本発明においては、抵抗値の調整に際して、トリミング前の抵抗体の抵抗値が所望の抵抗値よりも高い場合や、トリミング溝の長さが長くなった場合でも、適切な抵抗値調整を行うことができる四端子構造の抵抗器の製造方法を提供するという目的を以下のようにして実現した。
本発明に基づく四端子構造の抵抗器A1は、四端子構造のチップ抵抗器であり、図1〜図5に示すように構成され、絶縁基板10と、上面電極12a、12b、12c、12dと、抵抗体(「抵抗体層」としてもよい)14と、保護膜(「保護層」としてもよい)20と、下面電極22a、22b、22c、22dと、側面電極24a、24b、24c、24dと、メッキ26a、26b、26c、26dと、を有している。
なお、図2、図6、図7は、四端子構造の抵抗器A1において保護膜や側面電極やメッキを除いた状態の平面図であり、図3は、四端子構造の抵抗器A1において側面電極やメッキを除いた状態の底面図である。
ここで、四端子構造の抵抗器A1についてさらに詳しく説明すると、上記絶縁基板10は、含有率96%程度のアルミナにて形成された絶縁体である。この絶縁基板10は、直方体形状を呈しており、平面視すると、略長方形形状を呈している。この絶縁基板10は、上記四端子構造の抵抗器A1の基礎部材、すなわち、基体として用いられている。
また、上面電極12a、12b、12c、12dは、図2、図4、図5等に示すように、絶縁基板10の上面の長手方向(X1−X2方向(電極間方向)(図1参照))の端部領域に設けられている。つまり、上面電極12a、12cは、絶縁基板10の上面の一方の側(X1側)の端部領域に設けられ、上面電極12b、12dは、絶縁基板10の上面の他方の側(X2側)の端部領域に設けられ、各上面電極とも同大同形状に形成されている。なお、各上面電極の形状は略方形状(具体的には、略長方形状)であり、各上面電極の各辺はX1−X2方向又はY1−Y2方向を向いている。ここで、上面電極12aと上面電極12bは所定の間隔を介してY1−Y2方向の絶縁基板における中心線を介して線対称の位置に形成され、上面電極12cと上面電極12dは所定の間隔を介してY1−Y2方向の絶縁基板における中心線を介して線対称の位置に形成され、また、上面電極12aと上面電極12cは所定の間隔を介してX1−X2方向の絶縁基板における中心線を介して線対称の位置に形成され、上面電極12bと上面電極12dは所定の間隔を介してX1−X2方向の絶縁基板における中心線を介して線対称の位置に形成されている。また、上面電極12a、12cは、絶縁基板10の上面のX1側の端部から所定の長さに形成されているとともに、上面電極12b、12dは、絶縁基板10の上面のX2側の端部から所定長さに形成されている。また、上面電極12aと絶縁基板10のY2側の端部には隙間が形成され、上面電極12bと絶縁基板10のY2側の端部には隙間が形成され、上面電極12cと絶縁基板10のY1側の端部には隙間が形成され、上面電極12dと絶縁基板10のY2側の端部には隙間が形成されている。以上のようにして、上面電極が絶縁基板10の上面の両側に一対ずつ設けられていて、四端子構造に形成されている。なお、各上面電極は、具体的には、銀系厚膜(銀系メタルグレーズ厚膜)により形成されている。なお、上面電極12aは上記第1電極部に相当し、上面電極12bは上記第3電極部に相当し、上面電極12cは上記第2電極部に相当し、上面電極12dは上記第4電極部に相当する。
なお、上面電極12a、12b、12c、12dは上記の構成であるとして説明したが、これには限られず、絶縁基板10の両側に上面電極が2つずつ設けられた構成であればよい。
また、抵抗体14は、上面電極12a、12b、12c、12dに接続され、平面視において、方形状(具体的には、長方形状)を呈している。つまり、抵抗体14のX1側の端部領域が上面電極12aと上面電極12cの上面に積層して接続され、抵抗体14のX2側の端部領域が上面電極12bと上面電極12dの上面に積層して接続されている。これにより、平面視において上面電極12aと上面電極12cとの間の領域にも抵抗体14が存在し、また、平面視において上面電極12bと上面電極12dとの間の領域にも抵抗体14が存在する。つまり、図2に示すように、抵抗体14のX1側の端部領域においては、該端部領域のY2側の領域15aは上面電極12aに接続され、該端部領域のY1側の領域15bは上面電極12cに接続されているが、上面電極12aに接続されている領域と上面電極12cに接続されている領域の間には、上面電極12aと上面電極12cのいずれにも接続されていない領域15c(端部領域)が存在する。同様に、抵抗体14のX2側の端部領域においては、該端部領域のY2側の領域16aは上面電極12bに接続され、該端部領域のY1側の領域16bは上面電極12dに接続されているが、上面電極12bに接続されている領域と上面電極12dに接続されている領域の間には、上面電極12bと上面電極12dのいずれにも接続されていない領域16c(端部領域)が存在する。
また、抵抗体14には、トリミング溝T1が設けられている。このトリミング溝T1は、横方向、すなわち、X1−X2方向に形成されていて、抵抗体14のX1側の端部、すなわち、領域15cの端部からX2側に向けて形成されている。つまり、図2におけるX1側を一方の側とし、X2側を他方の側とした場合に、上面電極12aと上面電極12cの間の位置から該他方の側に向けてトリミング溝T1が形成されている。
また、この抵抗体14は、具体的には、銀パラジウム系厚膜により形成されているが、これには限らず、例えば、銅ニッケル系厚膜により形成してもよい。
また、保護膜20は、図1、図4、図5に示すように、主に、抵抗体14を被覆するように配設されている。すなわち、この保護膜20の配設位置をさらに詳しく説明すると、Y1−Y2方向には、該絶縁基板10の幅よりも短く形成され、保護膜20と絶縁基板10の端部とは所定の間隔が形成されている。さらに、X1−X2方向には、抵抗体14と上面電極12a、12b、12c、12dの一部を被覆するように設けられている。この保護膜20は、樹脂(エポキシ、フェノール、シリコン等)により形成されている。なお、ほう珪酸鉛ガラスにより形成してもよい。
また、下面電極22a、22b、22c、22dは、図3〜図5に示すように、上記絶縁基板10の下面に形成され、絶縁基板10の下面の長手方向(X1−X2方向(図3参照))の端部領域に設けられている。つまり、下面電極22a、22cは、絶縁基板10の下面の一方の側(X1側)の端部領域に設けられ、下面電極22b、22dは、絶縁基板10の下面の他方の側(X2側)の端部領域に設けられ、各下面電極とも同大同形状に形成されている。なお、各下面電極の形状は略方形状(具体的には、略長方形状)であり、各下面電極の各辺はX1−X2方向又はY1−Y2方向を向いている。なお、各下面電極のY1−Y2方向の幅は、各上面電極のY1−Y2方向の幅と略同一となっている。ここで、下面電極22aと下面電極22bは所定の間隔を介してY1−Y2方向の絶縁基板における中心線を介して線対称の位置に形成され、下面電極22cと下面電極22dは所定の間隔を介してY1−Y2方向の絶縁基板における中心線を介して線対称の位置に形成され、また、下面電極22aと下面電極22cは所定の間隔を介してX1−X2方向の絶縁基板における中心線を介して線対称の位置に形成され、下面電極22bと下面電極22dは所定の間隔を介してX1−X2方向の絶縁基板における中心線を介して線対称の位置に形成されている。また、下面電極22a、22cは、絶縁基板10の下面のX1側の端部から所定の長さに形成されているとともに、下面電極22b、22dは、絶縁基板10の下面のX2側の端部から所定長さに形成されている。また、下面電極22aと絶縁基板10のY2側の端部には隙間が形成され、下面電極22bと絶縁基板10のY2側の端部には隙間が形成され、下面電極22cと絶縁基板10のY1側の端部には隙間が形成され、下面電極22dと絶縁基板10のY1側の端部には隙間が形成されている。なお、各下面電極は、Y1−Y2方向には、上面電極と対応する位置に形成されている。つまり、下面電極22aのY1−Y2方向の形成位置は、上面電極12aの形成位置に対応し、下面電極22bのY1−Y2方向の形成位置は、上面電極12bの形成位置に対応し、下面電極22cのY1−Y2方向の形成位置は、上面電極12cの形成位置に対応し、下面電極22dY1−Y2方向の形成位置は、上面電極12dの形成位置に対応している。以上のようにして、下面電極が絶縁基板10の下面の両側に一対ずつ設けられていて、四端子構造に形成されている。なお、各下面電極は、具体的には、銀系厚膜(銀系メタルグレーズ厚膜)により形成されている。
また、上記側面電極は、上面電極の一部と、下面電極の一部と、絶縁基板10の側面(つまり、X1側の側面の一部と、X2側の側面の一部)を被覆するように断面略コ字状に層状に形成されている。つまり、側面電極24aは、上面電極12aと、下面電極22aと、絶縁基板10のX1側の側面の一部とを被覆するように略コ字状に形成され、また、側面電極24bは、上面電極12bと、下面電極22bと、絶縁基板10のX2側の側面の一部とを被覆するように略コ字状に形成され、側面電極24cは、上面電極12cと、下面電極22cと、絶縁基板10のX1側の側面の一部とを被覆するように略コ字状に形成され、また、側面電極24dは、上面電極12dと、下面電極22dと、絶縁基板10のX2側の側面の一部とを被覆するように略コ字状に形成されている。なお、各側面電極のY1−Y2方向の幅は、上面電極や下面電極のY1−Y2方向の幅と略同一に形成されている。
また、メッキ26a、26b、26c、26dは、ニッケルメッキ28と、錫メッキ30とから構成されていて、X1側の端部とX2側の端部にそれぞれ設けられている。
ニッケルメッキ28は、保護膜20の一部と、上面電極の一部と、側面電極と、下面電極の一部を被覆するように形成されている。つまり、メッキ26aにおけるニッケルメッキ28は、保護膜20の一部と、上面電極12aの一部と、側面電極24aと、下面電極22aの一部を被覆するように形成され、また、メッキ26bにおけるニッケルメッキ28は、保護膜20の一部と、上面電極12bの一部と、側面電極24bと、下面電極22bの一部を被覆するように形成され、また、メッキ26cにおけるニッケルメッキ28は、保護膜20の一部と、上面電極12cの一部と、側面電極24cと、下面電極22cの一部を被覆するように形成され、また、メッキ26dにおけるニッケルメッキ28は、保護膜20の一部と、上面電極12dの一部と、側面電極24dと、下面電極22dの一部を被覆するように形成されている。各ニッケルメッキ28は、電気メッキにより略均一の膜厚で配設されている。これらのニッケルメッキ28は、ニッケルにて形成されており、上面電極等の内部電極のはんだ食われを防止するために形成されている。このニッケルメッキ28は、ニッケル以外にも銅メッキが用いられる場合もある。
また、錫メッキ30は、ニッケルメッキ28の上面を被覆するように略均一の膜厚で配設されている。この錫メッキ30は、上記四端子構造の抵抗器A1の配線基板へのはんだ付けを良好に行うために形成されている。なお、この錫メッキ30は、錫メッキ以外に、はんだが用いられる場合もある。
なお、上記上面電極と、これに対応する下面電極と側面電極とメッキとで電極部が形成される。つまり、上面電極12aと下面電極22aと側面電極24aとメッキ26aとで電極部40aが形成され、上面電極12bと下面電極22bと側面電極24bとメッキ26bとで電極部40bが形成され、上面電極12cと下面電極22cと側面電極24cとメッキ26cとで電極部40cが形成され、上面電極12dと下面電極22dと側面電極24dとメッキ26dとで電極部40dが形成される。
なお、上記の四端子構造の抵抗器A1の説明においては、抵抗体14には、トリミング溝T1が設けられているものとして説明したが、他の例として、図6に示す四端子構造の抵抗器A2のように、トリミング溝T1とトリミング溝T2とが設けられているものとしてもよい。つまり、抵抗体14の電極間方向の両側の端部からトリミング溝が形成されている。
このトリミング溝T1は、四端子構造の抵抗器A1におけるトリミング溝T1の場合と同様に、横方向、すなわち、X1−X2方向に形成されていて、抵抗体14のX1側の端部、すなわち、領域15cの端部からX2側に向けて形成されている。つまり、図6におけるX1側を一方の側とし、X2側を他方の側とした場合に、上面電極12aと上面電極12cの間の位置から該他方の側に向けてトリミング溝T1が形成されている。
また、トリミング溝T2は、トリミング溝T1と同様に、横方向、すなわち、X1−X2方向に形成されているが、抵抗体14のX2側の端部、すなわち、領域16cの端部からX1側に向けて形成されている。つまり、図6におけるX1側を一方の側とし、X2側を他方の側とした場合に、上面電極12bと上面電極12dの間の位置から該一方の側に向けてトリミング溝T2が形成されている。
また、上記四端子構造の抵抗器A2以外の他の例として、図7に示す四端子構造の抵抗器A3のように、トリミング溝T1とトリミング溝T3とが設けられているものとしてもよい。つまり、抵抗体14に対して、電極間方向にトリミング溝が形成されているとともに、電極間方向とは直角の方向にもトリミング溝が形成されている。
このトリミング溝T1は、四端子構造の抵抗器A1におけるトリミング溝T1の場合と同様に、横方向、すなわち、X1−X2方向に形成されていて、抵抗体14のX1側の端部、すなわち、領域15cの端部からX2側に向けて形成されている。つまり、図6におけるX1側を一方の側とし、X2側を他方の側とした場合に、上面電極12aと上面電極12cの間の位置から該他方の側に向けてトリミング溝T1が形成されている。
一方、トリミング溝T3は、縦方向、すなわち、Y1−Y2方向に形成されていて、抵抗体14のY1側の端部からY2側に向けて形成されている。つまり、図7におけるX1側を一方の側とし、X2側を他方の側とした場合に、該一方の側の辺部及び他方の側の辺部とは異なる側の辺部から電極間方向に直角な方向にトリミング溝T2が形成されている。
なお、この四端子構造の抵抗器A3についても、その断面図は図4、図5に示すように示されるが、厳密には図5においては、抵抗体14にはトリミング溝T3が設けられることになる。
また、上記の説明においては、トリミング溝T1とトリミング溝T2は、X1−X2方向に形成されているとしたが、若干斜めに形成されていてもよく、すなわち、トリミング溝の形成方向がX1−X2方向の成分を含んでいればよい。また、トリミング溝T3は、Y1−Y2方向に形成されているとしたが、若干斜めに形成されていてもよく、すなわち、トリミング溝の形成方向がY1−Y2方向の成分を含んでいればよい。
なお、X1−X2方向は、絶縁基板10の平面視における長辺と同じ方向であり、Y1−Y2方向は、絶縁基板10の平面視における短辺と同じ方向であるといえる。
上記構成の四端子構造の抵抗器Aの製造方法について、図8〜図21等を使用して説明する。
まず、表面と裏面の両面に一次スリットと二次スリットが形成されている無垢のアルミナ基板(このアルミナ基板は、複数の四端子構造の抵抗器の絶縁基板の大きさを少なくとも有する大判のものである)を用意し、このアルミナ基板の裏面(すなわち、底面)に下面電極を形成する(S10(図8参照)、下面電極形成工程)。つまり、下面電極用のペースト(例えば、銀系メタルグレーズ等の銀系ペースト)を印刷し、乾燥・焼成する。なお、この下面電極の形成に際しては、隣接する抵抗器について同時に下面電極を形成する。
次に、アルミナ基板の表側の面(すなわち、上面)に上面電極を形成する(S11(図8参照)、上面電極形成工程)。すなわち、上面電極ペーストを印刷し、乾燥・焼成する。なお、当然各抵抗器ごとに4つの上面電極を形成する。この場合の上面電極ペーストは、銀系ペースト(例えば、銀系メタルグレーズ)である。なお、四端子構造の抵抗器となった場合に隣接する抵抗器の上面電極で互いに隣接し合う上面電極については1つの印刷領域で形成する。
次に、該アルミナ基板の表側の面(すなわち、上面)に抵抗体を形成する(S12(図8参照)、抵抗体形成工程)。つまり、抵抗体ペーストを印刷した後に乾燥・焼成して抵抗体を形成する。なお、形成する抵抗体の形状は、上記のように、方形状(具体的には、長方形状)とする。また、この抵抗体ペーストは、銀パラジウム系厚膜であるが、これには限らず、例えば、銅ニッケル系厚膜により形成してもよい。
次に、抵抗体14にトリミング溝を形成して抵抗値を調整する(S13(図8参照)、抵抗値調整工程)。つまり、レーザートリミングにより抵抗体14にトリミング溝を形成する。なお、この抵抗値調整工程の詳細については、後述する。
次に、少なくとも抵抗体14を覆うように保護膜を形成する(S14(図8参照)、保護膜形成工程)。つまり、樹脂ペーストを印刷し、乾燥・硬化させる。なお、Y方向に帯状に樹脂ペーストを印刷して、Y方向に複数の抵抗器分まとめて一連の帯状に保護膜を形成するようにしてもよい。
その後は、一次スリットに沿って一次分割する(S15(図8参照)、分割工程)。この分割に際しては、例えば、下面側を基点として、アルミナ基板を折り曲げるようにして分割する。つまり、1つの抵抗器分のアルミナ基板の部分を直線状に配列してなる短冊状基板を隣接する短冊状基板に対して折り曲げるように上面側から下方に折曲させて分割する。
次に、該短冊状基板に対して、側面電極を形成する(S16(図8参照)、側面電極形成工程)。つまり、側面電極用ペーストを印刷し、乾燥・硬化する。なお、側面電極用ペーストを印刷し、乾燥・焼成する方法としてもよい。また、スパッタ法により側面電極を金属薄膜で形成してもよい。その後、二次スリットに沿って二次分割する(S17(図8参照))。
次に、メッキを形成する(S18(図8参照))。つまり、ニッケルメッキを形成し、その後、錫メッキを形成して、四端子構造の抵抗器とする。
ここで、上記抵抗値調整(S13)の詳細について説明する。図9に示すように、まず、抵抗体形成工程(S12)において形成した抵抗体の抵抗値を測定する(S20)。なお、図9に示す方法を取る前提として、抵抗体形成工程(S12)における抵抗体の形成に際しては、なるべく所望の抵抗値に近い抵抗値となるように形成する。つまり、形成する抵抗体の形状、大きさ、抵抗体ペーストの量、焼成温度等を予め調整しておいて、所望の抵抗値に近いように形成する。ただし、その場合でも、抵抗体形成工程(S12)において形成した抵抗体の抵抗値は正確に所望の抵抗値になるとは限らず、通常は、所望の抵抗値よりも高い値か低い値になる。
そして、測定された抵抗値が所望の抵抗値と同じであるか否かを判定し(S21)、同じである場合には、トリミングによる抵抗値調整は必要ないので、抵抗値調整工程(S13)を終了する。
一方、測定された抵抗値が所望の抵抗値と同じでない場合には、測定された抵抗値が所望の抵抗値よりも高いか否かを判定し(S22)、高い場合には、抵抗値を下げるトリミングを行い(S23)、低い場合には、抵抗値を上げるトリミングを行う(S24)。このステップS23又はステップS24の処理を行った場合には、抵抗値調整工程(S13)を終了し、保護膜形成工程(S14)に移行する。
ここで、上記ステップS23におけるように抵抗値を下げるトリミングを行う場合には、図10に示す方法と、図11に示す方法と、図12に示す方法のいずれかの方法を行う。
まず、図10に示す方法(第1の方法)は、抵抗体に対してトリミング溝を横方向、すなわち、電極間方向に形成する方法である。この図10に示す方法は、図14のW13に示される。この図14において、W11は、上面電極形成工程(S11)に相当し、アルミナ基板5に上面電極12が形成される。また、W12は、抵抗体形成工程(S12)に相当し、抵抗体14が形成される。また、W13は、抵抗値調整工程(S13)に相当し、トリミング溝T1が形成される。
つまり、図10に示す方法においては、図14に示すように、抵抗体14の電極間方向における一方の側の端部で上面電極形成工程(W11参照)において形成された一対の上面電極12の間の位置からX1−X2方向にトリミング溝T1を形成する(W13、S30(図10))。つまり、抵抗体14のX1側(一方の側)に接続された一対の上面電極(第1電極部と第2電極部)の間の位置から該四端子構造の抵抗器のX2側(他方の側)に向けてトリミングを行う。なお、抵抗体14のX1側に接続された一対の上面電極12のうち一方が第1電極部であり他方が第2電極部であるといえ、さらに、抵抗体14のX2側に接続された一対の上面電極12のうち一方が第3電極部であり他方が第4電極部であるといえる(図15〜図17においても同じ)。このようにトリミング溝T1を形成することにより、抵抗体14の有効長が短くなるので、抵抗値を下げることができる。そして、トリミング溝T1を、抵抗体14が所望の抵抗値になるまで行う。つまり、抵抗値を監視しながらトリミング溝を形成していって、所望の抵抗値に到達した場合には、トリミングを中止する。なお、この図10に示す方法による四端子構造の抵抗器が、図2に示す四端子構造の抵抗器A1となる。ここで、図10に示す工程が上記トリミング工程に当たる。
なお、図14のW13に示すようなトリミング溝の形成に当たっては、抵抗体14において上面電極12に接続している領域の間の位置からトリミング溝を形成し始めるので、上面電極12に接続している領域の間の領域(図14においては、R1の領域、図2では領域15cに相当する)におけるトリミング溝の形成は電圧降下にそれほど寄与せず、図18に示すように、徐々に抵抗値が下がるが、上面電極12に接続している領域の間の領域を超えて、図14におけるR2の領域に入ると、図18に示すように、トリミング溝の単位長さ当たりの抵抗値の降下量は大きくなり、図18に示すように抵抗値が降下する。つまり、領域R1、R2ともにトリミング溝の形成長さに比例して抵抗値は降下するが、トリミング溝の単位長さ当たりの抵抗値の降下量は、領域R1よりも領域R2の方が大きい。なお、図18に示すように抵抗値の降下するのは、本実施例のような電流検出に用いる四端子構造の抵抗器においては、上面電極の面積抵抗が抵抗体の面積抵抗よりやや小さいのが一般的であることによる。これが例えば、抵抗体の面積抵抗が上面電極の面積抵抗よりもかなり大きい場合には、領域R1においては、抵抗値はほとんど降下しないことになり、また、上面電極の面積抵抗が抵抗体の面積抵抗よりもかなり大きい場合には、領域R1と領域R2のいずれにおいても、トリミング溝の単位長さ当たりの抵抗値の降下量は同じであり、図18とは異なり直線的に抵抗値が降下することになる。
なお、図14に示す例では、トリミング溝T1を抵抗体14のX1側の端部から形成するとしたが、X2側の端部から形成してもよい。
次に、図11に示す方法(第2の方法)は、抵抗体に対してトリミング溝を横方向、すなわち、電極間方向に両側から形成する方法である。この図11に示す方法は、図15のW23とW24に示される。この図15において、W21は、上面電極形成工程(S11)に相当し、アルミナ基板5に上面電極12が形成される。また、W22は、抵抗体形成工程(S12)に相当し、抵抗体14が形成される。また、W23とW24は、抵抗値調整工程(S13)に相当し、トリミング溝T1を形成した後トリミング溝T2を形成する。
つまり、図11に示す方法においては、図15に示すように、抵抗体14の電極間方向における一方の側の端部で上面電極形成工程(W21参照)において形成された一対の上面電極12の間の位置からX1−X2方向にトリミング溝T1を形成する(W23、S40(図11))。つまり、抵抗体14のX1側の端部で上面電極12の間の位置からトリミング溝T1を形成する。すなわち、抵抗体14のX1側に接続された一対の上面電極(第1電極部と第2電極部)の間の位置から該四端子構造の抵抗器の他方の側に向けてトリミングを行う。このようにトリミング溝T1を形成することにより、抵抗体14の有効長が短くなるので、抵抗値を下げることができる。なお、このステップS40においては、所望の抵抗値よりも少し高い抵抗値の位置までトリミング溝T1を形成して、該位置までトリミング溝T1を形成したら、トリミング溝T1の形成を中止する。なお、図15のW23に示すようなトリミング溝の形成に当たっては、抵抗体14において上面電極12に接続している領域の間の位置からトリミング溝を形成し始めるので、上面電極12に接続している領域の間の領域(図15においては、R1の領域、図6では領域15cに相当する)におけるトリミングの形成は電圧降下にそれほど寄与せず、図19に示すように、徐々に抵抗値が下がるが、上面電極12に接続している領域の間の領域を超えて、図15におけるR2の領域に入ると、図19に示すように、トリミング溝の単位長さ当たりの抵抗値の降下量は大きくなり、図19に示すように抵抗値が降下する。
次に、抵抗体14の電極間方向における他方の側の端部で一対の上面電極12の間の位置からX1−X2方向にトリミング溝T2を形成する(W24、S41(図11))。つまり、抵抗体14のX2側の端部で上面電極12の間の位置からトリミング溝T2を形成する。すなわち、上記抵抗体における第3電極部と第4電極部の間の位置から上記四端子構造の抵抗器の一方の側に向けてトリミングを行う。このようにトリミング溝T2を形成することにより、抵抗体14の有効長が短くなるので、抵抗値を下げることができる。そして、トリミング溝T2を、抵抗体14が所望の抵抗値になるまで行う。つまり、抵抗値を監視しながらトリミング溝T2を形成していって、所望の抵抗値に到達した場合には、トリミングを中止する。なお、この図11に示す方法による四端子構造の抵抗器が、図6に示す四端子構造の抵抗器A2となる。ここで、ここで、図11に示す工程が上記トリミング工程に当たる。
この場合に、トリミング溝T1の場合と同様に、抵抗体14において上面電極12に接続している領域の間の位置からトリミング溝を形成し始めるので、上面電極12に接続している領域の間の領域R3(図15参照)においては、抵抗値の降下は緩やかであり、所望の抵抗値に至るまでの抵抗値の変化は図19に示すようになる。
このようにトリミング溝T1で所望の抵抗値よりも少し高い位置まで抵抗値を降下させ、その後、トリミング溝T2で所望の抵抗値にまで調整するので、抵抗値の調整を正確に行うことができる。つまり、トリミング溝T1によれば、領域R2に入ると抵抗値の変化が大きいので、抵抗値を所望の値に正確に調整するのが困難となるが、図11に示す方法の場合には、最終的な調整をトリミング溝T2により行い、トリミング溝T2の形成に際しては、領域R1の範囲では抵抗値の変化が小さいので、微調整を行うことができる。つまり、トリミング溝T1で粗調整を行い、トリミング溝T2で微調整を行うので、抵抗値の調整を正確に行うことができる。なお、トリミング溝T2も領域R2に入ると抵抗値変化が大きくなるので、トリミング溝T1の形成に際しては、トリミング溝T2による微調整を領域R3内で完了できる程度に、なるべく所望の抵抗値に近い位置まで形成しておくことが好ましい。つまり、トリミング溝T1の形成に際しては、所望の抵抗値よりも高い位置まで形成するが、なるべく所望の抵抗値との差を小さくすることが好ましい。
なお、上記の説明では、X1側からトリミング溝を形成した後に、X2側からトリミング溝を形成するとして説明したが、X2側からトリミング溝を形成した後に、X1側からトリミング溝を形成するようにしてもよい。
次に、図12に示す方法(第3の方法)は、抵抗体に対してトリミング溝を横方向(すなわち、電極間方向)に形成した後に、トリミング溝を縦方向(すなわち、電極間方向に直角な方向)に形成する方法である。この図12に示す方法は、図16のW33とW34に示される。この図16において、W31は、上面電極形成工程(S11)に相当し、アルミナ基板5に上面電極12が形成される。また、W32は、抵抗体形成工程(S12)に相当し、抵抗体14が形成される。また、W33とW34は、抵抗値調整工程(S13)に相当し、トリミング溝T1を形成した後トリミング溝T3を形成する。
つまり、図12に示す方法においては、図16に示すように、抵抗体14の電極間方向における一方の側の端部で上面電極形成工程(W31参照)において形成された一対の上面電極12の間の位置からX1−X2方向にトリミング溝T1を形成する(W33、S50(図12))。つまり、抵抗体14のX1側の端部で上面電極12の間の位置からトリミング溝T1を形成する。抵抗体14のX1側に接続された一対の上面電極(第1電極部と第2電極部)の間の位置から該四端子構造の抵抗器の他方の側に向けてトリミングを行う。このようにトリミング溝T1を形成することにより、抵抗体14の有効長が短くなるので、抵抗値を下げることができる。なお、このステップS50においては、所望の抵抗値よりも少し低い抵抗値の位置までトリミング溝T1を形成して、該位置までトリミング溝T1を形成したら、トリミング溝T1の形成を中止する。なお、図16のW33に示すようなトリミング溝の形成に当たっては、抵抗体14において上面電極12に接続している領域の間の位置からトリミング溝を形成し始めるので、上面電極12に接続している領域の間の領域(図16においては、R1の領域、図7では領域15cに相当する)におけるトリミングの形成は電圧降下にそれほど寄与せず、図20に示すように、徐々に抵抗値が下がるが、上面電極12に接続している領域の間の領域を超えて、図16におけるR2の領域に入ると、図20に示すように、トリミング溝の単位長さ当たりの抵抗値の降下量は大きくなり、図20に示すように抵抗値が降下する。このトリミング溝T1を形成する工程が上記トリミング工程に当たる。
次に、抵抗体14のY1側又はY2側の辺部から縦方向(つまり、Y1−Y2方向(電極間方向に直角の方向))にトリミング溝T3を形成する(W34、S51(図12))。このようにトリミング溝T3を形成することにより、抵抗体14の有効幅が狭くなるので、抵抗値を上げることができる。そして、トリミング溝T3を、抵抗体14が所望の抵抗値になるまで行う。つまり、抵抗値を監視しながらトリミング溝T3を形成していって、所望の抵抗値に到達した場合には、トリミングを中止する。なお、この図12に示す方法による四端子構造の抵抗器が、図7に示す四端子構造の抵抗器A3となる。なお、トリミング溝T3の形成に当たっては、正確にY1−Y2方向でなくても、多少斜めになっていてもよく、Y1−Y2方向の成分を有する方向であればよい。このトリミング溝T3を形成する工程が上記第2のトリミング工程に当たる。つまり、トリミング溝T3の形成に当たっては、四端子構造の抵抗器の上記一方の側の辺部及び上記他方の側の辺部とは異なる側の辺部から、該一方の側と他方の側とを結ぶ方向である電極間方向とは略直角の方向にトリミングを行っているといえる(図13に示す方法におけるトリミング溝T3においても同じ)。
この場合に、トリミング溝T3においては、トリミング溝T3の長さが短い間は、単位長さ当たりの抵抗値の上昇は緩やかであり(図21も参照)、所望の抵抗値に至るまでの抵抗値の変化は図20に示すようになる。
このようにトリミング溝T1で所望の抵抗値よりも少し低い位置まで抵抗値を降下させ、その後、トリミング溝T3で所望の抵抗値にまで調整するので、抵抗値の調整を正確に行うことができる。つまり、トリミング溝T1によれば、領域R2に入ると抵抗値の変化が大きいので、抵抗値を所望の値に正確に調整するのが困難となるが、図12に示す方法の場合には、最終的な調整をトリミング溝T3により行い、トリミング溝T3の形成に際しては、トリミング溝の形成長さが短い間は抵抗値の変化が小さいので、微調整を行うことができる。つまり、トリミング溝T1で粗調整を行い、トリミング溝T3で微調整を行うので、抵抗値の調整を正確に行うことができる。なお、トリミング溝T3も形成長さが長くなると抵抗値変化が大きくなるので、トリミング溝T1の形成に際しては、トリミング溝T3による微調整を抵抗値変化の小さい間に完了できる程度に、なるべく所望の抵抗値を超えた直後位置まで形成しておくことが好ましい。つまり、トリミング溝T1の形成に際しては、所望の抵抗値よりも低くなるまで形成するが、なるべく所望の抵抗値との差を小さくすることが好ましい。
また、上記の説明では、横方向のトリミング溝は抵抗体14のX1側の端部から形成するとして説明したが、X2側の端部から形成してもよく、また、縦方向のトリミング溝は抵抗体14のY1側の端部から形成するとして説明したが、Y2側の端部から形成してもよい。
次に、上記ステップS24におけるように抵抗値を上げるトリミングを行う場合には、図13に示す方法(第4の方法)により行なう。すなわち、抵抗体に対してトリミング溝を縦方向(すなわち、電極間方向に直角な方向)に形成した後に、トリミング溝を横方向(すなわち、電極間方向)に形成する方法である。この図13に示す方法は、図17のW43とW44に示される。この図17において、W41は、上面電極形成工程(S11)に相当し、アルミナ基板5に上面電極12が形成される。また、W42は、抵抗体形成工程(S12)に相当し、抵抗体14が形成される。また、W43とW44は、抵抗値調整工程(S13)に相当し、トリミング溝T3を形成した後トリミング溝T1を形成する。
つまり、図13に示す方法においては、図17に示すように、抵抗体14のY1側又はY2側の辺部から縦方向(つまり、Y1−Y2方向(電極間方向に直角の方向))にトリミング溝T3を形成する(W43、S60(図13))。このようにトリミング溝T3を形成することにより、抵抗体14の有効幅が狭くなるので、抵抗値を上げることができる。なお、このステップS60においては、所望の抵抗値よりも少し高い抵抗値の位置までトリミング溝T3を形成して、該位置までトリミング溝T3を形成したら、トリミング溝T3の形成を中止する。なお、トリミング溝T3の形成に当たっては、正確にY1−Y2方向でなくても、多少斜めになっていてもよく、Y1−Y2方向の成分を有する方向であればよい。
この場合に、トリミング溝T3においては、トリミング溝T3の長さが短い間は、単位長さ当たりの抵抗値の上昇は緩やかであるが、形成長さが長くなるに従い、抵抗値の変化は大きくなっていく。つまり、抵抗値の変化は図21に示すようになる。
次に、抵抗体14の電極間方向における一方の側の端部で上面電極形成工程(W31参照)において形成された一対の上面電極12の間の位置からX1−X2方向にトリミング溝T1を形成する(W44、S61(図13))。つまり、抵抗体14のX1側の端部で上面電極12の間の位置からトリミング溝T1を形成する。すなわち、抵抗体14のX1側に接続された一対の上面電極(第1電極部と第2電極部)の間の位置から該四端子構造の抵抗器の他方の側に向けてトリミングを行う。このようにトリミング溝T1を形成することにより、抵抗体14の有効長が短くなるので、抵抗値を下げることができる。そして、トリミング溝T1を、抵抗体14が所望の抵抗値になるまで行う。つまり、抵抗値を監視しながらトリミング溝T1を形成していって、所望の抵抗値に到達した場合には、トリミングを中止する。なお、この図13に示す方法による四端子構造の抵抗器は、図7に示すような状態となるが、厳密には、トリミング溝T1は微調整に用いることから、領域15c内に納まる長さとなる。この図13に示す方法において、トリミング溝T3を形成する工程が上記第2のトリミング工程に当たり、トリミング溝T1を形成する工程が、上記トリミング工程に当たる。
このように、最終的な調整をトリミング溝T1により行い、領域R1の範囲では抵抗値の変化が小さいので、微調整を行うことができる。つまり、トリミング溝T3で粗調整を行い、トリミング溝T1で微調整を行うので、抵抗値の調整を正確に行うことができる。なお、トリミング溝T1も領域R2に入ると抵抗値変化が大きくなるので、トリミング溝T3の形成に際しては、トリミング溝T1による微調整を領域R1内で完了できる程度に、なるべく所望の抵抗値に近い位置まで形成しておくことが好ましい。つまり、トリミング溝T3の形成に際しては、所望の抵抗値よりも高い位置まで形成するが、なるべく所望の抵抗値との差を小さくすることが好ましい。
なお、上記の説明では、縦方向のトリミング溝は抵抗体14のY1側の端部から形成するとして説明したが、Y2側の端部から形成してもよく、また、横方向のトリミング溝は抵抗体14のX1側の端部から形成するとして説明したが、X2側の端部から形成してもよい。
なお、上記の説明では、図9に示すように、抵抗体形成工程(S12)における抵抗体の形成に際しては、なるべく所望の抵抗値に近い抵抗値となるように形成し、形成した抵抗体の抵抗値を測定して、所望の抵抗値と比較することにより、抵抗値を下げるトリミングを行うか、又は、抵抗値を上げるトリミングを行うものとしたが、抵抗体形成工程(S12)における抵抗体の形成に際して、所望の抵抗値より抵抗値が高くなるように抵抗体を形成しておき、その後、抵抗値を下げるトリミングを行うようにしてもよい。なお、その場合の抵抗値を下げるトリミングを行なう場合には、図10に示す方法と、図11に示す方法と、図12に示す方法のいずれかを採用すればよい。
また、上記とは逆に、抵抗体形成工程(S12)における抵抗体の形成に際して、所望の抵抗値より抵抗値が低くなるように抵抗体を形成しておき、その後、抵抗値を上げるトリミングを行うようにしてもよい。なお、その場合の抵抗値を下げるトリミングを行なう場合には、図13に示す方法を用いる。なお、単にトリミング溝を縦方向(Y1−Y2方向)に形成するものとしてもよい。
なお、上記の説明において、縦方向のトリミングにおいては、抵抗体14のY1側又はY2側の端部から形成するとしたが、これには限られず、抵抗体14の内側の位置からトリミング溝を形成してもよい。
また、上記の説明において、横方向のトリミングにおいては、トリミング溝T1やトリミング溝T2をX1−X2方向に形成するとして説明したが、正確にX1−X2方向でなくても、多少斜めになっていてもよく、X1−X2方向の成分を有する方向であればよい。
なお、図8におけるメッキの形成(S18)を行った後に、製造された四端子構造の抵抗器を製品として完成するには、4つの電極部のうちの左右一対の電極部を電流端子とし、他の左右一対の電極部を電圧端子として、一対の電流端子間に電流を流した状態で、一対の電圧端子に電圧計を接続して電圧を計測する。例えば、電極部40aと電極部40bを電流端子とし、電極部40cと電極部40dを電圧端子として、電極部40aと電極部40b間に電流を流した状態で、電極部40cと電極部40d間に電圧計を接続して電圧を計測する。なお、電極部40a、40bを電圧端子とするとともに、電極部40c、40dを電流端子としてもよいし、また、電極部40a、40dを電流端子とするとともに、電極部40c、40bを電圧端子としてもよいし、また、電極部40a、40dを電圧端子とするとともに、電極部40c、40bを電流端子としてもよい。電流値と計測された電圧値とにより抵抗値が算出されるので、その四端子構造の抵抗器の抵抗値が特定される。この抵抗値は、四端子構造の抵抗器A1、A2、A3を使用するに際して、既知の抵抗値として使用される。
以上のように、上記第1の方法〜第4の方法においては、横方向にトリミング溝を形成して抵抗値を下げる工程が含まれているので、抵抗値を下げることにより抵抗値の調整を行うことができる。特に、上記第2の方法と第3の方法と第4の方法においては、1本目のトリミング溝により粗調整を行った後に、2本目のトリミング溝により微調整を行うことができ、特に、2本目のトリミング溝の形成においては、抵抗値変化が小さいうちに微調整を行うことができるので、正確に所望の抵抗値に調整することができる。
また、上記のように、上面電極12aと上面電極12cの間の位置からトリミング溝T1を形成したり、上面電極12bと上面電極12dの間の位置からトリミング溝T2を形成することにより、抵抗体材料と電極材料との相互の拡散の影響がある領域を、トリミング溝を形成することにより突出形状となる部分(突出部)内に納めることが可能となるので、抵抗体材料と電極材料との相互の拡散がある場合でも、所望の抵抗器の特性を得ることができる。つまり、抵抗体材料と電極材料との相互の拡散の影響がある領域を、抵抗体14において抵抗体として機能しない領域内に納めることが可能となるので、抵抗体材料と電極材料との相互の拡散がある場合でも、所望の抵抗器の特性を得ることができる。なお、トリミング溝T1、T2はなるべく長い方が抵抗体材料と電極材料との相互の拡散の影響がある領域を突出部内に納めやすくなるので、トリミング溝T1、T2はなるべく長い方が好ましいといえる。
なお、図11に示す方法の応用例として以下の方法が考えられる。つまり、図11に示す方法の後に縦方向にトリミングを行う。つまり、2本目の横方向のトリミングにおいて、領域R3内で所望の抵抗値に調整できない場合には、領域R2内にトリミング溝が入ると抵抗値変化が大きくなるので、その場合には、所望の抵抗値よりも低い抵抗値にしてしまい、その後、縦方向のトリミングにより微調整を行うことが考えられる。つまり、この場合には、2本の横方向のトリミング溝と1本の縦方向のトリミング溝が形成されることになる。
また、図12に示す方法の応用例として以下の方法が考えられる。つまり、図12に示す方法の後に1本目の横方向のトリミングとは反対側からさらに横方向にトリミングを行う。つまり、縦方向のトリミングにおいて、トリミング溝が短い段階で所望の抵抗値に調整できない場合には、トリミング溝の長さが長くなるに従い抵抗値変化が大きくなるので、その場合には、所望の抵抗値よりも高い抵抗値にしてしまい、その後、横方向のトリミングにより微調整を行うことが考えられる。つまり、この場合には、2本の横方向のトリミング溝と1本の縦方向のトリミング溝が形成されることになる。
また、図13に示す方法の応用例として以下の方法が考えられる。つまり、図13に示す方法の後に1本目の縦方向のトリミングとは同じ側又は反対側からさらに縦方向にトリミングを行う。つまり、横方向のトリミングにおいて、領域R1内で所望の抵抗値に調整できない場合には、領域R2内にトリミング溝が入ると抵抗値変化が大きくなるので、その場合には、所望の抵抗値よりも低い抵抗値にしてしまい、その後、縦方向のトリミングにより微調整を行うことが考えられる。つまり、この場合には、1本の横方向のトリミング溝と2本の縦方向のトリミング溝が形成されることになる。
なお、図18〜図21において、縦軸は抵抗値を示し、横軸はトリミング溝の合計の長さを示す。つまり、トリミング溝が1本の場合には、そのトリミング溝の長さを示し、複数の場合には、複数のトリミング溝の長さの合計を示す。
次に、上記構成の四端子構造の抵抗器A1、A2、A3の使用状態及び作用について説明する。この四端子構造の抵抗器Aは、配線基板に実装して使用するが、一対の電流端子を電流を流す回路(電流回路)に接続し、一対の電圧端子を電圧計測回路(例えば、電圧計が接続された回路)に接続する。例えば、電極部40aと電極部40bに電流回路を接続し、電極部40cと電極部40dに電圧回路を接続する。そして、電流端子間に電流が流れている状態で電圧計測回路によって電圧値を計測することにより、計測された電圧値と既知の抵抗値とにより、電流値が算出される。これにより、電流回路の電流値を計測することができる。
なお、上記の説明においては、抵抗体14は、上面電極12a、12b、12c、12dの上面に積層して形成されているものとして説明したが、抵抗体14が絶縁基板10の上面に形成され、上面電極12a、12b、12c、12dが抵抗体14の上面に積層して形成されたものとしてもよい。
なお、上記の説明においては、四端子構造の抵抗器として、四端子構造のチップ抵抗器を例に取って説明したが、これには限られず、四端子構造のチップ抵抗器以外の四端子構造の抵抗器であってもよい。