JP2003301933A - ピニオンシャフト及びプラネタリギヤ装置 - Google Patents

ピニオンシャフト及びプラネタリギヤ装置

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JP2003301933A
JP2003301933A JP2002108285A JP2002108285A JP2003301933A JP 2003301933 A JP2003301933 A JP 2003301933A JP 2002108285 A JP2002108285 A JP 2002108285A JP 2002108285 A JP2002108285 A JP 2002108285A JP 2003301933 A JP2003301933 A JP 2003301933A
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JP
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mass
pinion shaft
pinion
gear
planetary gear
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JP2002108285A
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English (en)
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Kenji Yamamura
賢二 山村
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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    • F16C19/00Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement
    • F16C19/22Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing rollers essentially of the same size in one or more circular rows, e.g. needle bearings
    • F16C19/44Needle bearings
    • F16C19/46Needle bearings with one row or needles
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    • F16C33/30Parts of ball or roller bearings
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温下において高速回転で使用しても長寿命
なピニオンシャフト、及び高温下において高速回転で使
用しても長寿命で安価なプラネタリギヤ装置を提供す
る。 【解決手段】 プラネタリギヤ装置のサンギヤ1及びリ
ングギヤ2に噛み合うピニオンギヤ3を回転自在に支持
するピニオンシャフト5を、炭素を0.5〜1.2質量
%、クロムを0.5〜2.5質量%、ケイ素を0.6〜
1.5質量%、マンガンを0.15〜1.5質量%、モ
リブデンを3.0質量%以下、酸素を12ppm以下含
有し、残部が鉄及び不可避の不純物である合金鋼で構成
したうえ、窒化処理,転走面となる部分のみに対する高
周波焼入れ処理,及び焼戻し処理を施して、表面の窒素
濃度を0.05〜0.6質量%、表面の残留オーステナ
イト量を3体積%以下とした。そして、このピニオンシ
ャフト5をキャリヤ4にかしめによって固定した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温下において高
速回転で使用しても長寿命なピニオンシャフト、及び高
温下において高速回転で使用しても長寿命で安価なプラ
ネタリギヤ装置に係り、特に、自動車,工作機械等の減
速機や変速機に好適なピニオンシャフト及びプラネタリ
ギヤ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車の自動変速機に用いられる
プラネタリギヤ装置は、サンギヤ,リングギヤ,及びキ
ャリヤを備えており、これらの回転要素は出力軸の周り
に同心に配されている。また、サンギヤ及びリングギヤ
に噛み合うピニオンギヤが、キャリヤに固定されたピニ
オンシャフトに、軸受用ころを介して回転自在に支持さ
れている。そして、各回転の遠心力によって各回転要素
に潤滑油が供給されるように、油路が備えられている。
【0003】しかしながら、プラネタリギヤ装置の構造
は、ピニオンギヤが自転しながら公転するという複雑な
ものであるので、十分な潤滑油をピニオンシャフト及び
ころ軸受に供給することは困難であった。また、各回転
要素の中ではピニオンギヤの回転速度が最も高いので、
ピニオンギヤを支持するピニオンシャフトには、ピニオ
ンギヤに作用する遠心力を支えるために大きな荷重が負
荷される傾向があった。
【0004】したがって、従来のプラネタリギヤ装置に
おいては、ピニオンシャフトはJIS鋼種SK5等で構
成され、焼入れを施すことにより転動部材として必要な
硬さ(Hv650以上)が付与されていた。そして、焼
入れ法として高周波焼入れ法を採用することにより、軸
受用ころが転走する部分(転走面)のみに高周波焼入れ
が施され、高周波焼入れが施されていない端部をかしめ
ることによってピニオンシャフトがキャリアに固定され
ていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年、自動車の低燃費
化の要求がますます強まっており、低燃費化を目的とし
てトランスミッションの小型化や高効率化が行われてい
る。そのため、ピニオンギヤの回転速度が高まっている
ので、ピニオンシャフトに負荷される荷重が増大し、温
度が上昇し、さらに潤滑油量が減少する傾向となってい
る。
【0006】その結果、前述のような従来のピニオンシ
ャフトでは、潤滑不良等による剥離寿命が問題となる場
合があった。このような場合には、ピニオンシャフトを
JIS鋼種SUJ2で構成し、浸炭窒化処理等を施して
寿命を確保していたが、そうすると、ピニオンシャフト
をかしめによってキャリアに固定することができないの
で、キャリヤにねじ穴を加工してピニオンシャフトをね
じで固定する必要があることから、プラネタリギヤ装置
のコストが高くなるという問題点があった。
【0007】また、前述した荷重の増大及び温度の上昇
のために、変形や早期剥離(滑りの増大に伴って摩耗が
生じ、その摩耗による面荒れから早期剥離が生じる)が
発生しやすく、寿命が不十分となるという問題があっ
た。そこで、本発明は、上記のような従来のピニオンシ
ャフト及びプラネタリギヤ装置が有する問題点を解決
し、高温下において高速回転で使用しても長寿命なピニ
オンシャフト、及び高温下において高速回転で使用して
も長寿命で安価なプラネタリギヤ装置を提供することを
課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発
明に係る請求項1のピニオンシャフトは、プラネタリギ
ヤ装置において使用され、同心に配されたサンギヤ及び
リングギヤに噛み合うピニオンギヤを回転自在に支持す
るピニオンシャフトであって、炭素を0.5〜1.2質
量%、クロムを0.5〜2.5質量%、ケイ素を0.6
〜1.5質量%、マンガンを0.15〜1.5質量%、
モリブデンを3.0質量%以下、酸素を12ppm以下
含有し、残部が鉄及び不可避の不純物である合金鋼で構
成されたうえ、窒化処理,転走面となる部分のみに対す
る高周波焼入れ処理,及び焼戻し処理が施されており、
表面の窒素濃度が0.05〜0.6質量%、表面の残留
オーステナイト量が3体積%以下であることを特徴とす
る。
【0009】また、本発明に係る請求項2のプラネタリ
ギヤ装置は、サンギヤと、該サンギヤと同心に配された
リングギヤと、前記サンギヤ及び前記リングギヤに噛み
合う1個以上のピニオンギヤと、前記ピニオンギヤに対
応するピニオンシャフトを有し、前記サンギヤ及び前記
リングギヤと同心に配されたキャリヤと、前記ピニオン
ギヤの内周面と前記ピニオンシャフトの外周面との間に
転動自在に配設された複数のころと、を備えていて、前
記ピニオンギヤが前記ピニオンシャフトを軸として回転
自在とされているプラネタリギヤ装置において、前記ピ
ニオンシャフトを請求項1に記載のピニオンシャフトと
し、このピニオンシャフトを前記キャリヤにかしめによ
って固定したことを特徴とする。
【0010】焼入れには高周波焼入れを採用し、ピニオ
ンシャフトの外周面のうちの前記ころの転走面となる部
分のみに高周波焼入れを施す必要がある。そうすると、
ピニオンシャフトの端部には高周波焼入れが施されず硬
化されていないから、端部をかしめてキャリヤに固定す
ることができる。よって、プラネタリギヤ装置を安価に
製造することができる。
【0011】使用条件の高温化,高速化に伴う滑りの発
生や潤滑不良による早期剥離を防止するためには、摩耗
による面荒れを抑制するため表面の窒素濃度を高くする
ことが有効である。窒素は、窒化処理によって表面に容
易に添加することが可能であるが、オーステナイトを安
定化させる元素であるので、焼入れ後の残留オーステナ
イト量が高くなる。
【0012】しかし、残留オーステナイトは高温で分解
して変形を生じさせ、高温で使用する場合には寿命を低
下させるおそれがあるので、焼戻し時に極力分解させて
おく必要がある。残留オーステナイトを分解するために
は、焼戻し温度を高くする必要があるが、そうすると表
面の硬さが低下して転動疲労寿命が低下するおそれがあ
る。よって、高温焼戻し処理を施した際の表面の硬さの
低下による転動疲労寿命の低下を抑制するためには、焼
戻し軟化抵抗性の高いケイ素を適量添加することが有効
であり、さらに、寿命の低下を防ぐためには表面の残留
オーステナイト量を3体積%以下とすることが有効であ
る。また、ケイ素を適量添加した合金鋼の表面に、窒化
処理によって窒素を適量添加すると、さらに高温での硬
さが高くなるため、転動疲労寿命の向上に非常に有効で
ある。
【0013】以下に、本発明における前記各数値の臨界
的意義について説明する。 〔炭素の含有量:0.5〜1.2質量%〕炭素(C)
は、基地をマルテンサイト化して焼入れ・焼戻し後の硬
さを向上させるために必要な元素である。炭素の含有量
が0.5質量%未満であると転動部材として必要な表面
硬さ(ビッカース硬さHv650以上)を得ることが困
難となり、1.2質量%超過であると合金鋼の製造段階
において転動疲労寿命に有害な粗大炭化物が析出しやす
い。このような問題が生じにくくするためには、炭素の
含有量は0.7〜1.0質量%とすることがより好まし
い。
【0014】〔クロムの含有量:0.5〜2.5質量
%〕クロム(Cr)は焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗性を
向上させるのに有効な元素であり、基地を強化して転動
疲労寿命を向上させる。また、微細な炭化物を形成して
耐摩耗性を向上させる働きも有する。さらに、炭化物形
成元素であるため、浸炭窒化層の炭素濃度を高める作用
があり、浸炭窒化特性の向上にも有効である。
【0015】このような効果を十分に発揮させるために
は、クロムの含有量は0.5質量%以上とする必要があ
る。しかし、多量に添加しても上記効果が飽和してしま
うばかりか、表面に不動態膜が形成されることにより、
かえって浸炭窒化特性が阻害されるおそれがあるため、
クロムの含有量は2.5質量%以下とする必要がある。
【0016】〔ケイ素の含有量:0.6〜1.5質量
%〕ケイ素(Si)は、製鋼時の脱酸剤として必要な元
素であり、また、焼戻し軟化抵抗性を高めて高温環境に
おける寿命の向上に有効な元素である。このような効果
を十分に発揮させるためには、ケイ素の含有量は0.6
質量%以上とする必要があり、0.8質量%以上とする
ことがより好ましい。しかしながら、多量に添加しても
寿命向上効果が飽和してしまうばかりか、鋼材の被削性
が低下してコストが上昇するため、上限を1.5重量%
とした。
【0017】〔マンガンの含有量:0.15〜1.5質
量%〕マンガン(Mn)は、製鋼時の脱酸剤及び脱硫剤
として必要な元素であり、また、焼入れ性を向上させる
のに有効な元素であるため、0.15質量%以上含有さ
せる必要がある。しかし、含有量を高くしすぎると非金
属介在物が多くなり、かえって寿命が低下するおそれが
ある。また、鋼材の鍛造性及び被削性等の機械加工性が
低下するため、上限は1.5質量%とした。
【0018】〔モリブデンの含有量:3.0質量%以
下〕モリブデン(Mo)はクロムと同様に、焼入れ性及
び焼戻し軟化抵抗性を向上させるのに有効な元素であ
り、また、高硬度で微細な炭化物を形成して耐摩耗性の
向上に役立つため、コストが許す限り積極的に含有させ
ることが好ましい。しかしながら、3.0質量%を超え
て含有させても上記効果が飽和してしまうばかりか、製
鋼の段階で粗大な炭化物を形成して、かえって寿命の低
下を招くおそれがある。また、コストも非常に高価とな
るため、上限を3.0質量%とする必要がある。なお、
上記効果と寿命,コストとのバランスを考慮すると、モ
リブデンの含有量は0.5〜1.5質量%とすることが
より好ましい。
【0019】〔酸素の含有量:12ppm以下〕酸素
(O)は、転動疲労寿命に有害な酸化物系の非金属介在
物を形成するため、その含有量は極力低くする必要があ
る。寿命に悪影響を及ぼさないためには、12ppm以
下とする必要があり、9ppm以下とすることがより好
ましい。なお、本発明における合金鋼には、これらの合
金元素以外に不可避の不純物として、リン(P),イオ
ウ(S),ニッケル(Ni),銅(Cu),アルミニウ
ム(Al),及びチタン(Ti)等が含有される。
【0020】〔表面の窒素濃度:0.05〜0.6質量
%〕窒素は炭素と同様に基地をマルテンサイト化する作
用を有しており、さらに焼戻し軟化抵抗性を向上させる
のに有効な元素であるが、常温では気体であるため製鋼
時に多量に含有させることは困難である。よって、窒化
処理により表面に添加する。
【0021】窒素は高温における表面の硬さを高くする
作用を有するため、高温下での耐摩耗性及び寿命を向上
させるのに役立つ。このような効果を十分に発揮させる
ためには、表面の窒素濃度は0.05質量%以上とする
必要があり、0.1質量%以上とすることが好ましい。
一方、窒素は残留オーステナイトを安定化させる作用を
有しており、多量に添加すると残留オーステナイト量が
必要以上に多くなったり、残留オーステナイトを分解さ
せるために焼戻し温度を高くする必要が生じて、表面硬
さの低下を招き、かえって寿命を低下させるおそれがあ
る。よって、表面の窒素濃度は0.6質量%以下とする
必要がある。なお、熱処理後の仕上げ加工性の点から
は、0.3質量%以下とすることがより好ましい。
【0022】〔表面の残留オーステナイト量:3体積%
以下〕残留オーステナイトは表面疲労型の寿命を向上さ
せるためには有効であるが、長い接触部分を有する針状
のころから荷重を受けるピニオンシャフトの場合は、高
温で応力を受けることにより分解して軌道面の変形を招
くため、多量に存在するとかえって高温での寿命を低下
させてしまう。よって、ピニオンシャフトの表面の残留
オーステナイト量は3体積%以下とする必要があり、0
体積%とすることがより好ましい。
【0023】残留オーステナイト量は合金元素と熱処理
条件によって調整することが可能であり、前述したよう
な合金元素量であれば260℃以上の高温焼戻しを施せ
ばよい。好ましくは280℃以上の高温焼戻しを施し
て、残留オーステナイト量を極力低減させることが望ま
しい。ただし、焼戻しの温度をあまり高くしすぎると表
面硬さが低下して寿命が低下するので、焼戻しの温度は
350℃以下であることが好ましい。
【0024】なお、本発明におけるピニオンシャフトの
表面とは、ピニオンシャフトの外周面とピニオンギヤの
内周面との間に配設されピニオンギヤを回転自在とする
ころの直径の2%の深さまでの部分を意味する。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図面を参
照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は本発明
の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限
定されるものではない。図1に示すプラネタリギヤ装置
は、本発明の請求項1のピニオンシャフト及び請求項2
のプラネタリギヤ装置の実施形態であって、図示しない
軸が挿通されたサンギヤ1と、該サンギヤ1と同心に配
されたリングギヤ2と、サンギヤ1及びリングギヤ2に
噛み合う複数(図1においては3個)のピニオンギヤ3
と、サンギヤ1及びリングギヤ2と同心に配されピニオ
ンギヤ3を回転自在に支持するキャリヤ4と、を備えて
いる。
【0026】ピニオンギヤ3は、キャリヤ4に固定され
たピニオンシャフト5を介してキャリヤ4に支持されて
おり、ピニオンシャフト5の外周面とピニオンギヤ3の
内周面との間に配設された図示されない複数の針状ころ
によって、ピニオンシャフト5を軸として回転自在とさ
れている。ピニオンシャフト5は、炭素を0.5〜1.
2質量%、クロムを0.5〜2.5質量%、ケイ素を
0.6〜1.5質量%、マンガンを0.15〜1.5質
量%、モリブデンを3.0質量%以下、酸素を12pp
m以下含有し、残部が鉄及び不可避の不純物である合金
鋼で構成されている。そして、窒化処理に続いて、ピニ
オンシャフト5の外周面のうち前記針状ころが転走する
部分(転走面)のみに高周波焼入れ処理が施され、その
後に焼戻し処理が施されており、前記針状ころが転走す
る部分(転走面)の窒素濃度が0.05〜0.6質量
%、残留オーステナイト量が3体積%以下とされてい
る。
【0027】ピニオンシャフト5の端部には高周波焼入
れ処理が施されておらず、硬化されていないので、ピニ
オンシャフト5は、その端部をかしめることによってキ
ャリヤ4に固定されている。よって、このプラネタリギ
ヤ装置は安価に製造することができる。次に、表1に示
すような組成を有する種々の鋼で構成されたピニオンシ
ャフト(外径8mm、長さ24mm)を用意して、耐久
試験を行った。なお、鋼種Mは、JIS鋼種SUJ2で
ある。
【0028】
【表1】
【0029】これらのピニオンシャフトは、鋼材を所定
の寸法に旋削加工した後、熱処理を施し、さらに仕上げ
研削を行うことにより製造した。熱処理の内容は以下の
通りである。旋削加工した鋼材に塩浴窒化処理(540
〜570℃で2時間)を施し、続いて転走面となる部分
のみに高周波焼入れ処理(周波数30kHz、電圧10
kV、電流10A)を施した。そして、180〜350
℃で2時間焼戻し処理を施した。なお、鋼種C,E,
H,及びIについては、旋削加工後にそのまま窒化処理
を行い、それ以外のものについては、旋削加工後に調質
処理を施してから窒化処理を行った。
【0030】このようにピニオンシャフトを製造すれ
ば、高温における寸法安定性に有害な心部の残留オース
テナイト量を0体積%とすることができ、また、焼戻し
温度の調整によって表面の残留オーステナイト量を調整
することが可能である。なお、窒化処理の種類は塩浴窒
化処理に限定されるものではなく、ガス窒化処理,イオ
ン窒化処理等の慣用の窒化処理を採用することが可能で
ある。また、浸炭窒化処理を採用し炭素を添加してもよ
い。
【0031】次に、耐久試験の方法について、図2を参
照しながら説明する。外輪11にピニオンシャフト10
が挿通されており、両者10,11の間に転動自在に介
装された複数のニードルローラー12(外径2mm、長
さ15mm)によって、ピニオンシャフト10が回転可
能となっている。このピニオンシャフト10には図示の
ように潤滑油の給油孔10aが設けてあり、端面の開口
部10bに注入された潤滑油が円筒面に開口する給油孔
10aから転走面に給油されるようになっている。
【0032】ラジアル荷重4200N、回転速度100
00min-1、潤滑油の温度150℃の条件でピニオン
シャフト10を回転させ、剥離が生じるまでの時間を寿
命として評価した。なお、ラジアル荷重は、図示しない
サポート軸受を介して外輪11に負荷した。耐久試験の
結果を表2に示す。なお、表2中の寿命の数値は、SU
J2を用いた比較例6のL10寿命を1とした場合の相対
値で示してある。また、表面の窒素濃度は電子プローブ
微量分析装置(EPMA)で測定した値であり、残留オ
ーステナイト量(γR 量)はX線回折装置で測定した値
である。
【0033】
【表2】
【0034】供給している潤滑油の温度は150℃であ
るが、試験中のピニオンシャフトの温度は発熱によって
さらに数十℃高いと推測される。表2から分かるよう
に、実施例1〜9のピニオンシャフトは、このような高
温下においても比較例6と比べて2倍以上の優れた寿命
を有していた。それに対して、比較例1はケイ素の含有
量が低いため、寿命の向上効果が十分に得られていな
い。また、比較例2は炭素の含有量が低いために、表面
の強度が不足していると考えられる。さらに、比較例3
はクロムの含有量が低く、比較例4は表面の窒素濃度が
低いために、それぞれ寿命の向上効果が十分に得られて
いない。さらにまた、比較例5は焼戻し温度が低いため
に残留オーステナイト量が多く、寿命の向上効果が不十
分であった。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のピニオン
シャフトは高温下において高速回転で使用しても長寿命
であり、本発明のプラネタリギヤ装置は高温下において
高速回転で使用しても長寿命で安価である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラネタリギヤ装置の一実施形態
を示す分解斜視図である。
【図2】ピニオンシャフトの耐久試験の方法を説明する
断面図である。
【符号の説明】
1 サンギヤ 2 リングギヤ 3 ピニオンギヤ 4 キャリヤ 5,10 ピニオンシャフト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 57/02 301 F16H 57/02 301G Fターム(参考) 3J027 FA37 FB02 FB31 GC14 GC22 GE07 3J063 AA02 AA25 AB12 AC01 AC03 BA01 BB14 CA01 CB06 CB41 XA04 XA32 XA33 XC02 4K042 AA18 AA19 BA03 BA04 CA06 CA08 DA01 DA02 DA06 DB01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラネタリギヤ装置において使用され、
    同心に配されたサンギヤ及びリングギヤに噛み合うピニ
    オンギヤを回転自在に支持するピニオンシャフトであっ
    て、 炭素を0.5〜1.2質量%、クロムを0.5〜2.5
    質量%、ケイ素を0.6〜1.5質量%、マンガンを
    0.15〜1.5質量%、モリブデンを3.0質量%以
    下、酸素を12ppm以下含有し、残部が鉄及び不可避
    の不純物である合金鋼で構成されたうえ、窒化処理,転
    走面となる部分のみに対する高周波焼入れ処理,及び焼
    戻し処理が施されており、表面の窒素濃度が0.05〜
    0.6質量%、表面の残留オーステナイト量が3体積%
    以下であることを特徴とするピニオンシャフト。
  2. 【請求項2】 サンギヤと、該サンギヤと同心に配され
    たリングギヤと、前記サンギヤ及び前記リングギヤに噛
    み合う1個以上のピニオンギヤと、前記ピニオンギヤに
    対応するピニオンシャフトを有し、前記サンギヤ及び前
    記リングギヤと同心に配されたキャリヤと、前記ピニオ
    ンギヤの内周面と前記ピニオンシャフトの外周面との間
    に転動自在に配設された複数のころと、を備えていて、
    前記ピニオンギヤが前記ピニオンシャフトを軸として回
    転自在とされているプラネタリギヤ装置において、 前記ピニオンシャフトを請求項1に記載のピニオンシャ
    フトとし、このピニオンシャフトを前記キャリヤにかし
    めによって固定したことを特徴とするプラネタリギヤ装
    置。
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