JP2006161091A - ピニオンシャフト - Google Patents

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Abstract

【課題】 曲がりを抑制して耐久性の向上を図ることができるピニオンシャフトを提供する。
【解決手段】 変速機の遊星歯車機構のピニオンP1を針状ころ51を介して回転可能に支持するピニオンシャフトCであって、素材として、0.9〜1.5重量%の炭素、0.9〜1.2重量%のクロム、0.4〜0.8重量%の珪素、0.9〜1.2重量%のマンガンを含有し、窒素の重量%を0.03以下とする鋼を用い、表面硬さをHv750以上に焼入れ硬化させ、且つ表面の残留オーステナイト量を15〜50体積%とすると共に、芯部の残留オーステナイト量を0体積%とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば自動車の自動変速機等の遊星歯車機構を構成するピニオンを針状ころを介して回転可能に支持するピニオンシャフトに関する。
従来のこの種のピニオンシャフトとしては、例えば、素材として、0.5〜1.2重量%の炭素、0.05〜0.4重量%の窒素を含有する鋼を用い、高周波焼入れによりビッカース硬さをHv650以上とし、且つ残留オーステナイト量が15〜40体積%である表面層を設けると共に、芯部の残留オーステナイト量を0体積%とすることで、耐転がり疲労性に優れ、塑性変形が生じにくいピニオンシャフトとしたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2002−4003号公報
しかしながら、最近は、自動車の自動変速機等の使用条件が厳しくなり、上記特許文献1記載のピニオンシャフトでは、耐久性が不足する場合がある。
即ち、ピニオンシャフトは、通常、焼入れ鋼が使用されるが、不可避的に内在する残留オーステナイト組織のために、80°C以上の高温使用において、残留オーステナイト組織が分解し体積膨張を生じる。
80°C以上の温度でピニオンシャフトが弾性変形すると、圧縮応力が作用する部分よりも引っ張り応力が作用する部分の残留オーステナイト組織の分解速度が速いために、一般的に、ピニオンシャフトは、キャリヤヘの取り付け部に対し、そこから離れるほど弓状に塑性曲がりを発生するようになり、その速度は、ピニオンシャフトの温度が高いほど、遊星歯車の公転速度が速いほど、また、ピニオンシャフトが細く長いほど、ピニオンに負荷されるトルクが高いほど、大きくなる。
最近の自動車の自動変速機等においては、小型化のために遊星歯車機構のピニオンシャフトを細くすることが要求されており、このため、ピニオンシャフトには弾性曲がりに加えて、上述した塑性曲がりが発生しやすい。ピニオンシャフトに曲がりが発生すると、ピニオンシャフトと針状ころとが均一に接触しなくなり、エッジ当たりが生じてピニオンシャフトの耐久性が低下するという問題が生じる。
本発明はこのような不都合を解消するためになされたものであり、曲がりを抑制して耐久性の向上を図ることができるピニオンシャフトを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、変速機の遊星歯車機構のピニオンを針状ころを介して回転可能に支持するピニオンシャフトであって、
素材として、0.9〜1.5重量%の炭素、0.9〜1.2重量%のクロム、0.4〜0.8重量%の珪素、0.9〜1.2重量%のマンガンを含有し、窒素の重量%を0.03以下とする鋼を用い、表面硬さをHv750以上に焼入れ硬化させ、且つ表面の残留オーステナイト量を15〜50体積%とすると共に、芯部の残留オーステナイト量を0体積%としたことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1において、最低硬さがHv300以上であることを特徴とする。
本発明によれば、ピニオンシャフトの素材として、0.9〜1.5重量%の炭素、0.9〜1.2重量%のクロム、0.4〜0.8重量%の珪素、0.9〜1.2重量%のマンガンを含有し、窒素の重量%を0.03以下とする鋼を用い、表面硬さをHv750以上に焼入れ硬化させ、且つ表面の残留オーステナイト量を15〜50体積%とすると共に、芯部の残留オーステナイト量を0体積%としているので、ピニオンシャフトの曲がりが抑制されてピニオンシャフトと針状ころとが均一に接触し、これにより、エッジ当たりが回避されて耐久性の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態の一例を図を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態の一例である遊星歯車機構のピニオンシャフトの周辺構造を示す断面図、図2はピニオンシャフトの寿命試験機の断面図である。
図1において符号Cは本発明の実施の形態の一例であるピニオンシャフトであり、このピニオンシャフトCは両端部が遊星歯車機構のキャリヤQに取り付けられ、中央部にはラジアル針状ころ軸受50を介してピニオンP1が回転可能に支持されている。ラジアル針状ころ軸受50は、複列に配置された針状ころ51と、各列の針状ころ51を転動可能に保持する保持器52と、各列の保持器52間に配置されたスペーサ53とを備えており、また、ピニオンP1の端面とキャリヤQとの間にはワッシャWが介装されている。
ピニオンシャフトC内には、図1の右端面から軸線に沿って延設された袋孔Caと、袋孔Caの途中から半径方向に延設されてピニオンシャフトCの周囲において各列の軸受空間に開口する径孔Cbとが形成されている。そして、ラジアル針状ころ軸受50は、ピニオンシャフトCの外部より袋孔Ca及び径孔Cbを介して供給される潤滑剤により潤滑される。なお、スペーサ53の軸線方向幅は、スペーサ53を挟んでいる両脇列の針状ころ51の長さ以上であることが望ましく、また、その外径は、保持器52と略同等であるのが好ましい。また、スペーサ52とピニオンシャフトC及びピニオンP1との間には、所定のクリアランスが設けられているが、スペーサ53とピニオンシャフトCとは摺接しない構造になっている。
ここで、この実施の形態では、ピニオンシャフトCの素材として、0.9〜1.5重量%の炭素、0.9〜1.2重量%のクロム、0.4〜0.8重量%の珪素、0.9〜1.2重量%のマンガンを含有し、窒素の重量%を0.03以下とする鋼を用い、表面硬さをHv750以上に焼入れ硬化させ、且つ表面の残留オーステナイト量を15〜50体積%とすると共に、芯部の残留オーステナイト量を0体積%とし、更に、ピニオンシャフトCの最低硬さをHv300以上としている。
これにより、ピニオンシャフトCの曲がり量を抑制してピニオンシャフトCと針状ころ51との接触状態を均一にし、エッジ当たりを回避して耐久性の向上を図るようにしている。
以下、詳述する。
ピニオンシャフトCの曲がり量を抑制するには、経時的に増大するシャフト塑性曲がり量を抑制することが重要である。そのためには、ピニオンシャフトC全体に渡り、径方向中心部には残留オーステナイト組織が存在しないことが有効である。ピニオンシャフトCの表面層にも残留オーステナイト組織がないことが塑性曲がり抑制の観点からは望ましいが、転がり疲れ強さを著しく低下させるので、最適値としてピニオンシャフトCの表面において15〜50体積%の残留オーステナイト濃度を持つことが必要である。
但し、これのみでは不十分で、残留オーステナイト組織を安定化させ、その分解速度を遅れさせることが重要である。そのためには、ピニオンシャフトCの素材の鋼に0.9〜1.5重量%の炭素、0.4〜0.8重量%の珪素、0.9〜1.2重量%のマンガンを含有させることが必要である。窒素は珪素との親和力が強く、窒素が0.03重量%を超えて含有されると、珪素の上記効果が著しく低下するので、窒素濃度は0.03重量%以下であることが必要である。
また、高周波焼入れを容易とするためにクロム濃度を1.2重量%以下としながらも、転がり疲れ強さを確保するために0.9重量%以上のクロムを含有することが必要である。更に、ピニオンシャフトCの塑性曲がりを抑制するためには、ピニオンシャフトCの最低硬さ(一般的にはシャフトの径方向中心部の硬さ)をHv300以上、好ましくはHv400以上にすることも有効である。更に、ピニオンシャフトCの表面硬さは転がり疲れの観点からHv750以上とすることが必要である。
表1に示す化学成分の鋼からピニオンシャフトを作製し、図2に主要部を示す試験機で回転耐久試験を行なった。なお、ピニオン内のピニオンシャフト、保持器及び針状ころの構造は図1と略同様にした。
Figure 2006161091
試験機は、ピニオンP1を公転させながら自転させるもので、サンギヤ回転軸105が軸受により回転自在に支持され、サンギヤ回転軸105の右端にはサンギヤSが形成されている。
また、キャリヤ回転軸107が軸受により回転自在に支持され、キャリヤ回転軸107の左端にはキャリヤQが取り付けられている。キャリヤ回転軸107の内部に設けられた通路107aと、キャリヤQ内部に形成された通路Qaと、ピニオンシャフトCの袋孔Ca及び径孔Cbとを介して所定量の潤滑剤を針状ころ軸受50の軸受空間に供給するようになっている。また、ピニオンシャフトCは針状ころ軸受50を介してピニオンP1を回転自在に支持している。
そして、ピニオンシャフトCの直径20mm、長さ85mmで、径孔Cbの孔径φ7mとした。ピニオンシャフトCには、ピニオンP1、針状ころ51、保持器52、スペーサ53及びワッシャWに負荷される遠心力が作用する。また、ピニオンP1の公転速度を調整し、針状ころ軸受50に動定格荷重の40%の荷重が負荷されるようにした。なお、ピニオンP1からの廃油温度は120°Cで、油の粘度グレードはVG7である。
また、ピニオンシャフトCの硬化層深さ(Hv550以上の表面層厚さ)は1.1mmとした。熱処理は、前処理として、ピニオンシャフトCの焼入れを行ない、A1点以下の温度で焼き鈍しを行なった後に、高周波焼入れを行った。熱処理後の表面の残留オーステナイト量は、表面を約50μm電解研摩した後に測定した。
表2に、試験に用いたピニオンシャフトCの素材の化学成分、表面硬さ(Hv)、芯部硬さ(Hv)、表面の残留オーステナイト量γR 、芯部の残留オーステナイト量γR を示す。なお、ビッカース硬さの測定は測定荷重300gで行なった。
寿命試験は、計算寿命の3倍で打ち切ったが、それまでにピニオンシャフトCがフレーキングした場合を不合格(表中NG)、フレーキングがない場合を合格(表中OK)とした。結果を表2に併せて示す。
Figure 2006161091
表2から明らかなように、ピニオンシャフトCの素材の化学成分、表面硬さ(Hv)、芯部硬さ(Hv)、表面の残留オーステナイト量γR 及び芯部の残留オーステナイト量γR が本発明範囲内であるNo.1〜No.3はいずれも、ピニオンシャフトCにフレーキングは発生しておらず、ピニオンシャフトCの曲がりが抑制されてピニオンシャフトCと針状ころ51とが均一に接触し、エッジ当たりが回避されて耐久性が向上したことが確認できた。
これに対し、No.4〜No.16については、ピニオンシャフトCの素材の化学成分、表面硬さ(Hv)、芯部硬さ(Hv)、表面の残留オーステナイト量γR 及び芯部の残留オーステナイト量γR のいずれかが本発明範囲外(表中下線で示す)であるため、計算寿命の3倍に到達する前にフレーキングが発生した。なお、ピニオンシャフトCの熱処理は、前処理として、焼入れに代えて浸炭焼入れ、浸炭窒化焼入れ、或いは焼ならし、焼き鈍しをしてもよいが、炭素、窒素の重量%をそれぞれ1.5以下、0.03以下とする必要がある。
本発明の実施の形態の一例である遊星歯車機構のピニオンシャフトの周辺構造を示す断面図である。 ピニオンシャフトの耐久試験機の主要部を示す断面図である。
符号の説明
C ピニオンシャフト
P1 ピニオン
51 針状ころ

Claims (2)

  1. 変速機の遊星歯車機構のピニオンを針状ころを介して回転可能に支持するピニオンシャフトであって、
    素材として、0.9〜1.5重量%の炭素、0.9〜1.2重量%のクロム、0.4〜0.8重量%の珪素、0.9〜1.2重量%のマンガンを含有し、窒素の重量%を0.03以下とする鋼を用い、表面硬さをHv750以上に焼入れ硬化させ、且つ表面の残留オーステナイト量を15〜50体積%とすると共に、芯部の残留オーステナイト量を0体積%としたことを特徴とするピニオンシャフト。
  2. 最低硬さがHv300以上であることを特徴とする請求項1に記載したピニオンシャフト。
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