JP2006200109A - 印刷用塗工紙の製造方法及び塗工紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】白色度、白紙光沢度が高く、白紙面感に優れ、高印刷光沢度などの印刷適性にも優れ、製本工程および製本後に印刷インキが剥がれる問題がない印刷用塗工紙の製造方法及び塗工紙を提供すること。
【解決手段】原紙上に、顔料及び接着剤を含有する塗工液を塗工した塗工紙の製造方法において、顔料として炭酸カルシウムを顔料100重量部あたり50重量部以上含有した塗工液を塗工した後、弾性ロールと40℃以上100℃未満に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙し、更に弾性ロールと100℃以上かつ前記ロール温度と比較して20℃以上高い温度に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙して仕上げることを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法及び塗工紙。
【選択図】なし

Description

本発明は、印刷用塗工紙に関し、操業性に優れ、白色度が高く、白紙面感に優れ、印刷適性に優れた印刷用塗工紙に関する。
近年、印刷物に対し、写真や図案を多用し、更にカラー化するなどにより、視覚的に内容を強力に伝達しようとする要望が高い。一般に塗工紙は、高光沢塗工紙と艶消し塗工紙に大別される。高光沢塗工紙は、従来高級印刷に用いられてきたアート紙、スーパーアート紙、コート紙などであり、印刷仕上がりは、白紙光沢も印刷光沢も高いグロス調である。艶消し塗工紙は白紙光沢と印刷光沢によりダル調、マット調がある。マット調は、白紙面、印刷面共に光沢が低くフラットで落ち着いた感じの印刷物で、ダル調は、白紙光沢度は低いが、印刷光沢度は高いという、グロス調とマット調の中間のものである。グロス調は、白紙光沢度および印刷光沢度が高く、近年高級感のある雑誌を中心に需要が増えている。高光沢塗工紙、ダル調塗工紙、マット調塗工紙は印刷前の白紙光沢度に差はあるものの、いずれにおいても、印刷後の光沢度が高いことは重要課題のひとつである。
また、塗工紙は原紙に100%化学パルプを使用した上質塗工紙と、一部機械パルプを使用した中質塗工紙に分けられる。上質塗工紙は中質塗工紙と比較して、白色度が高い傾向にある。白色度が高いことは、印刷物の内容を視覚的に訴えるためには重要な要素のひとつであり、高印刷品質を求められる場合に使用されることが多い。
塗工紙は、主に顔料と接着剤からなる塗工液を原紙上に塗工し製造するが、顔料が塗工紙の白紙物性、印刷適性を決定する重要な因子のひとつとなる。一般に塗工顔料として、従来から、クレー、炭酸カルシウム等が使用されているが、クレーは白紙光沢度発現等に優れるが白色度が低く、炭酸カルシウムは白色度に優れるが光沢度発現性に劣るといった一長一短の性質であり、また、両者を混合しても両者の長所が共に発現することは難しく、平均的な値になる。このため、高光沢塗工紙を製造する場合には、クレーを主顔料とした塗工液を塗工し製造することになるが、白色度を高くすることは困難であった。一方、塗工紙の白色度を高くする手段として、塗工層に蛍光染料を配合することなどが挙げられるが、蛍光染料のみで白色度を高くするには限界があること、コスト高となること等の理由により使用量にも制限がある。
また、近年、グロス調塗工紙に求められる白紙光沢度は高くなる一方であり、その都度カレンダー処理線圧の強化等の対策を行ってきた。カレンダー処理線圧を強化することにより、表面の平滑性は向上し、白紙光沢度は高くなるが、反面、紙の不均一性に起因すると思われる密度ムラが顕著になり、印刷走行性等が悪化し好ましくない面もある。また、紙全体が緻密な構造となるためインキの塗工紙への密着性が悪化し印刷後にインキが剥がれるという問題が発生する様になった。これは、所謂インキ剥がれと呼ばれる現象であり、印刷・製本後にページ間が擦れる事により起こり、印刷用紙適性として非常に好ましくない。
近年、従来のスーパーカレンダーに代わり使用される様になった、高温カレンダーによる方法が多数提案されており、仕上げ速度の高速化、印刷光沢度、不透明度、剛度等が相対的に向上されることが報告されている。但し、この手法のみを用いた場合は効率的に光沢度を高くすることができるが、高温で処理するため紙中水分の影響を受けやすく、幅方向の水分プロファイルが揃っていないと白紙光沢度の微少ムラが生じ、外観的に好ましくない。また、高温でカレンダー処理される前の塗工紙の表面性が劣る場合、同様に白紙光沢度の微少ムラが生じ、外観的に好ましくない。
この様な対策として、例えば、高温カレンダーで処理する直前または直後に繊維を植え付けたブラシロールと金属ロールで処理し、表面の坪量ムラ、塗被量ムラ等を研磨し微少光沢度ムラを解決することが開示されている(特許文献1参照)が、本手法のみでは紙粉が発生し操業的に好ましくなく、水分ムラを調整することが難しい等の問題があった。
また、インキ剥がれに関しては、従来より白紙光沢度が低いマット調、ダル調塗工紙においてインキが落ち易い現象があり、それを解決する方法として、例えば、平均粒子径が0.5〜1.5μmの炭酸カルシウムを50〜80重量%、カオリン20〜50重量%を含有する塗工組成物を原紙に塗工した後、100℃以上の高温ソフトカレンダー処理することを特長とした塗工紙の製造方法が示されている(特許文献2参照)。しかしながら、白紙光沢度が高いグロス調において発生するインキ剥がれについては、記載も示唆もない。また、たとえ高カレンダー処理を施し高白紙光沢度を得たとしても、本手法では水分、紙厚等のプロファイルの揃っていない紙を通すことによる光沢度ムラを改善することは、不十分であった。
この様に、従来の技術においては、白色度、白紙光沢度が高く、白紙面感に優れ、所望インキ剥がれの問題がない印刷適性を持った塗工紙を得ることは困難であった。
特開平9−228289号公報 特開平5−117995号公報
この様な状況を鑑みて、本発明の課題は、白色度、白紙光沢度が高く、白紙面感に優れ、高印刷光沢度などの印刷適性にも優れ、製本工程および製本後に印刷インキが剥がれる問題がない印刷用塗工紙の製造方法及び塗工紙を提供することにある。
本発明者等は、上記課題に鋭意検討を行った結果、原紙上に、顔料及び接着剤を含有する塗工液を塗工した印刷用塗工紙の製造方法において、顔料として炭酸カルシウムを顔料100重量部あたり50重量部以上含有した塗工液を塗工した後、弾性ロールと40℃以上100℃未満に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙し、更に弾性ロールと100℃以上かつ前記ロール温度と比較して20℃以上高い温度に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙して仕上げることにより得られることを見出した。
本発明においては、原紙上に顔料として炭酸カルシウムを顔料100重量部あたり50重量部以上含有した塗工液を塗工した後、弾性ロールと40℃以上100℃未満に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙した後に、弾性ロールと100℃以上かつ前記ロール温度と比較して20℃以上高い温度に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙して仕上げることが重要である。炭酸カルシウム単体の白色度が高いため、炭酸カルシウムを高配合した塗工層を設けることにより、塗工紙の白色度は高くなる。塗工後、40℃以上100℃未満に加温されたカレンダーに一旦通紙することにより、塗工紙中の水分プロファイルはより均一になり、塗工紙表面も平滑になるが、白紙光沢度発現性は低く、この時点で光沢度ムラは発生しない。その後、前記ロール温度より20℃以上高く、かつ100℃以上に加熱されたカレンダーを通す事により、白色度は高く、白紙光沢度は高く、光沢度ムラが少ない塗工紙が得られる。
本発明により、白色度、白紙光沢度が高く、白紙面感に優れ、高印刷光沢度、インキ剥がれの問題がないなどの印刷適性に優れた印刷用塗工紙を得ることができ、また、操業性及び印刷適性に優れた印刷用塗工紙を効率よく製造することができる。
本発明においては、塗工紙の高白色度、印刷適性を向上させるために、炭酸カルシウムを顔料100重量部当たり50重量部以上含有するものであり、より好ましくは65重量部以上であり、更に好ましくは80重量部以上である。50部より少ない場合、白色度が低くなり、また、高温カレンダーで処理した塗工紙を印刷した場合、紙全体が緻密な構造となるためインキの塗工紙への密着性が悪化し印刷後にインキ剥がれが発生する。
本発明で問題となるインキ剥がれとは、印刷後に印刷部同士などが擦れた際に、グロス調の塗工紙特有の高い平滑性のためにインキの紙への食い付きが劣ること、擦れ合うインキの密着性が高くなることが原因で起こる現象と考えられ、従来のインキ落ちと呼ばれる、白紙光沢度が低いマット、ダル調塗工紙で発生する現象とは異なるものである。本発明においては、炭酸カルシウムを顔料100重量部当たり50重量部以上含有することにより、表面にミクロの凹凸を形成することができ、インキの紙への食い付きが良好となり、また、擦れ合うインキの密着性が低くなるため、インキ剥がれ改善すると考えられる。この改善効果は、特にオフセット輪転印刷において、顕著な効果を有するものである。
また、用いる炭酸カルシウムの好ましい平均粒径としては0.3〜0.8μmの範囲が好ましく、より好ましくは、0.5〜0.8μmである。0.3μmより小さい場合は、顔料の比表面積が大きくなるため、塗料の粘度が高くなり、塗工適性に劣り操業的に好ましくない。0.8μmより大きい場合は、白紙光沢度が低くなる傾向にあり本発明の目的を達成するために好ましくない。また、塗工層を2層設ける場合、外側の層に配合する炭酸カルシウムの好ましい範囲は前記の通りである。この場合、内側の層に配合する炭酸カルシウムの好ましい粒径としては、0.3〜1.2μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜1.1μmである。この時、外側の層に配合する炭酸カルシウム(炭カルA)の粒径より内側の層に配合する炭酸カルシウム(炭カルB)の粒径の方が大きい事がインキ剥がれの点で好ましく、(炭カルBの粒径)−(炭カルAの粒径)は0.4μm以下の範囲が好ましい。この範囲に収めることにより、インキの乾燥後にインキの紙表面への固着性が高くなりインキ剥がれが起きにくくなる。尚、本発明の平均粒子径は、レーザー法(マルバーン社製粒度測定機マスターサイザーS型)で測定し、体積累積分布の50%部分の値を計算して求められるものである。
本発明に用いられる炭酸カルシウムとしては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムが主として用いられることが好ましく、白紙光沢度を高くするためには軽質炭酸カルシウムを高配合、インキ剥がれ改善に重点をおく場合には重質炭酸カルシウムを高配合することが好ましい。
また、本発明においては、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で他の顔料と併用することができる。これらの顔料としては、クレー、カオリン、エンジアードカオリン、デラミネーテッドクレー、、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫酸カルシウム、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイト等の無機顔料や、プラスチックピグメント等の有機顔料を使用することができる。高温に加熱されたカレンダーを用いて白紙光沢度を高くする効率を高めるため、プラスチックピグメントと併用する方が好ましい。プラスチックピグメントを配合する量は、無機顔料100重量部に対して、好ましくは2〜30重量部、より好ましくは2〜20重量部、更に好ましくは3〜15重量部である。30重量部より多く配合すると、高温に加熱されたカレンダーを通紙する際にプラスチックピグメントが溶融し、金属ロールに貼り付き、裂け、断紙トラブル等が発生する。塗工後、弾性ロールと40℃以上100℃未満に加熱された金属ロールからなるカレンダーに一旦通紙することは、塗工紙中の水分プロファイルがより均一になり、塗工紙表面も平滑になるため、高温でカレンダー処理時の金属ロールへの紙の貼り付きの軽減にもつながる。
本発明においては、塗工層は1〜3層設けることが好ましく、2層以上設ける場合は最も外側の層にプラスチックピグメントを配合することが好ましい。
本発明に用いるプラスチックピグメントは、密実型、中空型、または、コア−シェル型等を必要に応じて単独または2種類以上混合して使用することができる。プラスチックピグメントの構成重合体成分としては、好ましくは、スチレン及び/または、メチルメタアクリレート等のモノマーを主成分として、必要に応じてこれらと共重合可能な他のモノマーが用いられる。この共重合可能なモノマーとしては、例えば、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ジメチルスチレン等のオレフィン系芳香族系モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリルニトリル等のモノオレフィン系モノマー及び酢酸ビニル等のモノマーがある。また、必要に応じて、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸等のオレフィン系不飽和カルボン酸モノマー類、ヒドロキシエチル、メタアクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸ヒドロキシプロピル等のオレフィン系不飽和ヒドロキシモノマー類、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N―メチロールメタアクリルアミド、N―メトキシメチルアクリルアミド等のオレフィン系不飽和アミドモノマー類、ジビニルベンゼン等の二量体ビニルモノマー等を一種または二種以上の組み合わせで用いることができる。これらのモノマーは例であり、このほかにも共重合可能なモノマーがあれば使用してもよい。
本発明において用いる接着剤は、塗工紙用に従来から用いられている、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、あるいはポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成接着剤、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパクなどのタンパク質類、酸化澱粉、カチオン化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体などのから、1種以上を適宜選択して使用することができる。これらの接着剤は、顔料100重量部に対して、5〜35重量部の範囲で使用される事が好ましく、より好ましくは7〜25重量部である。35重量部を超える場合は、塗料の粘度が高くなり、配管やスクリーンを通過しづらくなるといった操業性の問題が生じる等のデメリットが生じ好ましくない。また、5重量部未満の場合は、十分な表面強度がえられず好ましくない。
本発明の塗工液には、助剤として分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、染料、蛍光染料等の通常使用される各種助剤を使用することができる。特に、白色度を高めるために蛍光染料を添加する方が好ましい。
本発明における原紙は、パルプ、填料と各種助剤からなる。パルプとしては、化学パルプ、半化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプ等を用いることができるが、白色度の点より化学パルプ、反化学パルプを用いることが好ましい。最も好ましいのは、化学パルプを100重量%含有させることである。
原紙に用いる填料は、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー、シリカ、ゼオライト、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができる。配合量は、3〜20重量%程度である。これら填料は、紙料スラリーの抄紙適性や強度特性を調節する目的で、単独又は2種以上を混合使用してもよい。
これらの紙料に必要に応じ通常抄紙工程で使用される薬品類、例えば紙力増強剤、サイズ剤、消泡剤、着色剤、嵩高剤、柔軟化剤などを、本発明の効果を阻害しない範囲で添加し抄紙することができる。
原紙の抄紙方法については、特に限定される物ではなく、トップワイヤー等を含む長網マシン、丸網マシン等を用いて、酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ抄紙方式で抄紙した原紙のいずれであってもよい。また、サイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレード等を用いて、澱粉、ポリビニルアルコールなどを予備塗工した原紙等も使用可能である。塗工原紙としては、一般の塗工紙に用いられる坪量が25〜400g/m程度のものが好ましい。
本発明において、調整された塗工液を原紙に塗工する方法については、特に限定される物ではなく、公知の塗工装置を用いる事ができる。例えばブレードコーター、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、リバースロールコーター、カーテンコーターサイズプレスコーター、ゲートロールコーター等が挙げられる。これらを用いて、原紙上に片面あるいは両面に1層以上塗工する。片面辺りの塗工量は3g/m〜35g/mであることが好ましく、より好ましくは10g/m〜25g/mである。片面辺りの塗工量が3g/mより少ない場合、十分な原紙被覆性が得られず、インキ着肉性に劣る。本発明においては、塗工速度が500m/分以上、より好ましくは、塗工速度が1000m/分を超える高速でも操業性が優れる物である。
湿潤塗工層を乾燥させる手法としては、例えば、蒸気加熱ヒーター、ガスヒーター、赤外線ヒーター、電気ヒータ、熱風加熱ヒーター、マイクロウェーブ、シリンダードライヤー等の通常の方法が用いられる。
本発明における、このようにして得られた塗工紙は、弾性ロールと40℃以上100℃未満に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙した後に、弾性ロールと100℃以上かつ前記ロール温度と比較して20℃以上高い温度に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙して仕上げるものである。
本発明では、最初に比較的低い温度で処理を行うが、高温で処理を行う前に低温処理を行うことにより、塗工紙中の水分プロファイルはより均一にし、かつ塗工紙表面も平滑にし、その後、前記ロール温度より20℃以上高く、かつ100℃以上に加熱する際に発生する光沢度ムラを抑制することができる。このため、40℃より低い場合は均一にする効果が十分でなく、100℃より高い場合は水分ムラがあるまま高温処理を行うのと同じ事となり光沢ムラが発生しどちらも好ましくない。より好ましい範囲としては40℃〜80℃であり、更に好ましくは50℃〜80℃である。
低温処理後に行う高温処理の金属ロールの表面温度は、好ましくは120℃以上、300℃以下である。塗工紙の含有水分が適当であれば、100℃以上に加熱された金属ロールを用いることにより、原紙あるいは塗工層を平滑化することができ、高光沢の塗工紙を得ることができる。高温処理前の塗工紙の水分は、5〜8%が好ましい。
また、本発明におけるカレンダーの処理線圧は、弾性ロールと40℃以上100℃未満に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙する際の線圧の平均に対して、弾性ロールと100℃以上かつ前記ロール温度と比較して20℃以上高い温度に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙する際の線圧の平均が、20Kg/cm以上高いことが好ましい。これは、最初に行う相対的に低温で実施するカレンダー処理は、後に行う高温カレンダー処理と比較して、水分プロファイル、塗工紙の表面性を整えることが目的であるため比較的低い線圧で行う方が密度ムラ発生防止、低密度化の点で好ましい。好ましい線圧の範囲は10〜250Kg/cmである。また、高温カレンダーの処理線圧は、白紙光沢度、印刷光沢度、インキ剥がれの抑制を向上させるために、低温カレンダー処理よりも線圧の平均を20Kg/cm以上高くすることが好ましく、より好ましくは40Kg/cm以上である。低温カレンダー処理よりも線圧の平均を20Kg/cm以上高くするとは、低温処理、高温処理が多段の場合、それぞれのニップでの線圧を平均した値の比較である。好ましい線圧の範囲は30〜500kg/cmである。また、高温カレンダー処理として、高温ソフトニップカレンダーを用いる場合の好ましい条件としては、例えば、弾性ロールのショアーD硬度80〜100、好ましくは85〜95であって、通紙速度400〜3000m/分、線圧30〜500Kg/cm、カレンダー前塗工紙水分5〜8%が好ましい。低温処理と高温処理のニップ回数は、好ましくは低温処理で1ニップ以上、より好ましくは1〜4ニップ、高温処理で2ニップ以上、より好ましくは2〜5ニップで行うことが好ましい。本発明においては複数のカレンダーロールで処理を行うことになるが、その形態としては、弾性ロールと金属ロールをひとつの組としたカレンダーを複数組設置した形態の物、カレンダーロールが垂直あるいは斜めに並べられた多段式の形態の物どちらでもよい。但し、本発明におけるカレンダーの形態として最も好ましいのは、多段式の形態であり、尚かつ、上段のロールの重さを下段のロールに加えることを抑制する機構を備えていない物である。この形態を取ることにより、上段部にて比較的低温、低線圧処理を行い、下段部にて高温、高線圧処理を合理的に行うことが可能となる。
さらに、本発明における最も好ましいカレンダー形態について述べる。カレンダーロールが垂直に並べられ、ロール本数は10本もしくは12本である。この時、ロールの種類は上から、金属ロール(A)、弾性ロール、(B)、金属ロール(C)、弾性ロール(D)、金属ロール(E)、弾性ロール(F)、金属ロール(G)、弾性ロール(H)、弾性ロール(I)、金属ロール(J)、弾性ロール(K)、金属ロール(L)の順である(9本の場合はE、Fを除く)。この時、金属ロール(G)、金属ロール(J)が100℃以上に加温され、他の金属ロールは40℃〜100℃に加温される。この形態を取ることにより、金属ロール(A)〜金属ロール(E)によって比較的低線圧処理によって水分プロファイルをより均一にし、かつ塗工紙表面を適度に平滑になり、金属ロール(G)により塗工紙の一方の面の高温処理を行い、金属ロール(J)によりもう一方の面の高温処理を行うことができる。この際、金属ロール(G)にて処理した面(A面)より、金属ロール(J)で処理した面(B面)の方が高い線圧で処理されることになるが、A面はB面と異なり低温・低線圧処理を受ける回数が多いため光沢度の表裏差は発生しにくい。
本発明においては、特に白紙光沢度が60%以上より好ましくは、75%以上、白色度が80%以上、より好ましくは88%以上のグロス調の塗工紙で、より優れた効果を発揮することができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、もちろんこれらの例に限定される物ではない。なお、特に断らない限り、例中の部および%は、それぞれ重量部、重量%を示し、固形分換算の値である。なお、塗工液及び得られた印刷用塗工紙について以下に示す様な評価法に基づいて試験を行った。
(評価方法)
(1)白色度:JIS P 8148に基づいて測定した。
(2)白紙光沢度:JIS P 8142に基づいて測定した。
(3)印刷光沢度:オフセット輪転印刷機(4色)にて、オフセット印刷用インキ(東洋インキ性 レオエコーSOY Y)を用いて印刷速度500rpmで4色重ね印刷部のインキ着肉濃度が墨:1.80、藍:1.55、紅:1.50、黄:1.15(X−Rite社製 X−Rite408にて測定)となる様に印刷した後、紙面温度が110℃となるようにして乾燥し、得られた印刷物(4色ベタ印刷部)の表面をJIS P 8142に基づいて測定した。
(4)微小光沢度ムラ:光沢度のムラを以下の4段階で目視評価した。
◎:きわめて良好、○:良好、△:やや劣る、×:劣る
(5)インキ剥がれ:オフセット輪転印刷機(4色)にて、オフセット印刷用インキ(東洋インキ性 レオエコーSOY Y)を用いて印刷速度500rpmで4色重ね印刷部のインキ着肉濃度が墨:1.80、藍:1.55、紅:1.50、黄:1.15(X−Rite社製 X−Rite408にて測定)となる様に印刷した後、紙面温度が110℃となるように乾燥し、得られた印刷物(4色ベタ印刷部)同士を擦り、擦った後の剥がれ具合を以下に示す目視評価を行った。
◎:きわめて良好、○:良好、△:やや劣る、×:劣る
[実施例1]
重質炭酸カルシウムスラリー(ファイマテック社製 FMT−97、平均粒子径 0.58μm)100部(固形分)に、密実型プラスチックピグメント(旭化成社製 L8920)3部を添加して、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(ガラス転移点温度−2℃、ゲル含量85%)12部、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉(ペンフォード社製 PG295)4部、蛍光染料(ランクセス社製 ブランコファUWリキッド)を加え、さらに水を加えて固形分濃度65%の塗工液1を得た。
塗工原紙は、填料として軽質炭酸カルシウムを原紙重量あたり7%含有し、製紙用パルプとし化学パルプを100%含有する坪量92g/m、密度0.75g/cmの上質紙を用いた。
上記の原紙に、前述の塗工液を片面当たりの塗工量が16g/mになる様に、500m/分の塗工速度でブレードコーターを用いて両面塗工を行い、塗工紙水分が5%となる様に乾燥した。
乾燥後、図1、表1−(1)に示すロール配置、金属ロール温度、ニップ圧にてカレンダー処理を行い印刷用塗工紙を得た。この時、弾性ロールショアD硬度92、通紙速度600m/分である。
[実施例2]
重質炭酸カルシウムスラリー(ファイマテック社製 FMT−75、平均粒子径 0.95μm)100部(固形分)に、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(ガラス転移点温度−2℃、ゲル含量85%)5部、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉(ペンフォード社製 PG295)10部を加え、さらに水を加えて固形分濃度65%の塗工液2を得た。
上記塗工液2を実施例1で用いた上質原紙に、片面当たりの塗工量が8g/mになる様に、500m/分の塗工速度でブレードコーターを用いて両面塗工を行ったのち、実施例1で用いた塗工液1を片面当たりの塗工量が9g/mになる様にブレードコーターを用いて両面塗工を行ったのち、実施例1と同様のカレンダー処理を行い印刷用塗工紙を得た。
[実施例3]
実施例1において、塗工液1中の重質炭酸カルシウムスラリー(ファイマテック社製 FMT−97、平均粒子径 0.58μm)100部、密実型プラスチックピグメント(旭化成社製 L8920)3部の代わりに、重質炭酸カルシウムスラリー65部、微粒クレー(J.M.HUBER社製 JapanGloss)32部、密実型プラスチックピグメント(旭化成社製 L8920)3部に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[実施例4]
実施例2において、塗工液1中の重質炭酸カルシウムスラリー(ファイマテック社製 FMT−97、平均粒子径 0.58μm)100部、密実型プラスチックピグメント(旭化成社製 L8920)3部の代わりに、重質炭酸カルシウムスラリー65部、微粒クレー(J.M.HUBER社製 JapanGloss)32部、密実型プラスチックピグメント(旭化成社製 L8920)3部に変更した以外は実施例2と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[実施例5]
実施例1において、重質炭酸カルシウムスラリー(ファイマテック社製 FMT−97、平均粒子径 0.58μm)100部、密実型プラスチックピグメント(旭化成社製 L8920)3部の代わりに、重質炭酸カルシウムスラリー(FMT−97)100部に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例1]
実施例1において、重質炭酸カルシウムスラリー(ファイマテック社製 FMT−97、平均粒子径 0.58μm)100部、密実型プラスチックピグメント(旭化成社製 L8920)3部の代わりに、重質炭酸カルシウムスラリー(FMT−97)40部、微粒クレー(J.M.HUBER社製 JapanGloss)60部に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例2]
実施例1において、カレンダー処理を表1−(2)に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例3]
実施例1において、カレンダー処理を表1−(3)に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
表1にカレンダー処理条件、表2に評価結果を示した。
Figure 2006200109
Figure 2006200109

カレンダー処理方法を示した説明図である。
符号の説明

1 金属ロール
2 弾性(樹脂)ロール
3 高温金属ロール

Claims (4)

  1. 原紙上に、顔料及び接着剤を含有する塗工液を塗工した塗工紙の製造方法において、顔料として炭酸カルシウムを顔料100重量部あたり50重量部以上含有した塗工液を塗工した後、弾性ロールと40℃以上100℃未満に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙し、更に弾性ロールと100℃以上かつ前記ロール温度と比較して20℃以上高い温度に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙して仕上げることを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。
  2. 塗工後のカレンダー処理において、弾性ロールと40℃以上100℃未満に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙する際の線圧の平均に対して、弾性ロールと100℃以上かつ前記ロール温度と比較して20℃以上高い温度に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙する際の線圧の平均が、20Kg/cm以上高いことを特徴とする請求項1記載の印刷用塗工紙の製造方法。
  3. 塗工液中にプラスチックピグメントを2〜30重量部含むことを特徴とする請求項1または2記載の印刷用塗工紙。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法で製造された印刷用塗工紙。
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