JP2003026592A

JP2003026592A - 甘草発酵抽出物からなる抗アンドロゲン剤

Info

Publication number: JP2003026592A
Application number: JP2001207204A
Authority: JP
Inventors: Tokutaro Miki; 徳太郎三木; Yoji Nishikawa; 洋史西川; Osamu Sugiyama; 理杉山
Original assignee: Nippon Hypox Laboratories Inc
Current assignee: Nippon Hypox Laboratories Inc
Priority date: 2001-07-09
Filing date: 2001-07-09
Publication date: 2003-01-29

Abstract

(57)【要約】【課題】甘草発酵抽出物を原料とし、男性ホルモン依
存性の疾患である尋常性ざ瘡、脂漏、男性型脱毛症等の
予防、治療、改善に有効な抗アンドロゲン剤ならびにこ
れを含有する各種製品を提供する。【解決手段】甘草水抽出液を乳酸発酵させ、得られた
発酵液を有機溶媒及び水によって分画することにより得
られた水溶性画分またはその脱水処理物からなる、抗ア
ンドロゲン剤およびこれを有効成分として含有する医薬
部外品または化粧品である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は甘草発酵抽出物の水溶性
画分からなる抗アンドロゲン剤およびこれを有効成分と
して含有する各種製品に関する。

【０００２】

【従来の技術】甘味料や漢方生薬の原料として用いられ
てきた甘草は、抗炎症作用、抗アレルギー作用、抗潰瘍
作用など幅広い薬理作用を有することが知られている。
しかし、その主要な成分であるグリチルリチンには、極
めて強い甘みがあり、また、副作用として高血圧や浮腫
などを生じることも知られている。

【０００３】一方、甘草抽出物を発酵させて得られた発
酵液中には、発酵前に比べグリチルリチンが減少してお
り、そのため甘味が低減し、かつ抗潰瘍作用や肝保護作
用を有することが特許２８０１９６４号に開示されてい
る。また、甘草の水抽出液を発酵させて得られた物に、
今まで甘草抽出物の薬理作用として知られていない、末
梢血管拡張作用および動脈硬化抑制作用のあることが、
特開平１０−２３６９６７号公報に開示されている。

【０００４】このように、甘草発酵抽出物は単なる甘草
抽出物とは異なる性質を有しており、さらなる研究によ
り今まで知られていない薬理作用が見出される可能性が
考えられた。

【０００５】ところで、抗アンドロゲン剤はアンドロゲ
ンとその受容体との結合を阻害して、男性ホルモン依存
性の疾患である尋常性ざ瘡、脂漏、男性型脱毛症等の予
防、治療、改善に有効であることが知られている。

【０００６】しかし、甘草発酵抽出物にアンドロゲン受
容体結合阻害作用のあることは、これまでに確認されて
いない。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況下で、甘草発酵抽出物を原料とし、男性ホルモン依
存性の疾患である尋常性ざ瘡、脂漏、男性型脱毛症等の
予防、治療、改善に有効な抗アンドロゲン剤ならびにこ
れを含有する各種製品を提供することを目的とするもの
である。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成するために、鋭意研究を重ねた結果、甘草発酵抽出
物の水溶性画分に、アンドロゲン受容体結合阻害作用の
あることを見出し、本発明を完成するに至った。

【０００９】すなわち、本発明は甘草発酵抽出物を有機
溶媒および水で分画し、その水溶性画分またはその脱水
処理物からなる抗アンドロゲン剤を提供するとともに、
この抗アンドロゲン剤を有効成分として含有することを
特徴とする医薬部外品および化粧品を提供するものであ
る。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の抗アンドロゲン剤の製造
において、原料として用いる甘草発酵抽出物は、特許２
８０１９６４号に開示された方法などによって製造する
ことができる。本特許においては上記甘草発酵抽出物
に、アセトン、エタノール、メタノール、酢酸エチル、
ｎ−ブチルアルコール、エーテル等の有機溶媒を加えて
沈殿物を取り除く操作を繰り返し、最終的にこれらの有
機溶媒を留去して得られる残液を甘草発酵抽出物の水溶
性画分とした。

【００１１】このようにして得られた甘草発酵抽出物の
水溶性画分は、後述の実施例からも明らかなようにアン
ドロゲン受容体結合阻害作用を有し、また、高い安全性
も有している。したがって、本発明の甘草発酵抽出物水
溶性画分は、抗アンドロゲン剤として尋常性ざ瘡、脂
漏、男性型脱毛症等の予防、治療、改善に有効である。

【００１２】この甘草発酵抽出物の水溶性画分は、抗ア
ンドロゲン剤としてそのまま用いることもできるが、脱
水処理して半固形状または固形状の形態で用いてもよ
い。この際、脱水処理方法としては、特に制限はなく、
加熱濃縮、減圧濃縮、凍結乾燥などの常法により行うこ
とができる。また、脱水処理の際にデンプン、デキスト
リン、乳糖などの適当な賦形剤を添加することもでき
る。

【００１３】本発明はまた、上記抗アンドロゲン剤を有
効成分として含有する医薬部外品および化粧品を提供す
るものである。上記抗アンドロゲン剤を医薬部外品また
は化粧品に配合する場合、その配合量は通常０．０１〜
５０重量％、好ましくは０．１〜１０重量％とし、エタ
ノール、プロピレングリコール、グリセリン、１，３−
ブチレングリコールまたは精製水などの医薬部外品また
は化粧品基剤に含有させ、ローション、乳液、クリー
ム、ゲル、パックなどの形態で提供することができる。
また、所望に応じ、従来医薬部外品、化粧品に慣用され
ている各種成分、例えば保湿剤、動植物抽出物、多価ア
ルコール、低級アルコール、界面活性剤、乳化剤、乳化
安定剤、防腐防菌剤、香料、増粘剤、酸化防止剤、キレ
ート剤、ｐＨ調整剤、色素、ビタミン類、アミノ酸類、
抗炎症剤、血行促進剤、毛母細胞賦活剤、収斂剤などを
配合することができる。

【００１４】

【実施例】次に、本発明を製造実施例および製剤実施例
によって詳細に説明するが、本発明はこれらの例によっ
て何ら限定されるものではない。

【実施例１】局方甘草末（皮除去）２０ｇを水２０００
ｍｌに加え、約９０℃で１時間加熱した。冷却後、乳酸
菌として森永ビヒダス（森永乳業社製のヨーグルトの商
品名）に含まれる乳酸菌をこのヨーグルトとともに加え
た。培養器上部の空気を窒素に置換し、３５℃にて４日
間培養し乳酸発酵させた。発酵液のｐＨが４．６である
ことを確認し、９０℃で９０分間加熱殺菌処理した。冷
却後、発酵液を遠心分離して得られた上清を分取し、甘
草発酵抽出液１６００ｇを得た。この甘草発酵抽出液を
約５倍に濃縮し、濃縮液３００ｍｌに対しアセトン４０
０ｍｌを加え、沈殿物を除いた上清からアセトンを留去
し、残液に酢酸エチル３００ｍｌを加えて沈殿物を取り
除く。この酢酸エチルを加えて沈殿物を取り除く操作を
３回繰り返し行ったのち、酢酸エチルを留去した残液に
ｎ−ブチルアルコールを加えて２４時間以上放置して沈
殿物を取り除く操作を、２回行った。この上清からｎ−
ブチルアルコールを留去し、水溶性画分１５０ｍｌを得
た。また、この水溶性画分１００ｍｌを用い、凍結乾燥
による脱水処理物８ｇを得た。

【００１５】<毒性試験>上記製造実施例に示した方法に
よって得られた水溶性画分またはその脱水処理物につい
て、ラットにおける単回経口投与毒性試験、ラットにお
ける５２週間反復経口投与毒性試験、ウサギを用いた皮
膚一次刺激性試験、モルモットを用いた皮膚感作性試験
を実施した。単回投与毒性試験では脱水処理物２０００
ｍｇ／ｋｇの投与で、また反復投与毒性試験では水溶性
画分の４倍濃縮液２ｍｌ／個体／日の投与で、毒性徴候
は全く認められなかった。皮膚一次刺激性試験および皮
膚感作性試験では水溶性画分の原液を用いたが、異常は
認められなかった。従って、甘草発酵抽出物の水溶性画
分は安全性が高いことが確認された。

【００１６】<薬理試験>上記製造実施例によって得られ
た水溶性画分のアンドロゲン受容体結合阻害作用を東洋
紡製、リガンドスクリーニングシステムアンドロゲン
リセプターキットを用い検討した。結果を表１に示す。

【００１７】

【表１】甘草発酵抽出物水溶性画分のアンドロゲン受容
体結合阻害作用

【００１８】表１に示したとおり、甘草発酵抽出物の水
溶性画分はアンドロゲン受容体結合阻害作用を有するこ
とが確認された。

【００１９】上記実施例１で得られた水溶性画分を含有
する製剤を、以下のように調製した。

【実施例２】（ヘアトニック）（重量％）（ａ）エチルアルコール５０．０（ｂ）１，３−ブチレングリコール２．０（ｃ）酢酸トコフェロール０．５（ｄ）ｌ−メントール１．０（ｅ）防腐剤・酸化防止剤適量（ｆ）実施例１の甘草発酵抽出物水溶性画分０．６（ｇ）精製水残部合計１００．０（ａ）〜（ｇ）成分を混合し均一にする。

【００２０】

【実施例３】（ざ瘡予防クリーム）（重量％）（ａ）ミツロウ６．０（ｂ）セタノール７．０（ｃ）ポリオキシエチレン（２０Ｅ．Ｏ．）ソルビタン２．０（ｄ）スクワラン４０．０（ｅ）パルミチン酸レチノール０．１（ｆ）防腐剤・酸化防止剤適量（ｇ）プロピレングリコール１０．０（ｈ）実施例１の甘草発酵抽出物水溶性画分１．０（ｉ）精製水残部合計１００．０（ａ）〜（ｆ）の油相成分を混合溶解して７５℃に加熱
する。一方、（ｇ）〜（ｉ）の水相成分を混合溶解して
７５℃に加熱する。次いで水相成分に油相成分を添加し
て予備乳化後、ホモミキサーにて均一に乳化して、攪拌
冷却する。

【００２１】

【比較例１】上記実施例２の各配合成分のうち、甘草発
酵抽出物水溶性画分を除き、精製水で全量を１００．０
重量％としたヘアトニックを調製し、実施例２の比較例
とした。

【００２２】実施例２および比較例１をそれぞれ５名の
男性型脱毛症患者に１日２回、６カ月間ブラインドで使
用させ、症状の改善状況を観察し、「改善」、「やや改
善」、「改善せず」の３段階で評価した。

【００２３】その結果、実施例２使用群では「改善」が
２名、「やや改善」が３名で「改善せず」は０名であっ
た。一方、比較例１使用群では「やや改善」が１名、
「改善せず」が４名で「改善」は０名であった。なお、
実施例２使用群ではフケ、痒みならびに頭部の過剰な皮
脂分泌も全例で改善された。

【００２４】

【比較例２】上記実施例３の各配合成分のうち、甘草発
酵抽出物水溶性画分を除き、精製水で全量を１００．０
重量％としたクリームを調製し、実施例３の比較例とし
た。

【００２５】実施例３および比較例２をそれぞれ１０名
の尋常性ざ瘡患者に１日２回１カ月間ブラインドで使用
させ、症状の改善状況を観察し、「改善」、「やや改
善」、「改善せず」の３段階で評価した。

【００２６】その結果、実施例３使用群では「改善」が
６名、「やや改善」が４名で「改善せず」は０名であっ
た。一方、比較例２使用群では「やや改善」が３名、
「改善せず」が７名で「改善」は０名であった。

【００２７】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明により優れ
た効果を有する抗アンドロゲン剤を得ることができ、ま
た、男性ホルモン依存性の疾患である尋常性ざ瘡、脂漏
および男性型脱毛症の予防、治療、改善に有効な製品を
得ることができた。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考）Ａ６１Ｐ 17/08 Ａ６１Ｐ 17/08 17/10 17/10 17/14 17/14 Ｆターム(参考） 4C083 AA031 AA082 AA111 AA112 AC022 AC072 AC102 AC122 AC442 AD532 AD622 AD662 CC05 CC37 EE13 EE22 4C088 AB60 BA09 CA05 CA09 CA25 MA63 NA14 ZA89 ZA92

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】甘草水抽出液を乳酸発酵させて得られた発
酵液を、有機溶媒および水によって分画して得られた水
溶性画分またはその脱水処理物からなる、抗アンドロゲ
ン剤。
【請求項２】請求項１に記載の抗アンドロゲン剤を有効
成分とすることを特徴とする医薬部外品または化粧品。