JP2006182844A - ポリイミド湿潤ゲル及びその製造方法 - Google Patents

ポリイミド湿潤ゲル及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリイミドの湿潤ゲルを効率的に製造する方法を提供する。
【解決手段】無水テトラカルボン酸とジアミン化合物からポリイミド湿潤ゲルを製造する方法であって、(1)a)無水テトラカルボン酸、ジアミン化合物A、ジアミン化合物B及び溶媒を含む混合液からポリアミド酸を含むワニスを調製する第1工程及びb)前記ポリアミド酸をイミド化することにより前記ワニスからポリイミド湿潤ゲルを調製する第2工程を含み、(2)前記溶媒は、a)前記ジアミン化合物A及びBに対して可溶性であり、b)前記無水テトラカルボン酸とジアミン化合物Aとの共重合体に対して可溶性であり、かつ、c)前記無水テトラカルボン酸とジアミン化合物Bとの共重合体に対して不溶性である、ことを特徴とするポリイミド湿潤ゲルの製造方法に係る。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミド湿潤ゲル及びその製造方法に関する。
高分子ゲルは、食品、日用品、産業資材、医薬品等に利用できるほか、ソフトマテリアルを代表する材料の一つとして注目されている。一般に、高分子ゲルは「三次元ネットワークの溶媒膨潤体」と定義することができる。ゲルは分子がところどころに架橋して三次元ネットワークを形成している。そして、この高分子ゲルにおける架橋は、化学架橋と物理架橋に大別できる。
従来より、種々の高分子ゲルが開発されている。例えば、1)可溶性のオリゴイミド(ポリイミドの分子量が低いもの)を3官能のアミンによって化学架橋することにより得られるゲル、2)ポリアミド酸とポリイミドの共重合体又はその混合物のゲル、3)ポリアミド酸ワニスに脱水剤と触媒を加えることにより得られるゲル等が知られている。
しかしながら、前記1)では、合成に長時間を要するたけでなく、得られるゲルの加工性が低い。前記2)では、ポリアミド酸が加水分解しやすく、ゲルとして不安定である。前記3)では、イソイミド、無水酢酸等を添加するため、ゲル中に所望の高分子以外の成分が混入されることになる。
特開2003−128786 特開平9−227697 丹紀子、古川英光、堀江一之、岡部哲士、柴山充弘、高分子学会53回年次大会2Pd010 東京農工大 「末端架橋ポリイミドゲル[VII]中性子散乱による網目構造の研究」(平成16年5月) 川岸健、丹紀子、古川英光、堀江一之、斎藤 拓、高分子学会53回年次大会 3Pa123 東京農工大 「ポリイミドゲルを用いた低誘電率モレキュラーフォームの研究」(平成16年5月)
前記のように、従来技術では、特にポリイミド系ゲルを作製するにあたり、その製造工程の問題又はゲルの物性の問題が存在しており、これら点において改善すべき余地がある。
従って、本発明は、特にポリイミドゲルを効率良く製造することを主な目的とする。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定のモノマー成分の組み合わせをポリイミド中に導入することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記のポリイミド湿潤ゲル及びその製造方法に係る。
1. 無水テトラカルボン酸とジアミン化合物からポリイミド湿潤ゲルを製造する方法であって、
(1)a)無水テトラカルボン酸、ジアミン化合物A、ジアミン化合物B及び溶媒を含む混合液からポリアミド酸を含むワニスを調製する第1工程及びb)前記ポリアミド酸をイミド化することにより前記ワニスからポリイミド湿潤ゲルを調製する第2工程を含み、
(2)前記溶媒は、a)前記ジアミン化合物A及びBに対して可溶性であり、b)前記無水テトラカルボン酸とジアミン化合物Aとの共重合体に対して可溶性であり、かつ、c)前記無水テトラカルボン酸とジアミン化合物Bとの共重合体に対して不溶性である、
ことを特徴とするポリイミド湿潤ゲルの製造方法。
2. 前記混合液は、ジアミン化合物A及びジアミン化合物Bが前記溶媒に溶解した溶液に無水テトラカルボン酸を添加して得られるものである、前記項1に記載の製造方法。
3. 前記イミド化が、前記ワニスを加熱することにより実施される、前記項1に記載の製造方法。
4. 加熱温度が130℃以上である、前記項3に記載の製造方法。
5. 前記ジアミン化合物Aと前記ジアミン化合物Bとの割合が、モル比で4:6〜9:1である、前記項1に記載の製造方法。
6. 前記項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られるポリイミド湿潤ゲル。
7. ポリイミドの含有率が3〜50重量%である、前記項6に記載のポリイミド湿潤ゲル。
本発明によれば、ポリイミドの湿潤ゲルを効率良くかつ確実に製造することができる。
これにより得られる本発明のポリイミド湿潤ゲルは、ポリイミド多孔体、ポリイミド微粒子(粉体)等の種々の形態に加工することができるので、これらの原材料として好適に用いることができる。また、溶媒として非プロトン性極性溶媒を用いる場合は、一般的な水系のゲルに比して、高温及び低温状態での安定性により優れた湿潤ゲルを得ることができる。
1.ポリイミド湿潤ゲルの製造方法
本発明のポリイミド湿潤ゲルの製造方法は、無水テトラカルボン酸とジアミン化合物からポリイミド湿潤ゲルを製造する方法であって、
(1)a)無水テトラカルボン酸、ジアミン化合物A、ジアミン化合物B及び溶媒を含む混合液からポリアミド酸を含むワニスを調製する第1工程及びb)前記ポリアミド酸をイミド化することにより前記ワニスからポリイミド湿潤ゲルを調製する第2工程を含み、
(2)前記溶媒は、a)前記ジアミン化合物A及びBに対して可溶性であり、b)前記無水テトラカルボン酸とジアミン化合物Aとの共重合体に対して可溶性であり、かつ、c)前記無水テトラカルボン酸とジアミン化合物Bとの共重合体に対して不溶性である、
ことを特徴とする。
第1工程
第1工程では、無水テトラカルボン酸、ジアミン化合物A、ジアミン化合物B及び溶媒を含む混合液からポリアミド酸を含むワニスを調製する。
無水テトラカルボン酸は、特に制限されず、従来のポリイミド合成で用いられているものと同様のものも使用できる。例えば、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、1,3−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',6,6'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、アントラセン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸無水物;ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸無水物;シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物等の脂環族テトラカルボン酸無水物;チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物等の複素環族テトラカルボン酸無水物等を使用することができる。これらは、1種又は2種以上を用いることができる。
ジアミン化合物A及びジアミン化合物Bは、特に制限されず、例えば従来のポリイミド合成で用いられているジアミン化合物と同様のものも使用できる。例えば、ビス-{4-(3-アミノフェノキシ)フェニル}スルフォン(BAPS-M)、9, 9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、α,ω−ビス(4−アミノフタルイミド)アルカン(アルカンの炭素数2〜20)、4,4'−ジアミノジフェニルメタン(DDM)、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(DPE)、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、1,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、1,3'−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3'−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4'−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、2,6'−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、1,2−ジアミノアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノビベンジル、R(+)−2,2'−ジアミノ−1,1'−ビナフタレン、S(+)−2,2'−ジアミノ−1,1'−ビナフタレン等の芳香族ジアミン;1,2−ジアミノメタン、1,4−ジアミノブタン、テトラメチレンジアミン、1,10−ジアミノドデカン、イソホロンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、4,4'−ジアミノジシクロヘキシルメタン等の脂環族ジアミンのほか、3,4−ジアミノピリジン、1,4−ジアミノ−2−ブタノン等を使用することができる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
この場合、ジアミン化合物Aとジアミン化合物Bとの使用割合は、目的とする湿潤ゲルの組成、性状等に応じて適宜設定することができるが、一般的にはジアミン化合物Aとジアミン化合物Bとの割合をモル比で4:6〜9:1、特に5:5〜7:3とすることが望ましい。
溶媒は、本発明では、有機溶媒の中から後記の条件を満たすものを選択する。有機溶媒としては、ポリアミド酸を溶解する溶媒であれば限定されない。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の非プロトン極性溶媒)のほか、クレゾール類を使用することができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
特に、本発明では、これらの有機溶媒のうち、a)前記ジアミン化合物A及びBに対して可溶性であり、b)前記無水テトラカルボン酸とジアミン化合物Aとの共重合体に対して可溶性であり、かつ、c)前記無水テトラカルボン酸とジアミン化合物Bとの共重合体に対して不溶性であるものを用いる。ここに、前記b)及びc)の共重合体とは、ジアミン化合物A又はBのアミノ基と無水テトラカルボン酸の無水カルボキシル基との比が1:1の共重合体をいう。
従って、有機溶媒は、特に用いるジアミン化合物の種類に応じて選択する。例えば、1)1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)とビス-{4-(3-アミノフェノキシ)フェニル}スルフォン(BAPS-M)を用いる場合、2)4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(DPE)とビス-{4-(3-アミノフェノキシ)フェニル}スルフォン(BAPS-M)を用いる場合、3)1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)と9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)を用いる場合等は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等を用いることができる。
無水テトラカルボン酸、ジアミン化合物A、ジアミン化合物B及び溶媒を含む混合液において、各成分の濃度は適宜設定することができる。無水テトラカルボン酸は、混合液中1〜20重量%、特に3〜15重量%とすることが好ましい。ジアミン化合物Aは、混合液中1〜20重量%、特に3〜15重量%とすることが好ましい。ジアミン化合物Bは、混合液中0.3〜10重量%、特に1〜5重量%とすることが好ましい。
上記混合液の調製方法は特に制限されない。例えば、ジアミン化合物A及びジアミン化合物Bを上記溶媒に溶解させて溶液を調製した後、この溶液に無水テトラカルボン酸を添加することによって好適に製造することができる。
混合液からワニスを製造する方法も限定的でない。例えば、上記混合液を一定時間(好ましくは1時間〜24時間程度)攪拌することによって、ポリアミド酸を含むワニスを調製することができる。この場合の温度条件も限定的でなく、通常−20℃〜80℃程度とすれば良い。
第2工程
第2工程では、前記ポリアミド酸をイミド化することにより前記ワニスからポリイミド湿潤ゲルを調製する。
イミド化の方法は特に制限されず、公知のポリイミドの製法に従って実施することができる。本発明では、特に有機溶媒中で加熱してイミド化する方法(熱閉環)を好適に採用することが望ましい。例えば、前記ワニスを加熱することによりイミド化することができる。加熱温度は、通常130℃以上、好ましくは130〜250℃程度の温度とすれば良い。
前記ワニスを加熱するに際しては、水と共沸混合物を構成し得る溶媒(以下「共沸溶媒」ともいう)がワニス中に含まれることが好ましい。共沸溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、オクタン、シクロヘキサン、ジフェニルエーテル、ノナン、ピリジン、ドデカン等を用いることができる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。本発明では、共沸溶媒は上記有機溶媒中10容積%以上含むことが好ましい。共沸溶媒を使用することによって、特に副生する水(主に縮合水)を共沸させ、これを還流等により反応系外へ効率的に除去できることから、未反応のアミド結合の加水分解を抑制することができる。
第2工程では、上記のように、イミド化に伴って水が生成するため、その生成水を留去することが好ましい。留去は、例えば凝縮器等の公知の装置を用いて実施することができる。
2.ポリイミド湿潤ゲル
本発明のポリイミド湿潤ゲルは、前記の本発明の製造方法により得られるものである。湿潤ゲルを構成するポリイミドは、一般的には、1)無水テトラカルボン酸とジアミン化合物Aとの共重合からなる可溶性部及び2)無水テトラカルボン酸とジアミン化合物Bとの共重合からなる不溶性部から構成される。すなわち、溶媒と相溶性を有する可溶性部と、物理架橋点となる非相溶性である不溶性部とがバランス良く存在することにより湿潤ゲルを形成している。
可溶性部と不溶性部との割合は、前記に示したようにジアミン化合物Aとジアミン化合物Bとの割合を変えることにより調整することができる。従って、可溶性部と不溶性部との割合は、ジアミン化合物Aとジアミン化合物Bとの割合に対応する割合となる。すなわち、モル比で6:4〜9:1、特に5:5〜7:3とすることができる。
ポリイミド湿潤ゲルにおけるポリイミドの含有率は限定的ではないが、通常は2〜50重量%、特に10〜35重量%とすることが望ましい。
ポリイミド湿潤ゲルの圧縮強度は、特に0.03〜1.00MPaであることが好ましい。また、ポリイミド湿潤ゲルのヤング率は、特に1〜30MPaであることが好ましい。このような物性を備える場合には、高い溶媒含有率にもかかわらず、良好な自己支持性(形状保持性)を発揮することができる。
これら強度及びヤング率は、可溶性部と不溶性部との比率が同じであれば、ゲルの分子量を高めることにより、強度及びヤング率を高めることが可能である。イミド化時に副生成する縮合水を反応系外に留去しながらイミド化した場合において、未反応のアミド結合の加水分解が押さえられ、分子量の高いゲルが得られ、強度及びヤング率が高くなる。また、不溶性部の割合を高めるとヤング率は高くなるがゲル全体は脆くなる傾向がある。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
実施例1
冷却器、温度計及び攪拌機を備えた3つ口フラスコに試薬特級のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)500mlを入れ、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)0.03molとビス-{4-(3-アミノフェノキシ)フェニル}スルフォン(BAPS-M)0.07molを加えて室温で溶解させた。添加したジアミンが完全に溶解した後、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)0.1molを少量ずつ添加し、均一になってから約30分撹拌してポリアミド酸のワニスを得た(重量平均分子量約53,700)。次に、試薬特級のトルエン100mlを加え、Dean−Stark凝縮器を装着し、150℃まで加熱して、イミド化に伴って発生する水をトルエンと共に共沸留去した。4時間加熱、還流、撹拌を続けたところ、水の発生は認められなくなった。反応終了後、反応溶液をステンレス製バットにあけ、5℃まで冷却して濃茶褐色の自己支持性ポリイミドゲルを得た。得られたゲルの樹脂含有率は約15%であり、ヤング率20.085MPa、強度0.687MPaであった。
実施例2
冷却器、温度計及び攪拌機を備えた3つ口フラスコに試薬特級のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)500mlを入れ、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)0.05molとビス-{4-(3-アミノフェノキシ)フェニル}スルフォン(BAPS-M)0.05molを加えて室温で溶解させた。添加したジアミンが完全に溶解した後、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)0.1molを少量ずつ添加し、均一になってから約30分撹拌してポリアミド酸のワニスを得た(重量平均分子量約76,000)。次に、試薬特級のトルエン100mlを加え、Dean−Stark凝縮器を装着し、150℃まで加熱して、イミド化に伴って発生する水をトルエンと共に共沸留去した。4時間加熱、還流、撹拌を続けたところ、水の発生は認められなくなった。反応終了後、反応溶液をステンレス製バットにあけ、5℃まで冷却して濃茶褐色の自己支持性ポリイミドゲルを得た。得られたゲルの樹脂含有率は約13%であり、ヤング率25.185MPa、強度0.985MPaであった。
あった。
実施例3
冷却器、温度計及び攪拌機を備えた3つ口フラスコに試薬特級のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)500mlを入れ、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)0.03molとビス-{4-(3-アミノフェノキシ)フェニル}スルフォン(BAPS-M)0.07molを加えて室温で溶解させた。添加したジアミンが完全に溶解した後、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下BTDA)0.1molを少量ずつ添加し、均一になってから約30分撹拌してポリアミド酸のワニスを得た(重量平均分子量約53,700)。次に、150℃まで加熱して撹拌しながら4時間加熱還流した。反応終了後、反応溶液をステンレス製バットにあけ、5℃まで冷却して濃茶褐色の自己支持性ポリイミドゲルを得た。得られたゲルの樹脂含有率は約15%であり、ヤング率1.157MPa、強度0.042MPaであった。
実施例4
冷却器、温度計及び攪拌機を備えた3つ口フラスコに試薬特級のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)500mlを入れ、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)0.02molとビス-{4-(3-アミノフェノキシ)フェニル}スルフォン(BAPS-M)0.08molを加えて室温で溶解させた。添加したジアミンが完全に溶解した後、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下BTDA)0.1molを少量ずつ添加し、均一になってから約30分撹拌してポリアミド酸のワニスを得た(重量平均分子量約50,000)。次に、試薬特級のトルエン100mlを加え、Dean−Stark凝縮器を装着し、150℃まで加熱して、イミド化に伴って発生する水をトルエンと共に共沸留去した。4時間加熱、還流、撹拌を続けたところ、水の発生は認められなくなった。反応終了後、反応溶液をステンレス製バットにあけ、5℃まで冷却して濃茶褐色(コーヒーゼリー様)の自己支持性ポリイミドゲルを得た。得られたゲルの樹脂含有率は約14%であった。
実施例5
冷却器、温度計及び攪拌機を備えた3つ口フラスコに試薬特級のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)500mlを入れ、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(DPE)0.03molとビス-{4-(3-アミノフェノキシ)フェニル}スルフォン(BAPS-M)0.07molを加えて室温で溶解させた。添加したジアミンが完全に溶解した後、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)の0.1molを少量ずつ添加し、均一になってから約30分撹拌してポリアミド酸のワニスを得た(重量平均分子量約70,000)。次に、試薬特級のトルエン100mlを加え、Dean−Stark凝縮器を装着し、150℃まで加熱して、イミド化に伴って発生する水をトルエンと共に共沸留去した。反応開始後約20分でゲル化し黄色不透明の自己支持性ポリイミドゲルを得た。得られたゲルの樹脂含有率は約13%であった。
実施例6
冷却器、温度計及び攪拌機を備えた3つ口フラスコに試薬特級のN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)500mlを入れ、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)0.005molとビス-{4-(3-アミノフェノキシ)フェニル}スルフォン(BAPS-M)0.095molを加えて室温で溶解させた。添加したジアミンが完全に溶解した後、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)0.1molを少量ずつ添加し、均一になってから約30分撹拌してポリアミド酸のワニスを得た(重量平均分子量約50,000)。次に、試薬特級のトルエン100mlを加え、Dean−Stark凝縮器を装着し、150℃まで加熱して、イミド化に伴って発生する水をトルエンと共に共沸留去した。4時間加熱、還流、撹拌を続けたところ、水の発生は認められなくなった。反応終了後、黄褐色の自己支持性ポリイミドゲルを得た。得られたゲルの樹脂含有率は約14.5%であった。
実施例7
冷却器、温度計及攪拌機を備えた3つ口フラスコに試薬特級のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)500mlを入れ、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)0.03molと9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)0.07molを加えて室温で溶解させた。添加したジアミンが完全に溶解した後、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)0.1molを少量ずつ添加し、均一になってから約30分撹拌してポリアミド酸のワニスを得た(重量平均分子量40,000)。次に、試薬特級のトルエン100mlを加え、Dean−Stark凝縮器を装着し、150℃まで加熱して、イミド化に伴って発生する水をトルエンと共に共沸留去した。4時間加熱、還流、撹拌を続けたところ、水の発生は認められなくなった。反応終了後、反応溶液をステンレス製バットにあけ、5℃まで冷却して濃茶褐色の自己支持性ポリイミドゲルを得た。得られたゲルの樹脂含有率は約11%であった。

Claims (7)

  1. 無水テトラカルボン酸とジアミン化合物からポリイミド湿潤ゲルを製造する方法であって、
    (1)a)無水テトラカルボン酸、ジアミン化合物A、ジアミン化合物B及び溶媒を含む混合液からポリアミド酸を含むワニスを調製する第1工程及びb)前記ポリアミド酸をイミド化することにより前記ワニスからポリイミド湿潤ゲルを調製する第2工程を含み、
    (2)前記溶媒は、a)前記ジアミン化合物A及びBに対して可溶性であり、b)前記無水テトラカルボン酸とジアミン化合物Aとの共重合体に対して可溶性であり、かつ、c)前記無水テトラカルボン酸とジアミン化合物Bとの共重合体に対して不溶性である、
    ことを特徴とするポリイミド湿潤ゲルの製造方法。
  2. 前記混合液は、ジアミン化合物A及びジアミン化合物Bが前記溶媒に溶解した溶液に無水テトラカルボン酸を添加して得られるものである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記イミド化が、前記ワニスを加熱することにより実施される、請求項1に記載の製造方法。
  4. 加熱温度が130℃以上である、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記ジアミン化合物Aと前記ジアミン化合物Bとの割合が、モル比で4:6〜9:1である、請求項1に記載の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られるポリイミド湿潤ゲル。
  7. ポリイミドの含有率が3〜50重量%である、請求項6に記載のポリイミド湿潤ゲル。

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