JP2006199591A - 肝機能改善剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 優れた生理活性を有する発酵物を提供すること。
【解決手段】 本発明の人参を発酵処理して得られる発酵物を有効成分とする肝機能改善剤を提供する。本発明の人参を発酵処理して得られる発酵物は、優れた肝障害抑制作用ならびに肝細胞賦活作用を有し、肝障害抑制剤ならびに肝細胞賦活剤として利用できるため、有用である。これらの効果によって、発酵前の人参と比べ、優れた肝機能改善効果を得ることができる。また、これらのより優れた効果は、乳酸菌を用いた発酵により得られる。
【選択図】なし
【解決手段】 本発明の人参を発酵処理して得られる発酵物を有効成分とする肝機能改善剤を提供する。本発明の人参を発酵処理して得られる発酵物は、優れた肝障害抑制作用ならびに肝細胞賦活作用を有し、肝障害抑制剤ならびに肝細胞賦活剤として利用できるため、有用である。これらの効果によって、発酵前の人参と比べ、優れた肝機能改善効果を得ることができる。また、これらのより優れた効果は、乳酸菌を用いた発酵により得られる。
【選択図】なし
Description
本発明は、人参に微生物を作用させることにより得られる発酵物に関し、該発酵物を有効成分とする肝機能改善剤に関する。
微生物を用いた発酵は、動植物由来の原料へ微生物を作用させることにより、原料の嗜好性を向上させたり、特定の物質や新たな有用物質を生産させたりといったことのできる、古くから用いられている加工技術の一つである。
近年においては、発酵することによって単に有用物質の産生や嗜好性の改善だけではなく、新たな生理活性を獲得したり、発酵前の原料よりも生理活性を増強する作用を有するなど、発酵物自身について検討されている。(例えば特許文献1〜3)
特許第3060965号
特公平06−011216号
特許第3409038号
しかし、用いる原料、原料の処理方法、用いる微生物等によって、常に発酵物が生理活性を有するようになるとは限らないばかりか、発酵すらしえないこともあるといった問題点がある。
本発明者等は植物原料へ微生物を作用させて得られる発酵物について鋭意検討を行ったところ、人参を微生物で発酵しえることを見出し、また、優れた生理活性を有することをも見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、人参を発酵処理して得られる発酵物を有効成分とする、肝機能改善剤に関する。
より好ましい実施形態は、前記肝機能改善剤が、肝障害抑制作用を有する肝機能改善剤に関する。
より好ましい実施形態は、前記肝機能改善剤が、肝細胞賦活作用を有する肝機能改善剤に関する。
より好ましい実施形態は、前記発酵処理が、乳酸菌を用いた発酵である肝機能改善剤に関する。
本発明の人参に微生物を作用させることにより得られる発酵物は、優れた生理作用、例えば肝機能改善作用を有する。また、本発明の肝機能改善剤は、肝障害抑制作用や肝細胞賦活作用の優れた生理活性を示す。
本発明の人参を発酵処理することによって得られた発酵物(以下、単に本発明の発酵物ということが有る)を有効成分とする肝機能改善剤を詳細に説明する。なお、以下に説明する構成は、本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができることは当業者に明らかである。
本発明に用いる人参は、特に限定されるものではなく、西洋人参やサポニン配糖体を多く含む朝鮮人参、高麗人参、田七人参等が適しているが、特に好ましくはサポニン配糖体をさらに多く含む田七人参である。田七人参は、三七人参
とも呼ばれるウコギ科の多年草で、根にサポニン配糖体を含み、中国では止血剤、強心剤として用いられている。
とも呼ばれるウコギ科の多年草で、根にサポニン配糖体を含み、中国では止血剤、強心剤として用いられている。
本発明に用いられる人参は、通常、洗浄してから、あるいはさらに、カット、摩砕などの当業者が通常行う方法によって破砕してから使用される。なお、破砕物の大きさに特に制限はないが、好ましくは、粒経が5000μm以下、より好ましくは20μm〜5000μm程度の破砕物が用いられる。必要に応じて、水、エタノールなどを適宜加えて破砕してもよい。
本発明においては、破砕後、固液分離して得られた溶液(搾汁)も破砕物として用いることもできる。さらに上記人参またはその破砕物を抽出した後、固液分離して用いてもよい。人参由来の成分、すなわち不溶性成分および水溶性成分の全ての成分を発酵することができる点で、人参またはその破砕物を固液分離せずに用いることが好ましい。
上記人参およびその破砕物は、雑菌の繁殖を防ぐ目的で、加熱処理を行ってもよく、冷凍保存してもよい。特に、冷凍保存は、人参に含有される成分および風味の保持の観点から好ましく、直ちに次工程を行わない場合に採用される。
上記人参またはその破砕物は、発酵を効率的に行うために、必要に応じて、加水され得る。加水量に特に制限はない。通常、人参またはその破砕物1質量部に対して水が1〜50質量部、好ましくは10〜30質量部の割合で加えられる。
(酵素処理工程および中和処理工程)
次いで、人参またはその破砕物の発酵を促進する目的で、酵素による細胞壁分解処理および中和処理のうちの少なくとも1種で処理し得る。
次いで、人参またはその破砕物の発酵を促進する目的で、酵素による細胞壁分解処理および中和処理のうちの少なくとも1種で処理し得る。
酵素処理に用いられる酵素としては、アミラーゼ、ペクチナーゼ、エンドアラバナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、エンドβ−グルカナーゼ、エキソβ−グルカナーゼ、キシラーゼ、β−グルコシダーゼなどが挙げられる。好ましくは、ペクチナーゼである。これらの酵素は混合して用いてもよい。特に好ましくは、ペクチナーゼと、アミラーゼ、エンドアラバナーゼ、エンドβ−グルカナーゼ、エキソβ−グルカナーゼ、キシラナーゼ、およびβ−グルコシダーゼからなる群より選択される少なくとも1種の酵素との混合酵素である。これらの添加量は、酵素の種類によって異なるが、通常、酵素濃度が、0.0001〜0.5質量/容量%、好ましくは0.0005〜0.3質量/容量%となるように添加される。
酵素処理の条件は、処理する人参の形状、酵素の種類、酵素濃度に応じて適宜設定すればよい。通常、30〜75℃、好ましくは35〜70℃にて30分間〜72時間、好ましくは1〜48時間程度で処理される。
酵素処理は、発酵の阻害要因(例えば、ペクチン等の細胞壁を構成する多糖類)を分解することによって、発酵を短時間で終了させることができる。さらに、例えば、多糖類が分解されると、多糖類の分解物(単糖類、オリゴ糖など)が生成される。これらが、得られる人参発酵物中の新たな成分となる。例えば、オリゴ糖は、整腸作用、発酵物の可溶化を促進するなどの様々な効果を有する。単糖類は、さらに微生物の増殖に必要な栄養素を供給して微生物の有用物質の産生を促進すると考えられる。
中和処理は、最適なpHで発酵するために行われ、人参またはその破砕物のpHを4.0〜7.5に調節する。pHの調節は、当業者が用いる通常の方法を用いて行われる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、重曹、クエン酸ナトリウムなどのpH調整剤;電解水;クエン酸緩衝液や酢酸緩衝液などを添加して調節され得る。
(発酵工程)
上記人参またはその破砕物を発酵する、あるいは酵素処理および中和処理のうちの少なくとも1種で処理した後に発酵して本発明の発酵物を得る。
上記人参またはその破砕物を発酵する、あるいは酵素処理および中和処理のうちの少なくとも1種で処理した後に発酵して本発明の発酵物を得る。
発酵処理としては、乳酸発酵、クエン酸発酵、アルコール発酵、酢酸発酵などが挙げられる。これらの中でも、乳酸発酵が好ましく、これらの発酵を組み合わせてもよい。発酵は、例えば、24時間〜72時間で終了することが好ましく、発酵の種類に応じては、乳酸菌、酵母菌、酢酸菌などが用いられる。酵母や酢酸菌は、耐酸性が強いため、特に好ましく用いられる。
上述の酵素処理および中和処理はいずれも、発酵を促進させ、比較的短時間で発酵することにより、人参に含有される有効な成分の損失を少なくすることを目的として行われる。したがって、発酵能力が高い微生物(例えば、後述の特定の乳酸菌等)と、酵素処理または中和処理した人参またはその破砕物とを組み合わせることが、比較的短時間(例えば、24時間〜72時間)で発酵できる点から好ましい。
乳酸発酵は、上記人参またはその破砕物を乳酸菌と接触させることによって行われる。乳酸発酵は、得られる発酵物中に乳酸が含有されるため、発酵処理中の腐敗も防げる点で好ましい。
乳酸菌としては、ロイコノストック・メセントロイデス、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・デルブロイキ、ラクトバチルス・ガッセリ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ストレプトコッカス・サーモフィラス、ストレプトコッカス・フェカリス、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ラクティス、バチルス・メセンテリカス(Bacillus mesentericus)などが挙げられる。これらの乳酸菌は単独でまたは組み合わせて用いられる。特にこれらの微生物の中でも植物由来の成分を基に発酵を行う観点から、ラクトバチルス・プランタラムが好適に用いられる。
乳酸菌は、人参またはその破砕物100質量部に対して、乾燥菌体質量で好ましくは0.005〜10質量部、さらに好ましくは0.01〜5.0質量部添加される。
また、乳酸菌の優先的な生育のために、グルタミン酸またはその塩を加えてもよい。添加するグルタミン酸の量は、人参またはその破砕物に対して0.05〜1質量%程度、好ましくは0.2質量%程度である。
さらに乳酸菌の発酵を促進するために、乳酸菌代謝性の糖を添加してもよい。この糖の添加は、糖分含量が少ない植物(糖分含量が1質量%未満)を発酵させる場合に有用である。あるいは、発酵の促進および発酵物への甘味の付加という目的で糖を添加してもよい。
添加される糖は、乳酸菌が生育および発酵に利用し得る糖であり、例えば、庶糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの糖は、糖分が人参の糖分と合わせて発酵直前の溶液濃度が約0.1〜6質量%になるように加えることが好ましい。
乳酸発酵は、乳酸菌が優先的に増殖できる環境をつくるため、人参またはその破砕物のpHを予め中和処理により調節しておくことが好ましい。例えば、ラクトバチルス・プランタラムを用いる場合は、pHを4.0程度に調節してから発酵を開始すれば、短期間でその発酵を終了させることができる。
乳酸発酵は、発酵をより促進させる観点から、嫌気性条件下で行うことが好ましい。嫌気性条件は、例えば、人参またはその破砕物を発酵槽に入れた後、脱気することにより、または発酵槽を密封するか、窒素、二酸化炭素などのガスで満たすか、減圧することにより、あるいはそれらを組み合わせることにより得られる。また、嫌気条件下で発酵を行うことにより、得られる発酵物の風味も良くなる。
乳酸発酵の条件に特に制限はない。発酵温度は、通常、4℃〜50℃で行われ得る。発酵時間は、発酵温度に応じて適宜設定すればよく、20℃〜50℃で発酵を行う場合、12時間〜72時間、好ましくは24時間〜72時間である。さらに、風味を高める目的で4℃〜10℃の低温発酵を行う場合は、人参が本来有する成分の損失を考慮すると、5日間〜14日間が好ましい。
乳酸発酵は、糖を加えて発酵を停止させることができる。このような糖としては、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、オリゴ糖(例えば、マルトオリゴ糖、キトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖)などが挙げられる。このようなオリゴ糖は、整腸作用、う蝕の予防などに効果があり、得られる発酵物に機能性を付与し得る。
乳酸発酵は、人参中の成分を資化して有機酸やオリゴ糖などの有用成分を産生するだけでなく、発酵物を低いpHに維持できるため、他の雑菌の繁殖を防ぐことも可能である。また、乳酸菌を添加するため、風味の改善や整腸作用、酵素阻害作用などの生理活性の高い人参発酵物を得ることができる。
クエン酸発酵は、一般的には、酵母を、上記果実またはその破砕物と好気的条件下で接触させて培養することによって行われる。クエン酸発酵において、乳酸菌をさらに添加して発酵すると、酵母の増殖が促進されやすく、さらに得られる発酵物の嗜好性も高まるため好ましい。
酵母としては、清酒酵母、ワイン酵母、ビール酵母、パン酵母などが用いられる。例えば、サッカロミセス属、シゾサッカロミセス属などに属する酵母が用いられ、好ましくは、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・パストリアヌス、シゾサッカロミセス・ポンベなどが挙げられる。特にアミノ酸やビタミンなどの有用物質を産生する点で、サッカロミセス・セレビシエおよびその単離株が好ましい。
酵母は、人参またはその破砕物100質量部に対して、乾燥体質量で0.001〜20質量部、好ましくは0.01〜15質量部添加する。
クエン酸発酵は、人参またはその破砕物と酵母とを発酵槽に入れ、通気攪拌しながら、4℃〜40℃、好ましくは10℃〜35℃で24時間〜14日間行う。特に人参の果実は酸性であるため、酵母発酵により香気成分が高くなるため、より嗜好性の高い発酵物を得ることができる。
クエン酸発酵は、酵母を用いて行われるため、発酵物中に酵母が産生するアミノ酸、タンパク質、ビタミン類などが含まれ、栄養価が高く嗜好性に優れる点で好ましい。
アルコール発酵は、酵母を、人参またはその破砕物と嫌気条件下で接触させて培養することによって行われる。アルコール発酵に用いられる酵母の種類および量は、上記クエン酸発酵の場合と同様である。発酵条件も、嫌気条件にすること以外は、上記クエン酸発酵の場合と同様である。こうしてアルコール発酵で得られた人参発酵物は、さらに以下で述べる酢酸発酵に供することが好ましい。
酢酸発酵は、人参またはその破砕物にアルコールを加え、所定のアルコール濃度にした後、酢酸発酵し得る微生物(酢酸菌)を添加することによって行われる。あるいは上記のアルコール発酵によって得られた人参発酵物に酢酸菌を添加して二段発酵させてもよい。
アルコール濃度は、酢酸菌が生育できる濃度であれば、特に制限されず、発酵時間などに応じて適宜調整すればよい。好ましくは10質量/容量%以下、より好ましくは1〜6質量/容量%である。
酢酸菌としては、アセトバクター属に属する微生物、例えば、アセトバクター・アセチ、アセトバクター・パステウリアヌス、アセトバクター・ハンセニなどが挙げられる。
酢酸菌は、適切な培地で15℃〜40℃、好ましくは25℃〜35℃にて6〜48時間予備培養しておくことが好ましい。予備培養した酢酸菌は、例えば、次のようにして得られる。まず、ポテト200g、破砕酵母30g、肝臓エキス25g、肉エキス5g、チオグリコール酸培地10g、グルコース5g、グリセロール15g、および炭酸カルシウム15gを含有する1Lの酢酸菌培地(pH7.0)に酢酸菌を添加して、15℃〜40℃にて24時間予備培養する。次いで、得られた培養物を遠心分離し、回収した菌体を滅菌水で洗浄し、再度遠心分離して上清を除去することによって、予備培養した酢酸菌が得られる。
酢酸発酵は、攪拌培養、振盪培養、および静置培養のいずれでも行うことができる。発酵温度は10℃〜40℃、好ましくは20℃〜35℃で行われる。発酵時間は、酢酸菌の添加量に応じて適宜設定され、通常、1日〜1週間が好適である。
上記発酵後は、さらに必要に応じて、殺菌または除菌してもよい。例えば、加圧式殺菌、熱交換式殺菌、蒸煮殺菌、限外ろ過などの当業者が通常用いる方法が用いられる。加熱殺菌の場合、例えば、60℃〜120℃にて5秒間〜12時間行われる。
(人参発酵物)
このようにして得られた人参発酵物は、そのまま使用してもよいし、必要に応じて、その後当業者が通常用いる処理方法によって種々の態様にして使用することもできる。
このようにして得られた人参発酵物は、そのまま使用してもよいし、必要に応じて、その後当業者が通常用いる処理方法によって種々の態様にして使用することもできる。
このような態様としては、例えば、上記のように発酵物を固液分離して上清を回収することにより得られた発酵エキス、該発酵物または該発酵エキスを濃縮処理した発酵ペースト、該発酵物または該発酵エキスを乾燥・粉末化処理した発酵粉末または発酵エキス末などが挙げられる。これらは、すべて本発明発酵物の一態様である。
上記、人参発酵物の1つの実施態様である発酵粉末または発酵エキス末は、具体的には、該発酵物または発酵エキスを、乾燥、粉末化することによって得られる。乾燥は、当業者が通常用いる種々の方法が採用されるが、凍結乾燥、噴霧乾燥が好ましく用いられる。
噴霧乾燥は、必要に応じて、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、マルトースなどの賦形剤を添加して行われる。発酵物または発酵エキスと賦形剤との混合比は、発酵物を乾燥する場合、好ましくは質量比で1:2〜10:1、発酵エキスを乾燥する場合、好ましくは質量比1:10〜5:1である。上記混合比で乾燥することにより得られる発酵粉末または発酵エキス末の褐変を防ぐことができる。
本発明の人参発酵物は、人参本来の不快な風味が改善されているため、香りおよび風味がよく嗜好性に優れ、さらに発酵によって、発酵前の人参に比べ優れた肝機能改善作用を有する。さらに本発明の発酵物は、肝障害抑制作用、例えば、細胞障害性マーカーである例えば、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の上昇抑制作用を有することから、例えば、アルコール等の化学物質による肝障害を抑制する。さらには肝細胞賦活作用、例えば、細胞の活性化を示すミトコンドリア脱水素酵素(WST−1)値の向上作用を有することから、細胞を賦活し得る。これら上述の作用から、肝機能改善効果が得られる。
本発明の組成物は、上述の作用を有するため、該作用を得ることを目的とした種々の形態で利用される。この組成物は、人参本来の不快な風味が改善されているため、特別な処理を必要とすることなく種々の目的に利用される。例えば、食品、医薬品、医薬部外品などとして利用される。
本発明中の人参発酵物は、肝機能改善効果を有する。なお、これらの効果を得るための摂取量、配合量は特に制限はないが、摂取量については、成人一日あたりの摂取量が、例えば本発明の発酵物を発酵エキスとした場合は、1日当たりの摂取量の下限値は、乾燥質量換算で1mg以上、好ましくは10mg以上、最も好ましくは100mg以上であり、上限値は、2000mg以下、好ましくは1000mg以下である。
また、食品中への配合量は、その剤形によっても異なるが、例えば、本発明の発酵物を発酵エキスとした場合における配合量の下限値は、乾燥質量換算で0.00001質量%以上、好ましくは0.0001質量%以上、最も好ましくは0.1質量%以上であり、配合量の上限値は、90質量%以下、好ましくは60質量%以下である。
本発明の組成物は、上述のように、必要に応じて、種々の成分を含有し得る。種々の成分の含有量は任意である。種々の成分としては、例えば、通常の食品として添加し得る成分(賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤(例えば、寒天)、乳化剤、滑沢剤、湿潤剤、懸濁剤、着色料(色素)、食品添加物、調味料など)または通常、医薬部外品、化粧品、およびトイレタリー用品として添加し得る成分(基材、動植物抽出物など)が挙げられる。上記成分は、単独で含有させてもよく、組み合わせて含有させてもよい。
上記種々の成分の具体例としては、例えば、ローヤルゼリー、プロポリス、ビタミン類(A、B群、C、D、E、K、葉酸、パントテン酸、ビオチン、これらの誘導体等)ミネラル(鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等)、セレン、キチン・キトサン、レシチン、ポリフェノール(カテキン類、アントシアニン類、プロアントシアニジンなどの縮合型タンニン、ガロタンニン等の加水分解型タンニン、フラボノイド類、イソフラボン、これらの誘導体等)、カロテノイド(リコピン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテイン等)、サポニン(グリチルリチン酸等)、キサンチン誘導体(カフェイン等)、脂肪酸、アミノ酸、タンパク質(コラーゲン、エラスチン等)、ムコ多糖類(ヒアルロン酸、コンドロイチン、デルマタン、ヘパラン、ヘパリン、ケタラン、これらの塩等)、アミノ糖(グルコサミン、アセチルグルコサミン、ガラクトサミン、アセチルガラクトサミン、ノイラミン酸、アセチルノイラミン酸、ヘキソサミン、それらの塩等)、食物繊維(難消化性デキストリン、アルギン酸、グアガム、ペクチン、グルコマンナン等)、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、環状オリゴ糖等)リン脂質及びその誘導体(フォスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、セラミド等)、含硫化合物(アリイン、セパエン、タウリン、グルタチオン、メチルスルホニルメタン等)、糖アルコール、キノン類(コエンザイムQ10等)、リグナン類(セサミン等)、これらを含有する動植物抽出物、根菜類(ウコン、ショウガ等)、麦若葉末等のイネ科植物の緑葉、ケール等のアブラナ科植物の緑葉などが挙げられる。さらに上記食品添加物を含む飲料、例えば、植物発酵ジュース、野菜ジュース(例えば、人参ジュース)、植物抽出物、果汁なども利用され得、これらを含有させることにより機能性または栄養価の高い飲料を得ることができる。
上記のほかにも調味料として、例えば、グラニュー糖、蜂蜜、ソルビットなどの甘味料、アルコール、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの酸味料、および香料が挙げられる。
特に、肝臓の機能を強化する植物由来の成分を配合することが好ましい。このような肝臓の機能を強化する植物としては、例えば、ウコン、ショウガ、アザミ類(例えばマリアアザミ、オオアザミ、チョウセンアザミなど)、イチョウ(例えばイチョウ葉)、タラノキ、タンポポ(例えばセイヨウタンポポなど)、キンセンソウ、甘草、スピルリナ、クコ(例えばクコの実、クコの葉など)、アーティチョークおよびこれらの抽出物が挙げられる。また、これら植物から得られる特徴成分(例えばクルクミン、ジンゲロール類、ジアリールペプタイド、シマリン、グリチルリチン酸など)を用いてもよい。
本発明の組成物は、目的に応じて、各種の形態に調製することができる。例えば、食品などとして利用する場合は、ハードカプセル、ソフトカプセルなどのカプセル剤、錠剤、丸剤、粉末(散剤)、顆粒、ティーバッグ、液体(飲料)、ペーストなどの当業者が通常用いる形態で利用される。
さらに、上記液体などを加工して、ゼリー、シャーベット、フローズンヨーグルトあるいはアイスクリームとすることもできる。これらは、形状または好みに応じて、そのまま摂取してもよく、あるいは水、湯、牛乳などに溶いて、または成分を浸出して飲むことができる。なお、飲料の場合、低pHであれば、120℃、4分の完全殺菌をしなくても、100℃以下の殺菌条件で殺菌できる。例えば、pHが4.0以下の場合では、65℃、10分相当の殺菌条件で十分に殺菌できる。
本発明の組成物は、目的に応じて、各種の形態に調製することができる。例えば、食品などとして利用する場合は、ハードカプセル、ソフトカプセルなどのカプセル剤、錠剤、丸剤、粉末(散剤)、顆粒、ティーバッグ、液体(飲料)、ペーストなどの当業者が通常用いる形態で利用される。
さらに、上記液体などを加工して、ゼリー、シャーベット、フローズンヨーグルトあるいはアイスクリームとすることもできる。これらは、形状または好みに応じて、そのまま摂取してもよく、あるいは水、湯、牛乳などに溶いて、または成分を浸出して飲むことができる。なお、飲料の場合、低pHであれば、120℃、4分の完全殺菌をしなくても、100℃以下の殺菌条件で殺菌できる。例えば、pHが4.0以下の場合では、65℃、10分相当の殺菌条件で十分に殺菌できる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明がこの実施例により制限されないことはいうまでもない。
(実施例1:田七人参の発酵エキス末の調整)
田七人参の乾燥物をフードプロセッサで破砕して得られた破砕物1kgにイオン交換水20Lを加えて攪拌した後に、ブドウ糖を0.2kgおよび乳酸菌(ラクトバチルス・プランタラム)を乾燥質量で20g添加して、攪拌した後に、35℃で24時間発酵処理した。発酵終了後に、得られた発酵物から遠心分離を行い、上清を回収して発酵エキスを得た。次いで、この発酵エキスを100℃、2分間の加熱処理を行った後に、減圧濃縮乾固して0.8kgの発酵エキス末を得た。
田七人参の乾燥物をフードプロセッサで破砕して得られた破砕物1kgにイオン交換水20Lを加えて攪拌した後に、ブドウ糖を0.2kgおよび乳酸菌(ラクトバチルス・プランタラム)を乾燥質量で20g添加して、攪拌した後に、35℃で24時間発酵処理した。発酵終了後に、得られた発酵物から遠心分離を行い、上清を回収して発酵エキスを得た。次いで、この発酵エキスを100℃、2分間の加熱処理を行った後に、減圧濃縮乾固して0.8kgの発酵エキス末を得た。
(比較例1:田七人参の非発酵エキス末の調整)
実施例1で用いた田七人参を同様にフードプロセッサで破砕して得られた破砕物1kgにイオン交換水20Lを加えて攪拌した後に、遠心分離を行い、上清を回収して非発酵エキスを得た。次いで、このエキスを100℃、2分間の加熱処理を行った後に、減圧濃縮乾固して0.7kgの非発酵エキス末を得た。
実施例1で用いた田七人参を同様にフードプロセッサで破砕して得られた破砕物1kgにイオン交換水20Lを加えて攪拌した後に、遠心分離を行い、上清を回収して非発酵エキスを得た。次いで、このエキスを100℃、2分間の加熱処理を行った後に、減圧濃縮乾固して0.7kgの非発酵エキス末を得た。
(実施例2:肝機能改善作用の評価用サンプルの培養)
実施例1の発酵エキス末および比較例1の未発酵エキス末を用いて、下記のように肝機能改善作用の評価用サンプルの培養を行った。
実施例1の発酵エキス末および比較例1の未発酵エキス末を用いて、下記のように肝機能改善作用の評価用サンプルの培養を行った。
HepG2細胞(ヒト肝臓腫瘍細胞)を、96ウェルプレートに2×104cells/ウェル播種し、0.1mLの標準培地(5容量%の血清を含むDMEM培地)にて24時間培養した。その後、3ウェルを300mMのエタノール、0.08μg/mLの発酵エキス末および、血清を含む標準培地に置換し、24時間培養を行った。比較群としては、試験群の発酵エキス末の代わりに、非発酵エキス末を用いた以外は同様に調整した培地を用いて、試験群と同様にして培養した。対照群1は、置換した培地を標準培地とした以外は、試験群と同様に培養した。また対照群2は、置換した培地を0.1%のTritonXを含有する標準培地とした以外は、試験群と同様に培養した。
(実施例3:肝機能障害抑制作用の評価)
実施例2で得た各群の培地上清を回収し、測定用サンプルとした。このサンプルについて、細胞障害のマーカーである乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)をCytotoxicity Detection Kit(タカラバイオ株式会社)で、測定した。その際、対照群2のLDH値の平均値を100%とした時の割合(%)を算出した。結果を表1に示す。
実施例2で得た各群の培地上清を回収し、測定用サンプルとした。このサンプルについて、細胞障害のマーカーである乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)をCytotoxicity Detection Kit(タカラバイオ株式会社)で、測定した。その際、対照群2のLDH値の平均値を100%とした時の割合(%)を算出した。結果を表1に示す。
(実施例4:肝細胞賦活作用の評価)
実施例2で得た各群のウェルより培養液を除去し、PBS(−)でウェルを洗浄した後、Cell Counting Kit(株式会社同仁化学)にて、細胞の活性化を示すマーカーであるミトコンドリア脱水素酵素(WST−1)を測定した。その際、対照群1のWST−1値の平均値を100%とした時の割合(%)を算出した。結果を表1に示す。なお、LDH値が低い程、細胞の障害を抑制することを示し、WST−1値が高い程、細胞の活性化が向上していることを示す。
実施例2で得た各群のウェルより培養液を除去し、PBS(−)でウェルを洗浄した後、Cell Counting Kit(株式会社同仁化学)にて、細胞の活性化を示すマーカーであるミトコンドリア脱水素酵素(WST−1)を測定した。その際、対照群1のWST−1値の平均値を100%とした時の割合(%)を算出した。結果を表1に示す。なお、LDH値が低い程、細胞の障害を抑制することを示し、WST−1値が高い程、細胞の活性化が向上していることを示す。
表1の結果より、本発明の発酵エキス末は、非発酵エキス末と比べ、エタノールを投与しても、細胞障害のマーカーであるLDH値が低い。すなわち、エタノール等の化学物質による肝障害を、抑制し得ることが分かる。さらに、本発明の発酵エキス末は、非発酵エキス末と比べ、エタノール投与に伴って、細胞の活性を示すマーカーであるWST−1値が向上し、さらに対照群1が100%であったのに対し、15%以上上昇していることから、肝細胞が賦活され得ることが分かる。すなわち、本発明の発酵物は、発酵によって優れた肝障害抑制作用ならびに肝細胞賦活作用を有することにより、アルコール等の化学物質による障害を抑制し、かつ細胞を賦活して肝機能の改善剤として利用し得ることが分かる。
本発明の人参を発酵処理して得られる発酵物は、優れた肝障害抑制作用ならびに肝細胞賦活作用を有し、肝障害抑制剤ならびに肝細胞賦活剤として利用できるため、有用である。これらの効果によって、発酵前の人参と比べ、優れた肝機能改善効果を得ることができる。
Claims (4)
- 人参を発酵処理して得られる発酵物を有効成分とする、肝機能改善剤。
- 前記肝機能改善剤が肝障害抑制作用を有することを特徴とする、請求項1に記載の肝機能改善剤。
- 前記肝機能改善剤が肝細胞賦活作用を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の肝機能改善剤。
- 前記発酵処理が、乳酸菌を用いた発酵である請求項1から3に記載の肝機能改善剤。
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