JP3372050B2 - 多層配線基板およびその製造方法 - Google Patents

多層配線基板およびその製造方法

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JP3372050B2 JP10922692A JP10922692A JP3372050B2 JP 3372050 B2 JP3372050 B2 JP 3372050B2 JP 10922692 A JP10922692 A JP 10922692A JP 10922692 A JP10922692 A JP 10922692A JP 3372050 B2 JP3372050 B2 JP 3372050B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低温焼成多層配線基板
とその製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】電子回路の高密度化や多機能化には、3
次元構造による基板の多層配線化が必要であり、多層配
線基板が多用されており、Ag等の低抵抗導体材料が使
用可能な点で低温焼成多層配線基板が用いられている。
【0003】低温焼成多層配線基板は、主にグリーンシ
ート法により以下のように作製される。すなわち、ま
ず、ガラス粉と耐火セラミック粉とのガラスコンポジッ
トか、結晶化ガラス粉を用意し、これにバインダ樹脂、
溶剤等を加えてスラリー化し、シート状に成形し、これ
を乾燥して絶縁材料のグリーンシートを得る。次に、こ
のグリーンシートに表裏接続用のスルーホールをパンチ
ングし、シート上に導体ペーストを印刷するとともに、
スルーホールにも導体ペーストを充填する。その後、複
数のシートを位置合わせして積層し、加熱プレスして一
体化し、1000℃程度以下で焼成する。
【0004】ところで、多層配線基板の多機能化も要求
されており、コンデンサやインダクタ等の機能付加の要
求が強くなっている。コンデンサ内蔵多層配線基板に関
しては、特公平3−20918号公報に、コンデンサ部
を基板厚さ方向のほぼ中央部に形成し、その上下に等し
い厚さの内部配線用セラミック層を形成する旨の提案が
ある。
【0005】この提案においては、低温焼成多層配線基
板であるか否かや、導体の種類について開示されていな
い。しかし、低温焼成基板において、Agを主成分とす
る導体を用い、基板主面面積の40%を超える大面積の
コンデンサ電極パターンを基板厚さ方向の中央部に設け
ると、反り等の変形が生じることが判明した。特に、焼
成時に高速昇温や、高速脱バインダを行うと、層間の剥
離や、クラックや、反り等の変形は顕著となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主たる目的
は、Agを主成分とする導体を用いた低温焼成多層配線
基板において、コンデンサ電極等の大面積導体パターン
を設けても、反り等の基板変形や、剥離、クラック等が
きわめて少ない多層配線基板と、その有利な製造方法と
を提供することにある。
【0007】本発明者らは、大面積導体パターンを設け
るときの基板変形等の発生のメカニズムについて検討を
行った。その結果、以下の(a)〜(c)の知見を得て
いる。
【0008】(a)脱バインダ時の問題 焼成は積層体をセッタ上に載置して行う。焼成の初期は
バインダ樹脂の熱分解除去を主眼とするが、この際バイ
ンダは積層体から均一には抜けず、内部のバインダの分
解が遅れる。この際、底部はセッタと接触しているた
め、脱バインダ中に、基板下方よりの非対称位置にバイ
ンダが多く残る非対称なバインダ分布を形成する。
【0009】バインダ分解に際しては寸法収縮をともな
い、非対称で不均一なバインダ分布を生じると、脱バイ
ンダ時に成形体に大きなストレスが加わり、反りや、剥
離や、クラックの原因となる。特に、この際、コンデン
サ電極や、さらにはアース導体、電源導体等の大面積の
導体パターンの存在は、これらを一層助長する。また、
高速脱バインダもこれらをさらに顕在化させる。
【0010】(b)焼結開始前後の問題 導体にAgを用いると、昇温中にAgがグリーンシート
内に拡散していく。拡散したAgは、グリーンシート内
のガラスの軟化点を下げ、焼結開始温度を下げる。この
ため大面積のAg導体パターンの存在は、その部分の焼
結を他より早め、結果として焼成完了後に変形を生じ
る。特にコンデンサ部のようにグリーンシート上下に大
面積パターンが存在するときには、その部分で顕著であ
る。
【0011】(c)グリーンシート作製時の問題 グリーンシートの作製に際しては、原料スラリーをキャ
リヤフィルム上に塗布しシート状に成形し、これを乾燥
する。この乾燥の際、バインダ樹脂が移動し、キャリヤ
フィルム側の樹脂量が減る。この結果、グリーンシート
の厚さ方向の成形密度が不均一となり、反り等の焼成変
形を生じる。
【0012】これら(a)〜(c)の要因から、基板中
央に大面積Ag導体パターンを設けると、各要因が助長
しあって各種基板欠陥を生じるものであると知見され
た。
【0013】ところで、(a)の対策としては脱バイン
ダ工程を長時間かけて行うことが考えられる。しかし、
この方法は量産性、コストアップの点できわめて不利で
実際的でない。
【0014】また、(b)の対策としては、粗粒化する
などAg粉体の活性を落としたり、シートのガラスの軟
化点をあげる等が考えられるが、導体抵抗を上昇させた
り、焼結性や焼結マッチング性を低下させ、実用化でき
ない。
【0015】さらに(c)の対策としては、グリーンシ
ートの表裏交互にパターンを印刷して、これを積層する
ことも考えられるが、表裏管理は量産上労力を要し、工
程増を招き実際的でない。
【0016】また、積層体に荷重板を載せて焼成するこ
とも考えられるが、きわめて長時間の脱バインダ時間を
要し、荷重板と基板との離型性を考える必要があるな
ど、これも実際的でない。
【0017】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記(a)〜(c)の諸要因が互いに打ち消すような大
面積パターンの配置があるのではないかとの着想を持つ
に至り、実験の結果下記(1)〜(4)の本発明に到達
した。 (1) 絶縁材料とバインダとを含むグリーンシートに
導体材料のパターンを形成して積層し、1000℃以下
で焼成して、複数の絶縁層間に導体パターンを形成した
多層配線基板において、前記導体パターンは、内部配線
パターンとそれより広巾の大面積導体パターンとを有す
るとともに、Agを主成分とし、この大面積導体パター
ンは、前記主面の面積の30%以上を占めるものであ
り、前記大面積導体パターンを、多層配線基板の一方の
主面から、基板の全厚tの0.1t〜0.35tの位置
の領域のみに設けられており、前記大面積パターンが中
央より下方に位置するようにして焼成する多層配線基
板。 (2) 前記大面積導体パターンは、2層以上の絶縁層
上に形成された複数のコンデンサ電極パターンである上
記(1)の多層配線基板。 (3) 前記絶縁材料は、ガラス粉と耐火セラミック粉
とを含むか、結晶化ガラス粉を含む上記(1)または
(2)の多層配線基板。 (4) 上記(1)〜(3)のいずれかの多層配線基板
を製造するに当たり、前記各グリーンシートの表面側に
前記パターンを形成し、各グリーンシートの表面と裏面
とが互いに接するように積層して、脱バインダ工程を経
て焼成する多層配線基板の製造方法。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【作用】(i) 反りの減少 (a)の脱バインダ時の不均一なバインダ分解と、
(c)のグリーンシート中のバインダの不均一分布は、
グリーンシートの表裏方向を揃えて積層して焼成する
と、セッタ側下方に凸の状態の反りを生じる。中心より
下方側の大面積Ag導体パターンの存在は、(b)の作
用によりこの反りを打ち消す。
【0026】(ii)剥離・クラックの防止 (a)の脱バインダ時にバインダ樹脂の分解は基板全体
で均一には進行せず、図3に示されるように、基板のほ
ぼ下半分セッタ側にバインダ樹脂の未分解残留域が存在
する。残留域を図中斜線で示す。脱バインダ工程中期以
降にもこの残留域は縮小はせず、残留バインダ樹脂濃度
の低下の形でバインダ分解が進行する。このため残留域
の外縁部では脱バインダ行程中は常にバインダ樹脂の濃
度勾配が存在する。バインダ分解に伴ってセラミック成
形体の収縮があるため、濃度勾配は内部ストレスの原因
となり、図3に示されるバインダ残留域の外縁部(基板
中央付近とセッタ側基板下部)では脱バインダ工程中強
いストレスに曝される。この領域に大面積の導体パター
ンを設けると剥離、クラックが発生し易くなる。逆にこ
の領域(バインダ残留域の外縁部)を避ければ剥離、ク
ラックを防止できる。具体的には、基板の上部表面近く
(脱バインダ工程初期に急速に分解進行、以後低濃度)
および残留域内部(穏やかで均一に近い分解)になる。
ただし基板上部表面近くにAg導体を大面積にわたって
設けると前述の基板反りの問題が生じる。
【0027】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。図1には、本発明の多層配線基板1の1例
が示される。図1の多層配線基板1は、それぞれ導体パ
ターン3を有し、絶縁材料のグリーンシートから形成さ
れた6枚の絶縁層2を積層一体化して形成されている。
【0028】この例では、最上層の直下3層の絶縁層2
には導体パターン3が、信号配線、コイル導体等の内部
配線パターン4として形成されている。そして、その下
の2層の絶縁層2上には、導体パターン3が、大面積導
体パターン5として形成されており、これらがコンデン
サ電極61、65を構成してコンデンサ部6が内蔵され
ている。
【0029】このような場合、大面積導体パターン5
は、通常100〜200μm 程度以下の内部配線パター
ンの配線巾より、概ね10倍以上広いものである。また
大面積導体パターン6は、絶縁層全面に設けられていて
も、その一部に設けられていても、図示のように複数個
相互に離間部をもって設けられていてもよいが、その面
積の絶縁層1層当りの総計は、基板主面11、15の面
積の30%以上、特に40%以上存在することが好まし
い。このような場合、本発明の実効はきわめて高いもの
となる。なお、コンデンサ部6を一方の主面15から
0.1t〜0.4tの領域内に設ける場合、2層ないし
3層以上設けられる各コンデンサ電極層の1層あたりの
総計面積は、基板主面11、15の面積の90%程度以
下であることが好ましい。
【0030】このような大面積導体パターン5は、基板
1の厚さをtとしたとき、一方の主面15から、0.1
t〜0.4t(有効数値1桁)、より好ましくは0.1
0t〜0.35t(有効数字2桁)の位置に配置され
る。この領域に大面積導体パターン6を存在させずに他
の領域に存在させたときには、反り、剥離、クラックが
臨界的に増大してしまう。
【0031】また、大面積導体パターン5は、図示のコ
ンデンサ電極61、65のように、コンデンサ部6を構
成する1層あるいは2層以上の絶縁層2に、2層ないし
3層以上形成されているとき、本発明の欠陥防止効果は
倍加する。従って、コンデンサ部6、より具体的にはコ
ンデンサ部6のコンデンサ電極61、65の両最外面
が、一方の主面15からともに0.1t〜0.4tの領
域内に存在することが好ましい。
【0032】このようにコンデンサ部6を一方の主面か
ら0.1t〜0.4tの領域内に設けたときには本発明
の実効は生じるので、他の領域にさらにアース電極等の
大面積導体を配置することも許容される。ただし、一方
の主面15から0.1t未満までと、0.4t超の領域
に存在する大面積導体パターンの総計面積は、0.1t
〜0.4tの領域内の大面積パターンの総計面積の50
%以下、特に0〜30%とすることが好ましい。
【0033】このように、0.1t〜0.4tの領域内
に大面積導体パターンを形成することにより、図1に示
されるように、その上方に、コイル、信号配線等の内部
配線パターン4を形成することができる。この結果、基
板主面面積を小さくすることができ、基板サイズが小型
化する。また、このようにコンデンサ部の上方にコイル
部を設ければ基板内にコンデンサ部とコイル部等とを並
列配置することがなくなるので、結果としてコイルの巻
きターン数を増加することもできる。また、コンデンサ
部の上方に信号配線部を設ければ、コンデンサ部に分断
されることなく、自由に信号配線を引き回すことがで
き、配線や回路設計上の自由度ができる。これらから、
特性の高い小型の配線基板が実現するという副次的な効
果も生じる。
【0034】本発明において導体材料は、比抵抗の小さ
いAgを主成分とする。Agの融点は960℃であるの
で、焼成は1000℃以下、特に800〜950℃で焼
成を行うことが好ましい。Agとしては、銀の含有量が
90重量%以上のもの、特に純度99.9重量%以上の
純銀、あるいはこれに5重量%程度以下のPd等を含有
させたものを用いることが好ましい。このように、特に
純銀を用いることにより比抵抗をきわめて小さくするこ
とができる。導体パターンの形成方法としては、導体ペ
ーストの印刷または転写を行う等の方法が一般的であ
る。
【0035】導体ペーストにてパターンを形成する場
合、用いる銀粉等の導体粉の平均粒径(異方性のある時
には長軸径)は、0.5〜20μm 程度とするのが好ま
しい。粒径が小さすぎると、導体ペースト中の無機成分
の含有量が低下し、緻密なパターンを形成できなくなっ
てくる。また粒径が大きすぎると、スクリーン印刷、転
写法等によるパターンの形成が困難となってくる。ま
た、銀粉の形状等には特に制約はないが、その一部また
は全部を鱗片状のものとしてもよい。導体ペースト中の
導体粉(銀粉)の含有量は、60〜90重量%、特に7
0〜85重量%とするのが好ましい。含有量が少ない
と、比抵抗が減少したり、焼成後のパターンの一部が断
線したりする。また大きすぎると、ペーストの粘度が増
大し、パターン形成が困難となってくる。
【0036】導体ペーストには、ガラスフリットを添加
することもできる。導体ペーストに含有させるガラスフ
リットは、700〜850に軟化点を有するガラスを用
いることが好ましい。用いるガラスフリットの組成には
特に制限はないが、特に下記の組成が好ましい。
【0037】 SiO2 :50〜70重量% Al23 :6〜10重量% アルカリ土類金属酸化物の1種以上:18〜30重量%
【0038】この場合、アルカリ土類金属酸化物として
は、SrO、CaOおよびMgOの1種〜3種が好まし
い。またZrO2 等が含有されていてもよい。ガラスフ
リットの平均粒径には特に制限はないが、通常、0.5
〜2.0μm 程度のものを用いる。
【0039】導体ペースト中のガラスフリットの含有量
は1〜10重量%が好ましい。また、ガラスフリット
は、導体粉に対して2〜10重量%含まれることが好ま
しい。導体ペーストには、銀粉等の導体粉とガラスフリ
ットの他、ビヒクルが含まれる。ビヒクルとしては、エ
チルセルロース、ポリビニルブチラール、メタクリル樹
脂、ブチルメタアクリレート等のバインダ、テルピネオ
ール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテ
ート等の溶剤、その他各種分散剤、活性剤、可塑剤等が
挙げられ、これらのうち任意のものが目的に応じて適宜
選択される。ビヒクルの添加量は、ペースト中、10〜
20重量%程度とすることが好ましい。
【0040】このような導体ペーストは焼成後の厚さが
5〜20μm 程度、特に8〜150μm 程度となるよう
に成膜することが好ましい。成膜方法は公知のスクリー
ン印刷法、転写法などによればよい。なお、大面積導体
パターン以外の内部配線パターンの配線巾は100〜2
00μm 程度である。
【0041】導体ペーストのパターンを形成するグリー
ンシートは、第1の態様では、絶縁材料として、ガラス
と、酸化物の耐火セラミックとを含有する。酸化物耐火
セラミックとしては、例えばAl23 、R2 Ti2
7 (Rはランタノイド元素の1種以上)、Ca2 Nb2
7 、MgTiO3 、SrZrO3 、TiO2 、SnO
2 ・TiO2 、ZrTiO4 、Ba2 Ti920、Sr
2 Nb27 、CaTiO3 、SrTiO3 、SrSn
3 等の1種以上を挙げることができる。この場合、用
いる酸化物は、化学量論組成から多少偏倚した組成であ
ってもよく、偏倚した組成のものとの混合物、あるいは
偏倚した組成のもの同志の混合物であってもよい。
【0042】グリーンシート中の酸化物セラミックの含
有量は20〜40重量%とするのが好ましい。多すぎる
と焼結性が悪化してくる。また、少なすぎると誘電体基
板の抗析強度が低下してくる。また酸化物セラミック粉
の平均粒径は0.5〜3μm程度が好ましい。平均粒径
が小さすぎると、シート形成が困難となり、また大きす
ぎると強度不足となってくる。
【0043】ガラス粉としては、軟化点が700〜80
0℃程度のガラスを用いることが好ましい。軟化点が高
すぎると、好適温度での焼成が困難となり、軟化点が低
すぎると、シート成形時のバインダーが抜けにくく、絶
縁性に問題が出る。
【0044】用いるガラス粉の組成に特に制限はない
が、前記の範囲の焼成温度で高強度のグリーンシートが
得られる等の点から下記の組成が好ましい。
【0045】 SiO2 :50〜70重量% Al23 :6〜10重量% アルカリ土類金属酸化物の1種以上:18〜30重量% B23 :0〜5重量%
【0046】アルカリ土類金属酸化物としては、Sr
O、CaOおよびMgOの1種以上、特に前記3種を併
用することが好ましい。
【0047】また、ガラスの平均粒径にも特に制限はな
いが通常成形性等を考慮して1〜3μm 程度のものを用
いる。グリーンシート中のガラスの含有量は40〜60
重量%とするのが好ましい。含有量が少なすぎると焼結
性が悪化し、多すぎると抗析強度が低下してくる。
【0048】絶縁材料としては、熱処理により微結晶が
析出する結晶化ガラスを用いることもできる。この場合
には、アノーサイト(CaAl2 Si28 )、セルジ
アン(BaAl2 Si28 )、ネフェリン(NaAl
SiO4 )、スフェン(CaTiSiO5 )、コージェ
ライト(Mg2 Al2 Si515)、スポジュメン(L
iAlSi26 )等のケイ酸塩あるいはアルミノケイ
酸塩を析出するガラス組成物を用いる。
【0049】このような誘電体材料は、焼結前にビヒク
ルを加えてスラリーとされる。ビヒクルとしては、エチ
ルセルロース、ポリビニルブチラール、メタクリル樹
脂、ブチルメタアクリレート等のバインダ、テルピネオ
ール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテ
ート、アセテート、トルエン、アルコール、キシレン等
の溶剤、その他各種分散剤、活性剤、可塑剤等が挙げら
れ、これらのうち任意のものが目的に応じて適宜選択さ
れる。ビヒクルの添加量は、酸化物セラミックとガラス
の合計量あるいは結晶化ガラス100重量部に対し、6
5〜85重量%程度とすることが好ましい。
【0050】本発明の多層配線基板は、以下のようにし
て製造される。まず、前述の導体ペーストを作製する。
同時に、前述のスラリーを用い、例えばドクターブレー
ド法により、絶縁材料のグリーンシートを所定枚数作製
する。次いで、グリーンシート上にパンチングマシーン
や金型プレスを用いてスルーホールを形成し、その後、
導体ペーストを各グリーンシート上に、例えばスクリー
ン印刷法により印刷し、所定の導体パターンもを形成す
るとともに、これをスルーホール内に充填する。このよ
うな場合、通常は、基板ごとのパターンを複数個アレイ
状に配列したパターンを大寸法のグリーンシート上に形
成する。
【0051】次いで、各グリーンシートを重ね合せ、熱
プレス(約40〜120℃、50〜1000Kgf/cm2)を
加えてグリーンシートの積層体とし、脱バインダー処
理、切断用溝の形成等を行う。この後、グリーンシート
の積層体を通常空気中で、前記の温度で焼成、一体化す
る。そして、これを通常チップ化して多層配線基板を得
る。そして、必要に応じ外部導体用ペーストを印刷し、
焼成して外部導体を形成する。
【0052】このような場合、グリーンシートにスクリ
ーン印刷等する際には、キャリヤフィルムにてグリーン
シートを支持した状態で、その表面に導体ペーストのパ
ターンを形成する。そして、キャリヤフィルムより剥離
した後、各グリーンシートの表面と、キャリヤフィルム
側裏面とが互いに接するように、その表裏方向を揃えて
積層する。このようにすれば、シートの表裏管理が不要
となり、量産上きわめて有利である。また、Agによる
セッタ汚染もなくなる。
【0053】焼成は、積層体をセッタ上に載置して行
う。この場合、焼成に際しては、前記の大面積導体パタ
ーン5が0.1t〜0.4tに位置する側の主面15側
をセッタ側に置く。従って、焼成の際にコンデンサ部6
等の大面積導体パターン5が中心より下方に位置しさえ
すれば、積層の際の積層順は、コンデンサ部6が上方側
に位置してもよい。このようにして、荷重板を必要とす
ることなく、高速の脱バインダと昇温を行っても、欠陥
のない基板を得ることができる。
【0054】なお、焼成は空気中にて、前記の焼成温度
で5分〜15分間保持することによればよく、また脱バ
インダ工程の昇温スピードは8〜15℃/分、その他の
昇温スピードは15〜20℃/分程度とすればよい。
【0055】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ本発明を
さらに詳細に説明する。 実施例1 純度99.9%、平均粒径1μm の銀粉92.7重量
%、平均粒径1μm の球状Pd粉0.94重量%および
ガラス粉6.4重量%を用意した。ガラス粉としては、
SiO2 :53.05重量%、SrO:36.04重量
%、Al23 :10.91重量%の組成の平均粒径1
μm のものを用いた。このガラスの軟化点は845℃で
ある。これらの混合物にビヒクルを添加し、3本ロール
で混練して内部導体ペーストとした。
【0056】これとは別にガラス粒子60重量%と、A
23 粒子40重量%との絶縁材料を用意した。そし
てこの絶縁材料にビヒクル添加し、ボールミルで混合し
てスラリー化してスラリーを得た。ガラス粒子の組成
は、SiO2 :62重量%、Al23 :8重量%、B
23 :4重量%、SrO:19重量%、CaO:4重
量%、MgO:3重量%であり、軟化点は815℃であ
った。
【0057】このスラリーを用い、ドクターブレード法
により、65mm×56mm、厚さ70μm と180μm の
2種のグリーンシートを作製した。このグリーンシート
のうち180μm 厚10枚と70μm 厚1枚の計11枚
を用いて、コンデンサ内蔵の多層配線基板用の積層体を
形成した。より具体的には、180μm 厚のグリーンシ
ートを10枚用意し、このうち8枚の表面には、焼結後
のパターン巾が100μm 、パターン面積計が基板主面
面積の15%となるように内部配線パターンを形成し
た。また、このうち1枚は無印刷とした。さらに、この
うちの1枚と70μm 厚のものには、その表面に、図1
に示されるようなコンデンサ電極61、65用の大面積
導体パターンを、その面積が、焼成チップ化後、基板主
面面積の60%となるように形成した。なお、各導体パ
ターンの焼結後の厚さは12μm とした。
【0058】そして、大面積導体パターン担持グリーン
シートのうち、下方に180μm 厚、上方に70μm 厚
のものがくるように積層してコンデンサ部とし、これを
計8枚の180μm 厚の内部配線パターン担持グリーン
シート間の所定の位置に介在させ、最上層として無印刷
180μm 厚グリーンシートを積層して一体化した。こ
の際、当然のことながら、各グリーンシートの表裏を揃
えて積層を行った。
【0059】これにより、70μm 厚のグリーンシート
で形成されるコンデンサ部が内蔵された積層体が形成さ
れたサンプルC〜Iを得た。表1には、サンプルC〜I
におけるコンデンサ部の70μm 厚グリーンシートの積
層位置が示される。なお、上下する導体パターン間は所
定のスルーホールで接続した。
【0060】これとは別に、計9枚の180μm 厚の内
部配線パターン担持グリーンシートを積層した上に、上
記のコンデンサ部を積層したサンプルBを得た。また、
計10枚の180μm 厚の内部配線パターン担持グリー
ンシートを積層した上に、無印刷180μm 厚グリーン
シートを積層して、コンデンサ部を設けないサンプルA
も作製した。さらに、2枚の大面積導体パターン担持グ
リーンシートの厚さをともに70μm として、これらを
積層した上に、8枚の内部配線パターン担持180μm
厚グリーンシートと、最上層無印刷180μm 厚グリー
ンシートを積層したサンプルJを作製した。
【0061】このようにして積層体サンプルA〜Jを作
製した後、これを最下層がセッタに接するように載置し
て、空気中で焼成した。焼成温度プログラムは下記のと
おりである。
【0062】 100〜150℃ 9分 150〜350℃ 15分 350〜700℃ 15分 700〜900℃ 15分 900℃ 12分 900℃〜室温 30分
【0063】焼成後のサンプルB〜Cの厚さは1.45
mmであり、各サンプルの横方向寸法は60mmであった。
各サンプルをそのままの状態で平板上に載置し、基板の
反りを測定した。反り量aは、図2に示されるように、
下に凸に反った場合、基板載置面から端部上端μm での
距離aから、基板厚さtを減じた値である。なお、下に
凸を正の符号、上に凸に反ったときは負の符号がつく。
各サンプル計20個の平均反り量aを表1に示す。
【0064】次いで、各サンプルをチップ化して、多層
配線基板を得た。各基板端面の内部クラックの発生状態
を光学顕微鏡で観察した。基板サンプル100個あたり
何個のサンプルに内部クラックが発生したかを表1に示
す。
【0065】また、各基板における下方大面積導体パタ
ーンの平均下面位置と、上方大面積導体パターンの平均
上面位置とを測定した。結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】表1に示される結果から、本発明の効果が
明らかである。
【0068】実施例2 絶縁材料を、SiO2 35wt% 、CaO 6wt% 、S
rO 8wt% 、Al23 12wt% 、ZrO2 10w
t% 、PbO 26%、B23 3wt% の組成の結晶
化ガラスにかえた他は、実施例1と同様にして各サンプ
ルを作製した。結果を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】表2に示される結果から本発明の効果が明
らかである。
【0071】なお、実施例1、2において、焼成プログ
ラム中、150〜350℃の脱バインダ工程時間を15
分から40分にすると各サンプルともクラック発生率は
0/100となり、反り量aも半分以下となった。
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、反りがきわめて小さ
く、クラックや剥離がきわめて少ない多層配線基板が短
い焼成時間で得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層配線基板の1例を示す断面図であ
る。
【図2】多層配線基板の反り量の測定方法を示す正面図
である。
【図3】多層配線基板の焼成時のバインダ樹脂の分解状
況を説明するための図である。
【符号の説明】
1 多層配線基板 2 絶縁層 3 導体パターン 4 大面積導体パターン 5 内部配線パターン 6 コンデンサ部 61、65 コンデンサ電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 克彦 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−265795(JP,A) 特開 平2−121392(JP,A) 特開 昭59−168705(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁材料とバインダとを含むグリーンシ
    ートに導体材料のパターンを形成して積層し、1000
    ℃以下で焼成して、複数の絶縁層間に導体パターンを形
    成した多層配線基板において、 前記導体パターンは、内部配線パターンとそれより広巾
    の大面積導体パターンとを有するとともに、Agを主成
    分とし、 この大面積導体パターンは、前記主面の面積の30%以
    上を占めるものであり、 前記大面積導体パターンを、多層配線基板の一方の主面
    から、基板の全厚tの0.1t〜0.35tの位置の領
    域のみに設けられており、 前記大面積パターンが中央より下方に位置するようにし
    て焼成する多層配線基板。
  2. 【請求項2】 前記大面積導体パターンは、2層以上の
    絶縁層上に形成された複数のコンデンサ電極パターンで
    ある請求項1の多層配線基板。
  3. 【請求項3】 前記絶縁材料は、ガラス粉と耐火セラミ
    ック粉とを含むか、結晶化ガラス粉を含む請求項1また
    は2の多層配線基板。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかの多層配線基板
    を製造するに当たり、前記各グリーンシートの表面側に
    前記パターンを形成し、各グリーンシートの表面と裏面
    とが互いに接するように積層して、脱バインダ工程を経
    て焼成する多層配線基板の製造方法。
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