<本発明の概要>
本発明は、パレットを用いずに入出庫時間の早い直接ハンドリング方式を用い、更に入出庫装置の位置、方向等のレイアウト設計において自由度の高い方形方式を適用する。以下に、本発明における機械式駐輪場を好適に実施した形態について、図面を用いて説明する。
<システム構成>
図1は、本発明における機械式駐輪場の概略構成の一例を示す図である。また、図2は、図1に示す機械式駐輪場を矢印A方向から見た一例の図である。なお、図1及び図2は、地下積層式の機械式駐輪場を示しているが、本発明においては階層や地上式、地下式等については、特に限定されない。
図1に示す機械式駐輪場10は、入出庫装置11と、搬送装置12と、昇降装置13と、格納装置14とを有するよう構成されている。
入出庫装置11は、二輪車セット部21と、入出庫扉22と、操作部23とを有するよう構成されている。また、搬送装置12は、クランプ部24と、搬送部25と、旋回部26と、ベルト固定部27と、走行部28とを有するよう構成されている。
また、昇降装置13は、リフトマストフレームに沿って搬送装置12が昇降できるようにするため、機械式駐輪場10の下部(一端)に設けた駆動回転体としての駆動歯車29と、上部(他端)に設けた従動回転体としての従動歯車30と、駆動歯車29と従動歯車30との間に巻回した昇降ベルト31と、駆動歯車29を駆動させる駆動部32と、昇降ベルト31の弛みを検出するため、巻回した昇降ベルト31の下部に昇降ベルト31の弛みを検出し、また弛みを防止するための弛み防止部33と、昇降ベルト31の張力のバランスを調整するための重量調整部34とを有している。
ここで、図2に示すように、方形方式を用いた機械式駐輪場の場合は、両側に2つの昇降装置13−1,13−2が設置される。また、駆動部32は、駆動歯車29−1,29−2の両方を駆動させる。
また、格納装置14は、格納する二輪車の車輪を保持する棚受部35と、格納した二輪車が振動等により横転することを防止するための格納時転倒防止板36とを有するよう構成されている。
ここで、入出庫装置11、搬送装置12、昇降装置13、及び格納装置14について、具体的に説明する。
<入出庫装置11>
図3は、本発明における入出庫装置の一構成例を示す二輪車入庫正面図である。また、図4は、入出庫装置の側面図を示す図である。
二輪車セット部21は、二輪車を入庫又は出庫する際に、二輪車をセットするためのものである。ここで、二輪車セット部21の構成例について、図を用いて具体的に説明する。図5は、二輪車セット部の一構成例を示す上面図である。また、図6は、二輪車入庫正面図における二輪車セット部の拡大断面図の一例を示す図である。
図5及び図6に示す二輪車セット部21は、利用者が二輪車を駐輪するために挿入される二輪車の車輪40の走行面(円周面)を受けるための受部材41と、車輪の両側面をガイドするためのガイド部材42−1,42−2とから構成されている。
また、受部材41には、二輪車セット部21に二輪車が正確にセットされているかを判断するために前輪及び後輪のそれぞれを検知するセンサ部43−1、43−2を有している。なお、センサ部43は、物体検知センサであってもよく、また、前輪、後輪のそれぞれから得られる重量を計測するための計測センサであってもよい。これにより、例えば、センサ部43による計測の結果、所定の重量以上であった場合に駐車できない旨のメッセージ等を操作部23に設けられた表示出力手段や音声出力手段等により、文字表示、音声出力等による警告を出力することができる。
ここで、二輪車セット部21は、利用者が二輪車を容易で確実にセットできるようにするため、それぞれのガイド部材42−1,42−2により挿入口が開口するように、所定の角度を有する開口面44−1,44−2を設けている。また、ガイド部材42−1,42−2は、車輪40の側面との接触時に車輪40に傷が付かないように緩衝部材を設けてもよい。また、受部材41は、二輪車を二輪車セット部21にスムーズにセットしやすくするため、受部材41の所定の位置に傾斜面45を設けてもよい。
次に、入出庫扉22は、左右にスライドすることで開閉するものであり、二輪車の前輪を一時的に二輪車セット部21にセットした状態で利用者の保持がなくても二輪車を起立させておくためのガイド手段を設けている。
具体的には、ガイド手段として図3及び図4に示すように、入出庫扉22に溝部51を設けている。また、入出庫扉22には、ある一定の位置で、二輪車の挿入を停止させるための車輪受部52と、車輪の側面を安定させて確実にガイドするための傾斜ガイド部53とを有している。
ここで、二輪車セット部21及び入出庫扉22にセットされた二輪車の例について図を用いて説明する。図7は、二輪車セット部及び入出庫扉にセットされた二輪車の一例を示す図である。
図7に示すように、二輪車54のセット時には、前輪55及び後輪56は、受部材41上に載置されており、更に前輪55は入出庫扉22の溝部51に挿入され、車輪受部52に当接した位置で停止しており、前輪55の両側面は、入出庫扉22の傾斜ガイド部53によりガイドされている。なお、前輪55と入出庫扉22との接触部分には、前輪55に傷が付くことがないように緩衝部材が設けられていてもよい。
また、車輪受部52には、溝部51に前輪55が確実に挿入されているかを判断するために物体検知センサを有していてもよい。また、確実に前輪55がセットされているか否かを確認するために入出庫扉22の横等に所定の高さで車輪検出センサを設けてもよく、また、二輪車を駐輪場内部に引き込む際に、二輪車の車幅を検出するための車幅検出センサを入出庫扉22の裏側等に設けてもよい。
この場合、前輪55が車輪受部52に当接していない等のように車輪が正確に挿入されていない場合、操作部23に設けられた表示出力手段や音声出力手段によりエラーメッセージ等を表示させることができる。
また、本発明における入出庫扉22の構成により、入出庫扉22の裏側に開口部57が設けられ、前輪55の一部が出た状態で保持される。このため、搬送装置12のクランプ部24により、入出庫扉22が閉じたままの状態で前輪55をクランプさせることができる。
このような構成にすることで、入出庫扉22により二輪車を起立させた状態で安定して保持させることができる。このため、機械式駐輪場等における搬送装置が他の二輪車を搬送している間等に利用者が二輪車54を保持しておく必要がなく、更に利用者は入出庫扉22にセットした後は二輪車54を保持しておく必要がなくなるため、二輪車54のカゴや荷台に積まれている荷物を取り除いたり、子供を降ろす等の作業を行うことができる。
なお、上述では、二輪車54の前輪55を溝部51に挿入しているが、本発明においてはこの限りではなく、後輪56を挿入してもよい。
ここで、上述した溝部51は、車輪を挿入しない場合には、蓋部材のようなものを取り付けておいてもよく、また、車輪により押入されることで、溝部51が開口するような開閉板(部材)を設けてもよい。更に、上述した入出庫扉22は、左右にスライドすることで開閉する機構としたが、本発明においてはこの限りではなく、左右の扉が回動することで開閉する機構としてもよく、また、入出庫扉22が上下に移動することで、開閉を行う機構としてもよい。
次に、操作部23は、図3に示すように利用者を限定する場合等に用いられるICカード等を挿入するためのカードリーダ58や、管理者又は利用者が入出庫の操作を行うための画面表示やタッチパネル機能を備えた操作パネル59を有している。なお、カードリーダ58は、カードを挿入するものでもよく、また、非接触によりカード内の情報を取得し、また書き替えを行える機能を備えたものでもよい。
また、操作部23は、駐輪場の利用の可否又は所定の警告等を操作パネル59に表示することもできる。また、操作部23には入庫手続等の操作内容や、駐輪場の利用の可否、所定の警告や警報等を音声で出力するためのスピーカ等を設けていてもよい。したがって、本実施形態における操作部23は、操作手段と、表示出力手段とを有しているが、別構成にしてもよい。
これにより、二輪車の入出庫時における駐輪動作を迅速に行うことができ、入出庫手続きの遅延による入出庫装置付近での混雑や渋滞の発生を防止することができる。
なお、入出庫装置11には、更に、二輪車の進入方向を限定するための防護柵を設けたり、事前に車両の判定を行う車長検出センサや車幅検出センサを設けてもよい。
<搬送装置12>
次に、搬送装置12について、具体的に説明する。図8は、搬送装置により二輪車を入庫する様子を示す一例の図である。また、図9は、搬送装置の一構成例を示す上面図である。
クランプ部24は、図8に示すように二輪車54の前輪55を把持するため、アーム61の先に把持部材62を有し、更にアーム61を可動させるためのクランプモータ63を有するように構成されている。つまり、クランプモータ63により、アーム61の先に設けられた左右対称の把持部材62を開閉させる。
ここで、具体的にクランプ部24の搬送装置12上の移動については、搬送部25によりベルト部材64を移動させることで、ベルト部材64に固定されているクランプ部24を移動させることができる。これにより、クランプ部24のアーム61を入出庫扉22の裏側に設けた開口部57まで移動させ、把持部材62により溝部51に挿入された二輪車54の前輪55を把持する。その後、入出庫扉を開き搬送部25によりベルト部材64を逆方向に移動させることで、二輪車54の車輪を搬送装置12に設けた一対のガイドレール65−1,65−2内に挿入することで、二輪車54を起立状態で保持することができる。
また、搬送装置12は、旋回部26により旋回軸66を中心に図9に示す矢印a又はb方向に旋回することができる。また、搬送装置12は、走行部28により図9に示す走行フレーム67上を矢印c又はd方向に走行することができる。なお、走行フレーム67は、図2に示すように、補強フレーム68,69を有していてもよい。また、走行フレーム67及び補強フレーム68,69は、ベルト固定部27と結合している。
これにより、昇降装置13により、昇降ベルト31を昇降させることで、昇降ベルトに固定されたベルト固定部27が昇降し、更にベルト固定部27により走行フレーム67及び走行フレーム67を走行する搬送装置12を昇降させることができる。
なお、搬送部25としては、例えば搬送サーボモータ等の駆動手段を用いることができ、また旋回部26としては、例えば旋回サーボモータ等の駆動手段を用いることができ、更に走行部28としては、例えば走行サーボモータ等の駆動手段を用いることができる。
なお、二輪車54は、上述したクランプ部24やガイドレール65により起立状態で保持されているが、例えば搬送装置12に二輪車54のハンドル部から所定の間隔を空けてハンドル部を支持するための搬送時転倒防止板を設けてもよい。これにより、上述した図9に示すように、搬送装置12が矢印a,b,c,及びdの水平方向に移動する際、移動に伴う加減速や停止に起因して二輪車が横倒れるのをより確実に防止することができる。
ここで、上述の搬送時転倒防止板について図を用いて説明する。図10は、搬送時転倒防止板を設けた搬送装置の一構成例を示す側面図である。また、図11は、搬送時転倒防止板を設けた搬送装置の一構成例を示す上面図である。図10に示すように、二輪車のハンドル部の位置に搬送時転倒防止板70を設ける。また、搬送時転倒防止板70は、図11に示すように一対のガイドレール65−1,65−2等により起立状態で保持される二輪車54の左右のハンドル部からそれぞれ所定の間隔を空けて取り付けられている(搬送時転倒防止板70−1,70−2)。これにより、搬送装置の水平方向の移動に伴う加減速や停止に起因して、搬送装置上の二輪車が横倒れするのを防止することができる。
なお、上述の搬送時転倒防止板70は、二輪車の転倒時の衝撃を吸収する必要があり、また搬送装置12は移動するため、軽量で空気抵抗が少ないものであることが好ましい。そこで、例えばメッシュ状や細かい穴の開いたフェンス板等を用いることで搬送時の搬送装置12の負荷を軽減し、更にハンドル部が搬送時転倒防止板70に接触した際にも傷が付かないようにすることができる。また、搬送時転倒防止板70は、ハンドル部を支持するものであればよいため、二輪車54の側面全体を覆う必要がなく、図10に示すように、搬送装置12に支柱を設置し、二輪車のサイズやタイプの異なる二輪車のハンドル位置に対応できるような所定範囲に搬送時転倒防止板70を取り付ければよい。
次に、機械式駐輪場の各階における搬送装置12の動作内容について図を用いて説明する。図12は、機械式駐輪場の各階における搬送装置の動作内容について説明するための一例の図である。
図12に示す機械式駐輪場10は、搬送装置12における走行方向に沿って格納装置14が複数並設されている。なお、本発明において、格納装置14の設置数や設置位置はこの限りではなく、例えば四方に格納装置14を設けてもよい。
搬送装置12は、図9に示すように旋回部26により旋回軸66を中心にして図12に示す矢印a,b方向に360度旋回することができ、また、走行部28により走行フレーム67上を走行路として図12に示す矢印c,d方向に移動することができる。
このように、走行部28及び旋回部26とを設けることにより、昇降装置13による搬送装置12の昇降中に走行及び旋回を行うことができる。つまり、昇降、旋回、走行を同時に行うことで、入出庫装置と所定の格納位置との間を迅速に移動することができる。これにより二輪車の搬送を迅速に行うことができる。
なお、入出庫装置11は、図12に示すように搬送装置12が走行フレーム67により平面上を移動することができるため、走行フレーム67の走行路上に少なくとも1つ設けることができる。また、搬送装置12は、旋回部26により走行フレーム67上で旋回軸66を中心として旋回することができるため、走行フレーム67の走行方向に対して所定の角度を設けた位置に入出庫装置を設置することができる。
これにより、入出庫装置の位置、方向等のレイアウト設計の自由度を向上させることができる。また、所定の角度を設けて設置することができるため、地上の設置スペースに応じて入出庫装置11を設置することができる。ここで、入出庫装置のレイアウトについて図を用いて説明する。
図13は、本発明における入出庫装置のレイアウト例について説明するための一例の図である。図13に示すように、入出庫装置11は、機械式駐輪場10における走行フレーム67上に旋回部66と有することで、図13(a)に示すように、入出庫装置11を走行フレーム67の走行方向と搬送装置12における二輪車の進退方向とが一致するように設置したり、図13(b)に示すように、走行方向に対して進退方向を垂直にして入出庫装置11を設置したりすることができる。
また、図13(c)に示すように、2つの入出庫装置を設けてもよく、また、図13(d)に示すように走行フレーム67の走行方向に対して所定の角度α1又はα2を設けて設置することもできる。このように、上述した機械式駐輪場により、走行フレームの走行路上に面する自由な角度でレイアウト可能となり、機械式駐輪場の設置場所や利用頻度等に応じたレイアウト設計が可能となる。
また、図13(c)及び図13(d)に示すように、複数の入出庫装置を設けることにより、1入出庫装置あたりの使用時間を短縮することができ、見かけ上の利用者の介在時間を短縮して入出庫時間を短縮させることができ、各機械装置における処理能力を発揮することができる。
また、所定の角度を設けて設置することができるため、地上の設置スペースに応じて入出庫装置を設置することができる。また、本発明においては、パレットを用いずに入出庫時間の早い直接ハンドリング方式を用いることにより、入出庫時間を短縮することができる。
なお、本発明における入出庫装置は複数の入出庫装置を設けた場合に、1つを入庫用、他方を出庫用としてもよい。また、入出庫装置を3個以上設けてもよく、また、入出庫装置の数に応じて搬送装置を複数設けてもよい。
<昇降装置13>
次に、昇降装置13について、具体的に説明する。図14は、昇降装置の昇降ベルト部分について説明するための一例の図である。また、図14に示すように、昇降ベルト31は、駆動歯車29と、従動歯車30との間の経路の一方に上述した搬送装置12を昇降させるためのベルト固定部27が接続されている。また、他方のベルト経路には、両経路のベルトの張力を調整するための重量調整部34が取り付けられている。重量調整部34を取り付けることにより、駆動歯車29、従動歯車30における左右の負荷のバランスが図れるため、駆動歯車29、従動歯車30が損傷することなく、また、歯飛びが起きる可能性を低減することができる。
また、駆動歯車29、及び従動歯車30のそれぞれに所定の間隔で凹凸部71,72を設けており、巻回した昇降ベルト31の内側にも、凹凸部71,72に噛み合うようにベルト凹凸部73を有しているため、駆動歯車30の駆動部32における駆動力を昇降ベルト31に高精度に伝達することができる。
なお、昇降ベルト31は、凹凸部71,72に対応させた溝や開口部を設けてもよい。また、昇降装置13は、センサ又はカメラ等により昇降ベルト31の傷や切れ目等を検出するためのベルト切れ検出部74を有していてもよい。
また、本実施形態では、駆動歯輪29を昇降させる駆動部32は、機械式駐輪場10内の下部に設けているが、本発明においてはこの限りではなく、駆動部32及び駆動歯車29を上部に設け、従動歯車30を下部に設けてもよい。また、弛み防止部33は、昇降ベルト31の下部に設ける。
なお、昇降ベルト31に弛みが生じると下部に設置された駆動歯車29との噛み合わせが正確に行われず、歯飛び等の原因にもなる。そこで、本発明では、弛み防止部33を昇降ベルト31が弛んだ際にも昇降ベルト31を外側から支持し、駆動歯車と昇降ベルト31とが歯飛びせずに回転することができるような所定の間隔で設置する。つまり、弛み防止部33により、昇降ベルト31の弛みを防止することができる。
また、弛み防止部33に設けられたローラーと昇降ベルト31とが接触することにより生じるローラーの回転数から昇降ベルト31の弛みを検出し、その検出結果から迅速な処理を行うことで昇降ベルト31の弛みによる昇降の停止や事故を未然に防止することができる。これにより、機械式駐輪場の安全性を向上させることができる。
なお、昇降ベルト31の材質は、ウレタンベルト等を用いることができるが、本発明においては特に限定されない。また、昇降ベルト31は、ベルトに限らずチェーンやワイヤー等を用いることもできる。
ここで、弛み防止部33の設置位置と動作について図を用いて説明する。図15は、弛み防止部の設置例を示す一例の図である。まず、図15(a)に示すように、通常、昇降ベルトが弛んでなく正常に昇降動作が行われている場合には、弛み防止部33のローラー75が接触することがない。
しかしながら、図5(b)に示すように昇降ベルト31が使用による伸び等の影響等で弛みが生じた場合、弛み防止部33のローラー75と接触し、ローラー75により昇降ベルト31を支持するため、昇降ベルト31と駆動歯車29とが歯飛びすることがなく安全性を向上させて高精度に搬送装置12を昇降させることができる。
なお、昇降ベルト31は、内側だけでなく外側にも凹凸部等を設け、また弛み防止部33のローラー75にもローラー表面に昇降ベルト31の凹凸等に対応する凹凸部を設けてもよい。
ここで、弛み防止部33は、所定時間における回転数を検出するロータリーエンコーダを有する。これにより、所定時間における回転数を検出することで、振動等による突発的なローラーの回転数からベルトの弛みを検出せずに、ベルトの弛みを高精度に検出することができる。また、弛み防止部33は、パルスエンコーダを有し、パルスエンコーダにより得られる回転数が予め設定される閾値以上の場合に通知を行う通知手段を有する。これにより、振動等による突発的なローラーの回転のみでなく、ベルトの弛みを高精度に判定することができる。
ここで、上述の内容について図を用いて説明する。図16は、本発明における弛み防止部の一構成例を示す図である。なお、図16(a)は、弛み防止部の側面図を示し、図16(b)は、弛み防止部の正面図を示す。
図16に示すように、弛み防止部33は、ローラー75と、ロータリーエンコーダ76と、ローラー75及びロータリーエンコーダ76とを連結するカップリング77とを有するよう構成されている。
ローラー75は、上述したように、昇降ベルト31の弛みが生じた場合に、昇降ベルト31と駆動歯車29との歯飛びを防止する機能を有している。なお、ローラー75の材質については、本発明においては、特に限定されないが、例えば、機械的強度や高静粛性、耐磨耗性等からMCナイロン等の材質を用いることができる。また、ローラーの数は、1つに限定されず、複数設けてもよい。また、弛み防止部33も上述した実施形態では、2個設置されているが、少なくとも1つ設置されていればよく、本発明において個数は限定されない。
また、上述したように、弛み防止部33は、昇降ベルト31から所定の間隔を空けて設置されている。ここで、昇降ベルト31が伸び撓み等により弛みが生じると、昇降ベルト31がローラー75に接触して、ローラー75が回転し、その回転をカップリング77を介してロータリーエンコータ76が検出する。
なお、地震等の振動等により昇降ベルト31が突発的にローラー75と接触して回転してしまう場合もあるため、所定の時間(数秒程度)継続して回転を検出した場合には、昇降ベルト31が弛んでいるものとして管理者やサービスセンタ等に通知する通知手段を設けてもよい。また、上述した操作部23にある操作パネルやスピーカ等から画面表示や音声出力等により利用者等に通知してもよい。
なお、ロータリーエンコーダ76には、所定の回転角度毎にパルスを出力するパルスエンコーダが組み込まれており、これにより、昇降ベルト31が弛んでローラー75と接触することで生じるローラー75の回転数を高精度に検出することができる。
上述した昇降装置13の構成により、機械式駐輪場10における搬送装置12の昇降に使用されるベルト等の弛みを迅速に検出することで安全性を向上させることができる。
<格納装置14>
次に、格納装置14について、具体的に説明する。図17は、本発明における格納装置の棚受部の一構成例について説明するための図である。なお、図17(a)は、棚受部35の上面図を示し、図17(b)は、棚受部35の側面図を示している。
図17に示す棚受部35は、略コの字型に形成されたフレーム固定部81と、フレーム固定部81上に挟持部としての少なくとも一対のガイドフレーム82−1、82−2を有している。また、フレーム固定部81の側面に設けられたフレーム固定部側設置部83と、ガイドフレーム82の側面に設けられたガイドフレーム側設置部84とによりつるまきバネや板バネ等に代表される弾性体85が固定されている。
ここで、棚受部35は、二輪車を格納する格納装置14の所定の駐輪スペース上に設けられており、ガイドフレーム82−1,82−2は、それぞれが外側に移動することができる。また、一対のガイドフレーム82に二輪車の車輪等が挿入された場合には、車輪の側面を左右のガイドフレーム82−1,82−2により車輪を支持し、弾性体85により挟持することにより、二輪車の格納時の安定性を向上させることができる。
また、ガイドフレーム82は、図17(b)に示すように、所定の高さを有している。これにより、一対のガイドフレーム82−1,82−2が車輪をより確実にガイドし、安定性(保持力)を向上させることができる。なお、本発明では、ガイドフレーム82により前輪と後輪の両輪が保持される。
なお、本発明において弾性体85と弾性体85を設置するためのフレーム固定部側設置部83及びガイドフレーム側設置部84とにおける位置や個数については、図17に示す限りではない。また、図17では、左右どちらのガイドフレーム82−1,82−2も移動が可能としているが、本発明においてはこの限りではなく、どちらか一方のガイドフレームのみを可動式にしてもよい。また、ガイドフレーム82−1,82−2は、前輪用と後輪用とで別々のガイドフレームを設けてもよい。その場合は、二対のガイドフレームとなる。つまり、本発明においては、上述のガイドフレームを一対以上設ける。
また、ガイドフレーム長については、格納を想定する所定のインチサイズや車輪幅等に基づいて調整される。なお、ガイドフレームの長さ及び高さは、格納した二輪車の取り出し時に余計な負荷がかかることがないよう調整して設定される。
また、図17に示すように、二輪車を格納する際に二輪車の車輪がガイドフレーム82−1,82−2の間へ容易に挿入できるように、ガイドフレーム82−1,82−2の二輪車挿入側端部に、それぞれのガイドフレーム82−1,82−2により端部が開口するよう開口用傾斜部86−1,86−2を有する。これにより、搬送装置12により二輪車をガイドフレーム82に払い出す際に、二輪車がガイドフレーム82上に乗り上げてしまうことがなく、迅速で確実にガイドフレーム82に車輪を挿入させることができる。なお、開口用傾斜部86による開口部分は、一対のガイドフレーム82の間に車輪が挿入しやすいように、例えばV字型、Y字型、又はU字型の開口になるよう傾斜部を形成する。なお、図17ではV字型としている。
次に、車輪挿入時における棚受部35の動作例について、図を用いて説明する。図18は、棚受部の車輪挿入時の動作について説明するための一例の図である。まず、図18(a)において、棚受部35は、前輪又は後輪の一方の車輪が最初に開口された開口用傾斜部86−1,86−2から挿入されると、開口用傾斜部86−1,86−2の側面と車輪87とが当接し、更に車輪をガイドフレーム82−1,82−2の内部に押し込むことにより、弾性体85−1,85−3により支持されているガイドフレーム82−1と、弾性体85−2,85−4に支持されているガイドフレーム82−2とが車輪幅の間隔になるまで移動する。更に、二輪車を挿入することにより、図18(b)に示すように前後輪の車輪87−1,87−2をガイドフレーム82−1,82−2にて挟持することができる。
ここで、弾性体85は、ガイドフレーム82−1,82−2を、それぞれ図18(a)の位置に戻すように弾性力が働いており、更に、前後輪の車輪87−1,87−2は共にガイドフレーム82にて挟持されているため、二輪車の格納時の安定性を向上させることができる。
また、本発明では格納時に地震や振動等により、二輪車が転倒してガイドフレーム82から車輪87が脱輪することを防止するため、格納装置14は、二輪車のハンドル部から所定の間隔を設けて格納時転倒防止板36を設置する。これにより、地震等が起きた場合でもハンドル部をサポートすることにより、格納された二輪車の車輪がガイドフレーム82から脱輪することを防止することができる。
なお、上述の格納時転倒防止板36は、転倒時の衝撃を吸収するようにクッションやスポンジゴムのように弾力性のある緩衝材やメッシュ状のフェンス板等を用いることで、ハンドル部が格納時転倒防止板36に接触した際にも傷が付かないようにすることができる。また、格納時転倒防止板36は、ハンドル部を支持するものであればよいため、格納装置14の側面全体を覆う必要がなく、二輪車のサイズやタイプの異なる二輪車のハンドル位置に対応できるような所定範囲に設置すればよい。
ここで、格納時転倒防止板36の設置例について図19、図20を用いて説明する。図19は、格納装置に格納された二輪車の側面図の一例を示す図であり、図20は、格納装置に格納された二輪車の正面図の一例を示す図である。
図19及び図20に示すように格納時転倒防止板36は、駐輪場に設けられる駐輪フレーム枠91に所定の面積(範囲)を有するよう設置されている。なお、格納時転倒防止板36は、天井から吊り下げてもよく、またフェンスのように地面に設置してもよい。更に、格納する二輪車の間に壁が設けてある場合には、壁に設置してもよい。
また、二輪車100は、前輪101と、後輪102とが上述したガイドフレーム82により挟持されている。また、ガイドフレーム82により挟持されている二輪車100は、地震等によりどちらに転倒するかわからないため、図20に示すように二輪車100に対しては左右に格納時転倒防止板36−1,31−2を設ける。更に、図20に示すように二輪車100を並列して駐輪する場合には、駐輪フレーム枠91の両側面に格納時転倒防止板36を設ける。
また、図20に示すように、左右のハンドル部103−1,103−2と、格納時転倒防止板36−1,36−2とは、所定の間隔を設ける。これにより、格納装置14に二輪車100を出し入れする際の接触等を防止し、迅速に格納処理を行うことができる。また、図20では、二輪車100がガイドフレーム82のどの位置まで挿入されても、左右のハンドル部103−1,103−2と、格納時転倒防止板36−1,31−2との距離が等間隔となるように、格納時転倒防止板36をガイドフレーム82の長さ方向に対して平行に設置されている。しかしながら、本発明においてはこの限りではなく、例えば、ガイドフレーム82の長さ方向に対して所定の角度を有してテーパ状に設置させてもよい。
上述した格納装置14を有することにより、地震等による二輪車の横転を防止することができ、安全性を向上することができる。また、進退方向へのずれも防止することができる。更に、前輪、後輪を押さえることによりハンドル支持時にハンドルが回転するのを防止することができる。
また、格納時に二輪車が大きく傾くことがないため、搬送装置12に設けられたクランプ部によるクランプ処理を容易で確実に行うことができ、機械式駐輪場の安全性を向上させることができる。なお、上述した格納装置14は、二輪車を前後どちら向きに格納してもよい。
ここで、上述した図面を用いて本発明における機械式駐輪場における入出庫時の動作について説明する。
<入庫時>
まず、図1に示すように利用者110は、図13に示すレイアウトにより所定の方向に少なくとも1つ設けられている入出庫装置11に二輪車111を進入させ、二輪車111を二輪車セット部21及び入出庫扉22の溝51にセットする。次に、利用者110又は機械式駐輪場10を管理する管理者等により操作部23から二輪車111の入庫手続を行う。これにより、機械式駐輪場10は、入庫処理として入出庫扉22の裏面にある開口部57から搬送装置12のクランプ部24による直接ハンドリング方式により二輪車111の前輪をクランプして、二輪車111を搬送装置12に移載する。
次に、二輪車111が載置された搬送装置12は、昇降装置13により格納装置14の所定の格納位置がある階まで下降を行う。なお、昇降装置13は、駆動部32により駆動歯車29を所定の速度で回転させ、駆動歯車29と、従動歯車30とに巻回した昇降ベルト31を一定の方向に移動させる。これにより、昇降ベルト31に固定されたベルト固定部27が昇降して搬送装置12を所定の位置に移動させることができる。
また、搬送装置12は、昇降装置13により所定の格納位置に移動された後、クランプ部24により二輪車111をそれぞれの格納装置14に設けられる棚受部35に後輪から払い出す。また、搬送装置12は、格納装置14に二輪車111を格納した後、クランプ部24を開いて二輪車111の前輪を放す。その後、昇降装置13により搬送装置12を入出庫装置11の位置まで上昇する。
なお、入庫時の昇降装置13による搬送装置12の昇降時において、旋回部26による旋回と、走行部28による走行を同時に行う。つまり、昇降、旋回、走行を同時に行うことで、所定の格納位置と入出庫装置との間における搬送を迅速に行うことができる。
<出庫時>
次に、出庫時における動作について説明する。出庫時には、上述した動作と略逆の手順で操作を行う。つまり、利用者110等が操作部23から出庫の指示を行うと、昇降装置13は搬送装置12を所定の格納装置14の位置まで下降させる。また、搬送装置12がクランプ部24による直接ハンドリング方式により所定の格納位置から二輪車111の前輪をクランプして取り出した後、昇降装置13により入出庫装置11の位置まで上昇する。その後、入出庫扉22を開いて、クランプ部24により二輪車111を二輪車セット部22にセットさせ、更に入出庫扉22を閉じることで溝51に二輪車111の前輪をガイドさせることで、二輪車111を起立させた状態で利用者110に提供される。
なお、出庫時の昇降装置13による搬送装置12の昇降時においても、旋回部26による旋回と、走行部28による走行を同時に行う。つまり、昇降、旋回、走行を同時に行うことで、所定の格納位置と入出庫装置との間における搬送を迅速に行うことができる。
上述したように本発明によれば、迅速な入出庫を実現し、更に安全性を向上させた機械式駐輪場を提供することができる。具体的には、パレットを用いずに入出庫時間の早い直接ハンドリング方式を用いることで、迅速な入出庫動作が可能になる。
また、本発明における搬送装置は、走行フレームにより平面上に移動することができるため、搬送装置を走行させる走行経路上に入出庫装置を少なくとも1つ設けることができる。また、搬送装置は、旋回部により旋回することができるため、走行方向に対して所定の角度を設けた位置に入出庫装置を設置することができ、入出庫装置の位置、方向等のレイアウト設計の自由度を向上させることができる。また、搬送装置は、搬送時転倒防止板を設けることにより、搬送装置の水平方向の移動に伴う加減速や停止に起因して、搬送装置上の二輪車が横倒れするのを防止することができる。
また、入出庫装置の入出庫扉を用いて二輪車の前輪をガイドすることにより、二輪車を起立させた状態で安定して保持することができる。また、昇降装置に昇降ベルトの弛みの検出及び防止を行う弛み防止部を有することにより、昇降ベルトの弛みを迅速に検出することができ、昇降ベルトの弛みによる昇降の停止や事故を未然に防止することができる。また、格納装置に本発明における棚受部及び格納時転倒防止板を設けることにより、二輪車の格納装置からの落下を防止し、搬送装置に設けられたクランプ部によるハンドリングを容易で確実に行うことができ、機械式駐輪場の安全性を向上させることができる。以上のことから機械式駐輪場の安全性を向上させることができる。
なお、上述した本発明における入出庫装置、搬送装置、昇降装置、格納装置は、それぞれ単独で適用することで、駅前等にある自走式の平面式駐輪場や階層式、地下式駐輪場等に用いることができる、また機械式のメリーゴーランド型の駐輪場や昇降積層方式、エレベータースライド方式の駐輪場等にも適用することができる。この場合には、駐輪場の形式構造は、駐車台数や敷地、管理、運営方法等に基づいて選定される。
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。