JP2006193550A - スチレン系発泡性樹脂粒子、その製造方法、予備発泡粒子および発泡成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 スチレン系単量体を懸濁重合し、重合反応の完了前または重合反応完了後に、易揮発性発泡剤を含浸することによってスチレン系発泡性樹脂粒子を製造する方法において、重合開始前のスチレン系単量体の水性懸濁液に、使用済みスチレン系樹脂を溶解した後に懸濁重合を行うスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
【選択図】 なし
Description
現在、スチレン系樹脂の処理方法としては、大まかに3つに分類される。1つは、廃棄(埋め立てなど)・焼却処分・燃料化するなどの従来一般的な方法があげられる。また、1つは、発泡体や成形品の場合、熱収縮塊等に加工してから、樹脂粒子の場合、そのままの形で射出成形を行い雑貨品などの他用途に再利用する方法があげられる。さらに、1つは、スチレン系樹脂を何らかの処理を行うことにより、再度スチレン系樹脂として再利用する方法があげられる。近年では、リサイクルという定義から再度スチレン系樹脂として用いることが好ましいと考えられており、活発な検討が進められている。
また、特開2002−348400号公報(特許文献2)には、加熱等により無延伸で収縮又は溶融したスチレン系樹脂を粉砕して得られた粒子を分散液に分散し、スチレン単量体を含浸させて重合を行い、昜揮発性発泡剤を含浸させた再生スチレン系発泡性樹脂粒子が提案されている。
一方、コスト面を考慮した経済的な方法として、スチレン系樹脂をスチレン系樹脂として再利用する方法、使用済みスチレン系樹脂をスチレン系単量体に溶解し、得られた溶解液を用い再度懸濁重合する方法があげられる。特開昭57−174301号公報(特許文献3)や米国特許第5269948号明細書(特許文献4)には、使用済みのスチレン系樹脂をスチレン単量体に溶解し、再度重合を行う方法が提案されている。
本発明は、スチレン系発泡性樹脂粒子として、その品質を低下させずに最も経済的に使用済みスチレン系樹脂を含んだスチレン系発泡性樹脂粒子を製造する方法に関して、新たな提案をするものである。また、その製造方法で得られるスチレン系発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形品を提供する。
また、本発明は、[2] 前記重合開始前に溶解する使用済みスチレン系樹脂の配合量が、スチレン系単量体との合計に対して15重量%以下であることを特徴とするスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法に関する。
また、本発明は、[3] 上記[1]または上記[2]に記載の製造方法により得られるスチレン系発泡性樹脂粒子に関する。
また、本発明は、[4] 上記[3]に記載のスチレン系発泡性樹脂粒子を予備発泡させて得られるスチレン系予備発泡粒子に関する。
また、本発明は、[5] 上記[4]に記載のスチレン系予備発泡粒子を成形させて得られるスチレン系発泡成形品に関する。
本発明のスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法は、スチレン系単量体を懸濁重合し、重合反応の完了前または重合反応完了後に、易揮発性発泡剤を含浸することによってスチレン系発泡性樹脂粒子を製造する方法において、重合開始前のスチレン系単量体の水性懸濁液に、使用済みスチレン系樹脂を溶解した後に懸濁重合を行うことを特徴とする。
スチレン系発泡性樹脂粒子は、スチレン系単量体を重合して得られるものである。本発明でいうスチレン系単量体としては、スチレンもしくは、スチレンを主成分とし、α―メチルスチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類との混合単量体を使用することができる。
実施例1
2000リットル重合釜中に、純水850Kg、リン酸三カルシウム1.3Kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ17g、を入れ48回転/分で攪拌しながら仕込んだ。続いてスチレン単量体808Kg、ベンゾイルパーオキサイド2.1Kg、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネイト200g、エチレンビスアミド80gを攪拌しながら仕込んだ。仕込み完了後、重合釜上部より使用済みスチレン系樹脂粉砕品42.5Kgを直接投入した。1時間放置後、90℃まで昇温し、昇温完了2時間30分及び3時間後、それぞれリン酸三カルシウムを425g追加した。引き続き90℃で2時間保温した時点で再度リン酸三カルシウム850gとドデシルベンザンスルホン酸ソーダ9gを追加した。その後、1時間かけて100℃まで昇温した。
2000リットル重合釜中に、純水850Kg、リン酸三カルシウム1.3Kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ17g、を入れ48回転/分で攪拌しながら仕込んだ。続いてスチレン単量体723Kg、ベンゾイルパーオキサイド1.88Kg、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネイト180g、エチレンビスアミド70gを攪拌しながら仕込んだ。仕込み完了後、重合釜上部より使用済みスチレン系樹脂粉砕品128Kgを直接投入した。1時間放置後、90℃まで昇温し、昇温完了2時間30分及び3時間後、それぞれリン酸三カルシウムを425g追加した。引き続き90℃で2時間保温した時点で再度リン酸三カルシウム850gとドデシルベンザンスルホン酸ソーダ9gを追加した。その後、1時間かけて100℃まで昇温した。昇温後の発泡剤含浸以降は、実施例1と同様に行った。
2000リットル重合釜中に、純水850Kg、リン酸三カルシウム1.3Kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ17g、を入れ48回転/分で攪拌しながら仕込んだ。続いてスチレン単量体850Kg、ベンゾイルパーオキサイド2.21Kg、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネイト210g、エチレンビスアミド90gを攪拌しながら仕込んだ。1時間放置後、90℃まで昇温し、昇温完了2時間30分及び3時間後、それぞれリン酸三カルシウムを425g追加した。引き続き90℃で2時間保温した時点で再度リン酸三カルシウム850gとドデシルベンザンスルホン酸ソーダ9gを追加した。その後、1時間かけて100℃まで昇温した。昇温後の発泡剤含浸以降は、実施例1と同様に行った。
測定装置試薬:アクアミクロンA(主成分:メタノール、クロロホルム、ピリジンなど)
:アクアミクロンC(主成分:メタノール、四塩化炭素、ピリジンなど)
・予めテトラヒドロフランの水分量を測定し、このテトラヒドロフラン10ml中にスチレン系発泡性樹脂粒子0.2gを溶解したサンプルの水分量を測定する。サンプルの測定値からテトラヒドロフランの水分量を引いた数の、スチレン系発泡性樹脂粒子の重量に対する割合の値を水分含水率とした。
油滴比重が1を超える場合は、水で確認する。不安定な場合、球状な形が崩れたり、ひどい場合アメーバ状やモチ状となる。
また、得られた樹脂粒子の合成粒径が「良好」とは、粒度分布がブロード化せずまた過大粒子や微小粒子が過剰に発生しない状態をいう。具体的には「累積重量分布の曲線を基にして累積重量%が15%,50%,85%となる粒子径をそれぞれd15,d50,d85とし、偏差係数CvをCv=(d85−d15)/d50の式で求めた。このCv値で粒度分布広狭を判断し、Cv値=0.38以下を良好な状態という。 また、発泡ビーズのセル状態が「均一良好」とは、発泡ビーズを剃刀等で2つに切った際、発泡ビーズ内部の発泡セル(気泡)の大きさが揃っている状態をいい、目視で過大なセル(気泡)が存在していない状態をいう。
また、発泡成形品の表面状態が「良好」とは、表面平滑率が90%以上でかつ発泡ビーズ表面部に過大なセル(気泡)に起因した凸部がない状態をいう。この評価は、表面部分に黒色印刷インクをローラーで薄く塗り、この表面部分を画像処理装置にかける。表面部分の空隙には印刷インクが塗布されないことから、全塗布面積に対する黒色部分の面積を求め表面平滑率としてこの値が90%以上でかつ前記凸部がない状態を「良好」とした。
実施例1、2で示した本発明のスチレン系発泡性樹脂粒子は、比較例1に示した使用済みスチレン系樹脂を用いない従来例のスチレン系発泡性樹脂粒子と重合状態、合成粒径、発泡ビーズのセル状態、発泡成形品の表面状態が同等であり、品質を低下させることなく使用済のスチレン系樹脂を使用してスチレン系発泡性樹脂粒子を製造することが出来る。これにより、使用済のスチレン系樹脂を再利用することが出来る。
Claims (5)
- スチレン系単量体を懸濁重合し、重合反応の完了前または重合反応完了後に、易揮発性発泡剤を含浸することによってスチレン系発泡性樹脂粒子を製造する方法において、重合開始前のスチレン系単量体の水性懸濁液に、使用済みスチレン系樹脂を溶解した後に懸濁重合を行うことを特徴とするスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
- 前記重合開始前に溶解する使用済みスチレン系樹脂の配合量が、スチレン系単量体との合計に対して15重量%以下であることを特徴とするスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
- 請求項1または請求項2に記載の製造方法により得られるスチレン系発泡性樹脂粒子。
- 請求項3に記載のスチレン系発泡性樹脂粒子を予備発泡させて得られるスチレン系予備発泡粒子。
- 請求項4に記載のスチレン系予備発泡粒子を成形させて得られるスチレン系発泡成形品。
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