JP3471571B2 - 多層ガラス・セラミック基板の製造方法 - Google Patents

多層ガラス・セラミック基板の製造方法

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JP3471571B2 JP17625397A JP17625397A JP3471571B2 JP 3471571 B2 JP3471571 B2 JP 3471571B2 JP 17625397 A JP17625397 A JP 17625397A JP 17625397 A JP17625397 A JP 17625397A JP 3471571 B2 JP3471571 B2 JP 3471571B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体LSI、チ
ップ部品などを搭載し、それらを相互配線するための多
層ガラス・セラミック基板の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体LSI、チップ部品等は小
型、軽量化が進んでおり、これらを実装する配線基板も
小型、軽量化が望まれている。このような要求に対し
て、基板内に内部電極等を配した多層セラミック基板
は、要求されている高密度配線が得られ、なおかつ薄型
化が可能なことにより、今日のエレクトロニクス業界に
おいて重要視されている。
【0003】多層セラミック基板に使用される電極材料
としての導体組成物は、一般に導電性金属、無機酸化
物、ガラス粉末が有機媒体中に分散されているペースト
状組成物である。導体材料としては、電気抵抗が低く、
かつ使用できる設備も安全で容易に製造できる金、銀、
銅、パラジウムが使用されている。これら金属と同時焼
成できるセラミック材料として、低温焼成ガラス・セラ
ミックが開発されてきている。
【0004】多層ガラス・セラミック基板は焼成過程に
おいて、焼結に伴う収縮を生じる。この収縮は、使用す
る基板用無機材料、グリーンシート組成、粉体ロット、
配線パターン、内部電極材料や内蔵する誘電体材料など
により縮率や収縮方向が異なってくる。このことは多層
ガラス・セラミック基板の作製においていくつかの問題
を生じている。
【0005】まず第一に、内部電極印刷用のスクリーン
版を作製する際、基板の縮率を逆算して作らなくてはな
らないが、基板の縮率は上記の条件で変わってしまう。
このためスクリーン版はそれぞれの製造ロットに応じて
何度も作りなおさなくてはならず不経済である。さら
に、収縮誤差を予め許容するように必要以上に大きい面
積の電極を形成しなくてはならず、高密度な配線ができ
なくなる。
【0006】第二に多層セラミック基板の小型化のため
基板内部に容量の大きなコンデンサを形成する場合、基
板材料と誘電体材料を同時焼成しなくてはならない。こ
のとき基板材料と誘電体材料の平面方向の縮率が異なる
と、誘電体が形成された部分の基板表面が凹んでしま
う。このため基板表面に部品を実装することが難しくな
る。
【0007】第三にグリーンシート積層法によって作製
された多層ガラス・セラミック基板は、グリーンシート
の造膜方向によって幅方向と長手方向の収縮率が異な
る。このことも多層ガラス・セラミック基板作製の障害
となっている。
【0008】これらの収縮の変化をなるべく少なくする
ためには、回路設計による基板の縮率の傾向を調べるこ
とはもちろん、製造工程においても基板材料およびグリ
ーンシート組成の管理、粉体ロットの違い、プレス圧や
温度などの積層条件を十分管理する必要がある。しか
し、一般に収縮率の誤差は±0.5%程度存在すると言
われている。
【0009】このことは多層ガラス・セラミック基板に
かかわらずセラミック、およびガラス・セラミック等の
焼結を伴うものに共通する課題である。そこで特公平7
−46540号公報、特開平5−102666号公報に
おいて、低温焼成ガラス・セラミックよりなるグリーン
シートに電極パターンを形成したものを所望枚数積層
し、この積層体の両面または片面に前記低温焼成ガラス
・セラミック基板材料の焼成温度では焼結しない無機組
成物よりなるグリーンシートで挟みこむように積層し、
前記積層体を焼成し、しかる後に焼結しない無機組成物
を取り除くという発明がなされた。これらにより、厚み
方向のみ収縮が起こり、平面方向の収縮が起こらない基
板が作製でき上記のような課題を解決できる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述のような方法によ
って、平面方向の収縮が起こらない基板が作製されてい
るが、この方法には低温焼成ガラス・セラミック積層体
の両面または片面に積層した無機組成物の除去の点に問
題がある。前記特公平7−46520号公報において未
焼結の無機組成物にはアルミナ、酸化ジルコニウム、窒
化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、酸化マグネシ
ウムのうち少なくとも一種以上が用いられている。これ
らは焼成後、基板表面に密着しており、ブラシなどで取
り除かなくてはならない。しかし一つ一つブラシで取り
除くことは手間が非常にかかる。前記特開平5−102
666号公報において、この未焼結の無機組成物として
Al23、MgO、ZrO2、TiO2、BeO、BNの
うち少なくとも一種以上が用いられている。これらは焼
成後の基板表面に密着しており、取り除くためには超音
波洗浄を行わなければならない。しかし未焼結の無機組
成物を全て超音波洗浄で落とすと時間がかかり工程的に
も通常の工程より一段階増えることになる。この課題を
解決する方法として、特開平5−327218号公報に
おいて、前記無機組成物に代えて、ガラス・セラミック
基板材料の焼結温度では結晶化が起こらず、ガラス・セ
ラミック基板材料中のガラスの結晶化終了温度以上で結
晶化するガラスを両面または片面に積層した後これを焼
成する多層セラミック基板の製造方法が開示されてい
る。この方法によれば平面方向の収縮を防止するための
積層物の除去は超音波洗浄を行う必要がない。しかしこ
の方法では単に粉体を固めただけであり基板表面に積層
物が密着しているため、積層物の除去の点において依然
として問題がある。さらにガラス・セラミックの焼成後
さらに高温で熱処理しなくてはならないので電極と基板
との間に空隙ができる等の問題が生じる。
【0011】本発明は、このような従来の製造方法の課
題を考慮し、工程数が少なく、平面方向の収縮が起こら
ない多層セラミック基板の製造方法を提供することを目
的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的は下記
(1)〜(7)の本発明により達成される。
【0013】
【0014】
【0015】(1) 内部に導体、または導体およびコ
ンデンサが形成された多層ガラス・セラミック基板の製
造方法であって、焼成前の多層ガラス・セラミック基板
の両面に、石英、クリストバライトおよびトリジマイト
の少なくとも一種を含む組成物と、ガラス・セラミック
基板の焼結開始温度以下で軟化するか、液相を生成する
酸化物である焼結助剤とを含有するグリーンシートを搭
載して積層体を形成し、これを焼成することを特徴とす
る多層ガラス・セラミック基板の製造方法。
【0016】(2) 上記焼結助剤が、珪酸鉛アルミガ
ラス、珪酸鉛アルカリガラス、珪酸鉛アルカリ土類ガラ
ス、ホウ珪酸鉛ガラス、ホウ珪酸アルカリガラス、ホウ
酸アルミ鉛ガラス、ホウ酸鉛アルカリガラス、ホウ酸鉛
アルカリ土類ガラス、ホウ酸鉛亜鉛ガラスのいずれか一
種以上である(1)に記載の多層ガラス・セラミック基
板の製造方法。
【0017】(3) 内部に導体、または導体およびコ
ンデンサが形成された多層ガラス・セラミック基板の製
造方法であって、焼成前の多層ガラス・セラミック基板
の両面に、石英、クリストバライトおよびトリジマイト
の少なくとも一種を含む組成物と、アルカリ金属化合物
である焼結助剤とを含有するグリーンシートを搭載して
積層体を形成し、これを焼成することを特徴とする多層
ガラス・セラミック基板の製造方法。
【0018】(4) 内部に導体または、導体およびコ
ンデンサが形成された多層ガラス・セラミック基板の製
造方法であって、焼成前の上記ガラス・セラミック基板
の両面に、多層ガラス・セラミック基板の焼成過程にお
いて焼結するトリジマイトと、多層ガラス・セラミック
基板の焼成過程において焼結しない酸化物を含む組成物
からなるグリーンシートを搭載して積層体を形成し、こ
れを焼成することを特徴とする請求項に記載の多層ガラ
ス・セラミック基板の製造方法。
【0019】(5) 上記酸化物が石英、溶融石英、ア
ルミナ、ムライト、ジルコニアのいずれか一種以上であ
ることを特徴とする(4)に記載の多層ガラス・セラミ
ック基板の製造方法。
【0020】(6) 焼成後に両面の組成物を取り除く
ことを特徴とする(1)〜(5)の多層ガラス・セラミ
ック基板の製造方法。
【0021】(7) 焼成時に前記グリーンシート積層
体を加圧して焼成を行うことを特徴とする(1)〜
(6)に記載の多層ガラス・セラミック基板の製造方
法。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明は、石英、クリストバライ
トおよびトリジマイトの少なくとも一種を含む組成物か
なり、かつ、焼結助剤を含有する前記組成物からなる
グリーンシート、または多層ガラス・セラミック基板材
料の焼成温度で焼結するトリジマイトと焼成過程で焼結
しない酸化物とを含む組成物からなるグリーンシートを
両面に有する多層ガラス・セラミック基板グリーン積層
体を焼成し、その後両面の組成物を取り除くことによ
り、平面方向の収縮が起こらない多層ガラス・セラミッ
ク基板を得るものである。
【0023】本発明において、石英、クリストバライト
およびトリジマイトの少なくとも一種を含む組成物から
なるグリーンシートを用いる場合の製造方法について説
明する。
【0024】ガラス・セラミック材料に有機バインダお
よび可塑剤等を加えて作製したグリーンシート上に、導
体ペースト組成物で電極パターンを形成し、所望の配線
パターンとなるようにこれらのシートを所定の枚数積層
して多層化することにより多層ガラス・セラミック積層
体を作製する。しかる後、前記ガラス・セラミック積層
体の両面に石英、クリストバライトおよびトリジマイト
の少なくとも一種を含む組成物からなるグリーンシート
を積層する。これを熱圧着してグリーン積層体を作製す
る。そして、前記積層体の有機物を脱バインダ処理し通
常の焼成を行った後、両面の未焼結の無機組成物を取り
除くことにより、平面方向の収縮のない基板が得られ
る。これは以下の理由による。
【0025】前記組成物は、多層ガラス・セラミック基
板材料の焼成温度において焼結しないため収縮が起こら
ない。多層ガラス・セラミック積層体は前記組成物から
なるシートと密着しているため焼成時に平面方向に収縮
することができず、基板全体として厚み方向のみしか収
縮が起こらない。なお、前記組成物は熱膨張率が大きく
基板の平面を拡大する方向に応力がかかるが、前記組成
物は焼結しないため、シート中の粒子が動くことによっ
てその応力が緩和され、結果として多層ガラス・セラミ
ック基板の平面方向の拡大は起こらない。
【0026】また、前記組成物は熱収縮挙動が急激に変
化する変態点を有する。このため多層ガラス・セラミッ
ク基板の焼成過程において、冷却中に基板との間に急激
な応力が生じる。よって多層ガラス・セラミック積層体
から、超音波洗浄を行わなくても、掻き落とし等により
両面に積層した前記組成物を容易に取り外すことが可能
である。
【0027】前記組成物には焼結助剤を添加する。この
理由は、両面に積層した前記組成物がシート状に焼結
し、焼成後に多層ガラス・セラミック基板表面から前記
組成物をシート状態ではがすことができ、取り外しがさ
らに容易になるからである。焼結助剤を添加しない場合
は、前記組成物は多層ガラス・セラミック基板の焼成過
程において焼結せず、基板の表面に粉体の状態で存在す
る。粉体の状態であると冷却中に粒子が動けるため、相
変態点においてガラス・セラミック基板との間に応力が
かかっても、この応力が緩和されることがある。これに
対し、焼結助剤を含む組成物を両面に積層することによ
りこのような問題を回避でき、より容易に両面の組成物
を除去することが可能となる。なお、焼結助剤を含有す
る場合は、焼成過程において次のような現象が起きてい
ると考えられる。石英、クリストバライトおよびトリジ
マイトは熱膨張係数がそれぞれ約20ppm/℃、約5
0ppm/℃および約40ppm/℃と多層ガラス・セ
ラミック基板材料に比べて大きい。焼成過程において、
ガラス・セラミック基板材料は両面に積層された前記組
成物の大きな熱膨張率の影響を受けるため平面方向の面
積は大きくなる。しかしながら、これが焼成され収縮す
るため、結果として焼成前と焼成後の寸法変化は相殺さ
れ、平面方向の収縮のない基板が得られることとなる。
【0028】焼結助剤としては、多層ガラス・セラミッ
ク基板の焼結開始温度以下で軟化するか、液相を生成す
る酸化物が用いられる。前者を用いた場合は、添加物が
軟化することによって前記組成物の粒子同士が結合する
ため焼結し、後者を用いた場合は、添加物が液相を生成
することによって前記組成物の粒子表面が反応し、粒子
同士が結合するため焼結することとなる。このような酸
化物としては特に限定されるものではないが、珪酸鉛ア
ルミガラス、珪酸鉛アルカリガラス、珪酸鉛アルカリ土
類ガラス、ホウ珪酸鉛ガラス、ホウ珪酸アルカリガラ
ス、ホウ酸アルミ鉛ガラス、ホウ酸鉛アルカリガラス、
ホウ酸鉛アルカリ土類ガラス、ホウ酸鉛亜鉛ガラスのい
ずれか一種以上が好ましい。
【0029】また、焼結助剤としてアルカリ金属化合物
を用いてもよい。アルカリ金属化合物にはSiO2の焼
結の進行を促す効果がある。よって、石英、クリストバ
ライトおよびトリジマイトの少なくとも一種を含む組成
物はアルカリ金属化合物を添加することにより焼結する
こととなる。このような化合物は特に限定されないが、
炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、酸化リ
チウム、酸化カリウム等が好ましい。
【0030】次に本発明において、多層ガラス・セラミ
ックの焼成過程において焼結するトリジマイトと、多層
ガラス・セラミックの焼成過程において焼結しない酸化
物を含む組成物からなるグリーンシートを両面に有する
多層ガラス・セラミック基板グリーン積層体を焼成し、
その後両面の組成物を取り除くことにより、平面方向の
収縮が起こらない多層ガラス・セラミック基板を得る方
法について説明する。
【0031】トリジマイトは組成の選択により焼結温度
を種々変化させることができる。トリジマイトは焼結す
ることによって基板との境界に応力が生じる。ただしト
リジマイトは熱膨張係数が大きく、温度によっては熱膨
張係数が40ppm/℃にも達する。このためガラス・
セラミック材料(約3〜10ppm/℃)との熱膨張差
がありすぎて焼結前にはがれてしまうことがある。これ
を防ぐために多層ガラス・セラミック基板材料の焼成温
度で焼結しない酸化物を加えて熱膨張係数を調節し、焼
結後にシート状態で自然にはがれるようにする。これに
より、超音波洗浄を行わなくてもガラス・セラミック積
層体からの取り外しが容易になる。なお、この場合の焼
成の様子は、石英、クリストバライトおよびトリジマイ
トの少なくとも一種を含む組成物に、焼結助剤を添加し
たものを用いた場合と同様の現象が起きていると考えら
れる。なお、セラミックの焼成過程において焼結するト
リジマイトは、石英にアルカリ金属化合物を添加して熱
処理をすること等によって作製することができる。
【0032】また、ガラス・セラミック基板の焼成過程
において焼結しない酸化物としては特に限定されない
が、石英、溶融石英、アルミナ、ムライト、ジルコニア
等が好ましく使用される。
【0033】石英、クリストバライトおよびトリジマイ
トの少なくとも一種を含む組成物からなるグリーンシー
ト、または焼結助剤を含有する前記組成物からなるグリ
ーンシート、または多層ガラス・セラミック基板材料の
焼成温度で焼結するトリジマイトと焼成過程で焼結しな
い酸化物とを含む組成物からなるグリーンシートを両面
に有する多層ガラス・セラミック基板グリーン積層体の
焼成時に、加圧しながら焼成を行うと、基板の反りを抑
えることができ、また厚み方向の焼結性がさらに促進さ
れ緻密な焼結体を得ることができる。加圧焼成の方法と
しては前記積層体と焼成時に反応しない加重用の板を載
せて焼成すればよい。
【0034】なお、上記説明において多層ガラス・セラ
ミック基板材料とは、ガラスと骨材との混合物のことで
ある。本発明に使用される多層ガラス・セラミック基板
材料は特に限定されないが、アルミナ珪酸アルカリ土類
ガラスとアルミナの混合物などが好適に使用できる。
【0035】また電極材料としては低温で焼結が可能で
あること、電気特性が良いこと、安価で工業的に扱いや
すいことなどから銀、銀−パラジウム、銅等が用いられ
る。
【0036】さらに前記多層セラミック基板に内部コン
デンサを形成する場合には、ペロブスカイト化合物およ
びビヒクルからなる誘電体ペーストを印刷法などにより
形成する。内部電極パターンおよび内部コンデンサの形
成方法および多層セラミック基板の積層体の製造方法は
従来の種々の方法に従って行えばよい。基板内部にコン
デンサ部を有する場合には、基板材料とコンデンサ部形
成用の誘電体材料の収縮率が違うために焼成後に誘電体
部分が凹むことがあったが、本発明の製造方法を適用す
ることにより、表面の凹みを抑えることができる。
【0037】多層ガラス・セラミック積層体の焼成は、
通常は5分〜4時間で700℃〜1100℃の温度範囲
で行われる。特に、内部電極として銅を使用する場合に
は950℃以下、銀を使用する場合には930℃以下で
焼成を行う。
【0038】なお、多層ガラス・セラミック積層体の製
造方法はシート法に限定されるものでなく、種々変更が
可能である。例えば印刷法等の方法を用いてもよい。ま
た、ガラス・セラミック積層体をシート法や印刷法等に
より作製した後に、両面に平面方向の収縮を防止する組
成物ペーストを印刷してもよく、また前記平面方向の収
縮を防止する組成物グリーンシート上にガラス・セラミ
ック材料をシート法や印刷法等により積層していき、最
上層に再び前記組成物グリーンシートを積層することに
より、積層体を作製してもかまわない。
【0039】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。図1、2は本発明の実施例における多層ガ
ラス・セラミック基板の断面を示す図である。
【0040】(実施例1)基板材料のガラス・セラミッ
クとして、SiO2−Al23−CaO−BaO−Mg
Oガラス粉末とアルミナ粉末が体積比で70対30であ
る組成物を用いた。このガラス・セラミック粉を無機成
分とし、有機バインダとしてアクリル樹脂、可塑剤とし
てフタル酸エステル、溶剤としてトルエンとエチルアル
コールの混合液(30対70重量比)を混合しスラリー
とした。このガラス・セラミックの焼結開始温度は80
0℃であった。
【0041】このスラリーをドクターブレード法で有機
フィルム上にシート成形した。こうして得たグリーンシ
ートに銀ペーストおよび誘電体ペーストを用いて導体パ
ターンの形成およびコンデンサの形成をスクリーン印刷
法によって行った。導体ペーストは、Ag粉末(平均粒
径3.5μm)を無機成分とし、有機バインダであるア
クリル樹脂をテレピネオールおよびブチルカルビトール
アセテートで溶かしたビヒクルとともに加えて、3本ロ
ールにより適度な粘度になるように混合したものを用い
た。誘電体ペーストは、ペロブスカイト化合物 Pb
(Mg1/3Nb2/3)O3−PbTiO3粉末(平均粒径
0.6μm)を無機成分とし、焼結助剤を加え、有機バ
インダであるアクリル樹脂をテレピネオールおよびブチ
ルカルビトールアセテートで溶かしたビヒクルとともに
加えて、3本ロールにより適度な粘度になるように混合
したものを用いた。
【0042】次に、石英粉末(平均粒径1.9μm)を
無機成分とし、有機バインダとしてアクリル樹脂、可塑
剤としてフタル酸エステル、溶剤としてトルエンとエチ
ルアルコールの混合液(30対70重量比)を混合しス
ラリーとした。このスラリーを基板用グリーンシートと
同様の方法でシートを成形した。前記基板用グリーンシ
ートと石英グリーンシートの厚みは共に約200μmで
あった。
【0043】前記基板用グリーンシートに導体パターン
およびコンデンサ用誘電体ペーストの印刷を行ったもの
を所定の枚数積み重ね、さらにその最上層および最下層
の両面に石英粉末よりなるグリーンシートを重ね合わせ
た。この状態で熱圧着して積層体を形成した。熱圧着条
件は、温度が50℃、圧力は100kg/cm2とした。図1
にこの基板の構成を示す。前記基板材料によるグリーン
シート層1が複数枚積層され、その両面に平面方向の収
縮を抑えるためのシートとして石英粉末よりなるグリー
ンシート層2が形成され、内部電極層3および誘電体層
4が基板内部に形成されている。
【0044】次に前記積層体をアルミナセッターに載せ
焼成した。焼成条件はベルト炉によって空気中、350
℃で脱バインダ後、900℃で10分間焼成を行った。
この時基板の反りを防止し、厚み方向の焼結収縮を助け
るためアルミナ焼結板を載せて加圧するようにして焼成
を行った。
【0045】焼成後のセラミック積層体の両面にはセラ
ミック基板の平面方向収縮防止用の組成物未焼結体が存
在するが、これは容易に掻き落とすことができた。
【0046】この焼成後の基板の寸法を測定し収縮率を
計算すると、0.5%以下であった。また基板表面の凹
みも生じなかった。
【0047】(実施例2)基板材料のガラスセラミック
として、SiO2−Al23−CaO−BaO−MgO
ガラス粉末とアルミナ粉末が体積比で70対30である
組成物を用いた。このガラス・セラミック粉を無機成分
とし、有機バインダとしてアクリル樹脂、可塑剤として
フタル酸エステル、溶剤としてトルエンとエチルアルコ
ールの混合液(30対70重量比)を混合しスラリーと
した。このガラス・セラミックの焼結開始温度は800
℃であった。
【0048】このスラリーをドクターブレード法で有機
フィルム上にシート成形した。こうして得たグリーンシ
ートに銀ペーストおよび誘電体ペーストを用いて導体パ
ターンの形成およびコンデンサの形成をスクリーン印刷
法によって行った。導体ペーストは、Ag粉末(平均粒
径3.5μm)を無機成分とし、有機バインダであるア
クリル樹脂をテレピネオールおよびブチルカルビトール
アセテートで溶かしたビヒクルとともに加えて3本ロー
ルにより適度な粘度になるように混合したものを用い
た。誘電体ペーストは、ペロブスカイト化合物 Pb
(Mg1/3Nb2/3)O3−PbTiO3粉末(平均粒径
0.6μm)を無機成分とし、焼結助剤を加え、有機バ
インダであるアクリル樹脂をテレピネオールおよびブチ
ルカルビトールアセテートで溶かしたビヒクルとともに
加えて、3本ロールにより適度な粘度になるように混合
したものを用いた。
【0049】次に、石英粉末(平均粒径1.9μm)
に、珪酸鉛アルミガラス粉末(66PbO−30SiO
2−4Al23(mol%)、平均粒径1.0μm、液
相生成温度760℃)を10wt%加えたものを無機成
分とし、有機バインダとしてアクリル樹脂、可塑剤とし
てフタル酸エステル、溶剤としてトルエンとエチルアル
コールの混合液(30対70重量比)を混合しスラリー
とした。このスラリーを基板用グリーンシートと同様の
方法でシート成形した。前記基板用グリーンシートと、
珪酸鉛アルミガラスを添加した石英グリーンシートの厚
みは共に約200μmであった。
【0050】前記基板用グリーンシートに導体パターン
およびコンデンサ用誘電体ペーストの印刷を行ったもの
を所定の枚数積み重ね、さらにその両面に珪酸鉛アルミ
ガラスを添加した石英よりなるグリーンシートを重ね合
わせた。この状態で熱圧着して積層体を形成した。熱圧
着条件は、温度が50℃、圧力は100kg/cm2とした。
図1にその構成を示す。前記基板材料によるグリーンシ
ート層1が複数枚積層され、その両面に平面方向の収縮
を抑えるためのシートとして珪酸鉛アルミガラスを添加
した石英よりなるグリーンシート層2が形成され、内部
電極層3および誘電体層4が基板内部に形成されてい
る。
【0051】次に前記積層体をアルミナセッターに載せ
焼成した。焼成条件はベルト炉によって空気中、350
℃で脱バインダ終了後、900℃で10分間焼成した。
この時基板の反りを防止し、厚み方向の焼結収縮を助け
るためにアルミナ焼結板を載せて加圧するようにして焼
成を行った。
【0052】焼成後、セラミック積層体の両面に形成さ
れた平面方向の収縮を抑えるためのシートの焼結体はは
がれていた。
【0053】この焼成後の基板の寸法を測定し収縮率を
計算すると0.5%以下であった。また基板の表面の凹
みも生じなかった。
【0054】(実施例3)基板材料のガラス・セラミッ
クとして、SiO2−Al23−CaO−SrO−Mg
O−B23ガラス粉末とアルミナ粉末が体積比で70対
30である組成物を用いた。このガラス・セラミック粉
を無機成分とし、有機バインダとしてアクリル樹脂、可
塑剤としてフタル酸エステル、溶剤としてトルエンとエ
チルアルコールの混合液(30対70重量比)を混合し
スラリーとした。このガラス・セラミックの焼結開始温
度は750℃であった。
【0055】このスラリーをドクターブレード法で有機
フィルム上にシート成形した。こうして得たグリーンシ
ートに銀ペーストを用いて導体パターンの形成をスクリ
ーン印刷法によって行った。導体ペーストは、Ag粉末
(平均粒径3.5μm)を無機成分とし、有機バインダ
であるアクリル樹脂をテレピネオールおよびブチルカル
ビトールアセテートで溶かしたビヒクルとともに加えて
3本ロールにより適度な粘度になるように混合したもの
を用いた。
【0056】次に、石英粉末(平均粒径1.1μm)
に、ホウ珪酸アルカリガラス粉末(42SiO2−26
Na2O−32B23(mol%)、平均粒径1.0μ
m、軟化温度557℃)を1、2、3、5wt%加えた
ものを無機成分とし、有機バインダとしてアクリル樹
脂、可塑剤としてフタル酸エステル、溶剤としてトルエ
ンとエチルアルコールの混合液(30対70重量比)を
混合しスラリーとした。このスラリーを基板用グリーン
シートと同様の方法でシート成形した。前記基板用グリ
ーンシートとホウ珪酸アルカリガラスを添加した石英グ
リーンシートの厚みは共に約200μmであった。
【0057】前記基板用グリーンシートに導体パターン
の印刷を行ったものを所定の枚数積み重ね、さらにその
両面にホウ珪酸アルカリガラスを添加した石英よりなる
グリーンシートを重ね合わせた。この状態で熱圧着して
積層体を形成した。熱圧着条件は、温度が50℃、圧力
は100kg/cm2とした。図2にその構成を示す。前記基
板材料によるグリーンシート層11が複数枚積層され、
その両面に平面方向の収縮を抑えるためのシートとして
ホウケイ酸アルカリガラスを添加した石英よりなるグリ
ーンシート層12が形成され、内部電極層13が基板内
部に形成されている。
【0058】次に前記積層体をアルミナセッターに載せ
焼成した。焼成条件はベルト炉によって空気中、350
℃で脱バインダ終了後、900℃で10分間焼成を行っ
た。この時基板の反りを防止し、厚み方向の焼結収縮を
助けるためアルミナ焼結板を載せて加圧するようにして
焼成を行った。
【0059】焼成後、いずれのものについてもセラミッ
ク積層体の両面に形成された平面方向の収縮を抑えるた
めのシートの焼結体ははがれていた。
【0060】この焼成後の基板の寸法を測定し収縮率を
計算すると0.5%以下であった。 (実施例4)基板材料のガラス・セラミックとして、S
iO2−Al23−CaO−SrO−MgO−B23
ラス粉末とアルミナ粉末が体積比で70対30である組
成物を用いた。このガラス・セラミック粉を無機成分と
し、有機バインダとしてアクリル樹脂、可塑剤としてフ
タル酸エステル、溶剤としてトルエンとエチルアルコー
ルの混合液(30対70重量比)を混合しスラリーとし
た。このガラス・セラミックの焼結開始温度は750℃
であった。
【0061】このスラリーをドクターブレード法で有機
フィルム上にシート成形した。こうして得たグリーンシ
ートに銀ペーストを用いて導体パターンの形成をスクリ
ーン印刷法によって行った。導体ペーストは、Ag粉末
(平均粒径3.5μm)を無機成分とし、有機バインダ
であるアクリル樹脂をテレピネオールおよびブチルカル
ビトールアセテートで溶かしたビヒクルとともに加えて
3本ロールにより適度な粘度になるように混合したもの
を用いた。
【0062】次に、石英粉末(平均粒径1.1μm)
に、炭酸ナトリウムを0.2、0.5、1.3wt%加
えたものを無機成分とし、有機バインダとしてアクリル
樹脂、可塑剤としてフタル酸エステル、溶剤としてトル
エンとエチルアルコールの混合液(30対70重量比)
を混合しスラリーとした。このスラリーを基板用グリー
ンシートと同様の方法でシート成形した。前記基板用グ
リーンシートと炭酸ナトリウムを添加した石英よりなる
グリーンシートの厚みは共に約200μmであった。
【0063】前記基板用グリーンシートに導体パターン
の印刷を行ったものを所定の枚数積み重ね、さらにその
両面に炭酸ナトリウムを添加した石英よりなるグリーン
シートを重ね合わせた。この状態で熱圧着して積層体を
形成した。熱圧着条件は、温度が50℃、圧力は100
kg/cm2とした。図2にその構成を示す。前記基板材料に
よるグリーンシート層11が複数枚積層され、その両面
に平面方向の収縮を抑えるためのシートとして炭酸ナト
リウムを添加した石英よりなるグリーンシート層12が
形成され、内部電極層13が基板内部に形成されてい
る。
【0064】次に前記積層体をアルミナセッターに載せ
焼成した。焼成条件はベルト炉によって空気中、350
℃で脱バインダ終了後、900℃で10分間焼成を行っ
た。この時基板の反りを防止し、厚み方向の焼結収縮を
助けるためアルミナ焼結板を載せて加圧するようにして
焼成を行った。
【0065】焼成後、いずれものについてもセラミック
積層体の両面に形成された平面方向の収縮を抑えるため
のシートの焼結体ははがれていた。
【0066】この焼成後の基板の寸法を測定し収縮率を
計算すると0.5%以下であった。
【0067】(実施例5)基板材料のガラス・セラミッ
クとして、SiO2−Al23−CaO−SrO−Mg
O−B23ガラス粉末とアルミナ粉末が体積比で70対
30である組成物を用いた。このガラス・セラミック粉
を無機成分とし、有機バインダとしてアクリル樹脂、可
塑剤としてフタル酸エステル、溶剤としてトルエンとエ
チルアルコールの混合液(30対70重量比)を混合し
スラリーとした。このガラス・セラミックの焼結開始温
度は750℃であった。
【0068】このスラリーをドクターブレード法で有機
フィルム上にシート成形した。こうして得たグリーンシ
ートに銀ペーストを用いて導体パターンの形成をスクリ
ーン印刷法によって行った。導体ペーストは、Ag粉末
(平均粒径3.5μm)を無機成分とし、有機バインダ
であるアクリル樹脂をテレピネオールおよびブチルカル
ビトールアセテートで溶かしたビヒクルとともに加えて
3本ロールにより適度な粘度になるように混合したもの
を用いた。
【0069】次に、トリジマイト粉末(平均粒径1.5
μm)および石英粉末(平均粒径1.1μm)を重量比
で1:2、1:1、2:1で混合したものを無機成分と
し、有機バインダとしてアクリル樹脂、可塑剤としてフ
タル酸エステル、溶剤としてトルエンとエチルアルコー
ルの混合液(30対70重量比)を混合しスラリーとし
た。なお、トリジマイトは石英にK2CO3を3wt%添
加し、1400℃で10時間熱処理することによって作
製した。このスラリーを基板用グリーンシートと同様の
方法でシート成形した。前記基板用グリーンシートおよ
びトリジマイトと石英の混合物よりなるグリーンシート
の厚みは共に約200μmであった。
【0070】前記基板用グリーンシートに導体パターン
の印刷を行ったものを所定の枚数積み重ね、さらにその
両面にトリジマイトと石英と混合物よりなるグリーンシ
ートを重ね合わせた。この状態で熱圧着して積層体を形
成した。熱圧着条件は、温度が50℃、圧力は100kg
/cm2とした。図2にその構成を示す。前記基板材料によ
るグリーンシート層11が複数枚積層され、その両面に
平面方向の収縮を抑えるためのシートとしてトリジマイ
トと石英の混合物よりなるグリーンシート層12が形成
され、内部電極層13が基板内部に形成されている。
【0071】次に前記積層体をアルミナセッターに載せ
焼成した。焼成条件はベルト炉によって空気中、350
℃で脱バインダ終了後、900℃で10分間焼成を行っ
た。この時基板の反りを防止し、厚み方向の焼結収縮を
助けるためアルミナ焼結板を載せて加圧するようにして
焼成を行った。
【0072】焼成後、いずれのものについてもセラミッ
ク積層体の両面に形成された平面方向の収縮を抑えるた
めのシートの焼結体ははがれていた。
【0073】この焼成後の基板の寸法を測定し収縮率を
計算すると0.5%以下であった。 (実施例6)基板材料のガラスセラミックとして、Si
2−Al23−CaO−SrO−MgO−B23ガラ
ス粉末とアルミナ粉末が体積比で70対30である組成
物を用いた。このガラス・セラミック粉を無機成分と
し、有機バインダとしてアクリル樹脂、可塑剤としてフ
タル酸エステル、溶剤としてトルエンとエチルアルコー
ルの混合液(30対70重量比)を混合しスラリーとし
た。このガラス・セラミックの焼結開始温度は750℃
であった。
【0074】このスラリーをドクターブレード法で有機
フィルム上にシート成形した。こうして得たグリーンシ
ートに銀ペーストを用いて導体パターンの形成をスクリ
ーン印刷法によって行った。導体ペーストは、Ag粉末
(平均粒径3.5μm)を無機成分とし、有機バインダ
であるアクリル樹脂をテレピネオールおよびブチルカル
ビトールアセテートで溶かしたビヒクルとともに加えて
3本ロールにより適度な粘度になるように混合したもの
を用いた。
【0075】次に、トリジマイト粉末(平均粒径1.5
μm)およびアルミナ粉末(平均粒径1.1μm)を重
量比で1:1、2:1で混合したものを無機成分とし、
有機バインダとしてアクリル樹脂、可塑剤としてフタル
酸エステル、溶剤としてトルエンとエチルアルコールの
混合液(30対70重量比)を混合しスラリーとした。
なお、トリジマイトは石英にK2CO3を3wt%添加
し、1400℃で10時間熱処理することによって作製
した。このスラリーを基板用グリーンシートと同様の方
法でシート成形した。前記基板用グリーンシートおよび
トリジマイトとアルミナの混合物よりなるグリーンシー
トの厚みは共に約200μmであった。
【0076】前記基板用グリーンシートに導体パターン
の印刷を行ったものを所定の枚数積み重ね、さらにその
両面にトリジマイトとアルミナの混合物よりなるグリー
ンシートを重ね合わせた。この状態で熱圧着して積層体
を形成した。熱圧着条件は、温度が50℃、圧力は10
0kg/cm2とした。図2にその構成を示す。前記基板材料
によるグリーンシート層11が複数枚積層され、その両
面に平面方向の収縮を抑えるためのシートとしてトリジ
マイトとアルミナの混合物よりなるグリーンシート層1
2が形成され、内部電極層13が基板内部に形成されて
いる。
【0077】次に前記積層体をアルミナセッターに載せ
焼成した。焼成条件はベルト炉によって空気中、350
℃で脱バインダ終了後、900℃で10分間焼成を行っ
た。この時基板の反りを防止し、厚み方向の焼結収縮を
助けるためアルミナ焼結板を載せて加圧するようにして
焼成を行った。
【0078】焼成後、セラミック積層体の両面に形成さ
れた平面方向の収縮を抑えるためのシートの焼結体はは
がれていた。
【0079】この焼成後の基板の寸法を測定し収縮率を
計算すると0.5%以下であった。
【0080】なお、トリジマイトと中異相としてクリス
トバライトが存在しても、基板の焼結過程においてクリ
ストバライトが異相として存在するトリジマイトの焼結
が起これば同様の効果が得られる。
【0081】なお実施例1〜6において、多層ガラス・
セラミック基板の焼成の際にアルミナ焼結板を載せて加
圧するようにして焼成を行ったが、両面に平面方向の収
縮を抑えるグリーンシートを層が形成されているため
に、積層体に荷重かけなくても同様の効果が得られた。
【0082】(比較例1)基板材料のガラス・セラミッ
クとして、SiO2−Al23−CaO−BaO−Mg
Oガラス粉末とアルミナ粉末が体積比で70対30であ
る組成物を用いた。このガラス・セラミック粉を無機成
分とし、有機バインダとしてアクリル樹脂、可塑剤とし
てフタル酸エステル、溶剤としてトルエンとエチルアル
コールの混合液(30対70重量比)を混合しスラリー
とした。このガラス・セラミックの焼結開始温度は80
0℃であった。
【0083】このスラリーをドクターブレード法で有機
フィルム上にシート成形した。こうして得たグリーンシ
ートに銀ペーストおよび誘電体ペーストを用いて導体パ
ターンの形成およびコンデンサの形成をスクリーン印刷
法によって行った。導体ペーストは、Ag粉末(平均粒
径3.5μm)を無機成分とし、有機バインダであるア
クリル樹脂をテレピネオールおよびブチルカルビトール
アセテートで溶かしたビヒクルとともに加えて、3本ロ
ールにより適度な粘度になるように混合したものを用い
た。誘電体ペーストは、ペロブスカイト化合物 Pb
(Mg1/3Nb2/3)O3−PbTiO3粉末(平均粒径
0.6μm)を無機成分とし、焼結助剤を加え、有機バ
インダであるアクリル樹脂をテレピネオールおよびブチ
ルカルビトールアセテートで溶かしたビヒクルとともに
加えて、3本ロールにより適度な粘度になるように混合
したものを用いた。
【0084】次に、アルミナ粉末(平均粒径1.1μ
m)を無機成分とし、有機バインダとしてアクリル樹
脂、可塑剤としてフタル酸エステル、溶剤としてトルエ
ンとエチルアルコールの混合液(30対70重量比)を
混合しスラリーとした。このスラリーを基板用グリーン
シートと同様の方法でシートを成形した。前記基板用グ
リーンシートとアルミナグリーンシートの厚みは共に約
200μmであった。
【0085】前記基板用グリーンシートに導体パターン
およびコンデンサ用誘電体ペーストの印刷を行ったもの
を所定の枚数積み重ね、さらにその最上層および最下層
の両面にアルミナよりなるグリーンシートを重ね合わせ
た。この状態で熱圧着して積層体を形成した。熱圧着条
件は、温度が50℃、圧力は100kg/cm2とした。図1
にこの基板の構成を示す。前記基板材料によるグリーン
シート層1が複数枚積層され、その両面に平面方向の収
縮を抑えるためのシートとしてアルミナよりなるグリー
ンシート層2が形成され、内部電極層3および誘電体層
4が基板内部に形成されている。
【0086】次に前記積層体をアルミナセッターに載せ
焼成した。焼成条件はベルト炉によって空気中、350
℃で脱バインダ後、900℃で10分間焼成を行った。
この時基板の反りを防止し、厚み方向の焼結収縮を助け
るためアルミナ焼結板を載せて加圧するようにして焼成
を行った。
【0087】焼成後のセラミック積層体の両面にはアル
ミナが存在しており、これを除去するために20分間の
超音波洗浄を要した。
【0088】以上のように本発明は、多層セラミック基
板の作製工程において、石英、クリストバライトおよび
トリジマイトの少なくとも1種を含む組成物からなるグ
リーンシート、または焼結助剤を含有する前記組成物か
らなるグリーンシート、またはガラス・セラミック材料
の焼成温度で焼結するトリジマイトと焼成過程において
焼結しない酸化物を含む組成物からなるグリーンシート
を両面に有する多層セラミック基板グリーン積層体の焼
成を行うことにより、焼結による収縮が平面方向で全く
起こらない多層基板が得られる。また前記基板の両面に
設けた平面方向の収縮を防止するためのグリーンシート
層は焼成終了後に容易に取り除くことができる。
【0089】
【発明の効果】以上述べたことから明らかなように、本
発明はガラス・セラミック基板が焼成時において厚み方
向だけ収縮し、平面方向には収縮しない、良好な状態の
多層ガラス・セラミック基板を得ることができる。
【0090】この多層ガラス・セラミック基板の平面方
向の収縮を抑えるために使用した、両面に積層した組成
物は焼成過程において冷却時に相変態が起こり熱収縮挙
動が変態温度で急激に変わるので多層ガラス・セラミッ
クとの間に応力がかかるために容易に取り外しが可能で
あり、作業時間を短縮でき、作業が簡素化される。
【0091】これにより多層基板に使用する基板用無機
材料その他前述の条件に依存せずに常に同一寸法の基板
が得られる。また、同様に多層ガラス・セラミック基板
の作製において前述の如く内層配線の焼成を行っても、
配線パターンを逆算する必要がなく、スクリーン版を何
枚も作りなおすことがないので経済的である。
【0092】以上のように本発明は、グリーンシート積
層法の最大の課題となる、収縮誤差の課題を解決し、そ
の作業工程を容易なものとする有効な発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層ガラス・セラミック基板のグリー
ン積層体の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の多層ガラス・セラミック基板のグリー
ン積層体の他の例を示す概略図である。
【符号の説明】
1、11 ガラス・セラミックグリーンシート層 2、12 平面方向の収縮を抑えるためのグリーンシ
ート層 3、13 内部電極層 4 内部コンデンサ用誘電体層

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に導体、または導体およびコンデン
    サが形成された多層ガラス・セラミック基板の製造方法
    であって、 焼成前の多層ガラス・セラミック基板の両面に、石英、
    クリストバライトおよびトリジマイトの少なくとも一種
    を含む組成物からなり、かつ、焼結助剤を含有するグリ
    ーンシートを搭載して積層体を形成し、前記焼結助剤は、ガラス・セラミック基板の焼結開始温
    度以下で軟化するか、液相を生成する酸化物であり、 これを焼成することを特徴とする多層ガラス・セラミッ
    ク基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記焼結助剤が、珪酸鉛アルミガラス、
    珪酸鉛アルカリガラス、珪酸鉛アルカリ土類ガラス、ホ
    ウ珪酸鉛ガラス、ホウ珪酸アルカリガラス、ホウ酸アル
    ミ鉛ガラス、ホウ酸鉛アルカリガラス、ホウ酸鉛アルカ
    リ土類ガラス、ホウ酸鉛亜鉛ガラスのいずれか一種以上
    である請求項に記載の多層ガラス・セラミック基板の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 内部に導体、または導体およびコンデン
    サが形成された多層ガラス・セラミック基板の製造方法
    であって、 焼成前の多層ガラス・セラミック基板の両面に、石英、
    クリストバライトおよびトリジマイトの少なくとも一種
    を含む組成物からなり、かつ、焼結助剤を含有するグリ
    ーンシートを搭載して積層体を形成し、 前記焼結助剤は、アルカリ金属化合物であり、これを焼成することを特徴とする 多層ガラス・セラミッ
    ク基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 内部に導体、または導体およびコンデン
    サが形成された多層ガラス・セラミック基板の製造方法
    であって、焼成前の前記ガラス・セラミック基板の両面
    に、多層ガラス・セラミック基板の焼成過程において焼
    結するトリジマイトと、多層ガラス・セラミック基板の
    焼成過程において焼結しない酸化物を含む組成物からな
    るグリーンシートを搭載して積層体を形成し、これを焼
    成することを特徴とする多層ガラス・セラミック基板の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記多層ガラス・セラミック基板の焼成
    過程において焼結しない酸化物が石英、溶融石英、アル
    ミナ、ムライト、ジルコニアのいずれか一種以上である
    ことを特徴とする請求項に記載の多層ガラス・セラミ
    ック基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 焼成後に両面の組成物を取り除くことを
    特徴とする請求項1〜の多層ガラス・セラミック基板
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 焼成時に前記グリーンシート積層体を加
    圧して焼成を行うことを特徴とする請求項1〜に記載
    の多層ガラス・セラミック基板の製造方法。
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