JP2006210422A - 積層電子部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電層に起因した段差を解消することが可能でありながら、脱バイガスの円滑な排出を促進することができる、積層電子部品の製造方法を提供すること。
【解決手段】本製造方法は、バインダを含むセラミックペースト23から構成したグリーンシート25上に内部電極層5、7及び段差吸収層6、8を形成した単位シート35を複数積層して積層セラミックコンデンサ1などの積層電子部品を製造するものである。その際、少なくとも一つの単位シートにおいて、段差吸収層を、一チップ領域43a〜43d内に関して、内部電極層5、7の周囲に脱バイガス排気部45を残存させるように、部分的に形成する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、積層電子部品の製造方法に関するものである。
一般に、積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品は、次のような工程によって製造されている。まず、原料となるセラミック粉末、有機バインダ、溶剤等を含むセラミックペーストにより、いわゆるグリーンシートを形成する。次に、このグリーンシートに、導電性ペーストにより複数の内部電極をスクリーン印刷法などで形成する。そして、内部電極を有するグリーンシートを、内部電極の位置がずらされた状態とずらされていない状態とが交互に重なるように複数枚積層し、シート積層体を作る。次に、かかるシート積層体をプレスし、電子部品単位に対応する大きさに切断して、積層チップ体を得る。さらに、その積層チップ体に対して、バインダ等を除去する脱バインダ処理を行い、所定条件で焼成した後、積層チップ体の両端部に外部電極を形成して、積層セラミック電子部品を得る。
また、このようにして製造される積層セラミック電子部品においては、積層数が多層になるほど内部電極の厚みによる他の部位との段差が無視できなくなる。すなわち、内部電極が印刷されていない余白部分を含む積層領域と、内部電極を含んだ積層領域との間で、内部電極の有無による段差が生じる。かかる段差は、焼成時のクラックやデラミネーションなどを誘発させ、製品の特性の劣化や歩留まりの低下を招く原因となり得る。そこで、内部電極の周囲に段差吸収用のセラミックペーストを印刷することで、上記段差の問題を解消するものもある(特許文献1参照)。
特開2001−358036号公報
しかしながら、上述した特許文献1のように内部電極の周囲に段差吸収用のセラミックペーストを印刷しても依然として、焼成時のクラックやデラミネーションが生じることが分かっている。本出願人の鋭意研究によると、脱バインダ処理においてバインダが気化したガス、いわゆる脱バイガスが積層チップ体内に滞留され又は突発的に排出されることがクラックやデラミネーションの発生要因でもあると考えることができる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、内部電極などの導電層に起因した段差を解消することが可能でありながら、脱バイガスの円滑な排出を促進することができる、積層電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明は、バインダを含む誘電体ペーストから構成したグリーン層上に導電層及び段差吸収層を形成した単位層を複数積層して積層電子部品を製造する方法において、少なくとも一つの前記単位層において、前記段差吸収層を、一チップ領域内に関して前記導電層の周囲に脱バイガス排気部を残存させるように部分的に形成することを特徴とする。
また、当該方法は好適には、前記単位層として、前記誘電体ペーストから構成し複数チップ領域を有するグリーンシート上に前記導電層と前記段差吸収層とを形成したもの、を複数枚用意する工程と、それら複数の単位層を、前記導電層の位置が交互にずれる態様で積層し、シート積層体を得る工程と、前記シート積層体を、一チップ領域毎に裁断して積層チップ体を得る工程と、前記積層チップ体に対し脱バインダ処理を行う工程とを備える。
前記段差吸収層は、各一チップ領域内の長手方向の少なくとも一部に形成されていると好適である。
また、一チップ領域内に関し、積層される少なくとも一対の層においてみて、一方の層の前記段差吸収層を、他方の層の脱バイガス排気部に重なるように相互に形成すると好適である。
複数の前記単位層に亙って、前記段差吸収層を同一パターンによって形成すると好適である。
本発明に係る積層電子部品の製造方法によれば、導電層の有無による段差を緩和しつつも、脱バイガス排気部を介して脱バイガスの円滑な排気を促進することができ、クラックやデラミネーションをより確実に防止することができる。
また、複数の単位層を用意する工程と、それら複数の単位層を積層してシート積層体を得る工程と、シート積層体を一チップ領域毎に裁断して積層チップ体を得る工程と、積層チップ体に対し脱バインダ処理を行う工程とを備える場合には、上記のように段差吸収層及び脱バイガス排気部を形成するに際して、積層セラミックコンデンサの既存のプロセスにのせて実施することができる。
また、段差吸収層が、各一チップ領域内の長手方向の少なくとも一部に形成されている場合には、脱バイ処理時に脱バイガスを効率よく排気できる。
また、一チップ領域内に関し、一方の層の段差吸収層が、他方の層の脱バイガス排気部に重なるような態様を備える場合には、段差吸収効果と脱バイガス排気効果とがバランスよく獲得できる。
また、段差吸収層が複数の単位層に亙って同一パターンによって形成される場合には、単一の印刷パターンを用いて段差吸収層と脱バイガス排気部との双方を有する態様を簡単且つ大量に製造できる。
なお、本発明の他の特徴及びそれによる作用効果は、添付図面を参照し、実施の形態によって更に詳しく説明する。
以下、本発明を積層セラミックコンデンサの製造方法に適用した場合の実施の形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、図中、同一符号は同一又は対応部分を示すものとする。
図1は、本発明の実施の形態1に係る製造方法を適用する積層セラミックコンデンサの一例を示す断面図である。図示の積層セラミックコンデンサ1は、誘電体基体3の内部に、複数の内部電極層(導電層)5、7が埋設されている。隣り合う2つの内部電極層5、7は誘電体からなる層を介して向き合っている。内部電極層5、7の層数は、要求される静電容量に応じて決定される。さらに、内部電極層5、7に関し上下に隣り合う同極の部分の間には、誘電体からなる段差吸収層6、8が設けられている。
誘電体基体3の対向する側面には外部電極部9、11が設けられている。内部電極層5は、このうちの外部電極部9に導通されており、内部電極層7は外部電極部11に導通されている。
次に、このような構成の積層セラミックコンデンサの製造方法について説明する。まず、図2に示されるように、可撓性のあるPETフィルム21の上面に、セラミック粉末、バインダ及び溶剤などを少なくとも含むセラミックペースト(誘電体ペースト)23を塗布し、いわゆるグリーンシート(グリーン層)25が得られる。セラミックペースト23の塗布は、ドクターブレード又は押出ヘッド等を用い、塗布後に乾燥処理を行う。また、グリーンシート25の厚みは1.0〜3.0μmに設定されている。
続いて、グリーンシート25を乾燥させた後、シート上面に、内部電極層5、7を構成すべく導電体ペースト27を複数、分離して配置する。導電体ペースト27は、例えばスクリーン印刷法やグラビア印刷法によって形成することができる。導電体ペースト27の厚みは1.0〜3.0μmに設定されている。
導電体ペースト27が配置されると、導電体ペースト27の間には、導電体ペースト27自体の厚みに起因した段差部29が生じる。したがって、それら段差部29を段差吸収用セラミックペースト31によって埋める余白印刷を行う。段差吸収用セラミックペースト31の印刷は、スクリーン印刷法によって行われ、後述する印刷パターンを実現するスクリーン製版33を使用する。また、段差吸収用セラミックペースト31は、基本的には、前述したセラミックペースト23と同様な構成であり、セラミック粉末、バインダ及び溶剤などを少なくとも構成要素として含む。
このようにして、グリーンシート25上に内部電極層5、7及び段差吸収層6、8を形成した単位シート(単位層)35を、本実施の形態では400層以上積層し、シート積層体37を得る(後述の図3参照)。かかる積層は、内部電極層5、7の位置が交互にずれる態様で行われる。なお、シート積層体37の最上部と最下部には、誘電体のみからなるシートを積層して構成した保護層を設けることもできる。
次に、かかるシート積層体37をプレスした後、一チップ領域(単位層)に裁断して、積層チップ体39を得る。さらに、積層チップ体39から有機バインダ等をバーンアウトする脱バインダ処理を行った後、焼成を行って、最後に、積層チップ体の対向する側面に、外部電極部9、11を焼付し、積層セラミックコンデンサ1を得る。
次に、図3に基づいて、本実施の形態における導電体ペースト27及び段差吸収用セラミックペースト31の印刷パターンについて説明する。導電体ペースト27及び段差吸収用セラミックペースト31はそれぞれ、内部電極層5、7及び段差吸収層6、8を構成する。また、図3において、斜線部分は導電体ペースト27(内部電極層5、7)を示し、ドット部分は段差吸収用セラミックペースト31(段差吸収層6、8)を示すものとする。また、点線は、一チップ領域(一部品単位の大きさ、すなわちコンデンサ1個分)の境界すなわち裁断工程の切断ラインを示すものとする。本実施の形態では、一チップ領域は平面視長方形に設定されている。また、説明の便宜上、多層積層されるうちの4層部分のみを抜き出して説明するものとする。
第1単位シート35a、第2単位シート35b、第3単位シート35c、第4単位シート35dのそれぞれにおいて、導電体ペースト27は、二チップ領域毎にその二チップ領域に跨るように配置されていると共に、当該二チップ領域と隣り合う二チップ領域との境界で分断するように配置されている。また、段差吸収用セラミックペースト31は、まず、導電体ペースト27が分断しているチップ領域の幅方向の境界に沿って延長して配置されると共に、チップ領域の長手方向の境界毎に交互に長手方向の片側方向に延長して配置される。そして、隣り合う一対の導電体ペースト27と隣り合う一対の段差吸収用セラミックペースト31とに囲まれた部分がペースト無印刷部41として残存する。
このように、第1〜第4単位シート35a〜35dの長手方向の最外端を除いては、同一形状の導電体ペースト27と段差吸収用セラミックペースト31とが長手方向に繰り返される印刷パターンが用いられる。すなわち、これらの第1〜第4単位シート35a〜35dを含むすべての単位シート35は、積層位置をずらすものの、印刷パターンとしては同一の態様を採用している。
また、相互の積層位置は、図3に示すとおりであり、導電体ペースト27の二チップ領域に跨る部分と分断している部分とは一層毎に交互に重なるように、且つ、段差吸収用セラミックペースト31とペースト無印刷部41とが一層毎に交互に重なるように、長手方向の位置をずらして積層される。
上記のような単位シート35の積層態様によって、積層位置を同じくする一チップ領域に着目すると次のような構成を備える。平面視四辺からなる本実施の形態の一チップ領域においては、4種類の構成が存在している。図3に、4種類の一チップ領域43a、43b、43c、43dを示す。4層重ねて一チップ領域の構成は一巡し、5層目の一チップ領域には、1層目と同じ構成の一チップ領域が配置される。
図3には、第1〜第4単位シート35a〜35dにおいて積層位置を同じくする第1〜第4一チップ領域43a〜43dを示すが、全ての一チップ領域43a〜43dにおいて、内部電極層5、7と、段差吸収層6、8と、脱バイガス排気部45とが形成されている。脱バイガス排気部45は、ペースト無印刷部41が残存されていることによって存在する部分である。
図3から分かるように、各一チップ領域43a〜43d内に関して、段差吸収層6、8は、内部電極層5、7の周囲に脱バイガス排気部45を残存させるように部分的に形成されている。より詳細には、段差吸収層6、8は、各一チップ領域43a〜43dの長手方向の少なくとも一部を占める部分に形成されている。
一層隔てた第1及び第3一チップ領域43a、43cは同じ層内構成を有しており、長手方向の一方側の外縁にのみ露出する内部電極層5を有する。これに対し、一層隔てた第2及び第4一チップ領域43b、43dは同じ層内構成を有しており、長手方向の他方側の外縁にのみ露出する内部電極層7を有する。また、段差吸収層6、8は平面視L字状に形成されている。第1及び第3一チップ領域43a、43cに設けられた段差吸収層8は、長手方向の他方側において幅方向全体に亙って延びる部分と、幅方向の一方側で長手方向の一方側に到達することなく終端する部分とを有する。これに対し、第2及び第4一チップ領域43b、43dに設けられた段差吸収層6は、長手方向の一方側において幅方向全体に亙って延びる部分と、幅方向の他方側で長手方向の他方側に到達することなく終端する部分とを有する。さらに、脱バイガス排気部45は、かかる内部電極層5、7及び段差吸収層6、8が形成されていない部分として存在しており、各一チップ領域43a〜43dにおいて幅方向の両側に設けられている。
各一チップ領域43a〜43dがこのように構成された第1〜第4単位シート35a〜35dを積層することによって、積層セラミックコンデンサ1の全体において、一チップ領域内に関し、積層される一対の層においてみて、一方の層の段差吸収層6、8は常に、他方の層の脱バイガス排気部45に重なるように構成されている。
以上のように構成された本実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ1においては、各チップ領域において内部電極層5、7の周囲に脱バイガス排気部45を残存するように部分的に段差吸収層6、8を設けて積層されるため、内部電極層5、7の有無による段差を緩和しつつも、脱バイガス排気部45を介して脱バイガスの円滑な排気を促進することができ、クラックやデラミネーションをより確実に防止することができる。特に、グリーンシート25及び内部電極層5、7の合計厚みが3μm以下であって、シート積層体37の厚みが400μm以上の薄層多層品に有効である。
また、段差吸収層6、8がチップ領域の長手方向に延長し、これにより、脱バイガス排気部45もまたチップ領域の長手方向に延長しているので、脱バイ処理時に脱バイガスを効率よく排気できる。さらに、脱バイガス排気部45は、一チップ領域における両側縁に設けられているため、そのことによっても脱バイガスを効率よく排気できる。
また、常に脱バイガス排気部45と段差吸収層6、8とが重なるので、段差吸収効果と脱バイガス排気効果とはバランスよく得られる。また、複数の単位シート35に亙って、段差吸収層6、8や脱バイガス排気部45が同一パターンに形成されるため、単一の印刷パターンを用いて段差吸収層6、8と脱バイガス排気部45との双方を有する態様を簡単且つ大量に製造できる。
また、脱バイガス排気部45と段差吸収層6、8との双方は、積層後の裁断処理によって形成されていく。よって、積層セラミックコンデンサの既存のプロセスにのせて実施することができる。
次に、図4に基づいて、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態は、導電体ペースト及び段差吸収用セラミックペーストの印刷パターンが上記実施の形態1と異なり、他の構成や製造過程は実施の形態1と同様であるものとする。図4も図3と同態様・同意味で図示されており、4層部分のみを抜き出して説明する。
図4に示されるように、第1単位シート135a、第2単位シート135b、第3単位シート135c、第4単位シート135dのそれぞれにおいて、段差吸収用セラミックペースト131は、まず、導電体ペースト27が分断しているチップ領域の幅方向の境界に沿って延長して配置されると共に、そこから長手方向の境界の片側方向に延長して配置される。そして、隣り合う一対の導電体ペースト27と隣り合う一対の段差吸収用セラミックペースト131とに囲まれた部分がペースト無印刷部141として残存する。そして、すべての単位シート135は、積層位置をずらすものの、印刷パターンとしては同一の態様を採用している。
また、相互の積層位置は、図4に示すとおりであり、導電体ペースト27の二チップ領域に跨る部分と分断している部分とは一層毎に交互に重なるように、且つ、段差吸収用セラミックペースト131とペースト無印刷部141とが一層毎に交互に重なるように、長手方向の位置をずらして積層される。
積層位置を同じくする一チップ領域に着目すると、4層重ねて一チップ領域の構成は一巡し、5層目の一チップ領域には、1層目と同じ構成の一チップ領域が配置される。全ての一チップ領域143a〜143dにおいて、内部電極層5、7と、段差吸収層106、108と、脱バイガス排気部145とが形成されている。脱バイガス排気部145は、ペースト無印刷部141が残存されていることによって存在する部分である。
図4から分かるように、各一チップ領域143a〜143d内に関して、段差吸収層106、108は、内部電極層5、7の周囲に脱バイガス排気部145を残存させるように部分的に形成されている。
段差吸収層106は平面視I字状に形成され、段差吸収層108は平面視コ字状に形成されている。第1及び第3一チップ領域143a、143cに設けられた段差吸収層108は、長手方向の他方側において幅方向全体に亙って延びる部分と、幅方向の両側で長手方向の一方側に到達することなく終端する部分とを有する。これに対し、第2及び第4一チップ領域143b、143dに設けられた段差吸収層106は、長手方向の一方側において幅方向全体に亙って延びる。さらに、脱バイガス排気部145は、かかる内部電極層5、7及び段差吸収層106、108が形成されていない部分として存在しており、各一チップ領域43a〜43dにおいて幅方向の両側に設けられている。
このように構成された第1〜第4単位シート135a〜135dを積層することによって、積層セラミックコンデンサ1の全体において、一チップ領域内に関し、積層される一対の層においてみて、一方の層の段差吸収層106、108は常に、他方の層の脱バイガス排気部145に重なるように構成されている。
以上のように構成された本実施の形態2に係る積層セラミックコンデンサ1においても、各チップ領域において内部電極層5、7の周囲に脱バイガス排気部145を残存するように部分的に段差吸収層106、108を設けて積層されるため、内部電極層5、7の有無による段差を緩和しつつも、脱バイガス排気部145を介して脱バイガスの円滑な排気を促進することができ、クラックやデラミネーションをより確実に防止することができる。
また、一層おきに段差吸収層108がチップ領域の幅方向の両側で長手方向に大きく延長し、その反射的な構成として、段差吸収層106を有する層では脱バイガス排気部145もまたチップ領域の幅方向の両側で長手方向に大きく延長する。よって、脱バイガス排気部145がチップ領域の幅方向の両側で延長する層では、脱バイガスを集中的に効率よく排気できる。
また、常に脱バイガス排気部145と段差吸収層106、108とが重なるので、段差吸収効果と脱バイガス排気効果とはバランスよく得られる。また、複数の単位シート135に亙って、段差吸収層106、108や脱バイガス排気部145が同一パターンに形成されるため、単一の印刷パターンを用いて段差吸収層106、108と脱バイガス排気部145との双方を有する態様を簡単且つ大量に製造できる。また、積層セラミックコンデンサの既存のプロセスにのせて実施することができる。
続いて、図5に基づいて、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態も、印刷パターンが上記実施の形態1及び2と異なり、他の構成や製造過程は実施の形態1及び2と同様であるものとする。
図5に示されるように、第1〜第4単位シート235a〜235dのそれぞれにおいて、段差吸収用セラミックペースト231は、長手方向に隣り合う導電体ペースト27の間にその導電体ペースト27と同幅に塗布されると共に、チップ領域の幅方向の境界を跨がないように導電体ペースト27が跨る二チップ領域の一方のみの長手方向の境界に塗布される。隣り合う一対の導電体ペースト27と隣り合う一対の段差吸収用セラミックペースト231とに囲まれた部分がペースト無印刷部241として残存する。そして、すべての単位シート235は、積層位置をずらすものの、印刷パターンとしては同一の態様を採用している。
また、導電体ペースト27の二チップ領域に跨る部分と分断している部分とは一層毎に交互に重なるように、且つ、段差吸収用セラミックペースト231とペースト無印刷部241とが一層毎に交互に重なるように、長手方向の位置をずらして積層される。
積層位置を同じくする一チップ領域に着目すると、4層重ねて一チップ領域の構成は一巡し、5層目の一チップ領域には、1層目と同じ構成の一チップ領域が配置される。全ての一チップ領域243a〜243dにおいて、内部電極層5、7と、段差吸収層206、208と、脱バイガス排気部245とが形成されている。脱バイガス排気部245は、ペースト無印刷部241が残存されていることによって存在する部分である。
図5から分かるように、各一チップ領域243a〜243d内に関して、段差吸収層206、208は、内部電極層5、7の周囲に脱バイガス排気部245を残存させるように部分的に形成されている。
第1及び第3一チップ領域243a、243cに設けられた段差吸収層208は、長手方向の他方側において内部電極層5と同幅に延びる部分と、幅方向の両側で長手方向の両端に到達することなく終端する部分とを有する。これに対し、第2及び第4一チップ領域243b、243dに設けられた段差吸収層206は、長手方向の一方側において内部電極層7と同幅に延びる部分を有する。さらに、脱バイガス排気部245は、各一チップ領域43a〜43dにおいて四隅に存在していると共に、一層おきにチップ領域の幅方向の両側において長手方向全体に亙って存在している。
このように構成された第1〜第4単位シート235a〜235dを積層することによって、積層セラミックコンデンサ1の全体において、一チップ領域内に関し、積層される一対の層においてみて、一方の層の段差吸収層206、208は常に、他方の層の脱バイガス排気部245に重なるように構成されている。
以上のように構成された本実施の形態3に係る積層セラミックコンデンサ1においても、各チップ領域において内部電極層5、7の周囲に脱バイガス排気部245を残存するように部分的に段差吸収層206、208を設けて積層されるため、内部電極層5、7の有無による段差を緩和しつつも、脱バイガス排気部245を介して脱バイガスの円滑な排気を促進することができ、クラックやデラミネーションをより確実に防止することができる。
また、一層おきに脱バイガス排気部245がチップ領域の幅方向の両側で長手方向全体に亙って延長し、脱バイガスを集中的に効率よく排気できる。さらに、各層においてチップ領域の四隅に脱バイガス排気部245が存在しているため、全ての層において、脱バイガスを四方に排気することを促進することができる。
また、全ての層において、脱バイガス排気部145が占有する排気に関する領域と、内部電極層5、7及び段差吸収層206、208を合わせた段差に関する領域とが、幅方向及び長手方向の双方に関して対称的であるため、積層セラミックコンデンサ全体に亙って、段差吸収効果と脱バイガス排気効果とを高レベルでバランスさせることが可能となった。
また、複数の単位シート235に亙って、段差吸収層206、208や脱バイガス排気部245が同一パターンに形成されるため、単一の印刷パターンを用いて段差吸収層206、208と脱バイガス排気部245との双方を有する態様を簡単且つ大量に製造できる。また、積層セラミックコンデンサの既存のプロセスにのせて実施することができる。
以上、好ましい実施の形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の改変態様を採り得ることは自明である。
まず、上記実施の形態では、積層セラミックコンデンサ1において内部電極層が設けられている全ての単位シートで、一チップ領域でみて部分的に段差吸収層及び脱バイガス排気部が設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも一つの一チップ領域でみて、部分的に段差吸収層及び脱バイガス排気部を設けていればよい。
また、単位層の構成に関しては、上記実施の形態のように4層で一巡するパターンを用いることには限定されない。また、積層に際して内部電極層(導電層)をずらしながら配置する態様としては、上記実施の形態のように単位シートを長手方向に直線的にシフトさせる態様には限定されず、180度回転させながら重ねていく態様であってもよい。
また、上記実施の形態では、シート積層体を得る積層工程後に積層チップ体への裁断工程を行うプロセスであったが、本発明はこの順序に限定されるものではない。よって、単位シートから一チップ領域分を取り出す裁断工程の後に、それを重ねる積層工程を行う態様も含まれる。
さらに、本発明に関する積層電子部品は、積層セラミックコンデンサに限定されるものではなく、例えば、インダクタ、LCフィルタ、アレイ部品に適用することも可能であり、よって、導電層もコンデンサにおける内部電極層に限定されるものではない。
本発明の実施の形態に係る製造方法を適用する積層セラミックコンデンサを示す断面図である。 積層セラミックコンデンサの製造方法を説明する図である。 本発明の一実施の形態における、導電層、段差吸収層及び脱バイガス排気部の配置パターンを示す図である。 本発明の別の実施の形態における、導電層、段差吸収層及び脱バイガス排気部の配置パターンを示す図である。 本発明のさらに別の実施の形態における、導電層、段差吸収層及び脱バイガス排気部の配置パターンを示す図である。
符号の説明
1 積層セラミックコンデンサ(積層電子部品)
5、7 内部電極層(導電層)
6、8 段差吸収層
25 グリーンシート(グリーン層)
35、135、235 単位シート(単位層)
37 シート積層体
39 積層チップ体
43a〜43d 一チップ領域(単位層)
45、145、245 脱バイガス排気部
143a〜143d 一チップ領域(単位層)
243a〜243d 一チップ領域(単位層)

Claims (5)

  1. バインダを含む誘電体ペーストから構成したグリーン層上に導電層及び段差吸収層を形成した単位層を複数積層して積層電子部品を製造する方法において、
    少なくとも一つの前記単位層において、前記段差吸収層を、一チップ領域内に関して前記導電層の周囲に脱バイガス排気部を残存させるように部分的に形成することを特徴とする積層電子部品の製造方法。
  2. 前記単位層として、前記誘電体ペーストから構成し複数チップ領域を有するグリーンシート上に前記導電層と前記段差吸収層とを形成したもの、を複数枚用意する工程と、
    それら複数の単位層を、前記導電層の位置が交互にずれる態様で積層し、シート積層体を得る工程と、
    前記シート積層体を、一チップ領域毎に裁断して積層チップ体を得る工程と、
    前記積層チップ体に対し脱バインダ処理を行う工程と
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の積層電子部品の製造方法。
  3. 前記段差吸収層を、各一チップ領域内の長手方向の少なくとも一部に形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の積層電子部品の製造方法。
  4. 一チップ領域内に関し、積層される少なくとも一対の層においてみて、一方の層の前記段差吸収層を、他方の層の脱バイガス排気部に重なるように相互に形成することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の積層電子部品の製造方法。
  5. 複数の前記単位層に亙って、前記段差吸収層を同一パターンによって形成することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の積層電子部品の製造方法。
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