JP2007287501A - 透過型x線管 - Google Patents

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Abstract

【課題】高出力で長寿命かつ廉価な透過型X線管を提供する。
【解決手段】陰極12は、フィラメント14と、これを支持するフィラメント支持体16と、長方形板状体の集束電極18などから構成され、集束電極18は、フィラメント14の背面側に配置され、フィラメント支持体16に支持されている。フィラメント14は外囲器24のX線放射窓28に積層したターゲット30に対向して配置される。フィラメント14から放射された電子は集束電極18とフィラメントとターゲット30によって形成される電位分布によりターゲット30面上に集束されるのでX線発生効率が向上する。
【選択図】 図1

Description

本発明は透過型X線管に係り、特に透過型X線管のX線量の高出力化および寿命延長の技術に関する。
X線管は医療用X線装置や産業用X線装置などのX線源として用いられており、通常固定陽極X線管と回転陽極X線管に大別されている。本発明の対象となる透過型X線管は通常固定陽極X線管の範疇に分類されるが、構造上独自の分類となる場合もある。
近時、X線管は特許文献1に開示されているように、静電気除電装置のX線源にもその用途が拡大されつつある。特許文献1は、帯電したフィルムや紙などを除電する静電気除電装置および静電気除電方法に関するもので、X線を被除電物に照射して被除電物の両面を同時に除電するものである。このような静電気の除電は、上記のフィルムや紙等の製造や加工の工程のみならず、粉体や液体の充填の工程、更には半導体や表示装置等の製造、検査工程などにおいても重要な課題となっている。
特開平7−6859号公報
また、特許文献2および特許文献3には、静電気除電装置に用いられる透過型X線管の従来例が開示されている。特許文献2に記載された透過型X線管は、カソードピンが立設されたセラミック製ステム部と、下面にターゲット金属が蒸着された出射窓とをセラミック製バルブで支えて相互にろう付けし、更に集束電極に前記セラミック製バルブの内周面に沿って配置すると共に、この集束電極の下端部をステム部とバルブで挟む構成である。このような構成にすることにより、X線管の小型化が可能になると共に、集束電極の取り付け等も容易に行うことができ、組み立て作業も簡略化される。
特開平9−180660号公報 特開平2005−302368号公報
また、特許文献3に記載された透過型X線管は、複数の貫通孔を有し絶縁材料からなるステム基部と、一端側をこのステム基部に固定し他端側をステム基部上面から離隔するように延在する複数の電極リードと、この電極リードの前記他端側に固定された陰極フィラメントと、この陰極フィラメントに対向し、かつ閉止端に貫通部を備えたカップ状の放射窓枠体と、この放射窓枠体の貫通部を気密封止したX線透過の放射窓と、放射窓枠体の開放端に一端側を気密に溶接接合し他端側をステム基部と気密接合した略筒状のシール部材と、一端側をステム基部の底面に気密接合し他端側を前記底面から離隔する方向に延在し管内を真空排気した後気密封止する排気管を備える構成になっている。このように構成することにより、ステム基部に電極リードとシール部材および排気管などを同時にろう付けすることが可能となり、各部材をろう付け後に、シール部材と放射窓枠体とを溶接により気密接合することで、管球製造中に陰極フィラメントを高温に曝す工程が不要になる。また、陰極フィラメントと陰極リードとの固定部が高温にならないので、固定部が緩むことを防止できる。さらに、陰極フィラメントの所望の特性および長寿命化を確保でき、高品位で、長寿命かつ廉価な透過型X線管の実現を可能とした。
また、上記の透過型X線管では、X線放射窓としてはベリリウムなどのX線透過性の良い金属材料から成る板材が用いられ、その内面にターゲットとなるタングステンなどの高原子番号で高融点の金属材料から成る薄膜が形成されている。このターゲット薄膜は蒸着などによって形成される。このX線放射窓のターゲットには陰極フィラメントから放出され電子がX線放射窓(陽極に相当する)と陰極フィラメントの間に印加される高電圧(X線管電圧)、例えば10kV程度の高電圧によって加速されて衝突し、X線が発生する。この薄膜のターゲットで発生したX線はX線放射窓を透過してX線管の外部に放射され、静電気の除電などに利用される。
特許文献2に開示された透過型X線管は、集束電極の配置構造に特徴が有り、耐電圧の確保も可能な優れたものである。しかしながら、この透過型X線管(以下、X線管と略称する)では、セラミック製ステム部と下面にターゲット材料が蒸着された放射窓との間にセラミック製バルブを設けており、すなわちセラミック部品を2箇所に使用しているため、取り扱いに注意が必要となるとともに、製造コストを安くすることが困難である。これは、ステム側と放射窓側共にろう付け作業を行う必要があるため、製造に時間がかかり、かつステム側と放射窓側の両方で使用するろう材を異なる特性のものとする必要があるため作業工程が複雑になり、量産性が難しくなることに起因する。また、放射窓とセラミック製バルブとのろう付け工程が、タングステンコイル(陰極フィラメント)をカソードピンに取り付ける工程よりも後になるため、タングステンコイルおよびタングステンコイルを固定したカソードピンを高温に曝すことになり、タングステンコイルとカソードピンの固定部が加熱されることになり、その結果、タングステンコイルとカソードピンの固定が緩むことがある。また、陰極フィラメントの周囲に金属円筒を配設しているため、陰極フィラメントから出射した電子が金属円筒によって集束され絞られて放射窓のターゲットに局部的に集中し、ターゲット薄膜を過熱し、ターゲットを損傷する場合があり、その結果X線管の寿命を劣化させる問題が生じる。また、陰極フィラメントからの電子が金属円筒によって絞られることにより、X線管電流が流れにくくなっており、X線量が取れにくいという問題がある。
また、特許文献3に開示されたX線管では、陰極フィラメントの所望の特性および長寿命化が確保され、高品位で、長寿命かつ廉価なものが実現されているが、陰極フィラメントの周囲に特別な集束電極が配設されていないため、陰極フィラメントから出射した電子は放射窓上のターゲットのみならず、他の部分にも衝突する。その結果、このX線管では、X線管電流は非常に流れ易いが、電子がターゲットに集中しないため、X線発生効率が低く、X線管電流に対して発生するX線量が少ないという問題がある。
上記に鑑み、本発明では、高出力で長寿命かつ廉価な透過型X線管を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の透過型X線管(以下、X線管と略称する)は、電子を放出するフィラメントと、フィラメントを支持するフィラメント支持体を有する陰極と、フィラメントから放出された電子が衝突してX線を発生する薄膜のターゲットが積層されたX線放射窓と、X線放射窓を支持する放射窓枠体とを有し、フィラメントがターゲットと対向するように陰極を真空気密に内包して、絶縁して支持する外囲器とを備えた透過型X線管において、前記フィラメントから放出された電子を前記ターゲットに衝突するように集束する集束電極を前記フィラメント支持体に取り付けたものである。
また、本発明のX線管は、前記ターゲットに衝突する電子の電流密度分布を、前記ターゲットの前記放射窓枠体に近接した部分で電流密度が高くなるようにしたものである。
また、本発明のX線管は、前記集束電極を板状体とし、前記フィラメントの、前記ターゲットとの対向面とは反対側(背面側)に配設したものである。
また、本発明のX線管は、前記集束電極を長方形の板状体とし、該長方形の長手方向を前記フィラメントの長さ方向と平行になるように配置したものである。
また、本発明のX線管は、前記集束電極の板状体の前記フィラメントの長さ方向と直交する方向の寸法(以下、幅寸法という)を中央部では小さく、端部では大きくしたものである。
また、本発明のX線管は、前記集束電極を筒状体とし、前記フィラメントを囲むように配設したものである。また、前記筒状体は円筒形または角筒形である。
また、本発明のX線管は、前記集束電極を筒状体とし、該筒状体の前記ターゲットと対向する面が前記フィラメントの前面(前記ターゲットとの対向面)とほぼ同程度の位置に配設されるものである。
また、本発明のX線管は、前記放射窓枠体が高熱伝率を有し、耐熱性の金属材料から成り、前記X線放射窓と前記放射窓枠体がろう付けで結合されているものである。また、前記放射窓枠体は銅から成る。
本発明のX線管は、フィラメントから放出された電子をターゲットに衝突するように集束する集束電極をフィラメント支持体に取り付けているので、フィラメントから放出された電子は集束電極によってターゲットにのみ衝突するように集束されるので、X線の発生はターゲットにおいてのみ行われることになり、X線管電流に対するX線発生効率が従来品に比べ格段に向上する。その結果、X線放射窓を通して外部に取り出すことができるX線量も従来品に比べ格段に増加させることができる。
また、本発明のX線管は、ターゲットに衝突する電子の電流密度分布を、ターゲットの放射窓枠体に近接した部分で電流密度が高くなるようにしているので、陰極からの電子による発熱によって最も温度上昇する部分がターゲット面上の周辺の放射窓枠体に近接した部分となるため、この発熱は放射窓枠体を介しての冷却が可能となり、ターゲットの温度上昇を抑制することができる。同時に、陰極からの電子が衝突するターゲットの面積も広がっているため、ターゲット面全体としての平均の電子密度も低下し、ターゲット面の局所的な発熱も平均して低下する傾向にある。その結果、ターゲットの温度を低くすることができるので、ターゲットの熱的損傷によるX線管の寿命の劣化を防止し、X線管の長寿命化を達成できる。
また、本発明のX線管は、集束電極を板状体とし、フィラメントの背面側に配設しているので、ターゲットと陰極のフィラメントと板状体の集束電極とによって形成される電位分布および電界によって、フィラメントから放出された電子はフィラメントに対向して配置されたターゲットにのみ集束される。その結果、フィラメントからの電子がターゲット以外の部分には殆んど流入することがなくなるので、X線管電流に対するX線発生効率が極めて向上し、それに伴いX線出力が大幅に増加する。
また、本発明のX線管では、集束電極を長方形の板状体とし、長方形の長手方向をフィラメントの長さ方向と平行になるように配置しているが、この配置では、集束電極の長方形板の幅寸法を変えることにより、フィラメントからその長さ方向と直交する方向(以下、フィラメントの幅方向という)に放射状に放出される電子の発散領域を変えることができるので、すなわち集束電極の幅寸法を大きくすると電子の発散領域を減少させ、逆に幅寸法を小さくすると電子の発散領域を増加させることができるので、集束電極の長方形板の幅寸法を調整してフィラメントから放出された電子をターゲット面にのみ衝突するように集束させることが可能となる。その結果、X線発生効率を向上させ、X線出力を増加させることができる。
また、本発明のX線管では、集束電極の板状体の幅寸法を中央部では小さく、端部では大きくしているので、フィラメントからその幅方向に放射状に放出された電子はフィラメントの中央部ではその発散領域が大きく、フィラメントの端部ではその発散領域が小さくなり、円錐形に近い形状の電子群に集束される。このように、集束電極の幅寸法をフィラメントの長さ方向の位置に対応して、適当に調整することによりターゲット面にのみ衝突するように集束することが可能となる。
また、本発明のX線管では、集束電極を円筒形や角筒形などの筒状体とし、フィラメントを囲むように配設しているので、フィラメントからその幅方向に放射状に放射された電子は、ターゲットとフィラメントと集束電極の筒状体とによって形成される電位分布と電界によって、筒状体の開口からターゲットに向けて走行するようにその軌道が変えられ、フィラメントに対向するターゲット面にのみ集束される。その結果、集束電極を板状体とし、フィラメントの背面側に配設した場合と同様な効果が得られる。
また、本発明のX線管では、集束電極を筒状体とし、筒状体のターゲットと対向する面がフィラメントの前面とほぼ同程度の位置に配設されているので、フィラメントからその幅方向に放射状に放出された電子は、その発散角度が広がり過ぎないように集束され、ターゲット面にのみ集束することが可能となる。また、集束電極の筒状体がフィラメントに対して高い囲い壁面となることがないので、フィラメントからの電子がターゲット面の中央部に強く絞られて集束されて局部的に集中することもないので、ターゲット面が熱的に損傷を受けることもない。その結果、長寿命で、高X線出力のX線管が得られる。
また、本発明のX線管では、放射窓枠体が銅などの高熱伝導率を有し、耐熱性の金属材料から成り、X線放射窓と放射窓枠体がろう付けで結合されているので、X線放射窓と放射窓枠体との間の熱伝導性が良く、かつ放射窓枠体自体も熱伝導性が良いので、X線放射窓およびこれに積層したターゲットの冷却は良好に行われるように構成されている。本発明ではこのような構成で、フィラメントからの電子の集束方式を改善してターゲット面の周辺部である放射窓枠体に近接する部分を電子の電流密度の高い部分としているので、この部分で発生した熱は速やかに放射窓枠体に伝達され、冷却されるので、高電流密度であるにもかかわらず、高温にならずに維持されるため、ターゲット面の熱的損傷を受けることなく、長寿命かつ高X線出力を達成することができる。
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。なお、発明の実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号をつけ、その繰り返しの説明は省略する。先ず、図1を用いて本発明に係る透過型X線管の第1の実施例について説明する。図1は本発明に係る透過型X線管の第1の実施例の全体構造図である。図1において、透過型X線管(以下、単にX線管と略称する場合もある)10は、電子線を放出する陰極12と、電子線が衝突してX線を発生するターゲット30と、陰極12とターゲット30を真空気密に内包する外囲器24とから構成される。陰極12はフィラメント14と、フィラメント支持体16と、集束電極18などを有し、外囲器24のステム基部26に支持されており、陽極に相当するターゲット30は外囲器24のX線放射窓28に支持されている。外囲器24は陰極12を支持するステム基部26と、X線を外部に放射するX線放射窓28と、X線放射窓28を固定支持する放射窓枠体32と、ステム基部26と放射窓枠体32とを結合するシール部材34などから成り、全体としては両端に底のついた略円筒形状をしている。
次に、本実施例の構造の詳細について説明する。外囲器24において、その一端を構成するステム基部26は底部26aと円筒部26bとを有し、大略カップ状をしていて、セラミックなどの耐熱性の絶縁物から成る。ステム基部26の底部26aには少なくとも3個の貫通孔40、41、42が設けられており、2個の貫通孔40、41は陰極12のフィラメント支持体16の端子部16aを支持するために用いられ、他の貫通孔42は排気孔であり、X線管10の内部を真空に排気するために用いられる。このため、排気孔42の外側には排気管38が結合されている。排気管38としては銅管などが用いられる。外囲器24の他端には、X線放射窓28とこれを支持する放射窓枠体32が配置されており、両者の結合体も大略カップ状をしている。放射窓枠体32は通常ステンレス鋼などの導電性を有する耐熱性の金属材料から成り、底部32aと円筒部32bを有し、底部32aにはX線放射窓28を収容する大径の開口32cを有する。X線放射窓28はベリリウムなどのX線透過性の良い材料から成り、通常薄い円板に加工されている。このX線放射窓28の内面側には薄膜に形成されたターゲット30が積層されている。このターゲット30はタングステンなどの高原子番号で高融点の金属材料から成り、蒸着などの方法でX線放射窓28の表面に積層される。このX線放射窓28は放射窓枠体32の底部32aの開口32cにろう付けなどによって真空気密に結合される。ステム基部26の円筒部26bと放射窓枠体32の円筒部32bとの間にシール部材34が配置される。シール部材34はステム基部26の素材(セラミック)と熱的になじみのよい導電性の耐熱性金属材料、例えばコバール、鉄、鉄−ニッケル合金などから成り、薄肉の略円筒形状をしている。シール部材34の一端はステム基部26の円筒部26bの端面と、その他端は放射窓枠体32の円筒部32bの端部とろう付けなどによって真空気密に結合されている。また、ステム基部26の円筒部26bの端面を覆うようにシールド36が配置される。シールド36はステム基部26の円筒部26bの端面の電界強度が高くなるのを緩和するもので、フランジの付いた円筒形状をしており、ステンレス鋼などの導電性を有する耐熱性の金属材料から成る。このシールド36はそのフランジの外周においてシール部材34に設けた段部34aに溶接またはろう付けにより固定されている。ここで、ステム基部26、シール部材34、シールド36、放射窓枠体32などはその中心軸(管軸)48に略一致するように加工されている。
陰極12のフィラメント14はタングステンなどの高融点の金属材料から成る細線をコイル状に巻いたもので、その両端部は整形してコイルの中心軸と直交する方向に脚部14aとして引き出される。フィラメント支持体16はフィラメント14の2個の脚部14aを支持するもので、2個用いられており、モリブデンなどの高融点の金属材料から成る太い線状体である。このフィラメント支持体16はフィラメント14の脚部14aと接続されるフィラメント支持部16aとステム基部26と接続され、外部に露出される端子部16bとを有し、本実施例の場合寸法上の関係で2個所で折り曲げられている。また、フィラメント支持部16aは他の部分より少し細径になるように加工してある。フィラメント支持部16aとフィラメント14の脚部14aとの結合はフィラメント支持部16aの先端部に凹部17を設け、この凹部17にフィラメント14の脚部14aを挿入し、かしめによって固定している。あるいは、フィラメント支持部16aの先端部に溝を設け、その溝にフィラメント14の脚部14aを挟んで溶接により固定してもよい。端子部16bはステム基部26の底部26aに設けた2個の貫通孔40、41に挿入され、端子部16bの一部が外部に露出した状態でろう付けによって真空気密に固定される。また、端子部16bとステム基部26の底部26aとのろう付けにおいては、フィラメント14とX線放射窓28の内面との間隔が所定の寸法となるように寸法調整が行われる。
陰極12のフィラメント14の背面側には集束電極18が配置されている。この集束電極18は板状体で、ステンレス鋼などの導電性を有する耐熱性の金属材料から成り、2個のフィラメント支持体16に支持されている。集束電極18の板状体の形状は大略長方形で、フィラメント14の長さ方向が長くなっている。フィラメント14のコイルの表面と集束電極18の上面との間隔は本実施例では約1mm程度である。集束電極18はフィラメント14の周辺にフィラメント14から放出された電子が効率良くX線放射窓28の内面のターゲット30に向かうような電位分布および電界を形成するための電極である。すなわち、集束電極18をフィラメント14の背面側に配置させることにより、フィラメント14から放出された電子はフィラメント14の周辺に形成された電位分布および電界によって集束されて、フィラメント14の後方のステム基部26や側方のシール部材34および放射窓枠体32には殆んど流入せず、上方に対向するターゲット30の面にのみ流入するようにしたものである。フィラメント14と集束電極18との間隔および集束電極18の長方形板の幅と長さ寸法はフィラメント14の長さ寸法、ターゲット30の外径、フィラメント14とターゲット30との間隔などに応じて決定される。この集束電極18の効果については後述する。
集束電極18は絶縁支持体20および結合支持体22を介してフィラメント支持体16のフィラメント支持部に接続され支持されている。図2を用いて本実施例のX線管で使用される集束電極18の構造およびフィラメント支持体16への取り付け方法の一例について説明する。図2は、本実施例の集束電極の構造と集束電極のフィラメント支持体への取り付け方法を説明するための図で、図2(a)はフィラメント支持体16にフィラメントと絶縁支持体20を取り付けた図、図2(b)は集束電極18に結合支持体22を取り付ける図、図2(c)はフィラメント支持体16に集束電極18を取り付ける図、図2(d)、(e)はフィラメント支持体16に絶縁支持体20を固定する図である。図2(a)、(c)、(d)においては、フィラメント支持体16が外囲器24のステム基部26に結合された状態の図が示されているが、これは集束電極18のフィラメント支持体16への取り付けが通常フィラメント支持体16をステム基部26に結合してから行われるためである。このフィラメント支持体16とステム基部26との結合はフィラメント14の取り付けや集束電極18の取り付け後に行うことも可能である。
先ず、図2(a)において、外囲器24のステム基部26に結合された2個のフィラメント支持体16のうちのフィラメント支持部16aの近傍に切欠き部16cのない方のフィラメント支持体16に筒状の絶縁支持体20を挿入する。絶縁支持体20はセラミックなどの耐熱性絶縁物から成る円筒状体で、その内径はフィラメント支持体16と嵌合する寸法に加工されている。絶縁支持体20の挿入後に、フィラメント14の脚部14aをフィラメント支持体16のフィラメント支持部16aにかしめまたは溶接などで結合される。このとき、フィラメント14のコイル部分の高さ寸法が調整される。
次に、図2(b)において、集束電極18に結合支持体22が溶接などで結合される。集束電極18は略長方形の板状体で、フィラメント14の脚部14aを通すための2個の開口18a、18bを有する。開口18a、18bは円形の穴と長方形の長辺まで通じる幅の狭い溝から成り、開口18bの円形の穴の直径は開口18aのものより大きく加工されている。これらの穴はフィラメント14の脚部14aに接触しないような寸法であればよい。また、開口18a、18bの円形の穴の位置はフィラメント14の脚部14aの位置と対応する位置にあけられる。開口18a、18bの円形の穴の裏面18c側には、それらの穴より直径の大きい円形の穴18d、18eが設けられている。円形の穴18dには切欠き部16cを有するフィラメント支持体16のフィラメント支持部16aが嵌合し、円形の穴18eには絶縁支持体20が嵌合するので、円形の穴18d、18eの直径はフィラメント支持部16aと絶縁支持体20の外径に合わせて加工される。結合支持体22はステンレス鋼などの導電導性を有する耐熱性の金属材料から成る薄肉の板状体で、L字形に折り曲げられている。結合支持体22のL字形の短辺部分が集束電極18の裏面18cの小さい円形の穴18dの近傍に溶接などで結合される。
次に、図2(c)において、集束電極18がフィラメント支持体16に取り付けられる。集束電極18の2個の開口18a、18bの溝にフィラメント14の脚部14aを通過させた後、集束電極18の円形の穴18dにフィラメント支持体16のフィラメント支持部16aの先端を嵌合し、フィラメント支持体16の切欠き部16cに結合支持体22のL字形の長辺部分を一致させて、溶接して結合させることにより、集束電極18をフィラメント支持体16に導通させるとともに、フィラメント支持体16によって支持する。このとき、フィラメント14のコイル部分の前面と集束電極18の表面18fとの距離が寸法調整される。
次に、図2(d)、(e)において、集束電極18が絶縁支持体20によって切欠き部16cのないフィラメント支持体16に絶縁支持される。図2(e)は図2(d)の丸で囲んだ部分のA視拡大図である。図2(d)において、先に(図2(a)にて)フィラメント支持体16に挿入しておいた絶縁支持体20を上側に移動させて、集束電極18の大きい円形の穴18eに嵌め込み、その先端が穴18eの底に到達するまで押し込む。その状態で、絶縁支持体20を支えるように、絶縁支持体20の下端に円板状の支持金具21をあてがえ、絶縁支持体20をフィラメント支持体16に固定することにより、集束電極18をフィラメント支持体16で絶縁支持する。支持金具21はステンレス鋼などの耐熱性金属材料から成り、円板状で、中心から外周に向けて開いた開口21aを有する。この開口21aは、円板の中心部にフィラメント支持体16の設けられた外径とほぼ等しい直径の穴と、外周に向けて設けられた穴の直径とほぼ等しい幅の溝を有する。支持金属21は開口21aを介してフィラメント支持体16に取り付けられ、絶縁支持体20の下端に密着した状態で、フィラメント支持体16に溶接などにより結合され、その結合によって絶縁支持体20が固定される。
次に、外囲器24の製造方法について図1を参照しながら説明する。X線放射窓28と放射窓枠体32との間、およびステム基部26とシール部材34との間はろう付けによって結合される。ステム基部26とシール部材34との間はろう付け時には通常ステム基部26とフィラメント支持体16および排気管38との間のろう付けも同時に行われる。ステム基部26は材質がセラミックであるので、他部品との結合部である底部26aの外表面および円筒部26bの端面にはメタライズ層44、46が形成され、これらのメタライズ層44、46を介してステム基部26とフィラメント支持体16、排気管38およびシール部材34とのろう付けが行われる。このようにメタライズ層44、46を用いることにより、セラミック部品と金属部品との間のろう付けが真空気密にかつ強固に行われ、ろう付けの信頼性が向上する。このろう付けは、通常フィラメント支持体16にフィラメント14や集束電極18などが取り付けられた状態で行われるが、場合によってはこのろう付け後にフィラメント支持体16にフィラメント14や集束電極18などを取り付けることも可能である。上記のろう付け後に、放射窓枠体32とシール部材34との間が溶接により結合される。この溶接では放射窓枠体32の材料が溶けてシール部材34に全周にわたって固着することになる。このとき、陰極12のフィラメント14とターゲット30(またはX線放射窓28)との間隔が所定の寸法になるように寸法調整される。この放射窓枠体32とシール部材34との結合についても、場合によっては他の部分のろう付けと同時に行うことも可能である。また、外囲器24からの端子の引き出しに関しては、陽極端子は放射窓枠体32から引き出され、陰極端子はフィラメント支持体16の端子部16bから引き出される。それぞれの端子は通常ろう付けによって結合される。陽極端子については、通常接地電位で使用されるので、特別な配慮は必要ないが、陰極端子については負の高電圧に保持されるので、絶縁に配慮した構造にする必要がある。本実施例では、図において陰極端子のみ記載しているが、ステム基部26の底部26aのメタライズ層44のフィラメント支持体16の端子部16bが突出する部分に端子板39を取り付けて、ろう付けによって、端子板39とフィラメント支持体16の端子部16bをメタライズ層44に同時に結合している。
次に、本実施例のX線管の動作について説明する。図1に示した本実施例のX線管10では、陽極のターゲット30と陰極12のフィラメント14との間に約10kV程度のX線管電圧が外部の高電圧発生装置から印加される。陽極のターゲット30の電位は接地電位(0V)で、放射窓枠体32を経由して付与される。陽極のターゲット30とX線放射窓28、放射窓枠体32、シール部材34とは導通があるので、ターゲット30は同電位(0V)に保持される。陰極12の電位は負の約10kVで、フィラメント14を支持するフィラメント支持体16の端子部16aに付与される。また、フィラメント14には外部の高電圧発生装置から10V前後のフィラメント加熱電圧が印加されるので、上記の陰極12の電位は通常集束電極18と導通されているフィラメント支持体16の端子部16aに印加される。先ず、フィラメント加熱電圧をフィラメント14に印加すると、フィラメント14が加熱され温度上昇し、熱電子を放出する。この状態でフィラメント支持体16の端子部16aと放射窓枠体32との間、すなわちフィラメント14とターゲット30との間に約10kVのX線管電圧を印加すると、フィラメント14から放出された電子はターゲット30に向かって流れ、ターゲット30に衝突しX線を発生する。このX線はX線放射窓28を通して外部に放射される。
次に、本実施例のX線管でのフィラメントからの電子の流れ方およびX線の発生効率について説明する。フィラメント14にフィラメント加熱電圧を印加してフィラメント14を加熱した場合、フィラメント14の脚部14aがフィラメント支持体16に結合されているため、フィラメント14の脚部14aを通しての熱伝導による冷却作用を受けて、フィラメント14の脚部14aおよびその脚部14aに近いフィラメントコイルの長さ方向の端部は、その中央部と比べて低温となり、その部分からの熱電子の放出は格段に少なくなる。その結果、フィラメントからの熱電子の放出はフィラメントコイルの長さ方向の中央部が主体となる。また、フィラメントコイルの長さ方向の中央部ではフィラメントコイルの温度分布がほぼ一様であるため、熱電子はフィラメントコイルの中心軸に直交する方向にほぼ放射状に放出される。その結果、フィラメント14から放出された熱電子は、フィラメントコイルの長さ方向では、フィラメントコイルの高温部分の長さかそれより若干長い幅でフィラメントコイルの中心軸と直交する方向にほぼ平行に走行し、またフィラメントコイルの長さの方向と直交する方向では、フィラメントコイルの中心軸に対しほぼ放射状に走行する。しかし、本実施例では、フィラメント14の背面側に集束電極18を配置しているため、フィラメント14の周辺の電位分布が改善され、フィラメント14から放出された熱電子がフィラメント14の後方のステム基部26やフィラメント14の側方のシール部材34や放射窓枠体32には流れず、ターゲット30に集中させることができるようになった。
図3および図4を用いて、フィラメント14の背面側に集束電極18を配置した効果について説明する。図3はフィラメントの背面側に集束電極を配置しない場合の電位分布および電子軌道の計算例を、図4はフィラメントの背面側に集束電極を配置した場合の電位分布および電子軌道の計算例を示したものである。先ず、図3によりフィラメントの背面側に集束電極を配置しない場合について説明する。図3aはX線管内の電位分布と電子軌道の計算を行った範囲を示す図、図3bは電位分布の計算例を示す図、図3cは電子軌道の計算例を示す図である。図3aにおいて、電位分布と電子軌道の計算は、X線管内のフィラメント14の周辺の破線49で囲った範囲内で、フィラメント14のコイルの中心軸と直交する方向の電位分布と電気軌道について行っている。図3b、図3cに示すように集束電極18がない場合には、X線管の電位分布は等電位線50がフィラメント14のコイルの周囲にほぼ同心円状に配列されるため、電界はフィラメント14のコイルを中心にしてほぼ放射状になっている。その結果、フィラメント14から放出された電子はこの電界に従って加速されることになり、その電子軌道51はフィラメント14のコイルを中心として放射状になり、ターゲット30以外にシール部材34や放射窓枠体32にも衝突する。シール部材34や放射窓枠体32はターゲット30を構成していないため、これらの部材に電子が衝突してもX線の発生効率は低く、また発生したX線もX線放射窓28の方向を向いているとは限らないため外部に取り出しにくい。その結果、フィラメントの背面側に集束電極を配置しないX線管では、フィラメント14から放出された電子によるX線管電流に対するX線発生効率が格段に低下する。
次に、図4により本実施例のようにフィラメントの背面側に集束電極を配置した場合について説明する。図4において、図4(a)は電位分布の計算例を示す図、図4(b)は電子軌道の計算例を示す図である。X線管内の電位分布と電子軌道の計算を行った範囲は図3aに示した範囲と同じである。ここで、集束電極18は、長方形の板状体である。図4(a)、(b)に示すように集束電極18をフィラメント14の背面側に配置したことにより、X線管の電位分布としては等電位線50がフィラメント14と集束電極18とを合体したものの周りに大略円形を描いて配列されるが、フィラメント14の近傍に凹状の部分50aが発生し、この凹状の部分50aで形成される電界が、フィラメント14のコイルの後方および側方で発生した電子をフィラメント14の前方に向けて、すなわちターゲット30に向けて走行させる電界となっている。このため、フィラメント14で発生した電子の電子軌道51はフィラメント14の後方や側方には走行せず、殆んどのものがターゲット30に向けて走行し、その結果、電子はターゲット30に衝突してX線を発生するため、X線の発生効率は図3の場合に比べ格段に向上することになる。その結果、X線放射窓28を通してX線管の外部に取り出すことができるX線量も格段に増加する。また、ターゲット30面上における電子密度分布は外周部では高密度で、中央部では低密度となっているため、ターゲット30の外周部で発生するX線量が多くなっている。
また、本実施例のX線管では、陰極12の集束電極18の構造を変えることによって、陽極のターゲット30に衝突する陰極12からの電子の密度分布を調整している。図4(b)から判るようにフィラメント14の後方に長方形の集束電極18を配置した場合、ターゲット30に衝突する電子の密度分布はターゲット30の中央部で小さく、周辺部で大きくなっている。この電子密度分布は集束電極18の長方形板の幅寸法を変えることにより変化し、集束電極18の幅寸法を大きくすると、周辺部の電子密度の大きい部分がターゲット30の中心側に寄ってきて、集束電極18の幅寸法を小さくすると電子密度の大きい部分がターゲット30の外周側に広がって行く。図5はターゲット上の電子密度分布の計算例を示したもので、集束電極18の長方形板の幅寸法を5種類変化させたものが示されている。図5において、横軸は管軸(ターゲットの中心)48からの距離を、縦軸は電流密度を示している。図5によれば、いずれの幅寸法の集束電極においても、電流密度は管軸48のまわりでは小さく、周辺部では大きくなっており、また電流密度の大きい部分は集束電極18の幅寸法が小さいときは外側にあり、幅寸法が大きいときは内側に寄ってきていることが判る。
本実施例のX線管では、陰極12のフィラメント14から放射状に放出されている電子をX線放射窓28上のターゲット30の面上に集束させているが、図5に示す如くターゲット30上における電流密度分布は均一ではなく、管軸48に近い部分が疎で、周辺部が密になっている。ターゲット30上における発熱量の分布は通常電流密度分布とほぼ同じかそれに近似するものになるので、ターゲット30上の電流密度の密な部分は局所的に高温になる。ターゲット30はX線放射窓28上に蒸着によって形成された薄膜であることから、ターゲット30の面の局所的な高温はこの薄膜の損傷の原因となるものであり、望ましくない。このため、本発明では、ターゲット30上の電流密度が図5に示す如く集束電極18の幅寸法の値によって制御できることを利用して、ターゲット30上の電流密度の密な部分を放射窓枠体32にできるだけ近い周辺部に移動させ、ターゲット30の中心部には電流密度の疎の部分が来るように電流密度を調整している。このようにすることにより、ターゲット30の面上の局所的な高温部分からの熱は近接する放射窓枠体32にすみやかに熱伝導されるため、局所的な発熱部分はすみやかに冷却される。図6には集束電極の幅寸法とX線放射窓上の最高温度との関係を示す。図6において、横軸は集束電極の幅寸法を、縦軸にはX線放射窓上の最高温度は、集束電極の幅寸法が小さいときには低く、幅寸法が大きくなるにつれて上昇している。図6の結果を図5の結果と対比して考えた場合、集束電極の幅寸法を小さくすることにより、フィラメントからの電子が衝突するターゲットの面積が広がるために、ターゲット面全体として平均の電子密度が低下し、また電子密度の密な部分が放射窓枠体に近接して行き、冷却効果が向上したことにより、ターゲット面の最高温度が低下し、それに接するX線放射窓面の温度も低下したものと見られる。
次に、図1を用いて本発明に係る透過型X線管の第2の実施例について説明する。本実施例では、全体構造は図1の第1の実施例とほぼ同じであるが、X線放射窓28を支持する放射窓枠体32の材料を、銅や銀などの高熱伝導率の金属材料とし、更にX線放射窓28を支持する部分であるX線放射窓28の外周に近い部分を肉厚構造としたものである。これは、放射窓枠体32の熱伝導性を向上させて、X線放射窓28の外周部の冷却効果を高めるためのものであり、それによって、ターゲット30の周辺部への電流密度の増加による温度上昇を防止するものである。また、そのためには、放射窓枠体32の構造について、更にその外周または上面に放熱フィンを取り付けてもよい。
次に、図7を用いて、本発明に係る透過型X線管の第2の実施例について説明する。図7は本実施例のX線管の全体構造図である。図7において、本実施例のX線管は陰極の集束電極およびその支持体の構造を除いて図1に示した第1の実施例のX線管の構造と同じである。このため、以下では、陰極の構造を重点に説明する。図7において、X線管52の陰極53はフィラメント14と、2個のフィラメント支持体16と、集束電極54と、絶縁支持体20と、結合支持体22と、支持金具21などから構成される。フィラメント14はその脚部14aを2個のフィラメント支持体16によって支持され、フィラメント支持体16はその端子部16bを外囲器24のステム基部26によって支持されている。本実施例では集束電極54はステンレス鋼などの導電性を有する耐熱性金属材料から成り、略円筒形状をしていて、フィラメント14のコイル部分を囲むように配置されている。集束電極54の形状については図示の円筒形状に限定されず、円筒形状に類似した筒状体、例えば角筒形状や楕円形状などをした筒状体でもよい。すなわち、円筒状体と同様な電位分布をフィラメント14の周りに形成できる筒状体であれば円筒状体と同様な効果を上げることができる。
図7において、集束電極54は第1の実施例の場合と同様な方法で、絶縁支持体20と結合支持体22を介して2個のフィラメント支持体16に支持されている。集束電極54の円筒部の内周面には、フィラメント支持体16のフィラメント16aを収容するための小さい円形の穴の一部54aと、絶縁支持体20を収容するための大きい円形の穴の一部54bが加工されている。また、集束電極54と同電位になるフィラメント支持体16には、そのフィラメント支持部16に近い部分の外側に結合支持体22のL字形の長辺部分を収容する切欠き部16cが設けられている。集束電極54のフィラメント支持体16への取り付け手順は第1の実施例とほぼ同じであるが、フィラメント支持体16のフィラメント支持部16aと、絶縁支持体20とが嵌合する穴54a、54bが完全な円形ではなく、円形の半分以下になっていることと、結合支持体22が集束電極54の下面54cとフィラメント支持体16の外側に、設けられた切欠き部16cに結合されていることなどで異なる。集束電極54は結合支持体22と結合されたフィラメント支持体16とは同電位であり、絶縁支持体20と結合されたフィラメント支持体16との間では絶縁されている。集束電極54をフィラメント支持体16に取り付けるときの、フィラメント14のコイル部分の上面の集束電極54の上面に対する高さは、フィラメント14のコイルの外径、集束電極54の大きさ、ターゲット30の面の大きさ、フィラメント14とターゲット30との間隔に応じて調整される。
本実施例ではフィラメント14の周囲にフィラメント14とほぼ同電位の円筒状の集束電極54をフィラメント14の上面とほぼ同程度の高さの位置に配置したことにより、フィラメント14から放出された電子はフィラメント14の後方や側方に向かっては走行せず、フィラメント14の上方に向けて走行して、第1の実施例と同様にターゲット30の面上に集束されるようになった。これは、フィラメント14のコイル部分がフィラメント14の長さよりも大きな直径の円形の穴に配置されているために、フィラメント14と集束電極54とターゲット30とによって、第1の実施例と同様に、フィラメント14のコイル部分の周辺にフィラメント14から放出された電子を上方に向けて走行させるような電位分布と電界が形成され、その結果、フィラメント14の高温部から放出された電子は、前方に放出されたものはもちろんのこと、側方または後方に放出されたものも、ゆるやかに上方に集束されて、ターゲット30面に向けて走行する。このように、フィラメント14から放出された電子の殆んど全てのものがターゲット30面上に集束され、衝突することにより、本実施例においても、X線発生効率は向上し、従来品よりも格段に多いX線量を外部に取り出すことができる
本発明に係る透過型X線管の第1の実施例の全体構造図。 第1の実施例のX線管の集束電極の構造と集束電極のフィラメント支持体への取り付け方法を説明するための図。 第1の実施例のX線管においてフィラメントの背面側に集束電極を配置しない場合のX線管内の電位分布と電子軌道の計算を行った範囲を示す図。 図3aの場合の電位分布の計算例。 図3aの場合の電子軌道の計算例。 第1の実施例のX線管においてフィラメントの背面側に集束電極を配置した場合の電位分布および電子軌道の計算例。 第1の実施例のX線管のターゲット上の電子密度分布の計算例。 第1の実施例のX線管の集束電極の幅寸法とX線放射窓上の最高温度との関係を示す図。 本発明に係る透過型X線管の第2の実施例の全体構造図。
符号の説明
10、52・・・透過型X線管(X線管)
12、53・・・陰極
14・・・フィラメント
14a・・・脚部
16・・・フィラメント支持体
16a・・・フィラメント支持部
16b・・・端子部
16c・・・切欠き部
17・・・凹部
18、54・・・集束電極
20、56・・・絶縁支持体
22、58・・・結合支持体
24・・・外囲器
26・・・ステム基部
26a・・・底部
26b・・・円筒部
28・・・X線放射窓
30・・・ターゲット
32・・・放射窓枠体
32a・・・底部
32b・・・円筒部
34・・・シール部材
36・・・シールド
38・・・排気管
39・・・端子板
40、41、42・・・貫通孔
44、46・・・メタライズ層
48・・・X線管中心軸(管軸)
50・・・等電位線
50a・・・凹状の部分
51・・・電子軌道

Claims (3)

  1. 電子を放出するフィラメントと、フィラメントを支持するフィラメント支持体を有する陰極と、フィラメントから放出された電子が衝突してX線を発生する薄膜のターゲットが積層されたX線放射窓と、X線放射窓を支持する放射窓枠体とを有し、フィラメントがターゲットと対向するように陰極を真空気密に内包して、絶縁して支持する外囲器とを備えた透過型X線管において、前記フィラメントから放出された電子を前記ターゲットに衝突するように集束する集束電極を前記フィラメント支持体に取り付けたことを特徴とする透過型X線管。
  2. 請求項1記載の透過型X線管において、前記ターゲットに衝突する電子の電流密度分布を、前記ターゲットの前記放射窓枠体に近接した部分で電流密度が高くなるようにしたことを特徴とする透過型X線管。
  3. 請求項1および2記載の透過型X線管において、前記集束電極を板状体とし、前記フィラメントの、前記ターゲットとの対向面とは反対側に配設したことを特徴とする透過型X線管。
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