JP2006166880A - 凍結濃縮法及び濃縮液 - Google Patents

凍結濃縮法及び濃縮液 Download PDF

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Abstract

【課題】 品質の低下を抑えることが容易な凍結濃縮法、及び品質の低下が抑えられた濃縮液を提供する。
【解決手段】果汁、コーヒー、茶、牛乳、だし汁等の水溶液の凍結濃縮法は、その凍結濃縮処理を脱酸素雰囲気下の密閉容器内で行う第1の方法と、水溶液中の溶存酸素量を低下させる処理を行った後に凍結濃縮処理を行う第2の方法とが挙げられる。これら第1及び第2の方法はいずれも、酸素が存在しないか或いは極少量しか存在していない状態で凍結濃縮処理が行われることから、該凍結濃縮処理中に引き起こされる風香味成分の酸化反応が抑制される。そのため、濃縮後の濃縮液の品質低下が効果的に抑えられるようになっている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、主として果実ジュース、コーヒー、茶、牛乳、だし汁等の飲料品を濃縮するための凍結濃縮法及びその凍結濃縮法により濃縮された濃縮液に関するものである。
従来より、果実ジュース、野菜ジュース等の飲料品の濃縮方法としては、大別して蒸発濃縮法、膜濃縮法及び凍結濃縮法が知られている。これらの中でも凍結濃縮法は、食品、医薬品等の高品質濃縮が可能であり、且つその低温濃縮の特徴により熱的に不安定な物質の晶析法として用いることもできる(例えば、非特許文献1参照)。この界面前進凍結濃縮法は、容器冷却面に生成した氷相を一次元的に伝熱方向と逆方向に成長させる方法であり、固液相界面において溶質は氷相側から液相側へ排除される。即ち、容器冷却面からの単一氷結晶の成長により固液分離が図られ、氷相の上部に濃縮液が得られるものである。
一方、特許文献1では上記凍結濃縮法とは別に、ミカン、レモン等の柑橘類の果皮からオイル成分を圧搾するオイル製造方法が開示されている。このオイル製造方法は、果皮を圧搾する工程と、ストレートジュースの搾汁からエッセンスオイル等のオイル成分を回収する工程とをいずれも脱酸素雰囲気下で行うものである。
特開2003−102421号公報 宮脇 長人、"凍結濃縮法の最近の進歩とその応用"、冷凍、2002年1月号、第77巻、p.31−37
ところが、上記非特許文献1に記載の凍結濃縮法では、得られる濃縮液の品質について依然として改善の余地を残すものとなっている。一方、特許文献1のオイル製造方法では当初の目的である品質の向上が図られているが、これを上記の界面前進凍結濃縮法に応用する場合には固液分離が好適になされず、不都合を伴うものであった。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、凍結濃縮処理によって更に高品質の濃縮液を回収できる方法を見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の目的とするところは、品質の低下を抑えることが容易な凍結濃縮法、及び品質の低下が抑えられた濃縮液を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の凍結濃縮法は、溶媒としての水に溶質が溶解されている水溶液を凍結濃縮処理により濃縮する凍結濃縮法であって、前記凍結濃縮処理を脱酸素雰囲気下で行うことを要旨とする。
請求項2に記載の発明の凍結濃縮法は、請求項1に記載の発明において、前記凍結濃縮処理は密閉容器内で行われ、該密閉容器内には前記水溶液と、不活性ガスとが充填されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明の凍結濃縮法は、溶媒としての水に溶質が溶解されている水溶液を凍結濃縮処理により濃縮する凍結濃縮法であって、前記凍結濃縮処理は、前記水溶液中の溶存酸素量を低下させる処理を行った後に行われることを要旨とする。
請求項4に記載の発明の凍結濃縮法は、請求項3に記載の発明において、前記溶存酸素量を低下させる処理は、前記水溶液中に不活性ガスを吹込む処理、又は前記水溶液を中空糸膜に通液しながら中空糸膜外を減圧することにより脱気する処理であることを要旨とする。
請求項5に記載の発明の凍結濃縮法は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記凍結濃縮処理は界面前進凍結濃縮処理であることを要旨とする。
請求項6に記載の発明の凍結濃縮法は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記水溶液は果汁、コーヒー、茶、牛乳又はだし汁であることを要旨とする。
請求項7に記載の発明の凍結濃縮法は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の凍結濃縮法により得られる濃縮液であることを要旨とする。
本発明によれば、品質の低下を抑えることが容易な凍結濃縮法、及び品質の低下が抑えられた濃縮液が得られる。
以下、本発明の最良の実施形態を詳細に説明する。
実施形態の凍結濃縮法は、溶媒としての水に溶質が溶解されている水溶液を凍結濃縮処理により濃縮するものである。この凍結濃縮法(凍結濃縮処理)としては、晶析槽内に粒状の氷結晶を生成する懸濁晶析法、又は冷却面上に層状の氷結晶を成長させる界面前進凍結濃縮法が挙げられる。これらの中でも、氷と濃縮液との固液分離が容易であることから界面前進凍結濃縮法を採用するのが好ましい。
本実施形態の凍結濃縮法は、前記凍結濃縮処理を脱酸素雰囲気下の密閉容器内で行う第1の方法と、前記水溶液中の溶存酸素量を低下させる処理を行った後に凍結濃縮処理を行う第2の方法とが挙げられる。ここで、上記脱酸素雰囲気とは、大気中よりも酸素分圧の低い低酸素雰囲気をいう。
これら第1及び第2の方法はいずれも、酸素が存在しないか或いは極少量しか存在していない状態で前記凍結濃縮処理が行われることから、該凍結濃縮処理中に引き起こされる酸化反応が抑制され、濃縮後の濃縮液の品質低下が効果的に抑えられるようになっている。なお、この凍結濃縮法としては、前記酸化反応が極めて効果的に抑えられることから、前記第1の方法と第2の方法とを組合わせて行うのが好ましく、原料から最終製品を得る全ての工程を脱酸素雰囲気下で行うのが最も好ましい。
前記第1の方法において、密閉容器内を脱酸素雰囲気下とする手段としては、密閉容器内の空気を不活性ガスにて置換する方法が好適に採用される。前記不活性ガスにて置換する方法としては、密閉容器内を脱気して減圧状態にした後に不活性ガスを充填することにより該密閉容器内の空気(酸素)を不活性ガスにて置換する方法や、密閉容器内に不活性ガスを充填しながら空気(酸素)を追い出すことにより該密閉容器内を不活性ガス雰囲気下にする方法等が挙げられる。また、密閉容器内に予め水を充填して酸素を除いた状態でその水に不活性ガスを吹き込んだ後、該水を除去することによっても行われ得る。前記不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム及び二酸化炭素より選ばれる少なくとも一種が用いられ、これらの中でも安価な窒素を用いるのが好ましい。
この脱酸素雰囲気下において、密閉容器内の酸素含有率は、大気中の酸素含有率(20%程度)よりも低く、好ましくは5%以下、更に好ましくは0.5%以下となるように設定されるとよい。前記酸素含有率が5%を越える場合には、水溶液中の風香味成分の酸化が起こりやすくなることから、濃縮後の濃縮液の品質が低下する可能性が高くなる。
一方、前記第2の方法において、前記水溶液中の溶存酸素量を低下させる処理は、水溶液中に直接不活性ガスを吹き込むストリッピング装置、ラモンドミキサー、マルチジェットミキサー等を用いて行われるとよい。また、気液分離膜を使用して溶存酸素を脱気したり、減圧処理にて脱気した水溶液に対し不活性ガスを吹込むバブリング処理を行ったり、或いは水溶液に対して超音波処理を行うことにより溶存酸素を除去する方法も採用され得る。なお、前記気液分離膜としては、溶存酸素の脱気作用に特に優れる中空糸膜を用いるのが好ましい。この場合、前記水溶液を中空糸膜に通液しながら中空糸膜外を減圧することにより溶存酸素脱気する。
前記水溶液中の溶存酸素量を低下させる処理を行った状態において、該水溶液中の溶存酸素濃度は、前記処理前よりも低下していればよく、好ましくは5ppm以下、更に好ましくは3ppm以下にまで低下しているのが望ましい。前記溶存酸素濃度が5ppmを越える場合には、水溶液中の風香味成分の酸化が起こりやすくなることから、濃縮後の濃縮液の品質が低下する可能性が高くなる。
ここで、本実施形態では、前記第1の方法における密閉容器内を脱酸素雰囲気下とする処理、及び前記第2の方法における水溶液中の溶存酸素量を低下させる処理をそれぞれ脱酸素処理と称する。当該脱酸素処理は、密閉容器内の酸素分圧を大気中の酸素分圧より低くする処理である。
前記水溶液としては、果汁、コーヒー(焙煎コーヒー豆の水抽出液)、茶(各種茶葉の水抽出液)、牛乳、だし汁等が用いられる。なお、これら水溶液中には、水に不溶な成分が懸濁又は分散されていても構わない。このとき、該水溶液は、そのまま凍結濃縮するように構成されてもよく、或いは前記水に不溶な成分を濾過した後に凍結濃縮するように構成されてもよい。
前記果汁としては、レモン果汁、オレンジ果汁、りんご果汁等の一般的な果実果汁が挙げられる。前記コーヒー豆(コーヒー生豆)の種類としては、アラビカ種、カネフォーラ種ロブスタ、コニュロン又はリベリカ種等が挙げられる。これらのコーヒー豆は、単独で用いてもよく、複数種類のコーヒー豆をブレンドして用いてもよい。また、茶葉の種類としては、緑茶、ウーロン茶、紅茶、麦茶、ハト麦茶、ジャスミン茶、プアール茶、ルイボス茶、ハーブ等の飲料品に使用可能なものが用いられる。これらの茶葉は、単独で用いてもよく、複数種類の茶葉を組合せて用いてもよい。牛乳の種類としては、殺菌乳、加工乳等が挙げられる。だし汁の種類としては、昆布だし、かつおだし、ブイヨン、うまみ抽出エキス、和風だし、洋風だし、中華だし等が挙げられる。
本実施形態の濃縮液は、上記水溶液中の水分の一部を取り除いたものであり、上記凍結濃縮処理によって濃縮された液相を構成する。この濃縮液は、通常、果実ジュース、コーヒー、茶、牛乳、だし汁等の飲食品を製造するために用いられる。この濃縮液は、多量の水分を含む前記水溶液をそのまま輸送したり保管したりするよりも輸送コストや保管コストの低減を容易に図れるという利点があり、主にその目的のために調製されるが、そのまま他の飲食品等に添加して用いることもできる。さらに、凍結濃縮処理によって濃縮することで、乾燥及び粉末化する際のエネルギーコストを低減することも可能となる。なお、前記飲料品は、前記濃縮液を濃縮以前の濃度付近まで還元(希釈)した後に殺菌処理等を行うことにより製品化される。
次に、水溶液としての果汁原液の凍結濃縮処理について図1に示す界面前進凍結濃縮装置10を用いて説明する。なお本実施形態では、高濃度濃縮が可能な界面前進凍結濃縮法を採用した。まず、界面前進凍結濃縮装置10について以下に説明する。
図1に模式的に示すように、この界面前進凍結濃縮装置10は、熱伝導性に優れた金属により円筒状に形成された濃縮カラム11(密閉容器)、攪拌機12、冷媒タンク13、果汁原液を収容する原料タンク14及び果汁濃縮液を回収する濃縮液回収タンク15を備えている。攪拌機12は濃縮カラム11の上方に、冷媒タンク13は濃縮カラム11の下方に配設されている。原料タンク14と濃縮カラム11との間には第1流路16が設けられ、この第1流路16の途中には第1開閉弁17が配設されている。また、濃縮液回収タンク15と濃縮カラム11との間には第2流路18が設けられ、この第2流路18の途中には第2開閉弁19が配設されている。
上記の構成により、本実施形態の界面前進凍結濃縮装置10では、濃縮カラム11を一定速度で冷媒タンク13の内奥に向けて降下させ、冷媒タンク13内の冷ブラインにて濃縮カラム11内の果汁原液を冷却する。すると、濃縮カラム11の底面である冷却面(伝熱面)に沿って果汁原液中の水分の層状晶析が行われて氷結晶が生成し、果汁原液の前進凍結濃縮が進行する。このとき、固液界面において十分な物質移動を行うべく、攪拌機12のプロペラ12aを用いて液相を十分に攪拌する。なお、当該攪拌が不十分であると、氷結晶側への溶質成分の取り込みが増大し、果汁濃縮液の回収率が低下する可能性がある。このように、果汁原液の前進凍結濃縮により得られた液相をなす濃縮液は、第2開閉弁19を開口させることにより、濃縮液回収タンク15内に回収されるようになっている。
さて、界面前進凍結濃縮装置10を用い、上記第1及び第2の方法を組み合わせて果汁原液を凍結濃縮する場合には、まず、原料タンク14内において、果汁原液中に溶存する酸素を低下させる処理(脱酸素処理)を行うことにより、果汁原液中の溶存酸素を窒素ガス等の不活性ガスにて置換する。またこれと併行して、濃縮カラム11内に存在する酸素を窒素ガス等の不活性ガスにて置換することにより、濃縮カラム11内を脱酸素雰囲気下とする脱酸素処理を行う。
次に、前記果汁原液を原料タンク14内に収容する。そして、第1開閉弁17を開口し、第1流路16を通じて果汁原液を原料タンク14から濃縮カラム11へと供給する。続いて、濃縮カラム11を降下させ、当該濃縮カラム11の下部を冷却する。すると、濃縮カラム11下部に位置する果汁原液が冷却されるとともに、前記冷却面(濃縮カラム11の底面及び側面下部)周辺の果汁原液がその凝固点以下にまで過冷却される。この過冷却の進行後に当該過冷却が破られることにより濃縮カラム11の底面及び側面下部に氷晶21が連続的に晶出され、濃縮カラム11内の液相22を構成する果汁原液中の溶質成分濃度が高められる。即ち、濃縮カラム11内で氷晶21と果汁濃縮液との固液分離が図られ、氷晶21からなる層の上方に果汁濃縮液(液相22)が得られる。そして、濃縮カラム11内の果汁濃縮液が所定濃度に到達したとき、当該果汁濃縮液を濃縮液回収タンク15へと排出して回収する。なお、濃縮カラム11内の氷晶21は、ヒータ(図示略)を用いて溶解された後、濃縮カラム11から排出されるようになっている。
前記の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 本実施形態の第1の方法では、脱酸素処理が施された密閉容器(濃縮カラム11)内で凍結濃縮処理が行われる。一方、本実施形態の第2の方法では、予め脱酸素処理が施された果汁原液が密閉容器(濃縮カラム11)内に充填され、そこで凍結濃縮処理が行われるものである。このため、凍結濃縮の過程における果汁原液の風香味成分の酸化も抑制され得る。即ち、凍結濃縮の過程においても風香味成分の劣化(ビタミンCや糖の分解)及び褐変が抑えられ、製造される飲料品の品質低下を更に好適に抑制することができる。
さて、このような凍結濃縮処理のスケールアップを行う場合には、溶質成分(パイル質)の沈殿を抑制するとともに固液界面において十分な物質移動を図るべく、該凍結濃縮処理の際に果汁原液を攪拌する必要がある。しかしながらこの場合、攪拌の際の運動エネルギーにより溶存酸素量が増大するとともに、同エネルギーの一部が前記風香味成分の酸化反応を促進する懸念がある。その点、本実施形態では上記第1の方法及び第2の方法の両者を採用することにより、果汁原液の攪拌に際しての風香味成分の酸化反応を好適に抑制することができる。
・ 本実施形態の凍結濃縮処理によれば、果汁原液(果汁濃縮液)の風香味成分の褐変が抑えられる。このため、上記凍結濃縮処理を行った飲料品を透明容器に充填した場合でもその変色が低減され、飲料品の長期保存を可能とすることができる。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 果汁原液の脱酸素処理を省略してもよい。この場合、濃縮カラム11内の脱酸素処理は必須となる。即ち、脱酸素処理を省略した果汁原液が窒素雰囲気下の濃縮カラム11内に充填される。
・ 濃縮カラム11内の脱酸素処理を省略してもよい。この場合、果汁原液の脱酸素処理は必須となる。即ち、脱酸素処理を施した果汁原液が、脱酸素処理を省略した濃縮カラム11内に充填される。
・ 果汁濃縮液を濃縮液回収タンク15に回収する際にも、該濃縮液回収タンク15内を脱酸素雰囲気としてもよい。この場合、全ての工程が脱酸素雰囲気下で行われ、果汁濃縮液の風香味成分の酸化がより確実に抑制されるとともに、品質の低下を更に効果的に抑えることができる。
次に、試験例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下に記載の界面前進凍結濃縮処理は、濃縮カラム11の代わりに試験管が用いられるとともに、原料タンク14、濃縮液回収タンク15、流路16,18、開閉弁17,19が省略されたラボスケールの装置を密閉空間内に配置した状態で行った。
(試験例1)
FMC搾汁機により搾汁したレモン果汁をUF膜に通液し透明果汁を調製した。次いで、その透明果汁1L(Brix9.4)を、窒素雰囲気下(酸素含有率0.15%)の試験管に注入し、界面前進凍結濃縮処理を行った。その結果、0.44Kgの果汁濃縮液(Brix14.5)を得た。続いて、この果汁濃縮液を純水にてストレート果汁(Brix9.4)に還元することによって果汁飲料を得た。この果汁飲料を93℃にて瞬間殺菌してガラス容器にホット充填し、これを密封した。
(比較例1)
前記透明果汁1L(Brix9.4)を93℃にて瞬間殺菌してガラス容器にホット充填し、これを密封した。
(比較例2)
前記透明果汁1L(Brix9.4)を試験管に注入し、界面前進凍結濃縮処理を行った。その結果、0.3Kgの濃縮果汁(Brix16.1)を得た。続いて、この果汁濃縮液を純水にてストレート果汁(Brix9.4)に還元することによって果汁飲料を得た。この果汁飲料を93℃にて瞬間殺菌してガラス容器にホット充填し、これを密封した。
<風香味成分の評価試験>
試験例1及び比較例1、2の果汁飲料について、風香味成分の評価試験を行った。即ち、45℃にて1週間保持した各サンプルのビタミンC残存率及び褐変度変化率の評価を実施した。これらビタミンC残存率及び褐変度変化率は、未経時品に対する経時品の割合を算出したものである。また、ビタミンCの定量はヨウ素法によって行い、褐変度については特定波長(λ:420nm)における吸光度変化によりその変化割合を算出した。これらの結果を表1に示す。
Figure 2006166880
表1に示すように、脱酸素雰囲気下で凍結濃縮処理を行った試験例1のビタミンC残存率は、凍結濃縮処理を行わない比較例1に対して僅かしか低下しない好ましい結果となった。一方、脱酸素処理を省略して凍結濃縮処理を行った比較例2では、前記試験例1に比べてビタミンC残存率が著しく低下することが確認された。また、窒素雰囲気下で凍結濃縮処理を行った試験例1では、凍結濃縮処理を行わない比較例1に対して僅かな褐変の進行が確認された。一方、脱酸素処理を省略して凍結濃縮処理を行った比較例2では、前記試験例1に比べて褐変が著しく進行していることが確認された。
(試験例2)
粉砕したコーヒー焙煎豆125gを脱酸素雰囲気下の抽出機内に仕込み、溶存酸素濃度0.5ppm以下の95℃脱酸素水にてコーヒー抽出液1L(Brix3.0)を抽出した。次いで、そのコーヒー抽出液を、窒素雰囲気下(酸素含有率0.24%)の試験管に注入し、界面前進凍結濃縮処理を行った。その結果、0.38Lのコーヒー濃縮物(Brix6.2)を得た。続いて、コーヒー濃縮物を純水にて希釈(Brix1.3)し、これに0.5g/Lの重曹を加えて所定のコーヒー飲料を得た。その後、このコーヒー飲料を金属缶にホット充填してこれを密封し、123℃にて4分間レトルト殺菌した。
(比較例3)
前記コーヒー抽出液を純水にて希釈(Brix1.3)し、これに0.5g/Lの重曹を加えて所定のコーヒー飲料を得た。その後、このコーヒー飲料を金属缶にホット充填してこれを密封し、123℃にて4分間レトルト殺菌した。
(比較例4)
前記前進凍結濃縮処理を窒素ガス雰囲気下の代わりに空気雰囲気下で行ったこと以外は上記試験例2と同様にして、得られたコーヒー飲料を金属缶にホット充填してこれを密封し、123℃にて4分間レトルト殺菌した。
<色差の測定試験>
試験例2及び比較例3,4のコーヒー飲料について、色差計を用いてそれぞれの色差(L値)を測定した。これらの結果を表2に示す。
Figure 2006166880
表2に示すように、脱酸素雰囲気下で凍結濃縮処理を行った試験例2では、凍結濃縮処理を行わないストレート品(比較例3)に対してその色差が僅かしか低下しない好ましい結果となった。一方、脱酸素処理を省略して凍結濃縮処理を行った比較例4では、前記試験例2に比べて色差が著しく低下し、黒褐変化が進行することが確認された。
(試験例3)
緑茶葉30gを脱酸素雰囲気下の密閉容器内に仕込み、溶存酸素濃度0.5ppm以下の熱湯(70℃)1.2Lにて10分間抽出を行った。その後、茶葉を分離し、1Lの緑茶抽出液(タンニン濃度230mg/100ml、Brix0.98)を得た。次いで、この緑茶抽出液を、窒素雰囲気下(酸素含有率0.5%)の試験管に注入し、前進凍結濃縮処理を行った。その結果、0.424Lの緑茶濃縮物(タンニン濃度373mg/100ml、Brix1.78)を得た。続いて、緑茶濃縮物をタンニン濃度53mg/100mlとなるように純水にて希釈し、これに0.3g/Lの重曹と0.5g/LのビタミンCとを加えることによって緑茶飲料を得た。そして、UHT殺菌機を用いて所定条件(138℃、30sec)下で緑茶飲料の殺菌を行い、これをPETボトルにホット充填し、密封した。
(比較例5)
前記緑茶抽出液(タンニン濃度230mg/100ml、Brix0.98)に0.3g/Lの重曹と0.5g/LのビタミンCとを加えることによって緑茶飲料を得た。そして、UHT殺菌機を用いて所定条件(138℃、30sec)下で緑茶飲料の殺菌を行い、これをPETボトルにホット充填し、密封した。
(比較例6)
前記緑茶抽出液を試験管に注入し、界面前進凍結濃縮処理を行った。その結果、0.425Lの緑茶濃縮物(タンニン濃度351mg/100ml、Brix1.77)を得た。続いて、緑茶濃縮物をタンニン濃度53mg/100mlとなるように純水にて希釈し、これに0.3g/Lの重曹と0.5g/LのビタミンCとを加えることによって緑茶飲料を得た。そして、UHT殺菌機を用いて所定条件(138℃、30sec)下で緑茶飲料の殺菌を行い、これをPETボトルにホット充填し、密封した。
<褐変度の評価試験>
試験例3及び比較例5,6の緑茶飲料について、色差計を用いてそれぞれの褐変度をYI値にて算出した。これらの結果を表3に示す。
Figure 2006166880
表3に示すように、脱酸素雰囲気下で凍結濃縮処理を行った試験例3では、凍結濃縮処理を行わないストレート品(比較例5)に対して褐変が僅かに進行する結果となった。一方、脱酸素処理を省略して凍結濃縮処理を行った比較例6では、前記試験例3に比べて褐変が著しく進行することが確認された。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記不活性ガスは窒素、アルゴン、ヘリウム及び二酸化炭素より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項2に記載の凍結濃縮法。
・ 溶媒としての水に溶質が溶解されている水溶液を凍結濃縮処理により濃縮する凍結濃縮法であって、前記凍結濃縮処理は大気中よりも酸素分圧の低い低酸素雰囲気下で行われることを特徴とする凍結濃縮法。このように構成した場合、濃縮液の品質低下を抑えることが容易である。
本実施形態の界面前進凍結濃縮装置を示す概略図。
符号の説明
11…密閉容器としての濃縮カラム。

Claims (7)

  1. 溶媒としての水に溶質が溶解されている水溶液を凍結濃縮処理により濃縮する凍結濃縮法であって、
    前記凍結濃縮処理を脱酸素雰囲気下で行うことを特徴とする凍結濃縮法。
  2. 前記凍結濃縮処理は密閉容器内で行われ、該密閉容器内には前記水溶液と、不活性ガスとが充填されていることを特徴とする請求項1に記載の凍結濃縮法。
  3. 溶媒としての水に溶質が溶解されている水溶液を凍結濃縮処理により濃縮する凍結濃縮法であって、
    前記凍結濃縮処理は、前記水溶液中の溶存酸素量を低下させる処理を行った後に行われることを特徴とする凍結濃縮法。
  4. 前記溶存酸素量を低下させる処理は、前記水溶液中に不活性ガスを吹込む処理、又は前記水溶液を中空糸膜に通液しながら中空糸膜外を減圧することにより脱気する処理であることを特徴とする請求項3に記載の凍結濃縮法。
  5. 前記凍結濃縮処理は界面前進凍結濃縮処理であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の凍結濃縮法。
  6. 前記水溶液は果汁、コーヒー、茶、牛乳又はだし汁であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の凍結濃縮法。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の凍結濃縮法により得られる濃縮液。
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