JP2006348480A - 建築物及び建築物形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基礎部2上に支柱3Bが立設され、その支柱3Bと一体的な状態にブロック状の建築物形成要素体3Aを設けて構成してある建築物において、基礎部2は、支持地盤Gに定着状態に設けられた杭部材2Bを備えて構成してある。
【選択図】 図2
Description
尚、この様な従来技術に関しては、当業者の間で広く知られているものであるが、該当する「建築技術」に関して詳しく言及した特許文献などは見あたらないので、先行技術文献は示していない。
そこで、転倒しないようにするためには、基礎部を大きく、且つ、深く形成する必要があり、施工手間及び施工時間が掛かると共にコストアップにつながり易い問題点がある。
尚、建築物の支持力は、前記杭部材の深さや、太さ等を調整することで、簡単にその大きさを調整することが可能となる。従って、設計の自由度が増し、例えば、隣地境界線ぎりぎりに建築物を設けるような計画でも、問題なく施工することが可能となる。
また、上述のように強力な支持力が得られるようになることで、従来なら、転倒防止策として控え壁を所定間隔毎に設ける場合があったが、本発明によれば、それらの構成を省略することも可能となり、より経済的に、且つ、少ないスペースで転倒し難い建築物とすることがを可能となる。
また、寒冷地で見られる表層土の凍結によって建築物が押し上げられて傾いたり倒壊すると言った問題を防止する場合には、従来では、一般的に、60cm程度の深さまで基礎部を掘り下げて設置しておく必要があり、非常に手間と時間とコストとが掛かる工事となっていたが、本発明の特徴構成によれば、杭部材の設置深度のみを深くすることで対処でき、極めて効率よく工事を進めることが可能となり、手間と時間とコストの削減を図ることができる。
更には、積層された各建築物形成要素体に対して、積層方向に沿って圧縮方向のプレストレスを導入してあることで、各建築物形成要素体どうしの一体性が向上する。
従って、基礎部・支柱・各建築物形成要素体相互の一体性の向上によって、建築物全体とした安定性をより高く確保することが可能となる。つまり、地震や風等による外力に対する転倒抵抗力を大きくすることが可能となる。
また、硬化性充填材の硬化に伴って、前記杭部材と硬化性充填材とが一体となり、杭部材単独の外径寸法に比べてより大径となり、支持力の増大を図ることが可能となる。そして、建築物の高さや重量、支持地盤の性状等に対応して、深さ及び穴径及び挿入する杭部材の径や長さや本数を自在に変更することができるから、建築物の支持力を自由に設計施工することが可能となる。
更には、杭部材は、地盤中では前記硬化性充填材の層によって覆われているから、保護効果を期待することができ、杭部材の腐蝕防止を図ることが可能となる。
特に、打ち込み杭として使用する場合は、その施工を短時間に実施できることに加えて、養生等の時間を確保せずに上部構造の施工にも着手できるから、建築物全体とした工期短縮を図ることが可能となる。
また、使用する支柱素材の本数を変化させたり、予め、複数種の定尺ものを用意しておいてそれら支柱素材を適宜組み合わせることで、色々な高さの支柱を構成することができる。従って、一本ずつ長さを合わせて寸法加工する必要が無く、より経済性を向上させることが可能となる。
尚、本発明の第6の特徴構成によれば、本発明の第1〜5の何れかの特徴構成による前述の作用効果を叶えることができることは勿論のことである。
特に、基礎部における遊嵌穴に杭部材を挿入して硬化性充填材で一体に固める施工方式を採る場合には、硬化性充填材の硬化を待たずに基礎板を杭部材上にセットして、その上方での作業(支柱設置作業や建築物形成要素体の積み上げ作業等)を進めることが可能となり、より短時間に当該建築物を形成することが可能となる。
また、建築物形成要素体の質量低減によって、地震や外力の作用による建築物形成要素体の振動エネルギーも小さくでき、結果的に、小さな支持力でも転倒し難くなり、より安定性の高い建築物とすることが可能となる。尚、繊維強化セメントで覆っているので、建築物形成要素体としての必要な強度を確保することができる。因みに、用いる繊維としては、例えば、ガラス繊維やナイロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、炭素繊維、金属繊維等、公知の強化繊維材を採用することができる。
尚、建築物の支持力は、前記杭部材の深さや、太さ等を調整することで、簡単にその大きさを調整することが可能となる。従って、設計の自由度が増し、例えば、隣地境界線ぎりぎりに建築物を設けるような計画でも、問題なく施工することが可能となる。
前記塀1Aは、図に示すように、支持地盤内に埋設状態に設けられた基礎部2と、その基礎部2と一体で、地上部に露出する状態に設けられた塀本体部3とを備えて構成されている。
一方、前記塀本体部3は、隣り合う基礎部2にわたってそれぞれブロック状の建築物形成要素体(以後、単に塀ブロックという)3Aを積層状態に設けて構成されている。
そして、基礎部2と塀本体部3との固定は、塀ブロック3Aを積み重ねる際に、前記基礎部2上に一体的に立設された支柱3Bが、塀ブロック3Aの縦貫通孔4内に挿通するようにして一体化を図ることで実現されている。
基礎部2の構成部材の一つである前記基礎板2Aは、図3に示すように、矩形板形状の鉄筋コンクリート部材で構成されており、矩形中央部に、前記支柱3B取付用の第一貫通孔5が形成してある。そして、第一貫通孔5の外側に間隔をあけて環状配列に四つの杭部材取付用第二貫通孔6が形成してある。
これら何れの貫通孔も、貫通孔形成用の金属筒(連結部の一例)7を、基礎板2A形成時のインサート金物として配置することで確保されており、基礎板2Aの鉄筋8や、補強鉄板9と溶接で一体化されている。
また、杭部材2Bの上端部分には、図4に示すように、雄ネジ部11が形成してあり、前記基礎板2Aを設置した状態で前記第二貫通孔6を貫通して上方に突出したこの雄ネジ部11にナット11aを螺合させ締め付けることで、基礎板2Aを支持地盤Gに確実且つ強固に固定することができる。従って、塀本体部3の転倒防止効果を非常に高めることができる。更には、杭部材2Bは、前記モルタルMによって覆われているから、支持地盤Gとの直接的な接触による悪影響(例えば、腐蝕)が出難いものである。
鉄筋12の長さ寸法は、前記塀ブロック3Aの高さ寸法(又は、その整数倍の寸法)とほぼ同じ長さに設定してあり、前記塀ブロック3Aをそれぞれ積み上げた状態で上下の鉄筋12どうしを前記雌ネジカプラー13で連結するのに、その連結部分が、前記塀ブロック3Aの上端部付近に常に位置するように形成してある。従って、鉄筋の連結作業を実施し易く、且つ、余分に鉄筋が塀ブロック3A上に突出して邪魔になることを防止できる。
尚、前記基礎板2Aに固定される最下段の鉄筋12は、その下端部を前記第一貫通孔5に挿通した状態で雄ネジ部12aにナット12bを螺合させてある。そして、最上段の鉄筋12は、その上端部を最上段に配置された塀ブロック3Aの縦貫通孔4に挿通した状態で雄ネジ部12aにナット12bを螺合させてあり(図2参照)、そのナット12bを締め付けることで、支柱3B全体に引っ張り力が作用し、その反力で、上下に連設された各塀ブロック3A及び基礎板2A相互に圧縮方向のプレストレスを導入でき、一体性の高い塀本体部3を構成している。
一方、塀ブロック3Aの平面視における前記芯部14に隣接するガラス繊維強化セメント15部分には、それぞれ前記縦貫通孔4が形成されている。
そして、塀ブロック3Aには、通常部に使用するものと、端部に使用するものとの二種類が用意されている。これらは、正面形状が異なっており、通常部に使用する塀ブロック3Aaは、図6(イ)に示すとおり、端部において一部が切り欠いてあり、塀ブロック3Aを隣接させた際に、この切欠き部分同士が重なることで、互いの組み付き力が強固となり、塀本体部全体とした一体性をより向上させることが可能となる。端部に使用する塀ブロック3Abは、図6(ロ)に示すとおり、一端部にのみ切欠きが設けられている。前記各塀ブロック3Aの隣接端部の重なり部分を組付構造部3Acと言う。尚、前記支柱3Bは、互いに組み付けられた隣接塀ブロック3Aどうしの組付構造部3Acの部分を貫通する状態に設けられている。
また、上下の塀ブロック3Aの積み重ねに関しては、目地部分に相当する箇所に、シール材(定形タイプでも、充填タイプでも可)17を介在させることで、塀本体部3全体とした止水性能の向上を図ることができると共に、施工段階においては、前記支柱3Bが挿入された前記縦貫通孔4内へ固定用の充填材(コンクリート又はモルタル又はセメントミルク又はその他のセメント系グラウト材)Nを充填する際に、この充填材Nが外方へ漏出するのを防止することができ、施工性の向上を図れる。
[1] 各基礎部2の設置計画部において、支持地盤Gの所定位置にそれぞれ遊嵌穴10を穿孔して、モルタルMを充填する(図7(イ)参照)。
[2] モルタルMが流体状態の間に、引き続いて、その上方に基礎板2Aを載置し、雄ネジ部11にナット11aを螺合させた杭部材2Bを、第二貫通孔6に上方から挿通させて、ナット11aが第二貫通孔6の孔口周部に載置された転落防止状態で、前記モルタルMの硬化養生を行う(図7(ロ)参照)。但し、基礎板2Aの第一貫通孔5には、下端部の雄ネジ部12aにナット12bを螺合させた前記鉄筋12を、予め、下方側から挿通しておく。そして、モルタルMが充分な強度を発現した後、前記ナット12bを本締めして、基礎部2の一体化を図る。
[3] 地上に突出したそれぞれの鉄筋12が、平面視端部の縦貫通孔4に挿通されるように塀ブロック3Aの位置合わせをしながら、最下段の塀本体部3を形成する(図7(ハ)参照)。その際、隣接する塀ブロック3Aどうしは、互いの端部どうしが重なるように配置する。
[4] 設置された塀ブロック3Aの上面の目地となる箇所には、シール材17を施工した後、その上に、同様に、次の段の塀ブロック3Aを積み上げる(図7(ニ)参照)。そして、塀ブロック3A上に前記鉄筋12の上端が突出してない場合には、前記鉄筋12に雌ネジカプラー13を取り付けて別の鉄筋12を継ぎ足す。
[5] 以下、同様の繰り返しによって所定の高さまで塀ブロック3Aを積み重ねる。
[6] 塀ブロック3Aの各縦貫通孔4の内、連結された各鉄筋12で構成された支柱3Bが位置している縦貫通孔4には、上部開口から前記充填材Nを流し込むと共に、塀ブロック3Aの上面に突出した鉄筋12の雄ネジ部12aにナット12bを螺合させて締め付け(図7(ホ)参照)、上下の各塀ブロック3Aと基礎板2Aとに圧縮方向のプレストレスを導入して、より強力に一体化を図る。
以下に他の実施の形態を説明する。
〈2〉 前記建築物形成要素体は、先の実施形態で説明した塀ブロックに限るものではなく、その形状や材質等は、適宜変更することが可能で、例えば、単なるコンクリートブロックであってもよく、それらを総称して建築物形成要素体と言う。
また、前記建築物形成要素体3Aの内の少なくとも一つに、カメラと、他物の接近を検知するセンサーと、照明具との少なくとも一つを内装してあってもよい。
そして、プレストレスの導入は、先の実施形態で説明した支柱の緊張によって行うことに限らず、支柱とは別体の緊張体を設置しておき、その緊張体によってプレストレスを加える構成であってもよい。尚、建築物の一体性の向上や転倒防止の意味からは、プレストレスの導入は好ましいものであるが、構造の単純化や経済性を追求する場合は、プレストレスの導入を図らない構成を採用するものであってもよい。
尚、前記支柱3Bは、先の実施形態で説明したPC鋼棒による鉄筋に限るものではなく、例えば、異形棒鋼、又は、H形鋼や山形鋼や溝形鋼やパイプ(角パイプや丸パイプ)等の形鋼であってもよく、それらを総称して支柱と言う。
また、支柱3Bとの連結箇所は、先の実施形態では、建築物形成要素体の縦貫通孔4がそれに相当するものであったが、縦に貫通する状態で建築物形成要素体の外周部の一部に形成した縦溝であってもよい。
また、隣接する建築物形成要素体どうしの前記組付構造部3Acの構造は、先の実施形態に限るものではなく、例えば、図8に示すように、貫通する支柱3B周りに相対回転自在に外周面を形成することで、例えば、両建築物形成要素体3Aどうしの平面交差角度を、様々な値となるように設置することが可能となり、建築物設置計画の自由性が向上する。
〈3〉 前記杭部材2Bは、先の実施形態で説明した螺旋鉄筋に限るものではなく、例えば、異形棒鋼や、通常の棒鋼、H形鋼や山形鋼や溝形鋼、又は、パイプ(角パイプや丸パイプ)等の形鋼であってもよい。
また、一つの基礎板2Aに対して、4本の杭部材2Bを設けるものに限らず、例えば、1〜3本や、5本以上の複数本設ける構成であってもよい。
特に、杭部材2Bを、一箇所の基礎部2に一本設ける構成においては、図9に示すように、基礎板を省略した構成を採用することが可能で、この場合は、杭部材2Bの上に、支柱3Bを一体連設するものであってもよい。
杭部材2Bの設置に関しては、先の実施形態で説明したように、予め、支持地盤Gに遊嵌穴10を形成しておき、その遊嵌穴10に充填したモルタルMで、杭部材2Bを一体的に固定することに限らず、例えば、杭部材2Bをそのまま支持地盤Gに打ち込むことで設置するものであってもよい。
〈4〉 前記基礎板2Aは、先の実施形態で説明した矩形板形状の鉄筋コンクリート部材で構成されるものに限るものではなく、例えば、金属板で構成してあってもよい。また、金属板と支柱3Bとの連結に関しては、ネジ止めに替えて、溶接することで支柱3Bを基礎板2A上に立設するものであってもよい。また、基礎部そのものの形式は、独立基礎や布基礎等、広く適用させることができる。
また、基礎板2Aの連結部7は、先の実施形態で説明したように、杭部材2Bや支柱3Bを挿通させた状態でネジ止めする構成に限らず、例えば、図10に示すように、雌ネジ加工した金属筒(有底筒)7を使用して、支柱3Bの雄ネジを直接螺合させる状態で連結するものであってもよい。
〈5〉 前記硬化性充填材は、先の実施形態で説明したモルタルに限るものではなく、例えば、コンクリート、セメントミルク、その他のセメント系グラウト材等であってもよく、それらを含めて硬化性充填材と総称する。
2B 杭部材
3A 建築物形成要素体(一例として塀ブロック)
3Ac 組付構造部
3B 支柱
10 遊嵌穴
12 鉄筋(支柱素材の一例)
14 芯部
15 ガラス繊維強化セメント
M モルタル(硬化性充填材の一例)
G 支持地盤
Claims (11)
- 基礎部上に支柱が立設され、その支柱と一体的な状態にブロック状の建築物形成要素体を設けて構成してある建築物であって、
前記基礎部は、支持地盤に定着状態に設けられた杭部材を備えて構成してある建築物。 - 前記建築物形成要素体は、前記支柱に外嵌自在に形成してあり、その複数が、前記基礎部上に積層された状態で、積層方向に沿って圧縮方向のプレストレスを導入して一体化されている請求項1に記載の建築物。
- 前記杭部材は、支持地盤に形成された遊嵌穴に挿入され、前記遊嵌穴に充填された硬化性充填材の硬化に伴って支持地盤に定着されている請求項1又は2に記載の建築物。
- 前記硬化性充填材は、硬化に伴って膨張する性質を有している請求項3に記載の建築物。
- 前記杭部材は、スパイラル形状の鉄筋で構成してある請求項1〜4の何れか一項に記載の建築物。
- 前記支柱は、複数の支柱素材を長手方向に連結して構成してある請求項1〜5の何れか一項に記載の建築物。
- 前記基礎部は、前記支持地盤上に載置自在なプレキャスト基礎板を備えて構成してあり、前記基礎板には、前記杭部材及び前記支柱をそれぞれ連結自在な連結部が各別に設けられている請求項1〜6の何れか一項に記載の建築物。
- 前記建築物形成要素体は、芯部の発泡樹脂を、繊維強化セメントで覆う状態に形成されている請求項1〜7の何れか一項に記載の建築物。
- 前記建築物形成要素体の隣接する建築物形成要素体との合わせ部が、隣接する建築物形成要素体と互いに組み付け自在な組付構造部に形成してあり、前記支柱は、隣接する両建築物形成要素体どうしが組み付けられた両組付構造部を貫通する状態に設けられている請求項1〜8の何れか一項に記載の建築物。
- 前記建築物形成要素体の内の少なくとも一つに、カメラと、他物の接近を検知するセンサーと、照明具との少なくとも一つを内装してある請求項1〜9の何れか一項に記載の建築物。
- 支持地盤上に基礎部を形成する際に、前記支持地盤に定着状態に杭部材を設け、その杭部材によって支持地盤に定着された前記基礎部上に一体的に支柱を設け、前記支柱と一体となる状態にブロック状の建築物形成要素体を立設することで建築物を形成する建築物形成方法。
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