JP2006193456A - ヒドラゾン化合物および該ヒドラゾン化合物を用いた電子写真感光体、ならびに該電子写真感光体を備える画像形成装置 - Google Patents

ヒドラゾン化合物および該ヒドラゾン化合物を用いた電子写真感光体、ならびに該電子写真感光体を備える画像形成装置 Download PDF

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Abstract


【課題】感度および光応答性などの電気特性、電気的および機械的耐久性、ならびに環境安定性に優れる電子写真感光体を実現可能な有機光導電性材料、ならびに該有機光導電性材料を用いた電子写真感光体およびそれを備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】ヒドラゾン化合物たとえば下記構造式(1a)で表される化合物。これを電荷輸送物質として電子写真感光体1の電荷輸送層13に含有させる。
Figure 2006193456

【選択図】図1

Description

本発明は、ヒドラゾン化合物および該ヒドラゾン化合物を用いた電子写真感光体、ならびに該電子写真感光体を備える画像形成装置に関する。
電子写真技術を用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成装置(以下、電子写真装置と称する)は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などとして多用されている。電子写真装置では、以下のような電子写真プロセスを経て画像を形成する。
まず、装置に備わる電子写真感光体(以下、単に感光体とも称する)の感光層を、帯電ローラなどの帯電手段によって所定の電位に一様に帯電させ、露光手段によって画像情報に応じた露光を施し、静電潜像を形成する。形成された静電潜像に対して現像剤を供給し、感光体の表面に現像剤の成分であるトナーを付着させることによって静電潜像を現像し、トナー像として顕像化する。形成されたトナー像を、転写手段によって感光体の表面から記録紙などの転写材上に転写し、定着手段によって定着させる。以上のようにして、転写材に画像が形成される。一方、トナー像が転写された後の感光体は、クリーニングブレードなどを備えるクリーニング手段によってクリーニングが施され、転写動作時に転写材上に転写されずに感光体表面に残留するトナーなどが除去される。その後、除電器などによって感光層表面が除電され、静電潜像が消失する。
このような電子写真プロセスで用いられる感光体には、基本的な特性として、電気特性に優れること、たとえば電荷保持能力に優れ、暗所での電荷の放電が少ないこと、光感度に優れ、光照射によって速やかに電荷を放電することなどが要求される。また感光体には、長期間にわたって均質な画像を形成することができるように、繰返し使用時においても前述の電気特性が安定しており、電気特性の安定性(以下、単に特性安定性とも称する)に優れることなども求められる。
近年、電子写真技術は、複写機の分野に限らず、従来では銀塩写真技術が使われていた印刷版材、スライドフィルム、マイクロフィルムなどの分野においても利用されており、レーザ、発光ダイオード(Light Emitting Diode;略称LED)、陰極線管(Cathode
Ray Tube;略称CRT)などを光源とする高速プリンタにも応用されている。電子写真
技術の応用範囲の拡大に伴い、電子写真感光体に対する要求は、高度で幅広いものになりつつある。
電子写真感光体は、光導電性材料を含有する感光層が導電性支持体上に積層された構成を有する。電子写真感光体としては、従来から、セレン、酸化亜鉛または硫化カドミウムなどの無機光導電性材料を主成分とする感光層を備える無機感光体が広く用いられている。無機感光体は、感光体としての基礎特性をある程度は備えているけれども、感光層の成膜が困難である、可塑性が悪い、製造原価が高いなどの欠点を有する。また無機光導電性材料は一般に毒性が強く、製造上および取扱い上、大きな制約がある。
このように無機光導電性材料およびそれを用いた無機感光体には多くの欠点があることから、有機光導電性材料の研究開発が進んでいる。有機光導電性材料は、近年、幅広く研究開発され、電子写真感光体などの静電記録素子に利用されるだけでなく、センサ素子、有機エレクトロルミネセント(Electro Luminescent;略称EL)素子などに応用され始
めている。
有機光導電性材料を用いた有機感光体は、感光層の成膜性がよく、可撓性も優れている上に、軽量で、透明性もよく、適当な増感方法によって広範囲の波長域に対して良好な感度を示す感光体を容易に設計できるなどの利点を有しているので、次第に電子写真感光体の主力として開発されてきている。
有機感光体は、初期には感度および耐久性に欠点を有していたけれども、これらの欠点は、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の物質にそれぞれ分担させた機能分離型電子写真感光体の開発によって著しく改善されている。機能分離型感光体は、有機感光体の有する前述の利点に加え、感光層を構成する材料の選択範囲が広く、任意の特性を有する電子写真感光体を比較的容易に作製できるという利点も有している。
機能分離型感光体には積層型と単層型とがあり、単層型では、バインダ樹脂と呼ばれる結着性を有する樹脂中に電荷発生機能を担う電荷発生物質と電荷輸送機能を担う電荷輸送物質とが共分散されて成る単層型の感光層が設けられる。積層型の機能分離型感光体では、電荷発生物質がバインダ樹脂に分散されて成る電荷発生層と電荷輸送物質がバインダ樹脂に分散されて成る電荷輸送層とが積層された積層型の感光層が設けられる。
機能分離型感光体に用いられる電荷発生物質としては、多種の物質が検討され、耐光性、電荷発生能力などに優れるものとして、フタロシアニン顔料、スクアリリウム色素、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、シアニン色素、スクアリン酸染料、ピリリウム塩系色素などの種々の材料が提案されている。
また、電荷輸送物質としては、ピラゾリン化合物(たとえば、特許文献1参照)、ヒドラゾン化合物(たとえば、特許文献2〜4参照)、トリフェニルアミン化合物(たとえば、特許文献5および6参照)およびスチルベン化合物(たとえば、特許文献7および8参照)などの種々の化合物が提案されている。
電荷輸送物質には、
(1)光および熱に対して安定であること、
(2)感光体を帯電させる際のコロナ放電によって発生するオゾン、窒素酸化物(一般式:NOx)および硝酸などの活性物質に対して安定であること、
(3)電荷輸送能力に優れること、
(4)有機溶剤およびバインダ樹脂との相溶性に優れること、
(5)製造が容易で安価であること
などが要求される。しかしながら、前述の特許文献1〜8などに開示の電荷輸送物質は、これらの要求の一部を満足するけれども、すべてを高いレベルで満足するには至っていない。
また近年では、前述の要求の中でも、特に、電荷輸送能力に優れることが求められている。たとえば、複写機およびプリンタなどの電子写真装置に対する小型化および画像形成速度の高速化の要求に対応し、感光体特性として高感度化が要求されており、感光体の高感度化を実現する手段として、電荷輸送物質の電荷輸送能力の向上が求められている。
また高速の電子写真プロセスでは、露光から現像までの時間が短いので、光応答性の良い感光体が求められる。感光体の光応答性が悪い、すなわち露光による感光層の表面電位の減衰速度が遅いと、残留電位が上昇し、表面電位が充分に減衰していない状態で繰返し使用されることになる。このため、消去されるべき部分の表面電荷が露光によって充分に消去されず、画像濃度が低下するなどの画質の低下が早期に生じる。機能分離型感光体では、光吸収によって電荷発生物質の発生した電荷を電荷輸送物質が感光層表面に輸送することによって、光の照射された部分の感光層の表面電荷が消去されるので、光応答性は電荷輸送物質の電荷輸送能力に依存する。したがって、充分な光応答性を有し、高速の電子写真プロセスにおいても高品質の画像を形成することのできる感光体を実現するという観点からも、電荷輸送物質には優れた電荷輸送能力が求められる。
また、電子写真装置には高耐久化も求められており、これを実現するためには、電子写真感光体が、電気的および機械的外力に対する耐久性に優れ、長期間安定して動作し得ることが必要となる。たとえば機械的耐久性に関しては、感光体の表面層の耐刷性が問題となる。感光体が電子写真装置に搭載されて使用される際、感光体の表面層は、クリーニングブレード、帯電ローラなどの接触部材によってその一部が削り取られることを余儀なくされる。感光体の表面層の削り取られた量すなわち膜減り量が多いと、感光体の帯電保持能が低下し、高品質の画像を提供することができなくなる。したがって、電子写真装置の高耐久化を実現するためには、感光体が機械的耐久性に優れ、前述の接触部材に対して強い表面層すなわち接触部材によって削り取られにくい、耐刷性に優れる表面層を有することが求められる。
前述の電荷輸送層が表面層となる感光体において、表面層の耐刷性を向上させ、機械的耐久性を向上させる方法としては、表面層である電荷輸送層に含有されるバインダ樹脂の含有率を高くすることが考えられる。しかしながら、バインダ樹脂の含有率を高くすると、相対的に電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有率が低下するので、電荷輸送層の電荷輸送能力が低下し、光応答性が低下するという問題が生じる。感光体の光応答性は、前述のように電荷輸送物質の電荷輸送能力に依存する。したがって、光応答性を低下させることなく、バインダ樹脂の含有率を高めて感光体の機械的耐久性を向上させるために、電荷輸送物質には、特に優れた電荷輸送能力が求められる。
このような要求を満たす電荷輸送物質を開発するために種々の分子デザインが行われている。たとえば、ヒドラゾン骨格にエナミン基を組込み、さらにスチリル構造を結合させた化合物が提案されている(特許文献9参照)。しかしながら、最近の電子写真装置の小型化、高速化および高耐久化に対する要求の高まりに伴い、電荷輸送物質には電荷輸送能力の更なる向上が求められており、特許文献9に開示の電荷輸送物質には改良の余地がある。
また、電子写真装置には、使用環境に拠らず、均質な画像を提供できることが求められる。このため、感光体には、温度および湿度などの環境の変動による特性の変化が小さく、環境安定性に優れることが要求される。たとえば、低温環境下で用いた場合にも感度低下を起こさない感光体が求められる。このような感光体を実現するためにも、電荷輸送物質には優れた電荷輸送能力が求められる。
特公昭52−4188号公報 特開昭54−150128号公報 特公昭55−42380号公報 特開昭55−52063号公報 特公昭58−32372号公報 特開平2−190862号公報 特開昭54−151955号公報 特開昭58−198043号公報 特開平6−59476号公報
本発明の目的は、感度および光応答性などの電気特性が良好であり、かつ電気的および機械的耐久性、ならびに環境安定性に優れる信頼性の高い電子写真感光体を実現可能な電荷輸送能力に優れる有機光導電性材料、ならびに該有機光導電性材料を用いた電子写真感光体およびそれを備える画像形成装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するべく研究を重ねた結果、ヒドラゾン骨格にエナミン基を組込み、さらにジエン構造またはトリエン構造を結合させた新規なヒドラゾン化合物が、有効な有機光導電性材料として機能することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、一般式(1)
Figure 2006193456
(式中、Arは置換基を有してもよいアリーレン基を示す。Arは置換基を有してもよい、アリール基、複素環基、アラルキル基またはチエニルアルキル基を示す。Arは水素原子または置換基を有してもよい、アリール基、複素環基、アラルキル基もしくはアルキル基を示す。Arは置換基を有してもよい、アリール基または複素環基を示す。Arは水素原子または置換基を有してもよい、アリール基、複素環基、アラルキル基もしくはアルキル基を示す。ArおよびArはそれぞれ、置換基を有してもよい、アリール基、複素環基、アラルキル基またはアルキル基を示す。ただし、基=CArArが結合する炭素原子には、基=CArArの代わりに2価の芳香環基または複素環基が結合していてもよい。また、基=CArArが結合する窒素原子には、基=CArArの代わりに2価の芳香環基または複素環基が結合していてもよい。R、RおよびRはそれぞれ、水素原子または置換基を有してもよい、アルキル基、アリール基、複素環基もしくはアラルキル基を示す。nは1または2を示す。nが2のとき、2個のRおよびRはそれぞれ同一でもよくまたは異なっていてもよい。)
で表されるヒドラゾン化合物である。
また本発明のヒドラゾン化合物は、一般式(2)
Figure 2006193456
(式中、Ar、Ar、Ar、Arおよびnは一般式(1)における定義と同義である。Ar6aおよびAr7aはそれぞれ、置換基としてハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲノアルキル基、パーハロゲノアルキル基、ジアルキルアミノ基およびフェニルチオ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいアリール基、置換基としてアルキル基を有してもよくかつ異項原子として酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれる1種もしくは2種以上を含む単環式もしくは縮合環式複素環基、アルキル部分の炭素数が1〜3であるアラルキル基、または炭素数1〜4のアルキル基を示す。R1aは水素原子または置換基を有してもよい、炭素数1〜4のアルキル基もしくはアリール基を示す。R2aおよびR3aは、一方が水素原子であり、他方が水素原子または置換基を有してもよい、炭素数1〜4のアルキル基、複素環基もしくはアラルキル基を示す。ただし、nが2のとき、2個のR2aおよびR3aはそれぞれ同一でもよくまたは異なっていてもよい。Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基または置換基を有してもよい、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基もしくは炭素数2〜8のジアルキルアミノ基を示す。mは1〜4の整数を示す。ただし、mが2以上のとき、複数個のRは同一でもよくまたは異なっていてもよい。)
で表されるヒドラゾン化合物である。
また本発明のヒドラゾン化合物は、前記一般式(2)において、Ar6aおよびAr7aが、同一または異なって、置換基としてハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、炭素数2〜8のジアルキルアミノ基およびフェニルチオ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいフェニル基であるヒドラゾン化合物(以後、ヒドラゾン化合物(2a)と称する)である。
また本発明のヒドラゾン化合物は、前記一般式(2)において、Arが、置換基としてハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲノアルキル基、パーハロゲノアルキル基、ジアルキルアミノ基、スチリル基およびフェニルチオ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいアリール基、または置換基としてアルキル基を有してもよくかつ異項原子として酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれる1種もしくは2種以上を含む単環式もしくは縮合環式複素環基であるヒドラゾン化合物(以後、ヒドラゾン化合物(2b)と称する)である。
また本発明のヒドラゾン化合物は、前記一般式(2)において、Arが、置換基としてハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基および炭素数2〜8のジアルキルアミノ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいフェニル基であるヒドラゾン化合物(以後、ヒドラゾン化合物(2c)と称する)である。
また本発明のヒドラゾン化合物は、前記一般式(2)において、
Arが置換基としてハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲノアルキル基、ジアルキルアミノ基、スチリル基およびフェニルチオ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいアリール基、置換基としてアルキル基を有してもよくかつ異項原子として酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる1種もしくは2種以上を含む単環式もしくは縮合環式複素環基、アルキル部分の炭素数が1〜3であるアラルキル基、またはアルキル部分の炭素数が1〜3であるチエニルアルキル基であり、
Arが水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、または置換基としてアルキル基、アルコキシ基およびジアルキルアミノ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいアリール基であり、
Arが水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、置換基としてアルキル基、アルコキシ基およびジアルキルアミノ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいアリール基、または異項原子として酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる1種もしくは2種以上を含む単環式もしくは縮合環式複素環基であるヒドラゾン化合物(以後、ヒドラゾン化合物(2d)と称する)である。
また本発明のヒドラゾン化合物は、前記一般式(2)において、
Arが置換基として炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基もしくは炭素数1〜5のハロゲノアルキル基を有してもよいフェニル基、またはアルキル部分の炭素数が1〜3であるアラルキル基であり、
Arが水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または置換基として炭素数1〜4のアルコキシ基を有してもよいフェニル基であり、
Arが置換基として炭素数1〜4のアルキル基および炭素数1〜4のアルコキシ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいフェニル基、または異項原子として酸素原子を含む単環式複素環基であり、
Arが水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または異項原子として酸素原子を含む単環式複素環基であり、
Ar6aが炭素数1〜4のアルキル基、置換基としてハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基およびフェニルチオ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいフェニル基、またはアルキル部分の炭素数が1〜3であるアラルキル基であり、
Ar7aが置換基としてハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基およびフェニルチオ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいフェニル基であり、
1aが水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基であり、
2aおよびR3aのうち一方が水素原子であり、他方が水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ベンジル基または異項原子として硫黄原子を含む単環式複素環基であり、
かつRが水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であるヒドラゾン化合物(以後、ヒドラゾン化合物(2e)と称する)である。
また本発明のヒドラゾン化合物は、前記一般式(2)において、
nが1であり、R1a,R2aおよびR3aがいずれも水素原子であるヒドラゾン化合物(以後、ヒドラゾン化合物(2f)と称する)である。
また本発明は、導電性支持体と、導電性支持体上に設けられる感光層とを有する電子写真感光体であって、
感光層は、前記本発明のヒドラゾン化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
また本発明は、感光層が、オキソチタニウムフタロシアニン化合物をさらに含有することを特徴とする。
また本発明は、オキソチタニウムフタロシアニン化合物が、Cu−Kα特性X線(波長:1.54Å)に対するX線回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)27.2°に回折ピークを示す結晶構造を有するオキソチタニウムフタロシアニン化合物であることを特徴とする。
また本発明は、感光層が、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを備え、
電荷輸送物質が、前記本発明のヒドラゾン化合物を含むことを特徴とする。
また本発明は、電荷輸送層が、さらにバインダ樹脂を含有し、
電荷輸送層における前記ヒドラゾン化合物の重量(A)に対するバインダ樹脂の重量(B)の比率(B/A)が、1.2以上、3.0以下であることを特徴とする。
また本発明は、導電性支持体と感光層との間に、中間層を有することを特徴とする。
また本発明は、前記本発明の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記電子写真感光体に対して露光を施す露光手段と、
露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段とを備えることを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、一般式(1)で表される特定の構造のヒドラゾン化合物が提供される。一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物は、電荷輸送能力、特にホール輸送能力に優れるので、電子写真感光体などの静電記録素子、センサ素子またはEL素子などのデバイスの電荷輸送物質として好適である。これらのデバイスに本発明のヒドラゾン化合物を用いることによって、応答性に優れるデバイスを提供することができる。たとえば、本発明のヒドラゾン化合物を電子写真感光体の感光層に含有させることによって、帯電性、感度および光応答性などの電気特性が良好であり、かつ電気的および機械的耐久性、ならびに環境安定性に優れる電子写真感光体を実現することができる。
また本発明によれば、一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物の中でも、一般式(2)で表されるヒドラゾン化合物が好ましく、ヒドラゾン化合物(2a)〜(2f)がさらに好ましい。これらのヒドラゾン化合物は、特に優れた電荷輸送能力を有するので、電子写真感光体などのデバイスの電荷輸送物質として特に有効である。
また本発明によれば、電子写真感光体の感光層には、一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物が含有され、電荷輸送物質として機能する。このことによって、帯電性、感度および光応答性などの電気特性に優れ、さらに電気的耐久性および環境安定性にも優れる信頼性の高い電子写真感光体を得ることができる。また、高速の電子写真プロセスに用いられた場合であっても画質の低下を引起すことのない電子写真感光体が実現される。したがって、本発明の電子写真感光体を用いることによって、各種の環境下において長期間にわたって安定して高品質の画像を提供することができる。また、本発明の電子写真感光体を用いることによって、画質を低下させることなく、画像形成速度を向上させることができる。
また本発明によれば、電子写真感光体の感光層には、オキソチタニウムフタロシアニン化合物が含有される。このことによって、電子写真感光体の感度および解像度を向上させることができる。
また本発明によれば、オキソチタニウムフタロシアニン化合物の中でも、Cu−Kα特性X線(波長:1.54Å)に対するX線回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)27.2°に回折ピークを示す結晶構造を有するオキソチタニウムフタロシアニン化合物が好ましい。前記特定の結晶構造を有するオキソチタニウムフタロシアニン化合物は、電荷発生能力および電荷注入能力に特に優れる。したがって、前記特定の結晶構造を有するオキソチタニウムフタロシアニン化合物を用いることによって、電子写真感光体の感度および解像度を一層向上させることができる。
また本発明によれば、電子写真感光体の感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、本発明のヒドラゾン化合物を含む電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを備える。このように電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の層に担わせることによって、各層を構成する材料を独立して選択することができるので、電荷発生機能および電荷輸送機能それぞれに最適な材料を選択することができる。したがって、電子写真感光体の帯電性、感度および光応答性などの電気特性、ならびに電気的および機械的耐久性を向上させることができる。
また本発明によれば、電荷輸送層において、一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物の重量(A)に対するバインダ樹脂の重量(B)の比率(B/A)は、1.2以上、3.0以下である。このことによって、電荷輸送層の耐刷性を向上させることができる。また、電荷輸送層に含有される本発明のヒドラゾン化合物は優れた電荷輸送能力を有するので、電荷輸送層中に前記比率でバインダ樹脂を含有させても、電子写真感光体の応答性は低下しない。したがって、本発明の電子写真感光体では、光応答性を低下させることなく電荷輸送層の耐刷性を向上させ、機械的耐久性を向上させることができる。
また本発明によれば、導電性支持体と感光層との間には中間層が設けられる。このことによって、導電性支持体から感光層への電荷の注入を防止し、画像欠陥の発生を防ぐことができる。このように導電性支持体と感光層との間に中間層を設けると、感度の低下するおそれがあるけれども、本発明の電子写真感光体は、感光層に電荷輸送物質として本発明のヒドラゾン化合物を含有するので、中間層が設けられても良好な感度を示す。したがって、本発明の電子写真感光体では、感度を低下させることなく中間層を設け、画像欠陥の発生を抑制することができる。
また本発明によれば、画像形成装置は、本発明の電子写真感光体を備える。本発明の電子写真感光体は、一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物を感光層に含有するので、帯電性、感度および光応答性などの電気特性、電気的および機械的耐久性、ならびに環境安定性に優れる。したがって、各種の環境下において長期間にわたって安定して高品質の画像を形成することのできる信頼性の高い画像形成装置が実現される。また本発明の電子写真感光体は、高速の電子写真プロセスに用いられた場合であっても画質の低下を引起すことがないので、本発明の画像形成装置は、画像形成速度の高速化が可能である。
本発明のヒドラゾン化合物は、下記一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物である。
Figure 2006193456
一般式(1)において、Arは置換基を有してもよいアリーレン基を示す。Arで示されるアリーレン基としては、p−フェニレン基、m−フェニレン基などのフェニレン基、1,4−ナフチレン基などのナフチレン基、4,4’−ビフェニリレン基などのビフェニリレン基などが挙げられる。その中でも、一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物の特性、製造原価、生産性などを考慮すると、フェニレン基、ナフチレン基が好ましく、p−フェニレン基、1,4−ナフチレン基がさらに好ましく、p−フェニレン基が特に好ましい。
これらのアリーレン基が有してもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、モノフルオロメチル基、1,1−ジフルオロエチル基などのフルオロアルキル基などのハロゲノアルキル基、パーフルオロメチル基などのパーフルオロアルキル基などのパーハロゲノアルキル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのジアルキルアミノ基、スチリル基、フェニルチオ基などが挙げられ、その中でも、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、炭素数2〜8のジアルキルアミノ基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。これらの置換基は、さらに置換基を有してもよい。置換基を有するアリーレン基としては、たとえば2−メチル−1,4−フェニレン基などが挙げられる。
一般式(1)において、Arは置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいチエニルアルキル基を示す。
Arで示される各基の具体例としては、以下のものが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基などの環数1〜6、好ましくは1〜4の単環式または多環式のアリール基などが挙げられ、その中でもフェニル基が好ましい。複素環基としては、フリル基、チエニル基、チアゾリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチオフェニル基などの、異項原子として、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子およびテルル原子から選ばれる1種または2種以上を含む単環式または縮合環式複素環基などが挙げられ、その中でも、異項原子として、酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれる1種または2種以上を含む単環式または縮合環式複素環基が好ましい。ここで、縮合環式複素環基とは、単環式の複素環同士が縮合したものおよび芳香環と複素環とが縮合したもののことである。アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基などが挙げられ、その中でもアルキル部分の炭素数が1〜3であるアラルキル基が好ましい。チエニルアルキル基としては、チエニルメチル基、チエニルエチル基などが挙げられ、その中でもアルキル部分の炭素数が1〜3であるチエニルアルキル基が好ましい。これらの各基が有してもよい置換基としては、前述のArで示されるアリーレン基の有してもよい置換基として例示したものなどが挙げられる。その中でも、アリール基の有する置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜5のハロゲノアルキル基が好ましい。置換基を有するアリール基としては、たとえばトリル基、メトキシフェニル基などが挙げられ、置換基を有するアラルキル基としては、たとえばp−メトキシベンジル基などが挙げられる。
一般式(1)において、Arは水素原子、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。Arで示されるアリール基、複素環基およびアラルキル基の具体例としては、Arで示されるアリール基、複素環基およびアラルキル基と同様のものが挙げられる。その中でも、アリール基としてはフェニル基が好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基(以後、n−Cとも記載する)などの直鎖状アルキル基、イソプロピル基など分岐鎖状アルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基などのシクロアルキル基などが挙げられ、その中でも、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状アルキル基がさらに好ましい。これらの各基が有してもよい置換基としては、前述のArで示されるアリーレン基の有してもよい置換基として例示したものなどが挙げられる。その中でも、アリール基の有する置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基がさらに好ましい。
一般式(1)において、Arは置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を示す。Arで示されるアリール基および複素環基の具体例としては、Arで示されるアリール基および複素環基と同様のものが挙げられる。その中でも、アリール基としてはフェニル基が好ましく、複素環基としては異項原子として酸素原子を含む単環式複素環基が好ましい。これらの各基が有してもよい置換基としては、前述のArで示されるアリーレン基の有してもよい置換基として例示したものなどが挙げられる。その中でも、アリール基の有する置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、フェニルチオ基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基がさらに好ましい。
一般式(1)において、Arは水素原子、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。Arで示されるアリール基、複素環基およびアラルキル基の具体例としては、Arで示されるアリール基、複素環基およびアラルキル基と同様のものが挙げられる。その中でも、複素環基としては、異項原子として酸素原子を含む単環式複素環基が好ましい。アルキル基の具体例としては、Arで示されるアルキル基と同様のものが挙げられ、その中でも、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状アルキル基が好ましい。これらの各基が有してもよい置換基としては、前述のArで示されるアリーレン基の有してもよい置換基として例示したものなどが挙げられる。その中でも、アリール基の有する置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜8のジアルキルアミノ基がさらに好ましい。
一般式(1)において、ArおよびArはそれぞれ、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ArまたはArで示されるアリール基、複素環基およびアラルキル基の具体例としては、Arで示されるアリール基、複素環基およびアラルキル基と同様のものが挙げられる。その中でも、アリール基としてはフェニル基が好ましく、アラルキル基としてはアルキル部分の炭素数が1〜3であるアラルキル基が好ましい。アルキル基の具体例としては、Arで示されるアルキル基と同様のものが挙げられ、その中でも、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4の鎖状または分岐鎖状アルキル基がさらに好ましい。これらの各基が有してもよい置換基としては、前述のArで示されるアリーレン基の有してもよい置換基として例示したものなどが挙げられる。その中でも、アリール基の有する置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、フェニルチオ基が好ましく、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニルチオ基がさらに好ましい。
一般式(1)において、基=CArArが結合する炭素原子には、基=CArArの代わりに2価の芳香環基または2価の複素環基が結合していてもよい。該2価の芳香環基としては、1−インダニリデン基、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチリデン基などが挙げられる。該2価の複素環基としては、ベンゾスベロニリデン基、9−キサンテニリデン基などが挙げられる。
一般式(1)において、基=CArArが結合する窒素原子には、基=CArArの代わりに2価の芳香環基または2価の複素環基が結合していてもよい。該2価の芳香環基および2価の複素環基としては、基=CArArが結合する炭素原子に結合していてもよい2価の芳香環基および2価の複素環基と同様のものが挙げられる。
一般式(1)において、R、RおよびRはそれぞれ、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基または置換基を有してもよいアラルキル基を示す。R、RまたはRで示されるアリール基、複素環基およびアラルキル基の具体例としては、Arで示されるアリール基、複素環基およびアラルキル基と同様のものが挙げられる。その中でも、アリール基としてはフェニル基が好ましく、複素環基としては異項原子として硫黄原子を含む単環式複素環基が好ましく、アラルキル基としてはアルキル部分の炭素数が1〜3であるアラルキル基が好ましく、ベンジル基がさらに好ましい。アルキル基の具体例としては、Arで示されるアルキル基と同様のものが挙げられ、その中でも、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状アルキル基がさらに好ましい。これらの各基が有してもよい置換基としては、前述のArで示されるアリーレン基の有してもよい置換基として例示したものなどが挙げられる。
一般式(1)において、nは1または2を示す。nが2のとき、2個のRおよびRはそれぞれ同一でもよくまたは異なっていてもよい。
一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物は、電荷輸送能力、特にホール輸送能力に優れる。本発明のヒドラゾン化合物が優れた電荷輸送能力を示すのは、分子内にエナミン基が組込まれたヒドラゾン構造とジエン構造またはトリエン構造とを併せ持つので、分子内の広範囲にわたって共役系が形成されているためであると推察される。このように、本発明のヒドラゾン化合物は、電荷輸送能力に優れるので、電荷輸送物質としての用途に適している。たとえば、本発明のヒドラゾン化合物を電子写真感光体などの静電記録素子、センサ素子またはEL素子などのデバイスの電荷輸送物質として用いることによって、応答性に優れるデバイスを実現することができる。
一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物のうち、好ましい化合物としては、下記一般式(2)で表されるヒドラゾン化合物が挙げられる。
Figure 2006193456
一般式(2)において、Ar、Ar、Ar、Arおよびnは一般式(1)における定義と同義である。
一般式(2)において、Ar6aおよびAr7aはそれぞれ、置換基としてハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲノアルキル基、パーハロゲノアルキル基、ジアルキルアミノ基およびフェニルチオ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいアリール基、置換基としてアルキル基を有してもよくかつ異項原子として酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれる1種もしくは2種以上を含む単環式もしくは縮合環式複素環基、アルキル部分の炭素数が1〜3であるアラルキル基、または炭素数1〜4のアルキル基を示す。
Ar6aまたはAr7aで示されるアリール基、複素環基およびアラルキル基の具体例としては、Arで示されるアリール基、複素環基およびアラルキル基と同様のものが挙げられる。その中でも、アリール基としてはフェニル基が好ましく、アラルキル基としてはベンジル基が好ましい。炭素数1〜4のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基などの炭素数1〜4の直鎖状アルキル基、イソプロピル基などの炭素数1〜4の分岐鎖状アルキル基などが挙げられる。
Ar6aまたはAr7aで示されるアリール基が有してもよい各置換基の具体例としては、前述のArで示されるアリーレン基の有してもよい置換基として例示したものなどが挙げられる。その中でも、アルキル基としては炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、アルコキシ基としては炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、ハロゲノアルキル基としては炭素数1〜5のフルオロアルキル基が好ましく、パーハロゲノアルキル基としては炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基が好ましく、ジアルキルアミノ基としては炭素数2〜8のジアルキルアミノ基が好ましい。複素環基が置換基として有してもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基などの直鎖状アルキル基、イソプロピル基など分岐鎖状アルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基などのシクロアルキル基などが挙げられ、その中でも、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状アルキル基がさらに好ましい。
一般式(2)において、R1aは水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。R1aで示される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基などの炭素数1〜4の直鎖状アルキル基、イソプロピル基などの炭素数1〜4の分岐鎖状アルキル基などが挙げられる。アリール基としては、Arで示されるアリール基と同様のものが挙げられ、その中でもフェニル基が好ましい。これらの各基が有してもよい置換基としては、前述のArで示されるアリーレン基の有してもよい置換基として例示したものなどが挙げられる。
一般式(2)において、R2aおよびR3aは、一方が水素原子であり、他方が水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有してもよい複素環基または置換基を有してもよいアラルキル基を示す。ただし、nが2のとき、2個のR2aおよびR3aはそれぞれ同一でもよくまたは異なっていてもよい。
2aまたはR3aで示される炭素数1〜4のアルキル基としては、R1aで示される炭素数1〜4のアルキル基と同様のものが挙げられる。複素環基およびアラルキル基としては、Arで示される複素環基およびアラルキル基と同様のものが挙げられ、その中でも、複素環基としては異項原子として硫黄原子を含む単環式複素環基が好ましく、アラルキル基としてはアルキル部分の炭素数が1〜3であるアラルキル基が好ましく、ベンジル基がさらに好ましい。これらの各基が有してもよい置換基としては、Arで示されるアリーレン基の有してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
一般式(2)において、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基または置換基を有してもよい炭素数2〜8のジアルキルアミノ基を示す。
で示される各基の具体例としては、以下のものが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基などの炭素数1〜4の直鎖状アルキル基、イソプロピル基などの炭素数1〜4の分岐鎖状アルキル基などが挙げられる。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基などの炭素数1〜4の直鎖状アルコキシ基、イソプロポキシ基などの炭素数1〜4の分岐鎖状アルコキシ基などが挙げられる。炭素数1〜5のフルオロアルキル基としては、モノフルオロメチル基、1,1−ジフルオロエチル基、1,1,1−トリフルオロブチル基などが挙げられる。炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基などが挙げられる。炭素数2〜8のジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基などが挙げられる。これらの各基が有してもよい置換基としては、前述のArで示されるアリーレン基の有してもよい置換基として例示したものなどが挙げられる。
一般式(2)において、mは1〜4の整数を示す。ただし、mが2以上のとき、複数個のRは同一でもよくまたは異なっていてもよい。
一般式(2)で表されるヒドラゾン化合物のうち、さらに好ましい化合物としては、前述のヒドラゾン化合物(2a)〜(2f)が挙げられる。一般式(2)で表されるヒドラゾン化合物、特にヒドラゾン化合物(2a)〜(2f)は、一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物の中でも、特に優れた電荷輸送能力を有するので、電荷輸送物質として特に有効である。
また、ヒドラゾン化合物(2a)のように、Ar6aおよびAr7aが置換または無置換のフェニル基であるヒドラゾン化合物は、後述する一般式(7)で表されるアルデヒド化合物として入手の容易なジフェニルアセトアルデヒドまたはその誘導体を用いて合成することができるので、製造原価が安価である。また、ヒドラゾン化合物(2f)のように、ジエン構造を有し、かつR1a,R2aおよびR3aが水素原子であるヒドラゾン化合物は、後述する一般式(10b)で表されるハロゲン化アリル化合物の合成が容易であるので、一層安価に製造することができる。このようなヒドラゾン化合物を用いることによって、優れた応答性を有する電子写真感光体などのデバイスの製造原価を低減することができる。
さらに、ヒドラゾン化合物(2c)のようにArが置換または無置換のフェニル基であるヒドラゾン化合物は、後述する一般式(4)で表されるカルボニル化合物として、入手の容易な種々の置換基の導入されたベンゾイル誘導体を用いて合成することができるので、製造原価がさらに低く、これらを用いたデバイスの製造原価の低減に大きく寄与する。
したがって、製造原価の観点からは、一般式(2)で表されるヒドラゾン化合物の中でも、一般式(3a)
Figure 2006193456
で表されるヒドラゾン化合物が好ましく、一般式(3b)
Figure 2006193456
で表されるヒドラゾン化合物がさらに好ましい。
一般式(3a)において、Ar、Ar、ArおよびArは一般式(1)における定義と同義である。Rおよびmは一般式(2)における定義と同義である。RおよびRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2〜8のジアルキルアミノ基またはフェニルチオ基を示す。kおよびlはそれぞれ1〜5の整数を示す。ただし、kまたはlが2以上のとき、対応する複数個のRまたはRはそれぞれ同一でもよくまたは異なっていてもよく、またこれらが結合するフェニル基とともに1価の縮合環基を形成していてもよい。
一般式(3a)において、RまたはRで示される各基の具体例としては、Rで示される各基と同様のものが挙げられる。RまたはRで示される各基が有してもよい置換基としては、前述のArで示されるアリーレン基の有してもよい置換基として例示したものなどが挙げられる。複数個のRまたはRが結合するフェニル基とともに形成していてもよい1価の縮合環基としては、3,4−メチレンジオキシフェニル基、1−インダニル基、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチル基などが挙げられる。
一般式(3b)において、Ar、ArおよびArは一般式(1)における定義と同義である。Rおよびmは一般式(2)における定義と同義である。R、R、kおよびlは一般式(3a)における定義と同義である。Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基または置換基を有してもよい炭素数2〜8のジアルキルアミノ基を示す。jは1〜5の整数を示す。ただし、jが2以上のとき、複数個のRは同一でもよくまたは異なっていてもよく、またこれらが結合するフェニル基とともに1価の縮合環基を形成していてもよい。
一般式(3a)において、Rで示される各基の具体例としては、Rで示される各基と同様のものが挙げられる。これらの各基が有してもよい置換基としては、前述のArで示されるアリーレン基の有してもよい置換基として例示したものなどが挙げられる。複数個のRが結合するフェニル基とともに形成していてもよい1価の縮合環基としては、3,4−メチレンジオキシフェニル基、1−インダニル基、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチル基などが挙げられる。
さらに、特性、製造原価、生産性などの観点から特に優れた化合物としては、一般式(2)において、Arがフェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基または2,3−メチレンジオキシフェニル基であり、Arが水素原子、メチル基、フェニル基またはp−トリル基であり、Arがフェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基または2,3−メチレンジオキシフェニル基であり、Arが水素原子、メチル基、フェニル基またはp−トリル基であり、Ar6aおよびAr7aが同一または異なってフェニル基またはp−トリル基であり、nが1であり、R1a,R2aおよびR3aがいずれも水素原子であるヒドラゾン化合物(以後、ヒドラゾン化合物(2g)と称する)が挙げられる。
また、一般式(1)において、Arが置換基としてハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基および炭素数2〜8のジアルキルアミノ基から選ばれる1種または2種以上を有してもよい1,4−ナフチレン基であり、Arがフェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基または2,3−メチレンジオキシフェニル基であり、Arが水素原子、メチル基、フェニル基またはp−トリル基であり、Arがフェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基または2,3−メチレンジオキシフェニル基であり、Arが水素原子、メチル基、フェニル基またはp−トリル基であり、ArおよびArが同一または異なってフェニル基またはp−トリル基であり、nが1であり、R,RおよびRがいずれも水素原子であるヒドラゾン化合物も挙げられる。
一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物の具体例としては、たとえば以下の表1〜表4に示す例示化合物No.1〜No.60を挙げることができるけれども、本発明のヒドラゾン化合物は、これらに限定されるものではない。
なお、表1〜表4では、各例示化合物を一般式(1)の各基に対応する基で表している。たとえば、表1に示す例示化合物No.1は、構造式(1a)
Figure 2006193456
で表されるヒドラゾン化合物である。
また、表1〜表4では、一般式(1)において基=CArArが結合する炭素原子に2価の芳香環基または2価の複素環基が結合している化合物を例示する場合には、これらの2価基をArの欄からArの欄にわたって記載する。また、基=CArArが結合する窒素原子に2価の芳香環基または2価の複素環基が結合している化合物を例示する場合には、これらの2価基をArの欄からArの欄にわたって記載する。また、一般式(1)においてn=2のヒドラゾン化合物のうち、2個のRで示される基が同一であり、かつ2個のRで示される基が同一であるものを例示する場合には、RおよびRをそれぞれ1個示す。
Figure 2006193456
Figure 2006193456
Figure 2006193456
Figure 2006193456
一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物は、公知の反応を利用して製造することができる。たとえば、一般式(1)においてRが水素原子であるヒドラゾン化合物は、以下のようにして製造される。まず、一般式(4)
Figure 2006193456
(式中、ArおよびArは一般式(1)における定義と同義である。)で表されるカルボニル化合物と、一般式(5)
Figure 2006193456
(式中、Arは一般式(1)における定義と同義である。)で表されるヒドラジン化合物とを脱水縮合させることによって、一般式(6)
Figure 2006193456
(式中、Ar、ArおよびArは一般式(1)における定義と同義である。)で表されるヒドラゾン中間体を製造する。
一般式(4)で表されるカルボニル化合物と一般式(5)で表されるヒドラジン化合物との脱水縮合反応は、たとえば一般式(4)で表されるカルボニル化合物および一般式(5)で表されるヒドラジン化合物をアルコール系溶媒中で酸触媒の存在下に加熱することによって行われる。これによって、一般式(6)で表されるヒドラゾン中間体をほぼ定量的に得ることができる。この脱水縮合反応の反応温度および反応時間は、特に制限されず、使用されるカルボニル化合物およびヒドラジン化合物の種類および量などの各種条件に応じて適宜選択されるけれども、好ましくは、温度70〜80℃で4〜8時間である。脱水縮合反応に使用されるアルコール系溶媒としては、エタノール、ブタノール、イソプロパノールなどが挙げられる。また、酸触媒としては、酢酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸などが挙げられる。酸触媒の添加量は、特に制限されないけれども、好ましくは、一般式(4)で表されるカルボニル化合物1.0モル当量に対して、0.001〜0.01モル当量である。
次に、得られた一般式(6)で表されるヒドラゾン中間体と、一般式(7)
Figure 2006193456
(式中、ArおよびArは一般式(1)における定義と同義である。)で表されるアルデヒド化合物とを脱水縮合させることによって、一般式(8)
Figure 2006193456
(式中、Ar、Ar、Ar、ArおよびArは一般式(1)における定義と同義である。)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン中間体を製造する。
一般式(6)で表されるヒドラゾン中間体と一般式(7)で表されるアルデヒド化合物との脱水縮合反応は、一般式(6)で表されるヒドラゾン中間体および一般式(7)で表されるアルデヒド化合物を酸触媒の存在下に加熱することによって行われる。この脱水縮合反応は、水との共沸組成を形成しやすい溶剤中で行われることが好ましい。これによって、副生する水を共沸脱水によって反応系外に除去することができるので、一般式(8)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン中間体をほぼ定量的に得ることができる。水との共沸組成を形成しやすい溶剤としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素、1,2−ジクロロエタンなどの塩素系溶剤などが挙げられる。酸触媒としては、酢酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸などが挙げられる。
次に、得られた一般式(8)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン中間体をホルミル化することによって、一般式(9)
Figure 2006193456
(式中、Ar、Ar、Ar、ArおよびArは一般式(1)における定義と同義である。)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−アルデヒド中間体を製造する。
一般式(8)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン中間体のホルミル化は、たとえばフィルスマイヤー反応などの公知のホルミル化反応を用いて行うことができる。一般式(8)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン中間体に対するフィルスマイヤー反応は、たとえば以下のようにして行われる。
まず、適当な溶媒中に、オキシ塩化リンと、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−N−フェニルホルムアミドまたはN,N−ジフェニルホルムアミドとを加え、フィルスマイヤー試薬を調製する。このとき使用される溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒、トルエンなどの芳香族炭化水素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
次いで、フィルスマイヤー試薬が調製された溶液中に、一般式(8)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン中間体を加え、撹拌しながら加熱して反応させる。フィルスマイヤー試薬の使用量は、一般式(8)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン中間体1.0モル当量に対して、1.0〜1.2モル当量であることが好ましい。このフィルスマイヤー反応の反応温度および反応時間は、特に制限されず、使用されるエナミン基含有ヒドラゾン中間体の種類および量などの各種条件に応じて適宜選択されるけれども、好ましくは温度60〜100℃で2〜8時間である。反応終了後、アルカリ性水溶液で加水分解を行う。加水分解に用いられるアルカリ性水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などが挙げられ、その濃度は1〜8規定(N)程度である。以上のようにして、一般式(9)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−アルデヒド中間体を高収率で製造することができる。
次に、得られた一般式(9)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−アルデヒド中間体と、一般式(10)
Figure 2006193456
(式中、Ar、Ar、R、Rおよびnは一般式(1)における定義と同義である。Rはアルキル基またはアリール基を示す。)で表されるウィッティッヒ(Wittig)試薬とを塩基性条件下で反応させるウィッティッヒ−ホルナー(Wittig−Horner)反応を行うことによって、一般式(1)においてRが水素原子であるヒドラゾン化合物を製造することができる。
一般式(10)で表されるウィティッヒ試薬は、たとえば、一般式(10a)
(RO)P …(10a)
(式中、Rは一般式(10)における定義と同義である。)で表される亜リン酸化合物と、一般式(10b)
Figure 2006193456
(式中、Ar、Ar、R、Rおよびnは一般式(1)における定義と同義である。Xはハロゲン原子を示す。)で表されるハロゲン化アリル化合物とを略等モル量ずつ無溶媒または溶媒中で混合し、加熱下で撹拌して反応させることによって製造することができる。
一般式(10a)において、Rで示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基などの直鎖状アルキル基、イソプロピル基などの分岐鎖状アルキル基などが挙げられ、その中でも炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基などが挙げられ、その中でも環数1または2のアリール基が好ましい。Rで示されるアルキル基またはアリール基は置換基を有してもよい。一般式(10a)で表される亜リン酸化合物の具体例としては、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリイソプロピルなどの亜リン酸トリアルキル、亜リン酸トリフェニルなどの亜リン酸トリアリールなどが挙げられる。
一般式(10b)において、Xで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、その中でも塩素原子、臭素原子が好ましい。
一般式(9)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−アルデヒド中間体と一般式(10)で表されるウィッティッヒ試薬とのウィッティッヒ−ホルナー反応は、たとえば以下のようにして行われる。まず、適当な溶媒中に、一般式(9)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−アルデヒド中間体1.0モル当量と、一般式(10)で表されるウィッティッヒ試薬1.1〜1.2モル当量と、金属アルコキシド塩基1.1〜1.4モル当量とを加え、たとえば室温(20〜30℃)下または30〜60℃の加熱下で、2〜8時間撹拌して反応させる。このとき使用される溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。金属アルコキシド塩基としては、カリウムt−ブトキサイド、ナトリウムエトキサイド、ナトリウムメトキサイドなどが挙げられる。
以上のようにして、一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物のうち、一般式(1)においてRが水素原子であるヒドラゾン化合物を高収率で製造することができる。
一般式(1)においてRが水素原子以外の基であるヒドラゾン化合物は、たとえば、以下のようにして製造することができる。まず、前述のようにして一般式(8)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン中間体を製造し、得られたエナミン基含有ヒドラゾン中間体をアシル化することによって、一般式(11)
Figure 2006193456
(式中、Ar、Ar、Ar、Ar、ArおよびRは一般式(1)における定義と同義である。ただし、Rが水素原子である場合を除く。)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−ケトン中間体を製造する。
一般式(8)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン中間体のアシル化は、たとえばフリーデル−クラフトアシル化反応などの公知のアシル化反応を用いて行うことができる。フリーデル−クラフトアシル化反応を用いる場合、たとえば、一般式(8)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン中間体と、一般式(12)
Figure 2006193456
(式中、Rは一般式(1)における定義と同義である。ただし、Rが水素原子である場合を除く。Xはハロゲン原子を示す。)で表されるハロゲン化アシル化合物または一般式(13)
Figure 2006193456
(式中、Rは一般式(1)における定義と同義である。ただし、Rが水素原子である場合を除く。)で表されるカルボン酸無水物とをルイス酸の存在下に反応させることによって、一般式(11)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−ケトン中間体を得ることができる。
一般式(12)において、Xで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、その中でも塩素原子、臭素原子が好ましい。
一般式(8)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン中間体に対するフリーデル−クラフトアシル化反応は、たとえば以下のようにして行われる。まず、適当な溶媒中にルイス酸と一般式(12)で表されるハロゲン化アシル化合物または一般式(13)で表されるカルボン酸無水物とを加え、0.5〜1時間程度撹拌してフリーデル−クラフトアシル化試薬を調製する。使用される溶媒としては、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ニトロベンゼンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられる。ルイス酸としては、塩化アルミニウム、塩化スズ、塩化亜鉛などが挙げられる。一般式(12)で表されるハロゲン化アシル化合物を用いる場合、ルイス酸の使用量は、一般式(12)で表されるハロゲン化アシル化合物1.0モル当量に対して、0.8〜1.3モル当量であることが好ましく、より好ましくは1.0〜1.2モル当量である。一般式(13)で表されるカルボン酸無水物を用いる場合、ルイス酸の使用量は、一般式(13)で表されるカルボン酸無水物1.0モル当量に対して、2.0〜2.2モル当量であることが好ましい。
次いで、フリーデル−クラフトアシル化試薬1.0〜1.2モル当量が調製された溶液中に、一般式(8)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン中間体1.0モル当量を加え、反応溶液をたとえばマイナス(−)40〜30℃に保持しながら2〜8時間撹拌して反応させる。このとき、必要に応じて反応溶液を加熱する。反応終了後、アルカリ水溶液で加水分解を行ない、一般式(11)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−ケトン中間体を得る。加水分解に使用されるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などが挙げられ、その濃度は1〜8規定(N)程度である。以上のようにして、一般式(11)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−ケトン中間体を高収率で製造することができる。
次に、得られた一般式(11)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−ケトン中間体と、前述の一般式(10b)で表されるハロゲン化アリル化合物を金属マグネシウムで処理して得られるグリニヤール試薬とを反応させるグリニヤール反応を行うことによって、一般式(1)においてRが水素原子以外の基であるヒドラゾン化合物を製造することができる。
一般式(11)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−ケトン中間体と前述のグリニヤール試薬とのグリニヤール反応は、たとえば以下のようにして行われる。まず、適当な溶媒中に、一般式(10b)で表されるハロゲン化アリル化合物と金属マグネシウムとを略等モル量ずつ加え、グリニヤール試薬を調製する。使用される溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類などが挙げられる。これらの溶媒は、金属ナトリウムなどで脱水して用いることが好ましい。
このようにしてグリニヤール試薬が調製された溶液中に、冷却下で一般式(11)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−ケトン中間体を加え、たとえば室温(20〜30℃)下または30℃〜60℃の加熱下で2〜8時間撹拌して反応させる。グリニヤール試薬の原料である一般式(10b)で表されるハロゲン化アリル化合物の使用量は、一般式(11)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−ケトン中間体1.0モル当量に対して、1.1〜1.2モル当量であることが好ましい。以上のようにして、一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物のうち、一般式(1)においてRが水素原子以外の基であるヒドラゾン化合物を高収率で製造することができる。
以上のようにして製造される一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物は、通常の分離手段、たとえば溶媒抽出法、再結晶法またはカラムクロマトグラフィーなどによって反応混合物から容易に単離精製でき、高純度のものとして得ることができる。
本発明による電子写真感光体(以下、単に感光体とも称する)は、以上に述べた一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物を電荷輸送物質として用いるものであり、種々の実施形態がある。以下、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明による電子写真感光体の実施の第1の形態である電子写真感光体1の構成を簡略化して示す部分断面図である。電子写真感光体1は、導電性材料から成る円筒状の導電性支持体11と、導電性支持体11に積層される層であって電荷発生物質を含有する電荷発生層12と、電荷発生層12にさらに積層される層であって電荷輸送物質を含有する電荷輸送層13とを含む。電荷発生層12と電荷輸送層13とは、感光層14を構成する。すなわち、感光体1は積層型感光体である。
導電性支持体11は、感光体1の電極としての役割を果たすとともに他の各層12,13の支持部材としても機能する。導電性支持体11の形状は、本実施の形態では円筒状であるけれども、これに限定されることなく、円柱状、シート状または無端ベルト状などであってもよい。
導電性支持体11を構成する導電性材料としては、たとえばアルミニウム、銅、亜鉛、チタンなどの金属単体、アルミニウム合金、ステンレス鋼などの合金を用いることができる。またこれらの金属材料に限定されることなく、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンもしくはポリスチレンなどの高分子材料、硬質紙またはガラスなどの表面に、金属箔をラミネートしたもの、金属材料を蒸着したもの、または導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウムなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したものなどを用いることもできる。これらの導電性材料は所定の形状に加工されて使用される。
導電性支持体11の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品もしくは熱水などによる表面処理、着色処理、または表面を粗面化するなどの乱反射処理を施してもよい。レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザ光の波長が揃っているので、感光体表面で反射されるレーザ光と感光体内部で反射されるレーザ光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像上に現れて画像欠陥となることがある。導電性支持体11の表面に前述のような処理を施すことによって、この波長の揃ったレーザ光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
導電性支持体11上に設けられる電荷発生層12は、光を吸収することによって電荷を発生する電荷発生物質を含有する。電荷発生物質として有効な物質としては、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料およびトリスアゾ系顔料などのアゾ系顔料、インジゴおよびチオインジゴなどのインジゴ系顔料、ペリレンイミドおよびペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、アントラキノンおよびピレンキノンなどの多環キノン系顔料、オキソチタニウムフタロシアニン化合物などの金属フタロシアニンおよび無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類およびチオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素などの有機光導電性材料、ならびにセレンおよび非晶質シリコンなどの無機光導電性材料などを挙げることができる。これらの電荷発生物質は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が組合わされて使用されてもよい。
これらの電荷発生物質の中でも、フタロシアニン化合物が好ましく、オキソチタニウムフタロシアニン化合物がさらに好ましい。ここで、オキソチタニウムフタロシアニン化合物とは、オキソチタニウムフタロシアニンおよびその誘導体のことであり、オキソチタニウムフタロシアニンのフタロシアニン基に含まれる芳香環の水素原子が塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、スルホン酸基などの置換基で置換されたもの、オキソチタニウムフタロシアニンの中心金属であるチタン原子に塩素原子などの配位子が配位したものなどを含む。
電荷発生物質として、フタロシアニン化合物、好ましくはオキソチタニウムフタロシアニン化合物を用いることによって、感度および解像度に特に優れる感光体1が実現される。これは、フタロシアニン化合物、特にオキソフタロシアニン化合物と、電荷輸送層13に電荷輸送物質として含有される一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物との組合せが好適なためであると推察される。すなわち、フタロシアニン化合物、特にオキソチタニウムフタロシアニン化合物は、電荷発生能力および電荷注入能力に優れるので、光を吸収することによって多量の電荷を発生するとともに、発生した電荷をその内部に蓄積することなく、電荷輸送層13に含有される本発明のヒドラゾン化合物に効率よく注入する。さらに、本発明のヒドラゾン化合物は、電荷輸送能力に優れるので、フタロシアニン化合物から注入される電荷を感光層14表面に円滑に輸送することができる。したがって、一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物を、フタロシアニン化合物、好ましくはオキソチタニウムフタロシアニン化合物と組合せて用いることによって、特に優れた感度および解像度を実現することができる。
フタロシアニン化合物は、特定の結晶構造を有することが好ましい。無金属フタロシアニン化合物のうち好ましいものとしては、X型、α型、β型、γ型、τ型、π型、τ′型、η型またはη′型のものが挙げられ、これらの中でもX型無金属フタロシアニンが好適に用いられる。また、オキソチタニウムフタロシアニン化合物のうち好ましいものとしては、Cu−Kα特性X線(波長:0.154nm(1.54Å))に対するX線回折スペクトルにおいて、少なくともブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)27.2°に回折ピークを示す結晶構造を有するものが挙げられる。ここで、ブラッグ角2θとは、入射X線と回折X線との成す角度のことであり、いわゆる回折角を表す。
オキソチタニウムフタロシアニン化合物などのフタロシアニン化合物は、たとえばモーザ(Moser)およびトーマス(Thomas)による「フタロシアニン化合物(Phthalocyanine Compounds)」に記載されている方法などの公知の製造方法に従って製造することができる。たとえば、オキソチタニウムフタロシアニンは、フタロニトリルと四塩化チタンとを、加熱融解するかまたはα−クロロナフタレンなどの適当な溶媒中で加熱反応させることによってジクロロチタニウムフタロシアニンを合成した後、塩基または水で加水分解することによって製造することができる。またイソインドリンとテトラブトキシチタンなどのチタニウムテトラアルコキシドとを、N−メチルピロリドンなどの適当な溶媒中で加熱反応させることによっても、オキソチタニウムフタロシアニンを製造することができる。
電荷発生物質は、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルーおよびビクトリアブルーなどに代表されるトリフェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジおよびフラペオシンなどに代表されるアクリジン染料、メチレンブルーおよびメチレングリーンなどに代表されるチアジン染料、カプリブルーおよびメルドラブルーなどに代表されるオキサジン染料、シアニン染料、スチリル染料、ピリリウム塩染料またはチオピリリウム塩染料などの増感染料と組合わされて使用されてもよい。
電荷発生層12には、結着性を向上させるために、バインダ樹脂が含有されてもよい。電荷発生層12に用いられるバインダ樹脂としては、たとえばポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂およびポリビニルホルマール樹脂などの樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などを挙げることができる。共重合体樹脂の具体例としては、たとえば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂およびアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂などを挙げることができる。バインダ樹脂はこれらに限定されるものではなく、この分野において一般に用いられる樹脂をバインダ樹脂として使用することができる。バインダ樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
電荷発生層12にバインダ樹脂を含有させる場合、電荷発生物質は、バインダ樹脂100重量部に対して、10重量部以上99重量部以下の範囲で使用されることが好ましい。電荷発生物質の使用量が10重量部未満であると、感光体1の感度が低下するおそれがある。電荷発生物質の使用量が99重量部を超えると、電荷発生層12の膜強度が低下する可能性がある。また電荷発生層12中における電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大し、消去されるべき部分以外の表面電荷が露光によって減少し、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが多くなるおそれがある。
電荷発生層12の形成方法としては、前述の電荷発生物質を導電性支持体11の表面に真空蒸着する真空蒸着法、前述の電荷発生物質を含む電荷発生層用塗布液を導電性支持体11の表面に塗布する塗布法などが挙げられ、これらの中でも塗布法が好適に用いられる。電荷発生層用塗布液は、たとえば、適当な溶剤中に前述の電荷発生物質および必要に応じて前述のバインダ樹脂を加え、公知の方法で分散させることによって調製することができる。
電荷発生層用塗布液に使用される溶剤としては、たとえばジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、1,2−ジメトキシエタンなどのエチレングリコールアルキルエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて混合溶剤として使用されてもよい。
電荷発生物質は、溶剤中に分散される前に、予め粉砕機によって粉砕処理されてもよい。粉砕処理に用いられる粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルおよび超音波分散機などを挙げることができる。
電荷発生物質を溶剤中に分散させる際に用いられる分散機としては、ペイントシェーカ、ボールミルおよびサンドミルなどを挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器および分散機を構成する部材の摩耗などによる不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択する。
電荷発生層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などを挙げることができる。これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に基体を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって基体の表面に層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、好適に用いられる。浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために、超音波発生装置に代表される塗布液分散装置を設けてもよい。なお、塗布方法はこれらに限定されるものではなく、塗布液の物性および生産性などを考慮に入れて最適な方法を適宜選択することができる。
電荷発生層12の層厚は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上1μm以下である。電荷発生層12の層厚が0.05μm未満であると、光吸収の効率が低下し、感光体1の感度が低下するおそれがある。電荷発生層12の層厚が5μmを超えると、電荷発生層12内部での電荷移動が感光層14表面の電荷を消去する過程の律速段階となり、感光体1の感度が低下するおそれがある。
電荷発生層12上に設けられる電荷輸送層13は、電荷発生層12に含まれる電荷発生物質が発生した電荷を受入れ、これを輸送する能力を有する電荷輸送物質と、電荷輸送物質を結着させるバインダ樹脂とを含んで構成することができる。電荷輸送物質としては、一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物が用いられる。
前述のように、一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物は、電荷輸送能力、特にホール輸送能力に優れるので、一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物を電荷輸送物質として用いることによって、帯電性、感度および光応答性などの電気特性、電気的耐久性および環境安定性に優れる信頼性の高い感光体1を実現することができる。
一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物は、たとえば前述の表1〜表4に示す例示化合物No.1〜No.60からなる群から選ばれる1種が単独でまたは2種以上が混合されて使用される。
電荷輸送層13を構成するバインダ樹脂には、一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物との相溶性に優れるものが選ばれる。具体例としては、たとえばポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などのビニル重合体樹脂およびこれらを構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、ならびにポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂およびフェノール樹脂などが挙げられる。またこれらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂も挙げられる。これらの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。前述の樹脂の中でも、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂およびポリフェニレンオキサイドは、体積抵抗率が1013Ω・cm以上であって電気絶縁性に優れており、また皮膜性および電位特性などにも優れているので、好適に用いられる。
電荷輸送層13において、一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物の重量(A)に対するバインダ樹脂の重量(B)の比率(B/A)は、1.2以上、3.0以下であることが好ましい。前記比率B/Aを1.2以上とし、バインダ樹脂を高い比率で電荷輸送層13に含有させることによって、電荷輸送層13の耐刷性を向上させることができる。
しかしながら、このようにバインダ樹脂の比率を高くすると、結果として電荷輸送物質として含有される一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物の比率が低下する。従来公知の電荷輸送物質を用いた場合に、電荷輸送層13における電荷輸送物質の重量に対するバインダ樹脂の重量の比率(バインダ樹脂/電荷輸送物質)を同様に1.2以上とすると、感光体の光応答性が不足し、画像欠陥の生じることがある。これに対し、一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物は、特に優れた電荷輸送能力を有するので、前記比率B/Aを1.2以上として、電荷輸送層13中におけるバインダ樹脂の比率を高くしても、感光体1は、充分に高い光応答性を示し、高品質の画像を提供することができる。したがって、感光体1では、光応答性を低下させることなく、前記比率B/Aを1.2以上として電荷輸送層13の耐刷性を向上させ、機械的耐久性を向上させることができる。
なお、前記比率B/Aが3.0を超えると、バインダ樹脂の比率が高くなり過ぎ、感光体1の感度が低下するおそれがある。また電荷輸送層13を浸漬塗布法によって形成する場合に前記比率B/Aが3.0を超えると、塗布液の粘度が増大して塗布速度が低下し、生産性が著しく悪くなるおそれがある。また塗布液の粘度の増大を抑えるために塗布液中の溶剤の量を多くすると、ブラッシング現象が発生し、形成された電荷輸送層13に白濁が発生する可能性がある。また、前記比率B/Aが1.2未満であると、バインダ樹脂の比率が低くなり過ぎ、電荷輸送層13の耐刷性が低下して感光層14の膜減り量が増加し、感光体1の帯電性が低下するおそれがある。
電荷輸送層13は、本発明の好ましい特性を損なわない範囲内で、一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物以外の電荷輸送物質を含有してもよい。一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物と併用可能な電荷輸送物質としては、エナミン−スチリル誘導体、エナミン−ヒドラゾン誘導体、エナミン−ブタジエン誘導体およびエナミン−ヘキサトリエン誘導体などのエナミン化合物、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物以外のヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ならびにベンジジン誘導体などを挙げることができる。また、これらの化合物から生じる基を主鎖または側鎖に有するポリマー、たとえばポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリ(1−ビニルピレン)およびポリ(9−ビニルアントラセン)なども挙げられる。
また、電荷輸送層13には、本発明の好ましい特性を損なわない範囲内で、可塑剤、レベリング剤、または無機化合物もしくは有機化合物の微粒子などの各種添加剤を添加してもよい。可塑剤またはレベリング剤を添加することによって、電荷輸送層13の成膜性、可撓性または表面平滑性を向上させることができる。無機化合物または有機化合物の微粒子を添加することによって、電荷輸送層13の機械的強度を増強し、また電気特性を向上させることができる。可塑剤としては、たとえばフタル酸エステルなどの二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化パラフィンおよびエポキシ型可塑剤などを挙げることができる。レベリング剤としては、たとえばシリコーン系レベリング剤などを挙げることができる。
電荷輸送層13は、たとえば、前述の電荷発生層12を塗布法によって形成する場合と同様に、一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物および前述のバインダ樹脂を含む電荷輸送層用塗布液を電荷発生層12上に塗布することによって形成することができる。電荷輸送層用塗布液は、たとえば、適当な溶媒中に一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物およびバインダ樹脂、ならびに必要に応じて前述の一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物以外の電荷輸送物質および添加剤を加え、溶解または分散させることによって調製することができる。
電荷輸送層用塗布液に使用される溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびモノクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタンおよびジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびジメトキシメチルエーテルなどのエーテル類、ならびにN,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒などを挙げることができる。これらの溶媒は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。また前述の溶剤に、必要に応じてアルコール類、アセトニトリルまたはメチルエチルケトンなどの溶剤をさらに加えて使用することもできる。
電荷輸送層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などを挙げることができる。これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、前述のように種々の点で優れているので、電荷輸送層13を形成する際にも好適に用いられる。
電荷輸送層13の層厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上40μm以下である。電荷輸送層13の層厚が5μm未満であると、感光体1表面の帯電保持能が低下するおそれがある。電荷輸送層13の層厚が50μmを超えると、感光体1の解像度が低下する可能性がある。
感光層14は、以上のようにして形成される電荷発生層12と電荷輸送層13とが積層されて成る積層構造を有する。このように電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の層に担わせることによって、各層を構成する材料を独立して選択することができるので、電荷発生機能および電荷輸送機能それぞれに最適な材料を選択することができる。したがって、感光体1は、帯電性、感度および光応答性などの電気特性、ならびに電気的および機械的耐久性に特に優れる。
感光層14の各層、すなわち電荷発生層12および電荷輸送層13には、本発明の好ましい特性を損なわない範囲内で、電子受容物質および色素などの増感剤を1種または2種以上添加してもよい。増感剤を添加することによって、感光体1の感度が向上し、さらに繰返し使用による残留電位の上昇および疲労などが抑えられ、電気的耐久性が向上する。
電子受容物質としては、たとえば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、4−クロルナフタル酸無水物などの酸無水物、テトラシアノエチレン、テレフタルマロンジニトリルなどのシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデヒドなどのアルデヒド類、アントラキノン、1−ニトロアントラキノンなどのアントラキノン類、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノンなどの多環もしくは複素環ニトロ化合物、またはジフェノキノン化合物などの電子吸引性材料などを用いることができる。またこれらの電子吸引性材料を高分子化したものなどを用いることもできる。
色素としては、たとえばキサンテン系色素、チアジン色素、トリフェニルメタン色素、キノリン系顔料または銅フタロシアニンなどの有機光導電性化合物を用いることができる。これらの有機光導電性化合物は光学増感剤として機能する。
また、感光層14の各層12,13には、酸化防止剤または紫外線吸収剤などを添加してもよい。特に電荷輸送層13には、酸化防止剤または紫外線吸収剤などを添加することが好ましい。感光層14の各層12,13、好ましくは電荷輸送層13に酸化防止剤または紫外線吸収剤などを添加することによって、感光体1の電位特性を向上させることができる。また各層を塗布によって形成する際の塗布液の安定性を高めることができる。また感光体1の繰返し使用による疲労劣化を軽減し、電気的耐久性を向上させることができる。
酸化防止剤としては、フェノール系化合物、ハイドロキノン系化合物、トコフェロール系化合物、アミン系化合物などが挙げられる。これらの中でも、ヒンダードフェノール誘導体もしくはヒンダードアミン誘導体、またはこれらの混合物が好適に用いられる。酸化防止剤は、電荷輸送物質100重量部に対して、0.1重量部以上、50重量部以下の範囲内で使用されることが好ましい。電荷輸送物質100重量部に対する酸化防止剤の使用量が0.1重量部未満であると、塗布液の安定性および感光体の電気的耐久性を向上する効果が充分に発揮されない可能性があり、逆に50重量部を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
図2は、本発明による電子写真感光体の実施の第2の形態である電子写真感光体2の構成を簡略化して示す部分断面図である。本実施形態の電子写真感光体2は、図1に示す実施の第1形態の電子写真感光体1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
電子写真感光体2において注目すべきは、導電性支持体11と感光層14との間に、中間層15が設けられていることである。
導電性支持体11と感光層14との間に中間層15がない場合、導電性支持体11から感光層14に電荷が注入され、感光層14の帯電性が低下し、露光される部分以外の表面電荷が減少し、画像にかぶりなどの欠陥の発生することがある。特に、反転現像プロセスを用いて画像を形成する場合には、露光によって表面電荷の減少した部分にトナーが付着してトナー像が形成されるので、露光以外の要因で表面電荷が減少すると、白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが発生し、画質の著しい劣化が生じるおそれがある。このように、導電性支持体11と感光層14との間に中間層15がない場合、導電性支持体11または感光層14の欠陥に起因して微小な領域での帯電性の低下が生じ、黒ぽちなどの画像のかぶりが発生し、著しい画像欠陥となる可能性がある。
本実施形態の感光体2では、前述のように導電性支持体11と感光層14との間に中間層15が設けられているので、導電性支持体11からの感光層14への電荷の注入を防止することができる。したがって、感光層14の帯電性の低下を防ぐことができ、露光される部分以外での表面電荷の減少を抑え、画像にかぶりなどの欠陥が発生することを防止することができる。
また、中間層15を設けることによって、導電性支持体11表面の欠陥を被覆して均一な表面を得ることができるので、感光層14の成膜性を高めることができる。また中間層15が導電性支持体11と感光層14とを接着する接着剤として機能するので、感光層14の導電性支持体11からの剥離を抑えることができる。
ただし、このように導電性支持体11と感光層14との間に中間層15を設けると、感光体の感度が低下するおそれがある。しかしながら、本実施形態の感光体2の感光層14には、優れた電荷輸送能力を有する一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物が含有されるので、感光体2では、中間層15を設けたことによる感度の低下は生じない。すなわち、本実施形態の感光体2では、感度を低下させることなく、中間層15を設けることができる。
中間層15としては、各種樹脂材料から成る樹脂層、アルマイト層などが用いられる。樹脂層を構成する樹脂材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂およびポリアミド樹脂などの樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などを挙げることができる。また、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよびエチルセルロースなども挙げられる。これらの樹脂の中でも、ポリアミド樹脂を用いることが好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂が好適に用いられる。好ましいアルコール可溶性ナイロン樹脂としては、たとえば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロンなどを共重合させた、いわゆる共重合ナイロン、ならびにN−アルコキシメチル変性ナイロンおよびN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた樹脂などを挙げることができる。
中間層15には、金属酸化物粒子などの粒子が含有されてもよい。中間層15にこれらの粒子を含有させることによって、中間層15の体積抵抗値を調節し、導電性支持体11からの感光層14への電荷の注入を防止する効果を高めることができる。また各種の環境下において感光体2の電気特性を維持し、環境安定性を向上させることができる。金属酸化物粒子としては、たとえば酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび酸化スズなどの粒子を挙げることができる。
中間層15は、たとえば前述の樹脂を適当な溶剤中に溶解または分散させて中間層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体11の表面に塗布することによって形成することができる。中間層15に前述の金属酸化物粒子などの粒子を含有させる場合には、たとえば前述の樹脂を適当な溶剤に溶解させて得られる樹脂溶液中に、これらの粒子を分散させて中間層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体11の表面に塗布することによって中間層15を形成することができる。
中間層用塗布液の溶剤としては、水、各種有機溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が混合されて混合溶剤として用いられてもよい。単独溶剤としては、水、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類が好適に用いられる。混合溶剤としては、水とアルコール類とを混合したもの、アルコール類を2種類以上混合したもの、アルコール類とアセトンなどのケトン類、ジオキソランなどのエーテル類、ジクロロエタン、クロロホルム、トリクロロエタンなどの塩素系溶剤とを混合したものなどが好適に用いられる。
前述の金属酸化物粒子などの粒子を樹脂溶液中に分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機またはペイントシェーカなどを用いる公知の分散方法を使用することができる。
中間層用塗布液中において、中間層用塗布液に使用されている溶剤の重量(D)に対する樹脂および金属酸化物の合計重量(C)の比率(C/D)は、1/99以上40/60以下であることが好ましく、より好ましくは2/98以上30/70以下である。また中間層用塗布液中における金属酸化物の重量(F)に対する樹脂の重量(E)の比率(E/F)は、1/99以上90/10以下であることが好ましく、より好ましくは5/95以上70/30以下である。
中間層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などを挙げることができる。これらの中でも、特に浸漬塗布法は、前述のように、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、中間層15を形成する際にも好適に用いられる。
中間層15の層厚は、0.01μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm以上10μm以下である。中間層15の層厚が0.01μmよりも薄いと、実質的に中間層15として機能しなくなり、導電性支持体11の欠陥を被覆して均一な表面性を得ることができず、導電性支持体11からの感光層14への電荷の注入を防止することができなくなる可能性があり、感光層14の帯電性の低下が生じるおそれがある。中間層15の層厚を20μmよりも厚くすることは、中間層15を浸漬塗布法によって形成する場合に、中間層15の形成が困難になるとともに、中間層15上に感光層14を均一に形成することができず、感光体2の感度が低下するおそれがあるので好ましくない。
なお、本実施の形態においても、電荷輸送層13には、実施の第1形態と同様に、可塑剤、レベリング剤または無機化合物もしくは有機化合物の微粒子などの各種添加剤を添加してもよい。また感光層14の各層12,13には、電子受容物質もしくは色素などの増感剤、酸化防止剤または紫外線吸収剤などの添加剤を添加してもよい。
図3は、本発明による電子写真感光体の実施の第3の形態である電子写真感光体3の構成を簡略化して示す部分断面図である。本実施形態の電子写真感光体3は、図2に示す実施の第2形態の電子写真感光体2に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
電子写真感光体3において注目すべきは、感光層140が、電荷発生物質と電荷輸送物質との両方を含有する単一の層から成る単層構造を有することである。すなわち、感光体3が、単層型感光体であることである。
本実施の形態の単層型感光体3は、オゾン発生の少ない正帯電型画像形成装置用の感光体として好適であり、また塗布されるべき感光層140が一層のみであるので、製造原価および歩留が実施の第1形態および第2形態の積層型感光体1,2に比べて優れている。
感光層140は、一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物および必要に応じてその他の電荷輸送物質と、前述の電荷発生物質とを、バインダ樹脂で結着させて形成することができる。バインダ樹脂としては、実施の第1形態による電荷輸送層13のバインダ樹脂として例示したものを用いることができる。感光層140には、実施の第1形態による感光層14と同様に、可塑剤、レベリング剤、無機化合物もしくは有機化合物の微粒子、電子受容物質もしくは色素などの増感剤、酸化防止剤、または紫外線吸収剤などの各種添加剤を添加してもよい。
感光層140は、実施の第1形態の感光体1に設けられる電荷輸送層13と同様の方法で形成することができる。たとえば、前述の電荷発生物質、一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物およびバインダ樹脂の適量、ならびに必要に応じて前述の本発明のヒドラゾン化合物以外の電荷輸送物質および添加剤の適量を、前述の電荷輸送層用塗布液と同様の適当な溶剤に溶解または分散させて感光層用塗布液を調製し、この感光層用塗布液を浸漬塗布法などによって中間層15上に塗布することによって、感光層140を形成することができる。
感光層140における一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物の重量(A’)に対するバインダ樹脂の重量(B’)の比率(B’/A’)は、実施の第1形態の電荷輸送層13における一般式(1)で表されるヒドラゾン化合物の重量(A)に対するバインダ樹脂の重量(B)のの比率(B/A)と同様に、1.2以上、3.0以下であることが好ましい。
また、感光層140の層厚は、5μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上50μm以下である。感光層140の層厚が5μm未満であると、感光体表面の帯電保持能が低下するおそれがある。感光層140の層厚が100μmを超えると、生産性が低下する可能性がある。
本発明の電子写真感光体は、以上に述べた図1〜図3に示す実施の第1形態〜第3形態の電子写真感光体1,2,3の構成に限定されるものではなく、一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物を感光層に含有するものであれば、他の異なる構成であってもよい。
たとえば、感光層14または140の表面に、表面保護層が設けられる構成であってもよい。感光層14または140の表面に表面保護層を設けることによって、感光体1,2,3の機械的耐久性を向上させることができる。また感光体表面を帯電させる際のコロナ放電によって発生するオゾンおよび窒素酸化物(NOx)などの活性ガスの感光層14,140への化学的悪影響を防止し、感光体1,2,3の電気的耐久性を向上させることができる。表面保護層には、たとえば樹脂、無機フィラー含有樹脂または無機酸化物などから成る層が用いられる。
次に、本発明の電子写真感光体を備える本発明の画像形成装置について説明する。なお、本発明の画像形成装置は、以下の記載内容に限定されるものではない。
図4は、本発明による画像形成装置の実施の一形態である画像形成装置100の構成を簡略化して示す配置側面図である。図4に示す画像形成装置100は、本発明による電子写真感光体の実施の第1形態である前述の図1に示す感光体1を搭載する。以下図4を参照して画像形成装置100の構成および画像形成動作について説明する。
画像形成装置100は、図示しない装置本体に回転自在に支持される前述の感光体1と、感光体1を回転軸線44まわりに矢符41方向に回転駆動させる図示しない駆動手段とを備える。駆動手段は、たとえば動力源としてモータを備え、モータからの動力を図示しない歯車を介して感光体1の芯体を構成する支持体に伝えることによって、感光体1を所定の周速度Vpで回転駆動させる(以下、この周速度Vpを感光体1の回転周速Vpとも称する。)。
感光体1の周囲には、帯電器32、現像器33、転写器34およびクリーナ36が、矢符41で示される感光体1の回転方向の上流側から下流側に向かってこの順序で設けられる。露光手段30は、光源から出射される光31の結像点が、帯電器32よりも感光体1の回転方向下流側であって現像器33よりも感光体1の回転方向の上流側に位置するように設けられる。クリーナ36は、図示しない除電ランプと共に設けられる。
帯電器32は、感光体1の表面43を帯電させる帯電手段である。帯電器32は、たとえば帯電ローラなどの接触式の帯電手段である。露光手段30は、たとえば半導体レーザなどを光源として備え、光源から画像情報に応じて出力されるレーザビームなどの光31で、帯電された感光体1の表面43を露光し、これによって感光体1の表面43に静電潜像を形成させる。
現像器33は、感光体1の表面43に形成された静電潜像を現像剤によって現像し、可視像であるトナー像を形成する現像手段であり、感光体1に対向して設けられ感光体1の表面43にトナーを供給する現像ローラ33aと、現像ローラ33aを感光体1の回転軸線44と平行な回転軸線まわりに回転可能に支持するとともにその内部空間にトナーを含む現像剤を収容するケーシング33bとを備える。
転写器34は、感光体1の表面43に形成されたトナー像を、感光体1の表面43から転写材である記録紙51上に転写させる転写手段である。転写器34は、たとえば、コロナ放電器などの帯電手段を備え、記録紙51にトナーと逆極性の電荷を与えることによってトナー像を記録紙51上に転写させる非接触式の転写手段である。
クリーナ36は、トナー像が転写された後の感光体1の表面を清掃する清掃手段であり、感光体表面43に押圧され、転写器34による転写動作後に感光体1の表面43に残留するトナーを前記表面43から剥離させるクリーニングブレード36aと、クリーニングブレード36aによって剥離されたトナーを収容する回収用ケーシング36bとを備える。
また、感光体1と転写器34との間を通過した後に記録紙51が搬送される方向には、転写されたトナー像を定着させる定着手段である定着器35が設けられる。定着器35は、図示しない加熱手段を有する加熱ローラ35aと、加熱ローラ35aに対向して設けられ加熱ローラ35aに押圧されて当接部を形成する加圧ローラ35bとを備える。
画像形成装置100による画像形成動作について説明する。まず、図示しない制御部からの指示に応じて、感光体1が駆動手段によって矢符41方向に回転駆動され、露光手段30からの光31の結像点よりも感光体1の回転方向の上流側に設けられる帯電器32によって、その表面43が正または負の予め定める電位に均一に帯電される。
次いで、制御部からの指示に応じて、露光手段30から、帯電された感光体1の表面43に対して光31が照射される。光源からの光31は、画像情報に基づいて、主走査方向である感光体1の長手方向に繰返し走査される。感光体1を回転駆動させ、光源からの光31を画像情報に基づいて繰返し走査することによって、感光体1の表面43に対して画像情報に対応する露光を施すことができる。この露光によって、光31が照射された部分の表面電荷が減少し、光31が照射された部分の表面電位と光31が照射されなかった部分の表面電位とに差異が生じ、感光体1の表面43に静電潜像が形成される。また、感光体1への露光と同期して、記録紙51が、搬送手段によって矢符42方向から転写器34と感光体1との間の転写位置に供給される。
次いで、光源からの光31の結像点よりも感光体1の回転方向の下流側に設けられる現像器33の現像ローラ33aから、静電潜像の形成された感光体1の表面43にトナーが供給される。これによって、静電潜像が現像され、感光体1の表面43に可視像であるトナー像が形成される。感光体1と転写器34との間に記録紙51が供給されると、転写器34によってトナーと逆極性の電荷が記録紙51に与えられ、これによって感光体1の表面43に形成されたトナー像が記録紙51上に転写される。
トナー像の転写された記録紙51は、搬送ベルトなどの搬送手段によって定着器35に搬送され、定着器35の加熱ローラ35aと加圧ローラ35bとの当接部を通過する際に加熱および加圧される。これによって、記録紙51上のトナー像が記録紙51に定着されて堅牢な画像となる。このようにして画像が形成された記録紙51は、搬送手段によって画像形成装置100の外部へ排紙される。
一方、トナー像が記録紙51に転写された後にさらに矢符41方向に回転する感光体1は、その表面43がクリーナ36に備わるクリーニングブレード36aによって擦過され、清掃される。このようにしてトナーが除去された感光体1の表面43は、除電ランプからの光によって電荷が除去され、これによって感光体1の表面43の静電潜像が消失する。その後、感光体1はさらに回転駆動され、再度感光体1の帯電から始まる一連の動作が繰返される。以上のようにして、連続的に画像が形成される。
画像形成装置100に備わる感光体1は、前述のように、一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物を電荷輸送物質として感光層14に含有するものであり、帯電性、感度および光応答性などの電気特性、電気的および機械的耐久性、ならびに環境安定性に優れる。したがって、各種の環境下において長期間にわたって安定して高品質の画像を形成することのできる信頼性の高い画像形成装置100が実現される。
また、感光体1は高速の電子写真プロセスに用いられた場合であっても画質の低下を引起すことがないので、画像形成装置100は画像形成速度の高速化が可能である。たとえば、本実施形態による画像形成装置100では、感光体1として外径30mm、長手方向の長さ340mmのものを用い、感光体1の回転周速Vpを毎秒100〜140mm程度に設定して高速で電子写真プロセスを行ない、画像形成装置100の画像形成速度をJIS P0138に規定されるA4判用紙25枚/分程度の高速として画像を形成しても、高品質の画像を提供することができる。
本発明による画像形成装置は、以上に述べた図4に示す画像形成装置100の構成に限定されるものではなく、本発明に係る感光体を使用することができるものであれば、他の異なる構成であってもよい。
たとえば、本実施形態の画像形成装置100では、帯電器32は、接触式の帯電手段であるけれども、これに限定されることなく、コロナ放電器などの非接触式の帯電手段であってもよい。また転写器34は、押圧力を用いずに転写を行う非接触式の転写手段であるけれども、これに限定されることなく、押圧力を利用して転写を行う接触式の転写手段であってもよい。接触式の転写手段としては、たとえば、転写ローラを備え、記録紙51の感光体1の表面43に当接される面と反対側の面から転写ローラを感光体1に対して押圧し、感光体1と記録紙51とを圧接させた状態で、転写ローラに電圧を印加することによって、トナー像を記録紙51上に転写させるものなどを用いることができる。
以下、製造例、実施例および比較例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するけれども、本発明は以下の記載内容に限定されるものではない。
[製造例]
(製造例1)例示化合物No.1の製造
エタノール100mL中に、前述の一般式(4)で表されるカルボニル化合物として3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド15.1g(1.0モル当量)と、一般式(5)で表されるヒドラジン化合物としてN−フェニルヒドラジン11.35g(1.05モル当量)と、触媒として酢酸0.06mL(0.01モル当量)とを加え、70℃に加熱しながら4時間撹拌して反応させた。反応溶液を放冷した後、これにヘキサン100mLを加え、析出した結晶をろ取して減圧乾燥し、下記構造式(14)で表されるヒドラゾン中間体22.8gを黄色結晶として得た(収率95.0%)。
Figure 2006193456
次いで、トルエン150mL中に、先に得られた構造式(14)で表されるヒドラゾン中間体である3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド−N−フェニルヒドラゾン12.0g(1.0モル当量)と、前述の一般式(7)で表されるアルデヒド化合物としてジフェニルアセトアルデヒド10.8g(1.1モル当量)と、触媒として無水カンファースルホン酸100mg(0.009モル当量)とを加え、温度120℃に加熱しながらディーンスタックを用いて共沸脱水反応を行なった。反応溶液を濃縮し、これにエタノール80mLと酢酸エチル20mLとを加え、析出した結晶をろ取して減圧乾燥し、下記構造式(15)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン中間体17.8gを黄色結晶として得た(収率85.0%)。
Figure 2006193456
さらに、無水N,N−ジメチルホルムアミド(略称DMF)100mL中に、氷冷下、オキシ塩化リン6.6g(1.2モル当量)を徐々に加え、約30分間攪拌し、フィルスマイヤー試薬を調製した。この溶液中に、氷冷下、前述のようにして得られた構造式(15)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン中間体15.00g(1.0モル当量)を徐々に加えた。その後、徐々に加熱して反応溶液の温度を70℃まで昇温させ、70〜80℃を保つように加熱しながら3時間攪拌して反応させた。反応終了後、この反応溶液を放冷し、冷却した4規定(4N)の水酸化ナトリウム水溶液800mL中に徐々に加え、沈殿を生じさせた。生じた沈殿をろ取して充分に水洗した後、エタノールと酢酸エチルとの混合溶剤で再結晶を行うことによって、黄色粉末状化合物12.8gを得た。
得られた化合物を液体クロマトグラフィー−質量分析法(Liquid Chromatography−
Mass Spectrometry;略称LC−MS)で分析した結果、下記構造式(16)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−アルデヒド中間体(分子量の計算値:446.50)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが447.3に観測された。このことから、得られた化合物が構造式(16)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−アルデヒド中間体であることが確認された(収率:80%)。また、LC−MSの分析結果から、得られたエナミン基含有ヒドラゾン−アルデヒド中間体の純度が98.0%であることが判った。
Figure 2006193456
次いで、無水DMF80mL中に、得られた構造式(16)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−アルデヒド中間体7.00g(1.0モル当量)と、前述の一般式(10)で表されるウィッティッヒ試薬として下記構造式(17)で表されるジエチルシンナミルホスホネート4.78g(1.2モル当量)とを加えて溶解させた後、0℃に冷却しながら、その溶液中にカリウムt−ブトキシド(試薬純度約90%)2.44g(1.25モル当量)を徐々に加えた。
Figure 2006193456
(式中、Etはエチル基を示す。)
その後、反応溶液を室温で1時間撹拌した後、40℃まで加熱し、40℃を保つように加熱しながら5時間撹拌して反応させた。反応溶液を放冷した後、過剰のメタノール中に注いだ。析出物をろ取し、トルエンに溶解させてトルエン溶液とした。このトルエン溶液を分液ロートに移して水洗した後、有機層を取出し、取出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、固形物を取除いた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことによって、黄色結晶7.3gを得た。
得られた結晶をLC−MSで分析した結果、目的化合物である表1に示す例示化合物No.1のヒドラゾン化合物(分子量の計算値:546.23)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが547.9に観測された。このことから、得られた結晶が例示化合物No.1のヒドラゾン化合物であることが確認された(収率:85%)。また、LC−MSの分析結果から、得られた例示化合物No.1の純度が99.3%であることが判った。
また、得られた例示化合物No.1の元素分析値は以下のとおりであった。なお、得られた例示化合物No.1の元素分析は、差動熱伝導度法による炭素(C)、水素(H)および窒素(N)同時定量法を用いて行なった。以下の製造例においても同様である。
<例示化合物No.1の元素分析値>
理論値…C:83.49%、H:5.53%、N:5.12%
実測値…C:82.89%、H:5.02%、N:5.02%
(製造例2)例示化合物No.18の製造
製造例1と同様にして、構造式(16)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−アルデヒド中間体を製造した。次いで、無水DMF80mL中に、得られた構造式(16)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−アルデヒド中間体7.00g(1.0モル当量)と、下記構造式(18)で表されるウィッティッヒ試薬5.27g(1.2モル当量)とを加えて溶解させた後、0℃に冷却しながら、その溶液中にカリウムt−ブトキシド(試薬純度約90%)2.44g(1.25モル当量)を徐々に加えた。
Figure 2006193456
(式中、Etはエチル基を示す。)
その後、反応溶液を室温で1時間撹拌した後、40℃まで加熱し、40℃を保つように加熱しながら5時間撹拌して反応させた。反応溶液を放冷した後、過剰のメタノール中に注いだ。析出物をろ取し、トルエンに溶解させてトルエン溶液とした。このトルエン溶液を分液ロートに移して水洗した後、有機層を取出し、取出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、固形物を取除いた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことによって、黄色結晶7.36gを得た。
得られた結晶をLC−MSで分析した結果、目的化合物である表2に示す例示化合物No.18のヒドラゾン化合物(分子量の計算値:572.25)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが573.7に観測された。このことから、得られた結晶が例示化合物No.18のヒドラゾン化合物であることが確認された(収率:82%)。また、LC−MSの分析結果から、得られた例示化合物No.18の純度が99.3%であることが判った。
また、得られた例示化合物No.18の元素分析値は以下のとおりであった。
<例示化合物No.18の元素分析値>
理論値…C:83.89%、H:5.63%、N:4.89%
実測値…C:83.38%、H:5.32%、N:5.02%
(製造例3)例示化合物No.28の製造
エタノール100mL中に、前述の一般式(4)で表されるカルボニル化合物として4−メトキシアセトフェノン15.1g(1.0モル当量)と、一般式(5)で表されるヒドラジン化合物としてN−フェニルヒドラジン11.35g(1.05モル当量)と、触媒として酢酸0.06mL(0.01モル当量)とを加え、70℃に加熱しながら4時間撹拌して反応させた。反応溶液を放冷した後、これにヘキサン100mLを加え、析出した結晶をろ取して減圧乾燥し、下記構造式(19)で表されるヒドラゾン中間体23.3gを黄色結晶として得た。(収率97.0%)。
Figure 2006193456
次いで、トルエン150mL中に、先に得られた構造式(19)で表されるヒドラゾン中間体である4−メトキシアセトフェノン−N−フェニルヒドラゾン12.0g(1.0モル当量)と、前述の一般式(7)で表されるアルデヒド化合物としてジフェニルアセトアルデヒド10.8g(1.1モル当量)と、触媒として無水カンファースルホン酸100mg(0.009モル当量)とを加え、温度120℃に加熱しながディーンスタックを用いて共沸脱水反応を行った。反応溶液を濃縮し、これにエタノール80mLと酢酸エチル20mLとを加え、析出した結晶をろ取して減圧乾燥し、下記構造式(20)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン中間体17.8gを黄色結晶として得た(収率85.0%)。
Figure 2006193456
さらに、塩化アルミニウム8.0g(1.2モル当量)を懸濁させた無水ジクロロメタン100mL中に、氷冷下、前述の一般式(12)で表されるハロゲン化アシル化合物として塩化アセチル5.55g(1.4モル当量)を徐々に加え、約30分間攪拌し、フリーデルクラフトアセチル化試薬を調製した。この溶液中に、氷冷下、構造式(20)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン中間体20.92g(1.0モル当量)を徐々に加えた。その後、徐々に加熱して反応温度を30℃まで上げ、30℃を保つように加熱しながら3時間攪拌して反応させた。反応終了後、この反応溶液を放冷し、冷却した4規定(4N)の水酸化ナトリウム水溶液400mL中に徐々に加え、沈殿を生じさせた。生じた沈殿をろ取して充分に水洗した後、エタノールと酢酸エチルとの混合溶剤で再結晶を行うことによって、黄色粉末状化合物19.57gを得た。
得られた化合物をLC−MSで分析した結果、下記構造式(21)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−ケトン中間体(分子量の計算値:460.22)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが461.6に観測された。このことから、得られた化合物が構造式(21)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−ケトン中間体であることが確認された(収率:85.0%)。また、LC−MSの分析結果から、得られたエナミン基含有ヒドラゾン−ケトン中間体の純度が98.8%であることが判った。
Figure 2006193456
次いで、無水テトラヒドロフラン(略称THF)20mL中に、前述の一般式(10b)で表されるハロゲン化アリル化合物として下記構造式(22)で表されるシンナミルブロマイド1.94g(1.2モル当量)と金属マグネシウムパウダー240mg(1.2モル当量)とを加えて撹拌し、グリニヤール試薬を調製した。
Figure 2006193456
氷冷下、調製したグリニヤール試薬溶液中に、前述のようにして得られた構造式(21)で表されるエナミン基含有ヒドラゾン−ケトン中間体3.78g(1.0モル当量)を徐々に加えた。その後、反応溶液を室温で1時間撹拌した後、40℃まで加熱し、40℃を保つように加熱しながら5時間撹拌して反応させた。反応溶液を放冷した後、過剰のメタノール中に注いた。析出物をろ取し、トルエンに溶解させてトルエン溶液とした。このトルエン溶液を分液ロートに移して水洗した後、有機層を取出し、取出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、固形物を取除いた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことによって、黄色結晶3.77gを得た。
得られた結晶をLC−MSで分析した結果、目的化合物である表2に示す例示化合物No.28のヒドラゾン化合物であるヒドラゾン−ジエン化合物(分子量の計算値:560.28)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが561.7に観測された。このことから、得られた結晶が例示化合物No.28のヒドラゾン化合物であることが確認された(収率:82%)。また、LC−MSの分析結果から、得られた例示化合物No.28のヒドラゾン化合物の純度が99.5%であることが判った。
また、得られた例示化合物No.28の元素分析値は以下のとおりであった。
<例示化合物No.28の元素分析値>
理論値…C:85.68%、H:6.47%、N:5.00%
実測値…C:85.57%、H:6.41%、N:5.08%
(製造例4)例示化合物No.55の製造
製造例3において、グリニヤール反応に際し、構造式(22)で表されるシンナミルブロマイド(1.2モル当量)に代えて、下記構造式(23)で表される5−ブロモ−1−フェニル−1,3−ペンタジエン2.2g(1.2モル当量)を用いること以外は、製造例3と同様にして、黄色粉末状化合物3.90gを得た。
Figure 2006193456
得られた化合物をLC−MSで分析した結果、目的化合物である表4に示す例示化合物No.55のヒドラゾン化合物であるヒドラゾン−ヘキサトリエン化合物(分子量の計算値:586.30)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当するピークが587.7に観測された。このことから、得られた化合物が例示化合物No.55のヒドラゾン化合物であることが確認された(収率81.0%)。また、LC−MSの分析結果から、得られた例示化合物No.55のヒドラゾン化合物の純度が98.5%であることが判った。
また、得られた例示化合物No.55の元素分析値は以下のとおりであった。
<例示化合物No.55の元素分析値>
理論値…C:85.97%、H:6.53%、N:4.77%
実測値…C:85.90%、H:6.59%、N:4.89%
(製造例5〜13)
一般式(4)で表されるカルボニル化合物、一般式(5)で表されるヒドラジン化合物、一般式(7)で表されるアルデヒド化合物および一般式(10)で表されるウィッティッヒ試薬として表5〜6に示す各原料化合物を用いて、製造例1と同様の操作を行ない、例示化合物No.6、8、9、14、30、32、43、53および59をそれぞれ製造した。なお、表5〜6には、例示化合物No.1および18の原料化合物も合わせて示す。また、表5〜6において、Etはエチル基を示す。
Figure 2006193456
Figure 2006193456
(製造例14)例示化合物No.45の製造
一般式(4)で表されるカルボニル化合物、一般式(5)で表されるヒドラジン化合物、一般式(7)で表されるアルデヒド化合物、一般式(12)で表されるハロゲン化アシル化合物および一般式(10b)で表されるハロゲン化アリル化合物として表7に示す各原料化合物を用いて、製造例3と同様の操作を行ない、例示化合物No.45を製造した。なお、表5には、例示化合物No.28および55の原料化合物も合わせて示す。
Figure 2006193456
以上の製造例1〜14で得られた各例示化合物の元素分析値を表8に示す。
Figure 2006193456
[実施例]
(実施例1)
電荷発生物質として下記構造式(24)で表されるアゾ化合物1重量部を、テトラヒドロフラン(略称THF)99重量部にフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製:PKHH)1重量部を溶解させて得た樹脂溶液に加えた後、ペイントシェーカで2時間分散させ、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を、膜厚80μmのポリエステルフィルムの表面にアルミニウムを蒸着して成る導電性支持体のアルミニウム上に、ベーカアプリケータにて塗布した後、乾燥させ、層厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
Figure 2006193456
次に、電荷輸送物質として表1に示す例示化合物No.1のヒドラゾン化合物8重量部と、バインダ樹脂としてポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製:C−1400)10重量部とを、THF80重量部に溶解させ、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を、先に形成した電荷発生層上にベーカアプリケータにて塗布した後、乾燥させ、層厚10μmの電荷輸送層を形成した。
以上のようにして、図1に示す積層型の層構成を有する実施例1の電子写真感光体を作製した。
(実施例2〜4)
電荷輸送物質として、例示化合物No.1に代えて、表1〜表4に示す例示化合物No.8,30または59を用いる以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜4の電子写真感光体を作製した。
(比較例1)
電荷輸送物質として、例示化合物No.1に代えて、下記構造式(25)で表される比較化合物Aを用いる以外は、実施例1と同様にして、比較例1の電子写真感光体を作製した。
Figure 2006193456
(比較例2)
電荷輸送物質として、例示化合物No.1に代えて、下記構造式(26)で表される比較化合物Bを用いる以外は、実施例1と同様にして、比較例2の電子写真感光体を作製した。
Figure 2006193456
[評価1]
以上のようにして作製した実施例1〜4および比較例1,2の各感光体を用い、各感光体に用いた電荷輸送物質の電荷移動度を以下のようにして測定した。各感光体の電荷輸送層表面に金を蒸着し、室温下で減圧しながら、飛行時間(Time−of−Flight)法によって電荷移動度(cm/V・sec)を測定し、この値を各感光体に用いた電荷輸送物質の電荷移動度とした。測定結果を表9に示す。なお、表9に示す電荷移動度の値は、電界強度が2.5×10V/cmのときの値である。
Figure 2006193456
実施例1〜4と比較例1,2との比較から、一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物は、従来公知の電荷輸送物質である比較化合物Aなどのトリフェニルアミンダイマー(略称TPD)、および一般式(1)においてn=0の化合物に相当する比較化合物Bなどの、エナミン基が組込まれたヒドラドン構造とスチルベン構造とを併せ持つ化合物に比べ、2桁以上高い電荷移動度を有することが判った。
(実施例5)
酸化アルミニウム(化学式:Al)と二酸化ジルコニウム(化学式:ZrO)とで表面処理された樹枝状の酸化チタン(石原産業株式会社製:TTO−D−1)9重量部と、共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社製:CM8000)9重量部とを、1,3−ジオキソラン41重量部とメタノール41重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカを用いて12時間分散させ、中間層用塗布液を調製した。調製した中間層用塗布液を、厚さ0.2mmのアルミニウム製板状導電性支持体上に、ベーカアプリケータにて塗布した後、乾燥させ、層厚1μmの中間層を形成した。
次いで、電荷発生物質として下記構造式(27)で表されるアゾ化合物2重量部を、THF97重量部にポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製:BX−1)1重量部を溶解させて得た樹脂溶液に加えた後、ペイントシェーカで10時間分散させ、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を、先に形成した中間層上に、ベーカアプリケータにて塗布した後、乾燥させ、層厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
Figure 2006193456
次いで、電荷輸送物質として表1に示す例示化合物No.1のヒドラゾン化合物10重量部と、バインダ樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製:Z200)14重量部と、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.2重量部とを、THF80重量部に溶解させ、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を、先に形成した電荷発生層上に、ベーカアプリケータにて塗布した後、乾燥させ、層厚18μmの電荷輸送層を形成した。
以上のようにして、図2に示す積層型の層構成を有する実施例5の電子写真感光体を作製した。
(実施例6〜8)
電荷輸送物質として、例示化合物No.1に代えて、表1および表2に示す例示化合物No.9,14または32を用いる以外は、実施例5と同様にして、実施例6〜8の電子写真感光体を作製した。
(比較例3,4)
電荷輸送物質として、例示化合物No.1に代えて、前述の構造式(25)で表される比較化合物Aまたは構造式(26)で表される比較化合物Bを用いる以外は、実施例5と同様にして、比較例3および4の電子写真感光体を作製した。
(実施例9)
実施例5と同様にして、厚さ0.2mmのアルミニウム製板状導電性支持体上に、層厚1μmの中間層を形成した。
次に、電荷発生物質として前述の構造式(27)で表されるアゾ化合物1重量部と、バインダ樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製:Z−400)12重量部と、電荷輸送物質として表1に示す例示化合物No.1のヒドラゾン化合物10重量部と、3,5−ジメチル−3′,5′−ジ−t−ブチルジフェノキノン5重量部と、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.5重量部と、THF65重量部とを、ボールミルで12時間分散し、感光層用塗布液を調製した。この感光層用塗布液を先に形成した中間層上にベーカアプリケータで塗布した後、温度110℃で1時間熱風乾燥し、層厚20μmの感光層を形成した。
以上のようにして、図3に示す単層型の層構成を有する実施例9の電子写真感光体を作製した。
(実施例10)
電荷発生物質として、前述の構造式(27)で表されるアゾ化合物に代えて、X型無金属フタロシアニンを用いる以外は、実施例5と同様にして、実施例10の電子写真感光体を作製した。
(実施例11〜13)
電荷発生物質として、前述の構造式(27)で表されるアゾ化合物に代えて、X型無金属フタロシアニンを用い、電荷輸送物質として、例示化合物No.1に代えて、表1〜表4に示す例示化合物No.6,45または55を用いる以外は、実施例5と同様にして、実施例11〜13の電子写真感光体を作製した。
(比較例5,6)
電荷発生物質として、前述の構造式(27)で表されるアゾ化合物に代えて、X型無金属フタロシアニンを用い、電荷輸送物質として、例示化合物No.1に代えて、前述の構造式(25)で表される比較化合物Aまたは構造式(26)で表される比較化合物Bを用いる以外は、実施例5と同様にして、比較例5および6の電子写真感光体を作製した。
[評価2]
以上のようにして作製した実施例5〜13および比較例3〜6の各感光体について、静電複写紙試験装置(株式会社川口電機製作所製:EPA−8200)を用いて、初期特性および繰返し特性を評価した。評価は、温度22℃、相対湿度65%(65%RH)の常温/常湿(N/N:Normal Temperature/Normal Humidity)環境下および温度5℃、相対
湿度20%(20%RH)の低温/低湿(L/L:Low Temperature/Low Humidity)環境
下のそれぞれの環境下において行なった。
初期特性は以下のようにして評価した。感光体にマイナス(−)5kVの電圧を印加することによって感光体表面を帯電させ、このときの感光体の表面電位を帯電電位V[V]として測定し、帯電電位Vの絶対値が大きいほど、帯電性に優れると評価した。ただし、実施例9の単層型感光体の場合には、プラス(+)5kVの電圧を印加することによって感光体表面を帯電させた。
次に、帯電された感光体表面に対して露光を施した。このとき、感光体の表面電位を帯電電位Vから半減させるのに要した露光エネルギを半減露光量E1/2[μJ/cm]として測定し、半減露光量E1/2が小さいほど、感度に優れると評価した。また露光開始から10秒間経過した時点の感光体の表面電位を残留電位V[V]として測定し、残留電位Vの絶対値が小さいほど、光応答性に優れると評価した。
なお、露光光としては、電荷発生物質として、構造式(27)で表されるアゾ化合物を用いた実施例5〜9および比較例3,4の感光体の場合には露光エネルギ1μW/cmの白色光を用い、X型無金属フタロシアニンを用いた実施例10〜13および比較例5,6の感光体の場合には、モノクロメータにて分光して得られた波長780nm、露光エネルギ1μW/cmの単色光を用いた。
繰返し特性は以下のようにして評価した。前述の帯電および露光の操作を1サイクルとして5000回繰返した後、初期特性の評価と同様にして、帯電電位V、半減露光量E1/2および残留電位Vを測定し、帯電性、感度および光応答性を評価した。
以上の測定結果を表10に示す。
Figure 2006193456
実施例5〜8,9と比較例3,4との比較および実施例10〜13と比較例5,6との比較から、電荷輸送物質として一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物を用いた実施例5〜13の感光体は、電荷輸送物質として比較化合物AまたはBを用いた比較例3〜6の感光体に比べ、N/N環境下およびL/L環境下のいずれにおいても、半減露光量E1/2が小さく高感度であり、また残留電位Vの絶対値が小さく光応答性に優れることが判った。また、実施例5〜13の感光体は、N/N環境下の測定結果とL/L環境下の測定結果との差が小さく環境安定性に優れ、L/L環境下においても充分な感度および光応答性を有することが判った。
(実施例14)
酸化アルミニウム(Al)と二酸化ジルコニウム(ZrO)とで表面処理された樹枝状の酸化チタン(石原産業株式会社製:TTO−D−1)9重量部と、共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社製:CM8000)9重量部とを、1,3−ジオキソラン41重量部とメタノール41重量部との混合溶剤に加えた後、ペイントシェーカにて8時間分散処理し、中間層用塗布液を調製した。この中間層塗布液を塗工槽に満たし、この塗工層に外径40mm、長手方向の長さ340mmのアルミニウム製円筒状導電性支持体を浸漬した後引上げ、乾燥させ、層厚1.0μmの中間層を導電性支持体上に形成した。
次いで、電荷発生物質として、Cu−Kα特性X線(波長:1.54Å)に対するX線回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)27.2°に回折ピークを示す結晶構造を有するオキソチタニウムフタロシアニン2重量部と、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製:エスレックBM−S)1重量部と、メチルエチルケトン97重量部とを混合し、ペイントシェーカにて分散処理して電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を、先に形成した中間層と同様の浸漬塗布法にて中間層上に塗布し、乾燥させ、層厚0.4μmの電荷発生層を形成した。
次いで、電荷輸送物質として表1に示す例示化合物No.1のヒドラゾン化合物10重量部と、バインダ樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製:ユーピロンZ200)20重量部と、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチ
ルフェノール1重量部と、ジメチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製:KF−96)0.004重量部とを、テトラヒドロフラン(THF)110重量部に溶解させ、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を、先に形成した中間層と同様の浸漬塗布法にて、先に形成した電荷発生層上に塗布した後、温度110℃で1時間乾燥させ、層厚23μmの電荷輸送層を形成した。
以上のようにして、実施例14の電子写真感光体を作製した。
(実施例15,16)
電荷輸送物質として、例示化合物No.1に代えて、表2に示す例示化合物No.18または28を用いる以外は、実施例14と同様にして、実施例15および16の電子写真感光体を作製した。
(比較例7)
電荷輸送物質として、例示化合物No.1に代えて、前述の構造式(25)で表される比較化合物Aを用いる以外は、実施例14と同様にして、比較例7の電子写真感光体を作製した。
(実施例17)
電荷輸送層の形成に際し、バインダ樹脂であるポリカーボネート樹脂の量を25重量部に変更する以外は、実施例14と同様にして、実施例17の電子写真感光体を作製した。
(実施例18,19)
電荷輸送層の形成に際し、バインダ樹脂であるポリカーボネート樹脂の量を25重量部に変更し、電荷輸送物質として、例示化合物No.1に代えて、表3および表4に示す例示化合物No.43または53を用いる以外は、実施例14と同様にして、実施例18および19の電子写真感光体を作製した。
(実施例20)
電荷輸送層の形成に際し、バインダ樹脂であるポリカーボネート樹脂の量を10重量部に変更する以外は、実施例14と同様にして、実施例20の電子写真感光体を作製した。
(参考例)
電荷輸送層の形成に際し、バインダ樹脂であるポリカーボネート樹脂の量を31重量部に変更する以外は、実施例14と同様にして、電子写真感光体を作製した。ただし、実施例14と同量のTHFではポリカーボネート樹脂が完全には溶解せず、電荷輸送層用塗布液の粘度が高くなったので、THFを追加し、ポリカーボネート樹脂が完全に溶解した電荷輸送層用塗布液を調製し、これを用いて電荷輸送層を形成した。
しかしながら、円筒状の感光体の長手方向端部にブラッシング現象による白濁が生じ、以下の評価3に示す特性評価を行うことができなかった。このブラッシング現象は、電荷輸送層用塗布液中の溶剤の量が過剰であったために生じたものと推察される。
[評価3]
以上のようにして作製した実施例14〜20および比較例7の各感光体を、市販のデジタル複写機AR−C150(商品名、シャープ株式会社製)を感光体の回転周速が毎秒117mmになるように改造した試験用複写機にそれぞれ搭載し、各感光体の耐刷性、電気特性および環境安定性を以下のようにして評価した。なお、前述のデジタル複写機AR−C150は、感光体表面の帯電を負に帯電して電子写真プロセスを行う負帯電型の画像形成装置である。
(a)耐刷性
試験用複写機を用い、所定のパターンのテスト画像を記録用紙4万枚に形成した後、搭載していた感光体を取出して感光層の層厚d1[μm]を測定し、この値d1を作製時の感光層の層厚d0から差引いた値(d0−d1)を膜減り量Δdとして求め、耐刷性の評価指標とした。なお、層厚の測定は、光干渉法による瞬間マルチ測光システムMCPD−1100(商品名、大塚電子株式会社製)で行なった。
(b)電気特性および環境安定性
試験用複写機内部に、画像形成過程における感光体の表面電位を測定できるように表面電位計(ジェンテック社製:CATE751)を設けた。前記複写機を用い、各感光体について、温度22℃、相対湿度65%のN/N環境下において、帯電器によって帯電させた直後の感光体の表面電位を帯電電位V1[V]として測定した。また、レーザ光によって露光を施した直後の感光体の表面電位を露光電位VL[V]として測定し、これをN/N環境下における露光電位VLとした。帯電電位V1の絶対値が大きい程、帯電性に優れると評価し、N/N環境下における露光電位VLの絶対値が小さい程、光応答性に優れると評価した。
また、温度5℃、相対湿度20%のL/L環境下において、N/N環境下と同様にして、露光電位VL[V]を測定し、これをL/L環境下における露光電位VLとした。L/L環境下における露光電位VLからN/N環境下における露光電位VLを差引いた値の絶対値(|VL−VL|)を、電位変動ΔVLとして求めた。電位変動ΔVLが小さい程、電気特性の環境安定性に優れると評価した。
これらの評価結果を表11に示す。
Figure 2006193456
実施例14〜19と比較例7との比較から、電荷輸送物質として一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物を用いた実施例14〜19の感光体は、電荷輸送物質として比較化合物Aを用いた比較例7の感光体に比べ、N/N環境下の露光電位VLの絶対値が小さいことが判る。このことから、実施例14〜19の感光体は、電荷輸送層における電荷輸送物質の重量に対するバインダ樹脂の重量の比率(バインダ樹脂/電荷輸送物質)が1.2以上であっても、優れた光応答性を有することが判った。また実施例14〜19の感光体は、比較例7の感光体に比べ、電位変動ΔVLの値が小さく環境安定性に優れ、L/L環境下においても充分な光応答性を示すことが判った。
また、実施例14〜19と実施例20との比較から、一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物の重量(A)に対するバインダ樹脂の重量(B)の比率(B/A)が1.2〜3.0の範囲内にある実施例14〜19の感光体の方が、前記比率B/Aが1.2未満である実施例20の感光体よりも、膜減り量Δdが小さく、耐刷性に優れることが判った。
以上のように、一般式(1)で表される本発明のヒドラゾン化合物は、優れた電荷輸送能力を有することが判った。また本発明のヒドラゾン化合物を電荷輸送物質として用いることによって、帯電性、感度および光応答性に優れるとともに、電気的および機械的耐久性、ならびに環境安定性にも優れる電子写真感光体を得ることができた。
本発明による電子写真感光体の実施の第1の形態である電子写真感光体1の構成を簡略化して示す部分断面図である。 本発明による電子写真感光体の実施の第2の形態である電子写真感光体2の構成を簡略化して示す部分断面図である。 本発明による電子写真感光体の実施の第3の形態である電子写真感光体3の構成を簡略化して示す部分断面図である。 本発明による画像形成装置の実施の一形態である画像形成装置100の構成を簡略化して示す配置側面図である。
符号の説明
1,2,3 電子写真感光体
11 導電性支持体
12 電荷発生層
13 電荷輸送層
14,140 感光層
15 中間層
30 露光手段
31 露光手段からの光
32 帯電器
33 現像器
34 転写器
35 定着器
36 クリーナ
100 画像形成装置

Claims (15)

  1. 一般式(1)
    Figure 2006193456
    (式中、Arは置換基を有してもよいアリーレン基を示す。Arは置換基を有してもよい、アリール基、複素環基、アラルキル基またはチエニルアルキル基を示す。Arは水素原子または置換基を有してもよい、アリール基、複素環基、アラルキル基もしくはアルキル基を示す。Arは置換基を有してもよい、アリール基または複素環基を示す。Arは水素原子または置換基を有してもよい、アリール基、複素環基、アラルキル基もしくはアルキル基を示す。ArおよびArはそれぞれ、置換基を有してもよい、アリール基、複素環基、アラルキル基またはアルキル基を示す。ただし、基=CArArが結合する炭素原子には、基=CArArの代わりに2価の芳香環基または複素環基が結合していてもよい。また、基=CArArが結合する窒素原子には、基=CArArの代わりに2価の芳香環基または複素環基が結合していてもよい。R、RおよびRはそれぞれ、水素原子または置換基を有してもよい、アルキル基、アリール基、複素環基もしくはアラルキル基を示す。nは1または2を示す。nが2のとき、2個のRおよびRはそれぞれ同一でもよくまたは異なっていてもよい。)
    で表されるヒドラゾン化合物。
  2. ヒドラゾン化合物が、一般式(2)
    Figure 2006193456
    (式中、Ar、Ar、Ar、Arおよびnは一般式(1)における定義と同義である。Ar6aおよびAr7aはそれぞれ、置換基としてハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲノアルキル基、パーハロゲノアルキル基、ジアルキルアミノ基およびフェニルチオ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいアリール基、置換基としてアルキル基を有してもよくかつ異項原子として酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれる1種もしくは2種以上を含む単環式もしくは縮合環式複素環基、アルキル部分の炭素数が1〜3であるアラルキル基、または炭素数1〜4のアルキル基を示す。R1aは水素原子または置換基を有してもよい、炭素数1〜4のアルキル基もしくはアリール基を示す。R2aおよびR3aは、一方が水素原子であり、他方が水素原子または置換基を有してもよい、炭素数1〜4のアルキル基、複素環基もしくはアラルキル基を示す。ただし、nが2のとき、2個のR2aおよびR3aはそれぞれ同一でもよくまたは異なっていてもよい。Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基または置換基を有してもよい、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基もしくは炭素数2〜8のジアルキルアミノ基を示す。mは1〜4の整数を示す。ただし、mが2以上のとき、複数個のRは同一でもよくまたは異なっていてもよい。)
    で表されるヒドラゾン化合物であることを特徴とする請求項1記載のヒドラゾン化合物。
  3. 前記一般式(2)において、Ar6aおよびAr7aが、同一または異なって、置換基としてハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、炭素数2〜8のジアルキルアミノ基およびフェニルチオ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいフェニル基であることを特徴とする請求項2記載のヒドラゾン化合物。
  4. 前記一般式(2)において、Arが、置換基としてハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲノアルキル基、パーハロゲノアルキル基、ジアルキルアミノ基、スチリル基およびフェニルチオ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいアリール基、または置換基としてアルキル基を有してもよくかつ異項原子として酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれる1種もしくは2種以上を含む単環式もしくは縮合環式複素環基であることを特徴とする請求項2または3記載のヒドラゾン化合物。
  5. 前記一般式(2)において、Arが、置換基としてハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基および炭素数2〜8のジアルキルアミノ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいフェニル基であることを特徴とする請求項2〜4のうちのいずれか1つに記載のヒドラゾン化合物。
  6. 前記一般式(2)において、
    Arが置換基としてハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲノアルキル基、ジアルキルアミノ基、スチリル基およびフェニルチオ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいアリール基、置換基としてアルキル基を有してもよくかつ異項原子として酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる1種もしくは2種以上を含む単環式もしくは縮合環式複素環基、アルキル部分の炭素数が1〜3であるアラルキル基、またはアルキル部分の炭素数が1〜3であるチエニルアルキル基であり、
    Arが水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、または置換基としてアルキル基、アルコキシ基およびジアルキルアミノ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいアリール基であり、
    Arが水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、置換基としてアルキル基、アルコキシ基およびジアルキルアミノ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいアリール基、または異項原子として酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる1種もしくは2種以上を含む単環式もしくは縮合環式複素環基であることを特徴とする請求項2〜5のうちのいずれか1つに記載のヒドラゾン化合物。
  7. 前記一般式(2)において、
    Arが置換基として炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基もしくは炭素数1〜5のハロゲノアルキル基を有してもよいフェニル基、またはアルキル部分の炭素数が1〜3であるアラルキル基であり、
    Arが水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または置換基として炭素数1〜4のアルコキシ基を有してもよいフェニル基であり、
    Arが置換基として炭素数1〜4のアルキル基および炭素数1〜4のアルコキシ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいフェニル基、または異項原子として酸素原子を含む単環式複素環基であり、
    Arが水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または異項原子として酸素原子を含む単環式複素環基であり、
    Ar6aが炭素数1〜4のアルキル基、置換基としてハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基およびフェニルチオ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいフェニル基、またはアルキル部分の炭素数が1〜3であるアラルキル基であり、
    Ar7aが置換基としてハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基およびフェニルチオ基から選ばれる1種もしくは2種以上を有してもよいフェニル基であり、
    1aが水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基であり、
    2aおよびR3aのうち一方が水素原子であり、他方が水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ベンジル基または異項原子として硫黄原子を含む単環式複素環基であり、
    かつRが水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であることを特徴とする請求項2〜6のうちのいずれか1つに記載のヒドラゾン化合物。
  8. 前記一般式(2)において、
    nが1であり、R1a,R2aおよびR3aがいずれも水素原子であることを特徴とする請求項2〜7のうちのいずれか1つに記載のヒドラゾン化合物。
  9. 導電性支持体と、導電性支持体上に設けられる感光層とを有する電子写真感光体であって、
    感光層は、請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載のヒドラゾン化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  10. 感光層が、オキソチタニウムフタロシアニン化合物をさらに含有することを特徴とする請求項9記載の電子写真感光体。
  11. オキソチタニウムフタロシアニン化合物が、Cu−Kα特性X線(波長:1.54Å)に対するX線回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角2θ(誤差:2θ±0.2°)27.2°に回折ピークを示す結晶構造を有するオキソチタニウムフタロシアニン化合物であることを特徴とする請求項10記載の電子写真感光体。
  12. 感光層が、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを備え、
    電荷輸送物質が、前記ヒドラゾン化合物を含むことを特徴とする請求項9〜11のうちのいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  13. 電荷輸送層が、さらにバインダ樹脂を含有し、
    電荷輸送層における前記ヒドラゾン化合物の重量(A)に対するバインダ樹脂の重量(B)の比率(B/A)が、1.2以上、3.0以下であることを特徴とする請求項12記載の電子写真感光体。
  14. 導電性支持体と感光層との間に、中間層を有することを特徴とする請求項9〜13のうちのいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  15. 請求項9〜14のうちのいずれか1つに記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
    帯電された前記電子写真感光体に対して露光を施す露光手段と、
    露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
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