JP7008663B2 - 柱杭回転抑制構造 - Google Patents

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本発明は、建築物の上部構造の柱とその柱の下に設けられる建築物の下部構造であって地盤面から所定深さまで埋設される杭とを有する建築物について地盤内に基礎梁(基礎フーチングその他の基礎杭を除く下部構造をいう。本願特許請求の範囲、明細書、要約書において同様とする。)を不要とする建築物の柱杭回転抑制構造に関するものである。
これまでの建築物は、その上部構造として複数の柱を備えており、かかる建築物が水平地震力などの水平外力を受けた場合、この水平外力は、建築物の上部構造に水平変形させる力となって、その上部構造の複数の柱を傾倒させようとする力となって作用する。ここで、建築物の下部構造が地盤内に設けられる複数の杭を有するとともに、この下部構造における複数の杭の頭部に上部構造における複数の柱の脚部が接続されている場合、複数の柱の脚部は固定端と仮定できるため、水平地震力などの水平外力を受けた建築物の各柱は、その柱脚部分に曲げモーメントが作用し、かかる柱脚部分を中心とした回転力の作用を受けることとなる。
このため、従来の建築物は、この水平地震力などの水平外力に対する建築物の上部構造の水平変形を抑制するため、建築物の下部構造として上部構造の柱同士の間に跨がるように地盤内に基礎梁(又は地中梁ともいう。)が設けられていた。かかる基礎梁には柱の脚部と杭の頭部とがそれぞれ接続されており、この基礎梁に各柱の脚部を固定することによって、建築物の上部構造における各柱の地盤に対する拘束力を高めるとともに、柱の脚部における回転剛性を高めることができ、各柱を傾倒させようとする水平外力に伴う柱の脚部の破壊を抑制していた。
特開2006-207265号
しかしながら、上記した基礎梁は、建築物の建築用地の地盤内に埋設することが多く、かかる基礎梁を施工するための基礎工事が必要となる。ここで、基礎梁は、例えば、その大きさが高さ1m以上で厚みが0.4m以上あるような大型の鉄筋コンクリート構造物であるため、この基礎梁を地盤内に施工する場合、基礎梁自体の施工空間に加えて、基礎梁のコンクリート型枠の設置空間や、コンクリート型枠の設置に必要な施工用の作業空間などを掘削により確保する必要があった。このため、例えば、地盤内に深さ1m以上かつ幅1m以上の溝を建築用地に網目状に広範囲に渡って掘削する必要があった。特に、複数の柱の設置状況などの建築物の設計仕様によっては、建築物の平面形状の範囲内全体に及ぶ地盤面をまるごと掘削しなければならないという問題点があった。
しかも、かかる基礎梁の施工は、掘削工事である根伐りに始まり、根伐り作業中の地盤の崩れを防止するための山留め、掘削部分の底の平坦化のための捨てコンクリートの打設、捨てコンクリート上に鉄筋や型枠の位置を表示させる墨出し、基礎梁の鉄筋の組み立て、基礎梁のコンクリート打設用の型枠の組み立て、基礎梁のコンクリート型枠内へのフレッシュコンクリートの打設、コンクリート打設後の養生硬化、コンクリート硬化後のコンクリート型枠の脱枠、脱枠後の基礎梁の周りに残る空隙への土砂の埋め戻し、更にには、埋め戻した土砂の転圧など、多岐に渡るものである。このため、建築物の下部構造として基礎梁を採用する場合は、自ずと、その工事工程も煩雑化するとともに工事期間も長期化してしまうという問題点があり、更に、基礎梁を施工することで建築物の建築コストも多額になってしまうという問題点があった。
また、基礎梁の施工範囲は建築物の平面形状の全範囲に及ぶことに加え、基礎梁の施工に伴う地盤の掘削深さも1m以上にも及ぶことから、基礎梁の施工のために地盤から掘削される土砂量は極めて大量となり、結果、かかる掘削後の梅戻しに使用できずに処分せざるを得ない残土量も極めて大量となるという問題点があり、このため、残土処分に要する処分コストも多額になるという問題点があった。
このため、小規模な商業施設や生産施設などの小規模建築物のように多額の建築コストを掛けられない建築物にあっては、その建築コストを低減するために基礎梁を要しない建築物を採用する場合がある。このような基礎梁のない建築物の建築工事では、基礎梁の施工が不要となるため、その分、当該建築物の工事期間の短縮が図られるとともに、その建築コストも削減できることに加え、基礎梁の施工のための掘削工事等も不要となるため、かかる基礎梁の施工に伴って発生する掘削残土も大幅低減され、建築物の建築工事全体で発生する掘削残土の量を削減することができ、その掘削残土の処分コストも削減できる訳であるが、その一方で、建築物の下部構造から基礎梁がなくなることで、建築物の上部構造におけるその下部構造による拘束力が低下するため、建築物の上部構造が大きな水平地震力などの水平外力を受けると、建築物の上部構造の水平変形が増大してしまうという問題点があった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、建築物の上部構造の柱とその柱の下に設けられる建築物の下部構造であって地盤面から所定深さまで埋設される杭とを有する建築物について地盤内に基礎梁を不要とし、かつ、建築物の上部構造が大きな水平地震力などの水平外力を受ける場合でも建築物の上部構造の水平変形を抑制することができる建築物の柱杭回転抑制構造を提供することを目的とする。
この目的を達成するために第1発明の柱杭回転抑制構造は、建築物の上部構造の柱とその柱の下に設けられる建築物の下部構造であって地盤の所定深さまで埋設される杭とを有する建築物について地盤内に基礎梁及び基礎フーチングを不要とするものであり、前記柱及び杭より太い鉄筋コンクリート製の柱状体であって、その柱状体の上部に前記柱の脚部が及びその柱状体の下部に前記杭の頭部がそれぞれ固定されることによって一体化され、その柱状体の軸芯が鉛直方向に向かう起立姿勢で地盤面から所定深さまで埋設される柱脚部材と、その柱脚部材の鉄筋コンクリートと一体形成され当該柱脚部材の高さ以下の厚みを有した鉄筋コンクリート製の重量物であるとともに建築物の非構造体であって、その柱脚部材の外周から水平外方に所定長さ延設され地盤面上に平面的広がりを有して設けられその地盤面により支持される板状体であって、その板状体の下面が地盤面に当接して地盤反力を受ける受圧面となっている回転抵抗部材とを備えている。
このように、第1発明の柱杭回転抑制構造が適用される建築物は、地盤面上に建築されており、この建築物の上部構造には柱があり、この柱の下には建築物の下部構造である杭が設けられるものであって、かかる杭が地盤面から所定深さ(以下「埋込み深さ」ともいう。)まで埋設されており、更に、基礎梁を地盤内に不要としたものである。
この第1発明の柱杭回転抑制構造によれば、柱脚部材は、建築物の柱及び杭より太い鉄筋コンクリート製の柱状体である。この柱状体をした柱脚部材は、その軸芯が鉛直方向に向かう起立姿勢をしており、地盤面から所定深さ(埋込み深さ)まで埋設されている。この柱脚部材である柱状体の上部には建築物の柱の脚部が固定され、かつ、この柱脚部材である柱状体の下部には杭の頭部が固定される。この柱及び杭の柱脚部材への固定によって、柱は、柱脚部材を介して杭と一体化されて地盤に固定される。なお、柱脚部材の下部には杭の頭部(上部)が固定されることから、柱脚部材の下部に比べて杭の先端部(下端部)は更に地中深いところにあることになるので、柱脚部材の埋込み深さは、当然に杭の埋込み深さより小さく(浅く)なる。
なお、柱脚部材(柱状体)の上部に柱を固定するとは、その柱の脚部を柱脚部材の上部から柱脚部材の内部に埋入してその柱脚部材の鉄筋コンクリートの内部に拘束状態で固定することを含み、柱脚部材(柱状体)の下部に杭を固定するとは、その杭の頭部を柱脚部材の下部から柱脚部材の内部に埋入してその柱脚部材の鉄筋コンクリートの内部に拘束状態で固定することを含むものである。
このように柱及び杭と一体化した柱脚部材は、回転抵抗部材と更に一体化されている。この回転抵抗部材は、柱脚部材の高さ以下の厚みを有した柱脚部材の鉄筋コンクリートと一体化した鉄筋コンクリート製の重量物であって、基礎梁とは違って建築物の非構造体となるものである。回転抵抗部材は、柱脚部材の外周から水平外方に所定長さ延設されており、地盤面上に平面的な広がりを有した状態で設けられており、地盤面により支持される板状体となっている。また、この回転抵抗部材は、その板状体の下面が地盤面に当接して地盤反力を受ける受圧面となっている。
特に、この柱杭回転抑制構造によれば、建築物の上部構造が水平地震力などの水平外力を受けると、この水平外力が上部構造の柱を傾倒させる力として作用し、この傾倒させる力を柱が受けると、柱脚部材により一体化された柱及び杭には柱脚部材を中心とした回転力が作用し、この回転力が柱脚部材に一体化された回転抵抗部材にも伝達される。この回転力の伝達によって、回転抵抗部材は、柱脚部材と一体となって回転しようとする訳であるが、このとき回転抵抗部材における柱に対して回転方向側にある部分における受圧面に地盤反力を受けることで、かかる回転抵抗部材の回転が阻止される。しかも、回転抵抗部材が柱脚部材と一体となって回転しようとする場合、回転抵抗部材における柱に対して反回転方向側にある部分の自重が重しとなって回転抵抗部材の浮き上がりが抑制され、かかる回転抵抗部材の回転が阻止される。
第2発明の柱杭回転抑制構造は、第1発明の柱杭回転抑制構造において、前記建築物は互いに隣り合った複数の柱を備えており、前記柱脚部材及び回転抵抗部材は複数の柱のそれぞれに設けられており、複数の前記回転抵抗部材のうち互いに隣り合うもの同士はそれぞれ別体に形成されている。
ここで、別体とは、物理的に別体に形成されている場合のみならず、互いに隣り合った回転抵抗部材同士の間に無筋コンクリート、鉄筋コンクリートその他の材質で形成された部材が介在して接合されている場合を含み、互いに隣り合った一の回転抵抗部材と他の回転抵抗部材とが互いに別々に独立して挙動可能な状態をいう。
この第2発明の柱杭回転抑制構造によれば、第1発明の柱杭回転抑制構造と同様の作用及び効果を奏するうえ、互いに隣り合った回転抵抗部材同士はそれぞれ別体に形成されるので、互いに隣り合った一の回転抵抗部材と他の回転抵抗部材とが水平地震力などの水平外力を受けた場合に互いに別々に独立して挙動することができる。よって、例えば、各柱に加わる水平地震力などの水平外力の大きさの相違があって各柱脚部材に作用する回転力の大きさが大小異なっているような場合に、別の回転抵抗部材の挙動の干渉を受けることなく、各柱脚部材に加わる回転力の大きさに応じて、その回転抵抗部材の独自の回転阻止作用を発揮できる。
第3発明の柱杭回転抑制構造は、第1又は第2発明の柱杭回転抑制構造において、前記建築物は互いに隣り合った複数の柱を備えており、前記柱脚部材及び回転抵抗部材は複数の柱のそれぞれに設けられており、前記回転抵抗部材は、その回転抵抗部材と一体形成された前記柱脚部材に固定される一の前記柱とそれと隣り合う他の前記柱との間において、前記一の柱の柱芯から当該回転抵抗部材の延設部分の先端までの距離が、前記一の柱と前記他の柱との柱芯距離の1/2未満である。
この第3発明の柱杭回転抑制構造によれば、第1又は第2発明の柱杭回転抑制構造と同様の作用及び効果を奏するうえ、互いに隣り合った回転抵抗部材同士は、その回転抵抗部材の各々が一体化される柱の柱芯から当該回転抵抗部材の延設部分の先端までの距離が互いの柱同士の柱芯距離の1/2未満であるので、互いに分離した状態となっている。よって、互いに隣り合った一の回転抵抗部材と他の回転抵抗部材とが水平地震力などの水平外力を受けた場合に互いに別々に独立して挙動することができる。よって、例えば、各柱に加わる水平地震力などの水平外力の大きさの相違があって各柱脚部材に作用する回転力の大きさが大小異なっている場合に、別の回転抵抗部材の挙動の干渉を受けることなく、各柱脚部材に加わる回転力の大きさに応じて、その回転抵抗部材の独自の回転阻止作用を発揮できる。
第4発明の柱杭回転抑制構造は、第1から第3発明のいずれかの柱杭回転抑制構造において、前記回転抵抗部材の下面が当接する地盤面に、固化材により土砂を固めることで支持力が高められた地盤改良土により形成される地盤改良部材を備えている。
この第4発明の柱杭回転抑制構造によれば、第1から第3発明のいずれかの柱杭回転抑制構造と同様の作用及び効果を奏するうえ、回転抵抗部材の受圧面は、固化材により地盤の表層部分の土砂を固めることで支持力を高めた地盤改良部材から地盤反力を受けられるので、回転抵抗部材から地盤改良部材に作用する力を地盤改良部材に全体に分散させて、かかる地盤改良部材から回転抵抗部材の受圧面に対してより多くの地盤反力を与えることができる。
第5発明の柱杭回転抑制構造は、第1から第4発明のいずれかの柱杭回転抑制構造において、前記回転抵抗部材は、その回転抵抗部材を平面視した場合に、建築物の平面形状の境界内に設けられるものである。
この第5発明の柱杭回転抑制構造によれば、第1から第4発明のいずれかの柱杭回転抑制構造と同様の作用及び効果を奏するうえ、建築物の平面形状の境界を越えて回転抵抗部材を設ける必要がない。
第6発明の柱杭回転抑制構造は、第1から第5発明のいずれかの柱杭回転抑制構造において、前記回転抵抗部材は土間コンクリートとして兼用又は代用されるものである。
この第6発明の柱杭回転抑制構造によれば、第1から第5発明のいずれかの柱杭回転抑制構造と同様の作用及び効果を奏するうえ、回転抵抗部材を設けることによって、かかる回転抵抗部材が設けられている部分について、土間コンクリートを別途重複して打設する必要がなく、その分、建築物の施工工数や施工コストを低減できる。
第7発明の柱杭回転抑制構造は、第1から第6発明のいずれかの柱杭回転抑制構造において、前記柱脚部材は、前記柱の脚部及び前記杭の頭部を内部に被包している。
この第7発明の柱杭回転抑制構造によれば、第1から第6発明のいずれかの柱杭回転抑制構造と同様の作用及び効果を奏するうえ、柱の脚部及び杭の頭部が鉄筋コンクリート製の柱脚部材の内部に被包されるので、柱の脚部及び杭の頭部の腐食を防止することができる。また、柱の脚部及び杭の頭部を柱脚部材の内部に被包することで、柱、杭及び柱脚部材の一体化した状態の剛性をより高めることができ、柱に作用する水平地震力などの水平外力に起因した回転力を柱脚部材に伝達しやすくなり、結果、この柱脚部材に一体化された回転抵抗部材にも回転力を伝達しやすくなり、かかる回転抵抗部材による柱脚部材に作用する回転力に伴う回転動作を阻止し易くなる。
第8発明の柱杭回転抑制構造は、第7発明の柱杭回転抑制構造において、前記柱の柱芯及び前記杭の杭芯は鉛直方向において同一直線上にあり、前記柱の脚部及び前記杭の頭部には各々フランジ部が連設され互いのフランジ部同士が締結具を介して連結固定されている。
この第8発明の柱杭回転抑制構造によれば、第7発明の柱杭回転抑制構造と同様の作用及び効果を奏するうえ、柱の脚部及び杭の頭部が締結具を介して互いに連結固定されることで、柱、杭及び柱脚部材の一体化した状態の剛性を更に高めることができ、柱に作用する水平地震力などの水平外力に起因した回転力を柱脚部材に伝達しやすくなり、結果、この柱脚部材に一体化された回転抵抗部材にも回転力を伝達しやすくなり、かかる回転抵抗部材による柱脚部材に作用する回転力に伴う回転動作を阻止し易くなる。また、柱の脚部及び杭の頭部を連結固定するフランジ部を鉄筋コンクリート製の柱脚部材の内部に被包できるので、かかるフランジ部の腐食を防止することができる。
第9発明の柱杭回転抑制構造は、第1から第6発明のいずれかの柱杭回転抑制構造において、前記柱脚部材は、当該柱脚部材の上部に対し前記柱の脚部がアンカー部材を介して締結固定されている。
この第9発明の柱杭回転抑制構造によれば、第1から第6発明のいずれかの柱杭回転抑制構造と同様の作用及び効果を奏するうえ、柱の脚部を柱脚部材の内部に埋設した状態で鉄筋コンクリートにより被包して固定する必要がないので、建築物の上部構造の施工性を向上できる。
本発明の柱杭回転抑制構造によれば、建築物における柱及び杭を柱脚部材を介して回転抵抗部材とともに一体化することによって、柱に作用する水平地震力などの水平外力に起因した回転力を、柱脚部材を介して回転抵抗部材に伝達し、この回転抵抗部材の受圧面に地盤反力を作用させて回転阻止できるとともに、さらに回転抵抗部材の自重(重み)によって回転抵抗部材の浮き上がりを抑制することで更なる回転阻止を促すことができ、建築物の下部構造に基礎梁がなくても、建築物の上部構造の水平変形を低減できるという効果がある。
第1実施形態の柱杭回転抑制構造が適用された建築物の正面図である。 図1のII-II線における横断面図であって、建築物の平面形状を示した平面図である。 図1中の一点鎖線円内を拡大視した部分的拡大図であって、柱脚部材の内部に被包される支柱の脚部及び基礎杭の頭部の形態を図示したものである。 図2中の一点鎖線円内を拡大視した部分的拡大図であって、柱脚部材の内部に被包される支柱の脚部及び基礎杭の頭部の形態を図示したものである。 第1実施形態である柱杭回転抑制構造の内部構成を示した正面図であって、柱脚部材及び回転抵抗部材及び地盤内を縦断面視した図面である。 図5の平面図であって、支柱を横断面視した図面である。 (a)は、図6中の左側に図示される建築物の平面形状の非境界部分に設けられる柱脚部材の拡大平面図であり、(b)は、図6中の右側に図示される建築物の平面形状の境界部分に設けられる柱脚部材の拡大平面図である。 第1実施形態の柱杭回転抑制構造が水平地震力などの水平力を受けた場合の挙動に関する説明図であって、柱杭回転抑制構造の正面図であり、地盤内を縦断面視したものである。 第2実施形態の柱杭回転抑制構造の構成を示した正面図であって、柱脚部材及び回転抵抗部材及び地盤内を縦断面で図示したものである。 第3実施形態の柱杭回転抑制構造の構成を示した正面図であって、柱脚部材及び回転抵抗部材及び地盤内を縦断面で図示したものである。 第4実施形態の柱杭回転抑制構造の構成を示した正面図であって、柱脚部材及び回転抵抗部材及び地盤内を縦断面で図示したものである。
<第1実施形態(根巻型柱脚形態)の柱杭回転抑制構造>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。まずは、図1から図11を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。なお、図1から図11では、図面の簡略化等のために便宜上、適宜図示を省略している部分がある。
図1は、第1実施形態の柱杭回転抑制構造1が適用された建築物90の正面図であり、図2は、図1のII-II線における横断面図であって、建築物90の平面形状を示した平面図であり、図3は、図1中の一点鎖線円内を拡大視した部分的拡大図であって柱脚部材2の内部に被包される支柱91の脚部91a及び基礎杭92の頭部92aの形態を図示したものであり、図4は、図2中の一点鎖線円内を拡大視した部分的拡大図であって柱脚部材2の内部に被包される支柱91の脚部91a及び基礎杭92の頭部92aの形態を図示したものである。
<適用対象となる建築物>
図1及び図2に示すように、第1実施形態の柱杭回転抑制構造1が適用される建築物90は、その上部構造である互いに隣り合った複数の支柱91と、その各支柱91の下に設けられる下部構造であって地盤95の所定深さまで埋設される複数の基礎杭92とを備えている。図1に示すように、互いに上下対を成す支柱91及び基礎杭92は、その支柱91の柱芯及び基礎杭92の杭芯が鉛直方向において同一直線上にあり、建築物90の上部構造における各支柱91に作用する軸方向荷重が、その各支柱91と対を成す各基礎杭92に対して直接作用するようになっている。また、図3及び図4に示すように、各支柱91の脚部91aの下端にはフランジ部91bが連設され、各基礎杭92の頭部92aの上端にはフランジ部92bが連設されており、互いに対を成す支柱91及び基礎杭92は、互いのフランジ部91b,92b同士が高力ボルト及びナットなどの締結具93を介して連結固定されることで、構造体として一体化されている。
<建築物の支柱及び基礎杭の種類>
例えば、本実施形態において、支柱91は中空鋼管製の鋼管柱であり、基礎杭92は中空鋼管製の鋼管杭である。この鋼管柱は、正方形断面をした角形鋼管であり、その横幅(柱の断面幅)及び縦幅(柱の断面せい)が互いに等しいものである。また、この基礎杭92は、円形断面をした円形鋼管であり、その横幅(杭の断面幅)及び縦幅(杭の断面せい)は互いに基礎杭92の外径に一致した等しいものである。
なお、支柱91及び基礎杭92に用いられる部材は、必ずしもこれら鋼管柱及び鋼管杭に限定されるものではなく、例えば、支柱91及び基礎杭92がH鋼であっても良く、支柱91及び基礎杭92が正方形断面又は長方形断面をした角形鋼管であっても良く、支柱91及び基礎杭92が円形鋼管であっても良く、又は、支柱91及び基礎杭92がそれぞれ異なる断面形状を有する部材であっても良い。また、鋼管杭の場合、かかる鋼管の内部には後述するセメントコンクリート又はソイルセメントコンクリートを充填しても良く、基礎杭92はセメントコンクリート製又はソイルセメントコンクリート製のコンクリート杭であっても良い。
<支柱及び基礎杭のフランジ部>
図3に示すように、支柱91のフランジ部91bは支柱91の脚部91aの下端に溶接により固着されており、基礎杭92のフランジ部92bは基礎杭92の頭部92aの上端に溶接により固着されている。支柱91のフランジ部91b及び基礎杭92のフランジ部92bには、その厚み方向に上下貫通する通孔(図示せず。)がその外周方向に所定間隔で複数の穿設されている。上下対を成す支柱91及び基礎杭92において、支柱91のフランジ部91bに穿設された複数の通孔は、基礎杭92のフランジ部92bに穿設された複数の通孔の穿設位置に対応する箇所に設けられており、高力ボルトを用いた締結具93のボルト軸部が支柱91及び基礎杭92の上下に重なった2枚のフランジ部91b,92bを貫通するようになっている。図4に示すように、支柱91のフランジ部91bと基礎杭92のフランジ部92bとは、いずれも同じ形状に形成されており、本実施形態では双方とも平面視正方形状をした平板状に形成されている。
<柱杭回転抑制構造>
図5は、本発明の第1実施形態である柱杭回転抑制構造1の内部構成を示した正面図であって柱脚部材2及び回転抵抗部材3及び地盤95内を縦断面視した図面である。図6は、図5の平面図であって支柱91を横断面視した図面であり、図7(a)は、図6中の左側に図示される建築物90の平面形状の非境界部分に設けられる柱脚部材2の拡大平面図であり、図7(b)は、図6中の右側に図示される建築物90の平面形状の境界部分に設けられる柱脚部材2の拡大平面図である。なお、図5から図7では、図面の簡略化等のために便宜上、適宜図示を省略している部分がある。
図5に示すように、上記した建築物90に適用される第1実施形態の柱杭回転抑制構造1は、主に、柱脚部材2と、回転抵抗部材3とを備えており、この柱杭回転抑制構造1を備えることによって、その建築物90の下部構造としての基礎梁が建築用地の地盤95内に不要となる。
<柱脚部材>
第1実施形態の柱脚部材2は、根巻き型柱脚の形態を適用したものである。この柱脚部材2は、支柱91に作用する水平地震力などの水平外力に起因して当該柱脚部材2を中心として作用する回転力を回転抵抗部材3に伝達するための力伝達手段であって、支柱91及び基礎杭92の連結部分で支柱91の脚部91a及び基礎杭92の頭部92aをより強固な結合状態にして剛性を高めて一体化させる柱杭一体化手段でもある。
柱脚部材2は、支柱91及び基礎杭92より太い鉄筋コンクリート製の柱状体であって、その柱状体の上部に支柱91の脚部91aが固定されるとともに、その柱状体の下部に基礎杭92の頭部92aが固定されることによって、支柱91及び基礎杭92を一体化している。この柱脚部材2は、その自らの鉄筋コンクリートの内部に支柱91の脚部91a及び前記基礎杭92の頭部92aを被包しており、上記した支柱91及び基礎杭92の双方を連結固定する上下一対のフランジ部91b,92b同士を内部に被包した状態で拘束している。ここで、支柱91及び基礎杭92は、これら双方のフランジ部91b,92b同士の当接面は柱脚部材2の高さ(埋込み深さ)方向における中点位置にあり、かつ、回転抵抗部材3の厚み方向の中点位置にあることから、支柱91の脚部91a及び基礎杭92の頭部92aはそれぞれ同じ長さ分だけ柱脚部材2の内部に埋入された状態となっている。このため、支柱91が水平地震力などの水平外力を受けた場合に、柱脚部材2の上半分の部分及びその下半分の部分に対して上下均等に分布させて支圧力を作用させることができる。
なお、柱脚部材2を形成する鉄筋コンクリートに用いられるコンクリート(混凝土)には、砂利、砂などの粒状体(骨材)を、水硬性のセメントと水とからなる結合材(セメントペースト)と混合して撹拌し、硬化結合させた複合材料であって、必要に応じて混和材料などの添加材が加えられるものであり、いわゆるセメントコンクリートが用いられている。
柱脚部材2は、支柱91及基礎杭92のフランジ部91b,92bの外周よりも外側となる部分に、当該支柱91の脚部91a及び基礎杭92の頭部92aの周囲を取り囲むように鉄筋が配筋されており(図7参照。)、この鉄筋を硬化したコンクリートが被包した状態で拘束している。このように柱脚部材2は、自らの鉄筋コンクリートの内部に支柱91及び基礎杭92を固定するので、水平地震力などの水平外力を受けた場合に支柱91が傾倒しようとする振れ動きを抑制することができる。また、柱脚部材2は、その鉄筋コンクリートの内部に支柱91の脚部91a及び基礎杭92の頭部92aを被包するので、これら支柱91の脚部91a及び基礎杭92の頭部92aを防錆することができる。
柱脚部材2は、支柱91の脚部91aの柱脚根巻部として機能するものでもあって、当該柱脚部材2を形成する鉄筋コンクリートの鉄筋は、柱型用の鉄筋であって、複数の主筋2aと、複数のフープ筋2bとを備えている。柱脚部材2の主筋2aは、それぞれ柱脚部材2の垂直方向(高さ方向)に延設された鉄筋であり、柱脚部材2の外周方向に所定間隔で複数設けられている(図6、図7参照。)。柱脚部材2のフープ筋2bは、柱脚部材2の外周方向に複数の主筋2aを取り囲むよう周設された鉄筋であり(図6、図7参照。)、柱脚部材2の垂直方向に所定間隔で複数設けられている。この複数のフープ筋2bは、支柱91が水平地震力などの水平外力を受けた場合に支柱91を傾倒させようとする力で柱脚部材2の上部のコンクリートが端抜けすることを防止するための剪断補強筋である。
さらに、柱脚部材2は、その外表面から支柱91及び基礎杭92のフランジ部91b,92bの外周面まで間に存在するコンクリートの厚みは、そのコンクリートの内部に主筋2a及びフープ筋2bが配筋可能な十分が大きさが確保されている。例えば、この支柱91又は基礎杭92のフランジ部91b,92bの外周面から柱脚部材2の外表面までのコンクリートの厚みは100mmとなっている。また、柱脚部材2は、その柱状体の軸芯が鉛直方向に向かう起立姿勢で設けられており、地盤面95aから所定深さまで埋設されている。柱脚部材2の地盤面95aからの深さは支柱91又は基礎杭92の横幅又は縦幅のうち最も大きなものの2倍以上ある。つまり、柱脚部材2の地盤面95aからの深さ、即ち、柱脚部材2の埋込み深さが支柱91の横幅(柱の断面幅)、支柱91の縦幅(柱の断面せい)、基礎杭92の横幅(杭の断面幅)、基礎杭92の縦幅(杭の断面せい)のうちで、最も大きくなるものの2倍以上となっている。
<回転抵抗部材>
回転抵抗部材3は、柱脚部材2から支柱91の傾倒に伴う回転力が伝達された場合に当該回転力による柱脚部材2の回転を阻止して支柱91の傾倒を抑制するための回転抵抗手段である。この回転抵抗部材3は、基礎梁などの建築物90の構造体ではなく、建築物90の非構造体である。また、この回転抵抗部材3は、その柱脚部材2の鉄筋コンクリートと一体形成された鉄筋コンクリートで形成されている重量物である。この回転抵抗部材3は、柱脚部材2の外周方向における全周から外方に向かって地盤面95a上に沿った水平方向に所定長さ延設されている板状体に形成されている。この板状体の形態を有した回転抵抗部材3は、その厚みが柱脚部材2の高さ(埋込み深さ)以下となるように形成されており、その下面が地盤面95aに当接して地盤反力を受ける受圧面3cとなっている。
回転抵抗部材3は、平面的な広がりを有している(図2、図6、図7参照。)。なお、回転抵抗部材3を形成する鉄筋コンクリートに用いられるコンクリートには、砂利、砂などの粒状体を、水硬性のセメントと水とからなる結合材と混合して撹拌し、硬化結合させた複合材料であって、必要に応じて混和材料などの添加材が加えられるものであり、いわゆるセメントコンクリートが用いられている。
また、この回転抵抗部材3は、土間コンクリートとして兼用又は代替しても良い。しかしながら、この回転抵抗部材3は、一般的な土間コンクリートの厚みが150mm程度であるのに対し、一般的な土間コンクリートの厚み以下の略100mm程度から一般的な土間コンクリートの厚みを超える300mm程度の範囲内で、それ厚みを適宜選定することができる。なお、回転抵抗部材3の厚みを100mmから300mmの範囲とすることで、数値解析によって、柱脚部材2を中心に作用する回転力による回転を阻止できることが確認された。
また、この回転抵抗部材3は、地盤面95a上に所定厚みを持った板状体に形成されているが、この回転抵抗部材3が設けられる地盤面95aの表層部分には、所定厚みで砕石が層状に敷設されて転圧された砕石層4が形成されており、この砕石層4の上に防湿シート5が敷設されている。つまり、回転抵抗部材3は、地盤面95aの表層部分に積層される防湿シート5及び砕石層4の上に積層形成されており、この砕石層4を介して回転抵抗部材3の荷重が地盤面95aに伝達されるようになっている。
回転抵抗部材3は、かかる回転抵抗部材3を形成する鉄筋コンクリートの鉄筋3a,3bが柱脚部材2の鉄筋コンクリートの鉄筋2a,2bとは互いに結束線等の結束材(図示せず。以下同じ。)を介して結合されることで一体的に組み立てられたものであり、この一体化した鉄筋をコンクリートの内部に被包して拘束した状態でコンクリートが硬化することで、柱脚部材2及び回転抵抗部材3は一体化されている。
具体的には、回転抵抗部材3は、柱脚部材2の鉄筋2a,2bの全周囲に敷設される平面視(図6、図7参照。)格子状に形成された上下2枚のメッシュ筋3a,3bを有しており、この上下2枚のメッシュ筋3a,3bが硬化したコンクリートの内部に拘束状態で被包されている。上下2枚のメッシュ筋3a,3bは、回転抵抗部材3の上面側に配筋される上部メッシュ筋3aと、回転抵抗部材3の下面側に配筋される下部メッシュ筋3bとである。この上部メッシュ筋3aと下部メッシュ筋3bとは、互いに回転抵抗部材3の結束線等の結束材を介して結合されており、かつ、柱脚部材2の鉄筋2a,2とも結束線等の結束材を介して結合されている。
回転抵抗部材3は、これと互いに隣り合った別の回転抵抗部材3と互いの上面が面一の平面状となっており、いずれも同じ厚みを有している。また、各回転抵抗部材3は、この回転抵抗部材3と互いに隣り合った別の回転抵抗部材3との間にジョイント部材6が介在している(図1から図6参照。)。このジョイント部材6は、回転抵抗部材3の上面から下面まで回転抵抗部材3の厚み方向全体に設けられており、このジョイント部材6を介して互いに隣り合った一の回転抵抗部材3と他の回転抵抗部材3とは互いに分離した別体に形成されている。
<ジョイント部材の実施例>
例えば、ジョイント部材6は、モルタル、無筋コンクリート、コンクリートの収縮に伴うひび割れを防ぐために用いられるのが伸縮目地材、伸縮継手、その他の継手部材、又は、回転抵抗部材3の鉄筋コンクリートの鉄筋3a,3bとは鉄筋が分離独立した鉄筋コンクリートであっても良い。また、ジョイント部材6は、回転抵抗部材3と別体となった薄手のコンクリート又は鉄筋コンクリートにより形成された土間コンクリートであっても良く、或いは、後述する第2実施形態のように回転抵抗部材3と一体となった当該回転抵抗部材3より厚みが薄くて剛性及び強度が小さいコンクリート又は鉄筋コンクリートにより形成された土間コンクリートであっても良い。
<回転抵抗部材を支持する地盤面の構造>
回転抵抗部材3は、柱脚部材2の高さ方向(垂直方向)における中間部分から水平方向に延設されており、柱脚部材2は、回転抵抗部材3の上面から垂直上方に所定高さ突出され、かつ、回転抵抗部材3の下面(受圧面3c)から垂直下方に所定深さ突出された形態となっている。このため、柱脚部材2は、その下端部が地盤95内にその一部が埋設された状態となっている。また、この柱脚部材2の下面には、柱脚部材2の高さ(埋込み深さ)に比べて小さな厚みの捨てコンクリートが層状に打設された捨てコンクリート層7が形成されており、この捨てコンクリート層7の下には、地盤面95aの上に砕石が所定厚みで敷設されて転圧された砕石層4が積層形成されている。
なお、基礎杭92は、捨てコンクリート層7及び砕石層4を貫通して地盤95内に垂直に打ち込まれている。なお、回転抵抗部材3の下面は、グランドレベルGLに比べて僅かに低くなっており、例えば、回転抵抗部材3の下面とグランドレベルGLとの差は、回転抵抗部材3の厚みの1/2未満となっている。
<柱杭回転抑制構造の平面構造>
ここで、柱杭回転抑制構造1の柱脚部材2及び回転抵抗部材3は複数の支柱91のそれぞれに設けられている(図2、図6、図7参照。)。また、上記したように互いに対を成す柱脚部材2及び回転抵抗部材3は互いに一体的に形成されているが、複数の柱脚部材2はそれぞれ別体に形成されており、更に、複数の回転抵抗部材3もそれぞれ別体に形成されている。特に、複数の前記回転抵抗部材3のうち互いに隣り合うもの同士については、互いに隣接してはいるが、互いに一体的に形成される訳ではなく、水平地震力などの水平外力を受けた際にそれぞれ個別に独立した挙動をするという意味において互いに別体に形成されている。
<回転抵抗部材の平面形状(原則的な形態)>
具体的には、本実施形態における各回転抵抗部材3は、その平面形状が平面視矩形状(平面視長方形状又は平面視正方形状)にそれぞれ形成されている。上記したように、互いに隣り合った一の回転抵抗部材3と他の回転抵抗部材3との間にはジョイント部材6が介在しているため、このジョイント部材6の介在によって、互いに隣り合った一の回転抵抗部材3と他の回転抵抗部材3とは互いに分離した別体となっている。なお、回転抵抗部材3の平面形状は、柱脚部材2から平面的に広がりを有する形態であれば、例えば、平面視円形状などであっても良い。
ここで、建築物90における複数の支柱91に関し、互いに隣り合う支柱91と支柱91との柱芯距離が縦方向及び横方向に等間隔である状態を示しているが(図2参照。)、かかる場合において、回転抵抗部材3は、この回転抵抗部材3と一体形成された柱脚部材2に固定される一の支柱91とそれと隣り合う他の支柱91との間において、この一の支柱91の柱芯からこの回転抵抗部材3の延設部分の先端までの距離は、この一の支柱91と他の支柱91との柱芯距離の1/2未満となっている。
例えば、建築物90の平面形状における縦方向及び横方向において互いに隣り合う支柱91と支柱91との柱芯距離が10mである場合、回転抵抗部材3の縦方向及び横方向の長さは10m未満となっている。換言すると、一の支柱91が固定される柱脚部材2に一体化された回転抵抗部材3は、その一の支柱91の柱芯から当該回転抵抗部材3の縦方向における延設部分の先端までの長さは5m未満であり、その一の支柱91の柱芯から当該回転抵抗部材3の横方向における延設部分の先端までの長さも5m未満となっている。
また仮に、建築物90における一の支柱91とそれと隣り合う他の支柱91との柱芯距離が10m以上ある場合であっても、各回転抵抗部材3の延設部分の長さは最大でも5m以下とすることが好ましい。これは、回転抵抗部材3の先端部(最外縁部)は、その基端部(最内縁部であって柱脚部材2との接合部分)に比べて剛性がなく、回転抵抗部材3の延設部分の長さ(即ち、回転抵抗部材3の基端部から先端部までの長さ)を無闇に長く形成したとしても、水平地震力などの水平外力を受けた支柱91の傾倒に伴う支柱91の脚部91aに作用する回転力を抑制する作用が小さくなるからである。また、回転抵抗部材3による回転阻止作用を数値解析を用いて検討したところ、その延設部分の長さが5m以上の場合、かかる延設部分の回転抵抗阻止作用が小さくなることが確認された。
<回転抵抗部材の平面形状(建築物の境界部分での例外)>
ここで、建築物90(の上部構造)における複数の支柱91に関し、この建築物90の平面形状の境界部分に設けられる支柱91については、この支柱91に係る回転抵抗部材3の延設部分が当該建築物90の平面形状の境界線の外側までは延設されていない(図7(b)参照。)。つまり、回転抵抗部材3は、この回転抵抗部材3を平面視した場合に、建築物90の平面形状の境界線以内に設けられており、一般的な土間コンクリートを打設するために要する労力に比べても過剰な作業労力を必要とせず、現状の工事工程において容易に施工することができる。
次に、図8を参照して、本実施形態の柱杭回転抑制構造1の作用について説明する。図8は、上記した第1実施形態の柱杭回転抑制構造1が水平地震力などの水平力を受けた場合の挙動に関する説明図であって柱杭回転抑制構造1の正面図であり、地盤95内を縦断面視したものである。図8に示すように、本実施形態の柱杭回転抑制構造1によれば、建築物90の上部構造が水平地震力などの水平外力を受けると、この水平外力が上部構造の複数の支柱91を傾倒させる力となって作用し、この傾倒させる力を各支柱91が受けることで、柱脚部材2を介して一体化された支柱91及び基礎杭92には柱脚部材2を中心とした回転力が作用し、この回転力が柱脚部材2に一体化された回転抵抗部材3にも伝達される。
この回転力の伝達によって、各支柱91に係る回転抵抗部材3は、当該支柱91に係る柱脚部材2と一体となって回転するように回転力を受けるが、このとき各回転抵抗部材3における支柱91に対する回転方向側部分3d(図8右側)の下面、即ち、受圧面3cが地盤面95aから地盤反力を受けることで、かかる回転抵抗部材3の回転が阻止される。しかも、各回転抵抗部材3がそれと対を成す柱脚部材2と一体となって回転しようとする場合、各回転抵抗部材3における支柱91に対する反回転方向側部分3e(図8左側)の自重が重しとなって回転抵抗部材3の浮き上がりを妨げて、かかる回転抵抗部材3の回転が更に阻止される。
以上説明したように、本実施形態の柱杭回転抑制構造1によれば、建築物90における支柱91及び基礎杭92を柱脚部材2を介して回転抵抗部材3とともに一体化することによって、支柱91に作用する水平地震力などの水平外力の作用に伴って生じる回転力を、柱脚部材2を介して回転抵抗部材3に伝達し、この回転抵抗部材3の受圧面3cに地盤面95aからの地盤反力を作用させることで柱脚部材2の回転を阻止するとともに、さらに回転抵抗部材3の自重による重みによって回転抵抗部材3の浮き上がりを抑制することで柱脚部材2の回転を阻止することによって、各支柱91の傾倒を抑制することができ、仮に建築物90の下部構造に基礎梁がなくても、建築物90の上部構造の水平変形を低減できるものとなる。数値解析結果によれば、この柱杭回転抑制構造1は、基礎梁を有する建築物における基礎梁の曲げ戻しによる回転剛性と比較すると、梁せいの小さい基礎梁と同程度の回転剛性を有することが分かった。
<第2実施形態(埋込み型柱脚形態)の柱杭回転抑制構造>
図9は、第2実施形態の柱杭回転抑制構造20の構成を示した正面図であって、柱脚部材2及び回転抵抗部材3及び地盤95内を縦断面で図示したものであり、図中の2点鎖線は、柱脚部材2、回転抵抗部材3及び埋め戻し部材22の境界線を想像線で示したものであり、当該図面ではその簡略化等のために便宜上、適宜図示を省略している部分がある。第2実施形態の柱杭回転抑制構造20は、第1実施形態の柱杭回転抑制構造1における柱脚部材2及び回転抵抗部材3の一部を変更したものである。なお、図9の説明では、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略し、第1実施形態と異なる部分に異なる符号を付して、その異なる部分についてのみ説明するものとする。
<柱脚凹所と埋め戻し部材>
図9に示すように、第2実施形態の柱杭回転抑制構造20によれば、地盤95の表層部分に根切り工事により柱脚凹所21が形成されている。この柱脚凹所21は柱脚部材2を施工するための凹所であり、この柱脚凹所21の内壁面の全周は所定角度で傾斜した斜面21a(法面)となっている。この柱脚凹所21内には、柱脚部材2とこれと一体化された埋め戻し部材22とが設けられている。
<柱脚部材>
この第2実施形態の柱脚部材2は、埋込み型柱脚の形態を適用したものである。この柱脚部材2は、この柱脚凹所21内の中央にある底面に立設されており、この柱脚部材2の外周であって柱脚凹所21における柱脚部材2の非形成部分に埋め戻し部材22が形成されている。埋め戻し部材22は、柱脚部材2の外周面と柱脚凹所21の斜面21aと回転抵抗部材3の下面とで囲まれた空間に充填形成される鉄筋コンクリートであって柱脚部材2の外周面に一体化されるとともに回転抵抗部材3にも一体化されている。
<埋め戻し部材の材質>
埋め戻し部材22を形成する鉄筋コンクリートの鉄筋22aは、柱脚部材2を形成する鉄筋コンクリートの鉄筋2a,2bと回転抵抗部材3を形成する鉄筋コンクリートの鉄筋3a,3とを互いに結束線等の結束材を介して結合することで、これら柱脚部材2及び回転抵抗部材3の鉄筋2a,2b,3a,3bと一体的に組み立てられている。また、埋め戻し部材22の鉄筋コンクリートのコンクリートは、上記した柱脚部材2を形成する鉄筋コンクリートのコンクリートと同様にセメントコンクリートで形成されている。このように柱脚部材2、回転抵抗部材3及び埋め戻し部材22の鉄筋2a,2b,3a,3b,22aを一体的に組み立てて、この組み立てた鉄筋2a,2b,3a,3b,22aをコンクリート内部に被包して拘束した状態でコンクリートが硬化することで、柱脚部材2及び回転抵抗部材3並びに埋め戻し部材22は一体化されている。
なお、柱脚部材2を形成する鉄筋コンクリートのコンクリートをセメントコンクリートで形成し、埋め戻し部材22を形成する鉄筋コンクリートをソイルセメントコンクリートで形成しても良く、柱脚部材2及び埋め戻し部材22を形成する鉄筋コンクリートの双方をソイルセメントコンクリートで形成しても良い。
<回転抵抗部材>
回転抵抗部材3は、柱脚部材2の上端部の外周全周から水平方向に延設されている。回転抵抗部材3は、柱脚部材2に加えて、埋め戻し部材22とも一体的に形成されており、回転抵抗部材3の上面は、柱脚部材2の上端面と面一の平面状に形成されている。このため、柱脚部材2の上端面と回転抵抗部材3の上面とは土間面となっており、この土間面から支柱91が直接立設した状態となっている。この回転抵抗部材3を形成する鉄筋コンクリートは、セメントコンクリートで形成されている。
<ジョイント部材としての土間コンクリート>
また、回転抵抗部材3は、その外周面から水平方向に延びる延設部分の先端部分には、隣り合った回転抵抗部材3との間に介在するジョイント部材23が連設されている。このジョイント部材23は、通常の土間コンクリートとして形成されており、回転抵抗部材3と一体化された鉄筋コンクリートで形成されている。この通常の土間コンクリートであるジョイント部材23は、その上面が回転抵抗部材3の上面と面一の平面状に形成されており、回転抵抗部材3に比べて厚みが小さく形成されている。
<ジョイント部材である土間コンクリートの形態>
また、このジョイント部材23を形成する鉄筋コンクリートのコンクリート内には平面視格子状のメッシュ筋3aが1枚のみ配筋されている。このジョイント部材23のメッシュ筋3aは、回転抵抗部材3の上部メッシュ筋3aでもあり、回転抵抗部材3とジョイント部材23の鉄筋が一体的に組み立てられている。このジョイント部材23を形成する鉄筋コンクリートのコンクリートは、回転抵抗部材3と同様にセメントコンクリートにより形成されており、このコンクリートの硬化物内にメッシュ筋3aが被包された状態で拘束されることで回転抵抗部材3とジョイント部材23とが一体的に形成されている。
<第3実施形態(露出型柱脚形態)の柱杭回転抑制構造>
図10は、第3実施形態の柱杭回転抑制構造30の構成を示した正面図であって、柱脚部材2及び回転抵抗部材3及び地盤95内を縦断面で図示したものであり、図面の簡略化等のために便宜上、適宜図示を省略している部分がある。第3実施形態の柱杭回転抑制構造30は、第1実施形態の柱杭回転抑制構造1における柱脚部材2及び回転抵抗部材3の一部を変更したものである。なお、図10の説明では、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略し、第1実施形態と異なる部分に異なる符号を付して、その異なる部分についてのみ説明するものとする。
<支柱の柱脚部材への固定形態>
第3実施形態の柱脚部材2は、露出型柱脚の形態を適用したものである。柱脚部材2は、この柱脚部材2の上端面に支柱91のフランジ部91b,92bが複数のアンカーボルト31及び複数のナット32を介して締結固定されている。複数のアンカーボルト31は、その上端部を除いた大部分が柱脚部材2の内部に埋設されており、その下端部に取着されたアンカーブロック33を介して柱脚部材2の内部に固定されている。複数のアンカーボルト31は、その上端部に雄ねじが形成されたねじ部となっており、このねじ部が柱脚部材2の上端面から突出されている。複数のアンカーボルト31のねじ部は、支柱91のフランジ部91b,92b(第3実施形態では「ベースプレート」ともいう。)における複数の通孔(図示せず。)にそれぞれ挿通され、各アンカーボルト31のねじ部の先端部にはナット32が螺着されることによって、支柱91のフランジ部91b,92bが柱脚部材2の上端部に締着固定されている。よって、支柱91の脚部91aを柱脚部材2内に埋設被包することが不要となるので、建築物90の上部構造の施工性を向上できる。
<基礎杭の柱脚部材への固定形態>
基礎杭92の頭部92aにはその外周面に外周方向に等間隔に複数の定着筋34の基端部が図示しない溶接部やジョイントカプラその他の固定手段により固定されている。基礎杭92の頭部92aに固定された複数の定着筋34は、基礎杭92の頭部92aから基礎杭92の杭芯方向と同じ鉛直方向に直線状に延設されており、いずれの定着筋34も同じ長さとなっている。複数の定着筋34の先端には定着ナットなどの定着体35が螺着されており、この基礎杭92の頭部92aは複数の定着筋34とともに柱脚部材2の下端部から柱脚部材2の内部に埋設されている。柱脚部材2の鉄筋コンクリートは、基礎杭92の頭部92a及び複数の定着筋34を内部に被包した状態で拘束することで、当該柱脚部材2の下部に基礎杭92の頭部92aを固定している。なお、柱脚部材2及び回転抵抗部材3を形成する鉄筋コンクリートのコンクリートはいずれもセメントコンクリートで形成されている。
<第4実施形態(柱杭接合部材採用形態)の柱杭回転抑制構造>
図11は、第4実施形態の柱杭回転抑制構造40の構成を示した正面図であって、柱脚部材2及び回転抵抗部材3及び地盤95内を縦断面で図示したものであり、図面の簡略化等のために便宜上、適宜図示を省略している部分がある。第4実施形態の柱杭回転抑制構造40は、第1実施形態の柱杭回転抑制構造1における柱脚部材2及び回転抵抗部材3の真下にある地盤95の表層部分を地盤改良部材41としたものである。なお、図11の説明では、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略し、第1実施形態と異なる部分に異なる符号を付して、その異なる部分についてのみ説明するものとする。
<地盤改良部材>
図11に示すように、第4実施形態の柱杭回転抑制構造40は、その地盤95の表層部分に地盤改良土により形成された地盤改良部材41を備えている。この地盤改良部材41を形成する地盤改良土は、セメント系固化材、石灰系固化材、又はこれらの機能を合わせたセメント・石灰複合系固化材などの固化材と土砂とを混合撹拌して地盤95の表層部分を固化させる固化処理が施された改良土である。この地盤改良部材41は、固化した地盤改良土により形成されることで、固化処理前の地盤95の表層部分に比べて支持力が高められている。また、地盤改良部材41に用いられる地盤改良土の土砂には、例えば、建築物90の建築用地の地盤95の表層部分にある現地土を用いても良い。
この地盤改良部材41は、回転抵抗部材3及びジョイント部材6の真下に形成されるとともに、柱脚部材2の直下に形成される砕石層4の真下に基礎杭92を取り囲むように形成されている。この地盤改良部材41は、その上端面が回転抵抗部材3及びジョイント部材6の下面と当接しており、柱脚部材2の下にある砕石層4の下面とも当接している。また、この地盤改良部材41は、回転抵抗部材3の延設部分全体を下方から支持しており、このため、第1実施形態の柱杭回転抑制構造1とは異なって、回転抵抗部材3及びジョイント部材6の真下には砕石層4が不要となっている。
地盤改良部材41は、グランドレベルGLから柱脚部材2の下にある砕石層4よりも深い位置まで形成されており、建築物の平面形状の全体に形成されている。この地盤改良部材41の厚み(深さ)は、地盤95の硬さに応じて変更されるものであり、地盤95が柔からい場合は大きく(深く)、地盤95が固い(硬い)場合は小さく(浅く)なる。例えば、地盤改良部材41の厚みは、概ねグランドレベルGLから1m程度の厚みで形成されており、地盤95が更に軟弱である場合には1m以上(~3m程度)としても良い。また、地盤改良部材41は、建築物の平面形状の境界部分において、この境界部分にある柱脚部材2の外周面から所定長さだけ外側まで設けられており、この長さが当該地盤改良部材41の厚み(深さ)の1/2程度となるように形成されている。
この第4実施形態の柱杭回転抑制構造40によれば、第1実施形態の柱杭回転抑制構造1と同様の作用及び効果を奏するうえ、各支柱91に係る柱脚部材2と一体となった回転抵抗部材3が支柱91に作用する水平外力に起因した回転力を受けた場合、この回転抵抗部材3の下面にあたる受圧面3cは、固化材により地盤95の表層部分の土砂を固めることで支持力を高めた地盤改良部材41から地盤反力を受けられるので、回転抵抗部材3から地盤改良部材41に作用する力を地盤改良部材41に全体に分散させて、かかる地盤改良部材41から回転抵抗部材3の受圧面3cに対してより多くの地盤反力を与えることができ、結果、回転抵抗部材3の回転阻止効果を高めることができ、建築物90の上部構造の水平変形を低減する効果が高められる。
これに対し、地盤95の表層部分に地盤改良部材41を形成せずに地盤95の表層部分を軟弱な状態のままとした場合、各支柱91に作用する水平外力に起因した回転力によって回転抵抗部材3に作用する応力は、柱脚部材2に比較的近い部分(例えば、回転抵抗部材3の延長部分が約5mあるような場合には柱脚部材2から約1~1.5mの距離にある部分)で局所的に最大となるように分布するため、この回転抵抗部材3を真下で支える地盤95が軟弱であると、かかる局所的に最大となる応力が地盤95に対して全体的に分散されず、地盤95からより多くの地盤反力を受けることができず、回転阻止作用が弱いものとなって、建築物90の上部構造の水平変形を低減する効果が減殺されてしまうこととなる。
1,20,30,40 柱杭回転抑制構造
2 柱脚部材
2a 主筋(柱脚部材の鉄筋コンクリートの鉄筋の一部)
2b フープ筋(柱脚部材の鉄筋コンクリートの鉄筋の一部)
3 回転抵抗部材
3a 上部メッシュ筋(回転抵抗部材の鉄筋コンクリートの鉄筋の一部)
3b 下部メッシュ筋(回転抵抗部材の鉄筋コンクリートの鉄筋の一部)
3c 受圧面
31 アンカーボルト(アンカー部材の一部)
32 ナット(アンカー部材の一部)
33 アンカーブロック(アンカー部材の一部)
41 地盤改良部材
90 建築物
91 支柱(柱)
92 基礎杭(杭)
95 地盤
95a 地盤面
91a 支柱の脚部(柱の脚部)
92a 基礎杭の頭部(杭の頭部)
91b 支柱のフランジ部(柱のフランジ部)
92b 基礎杭のフランジ部(杭のフランジ部)

Claims (9)

  1. 建築物の上部構造の柱とその柱の下に設けられる建築物の下部構造であって地盤の所定深さまで埋設される杭とを有する建築物について地盤内に基礎梁を不要とする柱杭回転抑制構造において、
    前記柱及び杭より太い鉄筋コンクリート製の柱状体であって、その柱状体の上部に前記柱の脚部が及びその柱状体の下部に前記杭の頭部がそれぞれ固定されることによって一体化され、その柱状体の軸芯が鉛直方向に向かう起立姿勢で地盤面から所定深さまで埋設される柱脚部材と、
    その柱脚部材の鉄筋コンクリートと一体形成され当該柱脚部材の高さ以下の厚みを有した鉄筋コンクリート製の重量物であるとともに建築物の非構造体であって、その柱脚部材の外周から水平外方に所定長さ延設され地盤面上に平面的広がりを有して設けられその地盤面により支持される板状体であって、その板状体の下面が地盤面に当接して地盤反力を受ける受圧面となっている回転抵抗部材とを備えていることを特徴とする柱杭回転抑制構造。
  2. 前記建築物は互いに隣り合った複数の柱を備えており、
    前記柱脚部材及び回転抵抗部材は複数の柱のそれぞれに設けられており、
    複数の前記回転抵抗部材のうち互いに隣り合うもの同士はそれぞれ別体に形成されていることを特徴とする請求項1記載の柱杭回転抑制構造。
  3. 前記建築物は互いに隣り合った複数の柱を備えており、
    前記柱脚部材及び回転抵抗部材は複数の柱のそれぞれに設けられており、
    前記回転抵抗部材は、その回転抵抗部材と一体形成された前記柱脚部材に固定される一の前記柱とそれと隣り合う他の前記柱との間において、前記一の柱の柱芯から当該回転抵抗部材の延設部分の先端までの距離が、前記一の柱と前記他の柱との柱芯距離の1/2未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の柱杭回転抑制構造。
  4. 前記回転抵抗部材の下面が当接する地盤面に、固化材により土砂を固めることで支持力が高められた地盤改良土により形成される地盤改良部材を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の柱杭回転抑制構造。
  5. 前記回転抵抗部材は、その回転抵抗部材を平面視した場合に、建築物の平面形状の境界内に設けられるものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の柱杭回転抑制構造。
  6. 前記回転抵抗部材は土間コンクリートとして兼用又は代用されるものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の柱杭回転抑制構造。
  7. 前記柱脚部材は、前記柱の脚部及び前記杭の頭部を内部に被包していることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の柱杭回転抑制構造。
  8. 前記柱の柱芯及び前記杭の杭芯は鉛直方向において同一直線上にあり、前記柱の脚部及び前記杭の頭部には各々フランジ部が連設され互いのフランジ部同士が締結具を介して連結固定されていることを特徴とする請求項7記載の柱杭回転抑制構造。
  9. 前記柱脚部材は、当該柱脚部材の上部に対し前記柱の脚部がアンカー部材を介して締結固定されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の柱杭回転抑制構造。
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