JP2008285870A - 閉リブ鋼床版の補強工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明は、裏面側に橋軸方向の閉リブを備えたデッキプレートで構成する閉リブ鋼床版を補強する補強工法を提供することを目的とする。
【解決手段】デッキプレート101と、複数の橋軸方向LのUリブ10とで構成し、該Uリブ10を、橋軸直角方向Wの所定間隔を隔ててデッキプレート101の裏面101aに固定した鋼床版100の補強工法であって、隣合うUリブ10における対向する各ウェブ部10a外面及び縦リブ間隔h部分の裏面101aに沿う添接補強板40を、前記ウェブ部10a及び裏面101aに接合するとともに、前記Uリブ10の内面及び裏面101aで囲繞された内部空間11にグラウト50を充填した閉リブ鋼床版の補強工法である。
【選択図】図5

Description

この発明は、例えば、裏面に複数の橋軸方向の閉リブを備えたデッキプレートで構成する閉リブ鋼床版の補強工法に関する。
軽量で、架設が容易である鋼床版は、施工の容易性もあって、多くの道路橋に採用されている。また、このような鋼床版の縦リブの構造において、昨今の標準構造であるUリブ等の閉リブ構造は、バルブリブ等の開リブ構造と比較して、ねじり剛性が高く橋軸方向への荷重分配作用が大きく、縦リブ支間を長くとれるため鋼重量を軽減することができる。また、同程度の強度の有する開リブ構造に比べて溶接量が少なくコスト削減が図れるとともに、閉リブ内部は密閉断面であるため塗装面積が少なく、維持管理上においてもメリットがある。
しかし、道路橋である鋼床版は、自動車車輪荷重が直接載荷され、その荷重の載荷の繰り返し数が極めて多いことが特徴である。また、鋼床版は溶接による薄板集成構造であるため全体的に剛性が小さく、鋼床版を構成する板要素が複雑な挙動となるため、応力変動も大きくなる。さらには、交通量の増加や重量違反者の存在により、局所的に大きい応力が繰り返し発生することで、疲労損傷に繋がると考えられる。
Uリブ等の閉リブ構造における亀裂のタイプは多岐にわたっているが、従来の鋼床版200に発生する亀裂について説明するための鋼床版200の裏面側からの斜視図である図9に示すように、デッキプレート210とUリブ220の溶接線221を起点に発生する亀裂230は進展性が高く、亀裂230がデッキプレート210に進展した場合、交通荷重の支持機能が低下する恐れや、舗装の損傷を誘発するなど、道路管理上、留意すべき損傷となる可能性がある。
このような亀裂230の発生要因としては、溶接部221に発生する局所的な応力集中、溶接部221を構成する片側すみ肉溶接による継手疲労強度の不足が考えられる。このような閉リブ鋼床版の補強工法が提案されている(特許文献1参照)。
前記補強工法は、橋軸直角方向の補強リブを橋軸方向に所定間隔を隔てて配置した補強部材を隣合う閉リブの間に固定する工法である。これにより、閉リブ間のデッキプレートの剛性を向上させ、亀裂の発生を防止することを目的としている。
しかし、前記補強工法では、Uリブ内側のデッキプレートの変形を抑えることはできず、Uリブ内側のデッキプレートの変形によって発生する応力による亀裂が生じる可能性があった。
特開2006−97283号公報
この発明は、裏面側に橋軸方向の閉リブを備えたデッキプレートで構成する閉リブ鋼床版を補強する補強工法を提供することを目的とする。
この発明は、デッキプレートと、複数の橋軸方向の閉リブとで構成し、該閉リブを、橋軸直角方向の所定間隔を隔てて前記デッキプレートの裏面に固定した閉リブ鋼床版の補強工法であって、隣合う閉リブにおける対向する側部外面及びその間のデッキプレート裏面に沿う当て板を、前記側部外面及び前記デッキプレート裏面に接合するとともに、前記閉リブの内面及び前記デッキプレート裏面で囲繞された囲繞空間に充填材を充填する閉リブ鋼床版の補強工法であるとともに、これら構造を有する閉リブ鋼床版であることを特徴とする。
前記閉リブは、Uリブといわれる断面U型のU型鋼材やトラフリブといわれる断面台形型の台形断面鋼材で構成したリブ構造であることを含む。
前記デッキプレートの裏面に固定した閉リブは、デッキプレート裏面に溶接接合した閉リブであることを含む。
前記囲繞空間は、閉リブ内側においてデッキプレート裏面とで囲まれた略密閉空間であることを含む。
前記構成により、直接載荷される自動車車輪荷重の繰り返しによって発生する大きな応力による疲労損傷、すなわち亀裂の発生を防止することができる。詳述すると、前記当て板によって隣合う閉リブ間のデッキプレートを補強し、前記囲繞空間への充填された充填材によって、閉リブ内側のデッキプレートの変形を抑制している。したがって、閉リブとデッキプレートの接合部分に発生する応力を低減し、亀裂の発生を防止することができる。
また、隣合う閉リブ間が補強されたデッキプレートと、囲繞空間に充填材が充填され、変形が抑制された閉リブを有する閉リブ鋼床版を得ることができるため、閉リブ鋼床版の耐久性が向上するとともに、保守管理が容易となり、閉リブ鋼床版を管理する管理者や閉リブ鋼床版を利用する利用者の満足度を向上することができる。
この発明の態様として、前記側部外面と前記当て板との接合を、側部外面側である片側からの施工によって締結可能な片側施工ボルトで構成することができる。
前記片側施工ボルトは、二部材に備えたボルト孔を連通させ、該ボルト孔に片側面から片側施工ボルトを挿入し、挿入面側から該ボルトを締め付け回転することで締結できるボルト、いわゆるワンサイドボルトといわれるボルトであることを含む。なお、片側施工ボルトは、引張耐力が非常に高い高力ボルト、すなわちハイテンションボルトで構成されたボルトあることを含む。
これにより、外部から閉ざされた閉空間である前記囲繞空間でのナットの締め付け固定等の作業の必要性がなくなり、前記側部外面と前記当て板との接合を容易且つ確実に実現することができる。
また、この発明の態様として、前記囲繞空間に、前記充填材より軽量である嵩上げ手段を備えることができる。
前記充填材より軽量である嵩上げ手段は、両端を閉鎖した中空のパイプ材や発泡スチロール等で充填材より比重が小さい部材で構成することを含む。
これにより、囲繞空間を充填する充填材の充填量を低減することができる。したがって、囲繞空間へ充填材を充填したことによる、閉リブ鋼床版の自重増加を低減することができ、自重増加による閉リブ鋼床版の応力増加を低減することができる。
また、この発明の態様として、前記充填材を、高膨張性及び無収縮性を有するモルタルである高膨張性無収縮モルタルで構成することができる。
これにより、空隙なく前記囲繞空間を高膨張性無収縮モルタルで充填することができる。したがって、閉リブ及び閉リブ内側のデッキプレートの変形を確実に抑制することができ、閉リブとデッキプレートの接合部分に発生する応力を低減することができる。
また、この発明の態様として、前記閉リブに、前記囲繞空間に充填された充填材の充填状況を確認する充填確認手段を備え、前記充填材の注入時に、前記充填確認手段で充填状況を確認し、前記充填材の膨張時に、前記充填確認手段で膨張状況を確認することを特徴とすることができる。
前記充填確認手段は、開閉を切り替えることのできるエア抜きパイプやバルブであることを含む。
これにより、略密閉空間である囲繞空間へ、充填状況及び膨張状況を目視確認しながら高膨張性軽量無収縮モルタルを充填できるため、囲繞空間への高膨張性軽量無収縮モルタルの充填施工の施工精度を向上させることができる。
また、この発明の態様として、前記充填材を、軽量性を有するモルタルである軽量モルタルで構成することができる。
これにより、前記囲繞空間へ充填材を充填したことによる、閉リブ鋼床版の自重増加を抑制することができる。したがって、自重増加による閉リブ鋼床版の応力増加を低減することができる。
また、この発明の態様として、前記充填材が、プレミックスタイプのモルタルであることを特徴とすることができる。
これにより、施工現場でモルタルを配合する場合と比較して、一定の品質を確保したモルタルを用いることができる。したがって、所望の性能を満たしたモルタルを前記囲繞空間へ充填材を充填することができ、確実に所望の補強効果を得ることができる。
この発明により、裏面側に橋軸方向の閉リブを備えたデッキプレートで構成する閉リブ鋼床版を補強する補強工法を提供することができる。
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本発明の補強工法の対象となる鋼床版100の一部の裏面側からの斜視図を示す図1、鋼床版100の正面図を用いて本補強について説明する説明図を示す図2とともに、鋼床版補強について説明する。
軽量で、架設が容易且つその施工が速いため、道路橋に多数採用されている鋼床版100は、表面側のデッキプレート101と、該デッキプレート101の裏面101aに溶接接合された橋軸方向Lの縦リブであるUリブ10と、橋軸直角方向Wの横リブ(図示省略)と、前記横リブの左右両端でUリブ10に対して略平行な垂直補剛材102とで構成されている。なお、実橋においては、前記デッキプレート101の上面を舗装して道路面を構成している。
Uリブ10は、上面開放の断面略逆台形型のU型鋼の側面であるウェブ部10aの両上端をデッキプレート101の裏面101aに隅肉溶接31(図2参照)によって溶接接合している。なお、本実施例においては、左右の垂直補剛材102の間において橋軸直角方向Wに縦リブ間隔hを確保して隔てて、複数のUリブ10を配置している。
なお、Uリブ10を縦リブとして用いた鋼床版100は、開リブであるバルブリブを用いた同程度の強度を有する鋼床版と比較して溶接量が少なく、コスト削減が図れる。また、Uリブ10自体のねじれ剛性が高く、橋軸方向Lへの荷重分配作用が大きいため、縦リブ支間を長くとれ、鋼重量を軽減できる。
さらに、Uリブ10内側とデッキプレート101の裏面101aとで構成される内部空間11は密閉空間であるため、塗装面積が少なく、維持管理が容易である等のメリットが多く存在する。したがって、1980年頃からバルブリブ構造の鋼床版よりUリブ10を縦リブとして用いた鋼床版100が多く採用されている。
本補強方法は、前記構成で構成された鋼床版100において、縦リブ間隔h部分を添接補強板40で補強するとともに、内部空間11にグラウト50を充填する補強方法である。
添接補強板40は板厚9mmの鋼板で構成され、隣合うUリブ10の間である縦リブ間隔h部分において、デッキプレート101の裏面101aに沿うフランジ部40aと、該フランジ部40aの左右両側でUリブ10のウェブ部10aの外側面の上半部に沿うウェブ40bとで構成された橋軸方向に長い、逆U型断面部材である。
フランジ部40aは橋軸方向L方向に所定間隔ごとに設けられたスタッドボルト41で裏面101aと接合され、ウェブ40bは橋軸方向L方向に所定間隔ごとに配設されたワンサイドハイテンボルト42でウェブ部10aと接合されている。
詳述すると、スタッドボルト41は裏面101aから下向き垂直にスタッド固定されており、フランジ部40aに備えたボルト孔(図示省略)を貫通させて裏面101aとフランジ部40aとを接合している。これにより、デッキプレート101の裏面101a側での締め付け作業でデッキプレート101とフランジ部40aとをボルト接合することができる。なお、裏面101aとフランジ部40a上面との間には接着剤43を塗布し、デッキプレート101とフランジ部40aとの密着性を高めて、前記接合をより堅固なものとしている。なお、接着剤43は、エポキシ製の接着剤を使用している。
ワンサイドハイテンボルト42は、ウェブ部10aとフランジ部40aとに備えたボルト孔(図示省略)を連通させ、該ボルト孔に添接補強板40の内側面(すなわち裏面側)からワンサイドハイテンボルト42を挿入し、挿入側からの締め付け回転によって締結できるボルトであり、さらには引張耐力が非常に高い高力ボルト(ハイテンションボルト)で構成している。
これにより、外部から閉ざされた閉空間である内部空間11でのナットの締め付け固定等の作業の必要性がなくなり、ウェブ部10aとウェブ40bとを容易、且つ確実にボルト接合することができる。
また、ワンサイドハイテンボルト42を高力ボルトで構成したことによって、より強い締結力を発揮できるとともに、より高い締結力による部材間に生じる摩擦力によってより強固に接合することができる。なお、先端にピンテールと呼ばれる締付け反力を受けて破断する部分を有するトルシア形の高力ボルトを用いた場合、連結トルクを容易に管理して連結することができ、利用者の利便性が向上する。
このように、スタッドボルト41やワンサイドハイテンボルト42を用いることによって、密閉空間である内部空間11側や、デッキプレート101上面側での作業をせずとも、鋼床版100の底面側からの作業によって、デッキプレート101、Uリブ10及び添接補強板40をボルト接合することができる。
なお、デッキプレート101、Uリブ10及び添接補強板40を溶接によって接合する場合と比較して、スタッドボルト41やワンサイドハイテンボルト42によるボルト接合の場合、溶接による熱の影響による歪みの発生を防止することができる。
内部空間11に充填するグラウト50は、高流動性、無収縮性(ノンブリージング)、膨張性、強度発現性を備えたプレミックスタイプの軽量モルタルであり、表1に示す配合で配合し、表2に示すフレッシュ性状及び硬化性状を有している。
なお、表1中における普通セメントは普通ポルトランドセメントであり、細骨材は粗粒率2.70の陸砂で構成している。また、前記混和材は、開放空隙を3〜35vol%有し、粒径が50〜500μmである多孔質体、膨張材、分離防止剤、減水剤、並びに比表面積2500〜6000cm/gのフライアッシュ及び/又はスラグ微粉末を含有してなる混和材であり、膨張材の含有量が混和材100質量部中1〜8質量部に設定している。
前記配合で配合され及び表2に示すフレッシュ性状を有するグラウト50は、流動性が良く、硬化時及び硬化後の収縮もなく、ブリージングが生じず、前記強度を発現するグラウト材である。さらには、グラウト50は前記性状に加え、約4.9%の膨張率を有しているが、内部空間11に注入したグラウト50の膨張時においてデッキプレート101やUリブ10を変形するほどの膨張力は有していない。したがって、内部空間11に空隙なくグラウト50を充填することができる。
このように、縦リブ間隔h部分に添接補強板40を接合し、内部空間11にグラウト50を充填した鋼床版100は、デッキプレート101上を通過する自動車の直接載荷される自動車車輪荷重の繰り返しによって隅肉溶接31部分に発生する応力を低減し、当該箇所の亀裂の発生を防止することができる。
詳述すると、添接補強板40によって縦リブ間隔h部分のデッキプレート101を補強し、内部空間11に充填されたグラウト50によって、Uリブ10内側のデッキプレート101の変形を抑制している。したがって、Uリブ10とデッキプレート101の接合部分である隅肉溶接31部分に発生する応力を低減し、当該箇所の亀裂の発生を防止することができる。
なお、スタッドボルト41及びワンサイドハイテンボルト42を用いて添接補強板40を縦リブ間隔h部分に取り付け、内部空間11にグラウト50を充填する本補強方法は鋼床版100の底面側からの施工のみで実施できるため、交通量が多く、道路面での規制が困難である道路橋であっても、原則的に交通規制を必要とせずに前記補強を施すことができる。したがって、鋼床版100を管理する管理者及び鋼床版100を利用する利用者の満足度を向上することができる。
次に、グラウトを注入するワンスパン分のUリブ10について説明する説明図を示す図3、Uリブ10の内部空間11へのグラウト50の充填について説明する説明図を示す図4とともに、内部空間11へのグラウト50の充填について説明する。
内部空間11へ充填するグラウト50は、補強前である既設状態のUリブ10においておよそ10mごとに設置されているダイヤフラム12間を1スパンとして充填されている。
詳述すると、注入対象であるUリブ10の内部空間11側からの側面図である図3(a)、該Uリブ10の左側面図である図3(b)、グラウト注入パイプ51を設置した箇所の断面図である図3(c)、エア抜きパイプ52を設置した箇所の断面図である図3(d)に示すように、ダイヤフラム12はUリブ10内部の内部空間11を橋軸方向Lに遮るようにUリブ10内面に接続されており、およそ橋軸方向Lに10m間隔で設置されている。
この2枚のダイヤフラム12で区切られた内部空間11をグラウト注入の1スパンとし、一方のダイヤフラム12の付近のウェブ部10aの底部側に、ウェブ部10aを貫通するグラウト注入パイプ51を設置している。そして、他方のダイヤフラム12付近とスパン中央付近の2箇所における裏面101aに近いウェブ部10aの橋軸直角方向Wの両側に、ウェブ部10aを貫通するエア抜きパイプ52(52a,52b)を備えている。グラウト注入パイプ51及びエア抜きパイプ52は、適宜の径を有する中空であり、可撓性を有する樹脂製のパイプで構成している。
この状態において、グラウトミキサ(図示省略)でプレミックスタイプのグラウト50に練り混ぜ水を十分に混練し、混練完了したグラウト50をグラウトポンプ(図示省略)を用いてグラウト注入パイプ51から注入する(図4(a)参照)。
なお、グラウト50の品質管理として、注入するグラウト50のJロートによるコンシステンシー試験、3,7,28日の圧縮強度試験及び比重測定試験を実施し、前記コンシステンシー試験及び比重測定試験の結果が満足した場合にグラウト50の注入を開始する。
グラウト注入パイプ51からグラウト50を注入する際、注入圧力を確認しながら、Uリブ10へ打検ハンマーによる打音で注入状況を確認し、スパン中央付近に設置されたエア抜きパイプ52aからのグラウト50の吐出を確認するとエア抜きパイプ52aを折り曲げて結束し(図4(b)参照)、他方のダイヤフラム12付近に設置されたエア抜きパイプ52bからのグラウト50の吐出を確認するまで注入を続ける。
そして、エア抜きパイプ52bからのグラウト50の吐出を確認すると、グラウト50の注入を停止し、グラウト注入パイプ51及びエア抜きパイプ52bを折り曲げて結束する。そして、所定時間経過後にエア抜きパイプ52の結束を一旦解き、エア抜きパイプ52からグラウト50の突出を確認する。グラウト50の突出によってグラウト50の膨張を確認してエア抜きパイプ52を再度結束し、この状態で所定期間グラウト50を養生する。所定期間の養生完了後にグラウト注入パイプ51及びエア抜きパイプ52を撤去し、グラウト50の充填を完了する。
上述したよう注入方法でグラウト50を内部空間11に充填することによって、内部空間11に空隙なく、確実にグラウト50を充填することができる。
次に、本補強方法による効果確認のために応力性状をFEM解析で解析した結果について、解析結果を説明する説明図である図5、各モデルの応力度分布について説明する説明図である図6とともに説明する。
本FEM解析は、ダンプトラックの中後輪を模した100kNの載荷荷重を、無補強の鋼床版100をモデル化した無補強モデルM1、無補強の鋼床版100に添接補強板40を接合してモデル化した添接補強モデルM2、及び該添接補強モデルM2に加えて内部空間11にグラウト50を充填したモデルである添接補強+グラウト充填モデルM3のそれぞれに載荷した際における応力性状を算出し、比較している。
このFEM解析において、無補強モデルM1のコンタ図である図5(a)に示すように、デッキプレート側ルート(A点)に−341MPa及びUリブ側ルート(B点)に−328MPaの圧縮応力の局部的な集中が見られる。隅肉溶接31の止端部では、デッキ側(C点)で−236MPa、Uリブ側(D点)は−139MPaと、デッキ側の方が高い応力が発生していることが分かる。
また、添接補強モデルM2のコンタ図である図5(b)に示すように、添接補強板40によるUリブ10の曲げ剛性の向上により、隅肉溶接31の止端部のデッキ側(C点)及びUリブ側(D点)の応力がそれぞれ70%および80%程度に低減され、デッキプレート側ルート部(A点)の応力は85%に低減されていることが分かる。
さらに、添接補強+グラウト充填モデルM3のコンタ図である図5(c)に示すように、グラウト50の充填によって全体的に、発生応力が1/5〜1/10と大幅に減少していることが分かる。
また、図6に示すように、無補強モデルM1、添接補強モデルM2及び添接補強+グラウト充填モデルM3における橋軸直角方向のデッキプレート上面および下面の応力度分布を比較すると、各モデルとも、隅肉溶接31に極めて高い応力集中が発生し、デッキプレート上面では載荷直下のUリブ10のウェブ部10a上で、引張応力が発生していることが分かる。また、板曲げの影響で、載荷と反対側のUリブ10のウェブ部10aにも、載荷直下の50%程度の応力が発生し、デッキプレート下面のUリブ10のウェブ部10a上は圧縮場となり、膜応力より曲げ応力が卓越していることが分かる。なお、内部空間11にグラウト50を充填した添接補強+グラウト充填モデルM3は、溶接部近傍に加えて、Uリブ内側においてもデッキプレート101に発生する応力レベルが非常に小さいことが分かる。これは、剛性の向上によりUリブ10内面側のデッキプレート101の変形が大幅に抑制されたからであると考えられる。
このように、前記解析によって、添接補強板40でのみ補強した場合と比較して、内部空間11にグラウト50を充填することで大きな補強効果があることが確認できる。
次に、内部空間11へ注入するグラウト50の充填状況による補強効果について、FEM解析で解析した結果について、解析結果を説明する説明図である図7とともに説明する。
本FEM解析は、前記FEM解析と同条件において、裏面101aとグラウト50上面との間に空隙を設けた空隙モデルM4、グラウト50上面の一部に小さな空隙を設けた小空隙モデルM5,該小空隙モデルM5の空隙の約2倍の大きさの空隙を備えた中空隙モデルM6,グラウト50を空隙なく内部空間11に充填するがグラウト50の断面中央付近に発泡スチロールを設けた発泡スチロールモデルM7における応力性状を算出し、比較している。
前記FEM解析における無補強モデルM1の結果である図5(a)と比較すると、小空隙モデルM5のコンタ図である図7(b)、及び中空隙モデルM6のコンタ図である図7(c)に示すように、グラウト50の上面に空隙があってもその空隙が部分的であれば、応力低減効果があることが発揮されることが確認できた。これは、空隙が部分的であるためデッキプレート101の変形を抑制できるからであると考えられる。これに対し、空隙モデルM4のコンタ図である図7(a)に示すように、空隙がグラウト50上面の全体に広がる場合は、Uリブ10内側のデッキプレート101の変形を抑制できず、グラウト50を充填することによる応力低減効果が大幅に減少することが分かる。
このようにして、本FEM解析によって、縦リブ間隔h部分を添接補強板40で補強するとともに、高流動性、無収縮性(ノンブリージング)、膨張性、強度発現性を備えたプレミックスタイプの軽量モルタルで構成したグラウト50を内部空間11に充填する本補強方法が無補強の鋼床版100と比べて大幅に応力を低減することが確認できた。なお、Uリブ10内側のデッキプレート101の変形を抑制することで大きな応力低減効果を発揮することができる本補強方法において、内部空間11へのグラウト50の空隙のない充填が重要であり、前記性状を有するグラウト50を前記注入方法で注入することによって、密閉空間であり、外部から目視確認できない内部空間11へ空隙なくグラウト50を注入することができるため、確実に補強効果を得ることができることが確認できた。
なお、別の実施形態である鋼床版100のUリブ10部分の縦断面図及び横断面図である図8に示すように、グラウト50内部にボイド70を備えてもよい。ボイド70は、適宜の径及び強度を有する中空の円筒形であり、両端を閉塞した状態でグラウト50内部に設置されている。これにより、内部空間11に充填するグラウト50の充填量を低減でき、グラウト50の充填による鋼床版100の自重の増加を抑制することができる。
これにより、鋼床版100の自重増加を抑制しながら、前記補強効果を得ることができる。なお、発泡スチロールモデルM7のコンタ図である図7(d)から、空隙なく内部空間11に充填するグラウト50が一様な強度を有さなくとも補強による応力低減効果があることが分かる。これにより、グラウト50内部にボイド70を設置した場合であっても前記補強効果を得ることができる。
また、前記実施例において、グラウト50を前記性状を有する前記配合で配合したが、前記配合は、鋼床版100が略水平であり、略水平なUリブ10の内部空間11に注入することを想定した配合であり、例えば50/1000等の縦断勾配を有するような鋼床版100の場合、流動性を低減する等のフレッシュ特性を変更した配合を設計しても良い。また、このような縦断勾配を有するUリブ10にグラウト注入パイプ51及びエア抜きパイプ52を設置する際、下流側にグラウト注入パイプ51を、上流側にエア抜きパイプ52を設置することによって、エア溜まりによる空隙の発生や、グラウト50の流下による材料分離等の発生を防止できる。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の閉リブは、Uリブ10に対応し、
以下同様に、
デッキプレート裏面は、裏面101aに対応し、
隣合う閉リブにおける対向する側部の間は、縦リブ間隔h部分に対応し、
閉リブ鋼床版は、鋼床版100に対応し、
閉リブにおける対向する側部は、ウェブ部10aに対応し、
当て板は、添接補強板40に対応し、
囲繞空間は、内部空間11に対応し、
充填材,高膨張性無収縮モルタル及び高膨張軽量無収縮モルタルは、グラウト50に対応し、
片側施工ボルトは、ワンサイドハイテンボルト42に対応し、
嵩上げ手段は、ボイド70に対応し、
充填確認手段は、エア抜きパイプ52に対応するも
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
鋼床版の一部の底面側からの斜視図。 鋼床版の正面図を用いて本補強について説明する説明図。 グラウトを注入するワンスパン分のUリブについて説明する説明図。 Uリブの内部空間へのグラウトの充填について説明する説明図。 解析結果を説明する説明図。 各モデルの応力度分布について説明する説明図。 解析結果を説明する説明図。 別の実施形態である鋼床版のUリブ部分の説明図。 図従来の鋼床版の底面側からの斜視図。
符号の説明
10…Uリブ
10a…ウェブ部
11…内部空間
40…添接補強板
42…ワンサイドハイテンボルト
50…グラウト
52…エア抜きパイプ
70…ボイド
100…鋼床版
101…デッキプレート
101a…裏面
W…橋軸直角方向
L…橋軸方向
h…縦リブ間隔

Claims (8)

  1. デッキプレートと、複数の橋軸方向の閉リブとで構成し、
    該閉リブを、橋軸直角方向の所定間隔を隔てて前記デッキプレートの裏面に固定した閉リブ鋼床版の補強工法であって、
    隣合う閉リブにおける対向する側部外面及びその間のデッキプレート裏面に沿う当て板を、前記側部外面及び前記デッキプレート裏面に接合するとともに、
    前記閉リブの内面及び前記デッキプレート裏面で囲繞された囲繞空間に充填材を充填する
    閉リブ鋼床版の補強工法。
  2. 前記側部外面と前記当て板との接合を、
    側部外面側である片側からの施工によって締結可能な片側施工ボルトで構成した
    請求項1に記載の閉リブ鋼床版の補強工法。
  3. 前記囲繞空間に、
    前記充填材より軽量である嵩上げ手段を備えた
    請求項1又は2に記載の閉リブ鋼床版の補強工法。
  4. 前記充填材を、
    高膨張性及び無収縮性を有するモルタルである高膨張性無収縮モルタルで構成した
    請求項1、2又は3に記載の閉リブ鋼床版の補強工法。
  5. 前記閉リブに、
    前記囲繞空間に充填された充填材の充填状況を確認する充填確認手段を備え、
    前記充填材の注入時に、前記充填確認手段で充填状況を確認し、
    前記充填材の膨張時に、前記充填確認手段で膨張状況を確認することを特徴とする
    請求項4に記載の閉リブ鋼床版の補強工法。
  6. 前記充填材を、
    軽量性を有するモルタルである軽量モルタルで構成した
    請求項1から5のうちいずれかに記載の閉リブ鋼床版の補強工法。
  7. 前記充填材が、
    プレミックスタイプのモルタルであることを特徴とする
    請求項1から6のうちいずれかに記載の閉リブ鋼床版の補強工法。
  8. デッキプレートと、複数の橋軸方向の閉リブとで構成し、該閉リブを、橋軸直角方向の所定間隔を隔てて前記デッキプレートの裏面に固定した閉リブ鋼床版であって、
    隣合う閉リブにおける対向する側部外面及びその間のデッキプレート裏面に沿う当て板と、
    前記閉リブの内面及び前記デッキプレート裏面で囲繞された囲繞空間に充填された充填材とを備えた
    閉リブ鋼床版。
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