JP2006210633A - ヘテロ接合半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

ヘテロ接合半導体装置及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 半導体層間の接合の端面におけるリーク電流を抑え、かつ、水分の侵入や放熱不足の問題を解消できるパッシベーション膜を備えたヘテロ接合半導体装置及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 半絶縁性基板1の上にメサ構造に加工した半導体層2〜6を形成する。エミッタメサおよびベース・コレクタメサの端部に凹部11および12を形成し、これらの凹部にそれぞれ絶縁性有機膜13および14を形成して、エミッタ層5の端面とベース層4との界面、およびベース層4とコレクタ層3との界面を絶縁性有機膜で被覆する。さらに、半導体層2〜6を被覆する緻密な無機パッシベーション膜15を、例えばプラズマCVD法による窒化シリコン膜によって形成し、開口部に電極7〜9を形成する。HBT10では、接合の端面が絶縁性有機膜13および14によって被覆されているので、接合部にプラズマダメージが生じることはない。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ヘテロ接合半導体装置及びその製造方法に関するものであり、より詳しくは、そのパッシベーション膜に関するものである。
近年、半導体装置の高速化および高集積化に対する要求はますます強くなり、3−5族化合物半導体によるヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)に対する期待も高くなっている。
HBTの作製では、通常、分子線エピタキシー法(MBE法)や有機金属気相成長法(MOCVD法)などを用いて、ガリウム砒素GaAs基板あるいはインジウム燐InP基板上に、例えば、サブコレクタ層、コレクタ層、ベース層、エミッタ層およびエミッタキャップ層を順次エピタキシャル成長させ、この積層体をさらに加工してHBTを作製する。
このように、HBTでは各半導体層を基板上に積層して形成した縦型構造をとっているため、半導体層に接して電極を形成すると、少なくとも下部層の電極形成位置の上部には、上部層を設けることはできなくなる。そこで、いったん各半導体層を形成した後、フォトリソグラフィとエッチングとによって電極形成位置の上部層を除去し、階段状の断面を有するメサ構造に上記積層体を加工することが多い。
図15は、従来のメサ構造の積層体からなるHBTの構造の一例をモデル的に示す断面図である。このHBT100を作製するには、例えば、インジウム燐からなる半絶縁性基板101の上に、エピタキシャル成長法によってn+型インジウムガリウム砒素InGaAsからなるサブコレクタ層102、n-型インジウム燐からなるコレクタ層103、p+型インジウムガリウム砒素からなるベース層104、n型インジウム燐からなるエミッタ層105、およびn+型インジウムガリウム砒素からなるエミッタキャップ層106を順次形成する。
そして、フォトリソグラフィとエッチングとによって、階段状の断面を有するメサ構造に積層体を加工した後、サブコレクタ層102に接してコレクタ電極111を設け、ベース層104に接してベース電極112を設け、エミッタキャップ層106に接してエミッタ電極113を設ける。電極の材料としては、各半導体層にオーミック接触を形成できる材料を用いる。
HBT100の問題点の1つは、インジウムガリウム砒素層とインジウム燐層の接合、すなわち、ベース層104とコレクタ層103との接合、およびベース層104とエミッタ層105との接合の端面が露出しているメサの側面で逆方向リーク電流が発生することである。ベース層104とコレクタ層103との接合におけるリーク電流は、ベース−コレクタ間耐圧を低下させる原因になり、ベース層104とエミッタ層105との接合におけるリーク電流は、端面での再結合を生じ、増幅率が低下する原因になる。
一般的には、上記リーク電流を防止するために、接合の端面にパッシベーション膜として窒化シリコンSiN膜や酸化シリコンSiO2膜を形成することが考えられる。しかし、インジウムガリウム砒素層とインジウム燐層との接合の端面は、プラズマによるダメージが半導体層に生じやすく、プラズマCVD法(プラズマ気相成長法)で窒化シリコン膜や酸化シリコン膜を被着させると、プラズマによるダメージが半導体層に生じ、かえって表面リーク電流は増大し、素子特性を著しく劣化させることになる。
そこで、後述の特許文献1などには、図15に示すように、HBT100の上部全面に塗布などによってベンゾシクロブテン(BCB)やポリイミドなどの絶縁性有機膜110を厚く形成し、これをパッシベーション膜および平坦化膜として利用するインジウム燐系HBTが提案されている。このようにすると、絶縁性有機膜110のコーティングによって逆方向リーク電流が抑えられるとともに、メサ段差を有するHBT100は表面がほぼ平坦な絶縁性有機膜110でおおわれ、その表面上に図示省略した配線などを形成することができる。
しかしながら、HBTでは一般に半導体装置の耐電圧性能を確保するために、コレクタ層103の膜厚が厚くなっている。一例を挙げると、各層の膜厚は、エミッタキャップ層106が150nm、エミッタ層105が70nm、ベース層104が50nmであるのに対し、コレクタ層103は500nm、サブコレクタ層102は200nmである。このため、上記のように電極111〜113を設けると、積層方向における電極位置の高低差は、ベース電極112とエミッタ電極113とでは220nmと小さいが、コレクタ電極111とエミッタ電極113とでは770nmにもなる。このため、絶縁性有機膜110で平坦化した場合、配線工程などの加工プロセスに重大な困難を生じることになる。
例えば、有機膜110の上に配線を形成する際、有機膜110にスルーホール121h〜123hを開孔し、このスルーホール121h〜123hに接続プラグ121〜123を形成して、半導体層上の電極111〜113と配線電極131〜133との間をそれぞれ接続する。しかしながら、コレクタ電極111とエミッタ電極113およびベース電極112との高低差に対応して、スルーホール121hとスルーホール123hおよび122hとでは開口する有機膜110の膜厚が大きく異なるため、スルーホール121h〜123hのすべてを適正に形成することは非常に難しくなる。
すなわち、エッチング条件をスルーホール121hに適合させると、スルーホール123hおよび122hではエミッタ電極113およびベース電極112がそれぞれ露出してからも必要以上のオーバーエッチングが行われることになり、ホール径がばらつくだけでなく、電極金属のエッチングやそれに付随するエッチング副生物の堆積などの問題が発生する。
上記の問題点は、深さが大きく異なるスルーホールは別工程で形成するようにすれば回避することができるが、このようにすると、工程数が増加し、生産性が低下する。
また、厚い絶縁性有機膜110を全面に形成した場合、有機膜の形成時に生じる応力や、有機膜と無機系材料との熱膨張率の違いによって温度変化に際して生じる応力などによって、HBTに歪みが生じることも懸念される。また、有機膜上に受動素子などを形成した場合、有機膜は酸化シリコンなどの無機膜に比べ1桁程度熱伝導率が低いため、発熱量の大きい抵抗素子などでは放熱不足に起因する問題が生じるおそれがある。
そこで後述の特許文献2には、接合部を被覆する絶縁性有機膜は形成するものの、絶縁性有機膜による平坦化は行わないHBTの製造方法が提案されている。このHBTの製造方法では、まず、スピンコーティング法によって粘度の低いポリイミドなどをHBTに被着させ、電極上面などの凸部では薄く、メサ上面などのその他の部分では十分な厚さ(例えば約150nm)をもつポリイミド膜などの絶縁性有機膜を形成する。次に、この絶縁性有機膜を異方性エッチングによってエッチバックする。この際、電極上面では被着した絶縁性有機膜を全て除去して電極上面を露出させる一方、その他の部分では絶縁性有機膜を除去してしまわず、パッシベーション膜として残し、この絶縁性有機膜の上に配線などを形成する。
このHBTでは、特許文献1について記した、厚い絶縁性有機膜で被覆することによる問題は生じない。しかし、パッシベーション性能や熱伝導性能が無機膜に比べて劣っている絶縁性有機膜のみでパッシベーション膜を形成した場合、例えば、絶縁性有機膜を透過して侵入する水分などの影響や、動作時の放熱不足などによって、HBTの信頼性が低下することが懸念される。
一方、後述の特許文献3には、コレクタ層の面積を縮小して寄生コレクタ容量を低減し、高周波特性を改善する目的で有機膜を形成するHBTの例及びその製造方法が提案されている。
図16は、特許文献3に示されているHBT200の断面図である。HBT200を作製するには、例えば、ガリウム砒素GaAsからなる半絶縁性基板201の上に、エピタキシャル成長法によって、n+型ガリウム砒素からなるサブコレクタ層202、インジウムガリウム砒素からなるエッチング停止層203、n-型ガリウム砒素からなるコレクタ層204、p+型ガリウム砒素からなるベース層205、n-型インジウムガリウム砒素からなる半導体保護層206、n-型アルミニウムガリウム砒素AlGaAsからなるエミッタ層207、n+型ガリウム砒素からなる第1エミッタコンタクト層208、およびn+型インジウムガリウム砒素からなる第2エミッタコンタクト層209を積層して形成した後、メサ形状に加工する。
この際、半導体保護層206の下部のベース層205とコレクタ層204とをアンダーカットして、半導体保護層206の端部がベース層205とコレクタ層204の端面より薄板状に突き出た形状を形成し、半導体保護層206にベース電極212を形成する。このようにすると、ベース・コレクタメサに直接ベース電極を設ける場合に比べて、上記アンダーカットを行った分だけコレクタ層の面積を縮小することができ、寄生コレクタ容量を低減してHBTの高周波特性を改善することができる。
そして、上記アンダーカットで生じた凹部には、ポリイミドなどからなる絶縁性有機膜221を充填して半導体保護層206の機械的強度を補い、製造歩留まりを向上させる。また、機械的強度をさらに高めるために、有機膜221の表面を窒化シリコンなどの絶縁性無機膜222で被覆するのもよい。
この場合、絶縁性有機膜221を設ける主たる目的は異なっているものの、ベース層205とコレクタ層204との接合の端面が絶縁性有機膜221で被覆されるため、結果的に絶縁性有機膜221には接合端面におけるリーク電流を抑える効果もあると考えられる。実際、特許文献3には、コレクタ電極、エミッタ電極及び/又はベース電極の一部を露出させるようにパターニングして電気的な接続を確保しながら、絶縁性有機膜221をHBT200の全面を被覆するように形成してもよいと記載されている。
しかしながら、絶縁性有機膜をパッシベーション膜として用いる場合には、特許文献2の場合と同様、パッシベーション性能や熱伝導性能が無機膜に比べて劣り、例えば、絶縁性有機膜を透過して侵入する水分などの影響や、動作時の放熱不足などによって、HBTの信頼性が低下することが懸念される。
特開2001−77204号公報(第2−4頁、図1) 特開平6−267969号公報(第3−5頁、図1−5) 特開2003−163218号公報(第2、3及び5−7頁、図1−)
以上に説明したように、ヘテロ接合半導体装置では、パッシベーション膜として優れる緻密な窒化シリコン膜や酸化シリコン膜をプラズマCVD法で形成すると、プラズマによるダメージが接合の端面の半導体層に生じ、かえって表面リーク電流は増大し、素子特性を著しく劣化させることになる。また、絶縁性有機膜でパッシベーション膜を形成した場合、パッシベーション性能や熱伝導性能が無機膜に比べて劣っているため、絶縁性有機膜を透過して侵入する水分などの影響や、動作時の放熱不足などによって、ヘテロ接合半導体装置の信頼性が低下することが懸念される。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、半導体層間の接合の端面におけるリーク電流を抑え、かつ、水分の侵入や放熱不足の問題を解消できるパッシベーション膜を備えたヘテロ接合半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
即ち、本発明は、サブコレクタ層、コレクタ層、ベース層及びエミッタ層が、この順で基体上に積層されてなるヘテロ接合半導体装置において、
前記エミッタ層と前記ベース層との接合の端部、及び前記ベース層と前記コレクタ層 との接合の端部が、絶縁性有機膜によってそれぞれ被覆され、
前記サブコレクタ層の上面を含んでこれより上部が無機パッシベーション膜によって 被覆され、
前記無機パッシベーション膜の所定の位置にコンタクト開口部が形成され、このコン タクト開口部に電極が被着されている
ことを特徴とする、ヘテロ接合半導体装置に係わり、また、このヘテロ接合半導体装置の製造方法であって、
前記基体上に前記サブコレクタ層、前記コレクタ層、前記ベース層及び前記エミッタ 層を、この順で積層して形成する工程と、
前記エミッタ層と前記ベース層との接合の端部、及び前記ベース層と前記コレクタ層 との接合の端部を、前記絶縁性有機膜によってそれぞれ被覆する工程と、
前記サブコレクタ層の上面を含んでこれより上部を無機パッシベーション膜によって 被覆する工程と、
前記無機パッシベーション膜の所定の位置にコンタクト開口部を形成する工程と、
前記コンタクト開口部に電極を被着する工程と
を有する、ヘテロ接合半導体装置の製造方法に係わるものである。
本発明のヘテロ接合半導体装置は、サブコレクタ層、コレクタ層、ベース層及びエミッタ層が、この順で基体上に積層されてなるヘテロ接合半導体装置であって、前記エミッタ層と前記ベース層との接合の端部、及び前記ベース層と前記コレクタ層との接合の端部が、絶縁性有機膜によってそれぞれ被覆されているので、リーク電流の少ないヘテロ接合半導体装置を実現できる。
更に、前記サブコレクタ層の上面を含んでこれより上部が、例えばプラズマCVD法(プラズマ化学気相成長法)によって形成される緻密な窒化シリコン膜などの無機パッシベーション膜によって被覆されているので、水分の侵入などを防止することができ、信頼性に優れたヘテロ接合半導体装置を実現できる。また、前記無機パッシベーション膜は熱伝導性に優れているので、放熱が容易であり、この点からも信頼性が向上する。なお、本発明のヘテロ接合半導体装置では、前記エミッタ層と前記ベース層との接合の端部、及び前記ベース層と前記コレクタ層との接合の端部は前記絶縁性有機膜によって被覆されているので、プラズマCVD法で窒化シリコン膜などを形成しても、プラズマによるダメージが半導体層間の接合部に生じて表面リーク電流が増大することがない。
そして、前記無機パッシベーション膜の所定の位置にコンタクト開口部が形成され、このコンタクト開口部に電極が被着されているので、前記絶縁性有機膜にコンタクトホールを形成する煩雑さがなく、前記無機パッシベーション膜上に受動素子などを形成すれば、抵抗素子などの受動素子からの放熱を容易に行うことができる。
本発明のヘテロ接合半導体装置の製造方法は、前記ヘテロ接合半導体装置を歩留まりよく製造することを可能にするヘテロ接合半導体装置の製造方法である。
本発明のヘテロ接合半導体装置及びその製造方法において、前記エミッタ層がメサ形状に加工され、前記ベース層と前記コレクタ層とがメサ形状に加工され、前記エミッタ層からなるエミッタメサの端面と前記ベース層との界面、及び前記ベース層と前記コレクタ層とからなるベース・コレクタメサの端面における、前記ベース層と前記コレクタ層との界面に、前記絶縁性有機膜がそれぞれ形成されているのがよい。
具体的には、
エミッタキャップ層の端面より内方位置に前記エミッタ層の端面が形成され、ひさし 状に突き出た前記エミッタキャップ層の下面と、前記エミッタ層の端面と、前記ベース 層の表面とによって囲まれる第1凹部が形成され、
前記ベース層の端面より内方位置に前記コレクタ層の端面が形成され、ひさし状に突 き出た前記ベース層の下面と、前記コレクタ層の端面と、前記サブコレクタ層の表面と によって囲まれる第2凹部が形成され、
前記第1凹部及び前記第2凹部に前記絶縁性有機膜がそれぞれ形成されているのがよ い。
この際、前記第1凹部が前記エミッタ層のアンダーカットにより形成され、前記第2凹部が前記コレクタ層のアンダーカットにより形成されているのがよい。具体的には、前記エミッタ層及び前記コレクタ層がインジウム燐結晶からなり、前記インジウム燐結晶の(010)面と等価な結晶面のエッチングによって前記第1凹部及び前記第2凹部がそれぞれ形成されているのがよい。
そして、前記第1凹部及び前記第2凹部を形成した後、全面に感光性の絶縁性有機材料層を形成し、露光及び現像処理によって前記第1凹部及び前記第2凹部に前記絶縁性有機膜を残すのがよい。
上記のように前記第1凹部及び前記第2凹部に前記絶縁性有機膜を形成すると、これらの凹部の奥行きによって前記絶縁性有機膜の厚さを正確に制御できるメリットがある。また、前記絶縁性有機膜が複数の面で半導体層に接触することや、接触面積が大きくなることから、前記絶縁性有機膜と半導体層との密着性がよくなり、剥離などが起こりにくくなるので、信頼性が向上する。
更に、前記第1凹部及び前記第2凹部に前記絶縁性有機膜を形成した後、全面に別の絶縁性有機材料層を形成し、エッチバックして、前記絶縁性有機膜の側面にサイドウオールとして別の絶縁性有機膜を残すのがよい。このようにサイドウオールとして形成した別の絶縁性有機膜を併用して、パッシベーション性能などを更に向上させることができる。
また、別の具体的な実施形態として、前記メサ形状の加工後に、全面に絶縁性有機材料層を形成し、エッチバックして、前記エミッタメサの端面と前記ベース層との界面、及び前記ベース・コレクタメサの端面における前記ベース層と前記コレクタ層との界面に、サイドウオールとして前記絶縁性有機膜がそれぞれ形成されているのがよい。
上記のようにサイドウオールとして前記絶縁性有機膜を形成すると、前記凹部に前記絶縁性有機膜を形成する場合に比べて前記絶縁性有機膜の厚さの制御は難しくなるが、少ない工程数で前記絶縁性有機膜を形成できるメリットがある。また、絶縁性有機材料は感光性である必要はないので、材料選択の自由度が大きくなる。
上記の2つの実施形態において、前記絶縁性有機材料層の前記現像処理後又は前記エッチバック後に、前記絶縁性有機材料層を硬化処理して、前記絶縁性有機膜を形成するのがよい。この際、前記硬化処理後に、少なくともベース電極を形成するのがよい。このようにすると、ベース電極が前記硬化処理の影響を受けることはないので、硬化処理温度が400℃以上になってもよく、前記感光性の絶縁性有機材料が制約されにくい。例えば、硬化処理温度が350℃程度と高いが、感光感度の高い感光性ポリイミドを用いることができる。一方、前記硬化処理前に少なくともベース電極を形成してもよいが、この場合にはベース電極が前記硬化処理の影響を受け、例えば280℃より高い温度で前記硬化処理を行うと、半導体とベース電極金属との熱膨張率の違いによって、半導体中に歪層が形成されるおそれがある。従って、ベース電極を構成する金属の拡散温度、例えば280℃以下の温度で前記硬化処理を行うようにする必要がある。このため、前記感光性の絶縁性有機材料が制約され、例えば、硬化処理温度が220℃程度と低いベンゾシクロブテン(BCB)に感光剤を含有させた材料を用いる必要がある。
ここで特にベース電極の形成順序を取り上げるのは、ベース層が薄いため、ベース電極を構成する金属の拡散の影響を最も受けやすいからである。エミッタ電極では、下部のエミッタキャップ層やエミッタ層が比較的厚いので、メタル拡散の影響はない。コレクタ電極も同様である。なお、電極の材料としては、電極が接する半導体層とオーミック接触を形成できる材料、例えば、チタン、白金および金がこの順に積層されたTi/Pt/Auの3層構造を用いるのがよい。このような積層構造にすることで、下地の半導体層に対する密着性とオーミック接触性を実現することができる。
また、前記基体が化合物半導体からなるのがよく、更に具体的には、前記基体がインジウム燐InP又はガリウム砒素GaAsからなるのがよい。インジウム燐又はガリウム砒素は3−5族化合物半導体に好適に用いられる代表的な基板材料である。とくに、インジウム燐からなる下層の化合物半導体層と、このインジウム燐層に格子整合する上層の化合物半導体層とによって形成すれば、インジウム燐の格子定数が大きいため、インジウムの割合が大きいインジウムガリウム砒素層と格子整合をとることができ、動作速度の高速化に適している。
この場合、前記構成材料層が化合物半導体からなるへテロ接合バイポーラトランジスタとして構成されているのがよい。この際、このへテロ接合バイポーラトランジスタは、NPN型であるのがよい。NPN型は動作の高速性に優れた構造である。しかし、NPN型に限定するものではなく、増幅率の大きさを重視するのであればPNP型がよい。
但し、本発明のヘテロ接合半導体装置の機能はトランジスタに限るものではなく、例えば、構成要素はバイポーラトランジスタと同じであっても、動作としてダイオード的な機能や、単純な抵抗や容量としての機能を利用するものであってよい。
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に具体的かつ詳細に説明する。
実施の形態1
実施の形態1では、主として請求項1〜5に記載したヘテロ接合半導体装置と、請求項13〜18および21に記載したヘテロ接合半導体装置の製造方法とに関わる例として、InP系ヘテロ接合バイポーラトランジスタおよびその製造方法について説明する。
図1は、実施の形態1に基づくヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)10の構造を示す断面図である。
HBT10では、分子線エピタキシー法(MBE法)や有機金属気相成長法(MOCVD法)を用いたエピタキシャル成長法によって、半絶縁性基板1の上に、サブコレクタ層2、コレクタ層3、ベース層4、エミッタ層5、およびエミッタキャップ層6が順次積層されている。
HBT10の一例を挙げれば、HBT10はNPN型のHBTであって、インジウム燐InPからなる半絶縁性基板1の上に、n+型インジウムガリウム砒素InGaAs層からなるサブコレクタ層2、n-型インジウム燐層からなるコレクタ層3、p+型インジウムガリウム砒素層からなるベース層4、n型インジウム燐層からなるエミッタ層5、そしてn+型インジウムガリウム砒素層からなるエミッタキャップ層6が順次積層して形成されている。各半導体層の厚さは、例えば、サブコレクタ層2が200nm程度、コレクタ層3が500nm程度、ベース層4が50nm程度、エミッタ層5が70nm程度、およびエミッタキャップ層6が150nm程度である。
但し、各層の材料や不純物濃度や膜厚は、上記の例に限定されるものではない。また、エネルギーバンドの不連続を解消するために、組成傾斜してグレーデッド層とした薄い層などが挿入されている構造についても、本実施の形態に含まれるものとする。
エミッタキャップ層6とエミッタ層5は、フォトリソグラフィとエッチングとによってメサ形状に加工され、エミッタメサを形成し、ベース層4とコレクタ層3も同様にメサ形状に加工され、ベース・コレクタメサを形成している。各メサの端部では、下層の端面が上層の端面より内方位置にあり、上層が下層より0.3〜1.0μmほどひさし状に突き出た、アンダーカット状の形状が形成されている。ひさしが大き過ぎると薄いベース層4が破損する危険が増大し、逆にひさしが小さ過ぎると、感光性の絶縁性有機膜がひさしの下部に残らなくなる可能性があるので、ひさしは上記程度の大きさがよい。
そして、ひさし状に突き出たエミッタキャップ層6の下面と、エミッタ層5の端面と、ベース層4の表面とによって囲まれる前記第1凹部である凹部11が形成され、ひさし状に突き出たベース層4の下面と、コレクタ層3の端面と、サブコレクタ層2の表面とによって囲まれる前記第2凹部である凹部12が形成されている。凹部11および凹部12には絶縁性有機膜13および14がそれぞれ形成され、エミッタメサを構成するエミッタ層5の端面とベース層4との界面、およびベース・コレクタメサの端面における、ベース層4とコレクタ層3との界面を被覆しており、表面リーク電流を抑制する働きをしているので、リーク電流の少ないHBTを実現できる。絶縁性有機膜13および14の材料としては、特に限定されるものではないが、ベンゾシクロブテン(BCB)やポリイミドなどが適している。
上記のように凹部11および凹部12に絶縁性有機膜13および14を形成すると、これらの凹部の奥行きによって絶縁性有機膜の厚さを正確に制御できるメリットがある。また、絶縁性有機膜が複数の面で半導体層に接触することや、接触面積が大きくなることから、絶縁性有機膜と半導体層との密着性がよくなり、剥離などが起こりにくくなるので、信頼性が向上する。
また、サブコレクタ層2の上面を含んでこれより上部の半導体層3〜6は、無機パッシベーション膜15によって被覆され、無機パッシベーション膜15の所定の位置にコンタクト開口部が形成され、このコンタクト開口部に電極7〜9が被着されている。無機パッシベーション膜15の材料としては、特に限定されるものではないが、例えばプラズマCVD法によって形成される緻密な窒化シリコン膜などが適しており、これを例えば300nm程度の厚さに形成するのがよい。これにより、水分の侵入などを防止することができ、信頼性に優れたヘテロ接合半導体装置を実現できる。また、無機パッシベーション膜15は熱伝導性に優れているので、放熱が容易であり、この点からも信頼性が向上する。本実施の形態によれば、エミッタ層5の端面とベース層4との界面、およびベース層4とコレクタ層3との界面は絶縁性有機膜13および14によって被覆されているので、プラズマCVD法で窒化シリコンを形成しても、プラズマによるダメージが半導体の接合部に生じて表面リーク電流が増大することがない。
電極は、エミッタキャップ層6に接してエミッタ電極9が設けられ、ベース層4に接してベース電極8が設けられ、サブコレクタ層2に接してコレクタ電極7が設けられている。電極7〜9の材料としては、それぞれが接する半導体層とオーミック接触を形成できる材料であればよい。例えば、チタン、白金および金がこの順に積層されたTi/Pt/Auの3層構造などからなるのがよく、各層の厚さを、それぞれ、50nm/50nm/200nmとするのがよい。このような積層構造にすることで、下地の半導体層に対する密着性とオーミック接触性を実現できる。
なお、インジウムガリウム砒素系の半導体層では、ガリウム砒素基板も用いることができるが、ここでインジウム燐基板を用いるのは、HBT10の動作速度の高速化を重視したためである。すなわち、インジウムガリウム砒素系の半導体層では、ガリウムに比べてインジウムの割合が大きい方が、電子移動度が大きくなる。この場合、インジウムのイオン半径が大きいため、格子定数が0.56nmであるガリウム砒素基板は適合せず、格子定数が0.58nmとより大きいインジウム燐基板が適合する。このため、インジウム燐基板を用いることで、動作速度の大きいインジウムガリウム砒素系半導体のエピタキシャル成長層を、欠陥少なく形成することができる。インジウムの割合が小さい場合には、ガリウム砒素基板を好適に用いることができる。
図2〜図4は、実施の形態1に基づくHBT10の作製工程のフローを示す断面図である。
まず、図2(a)に示すように、半絶縁性基板1としてインジウム燐InP基板を用意する。その上に、MBE法またはMOCVD法を用いたエピタキシャル成長法によって、サブコレクタ構成材料層22、コレクタ構成材料層23、ベース構成材料層24、エミッタ構成材料層25、そしてエミッタキャップ構成材料層26を形成する。
各層の詳細は次の通りである。すなわち、サブコレクタ構成材料層22はn+型インジウムガリウム砒素層で、厚さ200nmである。コレクタ構成材料層23はn-型インジウム燐層で、厚さ500nmである。ベース構成材料層24はp+型インジウムガリウム砒素層で、厚さ50nmである。エミッタ構成材料層25はn型インジウム燐層で、厚さ70nmである。エミッタキャップ構成材料層26はn+型インジウムガリウム砒素層で、厚さ150nmである。
次に、図2(b)に示すように、フォトレジスト51をパターニングして形成し、このフォトレジスト51をマスクとしてエミッタキャップ構成材料層26とエミッタ構成材料層25とを選択的にエッチングして、エミッタキャップ層6とエミッタ層5からなるエミッタメサを形成する。この際、サイドエッチングが生じにくく、正確な形状に微細加工できる、反応性イオンエッチング(RIE)などの異方性エッチングによってエミッタメサを形成し、形成されるメサの側壁面が基板面に対してできるだけ垂直に近くなるように、メサを加工するのがよい。
次に、図2(c)に示すように、フォトレジスト52をパターニングして形成し、このフォトレジスト52をマスクとしてベース構成材料層24とコレクタ構成材料層23とを選択的にエッチングして、ベース層4およびコレクタ層3からなるからなるベース・コレクタメサを形成する。この際も上記と同じ理由で、RIEなどを用いた異方性エッチングによって、ベース・コレクタメサの側壁面が基板面に対してできるだけ垂直に近くなるように、メサを加工するのがよい。
次に、図2(d)に示すように、エミッタ層5およびコレクタ層3とを構成するインジウム燐層をウェットエッチングして、エミッタキャップ層6およびベース層4の下部にそれぞれアンダーカットを入れ、前記第1凹部である凹部11および前記第2凹部である凹部12を形成する。この際、インジウム燐結晶の(010)面と等価な結晶面のエッチングによって凹部11および凹部12を形成するようにすれば、(100)面などをエッチングするより4〜5倍程度すみやかにエッチングできるので、所望通りの形状の、大きなアンダーカットを入れることができる。凹部11および凹部12の奥行きは0.3〜1.0μm程度がよい。
上記のように、反応性イオンエッチング(RIE)などのドライエッチングとウェットエッチングとを組み合わせることによって、容易に正確な形状の凹部11および凹部12を形成することができる。ただし、ウェットエッチングのみで凹部11および凹部12を形成することもできる。この場合、ドライエッチングに比べるとサイドエッチングが進みやすくなるので、エミッタメサおよびベース・コレクタメサを形成するマスクとして、フォトレジスト51および52よりやや大きいフォトレジストマスクをそれぞれ形成するのがよい。
次に、図3(e)に示すように、全面にスピンコーティング法などによって感光性の絶縁性有機材料層27を形成した後、全面を露光する。凹部11および12に充填された感光性の絶縁性有機材料層27は上部のエミッタキャップ層6およびベース層4に遮られて露光されない。
次に、図3(f)に示すように、現像処理を行って露光された絶縁性有機材料層27を除去し、凹部11および12に充填された未露光の絶縁性有機材料層27のみを残す。現像処理後、全体を硬化処理温度に加熱して、残った絶縁性有機材料層27を硬化させる。これにより、エミッタ層5とベース層4との接合の端部、およびベース層4とコレクタ層3との接合の端部を、絶縁性有機膜13および14によってそれぞれ被覆することができる。
感光性の絶縁性有機材料としては、特に限定されるものではないが、感光剤を含んだBCBや、感光性ポリイミドなどが適している。本作製工程では、絶縁性有機膜13および14を形成した後に電極7〜9を形成するので、電極7〜9が絶縁性有機材料層27の硬化処理の影響を受けることはない。従って、硬化処理温度が400℃以上になってもよく、感光性の絶縁性有機材料が制約されにくい。このため、硬化処理温度が350℃程度と高いが、感光感度の高い感光性ポリイミドを用いることができる。
次に、図3(g)に示すように、全面にプラズマCVD法などによって窒化シリコンなどの無機パッシベーション膜15を、例えば300nm程度の厚さに形成する。さらに、この上にフォトリソグラフィとエッチングによってパターニングして、無機パッシベーション膜15に形成するコンタクト開口部16に対応した開口を有するフォトレジスト53を形成する。本実施の形態によれば、エミッタ層5の端面とベース層4との界面、およびベース層4とコレクタ層3との界面は絶縁性有機膜13および14によって被覆されているので、プラズマCVD法で窒化シリコンを形成しても、プラズマによるダメージが半導体層間の接合部に生じて表面リーク電流が増大することがない。
次に、図3(h)に示すように、フォトレジスト53をマスクとして無機パッシベーション膜15を選択的にエッチングして、開口部16を形成する。
次に、図4(i)および(j)に示すように、リフトオフ法によって、コレクタ電極7、ベース電極8、エミッタ電極9の各電極を形成する。すなわち、まず、図4(i)に示すように、蒸着などによって全面に、例えばチタン、白金および金がこの順に積層されたTi/Pt/Auの3層構造からなる電極材料層17を、各層の厚さが例えば50nm/50nm/200nmになるように形成する。次に、フォトレジスト53を除去することにより、その上に堆積した電極材料層17を除去して、コレクタ電極7、ベース電極8およびエミッタ電極9となる電極材料層17のみを残す。電極を上記のような積層構造にすることで、下地の半導体層に対する密着性とオーミック接触性とを実現することができる。
次に、図4(k)に示すように、フォトレジスト54をパターニングして形成し、このフォトレジスト54をマスクとしてサブコレクタ構成材料層22を選択的にエッチングして、サブコレクタ層2からなるサブコレクタメサを形成し、素子間の分離(アイソレーション)を行う。
次に、フォトレジスト54を除去し、図1に示したHBT10を形成する。この後、引き続いて、配線工程などの後工程を行う。
図5は、実施の形態1の変形例に基づくHBT20の構造を示す断面図であり、図6〜図8は、HBT20の作製工程のフローを示す断面図である。なお、図5〜図8では、機能が図1〜図4に示したものと同じ半導体層や電極は、多少形状が変わっていても、図1〜図4と同じ番号で示している。
図5に示すHBT20では、電極7〜9を形成した後に絶縁性有機膜13および14を形成する。この場合には、電極7〜9が絶縁性有機材料層27の硬化処理温度に曝され、例えば280℃より高い温度で硬化処理を行うと、半導体とベース電極金属との熱膨張率の違いによって、半導体中に歪層が形成されるおそれがある。従って、ベース電極8を構成する金属の拡散温度、例えば280℃以下の温度で硬化処理を行うようにする必要がある。このため、感光性の絶縁性有機材料が制約され、例えば、硬化処理温度が220℃程度と低いベンゾシクロブテン(BCB)に感光剤を含有させた材料を用いる必要がある。
また、作製順を反映して、HBT20の無機パッシベーション膜15の電極7〜9近傍の形状は、HBT10の無機パッシベーション膜15と少し異なっている。それ以外にはHBT10と本質的な違いはないので、以下、HBT20の作製工程を、HBT10の作製工程との相違点に重点をおいて図6〜図8を用いて説明する。
まず、図6(a)に示すように、インジウム燐からなる半絶縁性基板1の上に、MBE法またはMOCVD法を用いたエピタキシャル成長法によって、サブコレクタ構成材料層22、コレクタ構成材料層23、ベース構成材料層24、エミッタ構成材料層25、そしてエミッタキャップ構成材料層26を形成する。各層の詳細は前述した通りである。
その上に、さらに、フォトリソグラフィとエッチングによってパターニングして、エミッタ電極9に対応した開口を有するフォトレジスト55を形成した後、蒸着などによって全面に、例えばチタン、白金および金がこの順に積層されたTi/Pt/Auの3層構造からなる電極材料層17を形成する。
次に、図6(b)に示すように、フォトレジスト55を除去することにより、その上に堆積した電極材料層17を除去して、エミッタ電極9となる電極材料層17のみを残し、リフトオフ法によってエミッタ電極9を形成する。
次に、図6(c)に示すように、フォトレジスト56をパターニングして形成し、このフォトレジスト56をマスクとしてエミッタキャップ構成材料層26とエミッタ構成材料層25とを選択的にエッチングして、エミッタキャップ層6とエミッタ層5からなるエミッタメサを形成する。この際、RIEなどの異方性エッチングによってエミッタメサを形成し、エミッタメサの側壁面が基板面に対してできるだけ垂直に近くなるようにする。
次に、図6(d)に示すように、フォトレジスト57をパターニングして形成し、このフォトレジスト57をマスクとしてベース構成材料層24とコレクタ構成材料層23とを選択的にエッチングして、ベース層4およびコレクタ層3からなるからなるベース・コレクタメサを形成する。この際も上記と同じ理由で、RIEなどを用いた異方性エッチングによって加工する。
次に、図7(e)に示すように、エミッタ電極9と同様に、リフトオフ法によってベース電極8およびコレクタ電極7を形成する。
次に、図7(f)に示すように、エミッタ層5およびコレクタ層3とを構成するインジウム燐層をウェットエッチングして、エミッタキャップ層6およびベース層4の下部にそれぞれアンダーカットを入れ、凹部11および凹部12を形成する。この際、インジウム燐結晶の(010)面と等価な結晶面のエッチングによって凹部11および凹部12を形成するのがよい。凹部11および凹部12の奥行きは0.3〜1.0μm程度がよい。
次に、図7(g)に示すように、全面に感光性の絶縁性有機材料層27を形成した後、全面を露光する。凹部11および12に充填された感光性の絶縁性有機材料層27は上部のエミッタキャップ層6およびベース層4に遮られて露光されない。
次に、図7(h)に示すように、現像処理を行って露光された絶縁性有機材料層27を除去し、凹部11および12に充填された未露光の絶縁性有機材料層27のみを残す。現像処理後、全体を硬化処理温度に加熱して、絶縁性有機材料層27を硬化させる。これにより、エミッタ層5とベース層4との接合の端部、およびベース層4とコレクタ層3との接合の端部を、絶縁性有機膜13および14によってそれぞれ被覆することができる。
本変形例に基づくHBT20の作製工程では、電極7〜9を形成した後に絶縁性有機膜13および14を形成するので、電極7〜9が絶縁性有機材料層27の硬化処理の影響を受ける。例えば280℃より高い温度で硬化処理を行うと、薄いベース層4と接しているベース電極8では、半導体と電極金属との熱膨張率の違いによって、半導体中に歪層が形成されるおそれがある。従って、ベース電極8を構成する金属の拡散温度、例えば280℃以下の温度で絶縁性有機材料層27の硬化処理を行うようにする必要がある。このため、感光性の絶縁性有機材料が制約され、例えば、硬化処理温度が220℃程度と低いベンゾシクロブテン(BCB)に感光剤を含有させた材料を用いる必要がある。感光感度は高いが、硬化処理温度が350℃程度と高い感光性ポリイミドは用いることができない。
次に、図8(i)に示すように、全面にプラズマCVD法などによって窒化シリコンなどの無機パッシベーション膜15を、例えば300nm程度の厚さに形成する。本実施の形態の変形例においても、エミッタ層5の端面とベース層4との界面、およびベース層4とコレクタ層3との界面は絶縁性有機膜13および14によって被覆されているので、プラズマCVD法で窒化シリコンを形成しても、プラズマによるダメージが半導体層間の接合部に生じて表面リーク電流が増大することがない。
次に、図8(j)に示すように、コンタクト開口部16に対応した開口を有するフォトレジスト(図示省略)を無機パッシベーション膜15の上に形成し、このフォトレジストをマスクとして無機パッシベーション膜15を選択的にエッチングして、無機パッシベーション膜15に開口部16を形成する。
次に、図8(k)に示すように、フォトレジスト58をパターニングして形成し、このフォトレジスト58をマスクとしてサブコレクタ構成材料層22を選択的にエッチングして、サブコレクタ層2からなるサブコレクタメサを形成し、素子間の分離(アイソレーション)を行う。
次に、フォトレジスト58を除去し、図5に示したHBT20を形成する。この後、引き続いて、配線工程などの後工程を行う。
以上に説明したように、本実施の形態によれば、エミッタメサおよびベース・コレクタメサの端部に、それぞれ、エミッタキャップ層6の下面と、エミッタ層5の端面と、ベース層4の表面とによって囲まれる凹部11、およびベース層4の下面と、コレクタ層3の端面と、サブコレクタ層2の表面とによって囲まれる凹部12を形成し、これらの凹部にそれぞれ絶縁性有機膜13および14を形成する。これらの絶縁性有機膜によってエミッタ層5の端面とベース層4との界面、およびベース層4とコレクタ層3との界面をそれぞれ被覆し、表面リーク電流を抑制するので、リーク電流の少ないHBTを実現できる。
凹部11および凹部12に絶縁性有機膜13および14を形成すると、これらの凹部の奥行きによって絶縁性有機膜の厚さを正確に制御できるメリットがある。また、絶縁性有機膜が複数の面で半導体層に接触することや、接触面積が大きくなることから、絶縁性有機膜と半導体層との密着性がよくなり、剥離などが起こりにくくなるので、信頼性が向上する。
また、サブコレクタ層2の上面より上部の半導体層2〜6を、無機パッシベーション膜15によって被覆し、そのコンタクト開口部に電極7〜9を形成する。無機パッシベーション膜15として、例えばプラズマCVD法によって形成される緻密な窒化シリコン膜などを用いることで水分の侵入などを防止するなど、既存のパッシベーション技術を応用して信頼性に優れたHBTを実現できる。また、無機パッシベーション膜15は熱伝導性に優れているので、放熱が容易であり、この点からも信頼性が向上する。本実施の形態によれば、エミッタ層5の端面とベース層4との界面、およびベース層4とコレクタ層3との界面は絶縁性有機膜13および14によって被覆されているので、プラズマCVD法で窒化シリコンを形成しても、プラズマによるダメージが半導体の接合部に生じて表面リーク電流が増大することがない。
絶縁性有機膜をメサ端部の微小部分にだけ用い、その上および他の部分は無機パッシベーション膜で被覆するため、信頼性に優れたHBTを実現することができる。また、各電極上に絶縁性有機膜がないため、絶縁性有機膜にコンタクトホールを形成する煩雑さがなく、また、無機パッシベーション膜上に受動素子などを形成することができるため、受動素子(抵抗素子)からの放熱に有利である。
なお、本実施の形態では、ウェットエッチングのエッチングレートの結晶方位依存性を利用して、効果的にアンダーカット部を形成できるインジウム燐系HBTを例に説明したが、これに限定されるものではないのは当然である。
実施の形態2
実施の形態2では、主として請求項1、2および7に記載したヘテロ接合半導体装置と、請求項13、14、20および21に記載したヘテロ接合半導体装置の製造方法とに関わる例として、InP系ヘテロ接合バイポーラトランジスタおよびその製造方法について説明する。
本実施の形態は、エミッタメサの端面とベース層との界面、及びベース・コレクタメサの端面におけるベース層とコレクタ層との界面を被覆する絶縁性有機膜が、それぞれ、サイドウオールとして形成されていることが実施の形態1との相違点である。それ以外には実施の形態1と本質的な違いはないので、以下、実施の形態1との相違点に重点を置き、図9〜図11を用いて説明する。なお、図9〜図11では、機能が実施の形態1と同じ半導体層や電極は、多少形状が変わっていても、実施の形態1と同じ番号で指示している。
図9は、実施の形態2に基づくヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)30の構造を示す断面図である。
HBT30では、MBE法やMOCVD法を用いたエピタキシャル成長法によって、半絶縁性基板1の上に、サブコレクタ層2、コレクタ層3、ベース層4、エミッタ層5、およびエミッタキャップ層6が順次積層されている。
HBT30の一例を挙げれば、HBT10はNPN型のHBTであって、インジウム燐からなる半絶縁性基板1の上に、n+型インジウムガリウム砒素層からなるサブコレクタ層2、n-型インジウム燐層からなるコレクタ層3、p+型インジウムガリウム砒素層からなるベース層4、n型インジウム燐層からなるエミッタ層5、そしてn+型インジウムガリウム砒素層からなるエミッタキャップ層6が順次積層して形成されている。各半導体層の厚さは、例えば、クタ層2が200nm程度、コレクタ層3が500nm程度、ベース層4が50nm程度、エミッタ層5が70nm程度、およびエミッタキャップ層6が150nm程度である。
エミッタキャップ層6とエミッタ層5は、フォトリソグラフィとエッチングとによってメサ形状に加工され、エミッタメサを形成し、ベース層4とコレクタ層3も同様にメサ形状に加工され、ベース・コレクタメサを形成している。
そして、各メサの端部側面には、サイドウオールとして絶縁性有機膜33および34がそれぞれ形成され、エミッタメサを構成するエミッタ層5の端面とベース層4との界面、およびベース・コレクタメサの端面における、ベース層4とコレクタ層3との界面を被覆しており、表面リーク電流を抑制する働きをしているので、リーク電流の少ないHBTを実現できる。絶縁性有機膜33および34の材料としては、特に限定されるものではないが、ベンゾシクロブテン(BCB)やポリイミドなどが適している。なお、絶縁性有機膜33が被覆するべきエミッタ層5の端面とベース層4との界面は、絶縁性有機膜33の下底部のかどにあり、絶縁性有機膜33はこの部分を被覆すれば十分であるので、絶縁性有機膜33の形状はサイドウオール状である必要はない。
上記のようにサイドウオールとして絶縁性有機膜33および34を形成すると、これらの絶縁性有機膜の厚さの制御は凹部11および12に形成する場合に比べて難しくなるが、少ない工程数で絶縁性有機膜を形成できるメリットがある。
また、サブコレクタ層2の上面を含んでこれより上部の半導体層3〜6は、無機パッシベーション膜15によって被覆され、コンタクト開口部に電極7〜9が被着されている。無機パッシベーション膜15の材料としては、特に限定されるものではないが、例えばプラズマCVD法によって形成される緻密な窒化シリコン膜などが適しており、これを例えば300nm程度の厚さに形成するのがよい。これにより、水分の侵入などを防止することができ、信頼性に優れたヘテロ接合半導体装置を実現できる。また、無機パッシベーション膜15は熱伝導性に優れているので、放熱が容易であり、この点からも信頼性が向上する。本実施の形態によれば、エミッタ層5の端面とベース層4との界面、およびベース層4とコレクタ層3との界面は絶縁性有機膜13および14によって被覆されているので、プラズマCVD法で窒化シリコンを形成しても、プラズマによるダメージが半導体の接合部に生じて表面リーク電流が増大することがない。
電極は、エミッタキャップ層6に接してエミッタ電極9が設けられ、ベース層4に接してベース電極8が設けられ、サブコレクタ層2に接してコレクタ電極7が設けられている。電極7〜9の材料としては、それぞれが接する半導体層とオーミック接触を形成できる材料であればよい。例えば、チタン、白金および金がこの順に積層されたTi/Pt/Auの3層構造などからなるのがよく、各層の厚さを、それぞれ、50nm/50nm/200nmとするのがよい。このような積層構造にすることで、下地の半導体層に対する密着性とオーミック接触性を実現できる。
なお、インジウムガリウム砒素系の半導体層では、ガリウム砒素基板も用いることができるが、ここでインジウム燐基板を用いるのは、HBT10の動作速度の高速化を重視したためである。インジウムの割合が小さい場合には、ガリウム砒素基板を好適に用いることができる。
図10と図11は、実施の形態2に基づくHBT30の作製工程のフローを示す断面図である。
まず、図10(a)に示すように、半絶縁性基板1としてインジウム燐基板を用意する。その上に、MBE法またはMOCVD法を用いたエピタキシャル成長法によって、サブコレクタ構成材料層22、コレクタ構成材料層23、ベース構成材料層24、エミッタ構成材料層25、そしてエミッタキャップ構成材料層26を形成する。各層の詳細は前記した通りである。
次に、図10(b)に示すように、フォトレジスト59をパターニングして形成し、このフォトレジスト59をマスクとしてエミッタキャップ構成材料層26とエミッタ構成材料層25とを選択的にエッチングして、エミッタキャップ層6とエミッタ層5からなるエミッタメサを形成する。この際、サイドエッチングが生じにくく、正確な形状に微細加工できる、反応性イオンエッチング(RIE)などの異方性エッチングによってエミッタメサを形成し、形成されるメサの側壁面が基板面に対してできるだけ垂直に近くなるように、メサを加工するのがよい。これは再現性良くサイドウオールを形成するために重要なことである。
次に、図10(c)に示すように、フォトレジスト60をパターニングして形成し、このフォトレジスト60をマスクとしてベース構成材料層24とコレクタ構成材料層23とを選択的にエッチングして、ベース層4およびコレクタ層3からなるからなるベース・コレクタメサを形成する。この際も上記と同じ理由で、RIEなどを用いた異方性エッチングによって、ベース・コレクタメサの側壁面が基板面に対してできるだけ垂直に近くなるように、メサを加工するのがよい。これは再現性良くサイドウオールを形成するために重要なことである。
次に、図10(d)に示すように、全面にスピンコーティング法などによって絶縁性有機材料層31を形成し、硬化(キュアリング)させる。絶縁性有機材料は感光性である必要はない。
次に、図11(e)に示すように、絶縁性有機材料層31の全面を異方性エッチングであるRIEでエッチバックして、平坦部の絶縁性有機材料層31を除去し、エミッタメサおよびベース・コレクタメサの側面に被着した絶縁性有機材料層31のみを残し、サイドウオールとして絶縁性有機膜33および34を形成する。
絶縁性有機膜33および34をサイドウオールとして形成する場合には、凹部11および12に絶縁性有機膜を形成する場合に比べて絶縁性有機膜の厚さの制御は難しくなるが、少ない工程数で絶縁性有機膜を形成できるメリットがある。また、絶縁性有機材料は感光性である必要はないので、材料選択の自由度が大きくなる。
次に、図11(f)に示すように、全面にプラズマCVD法などによって窒化シリコンなどの無機パッシベーション膜15を、例えば300nm程度の厚さに形成する。さらに、この上に、無機パッシベーション膜15に形成するコンタクト開口部16に対応した開口を有するフォトレジスト60をフォトリソグラフィとエッチングによってパターニングして形成する。本実施の形態によれば、エミッタ層5の端面とベース層4との界面、およびベース層4とコレクタ層3との界面は絶縁性有機膜33および34によって被覆されているので、プラズマCVD法で窒化シリコンを形成しても、プラズマによるダメージが半導体層間の接合部に生じて表面リーク電流が増大することがない。続いて、フォトレジスト60をマスクとして無機パッシベーション膜15を選択的にエッチングして、無機パッシベーション膜15に開口部16を形成する。
次に、図4(i)および(j)と同様にして、図11(g)に示すように、リフトオフ法によって、コレクタ電極7、ベース電極8、エミッタ電極9の各電極を形成する。すなわち、まず、蒸着などによって全面に、例えばチタン、白金および金がこの順に積層されたTi/Pt/Auの3層構造からなる電極材料層17を、各層の厚さが例えば50nm/50nm/200nmになるように形成し、次に、フォトレジスト60を除去することにより、その上に堆積した電極材料層17を除去して、コレクタ電極7、ベース電極8およびエミッタ電極9となる電極材料層17のみを残す。電極を積層構造にすることで、下地の半導体層に対する密着性とオーミック接触性とを実現することができる。
次に、図11(h)に示すように、フォトレジスト61をパターニングして形成し、このフォトレジスト61をマスクとしてサブコレクタ構成材料層22を選択的にエッチングして、サブコレクタ層2からなるサブコレクタメサを形成し、素子間の分離(アイソレーション)を行う。
次に、フォトレジスト61を除去し、図9に示したHBT30を形成する。この後、引き続いて、配線工程などの後工程を行う。
以上に説明したように、本実施の形態によれば、エミッタメサおよびベース・コレクタメサの端部側面のそれぞれに、サイドウオールとして絶縁性有機膜33および34を形成する。これらの絶縁性有機膜によってエミッタ層5の端面とベース層4との界面、およびベース層4とコレクタ層3との界面をそれぞれ被覆し、表面リーク電流を抑制するので、リーク電流の少ないHBTを実現できる。
サイドウオールとして絶縁性有機膜33および34を形成すると、凹部11および12に絶縁性有機膜を形成する場合に比べて絶縁性有機膜の厚さの制御は難しくなるが、少ない工程数で絶縁性有機膜を形成できるメリットがある。また、絶縁性有機材料は感光性である必要はないので、材料選択の自由度が大きくなる。
また、実施の形態1と同様、サブコレクタ層2の上面より上部の半導体層2〜6を、無機パッシベーション膜15によって被覆し、そのコンタクト開口部に電極7〜9を形成する。無機パッシベーション膜15として、例えばプラズマCVD法によって形成される緻密な窒化シリコン膜などを用いることで水分の侵入などを防止するなど、既存のパッシベーション技術を応用して信頼性に優れたHBTを実現できる。また、無機パッシベーション膜15は熱伝導性に優れているので、放熱が容易であり、この点からも信頼性が向上する。本実施の形態によれば、エミッタ層5の端面とベース層4との界面、およびベース層4とコレクタ層3との界面は絶縁性有機膜13および14によって被覆されているので、プラズマCVD法で窒化シリコンを形成しても、プラズマによるダメージが半導体の接合部に生じて表面リーク電流が増大することがない。
絶縁性有機膜をメサ端部の微小部分にだけ用い、その上および他の部分は無機パッシベーション膜で被覆するため、信頼性に優れたHBTを実現することができる。また、各電極上に絶縁性有機膜がないため、絶縁性有機膜にコンタクトホールを形成する煩雑さがなく、また、無機パッシベーション膜上に受動素子などを形成することができるため、受動素子(抵抗素子)からの放熱に有利である。
他の実施の形態
図12は、本発明の他の実施の形態に基づくヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)40の構造を示す断面図である。このHBT40は、実施の形態1に基づくヘテロ接合バイポーラトランジスタであるHBT10の、請求項6に対応した変形例である。
HBT40では、HBT10と同様、分子線エピタキシー法(MBE法)や有機金属気相成長法(MOCVD法)を用いたエピタキシャル成長法によって、半絶縁性基板1の上に、サブコレクタ層2、コレクタ層3、ベース層4、エミッタ層5、およびエミッタキャップ層6が順次積層されている。各層の詳細は実施の形態1で述べた通りである。
そして、エミッタキャップ層6とエミッタ層5は、フォトリソグラフィとエッチングとによってメサ形状に加工され、エミッタメサを形成し、ベース層4とコレクタ層3も同様にメサ形状に加工され、ベース・コレクタメサを形成している。各メサの端部には、実施の形態1と同様、凹部11および凹部12が形成され、凹部11および凹部12には絶縁性有機膜13および14がそれぞれ形成され、エミッタメサを構成するエミッタ層5の端面とベース層4との界面、およびベース・コレクタメサの端面における、ベース層4とコレクタ層3との界面を被覆しており、表面リーク電流を抑制する働きをしている。
本実施の形態では、さらに、凹部11および凹部12に形成された絶縁性有機膜13および14の側面のそれぞれに、実施の形態2で述べた絶縁性有機膜33および34が形成されている。このように二重に絶縁性有機膜を設けることで接合の端部に対する保護作用が確実になり、また絶縁性有機膜の材料選択の自由度が大きくなる。その他は実施の形態1と同様であるので、実施の形態1と同様の作用効果が得られるのは言うまでもない。
実施の形態1に基づき、図1に示したNPN型HBT10を作製した。インジウム燐からなる半絶縁性基板1の上に、MOCVD法を用いたエピタキシャル成長法によって、n+型インジウムガリウム砒素サブコレクタ層2、n-型インジウム燐コレクタ層3、p+型インジウムガリウム砒素ベース層4、n型インジウム燐エミッタ層5、そしてn+型インジウムガリウム砒素エミッタキャップ層6を順次積層して形成した。各半導体層の厚さは、サブコレクタ層2が200nm、コレクタ層3が500nm、ベース層4が50nm、エミッタ層5が70nm、およびエミッタキャップ層6が150nmであった。電極の平面形状は長方形で、大きさはエミッタ電極9とベース電極8とが2μm×10μm、コレクタ電極7が3μm×10μmであった。電極間の距離や電極とメサエッジとの距離は約1μmであった。
絶縁性有機膜13および14は、感光剤を含有したBCBを材料として形成した。また、無機パッシベーション膜としては、プラズマCVD法によって窒化シリコン膜を形成した。
図13は、作製されたHBT10におけるベース・コレクタ間の逆方向リーク電流Icboをベース・コレクタ間逆方向電圧Vcboに対して図示したグラフである。比較例1として、ベース層4とコレクタ層3との接合の端面にパッシベーション膜がないHBT50を作製し、比較例2として、ベース層4とコレクタ層3との接合の端面に、パッシベーション膜としてプラズマCVDによる窒化シリコン膜を直接形成したHBT60を作製し、これらにおける逆方向リーク電流Icboを図13に示した。
図13から、InP系HBTの逆方向リーク電流Icboが最も小さくなるのは、ベース層4とコレクタ層3との接合の端面にパッシベーション膜として何も設けない比較例1の場合であることがわかる。しかし、パッシベーション膜を何も設けない状態では、HBTとしての信頼性を確保することができない。BCB膜をパッシベーション膜として形成した実施例の場合、逆方向リーク電流Icboの劣化はあるものの、許容できる程度に小さい。それに対し、パッシベーション膜としてプラズマCVDによる窒化シリコン膜を直接形成した比較例2の場合、逆方向リーク電流Icboの劣化は許容できない程度に大きく、プラズマによる半導体層のダメージが大きいことを示している。
図14は、水洗後のHBT10におけるベース・コレクタ間の逆方向リーク電流Icboをベース・コレクタ間逆方向電圧Vcboに対して図示したグラフである。比較例3として、ベース層4とコレクタ層3との接合の端面にBCBからなる絶縁性有機膜13および14は形成されているが、それをさらに被覆する無機パッシベーション膜が形成されていないHBT70を作製し、水洗後のHBT70における逆方向リーク電流Icboを図14に示した。
実施例のHBT10の場合、図14と図13との違いは素子による特性のばらつきであって、図14と図13との間に本質的な違いがないことから、窒化シリコン膜で被覆された本実施例のHBT10では、水分を遮断する窒化シリコン膜によって水分の侵入が防止され、高い信頼性が維持されていることがわかる。一方、ベース層4とコレクタ層3との接合の端面がBCBのみで被覆され、それをさらに被覆する無機パッシベーション膜が形成されていない比較例3のHBT70では、水洗によって逆方向リーク電流Icboが異常に大きくなっている。これはBCBが水分を遮断する性能が低く、BCB膜を透過した水分によって接合の端面の逆方向リーク電流が劣化したものと考えられる。このように、本実施例と比較例3との比較は、BCB膜のような有機膜だけでは水分を遮断する性能が不足しており、無機パッシベーション膜と併用することが極めて有効であることを示している。
以上のように、実施例のHBT10によって本発明の作用効果を具体的に確認することができた。
以上、本発明を実施の形態及び実施例に基づいて説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
本発明のヘテロ接合半導体装置及びその製造方法は、種々の電子回路に用いられ、その高速化および高集積化を実現する3−5族化合物半導体によるヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)などの半導体装置及びその製造方法として用いられ、その高信頼性化や高性能化に寄与することができる。
本発明の実施の形態1に基づくHBTの構造を示す断面図である。 同、HBTの作製工程のフローを示す断面図である。 同、HBTの作製工程のフローを示す断面図である。 同、HBTの作製工程のフローを示す断面図である。 本発明の実施の形態1の変形例に基づくHBTの構造を示す断面図である。 同、HBTの作製工程のフローを示す断面図である。 同、HBTの作製工程のフローを示す断面図である。 同、HBTの作製工程のフローを示す断面図である。 本発明の実施の形態2に基づくHBTの構造を示す断面図である。 同、HBTの作製工程のフローを示す断面図である。 同、HBTの作製工程のフローを示す断面図である。 本発明の他の実施の形態に基づくHBTの構造を示す断面図である。 本発明の実施例および比較例1および2のHBTにおいて、ベース・コレクタ間の逆方向リーク電流Icboをベース・コレクタ間逆方向電圧Vcboに対して図示したグラフである。 水洗後の本発明の実施例および比較例3のHBTにおいて、ベース・コレクタ間の逆方向リーク電流Icboをベース・コレクタ間逆方向電圧Vcboに対して図示したグラフである。 従来のメサ構造の積層体からなるHBTの構造の一例をモデル的に示す断面図である。 特許文献3に示されているHBTの断面図である。
符号の説明
1…半絶縁性基板、2…サブコレクタ層、3…コレクタ層、4…ベース層、
5…エミッタ層、6…エミッタキャップ層、7…コレクタ電極、8…ベース電極、
9…エミッタ電極、10…ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)、
11、12…凹部、13、14…絶縁性有機膜、15…無機パッシベーション膜、
16…開口部、17…電極材料層、20…HBT、22…サブコレクタ構成材料層、
23…コレクタ構成材料層、24…ベース構成材料層、25…エミッタ構成材料層、
26…エミッタキャップ構成材料層、27…感光性の絶縁性有機材料層、30…HBT、
31…絶縁性有機材料層、33、34…絶縁性有機膜、40…HBT、
51〜61…フォトレジスト、100…HBT、101…半絶縁性基板、
102…サブコレクタ層、103…コレクタ層、104…ベース層、
105…エミッタ層、106…エミッタキャップ層、110…絶縁性有機膜、
111…コレクタ電極、112…ベース電極、113…エミッタ電極、
121〜123…接続プラグ、121h〜123h…スルーホール、
131〜133…配線電極、200…HBT、201…半絶縁性基板、
202…サブコレクタ層、203…エッチング停止層、204…コレクタ層、
205…ベース層、206…半導体保護層、207…エミッタ層、
208…第1エミッタコンタクト層、209…第2エミッタコンタクト層、
211…コレクタ電極、212…ベース電極、213…エミッタ電極、
221…絶縁性有機膜、222…絶縁性無機膜

Claims (28)

  1. サブコレクタ層、コレクタ層、ベース層及びエミッタ層が、この順で基体上に積層されてなるヘテロ接合半導体装置において、
    前記エミッタ層と前記ベース層との接合の端部、及び前記ベース層と前記コレクタ層 との接合の端部が、絶縁性有機膜によってそれぞれ被覆され、
    前記サブコレクタ層の上面を含んでこれより上部が無機パッシベーション膜によって 被覆され、
    前記無機パッシベーション膜の所定の位置にコンタクト開口部が形成され、このコン タクト開口部に電極が被着されている、
    ことを特徴とする、ヘテロ接合半導体装置。
  2. 前記エミッタ層からなるエミッタメサの端面と前記ベース層との界面、及び前記ベース層と前記コレクタ層とからなるベース・コレクタメサの端面における、前記ベース層と前記コレクタ層との界面に、前記絶縁性有機膜がそれぞれ形成されている、請求項1に記載したヘテロ接合半導体装置。
  3. エミッタキャップ層の端面より内方位置に前記エミッタ層の端面が存在することによ ってひさし状に突き出た前記エミッタキャップ層の下面と、前記エミッタ層の端面と、 前記ベース層の表面とによって囲まれる第1凹部と、
    前記ベース層の端面より内方位置に前記コレクタ層の端面が存在することによってひ さし状に突き出た前記ベース層の下面と、前記コレクタ層の端面と、前記サブコレクタ 層の表面とによって囲まれる第2凹部とに、
    前記絶縁性有機膜がそれぞれ形成されている、請求項2に記載したヘテロ接合半導体装置。
  4. 前記第1凹部が前記エミッタ層のアンダーカットにより形成され、前記第2凹部が前記コレクタ層のアンダーカットにより形成されている、請求項3に記載したヘテロ接合半導体装置。
  5. 前記エミッタ層及び前記コレクタ層がインジウム燐結晶からなり、前記第1凹部及び前記第2凹部の側面をなす前記エミッタ層及び前記コレクタ層の端面がそれぞれ前記インジウム燐結晶の(010)面と等価な結晶面である、請求項4に記載したヘテロ接合半導体装置。
  6. 前記第1凹部及び前記第2凹部に形成された前記絶縁性有機膜の側面に、サイドウオールとして別の絶縁性有機膜がそれぞれ形成されている、請求項3に記載したヘテロ接合半導体装置。
  7. 前記エミッタメサの端面と前記ベース層との界面、及び前記ベース・コレクタメサの端面における前記ベース層と前記コレクタ層との界面に、サイドウオールとして前記絶縁性有機膜がそれぞれ形成されている、請求項2に記載したヘテロ接合半導体装置。
  8. 前記基体が化合物半導体からなる、請求項1に記載したヘテロ接合半導体装置。
  9. 前記基体がインジウム燐InP又はガリウム砒素GaAsからなる、請求項8に記載したヘテロ接合半導体装置。
  10. インジウム燐からなる下層の化合物半導体層と、このインジウム燐層に格子整合する上層の化合物半導体層とによって形成された、請求項8に記載したヘテロ接合半導体装置。
  11. へテロ接合バイポーラトランジスタとして構成された、請求項8に記載したヘテロ接合半導体装置。
  12. NPN型バイポーラトランジスタとして構成された、請求項11に記載したヘテロ接合半導体装置。
  13. 請求項1に記載したヘテロ接合半導体装置の製造方法であって、
    前記基体上に前記サブコレクタ層、前記コレクタ層、前記ベース層及び前記エミッタ 層を、この順で積層して形成する工程と、
    前記エミッタ層と前記ベース層との接合の端部、及び前記ベース層と前記コレクタ層 との接合の端部を、前記絶縁性有機膜によってそれぞれ被覆する工程と、
    前記サブコレクタ層の上面を含んでこれより上部を無機パッシベーション膜によって 被覆する工程と、
    前記無機パッシベーション膜の所定の位置にコンタクト開口部を形成する工程と、
    前記コンタクト開口部に電極を被着する工程と
    を有する、ヘテロ接合半導体装置の製造方法。
  14. 前記エミッタ層をメサ形状に加工してエミッタメサを形成し、前記ベース層と前記コレクタ層とをメサ形状に加工してベース・コレクタメサを形成し、前記エミッタメサの端面と前記ベース層との界面、及び前記ベース・コレクタメサの端面における前記ベース層と前記コレクタ層との界面に、前記絶縁性有機膜をそれぞれ形成する、請求項13に記載したヘテロ接合半導体装置の製造方法。
  15. エミッタキャップ層の端面より内方位置に前記エミッタ層の端面を形成して、ひさし 状に突き出た前記エミッタキャップ層の下面と、前記エミッタ層の端面と、前記ベース 層の表面とによって囲まれる第1凹部を形成し、
    前記ベース層の端面より内方位置に前記コレクタ層の端面を形成して、ひさし状に突 き出た前記ベース層の下面と、前記コレクタ層の端面と、前記サブコレクタ層の表面と によって囲まれる第2凹部を形成し、
    前記第1凹部及び前記第2凹部に前記絶縁性有機膜をそれぞれ形成する、
    請求項14に記載したヘテロ接合半導体装置の製造方法。
  16. 前記第1凹部を前記エミッタ層のアンダーカットにより形成し、前記第2凹部を前記コレクタ層のアンダーカットにより形成する、請求項15に記載したヘテロ接合半導体装置の製造方法。
  17. 前記エミッタ層及び前記コレクタ層をインジウム燐結晶によって形成し、前記インジウム燐結晶の(010)面と等価な結晶面のエッチングによって前記第1凹部及び前記第2凹部をそれぞれ形成する、請求項16に記載したヘテロ接合半導体装置の製造方法。
  18. 前記第1凹部及び前記第2凹部を形成した後、全面に感光性の絶縁性有機材料層を形成し、露光及び現像処理によって前記第1凹部及び前記第2凹部に前記絶縁性有機膜を残す、請求項15に記載したヘテロ接合半導体装置の製造方法。
  19. 前記絶縁性有機膜を形成した後、全面に別の絶縁性有機材料層を形成し、エッチバックして、前記絶縁性有機膜の側面にサイドウオールとして別の絶縁性有機膜を残す、請求項15に記載したヘテロ接合半導体装置の製造方法。
  20. 前記メサ形状の加工後に、全面に絶縁性有機材料層を形成し、エッチバックして、前記エミッタメサの端面と前記ベース層との界面、及び前記ベース・コレクタメサの端面における前記ベース層と前記コレクタ層との界面に、サイドウオールとして前記絶縁性有機膜をそれぞれ残す、請求項14に記載したヘテロ接合半導体装置の製造方法。
  21. 前記絶縁性有機材料層の前記現像処理後又は前記エッチバック後に、硬化処理して前記前記絶縁性有機膜を形成する、請求項18〜20に記載したヘテロ接合半導体装置の製造方法。
  22. 前記硬化処理後に、少なくともベース電極を形成する、請求項21に記載したヘテロ接合半導体装置の製造方法。
  23. 前記硬化処理前に少なくともベース電極を形成し、この電極を構成する金属の拡散温度以下の温度で前記硬化処理を行う、請求項21に記載したヘテロ接合半導体装置の製造方法。
  24. 前記基体として化合物半導体を用いる、請求項13に記載したヘテロ接合半導体装置の製造方法。
  25. 前記基体としてインジウム燐InP又はガリウム砒素GaAsを用いる、請求項24に記載したヘテロ接合半導体装置の製造方法。
  26. インジウム燐を用いて下層の化合物半導体層を形成し、このインジウム燐層に格子整合する化合物半導体層を上層に形成する、請求項24に記載したヘテロ接合半導体装置。
  27. へテロ接合バイポーラトランジスタを製造する、請求項24に記載したヘテロ接合半導体装置の製造方法。
  28. NPN型バイポーラトランジスタを製造する、請求項27に記載したヘテロ接合半導体装置の製造方法。
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