JP2006076927A - マンゴーから得られる発酵物 - Google Patents

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Abstract

【課題】生理活性の高い発酵物と、その発酵物を用いた経口用組成物および経皮用組成物とを提供する。
【解決手段】マンゴーに微生物(特に乳酸菌)を作用させて、生理活性の高い発酵物を得た。具体的には、チロシナーゼ阻害活性、α−グルコシダーゼ阻害活性およびエラスターゼ阻害活性などの生理活性に優れた発酵物を得た。特に、乳酸菌による発酵が好適であり、多くの食品や化粧品、医薬品、医薬部外品の原料として利用することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、マンゴーに微生物を作用させることにより得られる発酵物、特にマンゴーを発酵することによって様々な生理作用を有する発酵物に関する。
微生物を用いた発酵は、古くから用いられている加工技術の一つであって、例えば、動植物由来の原料に微生物を作用させることによって、原料の嗜好性の向上、および特定の物質や新たな有用物質の生産に利用されてきた。
近年においては、発酵することによって単に有用物質の産生や嗜好性を改善するだけでなく、新たな生理活性の獲得、具体例としては、発酵前の原料よりも生理活性を増強する作用を有するなど、生理活性の高い発酵物自身についての検討がなされている。(例えば特許文献1〜3)
特許第3060965号 特公平06−011216号 特許第3409038号
しかし、用いる原料、原料の処理方法、および用いる微生物等によっては、発酵物が生理活性を有するとは限らないばかりか、発酵すらしないこともあるといった問題点がある。つまり、生理活性の高い発酵物を得るために発酵させても、その発酵における方法および素材の選択が誤っていれば、生理活性が低いまたは生理活性を有さない発酵物しか得られないという問題点がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、生理活性の高い発酵物と、その発酵物を用いた経口用組成物および経皮用組成物とを提供することにある。
本発明者は、動植物原料へ微生物を作用させて得られる発酵物について鋭意検討を行ったところ、マンゴーを微生物で発酵して、優れた生理活性を有する発酵物を得ることができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の発酵物は、マンゴーに微生物を作用させることにより得られることを特徴としている。
好ましくは、上記微生物は乳酸菌である。
さらに好ましくは、酵素阻害活性および抗酸化活性の少なくともいずれかの活性を有することを特徴としている。
また、本発明の経口用組成物は、上記発酵物を含有することを特徴としている。
さらに、本発明の経皮用組成物は、上記発酵物を含有することを特徴としている。
本発明によれば、所定の条件下でマンゴーに微生物を作用させると、様々な生理活性を有する発酵物を得ることができる。ここでいう生理活性としては、例えば、チロシナーゼ阻害活性、リパーゼ阻害活性、グルコシダーゼ阻害活性(例えばα−グルコシダーゼ阻害活性)といった酵素阻害活性、抗酸化活性(例えばスーパーオキシドジスムターゼ活性)などが挙げられる。さらに、微生物として乳酸菌を用いれば、生理活性の高い発酵物を得ることができる。よって、これら発酵物を用いれば、美容効果等を有する経口用組成物および経皮用組成物を得ることができる。
以下、本発明の発酵物について説明する。なお、以下に説明する形態は、本発明を限定するものでない。すなわち、本発明は、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができる。
(マンゴー)
本発明に用いるマンゴーとは、インド東部やマレー半島が原産地といわれるウルシ科の常緑潅木であり、本発明ではマンゴーの果実を用いることが好ましい。
マンゴーには、体内でビタミンAに変換されるベータカロチンを多く含み、ビタミンC、ビタミンB類、カリウム、カルシウムを含有する。また、マンゴーには、エリオントリンと呼ばれるフラボノイドの一つである色素が老化予防に効果があるとも言われている。
本発明の発酵物を得る場合、通常、洗浄後のマンゴーを、または、洗浄後にさらにカット・摩砕などの当業者が通常行う方法によって破砕したマンゴーを用いる。破砕したマンゴーを用いる場合、その破砕物の大きさに特に制限はないが、好ましくは、粒経が5000μm以下、より好ましくは20μm〜5000μm程度の破砕物が用いられる。
本発明においては、破砕後、固液分離して得られた溶液(搾汁)も破砕物として用いることもできる。さらに、上記マンゴーまたはその破砕物を抽出した後、固液分離して用いてもよい。なお、マンゴー由来の成分、すなわち不溶性成分および水溶性成分の全ての成分を発酵することができる点では、マンゴーまたはその破砕物を固液分離せずに用いることが好ましい。
上記マンゴーおよびその破砕物は、雑菌の繁殖を防ぐ目的で、加熱処理が施されてもよく、冷凍保存されてもよい。特に、冷凍保存は、マンゴーに含有される成分および風味の保持の観点から好ましく、直ちに次工程を行わない場合に採用される。
上記マンゴーまたはその破砕物には、発酵を効率的に行うために、必要に応じて、加水されてもよい。加水量には、特に制限はない。例示すれば、マンゴーまたはその破砕物1質量部に対して、加える水の量の下限値は0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、加える水の量の上限値は30質量部以下、好ましくは10質量部以下とすればよい。
(酵素処理工程および中和処理工程)
次に、マンゴーまたはその破砕物の発酵を促進するための工程について説明する。このような発酵を促進するための工程としては、例えば、酵素による細胞壁分解処理工程、中和処理工程が挙げられる。なお、この工程は、上記細胞壁分解処理工程および中和処理工程のいずれか1種だけ用いてもよいし、両方を用いてもよい。
酵素による細胞壁分解処理工程において、用いることができる酵素としては、例えば、アミラーゼ、ペクチナーゼ、エンドアラバナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、エンドβ−グルカナーゼ、エキソβ−グルカナーゼ、キシラーゼ、β−グルコシダーゼなどが挙げられる。そのうち、ペクチナーゼを用いることが好ましい。もちろん、上記酵素を混合して用いてもよい。特に好ましくは、ペクチナーゼと、アミラーゼ、エンドアラバナーゼ、エンドβ−グルカナーゼ、エキソβ−グルカナーゼ、キシラナーゼ、およびβ−グルコシダーゼからなる群より選択される少なくとも1種の酵素との混合酵素である。これらの添加量は、酵素の種類によって異なるが、通常、酵素濃度が、0.0001〜0.5質量/容量%、好ましくは0.0005〜0.3質量/容量%となるように添加される。
酵素処理の条件は、処理するマンゴーの形状、酵素の種類、酵素濃度に応じて適宜設定すればよい。例えば、酵素処理における温度は、その下限値を30℃以上、好ましくは35℃以上とすればよく、その上限値を75℃以下、好ましくは70℃以下とすればよい。酵素処理における時間(酵素反応の時間)は、例えば、その下限値を30分間以上、好ましくは1時間以上、その上限値を72時間以下、好ましくは48時間以下とすればよい。
酵素処理を行えば、例えば、発酵の阻害要因(例えば、ペクチン等の細胞壁を構成する多糖類)を分解することができ、その結果、発酵を短時間で終了させることができる。このように発酵を短時間で終了させることができれば、例えば、発酵により損失させたくない成分(例えばアスコルビン酸など)がある場合は、そのような成分の損失を最小限とすることが可能となる。具体例でいえば、発酵による損失(例えばアスコルビン酸の損失)が少ないマンゴーの発酵物を得ることができる。
さらに、例えば、酵素処理により多糖類が分解されれば、多糖類の分解物(単糖類、オリゴ糖など)が生成される。これらは、得られるマンゴーの発酵物中における新たな成分となる。例えば、オリゴ糖は、整腸作用、発酵物の可溶化を促進するなどの様々な効果を有する。単糖類は、さらに微生物の増殖に必要な栄養素となり、微生物の有用物質の産生を促進すると考えられる。
中和処理は、最適なpHで発酵するために行われる。例えば、マンゴーまたはその破砕物のpHを4.0〜7.5に調節する。pHの調節は、当業者が用いる通常の方法を用いて行われる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、重曹、クエン酸ナトリウムなどのpH調整剤、電解水、緩衝液(例えばクエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液)などを添加して、pHを調節することができる。
上述の酵素処理および中和処理は、いずれも、発酵を促進させて比較的短時間で発酵することにより、マンゴーに含有される有効な成分の損失を少なくすることができる点で有用である。そして、酵素処理または中和処理したマンゴーまたはその破砕物と、発酵能力が高い微生物(例えば後述する特定の乳酸菌等)とを組合せて、下記の発酵工程で発酵を行えば、比較的短時間(例えば、24時間〜72時間)で発酵を完了させることができる。
(発酵工程)
次に、発酵工程について説明する。上記マンゴーまたはその破砕物を発酵させることにより、または、上記酵素処理および中和処理のうちの少なくとも1種で処理したマンゴーを発酵させることにより、本発明の発酵物を得ることができる。
発酵としては、乳酸発酵、クエン酸発酵、アルコール発酵、酢酸発酵などが挙げられる。これらの中でも、乳酸発酵が好ましく、これらの発酵を組み合わせてもよい。発酵させる時間は、例えば24時間〜72時間で終了することが好ましい。また、発酵の種類に応じては、乳酸菌、酵母菌、酢酸菌などが用いられる。酵母や酢酸菌は、耐酸性が強いため、特に好ましく用いられる。
(乳酸発酵)
乳酸発酵は、上記マンゴーまたはその破砕物を乳酸菌と接触させることによって行われる。乳酸発酵は、得られる発酵物中に乳酸が含有される点で好ましい。含有される乳酸の量については、発酵物の乾燥質量100g当り、乳酸を乾燥質量換算で0.1mg(0.0001質量%)以上、好ましくは0.5mg(0.0005質量%)以上、より好ましくは1mg(0.001質量%)以上とするのがよい。
本発明で用いることができる乳酸菌としては、例えば、ロイコノストック属、ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属、ビフィドバクテリウム属、ペディオコッカス属、エンテロコッカス属、およびペディオコッカス属に分類される乳酸菌が挙げられる。本発明で用いることができる乳酸菌の具体例としては、ロイコノストック・メセントロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・デルブロイキ(Lactobacillus delbrueckii(さらに具体的にはLactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus))、ラクトバチルス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、バチルス・メセンテリカス(Bacillus mesentericus)などが挙げられる。
本発明では、発酵させる素材としてマンゴーを用いているので、乳成分を要求しない乳酸菌、例えば漬物などで見られる乳酸菌を用いてもよい。そのような乳酸菌の具体例としては、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、エンテロコッカス・フェーカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェーシウム(Enterococcus faecium)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)、ペディオコッカス・ハロフィラス(Pediococcus halophilus)などが挙げられる。
なお、本発明において、上記乳酸菌は、単独で用いてもよく、違う種類の乳酸菌を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、微生物(特に乳酸菌)を用いて発酵を行えば、得られる発酵物は、チロシナーゼ阻害活性、グルコシダーゼ阻害活性(例えばα−グルコシダーゼ阻害活性)、エラスターゼ阻害活性の少なくとも何れか一つの生理活性において優れた生理活性を示す。よって、微生物(特に乳酸菌)を用いて発酵を行うことは有用である。
発酵を行うにあたり、マンゴーまたはその破砕物100質量部に対して、微生物(特に乳酸菌)は、乾燥菌体質量で0.005〜10質量部、好ましくは0.01〜5.0質量部添加するのがよい。
また、乳酸菌の優先的な生育のために、生育用の添加物を添加してもよい。ここでいう生育用の添加物としては、例えば、グルタミン酸またはその塩、酵母エキス、ペプトンなどが挙げられる。生育用の添加物の添加量は、特に限定されないが、マンゴーまたはその破砕物に対して0.05〜1質量%程度、好ましくは0.2質量%程度とするのがよい。
また、乳酸菌の発酵を促進するために、乳酸菌代謝性の糖を添加してもよい。この糖の添加は、糖分含量が少ない植物(例えば糖分含量が1質量%未満の植物)を発酵させる場合に有用である。もちろん、発酵の促進および発酵物への甘味の付加という目的で糖を添加してもよい。糖を添加する場合、その種別は特に限定されないが、乳酸菌が生育または発酵に利用することができる糖を添加することが好ましく、例えば、庶糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖などを添加するのが好ましい。もちろん、ここに例示した糖とは別の糖を添加してもよい。添加する糖の量については、糖分がマンゴーの糖分と合わせて約1〜6質量%になるように加えることが好ましい。
乳酸発酵は、乳酸菌が優先的に増殖できる環境をつくるため、マンゴーまたはその破砕物のpHを予め中和処理により調節しておくことが好ましい。例えば、ラクトバチルス・プランタラムを用いる場合は、pHを4.0程度に調節した後に発酵を開始すれば、短期間でその発酵を終了させることができる。
乳酸発酵は、アスコルビン酸の分解を抑制する観点から、嫌気性条件下で行うことが好ましい。嫌気性条件は、例えば、マンゴーまたはその破砕物を発酵槽に入れた後、脱気することにより、または発酵槽を密封するか、窒素、二酸化炭素などのガスで満たすか、減圧することにより、あるいはそれらを組み合わせることにより得られる。また、嫌気条件下で発酵を行うことにより、得られる発酵物の風味も良くなる。
乳酸発酵の条件に特に制限はない。発酵温度は、通常、4℃〜50℃で行われ得る。発酵時間は、発酵温度に応じて適宜設定すればよく、20℃〜50℃で発酵を行う場合、12時間〜72時間、好ましくは24時間〜72時間である。さらに、風味を高める目的で4℃〜10℃の低温発酵を行う場合は、アスコルビン酸などのマンゴーに含有される成分の損失を考慮すると、5日間〜14日間が好ましい。
乳酸発酵は、糖を加えて発酵を停止させることができる。このような糖としては、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、オリゴ糖(例えば、マルトオリゴ糖、キトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖)などが挙げられる。このようなオリゴ糖は、整腸作用、う蝕の予防などに効果があり、得られる発酵物に機能性を付与し得る。
乳酸発酵は、マンゴー中の成分を資化して有機酸やオリゴ糖などの有用成分を産生するだけでなく、発酵物を低いpHに維持できるため、他の雑菌の繁殖を防ぐことも可能である。また、乳酸菌を添加するため、風味の改善や整腸作用、酵素阻害作用などの生理活性の高いマンゴー発酵物を得ることができる。
(クエン酸発酵)
クエン酸発酵は、一般的には、酵母を、マンゴーまたはその破砕物と好気的条件下で接触させて培養することによって行われる。クエン酸発酵において、乳酸菌をさらに添加して発酵すると、酵母の増殖が促進されやすく、さらに得られる発酵物の嗜好性も高まるため好ましい。
酵母としては、清酒酵母、ワイン酵母、ビール酵母、パン酵母などが用いられる。例えば、サッカロミセス属、シゾサッカロミセス属などに属する酵母が用いられ、好ましくは、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・パストリアヌス、シゾサッカロミセス・ポンベなどが挙げられる。特にアミノ酸やビタミンなどの有用物質を産生する点で、サッカロミセス・セレビシエおよびその単離株が好ましい。
酵母は、マンゴーまたはその破砕物100質量部に対して、乾燥体質量で0.001〜15質量部、好ましくは0.01〜10質量部添加する。
クエン酸発酵は、マンゴーまたはその破砕物と酵母とを発酵槽に入れ、通気攪拌しながら、4℃〜40℃、好ましくは10℃〜35℃で24時間〜14日間行う。特にマンゴーが酸性であると酵母発酵により香気成分が高くなるため、より嗜好性の高い発酵物を得ることができる。
クエン酸発酵は、酵母を用いて行われるため、発酵物中に酵母が産生するアミノ酸、タンパク質、ビタミン類などが含まれ、栄養価が高く嗜好性に優れる点で好ましい。
(アルコール発酵および酢酸発酵)
アルコール発酵は、酵母を、マンゴーまたはその破砕物と嫌気条件下で接触させて培養することによって行われる。アルコール発酵に用いられる酵母の種類および量は、上記クエン酸発酵の場合と同様である。発酵条件も、嫌気条件にすること以外は、上記クエン酸発酵の場合と同様である。こうしてアルコール発酵で得られたマンゴー発酵物は、さらに以下で述べる酢酸発酵に供することが好ましい。
酢酸発酵は、マンゴーまたはその破砕物にアルコールを加え、所定のアルコール濃度にした後、酢酸発酵し得る微生物(酢酸菌)を添加することによって行われる。酢酸発酵は、一般的には、微生物(酢酸菌)を、マンゴーまたはその破砕物と好気的条件下で接触させて培養することによって行われる。あるいは上記のアルコール発酵によって得られたマンゴー発酵物に酢酸菌を添加して二段発酵させてもよい。
アルコール濃度は、酢酸菌が生育できる濃度であれば、特に制限されず、発酵時間などに応じて適宜調整すればよい。好ましくは10質量/容量%以下、より好ましくは1〜6質量/容量%である。
酢酸菌としては、アセトバクター属に属する微生物、例えば、アセトバクター・アセチ、アセトバクター・パステウリアヌス、アセトバクター・ハンセニなどが挙げられる。
酢酸菌は、適切な培地で15℃〜40℃、好ましくは25℃〜35℃にて6〜48時間予備培養しておくことが好ましい。予備培養した酢酸菌は、例えば、次のようにして得られる。まず、ポテト200g、破砕酵母30g、肝臓エキス25g、肉エキス5g、チオグリコール酸培地10g、グルコース5g、グリセロール15g、および炭酸カルシウム15gを含有する1Lの酢酸菌培地(pH7.0)に酢酸菌を添加して、15℃〜40℃にて24時間予備培養する。次いで、得られた培養物を遠心分離し、回収した菌体を滅菌水で洗浄し、再度遠心分離して上清を除去することによって、予備培養した酢酸菌が得られる。
酢酸発酵は、攪拌培養、振盪培養、および静置培養のいずれでも行うことができる。発酵温度は10℃〜40℃、好ましくは20℃〜35℃で行われる。発酵時間は、酢酸菌の添加量に応じて適宜設定され、通常、1日〜1週間が好適である。
上記発酵後は、さらに必要に応じて、殺菌または除菌してもよい。例えば、加圧式殺菌、熱交換式殺菌、蒸煮殺菌、限外濾過などの当業者が通常用いる方法が用いられる。加熱殺菌の場合、例えば、60℃〜120℃にて5秒間〜12時間行われる。
(発酵物)
このようにマンゴーを発酵して得られる発酵物(マンゴー発酵物)は、そのまま使用してもよいし、必要に応じて、その後当業者が通常用いる処理方法によって種々の態様で使用してもよい。このような態様としては、例えば、上記のように発酵物を固液分離して上清を回収することにより得られた発酵エキス、該発酵物または該発酵エキスを濃縮処理した発酵ペースト、該発酵物または該発酵エキスを乾燥・粉末化処理した発酵粉末または発酵エキス末などが挙げられる。これらは、すべてマンゴー発酵物の一態様である。
上記マンゴー発酵物の実施態様の1つに、発酵粉末または発酵エキス末がある。それら発酵粉末または発酵エキス末は、具体的には、該発酵物または発酵エキスを、乾燥、粉末化することによって得られる。乾燥は、当業者が通常用いる種々の方法により行えばよいが、凍結乾燥、噴霧乾燥が好ましく用いられる。噴霧乾燥は、必要に応じて、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、マルトースなどの賦形剤を添加して行われる。発酵物または発酵エキスと賦形剤との混合比は、発酵物を乾燥する場合、好ましくは質量比で1:5〜10:1、発酵エキスを乾燥する場合、好ましくは質量比1:10〜5:1である。上記混合比で乾燥することにより得られる発酵粉末または発酵エキス末の褐変を防ぐことができる。
本発明の発酵物は、香りおよび風味がよく嗜好性に優れている。そして、発酵によって、マンゴーが本来有しない新規な機能(活性)を付与する、または、マンゴーが本来有する生理活性を増強することができる。つまり、発酵前と比べて、発酵後の方が、高い生理活性を有する発酵物を製造することができる。ここでいう新規な機能(活性)および生理活性としては、例えば酵素阻害活性および抗酸化活性などが挙げられる。また、ここでいう酵素阻害活性の具体例としては、チロシナーゼ阻害活性、グルコシダーゼ阻害活性(例えばα−グルコシダーゼ阻害活性)、リパーゼ阻害活性などが挙げられる。そして、ここでいう抗酸化活性の具体例としては、スーパーオキシドジスムターゼ活性(SOD活性)などが挙げられる。
本発明のマンゴー発酵物は、上述のように、チロシナーゼ阻害活性、グルコシダーゼ阻害活性(例えばα−グルコシダーゼ阻害活性)、リパーゼ阻害活性、抗酸化活性などの生理活性を有する。そのため、さまざまな作用および効果が期待できる。例えば、チロシナーゼ阻害活性によれば、肌の美白効果、クスミの改善等の効果が期待できる。α−グルコシダーゼ阻害活性によれば、糖の消化吸収抑制効果、血糖値上昇抑制効果、糖尿病および糖尿病合併予防効果、抗肥満効果が期待できる。抗酸化活性によれば、美容効果、老化予防などが期待できる。リパーゼ阻害活性によれば、脂質の消化吸収抑制効果、血中脂質上昇抑制効果、抗肥満効果などが期待できる。
(経口用組成物および経皮用組成物)
本発明のマンゴー発酵物は、上記のような生理活性を有する。そのため、本発明のマンゴー発酵物を含有させて経皮用組成物または経口用組成物として利用することは、きわめて有用である。
本発明の経皮用組成物および経口用組成物は、上記発酵物を含有している。もちろん、必要に応じて、その他の成分を含有することができる。なお、ここでいう経口用組成物には、食品をはじめ、経口投与を目的とした医薬品、医薬部外品等が包含される。また、ここでいう経皮用組成物には、化粧品をはじめ、経皮投与を目的とした医薬品、医薬部外品等、トイレタリー用品などが包含される。
本発明の組成物中において、発酵物の含有量は特に制限されない。しかし、マンゴー発酵物が有する生理作用を得ることを考慮すれば、次のような量とするのがよい。例えば、経口用組成物とする場合(食品など経口投与を目的とする場合)、発酵物の含有量の下限値は、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上とするのがよく、発酵物の含有量の上限値は、100%以下、好ましくは70%以下とするのがよい。経皮用組成物とする場合(化粧品などの経皮投与を目的とする場合)、発酵物の含有量の下限値は、0.00001質量%以上、好ましくは0.0001質量%以上とするのがよく、発酵物の含有量の上限値は、50質量%以下、好ましくは30質量%以下とするのがよい。
本発明の組成物は、上述のように、必要に応じて、種々の成分を含有し得る。種々の成分の含有量は、用途等を考慮して任意に決定すればよい。ここでいう種々の成分としては、例えば、通常の食品として添加し得る成分、具体的には、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤(例えば寒天)、乳化剤、滑沢剤、湿潤剤、懸濁剤、着色料(色素)、食品添加物、調味料など、または、医薬部外品、化粧品、およびトイレタリー用品として添加し得る成分(基材、動植物抽出物など)が挙げられる。もちろん、これら種々の成分は、単独で含有させてもよく、組み合わせて含有させてもよい。
上記種々の成分の具体例としては、ローヤルゼリー、プロポリス、ビタミン類(A、B群、C、D、E、K、葉酸、パントテン酸、ビオチン、これらの誘導体等)ミネラル(鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等)、セレン、キチン・キトサン、レシチン、ポリフェノール(カテキン類、アントシアニン類、プロアントシアニジンなどの縮合型タンニン、ガロタンニン等の加水分解型タンニン、フラボノイド類、これらの誘導体等)、カロテノイド(リコピン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテイン等)、サポニン(イソフラボン、ジンセサノイド、グリチルリチン酸等)、キサンチン誘導体(カフェイン等)、脂肪酸、アミノ酸、タンパク質(コラーゲン、エラスチン等)、ムコ多糖類(ヒアルロン酸、コンドロイチン、デルマタン、ヘパラン、ヘパリン、ケタラン、これらの塩等)、アミノ糖(グルコサミン、アセチルグルコサミン、ガラクトサミン、アセチルガラクトサミン、ノイラミン酸、アセチルノイラミン酸、ヘキソサミン、それらの塩等)、食物繊維(難消化性デキストリン、アルギン酸、グアガム、ペクチン、グルコマンナン等)、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、環状オリゴ糖等)リン脂質及びその誘導体(フォスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、セラミド等)、含硫化合物(アリイン、セパエン、タウリン、グルタチオン、メチルスルホニルメタン等)、糖アルコール、キノン類(コエンザイムQ10等)、リグナン類(セサミン等)、これらを含有する動植物抽出物、根菜類(ウコン、ショウガ等)、麦若葉末等のイネ科植物の緑葉、ケール等のアブラナ科植物の緑葉などが挙げられる。さらに、これら食品添加物を含む飲料、例えば、植物発酵ジュース、野菜ジュース(例えば、人参ジュース)、植物抽出物、果汁などを上記種々の成分として利用してもよく、これらを含有させることにより、機能性または栄養価の高い飲料を得ることができる。
もちろん、上記種々の成分として、調味料を添加してもよい。ここでいう調味料の具体例としては、グラニュー糖、蜂蜜、ソルビットなどの甘味料、アルコール、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの酸味料、および香料などが挙げられる。
本発明の組成物は、目的に応じて、各種の形態に調製して利用することができる。例えば、食品などの経口用組成物として利用する場合は、ハードカプセル、ソフトカプセルなどのカプセル剤、錠剤、丸剤、粉末(散剤)、顆粒、ティーバッグ、液体(飲料)、ペーストなどの当業者が通常用いる形態とすることができる。さらに、上記液体などを加工して、ゼリー、シャーベット、フローズンヨーグルトあるいはアイスクリームとすることもできる。これらは、形状または好みに応じて、そのまま摂取してもよく、あるいは水、湯、牛乳などに溶いて、または成分を浸出して飲むことができる。なお、飲料の場合、低pHであれば、120℃、4分の完全殺菌をしなくても、100℃以下の殺菌条件で殺菌できる。例えば、pHが4.0以下の場合では、65℃、10分相当の殺菌条件で十分に殺菌できる。経皮用組成物(医薬部外品、化粧品、トイレタリー用品など)として利用する場合は、例えば、化粧水、化粧クリーム、乳液、パック、ヘアトニック、シャンプー、ヘアリンス、トリートメント、ボディーシャンプー、先顔剤、石鹸、ファンデーション、口紅、育毛剤、軟膏、入浴剤、歯磨剤、マウスウウォッシュ、シップ、ゲルなどの形態とすることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を説明する。なお、本発明は、下記実施例により制限されない。
(実施例1:発酵物の調製)
まず、食用のマンゴーをフードプロセッサで破砕した。次に、得られた破砕物(1質量部)にイオン交換水(1質量部)を加えて攪拌することにより、マンゴー希釈液を調製した。
次に、マンゴー希釈液に乳酸菌等を添加した。具体的には、固液分離しないマンゴー希釈液(80g)に、乳酸菌(80mg)を添加した。そして、三角フラスコ(200mL)にシリコン栓を施し、嫌気的条件下で、軽く振とうしながら、35℃にて24時間発酵させた。発酵後、得られたマンゴーの発酵物を濾過して、発酵液を得た。
発酵に用いた乳酸菌は、(1)ラクトバチルス・プランタラムのヴィニフローラ株(クリスチャンハンセン社製)、(2)ラクトバチルス・カゼイ(クリスチャンハンセン社製)、(3)ビフィドバクテリウム・ロンガム(クリスチャンハンセン社製)、(4)バチルス・メセンテリカス(東亜薬品工業社製)の4種類である。
なお、発酵を行うにあたっては、1Nの水酸化ナトリウム(NaOH)を用いた中和滴定法により、発酵前後の酸度を測定した。その酸度の測定において、発酵後の酸度は、上記発酵液を用いて測定した。発酵前の酸度は、マンゴー希釈液に乳酸菌を添加して得られた物をすぐに濾過して、その濾過により得られた濾液を用いて測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2006076927
表1より、ラクトバチルス・プランタラムのヴィニフローラ株、ラクトバチルス・カゼイ、ビフィドバクテリウム・ロンガム、およびバチルス・メセンテリカスといった乳酸菌をマンゴーに添加後24時間で、酸度の上昇が見られた。これは、上記4種の乳酸菌のうち、どの乳酸菌を用いても、マンゴーを発酵させることができることを示している。
なお、上記発酵液を95℃にて8秒間殺菌した後に、これを凍結乾燥した。この凍結乾燥により、それぞれの乳酸菌で発酵したマンゴー発酵液の各種乾燥粉末(マンゴー発酵エキス末)を得ることができた。
(実施例2:チロシナーゼ阻害活性)
以下の方法にて、チロシナーゼ阻害活性(阻害率)を測定した。
まず、実施例1に記載の発酵液(100μL)と、チロシナーゼ溶液(100μL、112unit/mL)とを混合して、37℃で10分間保持した。なお、ここで用いたチロシナーゼ溶液は、フナコシ社製のチロシナーゼ(800unit/mg)を、リン酸緩衝液(1/15M、pH7.0)に溶解させて調製した溶液である。
その後、0.03質量/容量%のDOPA溶液(100μL)を加えて、さらに37℃にて5分間保持して、試験液を得た。そして、その試験液の吸光度(475nm)を測定した。この測定で得られた結果を、測定値Aとする。なお、0.03質量/容量%のDOPA溶液は、L−DOPA(和光純薬工業社製)を、リン酸緩衝液(1/15M、pH7.0)に溶解させて調製した。
対照としては、次に示す測定値B〜Dの値を用いた。
測定値Bは、発酵液を添加しないときの値である。具体的には、実施例1に記載の発酵液の代わりにリン酸緩衝液(1/15M、pH7.0)を用いたこと以外は、測定値Aを得るための方法と同様の方法にて、測定値Bを取得した。
測定値Cは、測定値Aのブランクである。具体的には、チロシナーゼ溶液の代わりにリン酸緩衝液(1/15M、pH7.0)を用いたこと以外は、測定値Aを得るための方法と同様の方法にて、測定値Cを取得した。
測定値Dは、測定値Bのブランクである。具体的には、チロシナーゼ溶液の代わりにリン酸緩衝液(1/15M、pH7.0)を用いたこと以外は、測定値Bを得るための方法と同様の方法にて、測定値Dを取得した。
各乳酸菌別および発酵前後における測定値A〜Dの値と、下記式(I)とを用いて、チロシナーゼ阻害率(%)を算出した。結果は、下記実施例6の表2に示す。なお、本測定は、三重測定(1群あたりn=3)によるものである。
Figure 2006076927
なお、発酵前のチロシナーゼ阻害率については、上記実施例1に記載の発酵液の代わりに、発酵前の破砕物を濾過して得られた発酵前溶液を用いた以外は、上記と同様の方法で算出した。
(実施例3:α−グルコシダーゼ阻害活性)
以下の方法にて、α−グルコシダーゼ阻害活性(阻害率)を測定した。
まず、実施例1に記載の発酵液(80μL)と、基質水溶液(p−ニトロフェニル−α−D−グルコピラノシド、0.02M、40μL)とを混合して、37℃で5分間保持した。次に、α−グルコシダーゼ溶液(0.04μg/mL、40μL)を加えて、さらに37℃にて15分間保持した。
次に、炭酸ナトリウム水溶液(0.2M、160μL)を加えて、試験液を得た。そして、その試験液の吸光度(400nm)を測定した。この測定で得られた結果を、測定値Aとする。
なお、上記α−グルコシダーゼ溶液(0.04μg/mL)は、次のように調製した。まず、リン酸緩衝液(1/15M、pH7.0)に牛血清アルブミンを溶解させて、0.2%の牛血清アルブミン溶液を得る。次に、α−グルコシダーゼ(和光純薬工業社製)とリン酸緩衝液(1/15M、pH7.0)とを用いて0.1mg/mL溶液を調製し、その溶液を上記牛血清アルブミン溶液で2500倍希釈して、α−グルコシダーゼ溶液(0.04μg/mL)を得た。
対照としては、次に示す測定値B〜Dの値を用いた。
測定値Bは、発酵液を添加しないときの値である。具体的には、実施例1に記載の発酵液の代わりにリン酸緩衝液(1/15M、pH7.0)を用いたこと以外は、測定値Aを得るための方法と同様の方法にて、測定値Bを取得した。
測定値Cは、測定値Aのブランクである。具体的には、実施例1に記載の発酵液(80μL)と、基質水溶液(p−ニトロフェニル−α−D−グルコピラノシド、0.02M、40μL)とを混合して、37℃で20分間保持した。次に、炭酸ナトリウム水溶液(0.2M、160μL)を加えて、さらに、α−グルコシダーゼ溶液(0.04μg/mL、40μL)を加えて、対照試験液を得た。そして、その対照試験液の吸光度(400nm)を測定した。この測定で得られた結果を、測定値Cとする。
測定値Dは、測定値Bのブランクである。具体的には、リン酸緩衝液(1/15M、pH7.0、80μL)と、基質水溶液(p−ニトロフェニル−α−D−グルコピラノシド、0.02M、40μL)とを混合して、37℃で20分間保持した。次に、炭酸ナトリウム水溶液(0.2M、160μL)を加えて、さらに、α−グルコシダーゼ溶液(0.04μg/mL、40μL)を加えて、対照試験液を得た。そして、その対照試験液の吸光度(400nm)を測定した。この測定で得られた結果を、測定値Dとする。
各乳酸菌別および発酵前後における測定値A〜Dの値と、下記式(II)とを用いて、α−グルコシダーゼ阻害率を算出した。結果は、下記実施例6の表2に示す。なお、本測定は、三重測定(1群あたりn=3)によるものである。
Figure 2006076927
なお、発酵前のα−グルコシダーゼ阻害率については、上記実施例1に記載の発酵液の代わりに、発酵前の破砕物を濾過して得られた発酵前溶液を用いた以外は、上記と同様の方法で算出した。
(実施例4:リパーゼ阻害活性)
以下の方法にて、リパーゼ阻害活性(阻害率)を測定した。
まず、蒸留水で3倍希釈した牛乳を、10質量/容量%炭酸ナトリウム水溶液でpHを8.5に調整して、基質溶液を得た。次に、実施例1に記載の発酵液(1mL)と基質溶液(4mL)と蒸留水(1mL)とを混合し、10質量/容量%炭酸ナトリウム水溶液を用いてその混合された液のpHを8.5に調整して、基質混合液を得た。なお、pHの調整は、液の温度を37℃に保持しつつ、pHメーターを用いて行った。
次に、リパーゼ溶液(0.04質量/容量%、2mL)を上記基質混合液に添加して、37℃にて20分間保持した。その後、pHメーターを用いて、液のpHを測定した。このpHの測定で得られた結果を、測定値Aとする。
なお、上記リパーゼ溶液は、次のように調製した。まず、10質量/容量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、蒸留水のpHを8.5に調整した。次に、そのpH8.5の蒸留水にリパーゼ(和光純薬工業社製)を溶解させて、0.04質量/容量%のリパーゼ溶液を得た。
対照としては、次に示す測定値B〜Dの値を用いた。
測定値Bは、発酵液を添加しないときの値である。具体的には、実施例1に記載の発酵液の代わりに蒸留水を用いたこと以外は、測定値Aを得るための方法と同様の方法にて、測定値Bを取得した。
測定値Cは、測定値Aのブランクである。具体的には、測定値Aを得るための方法において、リパーゼ溶液を添加する前のpHの値(つまりpH=8.5)を、測定値Cとした。
測定値Dは、測定値Bのブランクである。具体的には、測定値Bを得るための方法において、リパーゼ溶液を添加する前のpHの値(つまりpH=8.5)を、測定値Dとした。
各乳酸菌別および発酵前後における測定値A〜Dの値と、下記式(III)とを用いて、リパーゼ阻害率を算出した。結果は、下記実施例6における表2に示す。なお、本測定は、三重測定(1群あたりn=3)によるものである。
Figure 2006076927
なお、発酵前のリパーゼ阻害率については、上記実施例1に記載の発酵液の代わりに、発酵前の破砕物を濾過して得られた発酵前溶液を用いた以外は、上記と同様の方法で算出した。
(実施例5:抗酸化活性)
実施例1で得られた発酵液を用いて、スーパーオキシドジスムターゼ活性(SOD活性)を測定した。具体的には、SOD測定キット(NBT還元法、SODテストワコー:和光純薬工業社製)を用いた。測定結果を、実施例6の表2に示す。
なお、発酵前のSOD活性については、発酵液の代わりに、発酵前の破砕物を濾過して得られた発酵前溶液を用いた以外は、上記と同様の方法で算出した。
(実施例6:測定結果)
実施例2〜5で求めた結果を表2に示す。なお、表2において、チロシナーゼ阻害率、リパーゼ阻害率、およびα−グルコシダーゼ阻害率の値については平均値±標準偏差を、SOD活性については平均値を示している。
Figure 2006076927
表2の結果によれば、発酵前と比べて、発酵後のα−グルコシダーゼ阻害率およびリパーゼ阻害率では、数値が大きくなっていることが分かる。つまり、酵素阻害活性等の生理活性を、発酵によって大きくすることが可能であることが分かる。また、チロシナーゼ阻害率においても、ラクトバチルス・カゼイ以外では、発酵前と比べて、発酵後の数値が大きくなっていることが分かる。
また、表2の結果によれば、すべての乳酸菌において、SOD活性の上昇が認められる。つまり、乳酸菌で発酵させることにより、抗酸化活性(SOD活性)の向上が可能であることが分かる。特に、ビフィドバクテリウム・ロンガムによる発酵では、SOD活性の値が995.7(単位/mL)となり、極めて大きい値を示している。
本発明のマンゴーに微生物を作用させて得られるマンゴー発酵物は、優れた酵素阻害活性(グルコシダーゼ阻害活性、リパーゼ阻害率、チロシナーゼ阻害活性)と、優れた抗酸化活性とを有するため、有用である。このような機能を有するマンゴー発酵物は、食品や医薬品等の経口用組成物の原料として、または化粧品等の経皮用組成物の原料として利用することができるため、有用である。

Claims (5)

  1. マンゴーに微生物を作用させることにより得られることを特徴とする発酵物。
  2. 上記微生物が乳酸菌であることを特徴とする請求項1に記載の発酵物。
  3. 酵素阻害活性および抗酸化活性の少なくともいずれかの活性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の発酵物。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の発酵物を含有することを特徴とする経口用組成物。
  5. 請求項1から3のいずれか1項に記載の発酵物を含有することを特徴とする経皮用組成物。

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