JP7241050B2 - プレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物及びその施工方法 - Google Patents

プレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物及びその施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、主として山岳部や山間部のように立地環境が限定されている施工地点に設置される鉄塔や橋梁などに用いられる基礎構造物と、その施工方法に関するものである。
より詳しくは、施工地点が、例えば山岳部や山間部のように立地環境が限定されているような場合、具体的には建設資材の運搬に必要な公共道路や鉄道などのアクセス・ライフラインがないような場合には、様々な施工するための制約環境が発生する。つまり、建設資材を運搬するための手段として、ヘリコプターの利用はじめ、索道ラインやモノレールの利用、工事用の仮設道路建設などが必要とされる。このような施工上の制約環境下においては、本発明を適用することにより、従来の基礎構造に比較して、大幅なコストダウンと工期短縮を実現できる、新たな基礎構造及びその施工方法に関するものである。
なお、本発明の基礎構造とは、送電線鉄塔の基礎や橋梁の支柱基礎、アバット基礎、および建築物の基礎などの、すべての基礎構造を対象としている。
従来、コンクリート材料を使用した基礎構造物の補強材料としては、鉄筋が一番多く使用されてきていることは、周知の事実である。基礎構造物に求められている機能は、外部(上部構造物)からの下方への押込み軸力、上方への引抜軸力、水平せん断力、ねじりモーメント、曲げモーメントなどの断面力に対して、基礎構造物自身による構造抵抗、および基礎構造物を介して上記断面力を周囲の地盤に効果的に伝達して、基礎構造物としての構造安定性を維持することにある。
そのために、基礎構造物の構造形式は設置する地盤の土質や岩質に影響を受けて、種々の構造形式が選択されている。その結果、基礎構造物に使用される構造材料としては、圧倒的にコンクリートと鉄筋であり、いわゆる鉄筋コンクリートを適用した基礎構造物が主流である。
鉄筋コンクリート製の基礎構造物を、山岳部に建設する際には、大量のコンクリート、鉄筋、型枠、足場支保工、土留支保工などの建設資材を施工現場まで運搬する必要がある。山岳部では公道によるアクセスがないことが多く、ヘリコプター、索道、およびモノレールなどの運搬手段を考える必要がある。建設資材の中で、コンクリートと鉄筋に関しては、材料単価以上に運搬費用が高価となることが多く、山岳部の基礎建設の大きな課題であった。
基礎構造物は地盤からの反力を利用するために、現地地盤中に建設される。そのために、大量の掘削土が発生して、基礎建設後には多量の残土処理が必要とされて、残土の排出運搬などの残土処理方法と処理費用が課題であった。
送電線鉄塔基礎の場合には、鉄塔脚材の基部を鉄筋コンクリート基礎中に定着する必要がある。多くの場合の定着方式は、いかり形状の定着方法を採用していて、いかり定着はコンクリート基礎中に埋め込んで施工する。そのために、鉄塔脚材の基部の位置決めと固定方法が困難で、時間と費用を要していた。
鉄筋コンクリート製基礎は、生コンクリートを現場打設する方式である。生コン車を利用してのコンクリート打設の場合は、通常の施工管理で施工可能である。しかし、山岳地におけるコンクリート打設で、例えばヘリコプターを運搬手段に適用した場合では、ヘリポートまでの生コン運搬と、生コン車からホッパー移動、ヘリコプターによるホッパー運搬、施工地点でホッパーから打設ホッパー移動、ホッパーによるコンクリート打設と、多くの経路と、積み替えが必要となる。そのために、コンクリートのフレッシュ性状を保持しながら、これを連続的に打設するためのリスクが非常に大きい。また、運搬時間が予定よりも超過した場合には、施工スランプを確保することができず、コンクリートの打継ぎ面において、コールドジョイントが発生して、設計通りの構造物を施工することが困難となる。特にヘリコプターの運搬手段の場合は、風の影響を受けやすく、施工を途中で中断するリスクも十分にあり、コンクリートの品質管理が厳しくなる。そのために、施工稼働率の低下が考えられ、施工コストの増大が考えられる。
鉄筋コンクリート基礎に適用する鉄筋は、太径の異形鉄筋が多い。施工地点での鉄筋組は、施工環境として狭隘な場所で十分な揚重機械を利用できない環境で、組み上げなければならないことが多く、このような施工環境下での施工労務者の確保が困難である。
鉄筋コンクリート基礎は、マッシブな形状をしていることが多い。そのため、マスコンクリートとなることが多く、コンクリート養生中に多量の水和反応熱が発生して、温度応力が発生するために、マスコン対策を行う必要がある。マスコン管理を十分に実施しない場合には、基礎の表面付近のみならず、内部にまで温度応力による貫通ひび割れが発生して、コンクリート内部の鉄筋腐食のリスクが増大する。
最近の鉄筋コンクリートは、使用限界状態においては基本的に表面のひび割れの発生を許容して設計しているので、鉄筋が錆びない必要なコンクリート被りを確保する必要がある。しかし、鉄筋の錆びに対するリスクは常に存在している。そのために、コンクリート基礎の定期的な維持管理費用が発生することは避けられない。
本発明に関連する既往の特許参考文献を以下に示す。
特開2014-169551号公報 特開平10-231527号公報 特開平10-140586号公報 特開平6-316942号公報 特許第6650995号公報
(1)特開2014-169551号公報(特許文献1)
特許文献1は、施工現場で型枠・鉄筋組立・コンクリート打設・養生などの一連の鉄筋コンクリート基礎建設の施工を、プレキャストの建設用ブロックとして、あらかじめ別の場所で製作して、施工地点にて組み立てることを主眼とした技術である。従って、現場施工の制約に対する自由度が増すことは認められるが、完成の鉄筋コンクリート基礎の形状は、場所打ちコンクリート形状と差異はなく、分割された建設用ブロックの形状から、運搬の制約条件(ブロックの重量や、形状寸法の制約)を解除できないと思われる。また、建設用ブロックの接合に嵌合接合を適用しているものの、嵌合継ぎ手の隙間があることによる接合精度の確保が困難であり、また、ブロック基礎相互の接合に鉄筋などの引張補強材が適用されていないので、基礎構造物としての強度を確保できるかどうか疑問である。
(2)特開平10-231527号公報(特許文献2)
特許文献2の課題が、掘削残土とコンクリート打設量の減少とする点で、本発明の課題の一部と同じである。残土の利用方法としては、掘削残土、水、セメントと混合して、いわゆるソイルセメントによる土砂ブロックを製作して下部コンクリート層の一部に適用するものである。下部コンクリートは土砂ブロックと内周壁との隙間に配筋をして、場所打ちコンクリートを打設する方法で施工する。上部コンクリート層の施工では、従来の施工方法で配筋、場所打ちコンクリートで施工する。文献2に示されている土砂ブロックは、ブロック化されているために、これを基礎底部に設置するためには、揚重機械が必要となる。場所打ちコンクリートの場合には、バケット打設、あるいはポンプ打設による施工が可能であるが、ブロック化された重量物は、施工が困難である。また、掘削残土の量としては、基礎掘削した全土量のせいぜい20~30%程度しか利用できないので、掘削残土処理の課題を解決しているとは考えられない。また、文献2の深礎基礎のほとんどが場所打ちコンクリートによる鉄筋コンクリート基礎であり、従来の基礎構造との大きな相違を考えにくい。
(3)特開平10-140586号公報(特許文献3)
特許文献3は、送電線鉄塔の深礎基礎建設において、コンクリートの運搬費用、コンクリート品質低下、鉄筋組立の作業手間、などの課題を解決するために、コンクリートブロックを施工現場で組み立てて接合する技術を提供している。
特許文献3の[0012]で示されているように、「コンクリートブロックには、セメントモルタル等の流動体を縦横に流入・出できる貫通孔を有せしめ、セメントモルタルの注入による基礎体の固結一体化及び基礎体の掘削地盤との密着を図れる構造を提供する。」としている。深礎基礎を掘削する場合には、土留支保工が必要であり、コンクリートブロックと土留支保工の外側の地盤までの隙間は100mm~200mm程度ある。そのためのセメントモルタルを内側から充填することは、セメントモルタルの流動性を考えるとコンクリートブロック内に漏洩する可能性が大きく、施工の確実性が信頼できない。また、材料単価の高いセメントモルタルを、基礎体と掘削地盤との隙間の大容積部に充填する施工は、高価な材料コストを考えると現実的ではない。
特許文献3の[0014]で示されているように、「円弧上のコンクリートブロック1を円筒状にして積み上げ組立て、上下のコンクリートブロックに鉄筋3を串刺し状態に貫通して両端を緊張することにより、コンクリートブロック群を一体化して、以て、空隙部4を有する基礎体2としてなるものである。」とある。上下のコンクリートブロックの記述、および図面から、文献3に示されている鉄筋によるコンクリートブロック相互の接合は、2個のコンクリートブロックに限定されていることがわかる。つまり3個以上の複数個のコンクリートブロックを接合することは考慮されていない。また、接合された2個のコンクリートブロックの上に別のコンクリートブロックをさらに接合する方法は示されていない。しかし、実際の深礎基礎に必要な長さは、少なくても15~20mほど必要であり、現実的ではない。
特許文献3の[0017]で示されているように、「コンクリートブロック1は、図3のようにセメントモルタルの注入が可能な貫通孔6や端部の溝7を設け、積み上げ組み立てた時にモルタルを注入することにより、コンクリートブロック群の一体化を強化することもできる。」とある。貫通孔6や端部の溝7にモルタルが注入されても、鋼材とは異なり、接合材としてのモルタル強度は期待することができない。従って、コンクリートブロック相互の円周方向の接合強度は期待できず、設計的には横方向の抵抗力を期待することはできないために、基礎構造としての機能を果たさない。
特許文献3の[0018]で示されているように、「鉄筋3の緊張は、市販の緊張ジャッキと固定具で緊張状態を保持し、この状態で、コンクリートブロック1と鉄筋3の隙間にセメントモルタルを流入し、モルタル固結により、コンクリートブロックと鉄筋が一体化した後に、緊張固定具を外す。」とある。ここで、緊張固定具を外すと説明があるように、緊張端部の定着が解放されるために、端部におけるコンクリートに生ずる緊張圧縮応力が失われる。そのために、プレストレストコンクリートとしての機能は限定される。
特許文献3の記述には、深礎基礎として不可欠な底版部の説明がないために、基礎構造としての成立性が疑問である。また、文献3で示されている、主に縦方向の鉄筋が主たる構造抵抗材であり、周方向には構造的に不連続な構造である場合には、設計的にはコンクリートブロックの形状寸法が大きくする必要があり、コンクリートブロックの施工現場までの運搬重量や、現地組み立てるための重機の能力についても低減できる可能性は少ない。コンクリート運搬費用の代わりに、コンクリートブロックの運搬費用がそれほど低減することなしで必要となり、当初の運搬費用を低減するという目的を達成することは困難であると考える。
(4)特開平6-316942号公報(特許文献4)
特許文献4は、高さ調整具に係合する調整係合部と、鉄塔の脚部下端を受ける鉄塔受部とを有する基礎本体をコンクリートにて一体に成型したことを特徴とする鉄塔基礎用プレキャスト製品を提供している。その目的は、場所打ちコンクリートを減らして、施工の所要期間の短縮とコスト縮減にある。文献4による実施例では、鉄塔受部を有する基礎本体がプレキャスト製品として捨てコンクリート上に設置することができる。しかし、基礎本体の重量は、プレキャスト製品とすることで、重量が非常に増大すると考えられる。従って、従来のプレキャスト・コンクリート部分がないアングル材+橋脚下端の設置に要した揚重機に比べて、相当に大容量の揚重機が必要となる。また、文献4による鉄塔基礎用プレキャスト製品のみで、基礎工事が完成することはなく、さらに基礎固定体の型枠、配筋、コンクリート打設が必要であり、場所打ちコンクリートの低減や施工時間の短縮への貢献は少ない。
(5)特許第6650995号公報(特許文献5)
特許文献5は、鉄塔の鉄脚部の位置決め作業を簡略化することができる鉄塔基礎構造及び構築方法を提供することを目的としている。プレキャスト・コンクリート製の内側ピースと鉄塔脚部は一体に製作されて、これが杭頭処理された接地面上に配置されるために、鉄塔脚部の位置決めが容易となることが、文献5のポイントである。また、プレキャスト・コンクリート製の外側ピースを杭頭の外側に設置して、内側ピースと外側ピースの間に設置したジャッキを介して、鉄塔脚部と一体の内側ピースの水平方向の位置調整を行うとしている。しかしながら、文献5の施工方法では、外側ピースが杭頭に固定されていないために、ジャッキの水平反力を受け持つことができないので、水平位置調整は困難である。また、杭頭部の表面処理が水平に行われているとしても、鉄塔橋脚の傾斜に対する調整は必要であり、その方法が示されていない。また、文献5の完成時の構造を考えると、鉄塔からの引抜力や曲げモーメントの断面力が作用した場合、杭の周囲に配置された主鉄筋が引抜力や曲げモーメントにより発生する引張力に抵抗する構造である。従って、接合部における大半の断面積を占める内ピースや外ピースの接触面積は、杭の頭部とは接触しているだけの構造であり、引張力やせん断力に対して、不連続な構造となっている。つまり、杭本体に対して、鉄塔橋脚に発生する引抜力や曲げモーメントなどの断面力に抵抗できるような断面力伝達が困難である。
(6)その他
山岳部における鉄塔や橋梁の基礎構造については、厳しい自然条件や施工条件があるものの、従来から、主要構造基礎の多くは、場所打ち鉄筋コンクリート構造物である。山岳部における重量資材の運搬には、ヘリコプターはじめ索道、モノレールなどの運搬手段がとられてきた。そのために、運搬費用は材料費よりも高価になることもあった。これまでも、鉄筋コンクリート構造物の施工において、生コンクリート打設ではなく、プレキャスト・コンクリート構造物として施工地点に運搬・設置する基礎構造物の提案があった。しかし、基礎の構造形式として鉄筋コンクリート構造物から脱して、プレキャスト・プレストレストコンクリート構造物を適用した基礎構造物の発明は、過去の文献や特許公開資料からは、参考情報として見出すことができなかった。
(1)基礎建設に必要とされる大量の建設資材運搬
1)山岳部における鉄塔や橋梁の基礎構造物の構造形式は、種々あるが、鉄筋コンクリート構造が圧倒的に多い。
2)鉄筋コンクリート製の基礎構造物を、山岳部に建設する際には、大量のコンクリート、鉄筋、型枠、足場支保工、土留支保工などの建設資材を施工現場まで運搬する必要がある。山岳部では公道によるアクセスがないことが多く、ヘリコプター、索道、およびモノレールなどの運搬手段を考える必要がある。建設資材の中で、コンクリートと鉄筋に関しては、材料単価以上に運搬費用が高価となることが多く、山岳部の基礎建設の大きな課題であった。
3)特にコンクリート材料は、生コンクリートを基礎構造物に直接打設する工法が採用されることが多く、建設地点から上記のような生コン車などのアクセスがなければ、建設の目途が立たないこともある。
4)従って、上記のような大量の建設資材運搬を極力低減できる、基礎の構造形式や施工方法が求められる。
(2)基礎建設には大量の残土が発生する
1)基礎構造物の基本は、周囲の地盤からの反力により、構造安定性を保持することが基本である。そのために、設置地点の地盤を大量に掘削して、その中に鉄筋コンクリート構造基礎体を構築する。掘削土は一部埋め戻しに使用されることはあるが、コンクリート基礎の容積に等しい容積が残土として残る。
2)残土は、そのまま放置することは、山岳部の自然環境を保全する観点からも、許されない。従って、残土処理できる場所まで、運搬の必要があり、運搬費用、残土処理費用が発生する。
(3)送電鉄塔基礎の鉄筋コンクリート基礎への定着方式と位置決め設置作業
1)いかり材による定着が一般的に多く採用されている。送電鉄塔の材料は鋼パイプや山型鋼が使用されることが多く、定着部にいかり形状の定着具が溶接されていることが多い。これを鉄筋コンクリート中に定着するために、つり込み、据付、位置出しを行うのであるが、据付時の正確な方向や正確な位置出しが必要であるが、その作業に時間と労力を要していた。
2)送電鉄塔の周囲に支圧版を溶接することで、周囲の鉄筋コンクリートとの一体性を期待する定着方式がある。この場合も、いかり定着と同様に据付時の正確な位置出しに作業手間と労力を要していた。また、定着の機構から、基礎躯体のコンクリート径を十分に大きくすることが必要であり、基礎構造体としての設計で、定着部の設計条件の制約から経済的な基礎形状を求める困難さがあった。
3)送電鉄塔基礎の定着法として、基礎内部に定着することなく、鉄塔端部に支圧プレートを溶接して、基礎天端にテンションボルトにより固定する方法もある。テンションボルトの締付け能力やボルト長さの制限から、小規模の鉄塔基礎定着に限定されていた。
(4)生コンクリート現場打設の困難な施工管理
1)基礎構造物には大量の生コンクリートが必要である。山岳部において公道へのアクセスができない基礎施工現場においては、その運搬手段として、ヘリコプターや索道などの運搬手段を適用する。
2)ヘリコプターによる運搬手段の場合では、生コンプラントから生コン車でヘリポートまで運搬し、ヘリの運搬バケットへ移し、ヘリ運搬、ヘリバケットから一時貯蔵ホッパー移設、貯蔵ホッパーから打設バケットによる打設、までの材料移動が必要である。
3)生コンは練り上がりから打設までの時間、気温条件にもよるが1.0~1.5時間以内がフレッシュ性状を保持できる限界である。そのために、上記の運搬サイクルに狂いが発生すると、生コン打設を中止するなどの、リスクが存在する。
4)また、生コンは連続打設が原則であり、打設間隔が予定以上の開いた場合には、コールドジョイント発生のリスクがある。コールドジョイントが発生すると、鉄筋の錆びや、コンクリート構造体の連続性が維持できなくなる。
(5)鉄筋組立の組立て手間と施工時間
1)基礎構造の主鉄筋は、比較的大口径の異形鉄筋が適用されることが多い。一般的に基礎形状に合わせると、長尺で大口径の鉄筋は、重量が大きく、鉄筋組立て時の手間と、労力は大きくなる。
2)一般的に鉄筋組立ての場所は、狭隘なことが多く、重量物のハンドリングが効率的に行うことが困難であるために、施工効率が悪く、時間がかかる。
(6)マスコンの温度ひび割れリスク
1)生コンで打設する形状寸法は、一辺の長さが1m以上のものが大多数である。この場合、マスコンによる温度応力が発生するリスクがあり、温度ひび割れ対策をする必要がある。
2)対策としては、マスコン用の低熱セメントの配合や、打設後の養生で温度応力が発生しにくいように断熱養生をする、あるいは、生コン打設量を制限して打ち継ぎ処理を行う、など種々にマスコンが原因となる、ひび割れ発生の防止策を実行する必要がある。そのために、対策費用と施工時間が長期化する。
3)マスコンによるひび割れは、貫通ひび割れとなるために、構造体の不連続や鉄筋の錆びなどの問題を発生する。
(7)鉄筋コンクリート基礎構造体の維持管理
1)上記に示したように、山岳部における鉄筋コンクリート基礎構造物の施工管理は、種々のリスクを有している。そのために完成後の従来の基礎構造物に対する維持管理費用が発生する。
2)しかし、山岳部における基礎構造物に対する維持管理費用は、通常の立地条件と異なるために、万が一、不具合が発生した際には、多大な費用発生するものと考えられる。
(8)現場コンクリート打設施工による施工期間と施工コスト
1)上述のように、山岳部における施工条件は、非常に厳しいものであり、立地の自然条件を考慮すると、施工期間が長期化し、さらに施工コストも高くなることが想定される。
2)また、通常の立地環境における基礎建設の労働条件とは大きく異なり、労務者は連続して施工現場に常駐する、厳しい労働条件を強いられるために、労務者の確保が困難な状況にある。
鉄塔や橋梁の基礎構造体が基本的に保有すべき役割は、鉄塔や橋梁などの、いわゆる上部構造が受ける様々な外力荷重に対して、構造的な安定性を提供することである。外力荷重としては、主に、死荷重や活荷重、風荷重、雪荷重、地震荷重、施工時荷重などである。これら上部工からの荷重により、基礎構造物に対しては、下方への押込み軸力、上方への引抜軸力、水平せん断力、ねじりモーメント、曲げモーメントなどの断面力に対して、基礎構造物自身による構造抵抗、および基礎構造物を介して上記断面力を周囲の地盤に効果的に伝達して、基礎構造物としての構造安定性を維持することにある。
山岳部や山間部において、従来の基礎構造形式や従来の建設材料を適用した基礎構造体を施工しようとすると、多くに制約条件があり、高い建設コストをはじめ、施工期間の長期化、劣悪な労働環境条件など、多くの課題を抱えていた。本発明は、これまで踏襲されてきたような基礎構造形式や、そこに必要とされる構造材料にはとらわれずに、考案されたものである。
この発明によるプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物は、地盤掘削によって形成される地中孔の底部に設置される、一つ以上の平板状のプレキャスト・コンクリートから構成される底版部、上記底版部上かつ上記地中孔の内壁面に沿って設置される、一つ以上の壁状(枠状)のプレキャスト・コンクリートから構成される側壁部、上記底版部および上記側壁部によって囲まれる空間内部に充填される土砂又はソイルセメントからなる中詰め材、上記側壁部上および上記中詰め材上に設置される、一つ以上の平板状のプレキャスト・コンクリートから構成される上版部、ならびに上記上版部上に設置される固定基礎を備え、底版部、側壁部、上版部および固定基礎のそれぞれに複数の貫通孔が形成されており、かつ複数の貫通孔のそれぞれが底版部から固定基礎にかけて連続しており、貫通孔を貫通させた緊張材により底版部の下端部から固定基礎までを緊張定着するように構成したことを特徴とする。プレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物は、たとえば鉄塔や橋梁の基礎構造体として用いることができる。
この発明によるプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物は、施工地点までの特殊な資材運搬の制約条件を考慮して、基礎構造物を構成する、底版部、側壁部、上版部、それぞれにおけるコンクリート部材を全て運搬可能な最大積載重量未満に設定した、プレキャスト・コンクリート部材から構成される。
上版部に上に設置される固定基礎は、固定基礎に接合されたベースプレートを水平平面に調整された上版部の上に設置するだけでよい。従来の固定基礎に相当する方法では、いかり定着や支圧版定着であり、基本的にはコンクリート基礎構造物の内部に設置するために、設置するためのフレームが必要であり、また、位置決め作業が難しく、作業時間を要していた。
この発明によるプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物は、底版部から固定基礎までの区間の貫通孔に緊張材を設けて、緊張定着することで、基礎構造物の全長にわたり緊張応力が導入される。この結果、本発明の基礎構造物に作用する、下方への押込み軸力、上方への引抜軸力、水平せん断力、ねじりモーメント、曲げモーメントなどの断面力に対して、従来の鉄筋コンクリート基礎構造物と比較すると、部材断面としては縮小されるものの、プレストレスの効果により、ひび割れ抵抗や曲げモーメント耐力やせん断耐力が増大する。
なお、ここで緊張材としては、PC鋼ストランド、PCステンレス・ストランド、などの金属製のストランド、および、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維などの連続繊維を、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、塩化ビニルなどの樹脂で集束含浸した連続繊維補強材を用いることができる。
この発明によるプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物は、部材断面としては縮小されているので、基礎構造物に作用する引抜軸力に対して、基礎本体の自重が必要となる。そのために、側壁部の空隙内部に基礎地盤の掘削時に発生する土砂、あるいは掘削土砂にセメントを混入したソイルセメントからなる中詰め材を充填することにより、基礎本体に自重は、従来の基礎本体が全て鉄筋コンクリート基礎と、ほぼ同等の自重となり、引抜安定性に寄与することができる。
山岳部や山間部における基礎構造体の従来の施工では、掘削土砂の残土処理に多大な費用と施工時間が必要であった。この発明によるプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物は、中詰め材に使用する土砂の量は、掘削土砂量よりは少ないものの、従来の工法に比較すると、残土処理量を大幅に低減することが可能となる。
この発明によるプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物の上版部に固定される固定基礎は、緊張材により基礎構造体の底部に定着される。一般的に、基礎構造体に接合されたベースプレートをコンクリート基礎に固定する方法は、アンカーボルトによりコンクリート基礎に締め付ける方法が採用される。その場合は、適用できるアンカーボルトの引張耐力は、橋梁上部工に採用される緊張材と比較すると、限界がある。さらに、従来のアンカーボルトに比較して、本発明の緊張材は底版部の底部に定着しているので、緊張材の全長が10mのオーダーとなり、緊張管理が容易である、またセットロスが万一発生した場合でも、それぞれの緊張材間の緊張力に誤差が発生しない。また、外力により固定基礎から発生する引抜軸力や曲げモーメントにより緊張材に引張力が発生しても、緊張時の引張力未満の外力に対しては、緊張材が伸び変形することがない。つまり、設計外力に対する設計耐力の算定においては、設計的な不確定要因が少ない。
これに対して、従来の鉄筋コンクリート基礎構造物中に、いかり定着や支圧版定着する場合では、例えば、いかり定着に働く引抜力に対して、鉄筋コンクリートの引抜せん断耐力の評価は、実験や3次元の非線形解析による評価が必要であり、設計手間と設計的不確実性があった。
この発明によるプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物の構造体は、品質管理の高いコンクリート工場製品であるために、品質のバラツキが少なく、高強度コンクリートの採用が容易に可能であるので、緊張可能なプレキャスト・コンクリートとしては、コンパクトにすることが可能である。
この発明は、プレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物の施工方法も提供する。この発明による施工方法は、地盤掘削によって形成される地中孔の底部に、一つ以上の平板状のプレキャスト・コンクリートから構成される底版部を設置し、上記底版部上かつ上記地中孔の内壁面に沿って、一つ以上の壁状(枠状)のプレキャスト・コンクリートを設置し、上記底版部および上記側壁部に囲まれる空間内部に土砂又はソイルセメントからなる中詰め材を充填し、上記側壁部上および上記中詰め材上に設置される、一つ以上の平板状のプレキャスト・コンクリートから構成される上版部を設置し、上記上版部上に固定基礎を設置し、底版部、側壁部、上版部および固定基礎のそれぞれに形成された複数の貫通孔であって、底版部から固定基礎にかけて連続貫通する貫通孔に緊張材を通し、底版部の下端部近傍で緊張材の下端部をプレキャスト・コンクリート内に定着させた後に、固定基礎において上方向に緊張材を緊張させ、固定基礎において定着固定することを特徴とする。
上記プレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物の施工方法は、簡単に言及すると、たとえば底版部から側壁部まで接合しながらプレキャスト・コンクリート部材を積み上げ、側壁部の空隙内部に中詰め材を充填、引き続き、上版部のプレキャスト・コンクリート部材を積み上げ、基礎構造体をセット後、底版部の下端近傍で緊張材をプレキャスト・コンクリート内に定着させ、全長にわたり緊張した後に、基礎構造体に緊張材を定着させる、施工方法である。
プレストレストコンクリートを適用した橋梁建設における(接合+緊張工法)では重力に逆らいプレキャスト部材を一時的に支保する架設工法を適用する必要があった。しかし、本発明の接合方法は、橋梁の場合とは異なり、重力場を利用してたとえば上下方向にプレキャスト部材を積み上げることにより接合作業を容易にしている。
上記プレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物の施工方法は、底版部から固定基礎までの全長にわたり緊張力を導入する必要があるので、プレキャスト部材のすべてに、例えばシース管などを使用して貫通孔を設け、最終的にプレキャスト部材の相互の接合設置時においては、貫通孔の接合も同時に行う。
上記プレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物の施工方法は、たとえば緊張材を底版部の下端部近傍まで挿入後、セメントグラウト材などの経時硬化材を充填・養生・強度発現させることにより底版部に定着させた後に、全長にわたり緊張する施工方法である。
一実施態様では、底版部および上版部を構成する平板状のプレキャスト・コンクリートに緊張力を導入するための緊張材または引張補強筋が水平の一方向又は二方向に設けられている。この平板状のプレキャスト・コンクリートは、底版部および上版部の構造部材として、面外に作用する曲げモーメントやせん断力の断面力に対して、プレストレストコンクリートの利点を適用するために、一方向又は二方向に緊張力を導入した平板状のプレストレストコンクリートとしたものである。
他の実施態様では、側壁部を構成する壁状のプレキャスト・コンクリートに、水平方向に補強筋がフープ筋として配筋されている。基礎構造物の全体に作用するせん断力や中詰め材や間詰め材の偏圧力による曲げモーメントに対して引張補強が必要である場合に有用である。
施工方法の一実施態様では、上記緊張材の下端部に固定定着装置が設けられており、上記緊張材の下端部の固定定着装置を、上記底版部を構成する平板状のプレキャスト・コンクリートに形成された貫通孔の下端部に挿入し、上記貫通孔に経時硬化材を充填し、上記経時硬化材を養生し、上記経時硬化材が強度を発現した後に、底版部から固定基礎にかけて貫通孔に挿入されている上記緊張材の上端部を緊張する。この施工方法は、貫通孔の下端部に解撚型定着具あるいはグリップ式定着具などの固定定着装置を下端部に有する緊張材を、貫通孔の上方から挿入して、固定定着装置が必要とされる区間にセメントグラウト等の経時硬化材を充填・養生・強度発現後に底版部の最下端部から固定基礎までの区間を緊張する施工方法である。
施工方法における好ましい実施態様では、固定基礎の上面から外に出ている上記緊張材の上端部に緊張定着装置を固定する。この施工方法では、たとえば底版部の最下端部で定着した緊張材の上方先端を、固定基礎のベースプレート上にセットしたセンターホール・ジャッキのラム先端で定着し、上方に緊張する。所定の緊張力を導入した後は、センターホール・ジャッキのベースプレート側に設けた、(ねじ付きスリーブ+リングナット)、あるいは、(くさびアンカーヘッド)などによる緊張定着装置により定着する施工方法である。
基礎構造物の一実施態様では、上記地中孔の内壁面と上記側壁部の外壁面との空隙に、土砂またはソイルセメントからなる間詰め材が充填されている。基礎構造物は、基礎構造物としての安定性を得るために、土中に設置される。そのために、一般的には基礎構造物の設置に先駆けて、土留支保工を適用ながらの地盤掘削が行われる。そのために基礎構造物と掘削地盤の間は空隙が残存するために、その空隙に掘削した土砂、または掘削した土砂に水とセメントを混合したソイルセメントを埋め戻しして、周辺地盤からの地盤反力を効率的にコンクリート基礎構造物に伝達する。
基礎構造物の他の実施態様では、上記地中孔の底部にソイルセメントあるいは捨てコンクリートから構成される底部均し材が打設されており、上記底部均し材上に上記底版部を構成する平板状のプレキャスト・コンクリートが設置されている。プレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物は、基礎構造物に働く押込み軸力に対して、支持地盤が均等に受圧することが望ましい。そのために、最初の底版部の平板状のプレキャスト・コンクリートを設置する前に、ソイルセメントあるいは捨てコンクリートなどの底部均し材を打設し、底版部の平板状のプレキャスト・コンクリートからの押込み圧力を均等に支持地盤に伝達する。これにより、支持地盤の局所的な押圧力を回避することができる。
好ましい実施態様では、側壁部が複数の壁状(枠状)のプレキャスト・コンクリートを上下方向に積み重ねることによって構成されており、複数の壁状のプレキャスト・コンクリートの接合部(ジョイント部)同士がドライジョイント工法によって接合されており、上記接合部がマッチキャスト工法により製作されている。側壁部の区間で組立てられる壁状のプレキャスト・コンクリート相互の接合は、相互の接合面が面タッチで合致するように製作する。つまり、一方の完成した旧プレキャスト部材の接合面を型枠として、他方の新プレキャスト部材の接合面が面タッチで製作できるように、新プレキャスト部材のコンクリート打設をするように製作する、いわゆる、マッチキャスト工法により相互のプレキャスト部材を製作する。これらのプレキャスト部材は、ドライジョイント工法により接合する。ドライジョイント工法による接合に際しては、相互の接合面をより密着させるために、一方の接合面にエポキシ系樹脂を塗布してもよい。しかし、未処理の方法も適用することができる。また、接合面におけるせん断伝達は、緊張圧力による摩擦力で設計的に十分の場合もあるが、必要に応じてせん断キーを設けて、さらなる確実なせん断伝達を行ってもよい。
他の実施態様では、底版部および上版部の少なくともいずれか一方が複数の平板状のプレキャスト・コンクリートを上下方向に重ね合わせることによって構成されており、複数の平板状のプレキャスト・コンクリートの接合部同士がウェットジョイント工法によって接合されている。この底版部と上版部の区間で組立てられる平板状のプレキャスト・コンクリート相互の接合は、相互の接合面の面積が大きいことや、また、平板状のプレキャスト部材と壁状のプレキャスト部材との接合のように接合面の面積が一致しない場合もある。そのために、マッチキャスト工法の適用が困難となることも考えられるので、ウェットジョイント工法を採用する。ウェットジョイント工法では、プレキャスト部材の相互に適度の隙間を設け、その隙間の周囲にシール材を設置して、隙間に無収縮モルタルなどの経時硬化材を充填・硬化・強度発現後にプレキャスト部材間にプレストレスを導入して接合する方法である。底版部と上版部の接合は、上下方向の接合であるために、無収縮モルタルの代わりに、固練りのセメントモルタルを敷設して、その上にプレキャスト部材を正しい位置に設置する方法も採用できる。なお、必要に応じて、ジョイント間のせん断伝達を有効に実行できるようにせん断キーを設けてもよい。
好ましい実施態様では、上記側壁部によって囲まれる空間内部の途中に、開口部を有する平板状のプレキャスト・コンクリートが設けられている。このプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物は、基礎構造物の径が小さく、深さが大きい場合、横剛性が低下することも考えられる。そのような場合では、側壁部の途中に開口部を有する平板状のプレキャスト・コンクリート部材を設けることにより、横剛性を向上させることが可能となる。その場合の、平板状のプレキャスト部材の上下に接合される、壁状のプレキャスト部材とは、ウェットジョイント工法の採用が適当である。
その他の効果1
従来のコンクリート基礎構造物は、鉄筋コンクリート構造であり、大量の生コンクリートを現場打設して施工している。山岳部や山間部における施工立地条件下では、大量の生コンクリート打設には、種々の施工管理上の課題がある。課題を簡潔に述べると。(i)特殊な運搬方式を採用する必要があり、生コン運搬費用が膨大である。(ii)運搬の受け渡しサイクルが多く、途中でサイクルが狂うアクシデントが発生しやすく、それによる品質管理上や施工費用上の多大なリスクを含む。(iii)コールドジョイントが発生するリスクが高く、コールドジョイントがある基礎構造物は、将来的に鉄筋腐食や耐力低下など、維持管理ではカバーできないリスクを含む。(iv)多くの場合、基礎構造物の形状寸法がマスコン対策を必要とする形状であり、マスコン対応のコンクリート材料の採用、打設後の養生、ひび割れ防止策を講ずる必要がある。
上記に示すように、状来のコンクリート基礎構造物が有する大量のコンクリート材料使用に関わる種々の課題に対して、本発明のプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物では、すべての課題項目に対する解決策を提供する。具体的に従来の鉄筋コンクリート基礎構造物と本発明によるプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物の運搬費用に関する概算費用比較を行った結果を示す。対象とする基礎構造は、円形断面の深層基礎で、主要な建設資材であるコンクリートと補強材(鉄筋/緊張材)をヘリコプターにより運搬した場合の比較結果では、従来の鉄筋コンクリート基礎構造物の主要資材重量が377トンに対して、本発明のプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物の主要資材重量が88トン(従来の23%)の結果を得た。ヘリコプターによる運搬費用は、全体工事費用に占める割合が高いために、全体の施工費用においても本発明によるプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物とその施工方法では、従来の施工費用に比較して、約30%程度の低減が見込める。
本発明で必要とする運搬物は、プレキャスト部材であり、生コンとは異なり運搬遅れによるリスクはない。当然、コールドジョイントやマスコンに対する対策は必要がない。プレキャスト部材は、基本的にプレキャスト工場において製造されるので、十分な品質管理されたものが現地接合されるので、完成構造物の品質は保証される。その結果、長期の維持管理費用の低減も期待できる。
その他の効果2
従来のコンクリート基礎構造物は、鉄筋コンクリート構造であり、施工現場で鉄筋組立が必要である。基礎の構造形式にもよるが、多くの場合、鉄筋組立のスペースは狭隘で、地表から深い場所での組立てとなる。また、十分な揚重機械の確保が困難な場合があるなど、鉄筋組立の手間と施工時間が問題であった。これに対して、本発明の施工では、鉄筋組立に相当する作業がなく、類似作業としては緊張材の建て込みであり、施工手間や施工時間は比較にならないほど容易である。一方、プレキャスト部材の設置と接合の作業がある。この作業は、基本的に揚重機で所定の場所に、プレキャスト部材を設置することと、設置精度の管理であり、従来の場所打ち施工に比較すると施工時間の短縮は明白である。
深礎基礎の側面図の断面構成と構成要素の部分的拡大図である。 底版部と上版部を構成する平板状PCaコンクリートの斜視図である。 側壁部を構成する壁状PCaコンクリートの斜視図である。 (A)は底版部の最下端の平板状PCaコンクリートの断面図を、(B)は解撚型定着具の正面図を、(C)はグリップ式定着具の正面図を、それぞれ示す。 (A)は上版部の最上端の平板状PCaコンクリートの断面図およびその上方の固定基礎を、(B)は緊張材が連続繊維補強材の場合の緊張定着装置の正面図を、(C)は緊張材がPC鋼ストランドの場合の緊張定着装置の正面図を、それぞれ示す。 (A)はウェットジョイントの施工方法を、(B)はその構造を、それぞれ示す。 (A)はドライジョイントの施工方法を、(B)はその構造を、それぞれ示す。 (A)は第2実施例の壁状PCaコンクリートの斜視図を、(B)は第2実施例の平板状PCaコンクリートの斜視図を、それぞれ示す。
実施例1のプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物は、深礎基礎として呼ばれる標準的な基礎構造であり、外形の断面形状が円形形状をした例を取り上げる。図1には、深礎基礎の側面図の断面構成と構成要素の部分的拡大図である。本発明のプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物の構造要素部材としては、4つの要素から構成されている。それは、底版部100、側壁部200、上版部300、固定基礎400である。底版部100と上版部300は、平板状PCa(プレキャスト)コンクリート51より構成され、側壁部200は壁状(枠状)PCaコンクリート23より構成され、固定基礎400は脚柱11、ベースプレート12およびせん断プレートなどの補強材13より構成されている。
底版部100と上版部300を構成する平板状PCaコンクリート51は、図2に示すような形状である。図2に示すように、個々のPCaコンクリート部材51を鉛直方向に緊張するための緊張材1を挿入する、貫通孔53が設けられている。貫通孔53の形成にはシース管(図示略)を設置することで、可能となる。平板状PCaコンクリート51には面外のせん断力や曲げモーメントの断面力が作用するので、緊張材または引張補強筋(図示略)を(水平の)一方向又は二方向に埋設して緊張させたプレストレストコンクリート板あるいはRCコンクリート板とする。この平板に作用する断面力が小さい場合は、緊張力を導入せず、通常の鉄筋を配筋してRCコンクリート板として製作してもよい。ただし、本発明では、PCaコンクリート部材の特殊な運搬効率を考慮した軽量化と高耐久性がポイントであるので、プレストレストコンクリート板の方が有利になると考えられる。なお、PCaコンクリート板のプレストレス導入方法は、プレテン方式でもポステン方式でも制限はない。
側壁部200を構成する壁状PCaコンクリート23は、図3に示すような形状である。図3に示す、壁状PCaコンクリート23の平面形状は円形の外形であるが、矩形形状などの任意の形状でもよい。また、図3に示すように、貫通孔25が配置されていて、緊張材1の挿入時に使用される。壁状PCaコンクリート23には、補強筋として、水平方向にスパイラル・フープ筋(図示略)が配置されてもよい。
底版部100を構成する上下方向に重ねられた複数の、図1に示す例では3段の、平板状PCaコンクリート51のうち、最下端の平板状PCaコンクリート51は、図4(A)に示すように、固定定着装置30を設けるために部分的に版厚を厚くしてあり、その部分の貫通孔53の下端部は閉塞している。緊張材1の下端部の延長線上に有する固定定着装置30が、この閉塞位置まで挿入されて、固定定着装置30が必要とされる区間にセメントグラウト等の経時硬化剤を充填・養生・強度発現させる。固定定着装置30としては、図4(B)に示すように、緊張材1の材料が連続繊維補強材1Aの場合では、解撚型定着具32を使用する。また、図4(C)に示すように、緊張材1の材料がPC鋼ストランド1Bの場合では、グリップ式定着具33を使用する。これらの固定定着装置は、いずれも引抜力に対して拡径部の支圧抵抗と周囲の付着抵抗のメカニズムにより周囲のコンクリートに定着することができる。
上版部300を構成する上下方向に重ねられた複数の、図1に示す例では3段の、平板状PCaコンクリート51のうち、最上端の平板状PCaコンクリート51の上には、脚柱11、ベースプレート12、およびせん断補強プレート13などから構成される固定基礎400を所定の位置に位置決めして、全長にわたり緊張するための緊張材1を上方から下方に向かい挿入する。固定定着装置30を定着した後に、緊張材1を計画の緊張力で緊張し、図5(A)に示すように、緊張定着装置40により定着する。図5(B)に示すように、緊張材1の材料が連続繊維補強材1Aの場合には、ねじ付きスリーブ41およびリングナット42を備える緊張定着装置40をベースプレート12の貫通孔12Aを通じて外に出ている連続繊維補強材1Aに固定する。図5(C)に示すように、緊張材1がPC鋼ストランド1Bの場合には、くさびアンカーヘッド43などによる緊張定着装置40をベースプレート12の貫通孔12Aを通じて外に出ているPC鋼ストランド1Bに固定する。なお、最上端の平板状PCaコンクリート51の上面と、ベースプレート12の下面との間に隙間が発生することが危惧された場合には、最上端の平板状PCaコンクリート51の上面に、エポキシ樹脂を塗布することにより、隙間を回避することが可能である。緊張作業にあたっては、向かい同士に一対の緊張装置を同時に制御する方法で、作業することにより、偏りのない緊張作業が可能となる。
底版部100と上版部300を構成する平板状PCaコンクリート51相互の接合は、基本的にウェットジョイント工法がよい。ウェットジョイント64の構造と施工方法を図6(A)、(B)に示す。接合される下側の平板状PCaコンクリート51の上面には、貫通孔接続のためのリングシール54Aと、接合充填材(無収縮モルタル)をシールするための型枠シール54Bを貼り付ける。シール材54A、54Bの材料としては独立気泡のポリウレタンフォームなどが適している。上から次の平板状PCaコンクリート51を設置して、レベル調整を行い、シールで囲われた空間に外から無収縮モルタル56を充填する。なお、平板状PCaコンクリート51相互の水平方向のせん断抵抗を増大させる目的で、溝形状のせん断キー55を設けることができる。また、リングシール54Aを設置後に、流動性のある無収縮モルタルの代わりに、固練りのセメントモルタルを事前に敷きならして、その上に次の平板状PCaコンクリート51を設置する施工方法もある。平板状プレキャスト・コンクリート51の接合面での水平方向のせん断伝達を有効にするために、図6(B)に示すように、平板状プレキャスト・コンクリート51の接合面に、溝形状のせん断キー55を設けることもできる。
側壁部200を構成する壁状のプレキャスト・コンクリート23相互の接合は、基本的にドライジョイント工法がよい。ドライジョイント61の構造と施工方法を図7(A)、(B)に示す。壁状のプレキャスト・コンクリート23の接合面は、基本的にマッチキャスト工法により製作されるので、下側の壁状のプレキャスト・コンクリート23の上面と上側の壁状のプレキャスト・コンクリート23の下面とは、隙間なく重なる。最も簡単なドライジョイント工法は、上下の壁状のプレキャスト・コンクリート23相互の隙間に何の処理もしないで接合する方法である。この方法は、接合時間が短縮化でき、しかも緊張後は壁状のプレキャスト・コンクリート23の全部材に所定の緊張応力を導入することができる。ただし、この場合の注意点としては、接合面に異物がないような施工管理が重要である。一方、下方の壁状のプレキャスト・コンクリート23の上面にエポキシ樹脂26を塗布する方法がある。エポキシ樹脂26を塗布する目的は、接合面を均等に密着させることである。エポキシ樹脂26による接着力に期待して塗布するわけではない。壁状のプレキャスト・コンクリート23の接合面での水平方向のせん断伝達を有効にするために、マッチキャスト工法による製作時において、壁状のプレキャスト・コンクリート23の接合面に、溝形状のせん断キー27を設けることもできる。
図1を参照して、実施例1の基本的な施工手順を説明する。(i)基礎接地地点の測量後、ミニショベルにより土留支保工21の設置と掘削を交互に行い、所定の地盤高さまで掘削を行い、地中孔を形成する。土留支保工21としては軽量な鋼製ライナープレートなどを使用することができる。掘削壁面の径は、基礎構造体の外径よりも大きく取り、作業空間を確保する方が望ましい。(ii)基礎構造体の底面と地盤のなじみを得るために底部均し材28を打設し、底版部100の接合、側壁部200の接合を実施して、側壁部200の最後の壁状のプレキャスト・コンクリート23を設置する。(iii)次に、中詰め材70を投入する工程に先立ち、底版部100から側壁部200までの区間に仮の緊張力を導入する。これは、中詰め作業中に、投入土砂(又はソイルセメント)による偏土圧が発生することにより、仮接合の接合部がずれることが予想されるので、その対策である。最終的に導入する本緊張のための貫通孔と同じ外径の位置で、本緊張貫通孔の間に設ける、仮緊張用の貫通孔に本緊張と同じ要領で、先端に固定定着装置を設けた緊張材1を上部から挿入する。(iv)底版部100の固定定着装置30にグラウトモルタルを充填・養生する。強度発現後に壁状のプレキャスト・コンクリート23の上面で緊張する。緊張後は、緊張定着装置40により定着し、定着状態を保持した状態で、貫通孔と緊張材1の隙間にグラウトモルタルを充填・養生・強度発現を待つ。(v)グラウトモルタルの強度発現が終了したら、上版部300を除いて施工途中段階の基礎構造体として完成する。中詰め材70を投入する材料として、基本的に掘削土砂を使用する。掘削土砂の目的は、残土処理の有効利用と基礎完成時の自重としての基礎構造体の安定性に寄与する。なお、掘削土砂に水とセメントを混合してソイルセメントとして活用した場合には、基礎構造体として、ソイルセメントのせん断剛性とせん断抵抗構造材としての活用も考えられる。(vi)中詰め材70を側壁部200の上面まで充填後は、仮緊張後の緊張定着装置をかわすような箱抜きを有する壁状のプレキャスト・コンクリートを準備する。なお、箱抜きを有する壁状のプレキャスト・コンクリートを使用しない場合は、緊張定着装置を切断して表面を平坦とする方法も適用できる。あるいは、緊張定着装置40のねじ付きスリーブ41に、内側にねじ付きカプラーを装着することにより(図示略)、延伸用の緊張材40を接続して最終の緊張材として再緊張することができる。(vii)壁状のプレキャスト・コンクリートの上面に平板状プレキャスト・コンクリート51の下面の接合をウェットジョイント工法により実行する。(viii)残りの平板状プレキャスト・コンクリート51相互のウェットジョイントを行う。(ix)最終の平板状プレキャスト・コンクリート51をセットした後、上面にエポキシ樹脂を塗布して、固定基礎を設置し、位置決めを行う。(x)本緊張用の緊張材1を上部から挿入して、下端の固定定着装置30の貫通孔内にグラウトモルタルを充填・養生・強度発現後、対角状に緊張ジャッキを配置して本緊張を行う。すべての緊張材1に所定の緊張力を導入後、緊張定着装置40により定着する。(xi)基礎構造体の周囲の土留支保工21を撤去しながら、掘削土、あるいは掘削土に水とセメントを混合したソイルセメントを、掘削地盤と基礎構造体の側壁との間に間詰め材22として投入する。以上の施工工程により、本発明のプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物は完成する。
実施例1では、外径が円形断面の基礎構造体で、側壁部200の壁状のプレキャスト・コンクリートが外側のみの壁状の部材を例に一連の説明を行った。実施例2では、外側の形状が矩形断面であり、側壁部200を構成する壁状のプレキャスト・コンクリートが外側だけではなく、内側にも壁状のプレキャスト・コンクリートを構成している例である。図8(B)に、実施例2の底版部100と上版部300を構成する複数の貫通孔82を備える平板状プレキャスト・コンクリート81を、図8(A)に側壁部200を構成する内壁も有する複数の貫通孔95を備える壁状のプレキャスト・コンクリート91を示す。
図8(A)の場合、一層あたりについて、外形が矩形断面の壁状のプレキャスト・コンクリート91が4ブロックで構成される。個々のPCaコンクリートブロック91の緊張材や引張補強材などによる横方向の接合は、基本的には実行しなくてもよい。しかし、ブロック91間の隙間については、面外の土圧による影響を考慮し、また、せん断伝達時における面外変形を避けるために、隙間に無収縮モルタル93を充填する。施工としては、外側にウェットジョイントに使用する同じシール材94を貼り付けて、内部に無収縮モルタル93を充填する。基本的に上下方向の緊張材による接合で、十分、基礎構造体としての機能が発揮するものと考える。
内壁を内部に有する場合、基礎構造体に作用するせん断力に対して、外側の壁だけに比較すると、せん断剛性が向上するだけではなく、せん断耐力が大幅に向上させることができる。しかも、内側のせん断壁には、鉛直方向にプレストレス応力が導入されているので、更にせん断耐力の向上が期待できる。
また、比較的縦と横に長いプロポーションで、外側の壁のみの基礎構造体に対して曲げモーメントが作用した場合に、外側の壁と内側の壁で面外に別々に変形する可能性がある。そのために、設計的に抵抗曲げモーメントを算定するにあたり、基礎構造体の全体を梁として計算する抵抗曲げモーメントよりも低下することが考えられる。内壁が設けられると、桁で機能するウェブに相当する構造的な機能が働くので、内側と外側の壁にせん断力を伝達できて、曲げ変形の際の平面保持が成り立つ。従って、本発明による基礎構造体の幅が大きくなった場合には、中壁を設ける基礎構造体を考慮することにより経済的断面の設計を行うことができる。
図1の断面図では、側壁部200を構成する壁状のプレキャスト・コンクリート23のみで接合されている。実施例3では、壁状のプレキャスト・コンクリート23の途中に、平板状のプレキャスト・コンクリートを上下にウェットジョイント工法で入れる構造である(図示略)。途中に挟み込む平板状プレキャスト・コンクリートの形状は、中央部が開口している形状が良い。実施例3の中央部開口の平板状プレキャスト・コンクリートの役割は、プレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物の横剛性を向上させることであり、また、外側の壁状のプレキャスト・コンクリートの面外変形を拘束する役割がある。従って、基礎形状が深い場合にはより有効である。
1 緊張材
1A 連続繊維補強材
1B PC鋼ストランド
11 脚柱
12 ベースプレート
13 せん断補強プレート
22 間詰め材
23、91 壁状PCaコンクリート
12A、25、53 貫通孔
27、55 せん断キー
30 固定定着装置
32 解撚型定着具
33 グリップ式定着具
40 緊張定着装置
51、81 平板状PCaコンクリート
70 中詰め材
100 底版部
200 側壁部
300 上版部
400 固定基礎

Claims (12)

  1. 地盤掘削によって形成される地中孔の底部に設置される、一つ以上の平板状のプレキャスト・コンクリートから構成される底版部、
    上記底版部上かつ上記地中孔の内壁面に沿って設置される、一つ以上の壁状のプレキャスト・コンクリートから構成される側壁部、
    上記底版部および上記側壁部によって囲まれる空間内部に充填される土砂又はソイルセメントからなる中詰め材、
    上記側壁部上および上記中詰め材上に設置される、一つ以上の平板状のプレキャスト・コンクリートから構成される上版部、ならびに
    上記上版部上に設置される固定基礎を備え、
    底版部、側壁部、上版部および固定基礎のそれぞれに複数の貫通孔が形成されており、かつ複数の貫通孔のそれぞれが底版部から固定基礎にかけて連続しており、
    貫通孔を貫通させた緊張材により底版部の下端部から固定基礎までを緊張定着するように構成したことを特徴とする、
    プレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物。
  2. 底版部および上版部を構成する平板状のプレキャスト・コンクリートに緊張力を導入するための緊張材または引張補強筋が水平の一方向又は二方向に設けられていることを特徴とする、
    請求項1に記載のプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物。
  3. 側壁部を構成する壁状のプレキャスト・コンクリートに、水平方向に補強筋がフープ筋として配筋されていることを特徴とする、
    請求項1に記載のプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物。
  4. 上記地中孔の内壁面と上記側壁部の外壁面との空隙に、土砂またはソイルセメントからなる間詰め材が充填されていることを特徴とする、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物。
  5. 上記地中孔の底部にソイルセメントあるいは捨てコンクリートから構成される底部均し材が打設されており、上記底部均し材上に上記底版部を構成する平板状のプレキャスト・コンクリートが設置されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物。
  6. 側壁部が複数の壁状のプレキャスト・コンクリートを上下方向に積み重ねることによって構成されており、
    複数の壁状のプレキャスト・コンクリートの接合部同士がドライジョイント工法によって接合されており、上記接合部がマッチキャスト工法により製作されていることを特徴とする、
    請求項1から5のいずれか一項に記載のプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物。
  7. 底版部および上版部の少なくともいずれか一方が複数の平板状のプレキャスト・コンクリートを上下方向に重ね合わせることによって構成されており、
    複数の平板状のプレキャスト・コンクリートの接合部同士がウェットジョイント工法によって接合されていることを特徴とする、
    請求項1から6のいずれか一項に記載のプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物。
  8. 上記プレキャスト・コンクリートの接合部にせん断キーが形成されている、
    請求項6または7に記載のプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物。
  9. 上記側壁部によって囲まれる空間内部の途中に、開口部を有する平板状のプレキャスト・コンクリートが設けられていることを特徴とする、
    請求項1から8のいずれか一項に記載のプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物。
  10. 地盤掘削によって形成される地中孔の底部に、一つ以上の平板状のプレキャスト・コンクリートから構成される底版部を設置し、
    上記底版部上かつ上記地中孔の内壁面に沿って、一つ以上の壁状のプレキャスト・コンクリートを設置し、
    上記底版部および上記側壁部に囲まれる空間内部に土砂又はソイルセメントからなる中詰め材を充填し、
    上記側壁部上および上記中詰め材上に、一つ以上の平板状のプレキャスト・コンクリートから構成される上版部を設置し、
    上記上版部上に固定基礎を設置し、
    底版部、側壁部、上版部および固定基礎のそれぞれに形成された複数の貫通孔であって、底板部から固定基礎にかけて連続貫通する貫通孔に緊張材を通し、
    底版部の下端部近傍で緊張材の下端部をプレキャスト・コンクリート内に定着させた後に、固定基礎において上方向に緊張材を緊張させ、定着固定することを特徴とする、
    プレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物の施工方法。
  11. 上記緊張材の下端部に固定定着装置が設けられており、
    上記緊張材の下端部の固定定着装置を、上記底版部を構成する平板状のプレキャスト・コンクリートに形成された貫通孔の下端部に挿入し、
    上記貫通孔に経時硬化材を充填し、上記経時硬化材を養生し、
    上記経時硬化材が強度を発現した後に、底版部から固定基礎にかけて貫通孔に挿入されている上記緊張材の上端部を緊張することを特徴とする、
    請求項10に記載のプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物の施工方法。
  12. 固定基礎の上面から外に出ている上記緊張材の上端部を緊張定着装置により定着することを特徴とする、
    請求項11に記載のプレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物の施工方法。
JP2020094034A 2020-05-29 2020-05-29 プレキャスト・プレストレストコンクリート基礎構造物及びその施工方法 Active JP7241050B2 (ja)

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