JP3479557B2 - チタン含有鋼の製造方法 - Google Patents
チタン含有鋼の製造方法Info
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Description
ン濃度調整精度の優れたチタン含有鋼の製造方法に関す
る。
し、普通鋼およびステンレス鋼において広く使用されて
いる。チタン含有ステンレス鋼としては、SUS430
LX、SUS436L、SUS444、SUH409お
よびSUS321などが一般に知られている。該ステン
レス鋼においては加工性、溶接性を高めるためや、炭化
物を安定化して耐粒界腐食性を高めるためにチタンが鋼
中に添加されている。これらのチタン含有ステンレス鋼
の中でも、特にSUH409(11%Cr−Ti鋼)は
安価でかつ加工性が優れているために最も広く普及して
いる。
一次精錬炉で粗精練された後、AOD法(Argon Oxygen
Decarburization)やVOD法(Vacuum OxygenDecarbu
rization)などによって溶鋼の脱炭、脱ガス、撹拌およ
び成分調整など、いわゆる二次精錬が行われている。A
OD法は、AOD炉の底部からアルゴンと酸素の混合ガ
スを溶鋼中に吹き込みクロムの酸化を抑えながら脱炭等
を行う精錬方法である。VOD法は、真空取鍋脱ガス装
置に酸素吹精装置を設け、減圧状態で取鍋中の溶鋼を上
吹き酸素と底部からのアルゴン撹拌によりクロムの酸化
を抑えながら脱炭等を行う精錬方法である。
できる真空取鍋脱ガス装置の簡略化された構成を示す模
式図である。チタン含有ステンレス鋼の溶製は次のよう
にして行われる。転炉で粗精錬された溶鋼は取鍋21に
注入されて保持される。溶鋼を受鋼した取鍋21はベッ
セル22内に収容される。ベッセル22上には、ベッセ
ルカバー23が気密に乗載され、内部空間は真空ポンプ
によって吸引減圧される。アルゴンガスは取鍋21の底
部に設けられるポーラスプラグ24から溶鋼中に吹き込
まれて溶鋼を撹拌する。酸素ガスは、ベッセルカバー2
3に昇降可能に装着されたランス25から溶鋼表面に吹
き付けられる。溶鋼は減圧撹拌下での酸素吹精により脱
炭精錬される。
ス撹拌を継続したままアルミニウムが投入されてアルミ
ニウム脱酸が行われる。アルミニウム脱酸は、1.5分
間程度行われる。その後、チタンが投入されて成分の第
一次調整が行われる。チタンは酸素と強い親和力を有す
る元素であり、溶鋼中に投入された場合、鋼中酸素やス
ラグ中の易還元酸化物などにより酸化される。チタンが
アルミニウム脱酸後に投入されるのは、チタンの酸化を
抑制するためである。第一次調整後、真空が開放されて
溶鋼の測温サンプリングと成分分析とが行われる。第一
次調整後の成分分析値から第一次調整として投入したチ
タンの歩留が第一次チタン歩留として算出される。
ウム濃度と第一次チタン歩留との関係を示す。溶鋼の鋼
種は11%Cr−0.2%Ti鋼である。図8より溶鋼
のアルミニウム濃度が高くなるほど第一次チタン歩留が
向上することが分かる。溶鋼のアルミニウム濃度が高く
なるほど溶鋼の脱酸およびスラグの還元が充分行われる
ので、チタンの歩留が高くなる。しかしながら、鋼中酸
素量やスラグ中の易還元酸化物量は一定しておらず、さ
らに様々の変動要因によって脱酸後のアルミニウム濃度
は変動する。アルミニウム濃度の変動は第一次チタン歩
留の変動をもたらすので、第一次調整後のチタン濃度は
不安定になる。第一次調整後のチタン濃度が目標とする
チタン濃度を下まわるときには、第二次調整としてチタ
ンが溶鋼中に追加投入される。第二次調整は大気中で行
われる。一般に第一次チタン歩留が高いほど第二次調整
におけるチタンの歩留が高くなるので、第二次調整用追
加投入チタン量は第一次チタン歩留を考慮して経験的な
方法で決定されている。
タン含有鋼の溶製において、様々な要因によってアルミ
ニウム脱酸後の溶鋼のアルミニウム濃度が変動する。ア
ルミニウム濃度を変動させる要因には、溶鋼の鋼種、
重量、温度、炉や取鍋など容器の形式、容量、溶鋼
の撹拌力、ベッセル内の真空度、溶鋼の酸素濃度、
スラグの量、組成、塩基度、チタンやアルミニウム
など原料の成分、形状、粒径、粒の重量、アルミニウ
ム脱酸時間などがある。アルミニウム濃度の変動は第一
次チタン歩留の変動をもたらす。前述のようにアルミニ
ウム濃度が高くなるほど第一次チタン歩留が高くなる。
第一次チタン歩留が高いほど第二次調整におけるチタン
の歩留も高くなるので、第一次調整および第二次調整と
して投入するチタンの歩留であるトータルチタン歩留が
高くなる。しかしながら、逆に第一次チタン歩留が低く
なると、トータルチタン歩留が低下するという問題が生
じる。したがって、前記各要因の影響を解明し、アルミ
ニウム濃度の高位安定化ならびに第一次チタン歩留の向
上を図る必要がある。
られる追加投入チタン量は、経験的な方法で決定されて
いるので、第二次調整後のチタン濃度調整精度が十分で
はないという問題がある。第二次調整後のチタン濃度が
目標成分範囲より低いときには、再調整が必要となるの
で、能率や生産性が低下する。第二次調整後のチタン濃
度が目標成分範囲より高いときには溶鋼中のTiO2や
TiN等介在物の発生量が多くなり、これらが凝固時に
鋼中に取込まれると、冷間圧延でストリーク疵の原因と
なるので、製品の表面品質が低下する。したがって、経
験的な方法ではなく論理的なチタン濃度の第二次調整方
法を確立して、チタン濃度調整精度の向上を図ることが
必要である。
濃度調整精度の優れたチタン含有鋼の製造方法を提供す
ることである。
およびチタンをクロムを含む溶鋼中に投入するチタン含
有鋼の製造方法において、容器底部からアルゴンなどの
不活性ガスを吹き込んで攪拌しながら、所定量の酸素を
吹込んで、クロムの酸化を防ぎつつ脱炭する酸素吹精を
行い、酸素吹精停止後も攪拌を続けながら、アルミニウ
ムを投入し、攪拌動力をε、溶鋼の体積をV1とすると
き、等式 log(tm)=2.5−0.45log(εV1−2/3) を満たす均一混合時間tmの7倍以上で12倍以下の時
間だけ保持して脱酸を行った後、チタンを投入すること
を特徴とするチタン含有鋼の製造方法である。
時間は、5分以上10分以下とすることを特徴とする。
ンを溶鋼中に投入するチタン含有鋼の製造方法におい
て、アルミニウムを投入して、容器底部からアルゴンな
どの不活性ガスを吹き込んで攪拌しながら、予め定める
時間だけ保持して脱酸を行った後、チタンの投入によっ
て成分の第一次調整を行い、投入したチタンの歩留を第
一次チタン歩留として求め、第二次調整としてチタンを
溶鋼中に追加投入する際に、第一次調整および第二次調
整として投入するチタンの歩留であるトータルチタン歩
留を、予め設定される第一次チタン歩留とトータルチタ
ン歩留との関数を用いて予測し、予測されたトータルチ
タン歩留に基づいてチタンの目標濃度を得るために必要
な第二次調整用のチタンの投入量を決定することを特徴
とするチタン含有鋼の製造方法である。
ータルチタン歩留との関数は、直前の操業についての移
動平均値に基づいて求めることを特徴とする。
は、容器底部から不活性ガスを溶鋼中に吹き込んで撹拌
して、クロムの酸化を防ぎつつ脱炭するように酸素吹精
を行い、アルミニウムを投入して脱酸を行った後、チタ
ンを投入して溶製される。アルミニウムの脱酸は均一混
合時間の7倍以上で12倍以下の時間だけ行われる。均
一混合時間は撹拌動力と溶鋼の体積とを用いて等式によ
り決定される。このようにアルミニウムによって溶鋼の
脱酸およびスラグの還元が行われた後、チタンが投入さ
れるので、チタンの酸化が抑制されチタンの歩留が向上
する。
5〜10分間行われる。該アルミニウム脱酸時間は従来
技術におけるアルミニウム脱酸時間が1.5分間程度で
あるのに比べ長時間であるので、溶鋼の脱酸およびスラ
グの還元が充分に行われる。
性ガスなどを吹き込んで撹拌しながら、成分の第一次調
整としてアルミニウム脱酸後チタンが投入され、投入さ
れたチタンの歩留を第一次チタン歩留として求めた後、
第二次調整としてチタンが追加投入される。第一次調整
および第二次調整として投入するチタンの歩留であるト
ータルチタン歩留が予め設定される第一次チタン歩留と
トータルチタン歩留との関数を用いて予測され、予測さ
れたトータルチタン歩留に基づいて第二次調整用チタン
の投入量が決定される。このように第二次調整用チタン
の投入量は論理的な手順を経て決定されるので、チタン
の濃度調整精度は大幅に向上する。
トータルチタン歩留との関数は、直前の操業についての
移動平均値に基づいて求められるので、操業条件が変化
してもトータルチタン歩留の予測精度を高精度のまま維
持することができる。
ス鋼の製造方法について、図1から図6を用いて説明す
る。図1は本発明法を好適に実施することのできる真空
取鍋脱ガス装置の簡略化された構成を示す断面図であ
り、図2は本発明の一実施例であるチタン含有ステンレ
ス鋼の溶製過程を示す説明図であり、図3は均一混合時
間の倍数で表したアルミニウム脱酸時間と第一次チタン
歩留との関係を示す図であり、図4は本発明法における
溶鋼のアルミニウム濃度と第一次チタン歩留との関係を
示す図であり、図5は11%Cr−0.2%Ti鋼のト
ータルチタン歩留と第一次チタン歩留との関係を示す散
布図であり、図6は本発明法を適用して成分調整を行っ
た場合の最終チタン濃度の分析値と目標値との偏差を示
す図である。
置1は、ベッセル2とベッセル2上に乗載されるベッセ
ルカバー3とを備えて構成される。ベッセル2の側壁に
は、真空排気手段4に連結される吸引管5が設けられて
いる。ベッセルカバー3には、昇降可能に気密装着され
た酸素吹精用ランス6と、測温サンプリング装置7と複
数個の合金添加装置8とが配設されている。チタン含有
ステンレス鋼、たとえば11%Cr−0.2%Ti鋼の
溶製は次のようにして行われる。転炉で粗精錬された溶
鋼9は取鍋10に注入されて保持される。溶鋼9を受鋼
した取鍋10はベッセル2内に収容される。ベッセル2
上には、ベッセルカバー3が気密に乗載され、ベッセル
2とベッセルカバー3とによって閉じられた内部空間1
3は真空排気手段4によって吸引されて減圧される。不
活性ガス、たとえばアルゴンガスは供給管11を介して
取鍋10の底部に複数個設けられるポーラスプラグ12
から溶鋼9中に吹き込まれて溶鋼9を撹拌する。ポーラ
スプラグ12は多孔質の耐火材料から成る。
は、酸素吹精が行われる。酸素吹精は、溶鋼を脱炭する
ために行われる。酸素ガスは、酸素吹精用ランス6から
溶鋼9の表面に吹き付けられる。溶鋼9は減圧状態で酸
素吹精とアルゴンガス撹拌により脱炭精錬される。酸素
吹精は所定量吹精後停止される。酸素吹精停止後も溶鋼
中の炭素が目標濃度に達するまで脱炭反応促進のために
減圧状態は保持されアルゴンガス撹拌は継続される。
置8を介して投入され、溶鋼の脱酸が行われる。投入さ
れるアルミニウムはたとえば小塊状であり、その純度は
97%である。アルミニウムの投入は、減圧状態で溶鋼
9をアルゴンガス撹拌しつつ行われる。アルミニウム投
入時の真空度は約20Torrである。アルミニウムの
脱酸は溶鋼の均一混合時間tmの7倍以上で12倍以下
の時間だけ行われる。減圧状態でのアルゴンガス撹拌
は、アルミニウム脱酸中も溶鋼の脱酸反応およびスラグ
の還元反応促進のため続行される。溶鋼の均一混合時間
tm(s)は撹拌動力をε、溶鋼の体積をVl(m3)
とするとき、次式(1)により定められる。
鋼温度をTl(K)、溶鋼の質量をMl(T)、ガス吹
き込み深さをh(m)、雰囲気圧力をP(Pa)、定数
をη、吹き込み時のガス温度をTg(K)とするとき、
たとえば丸善株式会社平成2年3月31日発行改訂5版
「金属便覧」第48頁に記載されている次式(2)から
求められる。
(2)式から求めた撹拌動力εと溶鋼の体積Vlとを用
いて(1)式から求めることができる。たとえば、代表
的な操業条件の場合、ガス流量Vg=0.6Nm3/m
in、溶鋼温度Tl=1900K、溶鋼質量Ml=78
T、ガス吹き込み深さh=2.2m、雰囲気圧力P=2
700Pa、定数η=0.06、吹き込み時のガス温度
Tg=300K、溶鋼の体積11m3であるので、
(1)式および(2)式から溶鋼の均一混合時間tmは
46秒となる。
ば6分間行われた後、第3段階において成分の第一次調
整として溶鋼中にチタンが投入される。投入されるチタ
ンは小塊状のスポンジチタンである。チタンの投入は減
圧状態で溶鋼9をアルゴンガスで撹拌しつつ行われる。
第3段階に引続き、第4段階で真空が開放され、測温サ
ンプリング装置7を用いて測温とサンプリングとが同時
に行われる。さらにその後採取サンプルの成分分析が行
われる。真空開放はチタン投入から大略2分後に行われ
る。成分分析後、第5段階において第一次調整において
投入されたチタンの歩留が第一次チタン歩留としてチタ
ン分析値より算出される。
ルミニウム脱酸時間と、第一次チタン歩留との関係を示
す。図3において、溶鋼のアルミニウム濃度は0.10
〜0.12%の範囲である。操業条件は前記代表的な操
業条件と同一である。図3より、アルミニウム脱酸時間
が長くなるほど第一次チタン歩留が向上することが分か
る。また第一次チタン歩留は、アルミニウム脱酸時間が
均一混合時間tmの7倍まではアルミニウム脱酸時間が
長くなるほど急激に向上するけれども、均一混合時間の
7倍を超えると第一次チタン歩留の向上はほとんど認め
られないことが分かる。アルミニウム脱酸時間を溶鋼の
均一混合時間tmの7倍以上に限定したのは、上記理由
によるものである。またアルミニウム脱酸時間を溶鋼の
均一混合時間tmの12倍以下に限定したのは、これ以
上長くしても第一次チタン歩留の向上がほとんど認めら
れないばかりでなく、長くなるほど溶鋼温度の低下およ
び生産性の低下など弊害が大きくなることによるもので
ある。
鋼の脱酸およびスラグの還元が充分に進行するので、チ
タンの酸化が抑制され第一次チタン歩留が向上する。し
かしながらアルミニウムの酸化とともに有効アルミニウ
ム量が次第に減少するので、第一次チタン歩留向上効果
は次第に飽和してゆく。また、アルミニウムの脱酸時間
が汎用性のある均一混合時間に基づいて定められるの
で、本発明法は特定装置および特定操業条件に対してだ
けでなく、種々の装置および種々の操業条件に対して適
用することができる。前記代表的な操業条件の場合、溶
鋼の均一混合時間は46秒であるので、アルミニウム脱
酸時間は5〜10分間となる。該アルミニウム脱酸時間
は前述した従来技術におけるアルミニウム脱酸時間が大
略1.5分間であるのに比べて長時間である。したがっ
て、溶鋼の脱酸およびスラグの還元が充分に進行するの
で、チタンの酸化が抑制され第一次チタン歩留が向上す
る。
ニウム濃度と第一次チタン歩留との関係を示す。図4に
は、比較を容易にするため前記図8に示した従来技術に
おける同一鋼種の溶鋼のアルミニウム濃度と第一次チタ
ン歩留との関係も併記している。溶鋼のアルミニウム脱
酸時間は、本発明法L1が5〜10分間であり、従来法
L5が1.5分間である。図4より、(a)本発明法L
1、従来法L5とも溶鋼のアルミニウム濃度が高くなる
ほど第一次チタン歩留が向上する。(b)第一次チタン
歩留は、溶鋼のアルミニウム濃度にかかわらず本発明法
L1の方が従来法L5より良好である。(c)第一次チ
タン歩留の標準偏差は本発明法L1の方が従来法L5よ
りも小さいことが分かる。溶鋼のアルミニウム濃度が高
いほど溶鋼の脱酸およびスラグの還元が充分に行われる
ので、チタンの酸化が抑制され、第一次チタン歩留が高
くなる。しかしながら、アルミニウム濃度が高くなれ
ば、製品化後の溶接性が劣化するので、溶鋼のアルミニ
ウム濃度は無制限に高くすることはできない。溶鋼のア
ルミニウム濃度は0.02〜0.20%の範囲に選ばれ
る。また、アルミニウム脱酸時間が長くなるほど溶鋼の
脱酸およびスラグの還元が充分に進行して未脱酸および
未還元領域が少なくなるので、アルミニウム脱酸時間が
短いときよりもチタンの酸化が抑制される。したがっ
て、アルミニウム脱酸時間が長くなるほど溶鋼のアルミ
ニウム濃度にかかわらず第一次チタン歩留が高くなり、
かつ標準偏差が小さくなる。
タン濃度を下まわるときには、第6段階において第二次
調整として追加投入されるチタン量が算出される。追加
投入チタン量の算出は、第一次調整および第二次調整と
して投入するチタンの歩留であるトータルチタン歩留を
予測することによって行われる。トータルチタン歩留は
予め設定される第一次チタン歩留とトータルチタン歩留
との関数を用いて予測される。該関数は、過去に溶製し
た同一鋼種について直前の3チャージ以上20チャージ
以下のトータルチタン歩留と第一次チタン歩留との関係
を回帰式で表すことによって求められる。11%Cr−
0.2%Ti鋼の直前の20チャージについて調査した
トータルチタン歩留と第一次チタン歩留との関係を図5
に示す。図5より両者の間には良好な直線相関関係があ
るので、トータルチタン歩留は第一次チタン歩留の一次
関数として数式化できることが分かる。図5における両
者の相関係数は0.98であり、非常に高い。図5より
第一次チタン歩留からトータルチタン歩留が高精度で予
測できることが分かる。
次調整時の投入チタン量をWT1(kg)、トータルチ
タン歩留をTi2(%)、溶鋼重量をWM(kg)、第
一次調整後のチタン濃度を〔Ti〕(%)、第一次チタ
ン歩留をTi1(%)、最終目標チタン濃度を0.2%
とすれば、 〔Ti〕×WM=WT1×Ti1 …(3) (WT1+WT2)×Ti2=0.2WM …(4) となる。(3)式と(4)式より追加投入チタン量WT
2は、
1、〔Ti〕は既知であるので、図5を用いて第一次チ
タン歩留Ti1からトータルチタン歩留Ti2を予測す
れば、追加投入チタン量WT2は容易に算出することが
できる。
て溶鋼中にチタンが追加投入される。追加投入量は、第
6段階で算出した投入量が適用される。投入されるチタ
ンは、たとえば小塊状のフェロチタンである。チタンの
投入は大気中で溶鋼9をアルゴンガスで撹拌しつつ行わ
れる。第7段階に引続き、第8段階において測温サンプ
リング装置7を用いて測温とサンプリングとが同時に行
われる。さらにその後採取サンプルの成分分析が行われ
る。成分分析後、第9段階においてチタン分析値よりト
ータルチタン歩留が算出される。第9段階に引続き、第
10段階において関数の更新が行われる。前記第一次チ
タン歩留とトータルチタン歩留との関数は、1チャージ
毎に最も古いデータと最新データとが入れ替えられて、
新しい関数に更新される。これによって、操業条件が変
化してもトータルチタン歩留の予測精度を高精度のまま
維持することができる。
行った場合の最終チタン濃度の分析値と目標値との偏差
を示す。L2は分析値と目標値とが合致する直線であ
り、L3は分析値が目標値より0.02%高い直線であ
り、L4は分析値が目標値より0.02%低い直線であ
る。図6より、最終チタン濃度の分析値と目標値との偏
差は0.02%以内であるので、本発明法によるチタン
の濃度調整精度が非常に良好であることが分かる。
含むチタン含有鋼は、不活性ガスの吹き込みで撹拌し
て、クロムの酸化を防ぎながら酸素吹精で脱炭し、アル
ミニウムを投入して脱酸を行った後、チタンを投入して
製造される。アルミニウムの脱酸時間は撹拌動力と溶鋼
の体積とによって定まる均一混合時間に基づいて定めら
れる。このようにアルミニウムによって溶鋼の脱酸およ
びスラグの還元が行われた後、チタンが投入されるの
で、チタンの酸化が抑制される。チタンの酸化抑制は、
チタン歩留の向上とチタン濃度の安定化とをもたらすの
で、合金原価を大幅に低減することができる。また本発
明は汎用性のある均一混合時間に基づいてアルミニウム
の脱酸時間が定められるので、特定装置および特定操業
条件に対してだけでなく種々の装置および種々の操業条
件に対して適用することができる。
従来技術に比べ長時間行われるので、溶鋼の脱酸および
スラグの還元が充分に行われる。したがってその後に投
入されるチタンの酸化は抑制される。チタンの酸化抑制
は、チタン歩留の向上とチタン濃度の安定化とをもたら
すので、合金原価を大幅に低減することができる。
してアルミニウム脱酸後にチタンが投入され、第二次調
整としてチタンが追加投入される。第二次調整用チタン
の投入量は論理的な手順を経て決定されるので、チタン
の濃度調整精度は大幅に向上する。したがって、安定し
た品質の製品を継続的に製造することができる。またチ
タン濃度を目標成分範囲内で低目に調整することができ
るので、ストリーク疵の原因となる介在物の発生が抑制
され、製品の表面品質が向上する。
トータルチタン歩留との関数は直前の操業についての移
動平均値に基づいて求められるので、操業条件が変化し
てもトータルチタン歩留の予測精度を高精度のまま維持
することができる。
鍋脱ガス装置の簡略化された構成を示す断面図である。
鋼の溶製過程を示す説明図である。
時間と第一次チタン歩留との関係を示す図である。
一次チタン歩留との関係を示す図である。
歩留と第一次チタン歩留との関係を示す散布図である。
終チタン濃度の分析値と目標値との偏差を示す図であ
る。
鍋脱ガス装置の簡略化された構成を示す模式図である。
一次チタン歩留との関係を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 アルミニウムおよびチタンをクロムを含
む溶鋼中に投入するチタン含有鋼の製造方法において、 容器底部からアルゴンなどの不活性ガスを吹き込んで攪
拌しながら、所定量の酸素を吹 込んで、クロムの酸化を防ぎつつ脱炭する酸素吹精を行
い、 酸素吹精停止後も攪拌を続けながら、アルミニウムを投
入し、攪拌動力をε、溶鋼の体積をV1とするとき、等
式 log(tm)=2.5−0.45log(εV1−2/3) を満たす均一混合時間tmの7倍以上で12倍以下の時
間だけ保持して脱酸を行った後、 チタンを投入することを特徴とするチタン含有鋼の製造
方法。 - 【請求項2】 前記攪拌しながら保持する時間は、5分
以上10分以下とすることを特徴とする請求項1記載の
チタン含有鋼の製造方法。 - 【請求項3】 アルミニウムおよびチタンを溶鋼中に投
入するチタン含有鋼の製造方法において、 アルミニウムを投入して、容器底部からアルゴンなどの
不活性ガスを吹き込んで攪拌しながら、予め定める時間
だけ保持して脱酸を行った後、 チタンの投入によって成分の第一次調整を行い、 投入したチタンの歩留を第一次チタン歩留として求め、 第二次調整としてチタンを溶鋼中に追加投入する際に、
第一次調整および第二次調整として投入するチタンの歩
留であるトータルチタン歩留を、予め設定される第一次
チタン歩留とトータルチタン歩留との関数を用いて予測
し、予測されたトータルチタン歩留に基づいてチタンの
目標濃度を得るために必要な第二次調整用のチタンの投
入量を決定することを特徴とするチタン含有鋼の製造方
法。 - 【請求項4】 前記第一次チタン歩留とトータルチタン
歩留との関数は、直前の操業についての移動平均値に基
づいて求めることを特徴とする請求項3記載のチタン含
有鋼の製造方法。
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