JP2006213966A - ステンレス溶鋼の脱炭方法および極低炭素ステンレス鋼の製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ステンレス溶鋼の精錬において、脱炭効率が高く、かつCピックアップにも対処できる生産性の良い脱炭方法を提供する。
【解決手段】真空容器中で酸素吹錬終了後に不活性ガス攪拌による脱炭を行うステンレス溶鋼の脱炭処理において、前記不活性ガス攪拌による脱炭の開始前または開始後に溶鋼中の酸素活量を測定し、予め求めてある溶鋼中の酸素活量とスラグ中のCr酸化物濃度との相関関係からスラグ中のCr酸化物濃度を推定し、スラグ中のCr酸化物濃度が10〜30質量%の範囲になるように脱酸剤を溶鋼に添加するスラグ成分調整操作を行うことにより、スラグ中のCr酸化物濃度が10〜30質量%の状態で例えば10Torr(1333Pa)以下の真空下において不活性ガス攪拌による脱炭を進行させるステンレス溶鋼の脱炭方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ステンレス溶鋼の精錬における脱炭方法であって、特に極低炭素鋼の製造に適した効率的な脱炭方法、およびその方法を用いた極低炭素ステンレス鋼の製造法に関する。
ステンレス溶鋼の精錬においては、AOD法、VOD法などにより仕上げ脱炭処理が行われている。このうちVOD法は真空下での酸素吹錬によって脱炭処理を行うものであり、真空下でCO分圧を下げ、溶鋼中のCrの酸化を抑制しながら脱炭精錬ができるという長所を有する。VOD法を用いたステンレス鋼の製鋼プロセスでは、電気炉で溶製したステンレス溶銑を転炉などの脱炭炉で酸素吹錬により粗脱炭したのち、真空精錬用の取鍋に出鋼し、その取鍋内の溶鋼をVOD工程で成分調整したのち、連続鋳造法などで鋳片とする。
VOD工程では、粗脱炭終了後の溶鋼を収容した取鍋が真空排気装置につながる密閉容器内にセットされると、排気操作が開始され、所定の真空度に達した段階で上吹きランスから溶鋼中に酸素が吹き込まれ、真空酸素吹錬による脱炭が行われる(真空酸素吹錬期)。容器内の真空度は徐々に上昇し最終的には10Torr(1333Pa)以下まで達する。通常、この段階以降に酸素吹錬が終了される。酸素吹錬終了時点の代表的な決定方法では、排ガス中のCO、CO2濃度を測定して脱炭量を経時的に算出し、その算出値を溶鋼中のC含有量に変換し、所定のC含有量となった時点で酸素吹錬を終了する。その後、真空酸素吹錬によらない脱酸、すなわち、真空中で溶鋼を底吹きArガスなどで攪拌することによる脱炭処理が行われ、更なる脱炭が進められる(真空脱炭期)。
真空酸素吹錬期においては、脱炭が進んで低炭素域になると脱炭速度が低下し、排ガス成分としてのCO、CO2濃度が著しく低下する。このため酸素吹錬終了時点を適切に判断することが難しくなる。しかも種々の外乱によって終点制御の精度が低下する。また、低炭素域では酸素吹錬によるCrの酸化が避けられない。生成したCr酸化物はスラグ中に取り込まれ、スラグの流動性低下を引き起こす。スラグの流動性が低下すると、その後の真空脱炭期で脱炭効率が低下してしまう。
したがってVOD工程では、スラグ中のCr酸化物濃度をできるだけ増大させないようにしながら所定のC含有量に精度良く調整することが重要であるが、これらの要件を満足するように真空酸素吹錬の終了時点をコントロールすることは容易でない。特に極低炭素鋼を溶製する場合はなおさらである。所定のC含有量に未達の場合は再度の真空酸素吹錬が必要になり、生産性の低下を招く。一方、過度の真空酸素吹錬を行うと過剰の酸素供給に起因してCrの酸化が増大し、スラグの流動性を悪化させ真空脱炭期における脱炭を阻害する。
ステンレス溶鋼の脱炭方法として、特許文献1には、取鍋中の溶鋼に浸漬管を浸漬させ、浸漬管内を減圧して底部から不活性ガスを供給して攪拌しながら酸素吹錬を行い、次いで減圧下で脱ガス処理を行う方法が記載されている。この方法では浸漬管内の真空度と酸素吹錬後の溶鋼中C量を規定することにより、Crの酸化を抑制した脱炭ができるという。しかし、この方法でCrの酸化を抑制するためには酸素吹錬が過度にならないよう制御する必要があり、その結果、酸素吹錬にてCを極低域まで低減することは難しく、酸素吹錬終了後の脱炭に委ねる負荷が大きくなりやすい。このため、精錬時間の増大や、目標C量未達を招くケースが生じやすい。
特許文献2には真空精錬炉で高Cr鋼を精錬する際に、種々のフラックスを添加してスラグ中の過剰Cr酸化物を還元することによりスラグの流動性を改善し、スラグ/メタル接触攪拌を確保して真空脱炭期における脱炭反応を促進させる方法が開示されている。しかし、このようなスラグ成分の適正化を精度良く行うにはスラグのサンプリング・分析が不可欠であり、操業時間の増大を招く。分析を行わない場合はスラグ組成を推定値に頼らざるを得ず、C含有量を精度良く安定的にコントロールすることは難しい。
特許文献3にはVOD工程において酸素吹錬前に予めスラグの塩基度(%CaO)/(%SiO2)を1.5〜3.5に調整しておき、更に酸素吹錬時に吹き込み酸素のトータル量と排ガス中酸素のトータル量をモニターしてその差からスラグ中Cr酸化物量を推定し、その推定Cr酸化物量が40%未満の段階で酸素吹錬を終了する終点制御を行うことで、真空脱炭期における脱炭効率を向上させる方法が開示されている。しかし、この方法ではスラグ塩基度の調整操作に手間がかかる。またスラグ中のCr酸化物量が増大しすぎない段階で酸素吹錬を止める厳密な終点制御が必要となり、終点時期がずれると目標脱炭量が未達となったり、真空脱炭効率の低下やSi等の脱酸元素の過剰消費による成分変動が生じたりしやすいという問題がある。
特開平11−50133号公報 特開昭57−41312号公報 特開平8−260030号公報
以上のように、VOD工程でステンレス溶鋼の脱炭を効率的に行うには、真空酸素吹錬期ではCrの酸化をできるだけ抑えながらC含有量をできるだけ低減することが重要であり、真空脱炭期ではCr酸化物濃度が高すぎない流動性の良好なスラグ状態において不活性ガス攪拌による脱炭を進行させることが重要である。しかしながら、Crの酸化抑制と十分な脱炭を両立させる酸素吹錬終点制御は難しく、結局、後の真空脱炭期あるいはさらに最終的な成分調整において負荷を増大させることになりやすい。真空脱炭効率は溶鋼の攪拌を強化することである程度改善できるが、そのためにはArの使用量増大や設備増強などにコストがかかる。また、攪拌時間を長くすればそれに伴って脱炭も進行するが、生産性が低下するので得策ではない。
さらに、このような問題に加え、いわゆる「Cピックアップ」の問題がある。Cピックアップは、取鍋のスラグラインに付着している地金やスラグ塊に高濃度のCが含まれていることがあり、真空酸素吹錬および攪拌による真空脱炭を行った後、成分調整段階の前後でそれらの地金やスラグ塊が溶解し、溶鋼中のC含有量が不用意に上昇する現象であると考えられている。Cピックアップの問題は極低炭素鋼の溶製において時として深刻な打撃を与える。従来の精錬方法ではCピックアップの問題は未解決であった。
本発明は、真空酸素吹錬の特殊な終点制御を行うことなく、真空脱炭期における脱炭効率の向上を図り、かつCピックアップにも対処できる簡便でかつ生産性の良いステンレス溶鋼の脱炭方法を提供しようというものである。
発明者らは種々検討の結果、真空脱炭期に使用するスラグの成分調整を真空酸素吹錬の終点制御に委ねるのではなく、真空酸素吹錬終了後の還元操作によって行うことが作業効率、コスト、生産性の面で非常に有利であることを見出した。そして、真空酸素吹錬後に溶鋼中の酸素活量を測定することにより、スラグ中のCr酸化物量を推定することが可能であり、それに基づいて還元剤(脱酸剤)の添加量を精度良く決定できることがわかった。本発明ではこのようにしてスラグ中のCr酸化物量を適正化した状態で効率的な真空脱炭を行うのである。
すなわち本発明で提供するステンレス溶鋼の脱炭方法は、真空容器中で酸素吹錬終了後に不活性ガス攪拌による脱炭を行うステンレス溶鋼の脱炭処理において、「前記不活性ガス攪拌による脱炭の開始前または開始後に溶鋼中の酸素活量を測定し、予め求めてある溶鋼中の酸素活量とスラグ中のCr酸化物濃度との相関関係からスラグ中のCr酸化物濃度を推定し、スラグ中のCr酸化物濃度が10〜30質量%の範囲になるように脱酸剤を溶鋼に添加する」、というスラグ成分調整操作を1回以上行うことにより、スラグ中のCr酸化物濃度が10〜30質量%の状態で例えば10Torr(1333Pa)以下の真空下において不活性ガス攪拌による脱炭を進行させるというものである。
真空容器は内部が真空状態に維持された容器であり、「真空」とはここでは概ね120Torr(約16000Pa)以下の減圧状態をいう。前記脱酸剤としてはAl、Fe−Si(フェロシリコン)の1種または2種を使用することができる。Fe−SiはSiを概ね60〜80質量%含む合金であり、一般的に製鋼でのSi原料として使用されるものである。
また本発明では、このような脱炭方法によってC含有量を0.010質量%以下に低減させる極低炭素ステンレス鋼(例えばフェライト系ステンレス鋼)の製造法が提供される。
本発明によれば、ステンレス溶鋼を「真空酸素吹錬→攪拌による真空脱炭」の工程で脱炭処理する際、真空脱炭期に使用するスラグの成分調整を真空酸素吹錬終了後に脱酸剤を添加することによって行うことができる。このため、特殊な終点制御を採用する必要はない。酸素吹錬前にスラグ塩基度を特段調整する必要もない。また、酸素吹錬を多少過剰に行ってもその後のスラグ成分調整操作で十分適正化できる。さらに、Cピックアップも営業生産で問題ないレベルに改善される。したがって本発明は、迅速・簡便な手法で極低炭素ステンレス鋼の製造を可能にするものである。
ステンレス溶鋼を真空酸素吹錬処理するとき、低炭素域になるに従って脱炭反応よりもCrの酸化が優先的に生じやすくなり、その結果スラグ中のCr酸化物の濃度が増加する。スラグ中のCr酸化物濃度は操業条件にもよるが、脱炭反応が停滞してきた場合に徐々に増大する傾向を示す。したがって脱炭反応が停滞してきた後は、それ以上に酸素吹錬を継続しても効率よく脱炭反応が進まない。またスラグ中のCr酸化物濃度の増大はスラグの流動性低下を招き、真空脱炭期における脱炭効率を著しく低下させる。本発明では後述のようにスラグ中に増大したCr酸化物を脱酸剤の添加によって還元するので、真空酸素吹錬の終点制御は従来一般的な方法で行えばよい。すなわち、排ガス中のCO、CO2濃度を測定して脱炭速度を経時的にモニターし、例えばCr含有量11〜30質量%、Cの最終目標値0.010質量%以下の極低炭素ステンレス鋼を溶製する場合だと、脱炭速度が10〜25ppm/minになった時点で酸素吹錬を終了すればよい。
真空脱炭期においては、溶鋼中のCは主としてスラグ中に固相状態で含まれる酸素(以下「固体酸素」という)と反応することで脱炭が進行する。固体酸素は主として金属酸化物の形で存在しており、Cr酸化物も脱炭反応における重要な酸素供給源の1つとなる。すなわち、真空脱炭期のスラグ中にはCr酸化物がある程度含まれていることが有効である。種々検討の結果、スラグ中のCr酸化物濃度が10質量%未満では真空脱炭期の脱炭反応が十分促進しないことがわかった。
一方、スラグ中のCr酸化物濃度が高すぎると上述のようにスラグの流動性が低下し、脱炭反応効率が低下する。従来一般的な方法で真空酸素吹錬を行った場合、真空酸素吹錬終了後のスラグにおけるCr酸化物濃度は40質量%以上となるケースもある。発明者らの検討によると、真空脱炭期においてはスラグ中のCr酸化物濃度を30質量%以下にすることが脱炭効率の向上に極めて有効であることがわかった。
したがって本発明では、真空脱炭期において、Cr酸化物濃度が10〜30質量%に調整されたスラグを溶鋼と接触させた状態で、溶鋼の攪拌を行い、脱炭を進行させる。スラグ中のCr酸化物濃度を調整するにはAlやFe−Si等の脱酸剤を溶鋼に添加する。その際、スラグ成分調整操作は以下のようにして行うことができる。
まず、不活性ガス攪拌による脱炭の開始前または開始後に溶鋼中の酸素活量を酸素センサーを用いて測定する。具体的な測定時期として、真空酸素吹錬の終了時点が好適である。一般に溶鋼中の酸素活量とスラグ中の酸素活量には相関関係があるが、発明者らの詳細な検討の結果、溶鋼中の酸素活量とスラグ中のCr酸化物濃度との間にも相関関係があることがわかった。したがって、予め当該組成の溶鋼について溶鋼中の酸素活量とスラグ中のCr酸化物濃度との関係を示す検量線を作っておけば、溶鋼中の酸素活量測定値からスラグ中のCr酸化物濃度を迅速に推定することができる。酸素センサーはジルコニア等の固体電解質を用いることができる。
次に、溶鋼中の酸素活量の測定値から上記の検量線を用いてスラグ中のCr酸化物濃度を推定し、その推定値と目標値(10〜30質量%の範囲)との差分に相当する量のCr酸化物を還元するに足る脱酸剤の量を算出する。そして、その量の脱酸剤を溶鋼中に添加する。添加された脱酸剤は鋼中に溶解し、溶解した脱酸剤成分とスラグ中のCr酸化物が反応し、Crが還元されてスラグは所定のCr酸化物濃度となる。この適正化されたスラグと溶鋼とを接触させた状態でAr等の不活性ガス攪拌を続け、効率的に極低炭素域での脱炭を進行させるのである。不活性ガスの吹き込みは底吹きとする。以上のような一連のスラグ成分調整操作とそれに続く不活性ガス攪拌による脱炭を複数回行ってもよい。
スラグ中のCr酸化物濃度を調整するために添加する脱酸剤としてはAl、Fe−Si等の強脱酸剤を使用する。脱酸剤添加時にはスラグ中のCr酸化物濃度が10〜30%を外れない範囲でCaOやCaF2等の造滓剤を添加してもよい。このスラグ成分調整操作を行うと、スラグの流動性が向上すること、および脱酸剤が添加されることに起因して取鍋スラグラインに付着した地金やスラグ塊も溶解し一旦Cピックアップが起きるが、スラグ中のCr酸化物濃度が適正化されているため真空脱炭期のスラグ/メタル反応が活性化し、特別な強攪拌あるいは長時間の攪拌を必要とすることなく、溶鋼中C含有量は目標の極低レベルに到達する。つまり本発明では、Cピックアップの原因となる付着物をむしろ積極的に溶解させることでCピックアップの問題を解消するのである。なお、真空脱炭期の終了時点については、目標C濃度によっても異なるが、従来の一般的な方法、例えば排ガス中のCO、CO2濃度の分析値から算出される脱炭速度などにより決定することができる。
表1に示すCr含有量のフェライト系ステンレス溶銑約80トンを電気炉で溶製し、続いて転炉で酸素吹錬を行って粗脱炭し、成分組成を確認したのち取鍋に出鋼した。このステンレス溶鋼が収容された取鍋をVOD装置の密閉容器内にセットし、真空排気を開始した。真空排気開始後約5分で密閉容器内の圧力が120Torr(約16000Pa)に達した。この時点で上吹きランスを使用して酸素吹錬を開始した。ほぼ同時期に取鍋底のポーラスノズルからArを吹き込み、溶鋼のガス攪拌を開始した。真空酸素吹錬期においては排気ガス中のCO、CO2濃度を測定することにより、従来一般的な方法で脱炭速度の変化をモニターした。いずれのチャージにおいても脱炭速度が10〜25ppm/minになった時点で真空酸素吹錬を終了した。この時の真空度は10Torr(1333Pa)以下であった。その後も真空引きとArの底吹き攪拌を継続した。
なお、表1に示した各チャージの最終成分の化学分析値は表2に示すとおりであった。
チャージNo.1〜6(本発明例)については、真空酸素吹錬の終了直後にジルコニア酸素センサーを用いて溶鋼中の酸素活量を測定した。結果を表1中に示してある。各鋼種について別途実験により予め求めてある「溶鋼中の酸素活量とスラグ中のCr酸化物濃度」の相関関係を表す検量線に基づいて、前記酸素活量の測定値からスラグ中のCr酸化物濃度を推定した。その結果も表1に示してある。真空脱炭期のスラグ中Cr酸化物濃度の目標値をそれぞれ表1に記載の値に設定し、Cr酸化物濃度の前記推定値と目標値の差分に相当する量のCr酸化物を還元するに足る脱酸剤の添加量を表1のとおり算出した。そしてその脱酸剤を溶鋼中に添加し、Arガスによる攪拌を継続した。なお、真空脱炭期におけるArガス導入量は300L/min以上とした。脱酸剤添加後、約5分後にスラグ組成を確認するためにスラグのサンプリングを行った。そのスラグサンプルの分析結果は表1に示すようにほぼ目標値に近いものであった。つまり、これらのチャージではスラグ中のCr酸化物濃度が10〜30質量%の状態で不活性ガス攪拌による脱炭を行ったことになる。脱酸剤添加後の脱炭時間(攪拌継続時間)は表1に示してある。この脱炭時間は排ガス分析値から計算される脱炭速度が一定値以下になる点を終点時期とする方法により定めた。真空脱炭処理後には容器を大気に開放したのち、最終成分調整を行い、連続鋳造でスラブとした。これら本発明例では比較的短時間で効率的に極低炭素フェライト系ステンレス鋼を溶製でき、CピックアップによるC濃度変動もなく、最終目標C値にほぼ一致したC含有量の極低炭素鋼が安定して製造できた。
一方、チャージNo.7〜12(比較例)では、真空酸素吹錬を終了したのち、酸素活量の測定や、スラグ中のCr酸化物濃度を調整するための脱酸剤添加は行わず、酸素吹錬終了時点のスラグをそのまま用いて真空脱炭を行った。脱炭時間は前記本発明例の場合と同様の方法により定めた。なお、酸素吹錬終了後約5分経過後にスラグのサンプリングを行い、そのスラグサンプルを分析した結果、表1に示すようにいずれもCr酸化物濃度が30質量%を超えていた。つまり、これらのチャージではスラグ中のCr酸化物濃度が30質量%を超える状態で不活性ガス攪拌による脱炭を行ったことになる。真空脱炭処理後には容器を大気に開放したのち、最終成分調整を行い、連続鋳造でスラブとした。
比較例7、8では真空脱炭時間を前記本発明例と同程度の時間として脱炭を行ったが、スラグ中のCr23濃度が30%を超えた状態であったため、目標C値まで到達することができなかった。また、比較例9〜12では前記本発明例より長時間の脱炭を行ったにもかかわらず目標C値まで到達せず、極低炭素鋼の製造ができなかった。CピックアップによるC量の変動も目標未達の要因になっているものと推察される。
Figure 2006213966
Figure 2006213966

Claims (5)

  1. 真空容器中で酸素吹錬終了後に不活性ガス攪拌による脱炭を行うステンレス溶鋼の脱炭処理において、前記不活性ガス攪拌による脱炭の開始前または開始後に溶鋼中の酸素活量を測定し、予め求めてある溶鋼中の酸素活量とスラグ中のCr酸化物濃度との相関関係からスラグ中のCr酸化物濃度を推定し、スラグ中のCr酸化物濃度が10〜30質量%の範囲になるように脱酸剤を溶鋼に添加するスラグ成分調整操作を行うことにより、スラグ中のCr酸化物濃度が10〜30質量%の状態で不活性ガス攪拌による脱炭を進行させるステンレス溶鋼の脱炭方法。
  2. 前記脱酸剤としてAlまたはFe−Siを使用する請求項1に記載のステンレス溶鋼の脱炭方法。
  3. 10Torr(1333Pa)以下の真空下で不活性ガス攪拌による脱炭を進行させる請求項1または2に記載のステンレス溶鋼の脱炭方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の脱炭方法によりC含有量を0.010質量%以下に低減させる極低炭素ステンレス鋼の製造法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の脱炭方法によりC含有量を0.010質量%以下に低減させる極低炭素フェライト系ステンレス鋼の製造法。
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