JP2006186126A - 配線基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガラス−セラミックからなり且つ表面および裏面の少なくとも一方にCuメタライズが形成されたグリーンシートを、不活性ガス中で加熱することにより、前記グリーンシートに含まれる溶剤分を揮発させる第1ステップS1と、上記溶剤分が揮発された上記グリーンシートを、水素ガスおよび水蒸気を含む窒素ガスの混合ガスの中で加熱することにより、上記グリーンシートに含まれる炭素含有物を除去する第2ステップS2と、上記炭素含有物が除去された上記グリーンシートを、不活性ガス中で加熱して焼成する第3ステップS3と、からなる焼成工程を含む、配線基板の製造方法。
【選択図】 図1
Description
上記配線基板を得るには、ガラス−セラミックからなり表面に所定パターンのCuメタライズ層を形成した複数のグリーンシートを積層し、得られた積層体を所定の温度域で且つ雰囲気中で焼成することが必要である。
例えば、ガラス−セラミックからなる複数のグリーンシートを積層して得られた積層体を、炭素には酸化的で且つCuには非酸化的な組成比の水素と水蒸気とからなる雰囲気中で、上記ガラスの徐冷温度と軟化温度との範囲内のバインダ燃焼温度で当該バインダが分解するよう加熱した後、上記雰囲気を不活性雰囲気に置換して上記積層体を上記ガラスの結晶化温度まで加熱し、ガラスの粒子を融合および結晶化して、内部にCuを含む導体のパターンを形成する工程を含む、ガラス−セラミック構造の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
即ち、本発明の配線基板の製造方法(請求項1)は、ガラス−セラミックからなり且つ表面および裏面の少なくとも一方にCuメタライズが形成されたグリーンシートを、不活性ガス中で加熱することにより、前記グリーンシートに含まれる溶剤分を揮発させる第1ステップと、前記溶剤分が揮発された上記グリーンシートを、水素ガスおよび水蒸気を含む窒素ガスとの混合ガスの中で加熱することにより、上記グリーンシートに含まれる炭素含有物を除去する第2ステップと、上記炭素含有物が除去された上記グリーンシートを、不活性ガス中で加熱して焼成する第3ステップと、からなる焼成工程を含む、ことを特徴とする。
尚、前記ガラス−セラミックには、ガラス−アルミナ(Al2O3)、ガラス−珪酸(SiO2)、ガラス−窒化アルミニウム、ガラス−酸化ジルコニウム、ガラス−ムライトなどが含まれる。また、前記不活性ガスには、後述する窒素ガスのほか、アルゴン(Ar)なども含まれる。更に、前記Cuメタライズには、前記グリーンシートの表面などに所定パターンで形成される配線や電極のほか、かかるグリーンシートを貫通するビアホール内に充填されるビア導体も含まれる。
これによれば、前記第2ステップのウェットな(湿った)雰囲気中に適正量の水素ガスを導入できるため、前記グリーンシートに含まれる溶剤分以外の炭素分を有機化合物として適正に除去できると共に、グリーンシートに形成された前記CuメタライズのCuが酸化してもこれを確実に還元することができる。
尚、水蒸気と水素ガスとの容積比が1:0.003未満になると、前記混合ガス中の水素分が不足し、CuメタライズのCuが酸化して銅酸化物となる。一方、水蒸気と水素ガスとの容積比が1:0.01超になると、過度な還元性雰囲気となって、グリーンシートからの炭素含有物の除去が不十分になり、且つコスト高になる。これらを防ぐため、水素ガスの容積比を上記範囲としたものである。
これによれば、前記第2ステップのウェット雰囲気中における水蒸気量を適正化できるため、前記グリーンシートに含まれる溶剤分以外の炭素分を適正量で除去できると共に、前記CuメタライズのCuが過度に酸化して銅酸化物となる事態を確実に防ぐことができる。
尚、前記第2ステップで用いる混合ガスにおける窒素ガスと水蒸気と水素ガスとの容積比は、1:0.25〜1.0:0.00075〜0.01である。
これによる場合、ガラス−セラミックのグリーンシートに対し、前記各ステップを連続して施すことができるため、多量のグリーンシートや大版のグリーンシートを効率良く且つ適正に焼成することが可能となる。尚、焼成すべきグリーンシートは、連続焼成炉内に配置されたメッシュのベルトコンベア上を搬送されると共に、各ステップの間には、それぞれ雰囲気を遮断するため、昇降式のシャッタドアまたは不活性ガスがシャワー状に下降するガスカーテンが配置されている。
図1は、本発明によるグリーンシートの焼成工程を示す温度履歴(グラフ)と、これを実施する際の連続焼成炉Fにおける第1〜第3ステップごととの雰囲気と、を示す。
本発明に用いるグリーンシートは、ガラス−セラミックからなり、表面および裏面の少なくとも一方に所定パターンのCuメタライズが形成されている。上記ガラス−セラミックは、ガラス粉末、フィラであるセラミック粉末、有機バインダ、可塑剤、および有機溶剤などを混合したものからなる。
上記ガラス粉末のガラス成分には、例えばSiO2−B2O3−Al2O3系、SiO2−B2O3−Al2O3−MO系(但し、MはCa、Sr、Mg、Ba、またはZrを示す)、PB系ガラス、あるいはBi系ガラスなどが含まれる。
前記ガラス粉末とセラミック粉末とを、重量比で40:60〜99:1の割合で混合する。
更に、前記グリーンシートに配合する有機バインダには、例えばアクリル系、ポリビニルブチラール系、ポリビニルアルコール系、アクリル−スチレン系、ポリプロピレンカーボネート系、あるいはセルロース系の単独重合体または共重合体などが含まれる。
次に、得られた複数枚のガラス−セラミックからなるグリ−ンシートの表面および裏面の少なくとも一方に、Cu粉末、有機バインダ、および可塑剤などを含む導電性ペーストをスクリーン印刷などにより、所定パターンで印刷・形成して厚み約15μmのCuメタライズを形成する。かかるCuメタライズは、追って表面配線または内部配線、あるいは電極となる。また、予め、各グリ−ンシートの表面と裏面との間を貫通する内径が約150μmのビアホールにも上記導電性ペーストを充填して、Cuメタライズのビア導体を形成する。
尚、上記グリ−ンシートは、複数の製品部分を含む大版のものでも良い。
図1に示すように、連続焼成炉Fの第1ゾーンと第6ゾーンとは、乾燥(ドライ)した窒素ガス(不活性ガス)の雰囲気とされ、これらでは、本発明における第1ステップS1と第3ステップS3とが個別に行われる。
一方、連続焼成炉Fの第2〜第5ゾーンは、水素ガスと水蒸気を含む窒素ガスとの湿った(ウェットな)混合ガスの雰囲気とされ、これらでは、本発明における第2ステップSが行われる。
尚、各ステップS1,S2,S3間の雰囲気を遮断するため、少なくとも第1ゾーンと第2ゾーンとの間、および第5ゾーンと第6ゾーンとの間には、昇降式のシャッタドアまたは不活性ガスがシャワー状に下降するガスカーテン(何れも図示せず)が配置されている。
次に、溶剤分が除去されたグリ−ンシート積層体は、連続焼成炉Fの第2,第3ゾーンに搬送され、図1中のグラフで示すように、水素ガスと水蒸気を含む窒素ガスとからなる湿った(ウェットな)混合ガスの雰囲気において、前記温度から約1〜2℃/分の昇温速度で約800〜850℃の温度帯まで徐々に昇温されて加熱される。
上記混合ガスにおける水蒸気と水素ガスとの容積比は、1:0.003〜0.01で、且つ窒素ガスと水蒸気との容積比は、1:0.25〜1.0である。即ち、上記混合ガスにおける窒素ガスと水蒸気と水素ガスとの容積比は、1:0.25〜1.0:0.00075〜0.01である。
以上の第2〜第5ゾーン間にわたる第2ステップS2において、グリ−ンシート積層体にて前記溶剤分以外の前記有機バインダやCuメタライズ中などに含まれる炭素分は、混合ガス中の水蒸気により除去される。同時に、グリ−ンシート積層体の各所に形成されたCuメタライズは、混合ガス中の水素ガスにより酸化を抑制され、あるいは酸化したCuメタライズは、Cuに還元される。
このため、上記Cuメタライズは、前記ペースト時の炭素分を除去されるが、過度には酸化されていないので、内部の組織は、気泡(ポア)が少ないか小さいため、緻密になる。
上記加熱および保持により、グリ−ンシート積層体を形成する前記ガラス−セラミックは、ガラス粉末が溶融し且つ互いに密着するため、前記セラミック粉末を分散して含んだ組織として焼成される。同時に、上記グリ−ンシート積層体の各所に形成されたCuメタライズも焼成される。
ホウ珪酸ガラスからなるガラス粉末とアルミナからなるセラミック粉末とを、重量比で50:50の割合で混合し、更に所定量のアクリル系の有機バインダ、可塑剤、および有機溶剤を加えてスラリとした。次いで、かかるスラリをドクターブレード法により、厚み200μmのガラス−セラミックからなる複数枚のグリーンシートに形成した。
図3に示すように、表面22および裏面24を有する上記複数枚のグリーンシート21ごとにおける同じ位置に内径150μmのビアホール26をプレス加工で複数形成した。次いで、スキージを用いて、各ビアホール26内にCu粉末、有機バインダ、および可塑剤などを含む導電性ペースト(Cuメタライズ)を充填してビア導体28を形成することで、ガラス−セラミックの絶縁板21からなる複数個の試験体20を得た。
第2ステップS2では、1℃/分の昇温速度で約250℃から約800℃まで加熱した後、約800℃で3時間保持する温度履歴は、各組共通としたが、かかる第2ステップS2の湿った雰囲気を形成する混合ガスにおける水蒸気と水素ガスとの容積比を、表1に示すように、各組ごとに相違させた。そして、水蒸気と水素ガスとの容積比が、1:0.003〜1.0の範囲内にある組を実施例1〜4とし、かかる範囲から外れる組を比較例とした。尚、窒素ガスと水蒸気との容積比は、各例共通とした。
更に、各例ごとのCuメタライズが焼成されたビア導体28を中心軸に反って切断し、目視により切断面に現れた気泡(ポア)の大きさと分布とを観察した。切断面のほぼ全体に目立つ気泡(直径:約5〜15μm)が分布しているものが1個でもあったものを「×」として表1に示した。一方、10個の全部で上記目立つ気泡がないか、極く微少(直径5μm未満)の気泡しか分布していなかったものを「○」として表1に示した。
表1によれば、実施例1〜4では、反りが55μm以下であり、気泡も微少であったのに対し、比較例では、反りが150μmと大きく、気泡も目立っていた。
一方、比較例では、水蒸気と水素ガスとの容積比が前記範囲から外れていたため、前記グリーンシート21に含まれる溶剤分以外の炭素分が適量にして除去されず、且つ前記ビア導体28のCuが過度に酸化したもの、と推定される。
以上のような実施例1〜4の結果により、本発明による効果が確認された。
本発明は、ガラス−セラミックからなる複数枚のグリーンシートを積層したグリーンシート積層体に限らず、前記実施例のように、ガラス−セラミックからなる単層のグリーンシートに対しても適用することが可能である。
また、前記焼成工程の第1および第3ステップの雰囲気に用いる不活性ガスは、窒素ガスに限らず、Arガスや窒素とArとの混合ガスを用いても良い。
更に、前記焼成工程を形成する第1〜第3ステップS1〜S3は、前記連続焼成炉Fに限らず、それぞれ専用の焼成炉を隣接配置して行うことも可能である。
また、本発明の対象となる配線基板には、基板本体の表面に開口するキャビティを有する形態も含まれ、かかる形態では、キャビティの側面を形成する貫通孔を有するグリーンシートと平面形状のグリーンシートとを積層したグリーンシート積層体に対して、前記焼成工程が施される。
21…グリーンシート/絶縁板
22…表面
24…裏面
28…Cuメタライズ/ビア導体
S1…第1ステップ
S2…第2ステップ
S3…第3ステップ
Claims (3)
- ガラス−セラミックからなり且つ表面および裏面の少なくとも一方にCuメタライズが形成されたグリーンシートを、不活性ガス中で加熱することにより、前記グリーンシートに含まれる溶剤分を揮発させる第1ステップと、
上記溶剤分が揮発された上記グリーンシートを、水素ガスおよび水蒸気を含む窒素ガスの混合ガスの中で加熱することにより、上記グリーンシートに含まれる炭素含有物を除去する第2ステップと、
上記炭素含有物が除去された上記グリーンシートを、不活性ガス中で加熱して焼成する第3ステップと、からなる焼成工程を含む、
ことを特徴とする配線基板の製造方法。 - 前記第2ステップで用いる混合ガスにおける水蒸気と水素ガスとの容積比は、1:0.003〜0.01の範囲にある、
請求項1に記載の配線基板の製造方法。 - 前記第2ステップで用いる混合ガスにおける窒素ガスと水蒸気との容積比は、1:0.25〜1.0の範囲にある、
請求項1または2に記載の配線基板の製造方法。
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