てることが望ましい。
[第1実施形態]
図1及び図2は、第1実施形態の既設の鋼床版橋梁10を示したものである。橋梁10の橋脚上に主桁11が橋軸方向(図1の紙面直交方向)へ延びるように架設されている。主桁11の上に鋼床版13が設置され、その上にアスファルト舗装14が敷設されている。
縦リブ15として、U字断面をなすUリブが用いられている。図3に示すように、Uリブ15の両側部は、上へ向かって互いに離れるように傾斜されている。このUリブ15の両側部の上端部が、それぞれ鋼床版13に溶接されている。
ナット32側の分割部材42のボルト挿通孔42bは、ボルト30を僅かなクリアランスをもって挿通可能な程度の大きさになっている。
分割部材41は、第1カム部材を構成し、その分割面が第1傾斜カム面41aを構成している。分割部材42は、第2カム部材を構成し、その分割面が、第2傾斜カム面42aを構成している。
軽量モルタル50は、Uリブ15の長手方向に沿って補強部材20,20…を配置してある領域の全体に万遍なく充填されている。
Uリブ15の両側部にボルト貫通孔15b,15bを開穿する。これら貫通孔15b,15bにボルト30を通し、このボルト30の両端部をUリブ15の両側部からそれぞれ突出させておく。
すなわち、第1カム部材41を一体に含む補強部材20の挿通孔41bにボルト30の端部を挿通する。次いで、このボルト30の端部に第2カム部材42を通し、更にナット32を螺合し締め込む。この締め込みは、ボルト30の両端部のナット32,32について各々行なう。同時に締め込んでもよく、片側を締め込んだ後反対側を締め込んでもよい。
モルタル50は、軽量モルタルが用いられているので、橋梁10の上部工の自荷重の増加を抑えることができる。
押し当て部23と鋼床版13の間に緩衝部材60を挟むことによって、接触誤差を吸収することができる。
図7に示すように、Uリブ15内には充填材50を充填しなくてもよい。この実施形態では、補強部材20が、Uリブ15の各側部の外側面だけでなく内側面にも設けられている。各補強部材20のベース部21と押し当て部23は、1枚の鋼板を折り曲げることによって構成され、一体に連なっている。外側の補強部材20の当接部21,23用鋼板は、Uリブ15の外側面と鋼床版13の角度に合わせて鈍角に折り曲げられている。一方、内側の補強部材20の当接部21,23用鋼板は、Uリブ15の内側面と鋼床版13の角度に合わせて鋭角に折り曲げられている。もちろん、第1実施形態のようにベース部21と押し当て部23が別々になった補強部材を用いてもよい。
鋼床版13の補強リブは、Uリブ15に限られない。例えば、図8に示すように、プレートリブ15Pであってもよい。プレートリブ15Pは、垂直になっている。これに合わせて、補強部材20のベース部21が垂直になっている。
これに対し、図9に示すように、鋼床版13の動変形がリブ15Pの一方側で専ら起きている場合には、その側にだけ補強部材20を設けることにしてもよい。
例えば、本発明の補強工法は、鋼床版13と縦リブ15,15Pとの溶接部に限らず、鋼床版13と横リブとの溶接部にも適用できる。リブは、Uリブ15やプレートリブ15Pの他、種々の形状のリブに適用できる。
リブの補強部材設置面の摩擦抵抗が大きい場合には、潤滑剤を塗布するなどの滑面化処理を予め施しておくとよい。
第1及び第2カム部材41,42のカム面41a,42aの傾斜角度は、上記の摩擦抵抗や鋼床版13に及ぼすべき押し当て力などを考慮して適宜設定するとよい。
上記補強構造の施工手順は適宜変更してもよい。例えば、第1実施形態において補強部材20の設置工程は、モルタル50の硬化後に限らず、Uリブ15にボルト30を挿通後軽量モルタル50の充填前に行なってもよく、充填後養生期間中に行なってもよい。その場合、ナット32はゆるくしておき、モルタル50の硬化後に緊締するとよい。
Uリブ15内の充填材50としてモルタルに代えてコンクリートを用いてもよい。その場合、軽量コンクリートを用いるのが望ましい。
軽量モルタルや軽量コンクリート等の充填材50は、Uリブ15の長手方向に沿って補強部材20を配置してある領域の全体に充填するのに代えて、ボルト30がUリブ15を貫通する部位の周辺にだけ限定的に充填することにしてもよい。
緩衝部材60は、補強部材20の押し当て部23にではなく鋼床版13に接着剤で貼り付けてもよい。接着剤を使わずに鋼床版13と補強部材20の押し当て部23との間に単に挟み付けることにしてもよい。
第1及び第2実施形態において、Uリブ15の幅方向片側の補強装置Sと反対側の補強装置Sどうしを、Uリブ15の長手方向の同じ位置に配置するのに代えて、Uリブ15の長手方向にずらして配置してもよい。
第1及び第2実施形態のUリブ15においても、図9のプレートリブ15Pと同様に、鋼床版13の動変形がUリブ15の一方側で専ら起きている場合には、その側にだけ補強部材20を設けることにしてもよい。
10 橋梁
11 主桁
13 鋼床版
14 アスファルト舗装
15 Uリブ
15b ボルト貫通孔
15f 底穴
15P 板リブ
20 補強部材
21 ベース部
22 縦板
23 押し当て部
30 ボルト
30a 雄ネジ
31 ボルト頭部
32 ナット
40 ワッシャ(カム機構)
41 第1カム部材
41a 第1傾斜カム面
41b ボルト挿通孔
42 第2カム部材
42a 第2傾斜カム面
42b ボルト挿通孔
50 軽量モルタル(充填材)
60 緩衝部材
Claims (6)
- 既設橋梁においてリブが溶接された鋼床版を補強する装置であって、
(a)前記リブに摺動可能に宛がわれるとともにボルトにて止められるベース部と、前記鋼床版に押し当てられるべき押し当て部とを有する補強部材と、
(b)前記補強部材のベース部と前記ボルトの頭部又はナットとの間に設けられ、前記ボルトの締め込み力を前記補強部材の前記鋼床版への押力に変換するカム機構と、
を備えたことを特徴とする既設橋梁の鋼床版補強装置。 - 前記カム機構が、前記補強部材のベース部に固定された第1カム部材と、この第1カム部材と前記ボルトの頭部又はナットの間とに設けられた第2カム部材とを有し、第2カム部材のリブ方向へのスライドが第1カム部材の鋼床版方向へのスライドに変換されることを特徴とする請求項1に記載の補強装置。
- 前記リブがUリブであり、このUリブの内部に充填材が充填され、前記ボルトの一部がこの充填材内に埋まっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の補強装置。
- 前記補強部材の押し当て部と鋼床版の間に緩衝部材を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の補強装置。
- 既設橋梁においてリブが溶接された鋼床版を補強する方法であって、
前記リブに補強部材をボルトにて取り付けるとともにこの補強部材とボルトの頭部又はナットとの間にカム機構を挟んでおき、ボルトを締め付け前記カム機構のカム作用で前記補強部材を鋼床版に押し当てることを特徴とする既設橋梁の鋼床版補強方法。 - 既設橋梁においてUリブが溶接された鋼床版を補強する方法であって、
前記Uリブにボルトを通すとともに、Uリブの内部に充填材を充填することによりこの充填材内に前記ボルトの一部を埋め込み、
さらに、前記ボルトがUリブの外部に突出した部分を用いて補強部材をUリブの外側面に取り付けるとともに、この補強部材と前記ボルトの突出部分にねじ込んだナットとの間にカム機構を挟んでおき、
前記ボルトを締め付け前記カム機構のカム作用で前記補強部材を鋼床版に押し当てることを特徴とする既設橋梁の鋼床版補強方法。
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