JP2006193864A - 印刷用塗工紙の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 原紙上に、顔料及び接着剤を含有する塗工液を塗工した印刷用塗工紙の製造方法において、プラスチックピグメントを無機顔料100重量部に対して2〜30重量部含有した塗工液を塗工した後、弾性ロールと40℃以上100℃未満に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙し、更に弾性ロールと100℃以上かつ前記ロール温度と比較して20℃以上高い温度に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙して仕上げたことを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法及び塗工紙。
【選択図】なし
Description
特に白紙光沢度が90 %を超える分野では、キャスト塗工紙、印刷した上にポリラミ加工を施すことで強光沢面を形成するポリラミ加工品が主として使用されている。キャスト塗工紙の表面は、湿潤状態の塗工層を加熱された鏡面ドラム面に圧接して、表面加工するため、通常のコート紙よりも強光沢を有し、ポスター、紙バック、雑誌の表紙等、人目をひく広告性の強い用途で使用されている。ポリラミ加工品は、近年、環境意識の向上から古紙の回収率が高くなっているが、ポリラミは再生行程において分離しにくいため、ポリラミ加工しないキャストコート紙は環境に優しい製品となっている。
キャスト塗工紙と呼ばれる強光沢塗工紙は、原紙の表面に顔料および接着剤を主成分とする水性塗料を塗工して塗工層を設け、、塗工層が湿潤状態にある段階で、塗工層を加熱された金属製の鏡面ドラムに圧接、乾燥することにより製造されている。
このキャスト塗工紙の製造方法としては、湿潤状態の塗工層を直接加熱された鏡面ドラムに圧接して光沢仕上げする(以下、キャスト加工とする)ウエットキャスト法、湿潤状態の塗工層をゲル状にして加熱された鏡面に圧接してキャスト加工するゲル化キャスト法、湿潤状態の塗工層を一旦乾燥させた後、再湿潤により可塑化して加熱された鏡面ドラムに圧接してキャスト加工するリウエットキャスト法などが知られている。
これらのキャスト塗工紙製造法はいずれもキャスト塗工層が湿潤または可塑状態にあるうちに加熱された鏡面ドラム面に圧接、乾燥させることで共通している。ただし、キャスト塗工層の可塑状態の違いにより操業性および得られるキャストコート紙の品質において、それぞれ以下のような欠点がある。
近年、従来のスーパーカレンダーに代わり使用される様になった、高温カレンダーによる方法が多数提案されており、仕上げ速度の高速化、印刷光沢度、不透明度、剛度等が相対的に向上されることが報告されている。但し、この手法のみを用いた場合は効率的に光沢度を高くすることができるが、高温で処理するため紙中水分の影響を受けやすく、幅方向の水分プロファイルが揃っていない場合、白紙光沢度の微少ムラが生じ、外観的に好ましくない。また、高温でカレンダー処理される前の塗工紙の表面性が劣る場合、同様に白紙光沢度の微少ムラが生じ、高級感のある印刷に十分対応できるものではない。
本発明に用いるプラスチックピグメントは、密実型、中空型、または、コア−シェル型等を必要に応じて単独または2種類以上混合して使用することができる。プラスチックピグメントの構成重合体成分としては、好ましくは、スチレン及び/または、メチルメタアクリレート等のモノマーを主成分として、必要に応じてこれらと共重合可能な他のモノマーが用いられる。この共重合可能なモノマーとしては、例えば、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ジメチルスチレン等のオレフィン系芳香族系モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリルニトリル等のモノオレフィン系モノマー及び酢酸ビニル等のモノマーがある。また、必要に応じて、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸等のオレフィン系不飽和カルボン酸モノマー類、ヒドロキシエチル、メタアクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸ヒドロキシプロピル等のオレフィン系不飽和ヒドロキシモノマー類、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N―メチロールメタアクリルアミド、N―メトキシメチルアクリルアミド等のオレフィン系不飽和アミドモノマー類、ジビニルベンゼン等の二量体ビニルモノマー等を一種または二種以上の組み合わせで用いることができる。これらのモノマーは例であり、このほかにも共重合可能なモノマーがあれば使用してもよい。
本発明における、このようにして得られた塗工紙は、弾性ロールと40℃以上100℃未満に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙した後に、弾性ロールと100℃以上かつ前記ロール温度と比較して20℃以上、好ましくは40℃以上の高い温度に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙して仕上げるものである。
本発明では、最初に比較的低い温度で処理を行うが、高温で処理を行う前に低温処理を行うことにより、塗工紙中の水分プロファイルをより均一にし、かつ塗工紙表面も平滑にし、その後、前記ロール温度より20℃以上高く、かつ100℃以上に加熱する際に発生する光沢度ムラを抑制することができる。このため、40℃より低い場合は均一にする効果に乏しく、100℃より高い場合は水分ムラがあるまま高温処理を行うのと同じ事となり光沢ムラが発生しどちらも好ましくない。より好ましい範囲としては40℃〜80℃であり、更に好ましくは50℃〜80℃である。
低温処理後に行う高温処理の金属ロールの表面温度は、好ましくは120℃以上、300℃以下である。塗工紙の含有水分が適当であれば、100℃以上に加熱された金属ロールを用いることにより、原紙あるいは塗工層を平滑化することができ、高光沢の塗工紙を得ることができる。高温処理前の塗工紙の水分は、5〜8%が好ましい。
また、本発明におけるカレンダーの処理線圧は、弾性ロールと40℃以上100℃未満に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙する際の線圧の平均に対して、弾性ロールと100℃以上かつ前記ロール温度と比較して20℃以上高い温度に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙する際の線圧の平均が、20Kg/cm以上高いことが好ましい。これは、最初に行う相対的に低温で実施するカレンダー処理は、後に行う高温カレンダー処理と比較して、水分プロファイル、塗工紙の表面性を整えることが目的であるため比較的低い線圧で行う方が密度ムラ発生防止、低密度化の点で好ましい。好ましい線圧の範囲は10〜250Kg/cmであり、より好ましくは10〜210Kg/cm、更に好ましくは10〜180Kg/cmである。また、高温カレンダーの処理線圧は、白紙光沢度、印刷光沢度、微小光沢ムラの抑制を向上させるために、低温カレンダー処理よりも線圧の平均を20Kg/cm以上高くすることが好ましく、より好ましくは40Kg/cm以上200Kg/cm以下である。低温カレンダー処理よりも線圧の平均を20Kg/cm以上高くするとは、低温処理、高温処理が多段の場合、それぞれのニップでの線圧を平均した値の比較である。高温カレンダーの好ましい線圧の範囲は30〜500kg/cmであり、より好ましくは120〜500kg/m、更に好ましくは180〜500kg/cmである。また、高温カレンダー処理として、高温ソフトニップカレンダーを用いる場合の好ましい条件としては、例えば、弾性ロールのショアーD硬度80〜100、好ましくは85〜95であって、通紙速度400〜3000m/分、線圧30〜500Kg/cm、カレンダー前塗工紙水分5〜8%が好ましい。低温処理と高温処理のニップ回数は、好ましくは低温処理で1ニップ以上、より好ましくは1〜4ニップ、高温処理で2ニップ以上、より好ましくは2〜5ニップで行うことが好ましい。本発明においては複数のカレンダーロールで処理を行うことになるが、その形態としては、弾性ロールと金属ロールをひとつの組としたカレンダーを複数組設置した形態の物、カレンダーロールが垂直あるいは斜めに並べられた多段式の形態の物どちらでもよい。但し、本発明におけるカレンダーの形態として最も好ましいのは、多段式の形態であり、尚かつ、上段のロールの重さを下段のロールに加えることを抑制する機構を備えていない物である。この形態を取ることにより、上段部にて比較的低温、低線圧処理を行い、下段部にて高温、高線圧処理を合理的に行うことが可能となり、設備的にもスペースを取らない利点がある。
さらに、本発明における最も好ましいカレンダー形態について述べる。カレンダーロールが垂直に並べられ、ロール本数は10本もしくは12本である。この時、ロールの種類は上から、金属ロール(A)、弾性ロール(B)、金属ロール(C)、弾性ロール(D)、金属ロール(E)、弾性ロール(F)、金属ロール(G)、弾性ロール(H)、弾性ロール(I)、金属ロール(J)、弾性ロール(K)、金属ロール(L)の順である(9本の場合はE、Fを除く)。この時、金属ロール(G)、金属ロール(J)が100℃以上に加温され、他の金属ロールは40℃〜100℃に加温される。この形態を取ることにより、金属ロール(A)〜金属ロール(E)によって比較的低線圧処理によって水分プロファイルをより均一にし、かつ塗工紙表面を適度に平滑になり、金属ロール(G)により塗工紙の一方の面の高温処理を行い、金属ロール(J)によりもう一方の面の高温処理を行うことができる。この際、金属ロール(G)にて処理した面(A面)より、金属ロール(J)で処理した面(B面)の方が高い線圧で処理されることになるが、A面はB面と異なり低温・低線圧処理を受ける回数が多いため光沢度の表裏差は発生しにくい。また、カレンダー処理速度が好ましくは400m/分以上、より好ましくは500m/分以上においてもキャスト塗工紙並の高光沢が得られるものである。
(評価方法)
(1)白紙光沢度:JIS P 8142に基づいて測定した。
(2)印刷光沢度:オフセット輪転印刷機(4色)にて、オフセット印刷用インキ(東洋インキ性 レオエコーSOY Y)を用いて印刷速度500rpmで4色重ね印刷部のインキ着肉濃度が墨:1.80、藍:1.55、紅:1.50、黄:1.15(X−Rite社製 X−Rite408にて測定)となる様に印刷した後、紙面温度が110℃となるようにして乾燥し、得られた印刷物(4色ベタ印刷部)の表面をJIS P 8142に基づいて測定した。
(3)微小光沢度ムラ:光沢度のムラを以下の4段階で目視評価した。
◎:きわめて良好、○:良好、△:やや劣る、×:劣る
(4)カレンダ走行性:カレンダロールへのはり付きの程度をを以下の4段階で目視評価した。
◎:きわめて良好、○:良好、△:やや劣る、×:劣る
[実施例1]
顔料としてブラジル産カオリン(商品名:アマゾンプラス/CADAM社製、平均粒子径0.40μm)100部なる顔料に、分散剤としてポリアクリル酸ソーダ0.1部を配合、分散し、固形分濃度70%のカオリンスラリーを調製した。このカオリンスラリー50部(固形分)、重質炭酸カルシウムスラリー(ファイマテック社製 FMT−97、平均粒子径 0.58μm)50部(固形分)に、、密実型プラスチックピグメント(旭化成社製 L8920)14部を添加して、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(ガラス転移点温度−2℃、ゲル含量85%)12部、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉(ペンフォード社製 PG295)4部、蛍光染料(ランクセス社製 ブランコファUWリキッド)を加え、さらに水を加えて固形分濃度64%の塗工液1を得た。
[実施例2]
実施例1において、密実型プラスチックピグメント(旭化成社製 L8920)14部を5部に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例1]
実施例1において、密実型プラスチックピグメント(旭化成社製 L8920)14部を1部に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例2]
実施例1において、密実型プラスチックピグメント(旭化成社製 L8920)14部を35部に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例3]
実施例1において、カレンダー処理を表1−(2)に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例4]
実施例1において、カレンダー処理を表1−(3)に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例5]
実施例1において、塗工後、乾燥し、この後、スーパーカレンダによる表面処理を行い、リウェット液(ヘキサメタリン酸ナトリウム0.5%濃度)によって塗工層表面を再湿潤した後、フォーミングロールとキャストドラムによって形成されるプレスニップに通紙し、速度150m/min、表面温度115℃のキャストドラムに圧接、乾燥した後、ストリップオフロールでキャストドラムから離型することによってリウェットキャスト方式によるキャスト塗工紙を得た以外は、実施例1と同様の方法で製造した。
1 金属ロール
2 弾性ロール
3 高温金属ロール
Claims (3)
- 原紙上に、顔料及び接着剤を含有する塗工液を塗工する印刷用塗工紙の製造方法において、プラスチックピグメントを無機顔料100重量部に対して2〜30重量部含有した塗工液を塗工した後、弾性ロールと40℃以上100℃未満に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙し、更に弾性ロールと100℃以上かつ前記ロール温度と比較して20℃以上高い温度に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙して仕上げることを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。
- 塗工後のカレンダー処理において、弾性ロールと40℃以上100℃未満に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙する際の線圧の平均に対して、弾性ロールと100℃以上かつ前記ロール温度と比較して20℃以上高い温度に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙する際の線圧の平均が、20Kg/cm以上高いことを特徴とする請求項1記載の印刷用塗工紙の製造方法。
- 塗工後のカレンダー処理において、処理速度が400m/分以上であることを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。
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