JP6462987B2 - アブラナ科植物の乳酸菌発酵物、該発酵物を含有する食品、化粧品及び上皮バリア増強剤、並びに該発酵物の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明者らは、上記以外にも下記するように種々の思いがけない新知見を得て、さらに鋭意検討を重ねて本発明を完成するに至った。
[1]アブラナ科植物のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)発酵物。
[2]アブラナ科植物が、ケール又はブロッコリーである前記[1]に記載の発酵物。
[3]ケルセチン及び/又はケンペロールを含有する前記[1]又は[2]に記載の発酵物。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の発酵物を含有することを特徴とする食品。
[5]健康食品である前記[4]に記載の食品。
[6]サプリメントである前記[4]に記載の食品。
[7]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の発酵物を含有することを特徴とする上皮バリア増強剤。
[8]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の発酵物を含有することを特徴とする化粧品。
[9]上皮バリア増強剤である、前記[8]に記載の化粧品。
[10]肝保護作用、抗動脈硬化、老化防止、抗腫瘍作用、抗高脂血症、抗血栓、血圧降下作用、免疫機能改善、血糖値低下作用、鎮痛作用、強心作用、抗炎症作用、末梢血流改善作用、止血作用、抗酸化作用、抗筋委縮作用、骨量増加作用及び抗ストレスからなる群から選択される少なくとも1つの作用を示すことを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の発酵物。
[11]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の発酵物を哺乳類に摂取させることを特徴とする哺乳類の上皮バリア増強方法(ただし、医療行為を除く)。
[12]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の発酵物を哺乳類に摂取させることを特徴とする酸化ストレスが関与する哺乳類の諸疾病の予防・改善方法(ただし、医療行為を除く)。
[13]アブラナ科植物を、ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を用いて発酵することを特徴とするアブラナ科植物の発酵物の製造方法。
[14]アブラナ科植物がケール及び/又はブロッコリーである前記[13]に記載の製造方法。
本発明の発酵物は、アブラナ科植物をラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を用いて発酵することにより製造されることを特徴とする。
また、本発明において使用されるアブラナ科植物の部位は、特に限定されず、例えば、生葉、つぼみ、茎、花等のどの部位でも使用することができ、好ましくは、生葉、つぼみ、茎等である。
培地中の炭素源及び窒素源の濃度は、乳酸菌が生育できる通常の濃度であればよく、特に限定されない。培養開始時の炭素源濃度は、通常は、培地全量に対して約0.1〜15重量%が好ましく、約1〜10重量%がより好ましい。培養開始時の窒素源の濃度は、通常は、培地全量に対して約0.05〜10重量%が好ましく、約0.1〜5重量%がより好ましい。
pH緩衝剤としては、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム等が好ましく挙げられる。
本発明において、アブラナ科植物は、発酵原料として培地に添加される。アブラナ科植物は、天然物でもその加工品でも良い。加工品としては、例えば、アブラナ科植物の乾燥物、裁断物、粉砕物、抽出物、ペースト等が挙げられる。
アブラナ科植物の使用量は、特に限定されないが、培地全量に対して、好ましくは、約1〜50重量%であり、より好ましくは、約5〜40重量%である。
前記培地は、本発明の効果を奏する限り、上述したアブラナ科植物以外の成分や添加剤を含んでも良い。
例えば、前記アブラナ科植物又はその加工品を、酵母エキス、大豆ペプチド、ミネラルやpH緩衝剤等を含有する仕込み液に添加して高圧蒸気滅菌することにより、発酵用の培地が好ましく得られる。
そこへ、公知の方法で調整される培地で予め増殖させた乳酸菌を接種して、発酵させることにより、アブラナ科植物の乳酸菌発酵物を好ましく取得することができる。発酵用の培地に添加するアブラナ科植物又はその加工品としては、前記[0016]に記載のアブラナ科植物を使用することができるし、アブラナ科植物に抽出溶媒を添加してアブラナ科植物成分を抽出させることにより得られる抽出液、アブラナ科植物及び抽出溶媒の懸濁液そのままのもの、又は該懸濁液を常法により加熱して得られる熱水抽出液を使用することもできる。前記懸濁液を加熱する温度は、特に限定されない。さらに、前記抽出液、懸濁液又は熱水抽出液を乾燥させて調整した抽出物を使用しても良い。
また、培地として、前記抽出液、懸濁液又は熱水抽出液を使用することもでき、該培地を減菌した後、該培地に乳酸菌を直接接種して発酵させることにより、アブラナ科植物を乳酸菌を用いて発酵して得られる乳酸菌発酵物を取得することもできる。
また、発酵時間は、前記培地の組成、該培地のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)の接種量、前記発酵温度等に応じて適宜設定され得るが、例えば、約12〜336時間が好ましく、約24〜168時間がより好ましい。発酵は、好気条件下で行ってもよく、嫌気条件下で行っても良い。
本発明において、アブラナ科植物を、ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を用いて発酵する際に、ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)以外の微生物1種又は2種以上を使用してもよい。
従って、本発明は、アブラナ科植物のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)発酵物による医薬としても有用である。本発明においては、発酵物から上記有効成分(ケルセチン及び/又はケンペロール)を、例えば希釈、濃縮、乾燥、溶媒による抽出、ろ過、遠心分離、カラムクロマトグラフィー等の手段で、公知の方法により精製してもよい。
本発明の上皮バリア増強剤は、後述の食品及び化粧品の形態で使用することができる。
本発明は、アブラナ科植物のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)発酵物を含有する食品も含有する。
本発明の食品に含有されるアブラナ科植物のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)発酵物の取得方法及び好ましい形態は、上述した本発明の発酵物と同様である。
本発明において、食品とは、経口的に摂取されるものを意味する。食品としては、特に限定されないが、例えば、健康食品、サプリメント、飲料、半固形食品、固形食品、粉末食品等が挙げられる。食品は、好ましくは、健康食品、サプリメント、飲料、固形食品、粉末食品等であり、より好ましくは、健康食品、サプリメント、飲料、粉末食品等である。
前記粉末食品としては、特に限定されないが、例えば、野菜・果実類、植物、酵母、藻類等を粉末にした各種粉末;油脂類・香料類(バニラ、柑橘類、かつお等)を粉末固形化したもの等が挙げられ、好ましくは、野菜・果実類の粉末、植物の粉末等である。
本発明は、アブラナ科植物のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)発酵物を含有する化粧品も含有する。
本発明の化粧品に含有されるアブラナ科植物のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)発酵物の取得方法及び好ましい形態は、上述した本発明の発酵物と同様である。
化粧品の形態は、特に限定されず、液体状、流動状、又は半固形状とすることができ、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤、不織布に薬液を含浸させたシート剤等が挙げられる。該形状は、好ましくは、乳剤、クリーム剤、乳液、軟膏剤、ゲル剤、ローション剤等であり、より好ましくは、クリーム剤、乳液、軟膏剤、ゲル剤等である。
刺激低減剤としては、甘草エキス、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
老化防止成分としては、パンガミン酸、カイネチン、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N−メチル−L−セリン、メバロノラクトン等が挙げられる。
美白成分としては、アスコルビン酸とその誘導体、アルブチン、トコフェロール等が挙げられる。
収斂成分としては、パラフェノールスルホン酸亜鉛、酸化亜鉛、メントール、エタノール等が挙げられる。
本発明の化粧品は、顔、首、手、足、指、胴、頭皮などのどのような皮膚にでも適用することができる。
従って、本発明の食品及び化粧品は、皮膚や腸管上皮などの上皮バリア増強剤として使用することができる。また、本発明の発酵物又はその処理物を、公知の方法に従って、医薬組成物としてもよい。
<ケールのA221株発酵物の製造>
ケールの生葉をブレンダ―にて破砕し、破砕後のケール生葉150gを蒸留水500mLに加え、75℃で1時間撹拌しながら抽出を行った。その後、濾過し、フィルター濾過による滅菌処理を行った後、得られた抽出液100mLを別途用意した滅菌三角フラスコへ採り、そこへ乳酸菌A221株をおよそ1×1011cfu加えた。37℃で72時間静置培養した後、凍結乾燥を行った。該凍結乾燥物に50%エタノールを100mL加え、4℃で一晩振とうしながら再抽出を行った。その後、該抽出液を3500rpmで15分遠心することで菌体を落とし、上清をゆっくりと回収した後、−30℃にて一晩澱を落とした。上清を回収し、ロータリーエバポレーターにより溶媒を留去した後、蒸留水25mLに懸濁したものを再び凍結乾燥することで、ケールのA221株発酵物の乾燥粉末を得た。
<HPLCによる分析>
上記の通り得られた乾燥粉末を測りとり、25mg/mLとなるように50%エタノールへ再溶解し、20μLを以下の条件下でHPLCへ供した。HPLC(島津製作所社製)では分離カラムにμBondasphere(I.D. 150×3.9mm、C18 5μm;ウォーターズ社製)を用いた逆相系を使用し、移動相としてアセトニトリル及び2%酢酸を用いたグラジエント条件下で分析を行った。カラムオーブンを30℃に設定したまま5%アセトニトリル溶液から開始し、0分から10分までに20%まで、さらに10分から25分までに、80%まで濃度を上げ、その後100%アセトニトリルによる洗浄工程を経る条件を用いた。なお流速1mL/分で254nmでの検出を行った。結果を図1に示す。
<ケールのNBRC15889株発酵物の製造>
ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を、当該菌株の基準株であるNBRC15889株に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、ケールのNBRC15889株発酵物の乾燥粉末を得た。
<HPLCによる分析>
実施例1と同様の操作を行い、HPLC測定を行なった。結果を図2に示す。
<乳酸菌未発酵のケール処理物の製造>
ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)に代わって滅菌蒸留水を加えた以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例1と同様の条件でケールを処理することにより、乳酸菌未発酵のケール処理物の乾燥粉末を得た。
<HPLCによる分析>
実施例1と同様の操作を行い、HPLC測定を行なった。結果を図3に示す。
比較例1及び2では、19.5minのケンペロールのピークが見られないのに対して、実施例1のA221株発酵物では、19.5minのケンペロールのピークが見られた。
この結果から、ケールを、A221株を用いて発酵することにより、ケールに含まれるケンペロールの配糖体をアグリコン化できることがわかる。
<ブロッコリーのA221株発酵物の調製>
ブロッコリーの(つぼみの部分)を取り、ブレンダ―にて破砕し、破砕後のブロッコリーのつぼみ20gを蒸留水50mLに加え、75℃で1時間撹拌しながら抽出を行った。その後、濾過し、フィルター濾過による滅菌処理を行い、抽出液を得た。得られた抽出液5mLを別途用意した15mLファルコンチューブへ採り、そこへ乳酸菌A221株をおよそ1×1010cfu加えた。37℃で96時間静置培養することで発酵物を得た。その後、上清を0.22μmフィルターへ通して20μL取り、実施例1と同様の方法を用いてHPLC測定を行なった。結果を図4に示す。
<ブロッコリーのNBRC15889株発酵物の調製>
ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を、当該菌株の基準株であるNBRC15889株に変更した以外は実施例2と同様の操作を行い、HPLC測定を行なった。結果を図5に示す。
<乳酸菌未発酵のブロッコリー処理物>
ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)に代わって滅菌蒸留水を加えた以外は実施例2と同様の操作を行い、HPLC測定を行なった。結果を図6に示す。
比較例3及び4では、18.5minのケルセチンのピーク及び20minのケンペロールのピークが見られないのに対して、実施例2のA221株発酵物では、18.5minのケルセチンのピーク及び20minのケンペロールのピークの両ピークが見られた。
この結果から、ブロッコリーを、A221株を用いて発酵することにより、ブロッコリーに含まれるケルセチンの配糖体及びケンペロールの配糖体をアグリコン化できることがわかる。
<正常ヒト新生児由来表皮角化細胞(NHEKn)に対するバリア機能測定>
<細胞処理用培地の調製>
実施例1で得られたケールのA221株発酵物、比較例1で得られたケールのNBRC15889株発酵物、あるいは比較例2で得られた乳酸菌未発酵のケール処理物の乾燥粉末をそれぞれ抽出物固形物濃度で50mg/mLとなるように50%エタノールに加え、各被験物質のストックを調整した。これらをHKGSサプリメント(ギブコ社製)含有Epilife培地(ギブコ社製)に所定の濃度となるようにそれぞれ溶解し、細胞処理用培地を調整した。該所定の濃度としては高濃度と低濃度の条件を設定し、高濃度では各被験物質を抽出物固形物濃度で最終的に1000μg/mLとなるように培地に加えた。また、該高濃度培地の対照を、50%エタノールを、エタノールの最終濃度が1%となるように培地に加えて調整した。一方で、低濃度では各被験物質を抽出物固形物濃度で最終的に333μg/mLとなるように培地に加えた。該低濃度培地の対照を、50%エタノールを、エタノールの最終濃度が0.3%となるように培地に加えて調整した。
<経上皮電気抵抗値の測定>
1×105個の正常ヒト新生児由来表皮角化細胞(NHEKn)を12ウェル用のセルカルチャーインサート(グライナーバイオワン社製)に播種し、HKGSを含有するEpilife培地にて37℃、5%CO2条件下で培養を行った。培養はアピカル側へ500μL、バソラテラル側へは1.5mLの培地を加え、3日に一回培地交換し、およそ1週間培養を行った。その後、培地をアスピレートし、上述の各細胞処理用培地により細胞を処理して24時間培養を行った。細胞を処理する際は、アピカル側及びバソラテラル側両方へ被験物質を含有する培地を加えた。各培地において培養された細胞の経上皮電気抵抗値を、Millicell ERS−2(ミリポア社製)を用いて測定した。結果を図7に示す。
図7において、TEERとは、経上皮電気抵抗値を示し、対照とは、エタノールのみを含有する培地により処理した群を示す。
この結果から、抽出物固形分濃度が低濃度、高濃度の場合ともに、ケールのA221株発酵物は、乳酸菌未発酵のケール処理物及びケールの基準株(NBRC15889株)発酵物と比較して、正常ヒト新生児由来表皮角化細胞(NHEKn)に対するバリア機能が高いことから、皮膚バリア機能強化作用が高いことがわかる。
<ヒト成人由来真皮線維芽細胞の生体防御遺伝子発現の評価>
<細胞処理用培地の調製>
実施例1で得られたケールのA221株発酵物、比較例1で得られたケールのNBRC15889株発酵物、あるいは比較例2で得られた乳酸菌未発酵のケール処理物の乾燥粉末をそれぞれ抽出物固形物濃度で50mg/mLとなるように50%エタノールに加え、被験物質のストックを調整した。これらをDMEM完全培地(10%ウシ胎児血清、50Units/mL ペニシリン、50μg/mL ストレプトマイシン含有;ギブコ社製)に所定の濃度となるようにそれぞれ溶解し、細胞処理用培地を調整した。該所定の濃度としては高濃度と低濃度の条件を設定し、高濃度では各被験物質を抽出物固形物濃度で最終的に1000μg/mLとなるようにDMEM完全培地に加えた。また、該高濃度培地の対照を、50%エタノールを、エタノールの最終濃度が1%となるようにDMEM完全培地に加えて調整した。一方で、低濃度では各被験物質を抽出物固形物濃度で最終的に333μg/mLとなるように培地に加えた。該低濃度培地の対照を、50%エタノールを、エタノールの最終濃度が0.3%となるようにDMEM完全培地に加えて調整した。
<生体防御遺伝子発現の評価>
2×105個のヒト成人由来真皮繊維芽細胞を6ウェルプレート(イワキ社製)に播種し、100%コンフル―エントまでDMEM完全培地の下、37℃、5%CO2の条件で培養を行った。その後、培地をアスピレートし、上述の各細胞処理用培地により細胞を処理して24時間培養を行った。培地をアスピレートし、PBS(−)により細胞を洗浄した後、Trizol試薬(インビトロジェン社製)600μLを加え、細胞を溶解しサンプルを回収した。該サンプルよりトータルRNAを調整し、TurboDNA−freeキット(アンビオン社製)によりゲノムDNAの消化を行った後、PrimeScript RT reagent Kit(タカラ社製)を用いて相補鎖DNAの合成を行った。該相補鎖DNAを鋳型とし、酸化ストレス防御に関与する生体防御遺伝子であるHO−1の発現量を定量性PCRにより評価した。その際、内部標準としてGAPDH遺伝子の発現量を合わせて評価し、HO−1遺伝子の発現量を該遺伝子の発現量で除することで値を補正した。結果を図8に示す。
この結果から、抽出物固形分濃度が低濃度、高濃度の場合ともに、ケールのA221株発酵物は、乳酸菌未発酵のケール処理物及びケールの基準株(NBRC15889株)発酵物と比較して、生体防御遺伝子の発現量が多く、抗酸化ストレス防御機能が高いことがわかる。
<ヒト大腸がん細胞株(Caco-2)を用いた腸管上皮モデルに対するバリア機能測定>
<細胞処理用培地の調製>
実施例1で得られたケールのA221株発酵物、比較例1で得られたケールのNBRC15889株発酵物、あるいは比較例2で得られた乳酸菌未発酵のケール処理物の乾燥粉末をそれぞれ抽出物固形物濃度で50mg/mLとなるように50%エタノールに加え、被験物質のストックを調整した。これらを、グルコースを4.5g/Lで含有するDMEM完全培地(10%ウシ胎児血清、50Units/mL ペニシリン、50μg/mL ストレプトマイシン、1×非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム含有;ギブコ社製)に所定の濃度となるようにそれぞれ溶解し、細胞処理用培地を調整した。該所定の濃度としては高濃度と低濃度の条件を設定し、高濃度では各被験物質を抽出物固形物濃度で最終的に1000μg/mLとなるようにDMEM完全培地に加えた。また、該高濃度培地の対照を、50%エタノールを、エタノールの最終濃度が1%となるようにDMEM完全培地に加えて調整した。一方で、低濃度では各被験物質を抽出物固形物濃度で最終的に333μg/mLとなるように培地に加えた。該低濃度培地の対照を、50%エタノールを、エタノールの最終濃度が0.3%となるようにDMEM完全培地に加えて調整した。
<経上皮電気抵抗値の測定>
1×105個のヒト大腸がん細胞(Caco-2)を12ウェル用のセルカルチャーインサートに播種し、上述の各DMEM完全培地にて37℃、5%CO2条件下で培養を行った。培養はアピカル側へ500μL、バソラテラル側へは1.5mLの培地を加え、3日に一回培地交換し、およそ14日間培養を行い、細胞を分化させた。その後、上述の細胞処理用培地により細胞を処理し、6時間培養を行った。細胞を処理する際は、アピカル側へ被験物質を含有する培地を加えた。各培地において培養された細胞の経上皮電気抵抗値を、Millicell ERS−2を用いて測定した。結果を図9に示す。
図9において、TEERとは、経上皮電気抵抗値を示し、対照とは、エタノールのみを含有する培地により処理した群を示す。
この結果から、抽出物固形分濃度が低濃度、高濃度の場合ともに、ケールのA221株発酵物は、乳酸菌未発酵のケール処理物及びケールの基準株(NBRC15889株)発酵物と比較して、ヒト大腸がん細胞株(Caco-2)に対するバリア機能が高いことから、腸管上皮バリア機能強化作用が高いことがわかる。
Claims (13)
- アブラナ科植物のラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)発酵物であり、ケルセチン及びケンペロールを含有する発酵物。
- アブラナ科植物が、ケール又はブロッコリーである請求項1に記載の発酵物。
- 請求項1又は2に記載の発酵物を含有することを特徴とする食品。
- 健康食品である請求項3に記載の食品。
- サプリメントである請求項3に記載の食品。
- 請求項1又は2に記載の発酵物を含有することを特徴とする上皮バリア増強剤。
- 請求項1又は2に記載の発酵物を含有することを特徴とする化粧品。
- 上皮バリア増強剤である、請求項7に記載の化粧品。
- 肝保護作用、抗動脈硬化、老化防止、抗腫瘍作用、抗高脂血症、抗血栓、血圧降下作用、免疫機能改善、血糖値低下作用、鎮痛作用、強心作用、抗炎症作用、末梢血流改善作用、止血作用、抗酸化作用、抗筋委縮作用、骨量増加作用及び抗ストレスからなる群から選択される少なくとも1つの作用を示すことを特徴とする請求項1又は2に記載の発酵物。
- 請求項1又は2に記載の発酵物を哺乳類に摂取させることを特徴とする哺乳類の上皮バリア増強方法(ただし、医療行為を除く)。
- 請求項1又は2に記載の発酵物を哺乳類に摂取させることを特徴とする酸化ストレスが関与する哺乳類の諸疾病の予防・改善方法(ただし、医療行為を除く)。
- アブラナ科植物を、ラクトバチルス カゼイ ハセガワ菌株(受託番号:FERM BP−10123)を用いて発酵することを特徴とする、アブラナ科植物の発酵物であり、ケルセチン及びケンペロールを含有する発酵物の製造方法。
- アブラナ科植物がケール及び/又はブロッコリーである請求項12に記載の製造方法。
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