JP6860381B2 - 複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた鋼管杭の補強方法および構造体 - Google Patents

複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた鋼管杭の補強方法および構造体 Download PDF

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本発明は、複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた鋼管杭の補強方法および構造体に関し、さらに詳しくは、鋼管杭の上部工や下部工との接合端部の損傷を効果的に補強して曲げ耐力や軸力に対する耐力を向上させることができる複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた鋼管杭の補強方法およびこの補強方法により補強された構造体に関するものである。
桟橋や道路橋などを支える鋼管杭などの柱部材を補強する際に、例えば、複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料(以下、HPFRCCという)を用いたライニング方法や構造体が提案されている(特許文献1、2参照)。HPFRCCは、通常のコンクリートに比べて引張力に対する変形性能に優れ、複数の微細なひび割れを形成して擬似ひずみ硬化特性を示すので、引張強度および靭性の向上を期待することができる。
ところで、桟橋の上部工を支えている鋼管杭の上端部が減肉または孔食する等によって著しく損傷した場合、または道路橋などの上部工を支えている鉄筋コンクリート柱の下端部が損傷した場合には、HPFRCCを用いたとしても従来構造では十分な曲げ耐力を確保することが難しい。そのため、鋼管杭の上端部の損傷を効果的に補強して曲げ耐力を向上させるには改善の余地がある。
特開2011−184859号公報 特開2013−256788号公報
本発明の目的は、鋼管杭の上部工や下部工との接合端部の損傷を効果的に補強して曲げ耐力や軸力に対する耐力を向上させることができる複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた鋼管杭の補強方法およびこの補強方法により補強された構造体を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた鋼管杭の補強方法は、鋼管杭の上部工との接合端部の損傷した部分を含む上下方向領域の外周面に補強鋼板を筒状に巻き立てて固定し、前記補強鋼板の外周面にはシアキーを突設して、前記シアキーが突設された位置から前記鋼管杭の上端までの上下方向領域の外周側に型枠を配置し、前記上部工の下端部から下方に突出させたアンカー部材を前記型枠の内周面と前記補強鋼板とのすき間に配置した状態にして、前記すき間に複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を打設して固化させることにより、複合材料補強部を形成し、この複合材料補強部を介して前記補強鋼板と前記上部工とを一体化させることを特徴とする。
本発明の別の複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた鋼管杭の補強方法は、鋼管杭の下部工との接合端部の損傷した部分を含む上下方向領域の外周面に補強鋼板を筒状に巻き立てて固定し、前記補強鋼板の外周面にはシアキーを突設して、前記シアキーが突設された位置から前記鋼管杭の下端までの上下方向領域の外周側に型枠を配置し、前記下部工の上端部から上方に突出させたアンカー部材を前記型枠の内周面と前記補強鋼板とのすき間に配置した状態にして、前記すき間に複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を打設して固化させることにより、複合材料補強部を形成し、この複合材料補強部を介して前記補強鋼板と前記下部工とを一体化させることを特徴とする。
本発明の複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた構造体は、上部工に接合されている鋼管杭と、この鋼管杭の前記上部工との損傷した接合端部を含む上下方向領域の外周面に筒状に巻き立てて固定された補強鋼板と、この補強鋼板の外周面に突設されたシアキーと、前記上部工の下端部から下方に突出されたアンカー部材と、前記シアキーが突設された位置から前記補強鋼板の上端までの上下方向領域で前記補強鋼板および前記シアキーを覆うとともに前記アンカー部材が埋設された状態になっている複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料が固化して形成された複合材料補強部とを有して、この複合材料補強部を介して前記補強鋼板と前記上部工とが一体化していることを特徴とする。
本発明の別の複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた構造体は、下部工に接合されている鋼管杭と、この鋼管杭の前記下部工との損傷した接合端部を含む上下方向領域の外周面に筒状に巻き立てて固定された補強鋼板と、この補強鋼板の外周面に突設されたシアキーと、前記下部工の上端部から上方に突出されたアンカー部材と、前記シアキーが突設された位置から前記補強鋼板の下端までの上下方向領域で前記補強鋼板および前記シアキーを覆うとともに前記アンカー部材が埋設された状態になっている複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料が固化して形成された複合材料補強部とを有して、この複合材料補強部を介して前記補強鋼板と前記下部工とが一体化していることを特徴とする。
本発明によれば、鋼管杭の損傷した接合端部は、筒状に巻き立てて固定された補強鋼板によって補強される。また、複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料により形成された複合材料補強部はシアキーの存在によって補強鋼板の外周面と強固に接合され、アンカー部材の存在によって上部工の下端部や下部工の上端部と強固に接合される。そのため、複合材料補強部を介して補強鋼板と上部工や下部工とは強固に一体化する。これに伴い、鋼管杭の接合端部は損傷していながらも効果的に補強されて、水平力により生じる曲げ圧縮応力および曲げ引張り応力に十分に対抗できる曲げ耐力を得ることができる。また、軸圧縮力に対しても十分な耐力を得ることができる。
本発明の構造体を正面視で例示する説明図である。 図1のA−A断面図である。 図1のB−B断面図である。 図1のC−C断面図である。 上端部が損傷した図1の鋼管杭を正面視で例示する説明図である。 図5の鋼管杭の外周面に補強鋼板を巻き立てて固定した状態を正面視で例示する説明図である。 図6の補強鋼板の外周側に型枠を設置した状態を一部を透視して正面視で例示する説明図である。 図7の型枠内に打設したHPFRCCによって補強鋼板と上部工とを一体化した状態を正面視で例示する説明図である。 構造体の別の実施形態を正面視で例示する説明図である。 構造体のさらに別の実施形態を正面視で例示する説明図である。 構造体のさらに別の実施形態を正面視で例示する説明図である。 試験サンプルAとその曲げ試験方法を縦断面視で例示する説明図である。 試験サンプルBとその曲げ試験方法を縦断面視で例示する説明図である。
以下、本発明の複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた柱部材の補強方法および構造体を図に示した実施形態に基づいて説明する。
図1〜図4に例示するように、本発明の構造体1は、桟橋等の上部工7aを支えて立設されている鋼管杭2と、鋼管杭2の上部工7aとの接合端部2aの外周面に筒状に巻き立てて固定された補強鋼板3と、補強鋼板3の外周面に突設されたシアキー3aと、上部工7aの下端部から下方に突出されたアンカー部材5と、補強鋼板3およびシアキー3aを覆う複合材料補強部4とを有している。鋼管杭2の内部の所定の位置には中詰コンクリート2dが充填されている。鋼管杭2は横断面が円形状になっているが、その他の形状の場合もある。
この構造体1は、図5に例示する鋼管杭2を本発明の補強方法を用いて補強したものである。図5の鋼管杭2は、接合端部2aの付近が減肉または孔食する等によって著しく損傷した損傷部分になっている。図5では、損傷部分を破線の網目模様で示している。接合端部2aよりも下方は健全な部分2bになっている。
補強鋼板3は所定厚さ(例えば6mm以上25mm以下)の鋼板が筒状に形成されたものであり、損傷した接合端部2aを含む上下方向領域を覆って配置されている。即ち、鋼管杭2の損傷部分2aだけでなく、健全な部分2bも若干覆って補強鋼板3が巻き立てられている。円筒状の補強鋼板3は例えば、円筒状の鋼板を周方向に分割した複数の分割体を鋼管杭2の外周側で溶接等によって接合して形成する。鋼管杭2と補強鋼板3とは補強鋼板3の上下端で溶接等によって接合する。
この実施形態では、円筒状の補強鋼板3の下端部には、周方向に間隔をあけて切り欠き部が形成されている。この切り欠き部によって、溶接長さを十分に確保できるので、補強鋼板3の下端部の接合を確実に行えるというメリットがある。補強鋼板3は、下端部に切り欠き部がない仕様にすることもできる。
シアキー3aには、異形鉄筋や丸棒鉄筋などの種々の金属棒を用いることができる。異形鉄筋としては例えば、呼び名D6〜D19の仕様を採用する。この実施形態では、シアキー3aは補強鋼板3の周方向に延在する円環状になっている。このシアキー3aは補強鋼板3の筒軸方向(上下方向)に間隔をあけて複数設けることが好ましい。
シアキー3aは補強鋼板3の外周面に溶接等によって固定する。補強鋼板3に対するシアキーの固定は点溶接に限らず、シアキー3aの全長に渡って溶接することもできる。補強鋼板3の外周面からシアキー3aの外周側への突出量は例えば、6mm以上35mm以下にする。この突出量を6mm以上にすることで、補強鋼板3と複合材料補強部4との一体性を高い水準に維持することができる。
アンカー部材5には、例えば異形鉄筋、丸棒鉄筋などの種々の金属棒を用いる。異形鉄筋としては例えば、呼び名D6〜D35の仕様を採用する。アンカー部材5の上部工7aからの下方への突出量は例えば30mm以上100mm以下である。この突出量を30mm以上にすることで、上部工7aと複合材料補強部4との一体性を高い水準に維持することができる。尚、上部工7aに対するアンカー部材5の埋設深さはアンカー径にも依るが例えば100mm以上にする。アンカー部材5は、鋼管杭2の周方向に間隔をあけて複数本(鋼管杭2の外径にも依るが例えば6本〜16本)配置する。
複合材料補強部4は、シアキー3aが突設された位置から補強鋼板3の上端までの上下方向領域に配置される。この複合材料補強部4には、アンカー部材5が埋設された状態になっている。複合材料補強部4を介して補強鋼板3と上部工7aとが一体化している。
複合材料補強部4は、複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料(以下、HPFRCCという)が固化して形成されたものである。HPFRCCの構成材料は、セメント、細骨材、混和材、混和剤、強化繊維、水である。セメントとしては、例えば、低熱ポルトランドセメントを用いる。細骨材としては、例えば、珪砂を用いる。混和材としては、例えば、フライアッシュを用いる。混和剤としては、例えば、高性能AE減水剤、消泡剤および収縮低減剤を用いる。強化繊維としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)繊維、高強度ポリエチレン繊維を用いて、これら繊維の直径は、0.04mm程度、長さ12mm程度、弾性係数40.6GPa程度、引張破断強度1690MPa程度である。補強繊維混入率は、体積割合で0.5%〜2.0%程度である。
HPFRCCの中でも、超高強度および超高靭性を併せ持つ超高強度ひずみ硬化型セメント系材料(以下、UHP−SHCCという)を用いるとよい。UHP−SHCCの構成材料は、セメント、細骨材、混和材、混和剤、強化繊維、水である。セメントとしては、例えば、低熱ポルトランドセメントを用いる。細骨材としては、例えば、珪砂を用いる。混和材としては、例えば、シリカフュームおよび膨張材を用いる。混和剤としては、例えば、高性能AE減水剤、消泡剤および収縮低減剤を用いる。強化繊維としては、例えば、高強度ポリエチレン繊維(直径0.012mm程度、密度0.97g/cm程度、弾性係数88GPa程度、引張破断強度2700MPa程度)を用いる。
複合材料補強部4の層厚や形状は、補強に必要な強度等に基づいて決定されるが、補強鋼板3やシアキー3aの腐食等を防止するために、HPFRCCのかぶり厚は30mm以上にすることが望ましい。この実施形態では、複合材料補強部4が下方になるに連れて縮径して縦断面視でテーパ状になっている。
この構造体1では、損傷した接合端部2aは、巻き立てて固定された補強鋼板3によって補強される。即ち、接合端部2aに作用する曲げに対しては、巻き立てられた補強鋼板3によって耐力が担保される。
HPFRCCにより形成された複合材料補強部4はシアキー3aの存在によって補強鋼板3の外周面と強固に接合される。また、アンカー部材5が上部工7aと複合材料補強部4とに連通して埋設されている。そのため、複合材料補強部4はアンカー部材5の存在によって上部工7aの下端部と強固に接合される。シアキー3aとアンカー部材5とHPFRCCとを使用することによる相乗効果によって、複合材料補強部4を介して補強鋼板3と上部工7aとは強固に一体化する。ひいては、鋼管杭2と上部工7aとが複合材料補強部4を介して強固に一体化する。したがって、接合端部2aの付近は損傷していながらも効果的に補強されて、水平力により生じる曲げ圧縮応力および曲げ引張り応力に十分に対抗できる曲げ耐力を得ることができる。また、接合端部2aの付近では軸力に対する耐力も向上する。それ故、本発明は接合端部2aが著しく損傷した場合に適した補強方法であり、構造体1である。
詳述すると、複合材料補強部4にHPFRCCを使用した場合、鋼管杭2(補強鋼板3)が負荷を受けて変形した際に、引張応力下においてHPFRCCに複数の微細ひび割れが発生することで、通常のセメント材料に比して高い靭性や強度を発揮する。さらに、補強鋼板3の外周面に固定されたシアキー3aによって、補強鋼板3と複合材料補強部4との剥離が生じ難くなっている。そのため、微細なひび割れがHPFRCCのより広い範囲に分散されて、HPFRCCが有する擬似ひずみ硬化特性を効果的に発揮させることができ、一段と耐力を向上させた補強が可能になる。
この構造体1を構築して鋼管杭2を補強する手順は、以下のとおりである。
まず、図6に例示するように、鋼管杭2の損傷した接合端部2aを含む上下方向領域の外周面に補強鋼板3を筒状に巻き立てて固定する。補強鋼板3の外周面にはシアキー3aを突設した状態にする。
次いで、図7に例示するように、シアキー3aが突設された位置から補強鋼板3の上端までの上下方向領域の外周側に型枠8を配置する。型枠8は補強鋼板3に溶接したアングル材を用いるなどの適宜の方法で所望の位置に固定する。上部工7aの下端部から下方に突出させたアンカー部材5は、型枠8の内周面と補強鋼板3とのすき間gに配置した状態にする。
次いで、すき間gにHPFRCCを打設して固化させる。例えば、型枠8の下端部に注入管を設けて上端部にエア抜き管を設ける。そして、注入管からHPFRCCを注入してエア抜き管からエアを抜きつつ、すき間gにHPFRCCを打設、充填する。
打設したHPFRCCを所定期間養生した後に型枠8を取り外すことにより、図8に例示するように複合材料補強部4が形成される。複合材料補強部4の上端面は上部工7aの下端面に接合した状態になり、複合材料補強部4の内周面は補強鋼板3の外周面およびシアキー3aと接合した状態になる。即ち、複合材料補強部4を介して補強鋼板3と上部工7aとを一体化させた構造体1が構築される。尚、この実施形態では柱部材として鋼管杭2を例にして説明しているが、本発明は、鉄筋コンクリート構造など種々の柱部材の補強に対しても適用することができる。
上部工7aの下端面はHPFRCCを打設する前にハツっておいて適度に粗しておくとよい。これにより、複合材料補強部4の上端面と上部工7aの下端面とをより強固に接合させることができる。同様に、補強鋼板3の外周面を適度に粗しておくと、複合材料補強部4の内周面と補強鋼板3の外周面とをより強固に接合させることができる。
次いで、複合材料補強部4の下端から下方の上下方向領域の補強鋼板3の外周面に防食層6を形成するとよい。具体的には、LWL(朔望平均干潮面)−1.0mの位置から複合材料補強部4の下端位置までの範囲に防食層6を形成する。防食層6は例えば、補強鋼板3の外周面にペトロタム系防食材を塗布した後、その塗布面をFRP製の防食カバーにより被覆して形成する。防食層6の上端と複合材料補強部4の下端との境界には例えばエポキシ樹脂をコーキングする。防食層6を形成することで図1に例示した構造体1になる。
この実施形態の構造体1は、複合材料補強部4が縦断面視でテーパ状になっているので、上部工7aと複合材料補強部4との境界付近への応力集中が抑制される。そのため、構造体1の耐力を向上させるには益々有利になっている。
図9に例示する構造体1の別の実施形態は図1に例示した実施形態とは、シアキー3aのみが異なっていてその他は実質的に同じ仕様になっている。このシアキー3aは補強鋼板3の筒軸方向(上下方向)に延在している。本発明では、補強鋼板3の周方向に延在して環状に形成されたシアキー3aと上下方向に延在するシアキー3aを組み合わせて、格子状にすることもできる。或いは、シアキー3aを補強鋼板3の筒軸方向に対して傾斜させて直線状に延在させることも、螺旋状に巻き付けた状態(スパイラル形状)にすることもできる。補強鋼板3と複合材料補強部4との一体性を高い水準に維持するには、補強鋼板3の周方向に延在するシアキー3aを有する仕様が有利である。
図10に例示する構造体1の実施形態は、図1に例示した実施形態とは、複合材料補強部4の形状のみが異なっていてその他は実質的に同じ仕様になっている。この実施形態では、複合材料補強部4が縦断面視でL字状に形成されている。上部工7aと複合材料補強部4との境界付近への応力集中が問題にならない場合は、複合材料補強部4をこのような形状にして複合材料補強部4の体積を低減することもできる。
図11に例示する構造体1の別の実施形態は、鋼管杭2の下部工7bとの損傷した接続端部2cを補強したものである。下部工7bとしては、コンクリート製のフーチングを例示できる。この構造体1は、図1に例示した実施形態を実質的に上下反対にして防食層6を省略した形態になっていて、その他は実質的に同じ仕様になっている。
この構造体1を構築して鋼管杭2を補強する手順も上述した実施形態と実質的に同じである。具体的には、鋼管杭2の下部工7bとの接合端部2cの損傷した部分を含む上下方向領域の外周面に補強鋼板3を筒状に巻き立てて固定する。次いで、補強鋼板3の外周面にはシアキー3aを突設して、シアキー3aが突設された位置から鋼管杭2の下端までの上下方向領域の外周側に型枠8を配置する。次いで、下部工7bの上端部から上方に突出させたアンカー部材5を型枠8の内周面と補強鋼板3とのすき間gに配置した状態にして、すき間gにHPFRCCを打設して固化させることにより、複合材料補強部4を形成する。この複合材料補強部4を介して補強鋼板3と下部工7bとを一体化させる。
この実施形態においても上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。この実施形態では、複合材料補強部4が、上方になるに連れて縮径して縦断面視でテーパ状になっている。これにより、下部工7bと複合材料補強部4との境界付近への応力集中が抑制されるので、構造体1の耐力を向上させるには有利になっている。また、上述した実施形態で説明した種々の仕様を、この実施形態に対しても適宜採用できる。
図12、13に例示する試験サンプルSa、Sbを用いて曲げ試験を行った。試験サンプルSa、Sbは、鋼製の基部枠Bsの内部に立設した鋼管杭2(材質STK400、外径457.2mm、壁厚6.4mm)と、鋼製の基部枠Bsの内部で固化した無収縮モルタルM、中詰コンクリート2d(圧縮強度28〜33N/mm2)、複合材料補強部4(HPFRCC製で圧縮強度88〜93N/mm2程度、静弾性係数24〜26kN/mm2程度)と、鋼管杭2の外周面に突設されたシアキー3a(材質SR235、外径16mm)と、中詰コンクリート2dおよび複合材料補強部4に埋設されたアンカー部材5(M22ボルト、複合材料補強部4への埋設長さ40mm)とで構成されている。鋼管杭2の外側の中詰コンクリート2dが上部工7aを模していて、鋼管杭2と上部工7aとが複合材料補強部4を介して一体化している。鋼管杭2の上端部には金属製のアタッチメントTが固定されている。試験サンプルSaとSbとの相違点は、実質的に複合材料補強部4の形状のみである。複合材料補強部4は、試験サンプルSaでは縦断面視でL字形状であり、試験サンプルSbでは縦断面視でテーパ形状である。
無収縮モルタルMは、基部枠Bsを構成する円筒枠の内周面に沿って円筒状に形成されている。無収縮モルタルMの内周面と鋼管杭2の外周面とに接合して、中詰コンクリート2dおよび複合材料補強部4が円筒状に形成されている。鋼管杭2の外周面に固定された円環状の金属製のフランジプレートFPが中詰コンクリート2dと複合材料補強部4の境界になっている。シアキー3aは鋼管杭2の周方向に延在する円環状であり、上下に隣り合うどうしが100mmの間隔をあけて4本設けられている。アンカー部材5は、鋼管杭2の周方向に等間隔で14本配置されている。鋼管杭2の内部では、中詰コンクリート2dが840mmの高さまで充填されている。
基部枠Bsを強固に地盤に固定した状態で、鋼管杭2の外周面の所定位置にひずみゲージを取り付けて、鋼管杭2の一端から高さ2450mmの位置を載荷点として水平荷重Fを負荷して曲げ試験を行った。即ち、この曲げ試験は、上部工7aを下方に配置して鋼管杭2を上下反対にした状態で鋼管杭2に水平荷重Fが作用した状態を模した試験である。また、試験サンプルSa、Sbには本発明の構成要素である補強鋼板3が鋼管杭2の外周面に筒状に巻き立て固定されていないが、鋼管杭2自体を補強鋼板として代用している。
試験サンプルSa、Sbともに、鋼管杭2の一端から上方に300mmの位置周辺よりも先に上方に600mmの位置周辺で鋼管杭2が降伏した。試験サンプルSaに比して試験サンプルSbは降伏荷重が大きく、最大荷重は大幅に大きくなることが確認できた。また、試験サンプルSaに比して試験サンプルSbは、降伏荷重時の載置点での水平変位が小さいことが確認できた。
1 構造体
2 鋼管杭(柱部材)
2a 上部工との接合端部(損傷部分)
2b 健全な部分
2c 下部工との接合端部(損傷部分)
2d 中詰コンクリート
3 補強鋼板
3a シアキー
4 複合材料補強部
5 アンカー部材
6 防食層
7a 上部工
7b 下部工
8 型枠
g すき間
Sa、Sb 試験サンプル
Bs 基部枠
T アタッチメント
FP フランジプレート
M 無収縮モルタル

Claims (14)

  1. 鋼管杭の上部工との接合端部の損傷した部分を含む上下方向領域の外周面に補強鋼板を筒状に巻き立てて固定し、前記補強鋼板の外周面にはシアキーを突設して、前記シアキーが突設された位置から前記鋼管杭の上端までの上下方向領域の外周側に型枠を配置し、前記上部工の下端部から下方に突出させたアンカー部材を前記型枠の内周面と前記補強鋼板とのすき間に配置した状態にして、前記すき間に複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を打設して固化させることにより、複合材料補強部を形成し、この複合材料補強部を介して前記補強鋼板と前記上部工とを一体化させることを特徴とする複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた鋼管杭の補強方法。
  2. 前記複合材料補強部の下端から下方の上下方向領域の前記補強鋼板の外周面に防食層を形成する請求項1に記載の複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた鋼管杭の補強方法。
  3. 前記複合材料補強部を、下方になるに連れて縮径した縦断面視でテーパ状に形成する請求項1または2に記載の複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた鋼管杭の補強方法。
  4. 鋼管杭の下部工との接合端部の損傷した部分を含む上下方向領域の外周面に補強鋼板を筒状に巻き立てて固定し、前記補強鋼板の外周面にはシアキーを突設して、前記シアキーが突設された位置から前記鋼管杭の下端までの上下方向領域の外周側に型枠を配置し、前記下部工の上端部から上方に突出させたアンカー部材を前記型枠の内周面と前記補強鋼板とのすき間に配置した状態にして、前記すき間に複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を打設して固化させることにより、複合材料補強部を形成し、この複合材料補強部を介して前記補強鋼板と前記下部工とを一体化させることを特徴とする複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた鋼管杭の補強方法。
  5. 前記複合材料補強部を、上方になるに連れて縮径した縦断面視でテーパ状に形成する請求項4に記載の複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた鋼管杭の補強方法。
  6. 前記シアキーを、前記補強鋼板の周方向に延在させて環状に形成する請求項1〜5のいずれかに記載の複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた鋼管杭の補強方法。
  7. 前記シアキーを、上下方向に延在させる請求項1〜6のいずれかに記載の複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた鋼管杭の補強方法。
  8. 上部工に接合されている鋼管杭と、この鋼管杭の前記上部工との損傷した接合端部を含む上下方向領域の外周面に筒状に巻き立てて固定された補強鋼板と、この補強鋼板の外周面に突設されたシアキーと、前記上部工の下端部から下方に突出されたアンカー部材と、前記シアキーが突設された位置から前記補強鋼板の上端までの上下方向領域で前記補強鋼板および前記シアキーを覆うとともに前記アンカー部材が埋設された状態になっている複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料が固化して形成された複合材料補強部とを有して、この複合材料補強部を介して前記補強鋼板と前記上部工とが一体化していることを特徴とする複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた構造体。
  9. 前記複合材料補強部の下端から下方の上下方向領域で前記補強鋼板の外周面に固定された防食層を有する請求項8に記載の複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた構造体。
  10. 前記複合材料補強部が、下方になるに連れて縮径して縦断面視でテーパ状になっている請求項8または9に記載の複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた構造体。
  11. 下部工に接合されている鋼管杭と、この鋼管杭の前記下部工との損傷した接合端部を含む上下方向領域の外周面に筒状に巻き立てて固定された補強鋼板と、この補強鋼板の外周面に突設されたシアキーと、前記下部工の上端部から上方に突出されたアンカー部材と、前記シアキーが突設された位置から前記補強鋼板の下端までの上下方向領域で前記補強鋼板および前記シアキーを覆うとともに前記アンカー部材が埋設された状態になっている複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料が固化して形成された複合材料補強部とを有して、この複合材料補強部を介して前記補強鋼板と前記下部工とが一体化していることを特徴とする複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた構造体。
  12. 前記複合材料補強部が、上方になるに連れて縮径して縦断面視でテーパ状になっている請求項11に記載の複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた構造体。
  13. 前記シアキーが、前記補強鋼板の周方向に延在する環状である請求項8〜12のいずれかに記載の複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた構造体。
  14. 前記シアキーが、上下方向に延在している請求項8〜13のいずれかに記載の複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた構造体。
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