JP2017133320A - 橋梁鋼床版の補強構造、及び橋梁鋼床版の補強方法 - Google Patents

橋梁鋼床版の補強構造、及び橋梁鋼床版の補強方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、供用中の橋梁の通行規制を必要とすることなく、しかも他の補強工を併用することがなく、鋼製デッキプレートと縦リブの溶接部から進展する疲労亀裂を確実に抑制し得る、橋梁鋼床版の補強構造、及び橋梁鋼床版の補強方法を提供することにある。【解決手段】本願発明の橋梁鋼床版の補強構造は、鋼製デッキプレートと縦リブで形成される「閉鎖領域」の内側に、鋼製デッキプレートと縦リブを連結する板状の内側補強材が配置された構造である。この内側補強材のうち鋼製デッキプレート添接面が鋼製デッキプレートの下面に添接されて接着固定され、さらにその縦リブ添接面が縦リブのウェブの内側面に添接されて接着固定される。なお、変形抑制領域の変形を抑え、鋼製デッキプレートと縦リブの変形を制限しないよう、内側補強材は鋼製デッキプレートと縦リブを弾性支持する。【選択図】図3

Description

本願発明は、橋梁の鋼床版を補強する技術に関するものであり、より具体的には、縦リブ内の空間を利用して補強材を設置する橋梁鋼床版の補強構造、及び橋梁鋼床版の補強方法に関するものである。
橋梁には数多くの種類が知られているが、その分類の仕方によって挙げられる種類は異なる。例えば、橋梁の用途別に分類すると、道路橋、鉄道橋、管路橋などが挙げられるし、越えるものに着目すると、河川橋、跨道橋、跨線橋などが挙げられ、構造形式別に分類すると、桁橋、トラス橋、アーチ橋、吊り橋などが挙げられる。また、床版形式で分類されることもあり、この場合、コンクリート系床版橋、鋼・コンクリート合成床版橋、鋼床版橋に大別される。
鋼床版橋は、図1に示すように主に鋼床版1と主桁2によって構成され、鋼床版1の上に直接アスファルト等の舗装が敷設される。また、鋼床版1は、鋼製デッキプレート3(例えば、鋼板)と、この鋼製デッキプレート3を補剛する縦リブ4、横リブ5によって形成され、さらに、主桁2には主桁2のウェブを補剛する垂直補剛材が溶接されることもある。
鋼床版1は、鋼製デッキプレート3をはじめ、縦リブ4、横リブ5などの鋼材によって形成されることから、コンクリートを使用するコンクリート系床版や鋼・コンクリート合成床版に比べて軽量となる。軽量となる結果、耐震性が向上し、橋脚などの下部構造物への負担が軽減されることとなり、経済的にも優れた橋梁を構成することができる。また、コンクリートを使用しないため、長期養生期間を必要とせず、架設工期が短くなり、また、供用後にコンクリートが剥離することもないので、維持管理上も有利である。このような理由から、都市内の高架橋や長大橋などでは、鋼床版橋が採用されることが多い。
ところで、都市内で高架橋を多用している都市高速道路は、日々多くの交通量を支えている。例えば、阪神高速道路では、1日当たりの断面交通量が10万台近くもあり、しかも、大型車混入率が極めて高い。つまり、都市高速道路の高架橋は、長年にわたっておびただしい回数の輪荷重を受けており、高架橋を構成する主部材に疲労損傷が生じ得ることは容易に想像できる。特に、鋼床版1は、舗装を間に挟んでいるものの輪荷重の影響は直接的であり、疲労損傷を生じやすい環境にあるといえる。実際に、多くの都市高速道路の鋼床版1において疲労損傷が報告されている。
近年、鋼床版1のうち疲労による亀裂が特に生じやすい箇所があることが明らかになってきている。図13は、疲労による亀裂(以下、「疲労亀裂」という。)が発生した状況を示す部分断面図である。この図に示すように、鋼製デッキプレート3と縦リブ4を溶接で接合した箇所周辺で多くの疲労亀裂が確認されており、その大部分が図13(a)に示す溶接部に発生する疲労亀裂、もしくは図13(b)に示す鋼製デッキプレート3に発生する疲労亀裂である。鋼製デッキプレート3は、縦リブ4のウェブ上端と接触する箇所に大きな力が作用するため、ここを起点として疲労亀裂が生じやすく、その一つが溶接部方向に進展する疲労亀裂であり、他の一つが鋼製デッキプレート3方向に進展する疲労亀裂である。
鋼床版1の疲労亀裂の発生を抑制するための補強技術は、これまでにも種々の手法が提案されている。例えば特許文献1では、含浸接着樹脂を用いて鋼製デッキプレート上面に連続繊維補強材を接着固定する手法を提案しており、特許文献2では、L字状の炭素繊維樹脂プレートを鋼製デッキプレート(鋼板)下面からUリブ(縦リブ)側面にかけて接着固定する技術を提案している。また特許文献3では、鋼製デッキプレートの下面のうち縦リブと縦リブの間にプレキャストコンクリートブロックを接着固定する技術を提案している。
特開2010−095849号公報 特開2007−308881号公報 特開2007−077746号公報
通常、鋼床版1を補強しようとする橋梁は供用されており、しかも疲労損傷を与えるほど多くの交通量を支えている。したがって、補強対策に当たっては様々な制約を受けることになり、この点が補強対策を難しくしている。上記の特許文献も供用中の橋梁であることを配慮した補強方法であるが、それぞれ問題を指摘することができる。
特許文献1は、鋼製デッキプレートの上面に補強材を接着固定するため、一旦、アスファルト舗装を剥ぎ取る必要があり、当然ながら施工中はその範囲を通行することができない。つまり特許文献1は、通行規制を回避することができず、社会経済に著しい影響を与えるという問題を抱えている。特許文献2は、鋼製デッキプレートの下面で作業することから通行規制を伴わない。しかしながら、鋼製デッキプレートと縦リブ側面(外側)に補強プレートを設置しても、鋼製デッキプレート方向に進展する疲労亀裂の発生を抑制する効果がほとんどないことを、本願発明者らは解析により明らかにしている。また特許文献3も、鋼製デッキプレートを補強するのみに留まり、やはり鋼製デッキプレートと縦リブの接触箇所から進展する疲労亀裂を抑制する効果はほとんどない。すなわち、特許文献2と特許文献3は、疲労亀裂の抑制効果が期待できないという問題を抱えている。
これまでも補強プレートを用いた補強は行われてきたが、従来の補強プレートはその剛性の点において問題を指摘することができる。従来は輪荷重による鋼製デッキプレートのたわみを抑えるよう、いわゆる剛な構造として補強することとしており、これに伴って補強プレートも剛性の高い部材が採用されていた。例えば、縦リブの板厚は8mm(6mmの場合もある)とされるのが一般的であるが、従来の補強プレートはこれよりも厚い板厚9mmのものが採用されてきた。鋼製デッキプレートのたわみを抑える剛な構造とした結果、鋼製デッキプレートと縦リブの接合部にはより大きな応力が集中するため、縦リブ内をモルタルで充填したり、舗装に鋼繊維補強コンクリート(SFRC:steel fiber reinforced concrete)を用いたり、さらなる補強を併用しているのが実情であった。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、供用中の橋梁の通行規制を必要とすることなく、しかも他の補強工(例えば、モルタル充填やSFRC舗装など)を併用することなく、鋼製デッキプレートと縦リブの溶接部から進展する疲労亀裂を確実に抑制し得る、橋梁鋼床版の補強構造、及び橋梁鋼床版の補強方法を提供することにある。
本願発明は、縦リブが閉断面リブである鋼床版で採用されるものであり、この縦リブの内側の空間を利用して鋼製デッキプレートと縦リブを補強版で連結する、という従来にはない発想に基づいて行われたものである。
本願発明の橋梁鋼床版の補強構造は、鋼製デッキプレート(例えば、鋼板)と縦リブで形成される「閉鎖領域」の内側に、鋼製デッキプレートと縦リブを連結する板状の内側補強材が配置された構造である。この内側補強材は、鋼製デッキプレートの下面に添接される鋼製デッキプレート添接面と、縦リブのウェブの内側面に添接される縦リブ添接面を有しており、鋼製デッキプレート添接面が鋼製デッキプレートの下面に添接されて接着固定されるとともに、縦リブ添接面が縦リブのウェブの内側面に添接されて接着固定される。なお内側補強材は、鋼製デッキプレートと縦リブを弾性支持する。弾性支持された結果、内側補強材と、鋼製デッキプレート、縦リブで囲まれる領域(以下、「変形抑制領域」という。)の変形が抑えられるとともに、鋼製デッキプレートと縦リブの変形が制限されない(つまり、橋梁鋼床版の変形モードが補強前後で変わらない)。
本願発明の橋梁鋼床版の補強構造は、縦リブの板厚よりも薄い板厚の内側補強材で鋼製デッキプレートと縦リブを弾性支持する構造とすることもできる。
本願発明の橋梁鋼床版の補強構造は、縦リブよりも小さい曲げ剛性EI(弾性係数Eと断面2次モーメントIの積)の内側補強材で鋼製デッキプレートと縦リブを弾性支持する構造とすることもできる。
本願発明の橋梁鋼床版の補強構造は、閉鎖領域の板状の外側補強材が配置された構造とすることもできる。この外側補強材は、外側に鋼製デッキプレートと縦リブを連結するもので、鋼製デッキプレートの下面に添接される鋼製デッキプレート添接面と、縦リブのウェブの外側面に添接される縦リブ添接面を有している。外側補強材のうち鋼製デッキプレート添接面が鋼製デッキプレートの下面に添接されて固定されるとともに、外側補強材のうち縦リブ添接面が縦リブのウェブの外側面に添接されて固定される。
本願発明の橋梁鋼床版の補強構造は、縦リブと内側補強材がボルト固定された構造とすることもできる。この場合、縦リブ添接面にボルト挿通用のボルト孔が設けられるとともに、縦リブのウェブにボルト挿通用のボルト孔が設けられる。そして、両方のボルト孔に挿通したボルトによって、内側補強材と縦リブを固定する。
本願発明の橋梁鋼床版の補強構造は、縦リブの一部にハンドホールを設けた構造とすることもできる。このハンドホールは、内側補強材を閉鎖領域内に挿入し得る穴隙であり、 ハンドホールの橋軸方向長さは、内側補強材の橋軸方向長さよりも短く設定される。
本願発明の橋梁鋼床版の補強方法は、内側補強材搬入工程と内側補強材固定工程を備えた方法である。内側補強材搬入工程は、鋼製デッキプレートと縦リブを連結する板状の内側補強材を、ハンドホールを通して閉鎖領域(縦リブの内側)に搬入する工程である。内側補強材固定工程は、内側補強材の鋼製デッキプレート添接面を鋼製デッキプレートの下面に添接して接着固定するとともに、内側補強材の縦リブ添接面を縦リブのウェブの内側面に添接して接着固定する工程である。
本願発明の橋梁鋼床版の補強方法は、さらに仮支持工程を備えた方法とすることもできる。仮支持工程は、鋼製デッキプレートの下面と鋼製デッキプレート添接面との接着面における接着強度が所定強度に達するまで、閉鎖領域の内側に設置されたジャッキ等によって内側補強材を下方から支持する工程である。
本願発明の橋梁鋼床版の補強方法は、さらに外側補強材固定工程を備えた方法とすることもできる。外側補強材固定工程は、外側補強材の鋼製デッキプレート添接面を鋼製デッキプレートの下面に添接して固定するとともに、外側補強材の縦リブ添接面を縦リブのウェブの外側面に添接して固定する工程である。
本願発明の橋梁鋼床版の補強方法は、さらにハンドホール封鎖工程を備えた方法とすることもできる。ハンドホール封鎖工程は、ハンドホールを覆う位置に封鎖板を配置するとともに、その封鎖板を接着やボルト等を利用して縦リブに固定する工程である。
本願発明の橋梁鋼床版の補強構造、及び橋梁鋼床版の補強方法には、次のような効果がある。
(1)鋼製デッキプレートの下面で作業することから通行規制を行う必要がない。
(2)鋼製デッキプレートと縦リブで形成される「閉鎖領域」の内側(つまり縦リブの内側)から、鋼製デッキプレートと縦リブを補強版で連結すると、鋼製デッキプレート方向に進展する疲労亀裂の発生を抑制することができる。これは、本願発明者らによって行われた解析により明らかにされた。
(3)従来工法のように他の補強工(例えば、モルタル充填やSFRC舗装など)を併用する必要がなく、死荷重の増大を抑えることができ、施工コストも軽減することができる。
(4)ボルト挿通孔を設けるなど鋼製デッキプレートに手を加えることがなく、主に接着作業によって補強できるため、比較的容易に施工することができる。
(5)橋梁鋼床版を構成する部材表面は原則として防錆処理されており、接着固定する際には、汚れ等の除去と適度な凹凸面の形成のためショットブラストやワイヤブラシを利用した研磨が行われる。ところが縦リブの内側は、風雨にさらされることもなく防制処理は省略されており、したがって接着固定に先だって研磨工程を行う必要がなく、従来よりも短い工期で施工できる。
一般的な鋼床版橋を示す部分斜視図。 (a)は開断面リブの例を示す断面図、(b)は閉断面リブの例を示す断面図。 (a)は閉鎖領域内に設置された内側補強材を示す橋軸直角方向の部分断面図、(b)は内側補強材を示す橋軸直角方向の詳細断面図。 (a)は、内側補強材による補強がないケースで輪荷重を載荷して解析した結果得られた鋼製デッキプレートと縦リブのたわみを示す解析図、(b)は内側補強材によって補強したケースで輪荷重を載荷して解析した結果得られた鋼製デッキプレートと縦リブのたわみを示す解析図。 内側補強材の曲げ剛性と、鋼製デッキプレートと縦リブの溶接部(鋼製デッキプレート側)の応力との関係を示すグラフ図。 (a)は閉鎖領域の外側に設置された外側補強材を示す橋軸直角方向の部分断面図、(b)は外側補強材を示す橋軸直角方向の詳細断面図。 ハンドホールを利用して内側補強材を閉鎖領域内に搬入する状況を示す橋軸直角方向の断面図。 (a)は内側補強材がハンドホールを通過する状況を示す橋軸方向の断面図、(b)は内側補強材が所定位置に接着固定された状況を示す橋軸方向の断面図。 ジャッキを利用して内側補強材を仮支持する手法を説明する橋軸直角方向の断面図。 ハンドホールを塞ぐように配置固定された封鎖板を示す橋軸直角方向の断面図。 (a)は内側補強材で補強しない場合と補強した場合で、鋼製デッキプレートと縦リブ接触点を跨ぐように輪荷重を作用させて解析した結果の応力分布図、(b)は内側補強材で補強しない場合と補強した場合で、鋼製デッキプレートと縦リブ接触点の直上に輪荷重を作用させて解析した結果の応力分布図。 本願発明の橋梁鋼床版の補強方法の流れを示すフロー図。 (a)は鋼製デッキプレートと縦リブの溶接接合周辺のうち溶接部に発生した疲労亀裂を示す部分断面図、(b)は鋼製デッキプレートに発生した疲労亀裂を示す部分断面図。
本願発明の橋梁鋼床版の補強構造、及び橋梁鋼床版の補強方法の実施形態の一例を図に基づいて説明する。
1.鋼床版の構造
本願発明は鋼床版に関する技術であることから、まずは一般的な鋼床版の構造について説明する。鋼床版は、図1に示すように鋼床版1と主桁2を備えており、さらに、鋼床版1は、少なくとも鋼製デッキプレート3(例えば、鋼板)、縦リブ4を有している。このほかに横リブ5や、主桁2を補剛する垂直補剛材、横桁、ダイヤフラムなどを設けることもある。以下、鋼床版を構成する主部材について説明する。
(主桁)
橋台や橋脚の間に架け渡され、支間の曲げモーメントやせん断力を負担するのが主桁2である。主桁2は、I形断面とされるのが一般的で、ウェブと上下のフランジで構成されるが、既述のとおり上フランジは鋼製デッキプレート3がこれを兼ねる。図1に示すように、I形断面を所定の間隔に配置した開断面の主桁2とする場合もあるが、閉断面の箱桁形式とする場合もある。
(鋼製デッキプレート)
鋼製デッキプレート3は、舗装を介して輪荷重を直接支持するものであり、床版として主桁2間の曲げモーメントやせん断力を負担し、さらに、主桁2の上フランジとしても機能する部材である。これまで鋼製デッキプレート3の板厚は12mmとされることが多かったが、近年では疲労耐久性向上のため16mmが採用されている。また、合理化鋼床版とする場合は18mmが採用されることもある。通常は複数枚の鋼製デッキプレート3が主桁2の上に平面配置され、その継手部は溶接又は高力ボルトで接合される。道路橋の場合であれば、鋼製デッキプレート3の上にアスファルト等の舗装が敷設され、その両側には地覆が設けられる。
(縦リブ)
縦リブ4は鋼製デッキプレート3を補剛する部材であり、図1に示すように、通常は橋軸方向に配置されて(支点部周りや拡幅部などでは橋軸方向に一致しない場合もある)、鋼製デッキプレート3の下面に溶接固定される。この溶接は、図13にも示すように一般的にはすみ肉溶接とされる。縦リブ4は開断面リブと閉断面リブの2種類に大別され、諸条件に応じて適宜選択される。図2は、縦リブ4の例を示す断面図であり、(a)は開断面リブの例を、(b)は閉断面リブの例を示す。この図に示すように開断面リブとしては、不等辺山形鋼を使用したアングルリブ、CT(カットT)を使用したTリブ、平鋼を使用した平リブ、球平形鋼を使用したバルブリブなどが挙げられる。一方、閉断面リブとしては、Y形断面リブ、V形断面リブ、丸形断面リブ、トラフリブ(Uリブ)などが挙げられる。このうち、道路橋の場合ではトラフリブの採用が主流となっている。
開断面リブは曲げ剛性のみが期待でき、一方の閉断面リブは曲げ剛性のほかにねじり剛性も期待できるので、大支間の橋梁で多用される。本願発明は、閉断面リブで多発する疲労亀裂の対策として開発されたものであるから、以下は閉断面の縦リブ4の場合で説明する。縦リブ4の板厚は、腐食等も考慮することから8mmを最少厚として設計されるのが一般的であるが、閉断面の場合は最少板厚を6mmとして設計する場合もある。また、縦リブ4の配置間隔(橋軸直角方向の間隔)は通常30cm程度とされ、最も使用されているトラフリブはリブ高さが240mmである。
2.橋梁鋼床版の補強構造
次に、本願発明の橋梁鋼床版の補強構造について主な構成要素ごとに詳述する。
(閉鎖領域)
本願発明は、閉断面リブである縦リブ4の内側(内部)に補強材を配置することが一つの技術的特徴である。なお、閉断面リブとはいえ縦リブ4のみでは上部が開口しており、実際には鋼製デッキプレート3と縦リブ4によって断面視で閉じられた空間が形成される。ここでは便宜上、この空間を「閉鎖領域」ということとする。図3(a)は、閉鎖領域6内に設置された内側補強材7を示す橋軸直角方向の部分断面図である。この図からも、閉鎖領域6が鋼製デッキプレート3とこの鋼製デッキプレート3の下面に溶接固定された縦リブ4によって形成される領域であることが分かる。
(内側補強材)
図3(b)は、内側補強材7を示す橋軸直角方向の詳細断面図である。この図に示すように、内側補強材7は板状の部材であり、例えば平鋼を曲げ加工することで形成される。この内側補強材7は、鋼製デッキプレート3の下面に添接される鋼製デッキプレート添接面7tと、縦リブのウェブ4wの内側面に添接される縦リブ添接面7w、鋼製デッキプレート添接面7tと縦リブ添接面7wを連結する連結面7cによって構成される。ただし、図3に示す内側補強材7の形状はあくまで一例であり、連結面7cを曲線形状とするなど、鋼製デッキプレート添接面7tと縦リブ添接面7wを有する限り任意の形状とすることができる。ただし内側補強材7は、鋼製デッキプレート3と縦リブ4、そして内側補強材7によって囲まれる「変形抑制領域」を形成し得る形状である。図3(a)では、内側補強材7のうち連結面7cと、鋼製デッキプレート3、縦リブのウェブ4wによって変形抑制領域(図では、破線で示す領域)が形成されている。
内側補強材7は、鋼製デッキプレート3と縦リブ4を連結するように接着固定される。詳しくは、鋼製デッキプレート添接面7tと縦リブ添接面7wそれぞれに接着剤が塗布され、そして鋼製デッキプレート添接面7tが鋼製デッキプレート3下面に添接されとともに、縦リブ添接面7wが縦リブのウェブ4wの内側面に添接され、その状態で接着剤が所定強度を発現するのを待つ。なお、ここで用いられる接着剤としては、従来用いられている種々のものを採用できるが、高耐久型の鋼部材用接着剤を採用するのがより望ましい。その理由は、高耐久型の鋼部材用接着剤が、繰り返し作用に対する接着耐久性や、舗装温度への対応、鋼材表面塗装(例えば、無機ジンクリッチプライマーなど)との接着力確保といった性能を有するからである。
内側補強材7は、接着固定のほかボルト固定など従来から用いられる手法によって固定することもできる。ただし閉鎖領域6は、通常極めて狭隘な空間であるため、施工の容易さを考えればやはり接着固定が望ましい。したがってボルト固定等の手法は、現場条件に応じて適宜選択されることになる。ボルト固定する場合、はじめに縦リブのウェブ4wの内側面にボルトを設置(ボルト孔挿通や溶接固定など)する。あらかじめ内側補強材7には、例えば縦リブ添接面7wの四隅にボルト挿通孔が設けられており、このボルト挿通孔にボルトを挿通し、さらにボルトをガイドとして縦リブ添接面7wを縦リブのウェブ4wに添接させる。その状態でナットを締め付けて固定する。鋼製デッキプレート添接面7tも同様にボルト固定とすることもできるし、あるいは接着固定とすることもできる。すなわち内側補強材7は、接着固定とボルト固定の併用とすることができる。さらに、磁石を用いた接着など他の手法を併用してもよい。
本願発明は、内側補強材7が鋼製デッキプレート3と縦リブ4を弾性支持することを1つの技術的特徴としている。したがって内側補強材7は、鋼製デッキプレート3と縦リブ4を弾性支持し得る部材とする必要がある。なお、ここでいう弾性支持とは、変形抑制領域(の形状)の変形を抑制し(抑え)つつも、鋼製デッキプレート3と縦リブ4の変形を制限しない(つまり、橋梁鋼床版の変形モードを補強前後で変えない)ように支持することであり、換言すれば、内側補強材7が鋼製デッキプレート3と縦リブ4の弾性変形に追随して変形しながら支持することを意味している。図4は、輪荷重を載荷して解析した結果得られた鋼製デッキプレート3と縦リブ4のたわみを示す解析図であり、(a)は内側補強材7による補強がないケース、(b)は内側補強材7によって補強したケースを示す。従来の補強プレートによる補強では、鋼製デッキプレート3と縦リブ4の面外変形を、無補強に比べ大幅に抑えていたが、内側補強材7で補強する本願発明(図4(b))のケースでは、図4に示すように、無補強(図4(a))の変形と比べほとんど差がない。このように弾性支持は、鋼製デッキプレート3と縦リブ4が無補強時と同様に変形することを許容するわけである。
鋼製デッキプレート3と縦リブ4を弾性支持するため、内側補強材7は適当な剛性を有するものとする必要がある。一例としては、内側補強材7の板厚を縦リブ4の板厚(6mmや8mm)よりも薄くする。図5は、内側補強材7の曲げ剛性EI(弾性係数Eと断面2次モーメントIの積)と、鋼製デッキプレート3と縦リブ4の溶接部のうち鋼製デッキプレート3側の応力との関係を示すグラフ図である。この図に示すように、板厚2.3mmの内側補強材7で補強することにより、鋼製デッキプレート3と縦リブ4の溶接部(鋼製デッキプレート3側)の応力が無補強時に比べ大幅に低減されている。これは、内側補強材7が鋼製デッキプレート3と縦リブ4の変形を制限せず、変形抑制領域の変形のみを抑制した結果、応力集中が回避されたことを意味しており、すなわち板厚2.3mmの内側補強材7は鋼製デッキプレート3と縦リブ4を弾性支持しているわけである。
また、鋼製デッキプレート3と縦リブ4を弾性支持するために、適当な曲げ剛性EIを有する内側補強材7を用いることもできる。図5に示すように、内側補強材7の曲げ剛性EIが3.6×10kN・mm/mmを超えると、鋼製デッキプレート3と縦リブ4の溶接部(鋼製デッキプレート3側)の応力は無補強時よりも大きくなり、3.6×10kN・mm/mmを下回ると、その応力は無補強時よりも極端小さくなる。つまり、曲げ剛性が3.6×10kN・mm/mm未満の内側補強材7は、鋼製デッキプレート3のたわみを制限しないことから応力集中を回避しており、すなわち曲げ剛性が3.6×10kN・mm/mm未満の内側補強材7は鋼製デッキプレート3と縦リブ4を弾性支持しているわけである。なお発明者らは、解析を行った結果、縦リブ4の曲げ剛性EIよりも小さい曲げ剛性EIを有する内側補強材7を用いれば、鋼製デッキプレート3と縦リブ4を弾性支持することを確認している。
内側補強材7を設置することで、鋼製デッキプレート3と縦リブ4が接触する点のみに作用していた荷重が分散され、さらに分散された荷重を内側補強材7も分担することから、既述した溶接部方向に進展する疲労亀裂や、鋼製デッキプレート3方向に進展する疲労亀裂の発生を抑制することができるわけである。内側に配置する効果については、解析結果を基に後述する。なお、図3(a)では閉鎖領域6内の1箇所(図では左側)にのみ内側補強材7を設置しているが、閉鎖領域6内の2箇所(左右両側)に内側補強材7を設置してもよい。これは、荷重条件や施工条件などを考慮して適宜設計することができる。
(外側補強材)
内側補強材7に加えて外側補強材を設置することもできる。図6(a)は、閉鎖領域6の外側に設置された外側補強材8を示す橋軸直角方向の部分断面図であり、図6(b)は、外側補強材8を示す橋軸直角方向の詳細断面図である。この図に示すように外側補強材8も、内側補強材7と同様、板状の部材であり、例えば平鋼を曲げ加工することで形成される。この外側補強材8は、鋼製デッキプレート3の下面に添接される鋼製デッキプレート添接面8tと、縦リブのウェブ4wの外側面に添接される縦リブ添接面8w、鋼製デッキプレート添接面8tと縦リブ添接面8wを連結する連結面8cによって構成される。ただし、図6に示す外側補強材8の形状はあくまで一例であり、連結面8cを曲線形状にしたり、縦リブ4の形状によっては連結面8cを省略したり、鋼製デッキプレート添接面8tと縦リブ添接面8wを有する限り任意の形状とすることができる。
外側補強材8も、内側補強材7と同様、鋼製デッキプレート3と縦リブ4を連結するように接着固定することができる。詳しくは、鋼製デッキプレート添接面8tと縦リブ添接面8wそれぞれに接着剤が塗布され、そして鋼製デッキプレート添接面8tが鋼製デッキプレート3下面に添接されるとともに、縦リブ添接面8wが縦リブのウェブ4wの外側面に添接され、その状態で接着剤が所定強度を発現するのを待つ。接着剤は、内側補強材7に使用するものと同様のものでよい。外側補強材8もまた、接着以外の固定方法を採用することができる。内側補強材7の場合、閉鎖領域6内という狭隘な空間で作業することから接着固定が望ましいと説明したが、外側補強材8の場合は、比較的余裕のあるスペースで作業することができるため、ボルト固定などの固定方法を比較的採用しやすい。なお、図6(a)では縦リブ4の片側1箇所(図では左側)にのみ外側補強材8を設置しているが、縦リブ4の両側2箇所(左右両側)に外側補強材8を設置してもよい。これは、荷重条件や施工条件などを考慮して適宜設計することができる。
(ボルト連結)
図6(a)に示すように、接着固定された内側補強材7と外側補強材8をボルト9で連結することもできる。縦リブのウェブ4wの接着面において、接着剤が所定強度を発現するまでの間(以下、「接着強度発現期間」という。)、ボルト9の連結によって固定させるわけである。したがって、このボルトは接着剤が所定強度を発現した後に取り外すことができる。あるいは、より確実に固定するためボルト9をそのまま残してもよい。ここで用いられるボルト9は、現場条件に応じて普通ボルトや高力ボルトが適宜選択される。なお図6(a)では、縦リブのウェブ4wを挟んで内側補強材7と外側補強材8をボルト9で連結しているが、外側補強材8を設けない場合は、接着固定された内側補強材7と縦リブのウェブ4wをボルト9で連結する。
(ハンドホール)
閉鎖領域6内に内側補強材7を配置するためには、内側補強材7を通すための穴隙が必要である。現場によっては、内側補強材7を通すのに適した穴隙が設けられていることもあるが、そのような穴隙がない場合は、縦リブ4の一部をくり抜いてハンドホールを設けることとなる。図7は、ハンドホール10を利用して内側補強材7を閉鎖領域6内に搬入する状況を示す橋軸直角方向の断面図である。この図に示すようにハンドホール10は、縦リブの下フランジ4fの一部をくり抜くことで設けられる。あるいは、現場の状況や縦リブ4の形状によっては、縦リブのウェブ4wの一部をくり抜いてハンドホール10を設けることもできる。なおこの図の場合、内側補強材7は閉鎖領域6内の左右両側に設置されている。
ハンドホール10の大きさは、内側補強材7を通すことを考えれば大きい方がよいが、反面、構造部材である縦リブ4の断面欠損を考えれば小さいほうがよい。そこでハンドホール10の大きさは、内側補強材7を通すことができる最小の寸法とするのが望ましい。鋼製デッキプレート3と縦リブ4に固定された状態の内側補強材7は、橋軸方向の寸法(以下、単に「軸長」という。)が長く、橋軸直角方向の寸法(以下、単に「部材幅」という。)が短い。このような内側補強材7の形状に応じてハンドホール10の大きさや形状が計画されるが、内側補強材7は、回転させながら、あるいは捻りながら挿入することができるため、これを考慮してハンドホール10の大きさや形状を設計するとよい。
図8は、ハンドホール10を利用して内側補強材7を閉鎖領域6内に搬入する状況を示す橋軸方向の断面図であり、(a)は内側補強材7がハンドホール10を通過する状況を、(b)は内側補強材7が所定位置に接着固定された状況を示す。この図に示すように内側補強材7を回転させながら閉鎖領域6内に搬入すれば、ハンドホール10の橋軸方向長さ(以下、単に「長さ」という。)は、必ずしも内側補強材7の軸長分を確保する必要がない。つまりハンドホール10の長さは、内側補強材7の軸長より短くすることができる。同様に、内側補強材7を捻りながら閉鎖領域6内に搬入すれば、ハンドホール10の橋軸直角方向長さ(以下、単に「幅」という。)は、必ずしも内側補強材7の部材幅だけ確保する必要がない。つまりハンドホール10の幅は、内側補強材7の部材幅より短くすることができる。
このようにハンドホール10は、長さに対して幅の寸法が小さい形状であり、例えば長方形や長円形、あるいは楕円形などといった形状とすることができる。また、ハンドホール10が縦リブ4の断面を欠損することを考えれば、鋼床版1全体のうち構造上弱点とならない位置にハンドホール10を設けるのが望ましい。例えば、連続桁形式の橋梁の場合、支点から1/4スパン長(支点間の長さ)の位置で曲げモーメントが略0になることから、この位置にハンドホール10を設けるとよい。
(仮支持)
接着強度発現期間、縦リブのウェブ4wの接着面で内側補強材7や外側補強材8がボルト9によって固定されることは既に説明した。ここでは、鋼製デッキプレート3と鋼製デッキプレート添接面7tの接着面における、接着強度発現期間の固定(以下、「仮支持」という。)方法について説明する。図9は、ジャッキ11を利用して内側補強材7を仮支持する手法を説明する橋軸直角方向の断面図である。この図に示すように、接着強度発現期間に鋼製デッキプレート添接面7tが鋼製デッキプレート3から剥がれ落ちないよう、ジャッキ11で鋼製デッキプレート添接面7tを下方から支えることができる。詳しくは、ハンドホール10からジャッキ11と台座プレート12を閉鎖領域6内に搬入し、ハンドホール10に架け渡された台座プレート12の上にジャッキ11を載せ、鋼製デッキプレート添接面7tを下から押し上げるようにジャッキアップする。そして、接着剤が所定強度を発現した後は、ジャッキアップが解除され、ハンドホール10からジャッキ11と台座プレート12が搬出される。
(封鎖板)
接着剤が所定強度を発現した後、閉鎖領域6を錆が生じにくい環境にするため、そして縦リブ4の断面欠損を補う目的で、ハンドホール10は封鎖しておくのが望ましい。したがって、ハンドホール10を封鎖する部材(以下、「封鎖板13」という。)は、縦リブ4の部材強度と同等以上のもの、例えば板厚6mmの平鋼を用いるとよい。図10は、ハンドホール10を塞ぐように配置固定された封鎖板13を示す橋軸直角方向の断面図である。この図に示すように、ハンドホール10から閉鎖領域6内に搬入された封鎖板13は、ハンドホール10を上側あるいは下側から覆うように配置され、その状態でボルト14によって固定される。あるいはボルト14による固定に代えて、内側補強材7に使用する接着剤で接着固定することもできる。
(解析結果)
以下、本願発明の効果を確認するために本願の発明者が実施した解析結果について説明する。図11は、内側補強材7で補強しない場合と補強した場合で、鋼製デッキプレート3と縦リブ4に輪荷重を与えて解析した結果の応力分布図であり、(a)は鋼製デッキプレート3と縦リブ4接触点を跨ぐように輪荷重を作用させたケースであり、(b)は鋼製デッキプレート3と縦リブ4接触点の直上に輪荷重を作用させたケースである。なお図11(a)(b)ともに、上段が内側補強材7で補強しない場合の解析結果であり、下段が内側補強材7で補強した場合の解析結果である。
まず図11(a)を見ると、補強しない場合は最大で左側459.2N/mmの圧縮応力、右側488.4N/mmの圧縮応力が生じている。一方、補強した場合は最大でも左側199.5N/mmの圧縮応力、右側42.8N/mmの引張応力で収まっている。次に図11(b)を見ると、補強しない場合は最大で左側544.0N/mmの圧縮応力、右側543.5N/mmの圧縮応力が生じている。一方、補強した場合は最大でも左側右側ともに112.5N/mmの圧縮応力で収まっている。この結果から、内側補強材7で補強した場合の鋼製デッキプレート3や縦リブ4に生ずる応力は、補強しない場合に比べて著しく低減しており、内側補強材7の補強効果、すなわち鋼製デッキプレート3と縦リブ4の接触箇所から進展する疲労亀裂の抑制効果が極めて高いことがわかる。
3.橋梁鋼床版の補強方法
ここでは、本願発明の橋梁鋼床版の補強方法について、図12を参照しながら説明する。なお、ここでは橋梁鋼床版の補強構造で説明した内容と重複する説明は避け、橋梁鋼床版の補強方法に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、橋梁鋼床版の補強構造で説明したものと同様である。
図12は、本願発明の橋梁鋼床版の補強方法の流れを示すフロー図である。はじめに、鋼製デッキプレート添接面7tと縦リブ添接面7wそれぞれに接着剤が塗布された内側補強材7を、ハンドホール10を利用して閉鎖領域6内に搬入する(Step10)。そして、鋼製デッキプレート添接面7tを鋼製デッキプレート3下面に添接するとともに、縦リブ添接面7wを縦リブのウェブ4wの内側面に添接して接着固定する(Step20)。
外側補強材8を設置する場合は、接着剤が塗布された鋼製デッキプレート添接面8tを鋼製デッキプレート3下面に添接するとともに、同じく接着剤が塗布された縦リブ添接面8wを縦リブのウェブ4wの外側面に添接して、外側補強材8を接着固定する。なお、内側補強材7や外側補強材8は、接着固定に代えて(あるいは加えて)ボルト固定等とすることができるのは既述のとおりである。
内側補強材7と外側補強材8が設置されると、縦リブのウェブ4wを挟んで内側補強材7と外側補強材8をボルト9で連結する(Step40)。そして、ハンドホール10からジャッキ11と台座プレート12を閉鎖領域6内に搬入し、ハンドホール10に架け渡された台座プレート12の上にジャッキ11を載せて、鋼製デッキプレート添接面7tを下から押し上げるようにジャッキアップして仮支持する(Step50)。なお、この仮支持工程はボルト固定工程(Step40)の前に行ってもよい。
接着剤が所定強度を発現した後は、ジャッキ11のジャッキアップを解除し、ハンドホール10からジャッキ11と台座プレート12を搬出する(Step60)。仮支持が解除できると、ハンドホール10から閉鎖領域6内に封鎖板13を搬入し、ハンドホール10を上から覆うように封鎖板13を配置するとともに、ボルト14(あるいは接着剤)によって固定する(Step70)。
本願発明の鋼床版及びこれを備えた鋼床版橋は、道路橋、鉄道橋、管路橋といったあらゆる用途の橋梁に利用でき、河川、道路、鉄道など種々のものを越える橋梁に利用することができる。また、既設橋に対して利用できることはもちろんであるが、新設橋のにも利用することができる。本願発明が、安全な交通を提供し、しかも、橋梁の長寿命化を図ることができることを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
1 鋼床版
2 主桁
3 鋼製デッキプレート
4 縦リブ
4w 縦リブのウェブ
4f 縦リブの下フランジ
5 横リブ
6 閉鎖領域
7 内側補強材
7c (内側補強材の)連結面
7t (内側補強材の)鋼製デッキプレート添接面
7w (内側補強材の)縦リブ添接面
8 外側補強材
8c (外側補強材の)連結面
8t (外側補強材の)鋼製デッキプレート添接面
8w (外側補強材の)縦リブ添接面
9 ボルト
10 ハンドホール
11 ジャッキ
12 台座プレート
13 封鎖板
14 (封鎖板用の)ボルト

Claims (10)

  1. 橋梁の鋼床版の補強構造において、
    前記鋼床版は、鋼製デッキプレートと、閉断面リブである縦リブと、を有し、
    前記鋼製デッキプレートと前記縦リブで形成される閉鎖領域の内側に、前記鋼製デッキプレートと前記縦リブを連結する板状の内側補強材が配置され、
    前記内側補強材は、前記鋼製デッキプレートの下面に添接される鋼製デッキプレート添接面と、前記縦リブのウェブの内側面に添接される縦リブ添接面と、を有し
    前記内側補強材のうち前記鋼製デッキプレート添接面が、前記鋼製デッキプレートの下面に添接されて接着固定されるとともに、前記内側補強材のうち前記縦リブ添接面が、前記縦リブのウェブの内側面に添接されて接着固定され、
    前記内側補強材が前記鋼製デッキプレート及び前記縦リブを弾性支持することで、該内側補強材、該鋼製デッキプレート、及び該縦リブで囲まれる領域の変形を抑えるとともに、該鋼製デッキプレート及び該縦リブの変形を制限しない、ことを特徴とする橋梁鋼床版の補強構造。
  2. 前記縦リブの板厚よりも薄い板厚の前記内側補強材で、前記鋼製デッキプレートと縦リブ4を弾性支持する、ことを特徴とする請求項1記載の橋梁鋼床版の補強構造。
  3. 弾性係数と断面2次モーメントの積で表される曲げ剛性が、前記縦リブよりも小さい前記内側補強材で、前記鋼製デッキプレートと縦リブ4を弾性支持する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の橋梁鋼床版の補強構造。
  4. 前記閉鎖領域の外側に、前記鋼製デッキプレートと前記縦リブを連結する板状の外側補強材が配置され、
    前記外側補強材は、前記鋼製デッキプレートの下面に添接される鋼製デッキプレート添接面と、前記縦リブのウェブの外側面に添接される縦リブ添接面と、を有し
    前記外側補強材のうち前記鋼製デッキプレート添接面が、前記鋼製デッキプレートの下面に添接されて固定されるとともに、前記外側補強材のうち前記縦リブ添接面が、前記縦リブのウェブの外側面に添接されて固定された、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の橋梁鋼床版の補強構造。
  5. 前記縦リブ添接面にボルト挿通用のボルト孔が設けられるとともに、前記縦リブのウェブにボルト挿通用のボルト孔が設けられ、
    前記縦リブ添接面のボルト孔と前記縦リブのウェブのボルト孔に挿通されたボルトによって、前記内側補強材と前記縦リブが固定された、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の橋梁鋼床版の補強構造。
  6. 前記縦リブの一部に、前記内側補強材を前記閉鎖領域内に挿入し得るハンドホールが設けられ、
    前記内側補強材の橋軸方向長さよりも、前記ハンドホールの橋軸方向長さが短い、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の橋梁鋼床版の補強構造。
  7. 橋梁の鋼床版を補強する方法において、
    前記鋼床版は、鋼製デッキプレートと、閉断面リブである縦リブと、を有し、
    前記縦リブの一部には、ハンドホールが設けられ、
    前記鋼製デッキプレートと前記縦リブを連結する板状の内側補強材を、前記鋼製デッキプレートと前記縦リブで形成される閉鎖領域の内側に、前記ハンドホールを通して搬入する内側補強材搬入工程と、
    前記内側補強材を構成する鋼製デッキプレート添接面を、前記鋼製デッキプレートの下面に添接して接着固定するとともに、前記内側補強材を構成する縦リブ添接面を、前記縦リブのウェブの内側面に添接して接着固定する内側補強材固定工程と、を備えたことを特徴とする橋梁鋼床版の補強方法。
  8. 前記鋼製デッキプレートの下面と前記鋼製デッキプレート添接面との接着面における接着強度が、所定強度に達するまで、前記閉鎖領域の内側に設置されたジャッキによって、前記内側補強材を下方から支持する仮支持工程を、さらに備えたことを特徴とする請求項7記載の橋梁鋼床版の補強方法。
  9. 前記閉鎖領域の外側に配置される板状の外側補強材によって、前記鋼製デッキプレートと前記縦リブを連結する外側補強材固定工程を、さらに備え、
    前記外側補強材固定工程では、前記外側補強材を構成する鋼製デッキプレート添接面を、前記鋼製デッキプレートの下面に添接して固定するとともに、前記外側補強材を構成する縦リブ添接面を、前記縦リブのウェブの外側面に添接して固定する、ことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の橋梁鋼床版の補強方法。
  10. 封鎖板によって前記ハンドホールを塞ぐハンドホール封鎖工程を、さらに備え、
    ハンドホール封鎖工程では、前記ハンドホールを覆う位置に前記封鎖板を配置するとともに、該封鎖板を前記縦リブに固定する、ことを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の橋梁鋼床版の補強方法。
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