JP2006189022A - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 減速燃料カット状態から燃料噴射の再開条件が成立すると、空燃比センサの検出空燃比が所定値以下になるまでクランプ状態を保持させ、空燃比センサの検出空燃比が所定値以下になってから空燃比フィードバック制御を再開させる。また、空燃比センサの検出空燃比が所定値以下になる前に、所定時間が経過すると、空燃比フィードバック制御を強制的に再開させる。
【選択図】 図4
Description
しかし、経時劣化によって空燃比センサの応答性が悪化すると、検出応答遅れの間に空燃比フィードバック補正係数の変更が開始されてしまい、空燃比がリッチ側に過補正されてしまう可能性があった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、空燃比センサの検出応答に劣化があっても、フィードバック制御の再開時に空燃比が過度に補正されることを回避しつつ、空燃比フィードバック制御再開の過度の遅れを回避できる内燃機関の空燃比制御装置を提供することを目的とする。
かかる構成によると、例えば燃料カット中に停止させていた空燃比フィードバック制御を、燃料供給の再開に伴って再開させるときに、空燃比センサの出力値が所定値に達してからフィードバック制御を再開させる。
かかる構成によると、例えば燃料カット中に停止させていた空燃比フィードバック制御を、燃料供給の再開に伴って再開させるときに、燃料供給再開後の目標空燃比付近になるようにベース空燃比が制御された結果、空燃比センサの出力が前記目標空燃比を基準とする所定値に達すると、フィードバック制御が再開させる。
請求項3記載の発明では、前記所定値をそのときの運転条件におけるベース空燃比に基づいて設定する構成とした。
かかる構成によると、空燃比補正(フィードバック制御・学習補正)を施さない状態での空燃比であるベース空燃比に基づいて前記所定値を設定することで、ベース空燃比が目標空燃比に対してリーンであるかリッチであるかによって、空燃比フィードバック制御を再開させるタイミングを変更する。
請求項4記載の発明では、前記所定値を空燃比センサの応答性に基づいて設定する構成とした。
従って、実際の空燃比と大幅に異なる空燃比検出値に基づいてフィードバック制御が行われることがないように、応答性が比較的悪い空燃比センサのときには、空燃比フィードバック制御の再開をより遅らせ、実際の空燃比にセンサ出力が十分に近づいてから空燃比フィードバック制御を再開させるようにすることができる。
かかる構成によると、燃料カットからの燃料供給が再開されると、燃料供給の再開から少なくとも第1所定時間が経過するまでは、空燃比フィードバック制御を再開させず、前記第1所定時間が経過した後に、空燃比センサの出力値が所定値に達してから空燃比フィードバック制御を再開させる。
請求項6記載の発明では、第2所定時間内で空燃比センサの出力値が前記所定値に達しない場合に、強制的に前記フィードバック制御を再開させる構成とした。
従って、空燃比センサの出力値が所定値に達しないために、フィードバック制御が再開されないまま放置されてしまうことを防止できる。
実施形態における内燃機関のシステム構成を図1に示す。
図1において、内燃機関11の吸気管12には、吸入空気流量Qaを検出するエアフローメータ13及びアクセルペダルと連動して吸入空気流量Qaを制御するスロットル弁14が設けられる。
前記燃料噴射弁15は、コントロールユニット50から出力される噴射パルス信号によって開弁駆動され、所定圧力に制御された燃料を噴射する。
更に、内燃機関11の冷却ジャケット内の冷却水温度Twを検出する水温センサ16が設けられる。
前記空燃比センサ18の下流側には、CO,HCの酸化、及び、NOxの還元を行って排気を浄化する三元触媒19が介装されている。
ここで、前記空燃比センサ18の構造及び空燃比検出原理について説明する。
図2に前記空燃比センサ18の構造を示す。
前記空燃比センサ18の本体1は、酸素イオン伝導性を有するジルコニア等の耐熱性多孔質絶縁材料で形成され、該本体1には、ヒータ部2が設けられる。
センシング部電極7A,7Bは、大気導入孔3とガス拡散層6とに臨んで設けられると共に、酸素ポンプ電極8A,8Bは、ガス拡散層6とこれに対応する本体1の周囲とに設けられる。
一方、酸素ポンプ電極8A,8Bには、センシング部電極7A,7Bの間に発生する電圧、つまり、ガス拡散層6内のリッチ・リーンに応じて電圧が印加される。
ここで、酸素ポンプ電極部8A,8B間に流れる電流値(限界電流)Ipは、排気中の酸素イオン濃度に影響されるので、電流値(限界電流)Ipを検出することで空燃比を検出できる。
ここで、前記図1の説明に戻る。
前記内燃機関11には、クランク軸の角度を検出するクランク角センサ20が設けられている。
また、前記スロットル弁14の開度を検出するスロットルセンサ21が設けられている。
また、前記コントロールユニット50は、低水温時に燃料を増量補正する補正係数Kw、内燃機関11の始動及び始動後に燃料を増量補正する補正係数Kas、実際の空燃比を目標空燃比に一致させるための空燃比フィードバック補正係数LAMBDA、燃料噴射弁15の電源電圧による開弁遅れ分を補正するための補正分Ts、目標空燃比に対応する目標当量比Zを演算する。
Ti=Tp×(1+Kw+Kas+・・・)×LAMBDA×Z+Ts
として演算する。
コントロールユニット50は、前記燃料噴射パルス幅Tiの噴射パルス信号を前記燃料噴射弁15に出力し、前記燃料噴射パルス幅Tiから電圧補正分Tsを除いた有効噴射パルス幅Teに比例する量の燃料を噴射させる。
また、前記コントロールユニット50は、減速時に前記燃料噴射弁15による燃料噴射を停止させる、所謂減速燃料カット制御を行う。
図4のフローチャートにおいて、ステップS1では、減速燃料カットに伴う空燃比フィードバック制御の停止中(補正係数LAMBDAのクランプ状態)であるか否かを判別する。
ステップS2では、燃料噴射を再開させる条件が成立したか否かを判別する。
そして、燃料噴射を再開させる条件が成立すると、ステップS3へ進み、燃料噴射を再開させてから(フィードバック制御の再開条件が成立してから)所定時間が経過したか否かを判別する。
燃料カット中は燃料噴射が停止されることで、空燃比センサ18の検出空燃比は、超希薄空燃比状態を示すことになり、この状態から燃料噴射を再開させて燃焼排気が排気管17内を流れるようになると、空燃比18の検出空燃比は、排気の輸送遅れ時間や空燃比センサ18の応答遅れ時間を含む検出応答遅れ時間が経過してから、燃料噴射再開後の実際の空燃比に対応する値に到達することになる。
そこで、空燃比センサ18で検出される空燃比が所定値SLに達したか否かを判別させることで、空燃比センサ18の出力が実際の空燃比に相当する値に充分に近づいたか否か、即ち、検出応答遅れ時間が経過したか否かを判断するものである。
特に、図6に示すように、目標空燃比を基準にフィードバック制御を再開させる空燃比センサ18の検出出力を設定すれば、燃料カット直後の目標空燃比が異なる場合であっても、実際の空燃比相当に空燃比センサ18の出力が充分に近づいたか否かを精度良く判定することができる。
ここで、空燃比センサ18の経時劣化によって検出応答性が悪化していたとしても、該検出応答の悪化によって前記所定値SLに到達するのが遅れることで、フィードバック制御の再開を遅らせることができ、検出応答遅れ時間内にフィードバック制御が再開されて、空燃比が過補正されることを防止できる。
一方、ステップS4で空燃比センサ18の検出空燃比が所定値SL以下に到達したと判断されることなく、ステップS3で燃料噴射を再開させてから所定時間が経過したことが判断されると、ステップS5へ進み、フィードバック制御を強制的に再開させる。
尚、前記所定時間は、予め記憶された固定時間とすることができる一方、機関回転速度,機関負荷などに応じて可変に設定させることができ、更に、機関1の積算回転数が所定数に達するまでの時間として計測させることができる。
上記実施形態では、燃料カットによる空燃比のオープン制御状態から、燃料噴射の再開に伴って空燃比フィードバック制御を再開させるタイミングを、空燃比センサ18の出力に基づいて判断させる構成としたが、この他、例えば空燃比を理論空燃比よりもリッチにオープン制御する領域から空燃比を理論空燃比又はリーン空燃比に制御するフィードバック制御領域に移行したときのフィードバック制御の開始判断を、空燃比センサ18の検出出力に基づいて行わせることができる。
具体的には、オープン制御状態での空燃比センサ18の検出出力(検出空燃比)からの変化量が所定変化量に達した時点でフィードバック制御を再開させる構成とすることができ、前記所定変化量は予め設定される固定値或いはオープン制御状態の空燃比とフィードバック制御における目標空燃比との偏差に基づいて設定させることができる。
ステップS3Bは、前記図4のフローチャートにおけるステップS3の処理に対応し、燃料噴射再開条件が成立してから第2所定時間b(>第1所定時間a)が経過していると判断すると、ステップS5へフィードバック制御を強制的に再開させる。
また、ステップS4で空燃比センサ18の検出空燃比と比較させる所定値SLとして、上記実施形態では、固定値,目標空燃比を中心とする所定範囲,固定範囲としたが、この他、図9〜図11に示すようにして、前記所定値SLを設定させることができる。
前記空燃比センサ応答補正分は、空燃比センサ18の応答性が良好であるほど、前記所定値SLをより大きな値に補正して、より早いタイミングから空燃比フィードバック制御が再開させ、逆に空燃比センサ18の応答が劣化するほど前記所定値SLをより小さい値にして、空燃比フィードバック制御が再開されるタイミングを遅くする。
前記空燃比センサ18の応答性は、例えば特開平11−264340号公報に開示されるように、空燃比フィードバック制御中に目標空燃比を切り換え、該切り換え後から空燃比センサの出力が所定値に到達するまでの時間に基づいて判断させることができる。
前記空燃比フィードバック補正係数LAMBDAによる補正要求を、空燃比学習補正値として学習し、該空燃比学習補正値で燃料噴射量を補正することで、空燃比フィードバック制御なしで得られる空燃比が略目標空燃比になるように制御する場合、前記空燃比学習補正値が増量補正値であれば、ベース空燃比としてはリーン傾向であると判断され、逆に、前記空燃比学習補正値が減量補正値であれば、ベース空燃比としてはリッチ傾向であると判断される。
これに対して、ベース空燃比がリッチ傾向であれば、空燃比フィードバック制御を行わなくても目標空燃比に到達することになり、逆に、空燃比フィードバック制御が早いとリッチ側に過補正することになってしまう。
また、前記空燃比学習補正分は、空燃比学習補正値から判断されるベース空燃比がリーンであればより大きな値に設定され、より早いタイミングから空燃比フィードバック制御が再開させる。
また、前記空燃比学習補正分は、空燃比学習補正値から判断されるベース空燃比がリーンであればより大きな値に設定され、よりリーン状態から空燃比フィードバック制御が再開させる。
更に、空燃比センサの応答性及び空燃比学習値を変数として、所定値SLを設定させる構成とすることができる。
(イ)請求項1〜4のいずれか1つに記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
前記オープン制御状態が機関の減速燃料カット状態であり、燃料供給の再開に伴ってフィードバック制御を再開させるときに、前記空燃比センサの出力値が所定値に達してから前記フィードバック制御を再開させることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
従って、空燃比センサが実際の空燃比よりも大幅にリーンな空燃比を検出する応答遅れの間にフィードバック制御が再開されて、リッチ側に過補正されてしまうことを回避できる。
(ロ)請求項2記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
前記目標空燃比と空燃比センサによる検出空燃比との偏差の絶対値が閾値以下となる空燃比に達してから前記フィードバック制御を再開させることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
従って、空燃比センサの応答遅れによって目標空燃比付近(実際の空燃比付近)に到達するのが遅れると、その分だけフィードバック制御の再開を遅らせることができ、フィードバック制御による過補正の発生を精度良く回避できる。
(ハ)請求項5又は6記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
前記第1所定時間及び/又は第2所定時間を、内燃機関の積算回転数が所定数になるまでの時間とすることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
従って、機関回転速度(排気流速)による応答遅れ時間の変化に対応して、フィードバック制御が過度に遅延されているか否かを精度良く判断できる。
(ニ)請求項3記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
空燃比フィードバック制御による補正要求を学習した結果に基づいて、ベース空燃比を判断することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
(ホ)請求項4記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
前記空燃比センサの応答性を、空燃比フィードバック制御における目標空燃比を切り換えてから前記空燃比センサの出力が所定値に到達するまでの時間に基づいて判断することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
Claims (6)
- 空燃比センサの出力に基づいて内燃機関の空燃比をフィードバック制御する内燃機関の空燃比制御装置であって、
空燃比のオープン制御状態から前記フィードバック制御を再開させるときに、前記空燃比センサの出力値が所定値に達してから前記フィードバック制御を再開させることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。 - 前記所定値を目標空燃比に基づいて設定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の空燃比制御装置。
- 前記所定値をそのときの運転条件におけるベース空燃比に基づいて設定することを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の空燃比制御装置。
- 前記所定値を前記空燃比センサの応答性に基づいて設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関の空燃比制御装置。
- 前記空燃比のオープン制御状態が燃料カット状態であり、該燃料カット状態から燃料供給が再開されるときに、燃料供給の再開から第1所定時間が経過した後に、前記空燃比センサの出力値が所定値に達してから前記フィードバック制御を再開させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の内燃機関の空燃比制御装置。
- 第2所定時間内で前記空燃比センサの出力値が前記所定値に達しない場合に、強制的に前記フィードバック制御を再開させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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