JP2006162535A - 電子ビーム管 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電子ビーム管は、真空容器の内部に電子ビーム発生器が設けられてなり、真空容器が、各々厚み方向に延びる梁部分によって区画されて形成された複数の電子ビーム透過孔を有する蓋部材によって管部材の前方側の開口が塞がれ、更に、外面に保護膜が形成された窓部材によって電子ビーム透過孔が密閉されて構成される。窓部材は、複数のリブ部分によって区画されて形成された電子ビーム通過領域を有し、各リブ部分の内面が対応する蓋部材における梁部分の外面に接合されており、各リブ部分における内面に、保護膜の材質との関係において選択された材質よりなる反り防止膜が形成される。
【選択図】図4
Description
このような電子ビーム管は、大型の真空装置を用いることなしに電子ビームを照射することができるという利点を有すると共に、それ自体が複雑な構造を有さず、小型で取扱が容易であるという利点を有する。
この電子ビーム管40は、内部が真空雰囲気に維持された真空容器41を具えてなり、この真空容器41内に、電子ビーム発生器60が配設されると共に導電体よりなる円筒状スリーブ部材43が電子ビーム発生器60の周囲を囲むよう真空容器41の管軸と同軸状に配設されて構成されている。
窓部材50の外面(電子ビーム出射方向前方側の表面)には、例えばSiNよりなる保護膜55が形成されている。ここに、保護膜55は、例えばCVD法により形成することができる。
しかしながら、高い出力を有する電子ビーム管においては、電子ビーム透過孔46の中央部に位置される窓部材50の電子ビーム通過領域53において発生する熱を十分に逃がしきれず、熱が蓄積されることによって高温状態になって当該窓部材50が破損されやすくなり、その結果、電子ビーム管の使用寿命を長いものとすることができない、という問題がある。
また、保護膜55を基材51上に形成する際に、窓部材50における、保護膜55が形成された外面側の熱膨張率と、基材51の表面が露出する内面側の熱膨張率との差に起因して、冷却時の保護膜55の収縮による引っ張り応力が発生し、得られる窓部材50においては、周縁部に反りが生じて全体が弧状に湾曲した状態となってしまうため、十分に信頼性の高い気密接合を達成することができず、所要の電子ビーム管を確実に得ることができない、という問題がある。
前記真空容器は、前方に開口を有する管部材と、当該管部材の開口を塞ぐように設けられた、各々厚み方向に延びる梁部分によって区画されて形成された複数の電子ビーム透過孔を有する蓋部材と、この蓋部材の電子ビーム透過孔をその前面において密閉するよう設けられた、外面に保護膜が形成された窓部材とにより構成されており、
窓部材は、各々真空容器の管軸方向内方に向かって延びる複数のリブ部分によって区画されて形成された電子ビーム通過領域を有し、各々のリブ部分の内方側の表面が対応する蓋部材における梁部分の外方側の表面に接合されており、
各々のリブ部分における内方側の表面には、保護膜を構成する材質との関係において選択された材質よりなる反り防止膜が形成されていることを特徴とする。
従って、電子ビームの照射に伴って窓部材に生ずる熱を、窓部材の複数のリブ部分およびこれらに接合された蓋部材の複数の梁部分を介して、高い効率で逃がすことができるので、窓部材が高温状態となって破損することを確実に防止することができる結果、長い使用寿命を得ることができる。
図1は、本発明の電子ビーム管の一例における構成の概略を示す説明用断面図であり、図2は、図1に示す電子ビーム管における蓋部材の構成を示す平面図であり、図3は、図1に示す電子ビーム管における窓部材の構成の一部を示す拡大断面図であり、図4は、図1に示す電子ビーム管における蓋部材と窓部材との接合状態を示す拡大断面図である。
この電子ビーム管10は、内部が真空雰囲気に維持された略管状の真空容器11を具えてなり、この真空容器11内に、電子ビーム発生器35が配設されると共に電子ビーム遮蔽用の円筒状スリーブ部材13が電子ビーム発生器35の周囲を囲むよう真空容器11の管軸と同軸状に配設されている。
蓋部材15は、各々蓋部材15の肉厚中を厚み方向に延びる複数の梁部分17によって区画されて縦横に並ぶよう形成された、電子ビーム発生器35よりの電子ビームが通過する複数の電子ビーム透過孔16を有する。
そして、蓋部材15の電子ビーム透過孔16を前面において密閉するよう窓部材20が設けられており、これにより、真空容器11の内部が真空雰囲気に維持されている。
また、図1において、36〜38は、いずれも電子ビーム発生器35に電気的に接続されたリード棒であり、管部材12の後端壁を気密に貫通した状態で固定されている。
保護膜25は、窓部材20の基材21を構成する材料に対する親和性が高い材質により構成されていることが好ましく、具体的には、例えばSiC、SiN、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、ダイヤモンド、AlN、Al2 O3 、SiO2 のうちから選ばれたものにより構成されていることが好ましい。
保護膜25の厚みは、例えば0.05〜0.3μmであることが好ましい。
保護膜25は、例えばCVD法(化学気相成長法)により形成することができる。
具体的には、反り防止膜30は、例えば例えばSiC、SiN、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、ダイヤモンド、AlN、Al2 O3 、SiO2 のうちから選ばれたものよりなることが好ましく、保護膜25と同一の材質よりなることが特に好ましい。反射防止膜30が保護膜25と同一の材質よりなることにより、保護膜25および反り防止膜30を容易に形成することができると共に、窓部材20の外面側と内面側との熱膨張率の調整を容易に行うことができる。
また、反り防止膜30が保護膜と同一の材質よりなる場合には、厚みが保護膜より大きい状態で形成されていることが好ましい。これにより、窓部材20の外面側と内面側との熱膨張収縮特性の均衡化を一層確実に図ることができる。例えば、保護膜25を0.1μmの厚みで形成する場合には、反り防止膜30は0.12〜0.16μmの厚みで形成される。
反り防止膜30は、例えばCVD法(化学気相成長法)により形成することができる。
金属ロウ材27としては、例えばアルミニウム、アルミニウム−シリコン合金、金、銀などを用いることができ、厚みは例えば0.5〜20μmとされる。
従って、電子ビームが窓部材20の電子ビーム通過領域23を通過するときに発生する熱を、窓部材20の複数のリブ部分22およびこれらに接合された蓋部材15の複数の梁部分17を介して、高い効率で逃がすことができるので、窓部材20が高温状態となって窓部材20が破損することを確実に防止することができる結果、長い使用寿命を得ることができる。
例えば、窓部材におけるリブ部分のすべてが梁部分に接合されている必要はなく、単に補強部材として機能するものが存在する構成とされていてもよい。
また、窓部材と蓋部材との接合方法は、金属ロウ材によるロウ付けに限定されるものではない。また、窓部材は、金属ロウ材を用いることなしに、蓋部材に直接的に接合された構成とされていてもよい。
さらに、保護膜および反り防止膜を形成する方法は、CVD法に限定されるものではない。
11 真空容器
12 管部材
13 円筒状スリーブ部材
15 蓋部材
16 電子ビーム透過孔
17 梁部分
17A 中央部の梁部分
20 窓部材
21 基材
22 リブ部分
22A 中央部のリブ部分
22B 周縁部のリブ部分
23 電子ビーム通過領域
25 保護膜
26 接合材
27 金属ロウ材
30 反り防止膜
35 電子ビーム発生器
36 リード棒
37 リード棒
38 リード棒
40 電子ビーム管
41 真空容器
42 管部材
43 円筒状スリーブ部材
45 蓋部材
46 電子ビーム透過孔
50 窓部材
51 基材
52 リブ部分
52A 接合材
53 電子ビーム通過領域
55 保護膜
56 金属ロウ材
60 電子ビーム発生器
Claims (5)
- 真空容器の内部に電子ビーム発生器が設けられてなる電子ビーム管において、
前記真空容器は、前方に開口を有する管部材と、当該管部材の開口を塞ぐように設けられた、各々厚み方向に延びる梁部分によって区画されて形成された複数の電子ビーム透過孔を有する蓋部材と、この蓋部材の電子ビーム透過孔をその前面において密閉するよう設けられた、外面に保護膜が形成された窓部材とにより構成されており、
窓部材は、各々真空容器の管軸方向内方に向かって延びる複数のリブ部分によって区画されて形成された電子ビーム通過領域を有し、各々のリブ部分の内方側の表面が対応する蓋部材における梁部分の外方側の表面に接合されており、
各々のリブ部分における内方側の表面には、保護膜を構成する材質との関係において選択された材質よりなる反り防止膜が形成されていることを特徴とする電子ビーム管。 - 保護膜および反り防止膜が、SiC、SiN、DLC、ダイヤモンド、AlN、Al2 O3 、SiO2 のうちから選ばれたものよりなることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム管。
- 反り防止膜が、保護膜と同一の材質よりなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子ビーム管。
- 反り防止膜が保護膜より厚いことを特徴とする請求項3に記載の電子ビーム管。
- 窓部材の単位面積当たりの電流値の最大値が12μA/mm2 以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の電子ビーム管。
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