JP2002194438A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JP2002194438A
JP2002194438A JP2000389909A JP2000389909A JP2002194438A JP 2002194438 A JP2002194438 A JP 2002194438A JP 2000389909 A JP2000389909 A JP 2000389909A JP 2000389909 A JP2000389909 A JP 2000389909A JP 2002194438 A JP2002194438 A JP 2002194438A
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rolling bearing
shaft
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JP2000389909A
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Kiyoshi Hirakawa
清 平川
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NSK Ltd
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    • Y02P10/25Process efficiency

Abstract

(57)【要約】 【課題】回転輪が他部材と接触しながら回転する転がり
軸受において、良好な転動疲労寿命を保持しながら、他
部材との接触面の耐摩耗性を改善する。 【解決手段】 外輪ロール軸受(複列円筒ころ軸受)2
の外輪(回転輪)4を以下の方法で形成する。合金成分
として、Cを1.1%以下、Siを0.01%以上1.
0%以下、Mnを0.10%以上0.9%以下の範囲で
含有する鉄鋼材料からなる素材を所定形状に加工し、こ
の被加工物に対して浸炭または浸炭窒化処理を含む熱処
理を行った後に、軌道面の表層部を除去することによ
り、他部材との接触面の表層部の炭素含有率を1.2%
以上1.7%以下とし、軌道面の表層部の炭素含有率を
0.7%以上1.1%以下とする。この外輪4は負荷ロ
ーラ(他部材)7と接触しながら回転する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転輪が他部材
(軸受構成部材以外の部材)と接触しながら回転する転
がり軸受、および軸の外周面を内輪軌道面とする転がり
軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】回転輪が他部材(軸受構成部材以外の部
材)と接触しながら回転する転がり軸受としては、例え
ば、自動車のクラッチレリーズ軸受や外輪ロール軸受が
挙げられる。クラッチレリーズ軸受としては、例えば実
公平1−37233号公報に記載されているものがあ
る。図5に示すように、このクラッチレリーズ軸受24
は、インプットシャフトSを回転可能に支持する支持軸
受25の外輪の伸長部25aに、円筒状スリーブ22を
介して取り付けられている。このスリーブ22の一端部
22aは支持軸受25の外輪の伸長部25aに内挿さ
れ、スリーブ22全体が軸方向に摺動可能となってい
る。
【0003】スリーブ22の他端部22bは、クラッチ
レリーズ軸受24の外輪から伸びた内向きフランジ24
aと係合され、皿ばね23によりクラッチレリーズ軸受
24と結合されている。また、このクラッチレリーズ軸
受24の内輪に、ダイヤフラムばねDに接触可能な外向
きフランジ24bが一体化されている。そして、運転者
によるクラッチ切断の動作に伴うフォークFの回転によ
って、図5に示すように、ダイヤフラムばねDがクラッ
チレリーズ軸受24の外向きフランジ24bで押しつけ
られる。その結果、クランクシャフトからの回転駆動力
がインプットシャフトSに伝達されない状態となる。
【0004】このクラッチレリーズ軸受には、内輪の外
向きフランジのダイヤフラムばねとの接触面が摩耗し易
いという問題点がある。従来のクラッチレリーズ軸受で
は、SUJ2(高炭素クロム軸受鋼;炭素含有率0.9
5〜1.1重量%)からなる素材を所定形状に加工した
後、ずぶ焼きによる焼き入れと焼き戻しを行うことによ
り、内輪および外輪を作製していた。あるいは、SPC
CやSPHC等の板状素材からプレス加工により所定形
状にした後、ダイヤフラムばね(他部材)Dに接触する
面(内輪の外向きフランジ24bの外面)の表層部の炭
素含有率が0.7〜1.1重量%となるように、浸炭ま
たは浸炭窒化処理を施していた。
【0005】外輪ロール軸受とは、外輪をローラのロー
ル面としている軸受であって、例えば、製鉄所で使用さ
れる焼結機用パレットローラ、ゼンジミア圧延機用バッ
クアップローラ、チェーンコンベア用ローラなどで使用
されている。このような外輪ロール軸受では、ワークと
直接接触する外輪の外周面は損傷を受けやすいため、従
来より、表面硬化処理を施して所定レベル以上の硬さに
してある。
【0006】従来の外輪ロール軸受では、SUJ2から
なる素材を所定形状に加工した後、浸炭や浸炭窒化処理
を行わずに焼き入れと焼き戻しを行うことにより、内輪
および外輪を作製していた。あるいは、SPCCやSP
HC等の素材を所定形状に加工した後、表層部の炭素含
有率が0.7〜1.1重量%となるように、浸炭または
浸炭窒化処理を施していた。
【0007】軸の外周面を内輪軌道面とする転がり軸受
としては、例えば自動車のタペット用ローラフォロア軸
受が挙げられる。自動車エンジンのバルブのカムによる
開閉をロッカーアームを介して行う場合には、図4に示
すように、例えば、ロッカーアーム9のカム山が当たる
部分に、ローラフォロア軸受としてニードル軸受8を設
けて、摩擦抵抗を減らすことが行われている。
【0008】このロッカーアーム式によるバルブ駆動で
は、ロッカーアーム9が支点91を中心に上下動するこ
とによって、バルブ本体が上下動し、ロッカーアームは
バルブ本体から付勢力を受け、外輪82の外周面は常に
他部材であるカム10と接触しながら回転する。また、
この軸受8は、ロッカーアーム9に固定された軸81の
外周面を内輪軌道面としている。この内輪(軸81)は
回転しない固定輪であり、その軌道面は上側から荷重を
受けるため、この内輪軌道面の荷重を受ける部分に集中
的に摩耗が生じ易くなっている。
【0009】従来のローラフォロア軸受では、SUJ2
からなる素材を所定形状に加工した後、浸炭や浸炭窒化
処理を行わずに、高周波焼き入れと焼き戻しを行うこと
により、軸および外輪を作製していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、回転輪が他
部材と接触しながら回転する転がり軸受において、良好
な転動疲労寿命を保持しながら、他部材との接触面の耐
摩耗性を改善することを課題とする。本発明は、また、
軸の外周面を内輪軌道面とする転がり軸受において、軸
外周面の荷重を受ける部分の耐摩耗性を改善することを
課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、回転輪が他部材と接触しながら回転する
転がり軸受において、回転輪は、合金成分として、重量
%(質量%)で、Cを1.1%以下、Siを0.01%
以上1.0%以下、Mnを0.10%以上0.9%以下
の範囲で含有する鉄鋼材料からなる素材を所定形状に加
工し、この被加工物に対して浸炭または浸炭窒化処理を
含む熱処理を行った後に、軌道面の表層部を除去するこ
とにより、他部材との接触面の表層部の炭素含有率が
1.2%以上1.7%以下に、軌道面の表層部の炭素含
有率が0.7%以上1.1%以下になっていることを特
徴とする転がり軸受を提供する。この転がり軸受を本発
明の第1の転がり軸受と定義する。
【0012】この第1の転がり軸受によれば、他部材と
の接触面の表層部と軌道面の表層部とで鋼の炭素含有率
を変えることにより、良好な転動疲労寿命を保持しなが
ら、他部材との接触面の耐摩耗性が改善される。鋼にC
(炭素)が含まれていると、焼入れによりマルテンサイ
ト化が生じて、鋼に硬さが付与される。しかしながら、
第1の転がり軸受では、浸炭または浸炭窒化処理で表面
硬化を行うため、鉄鋼材料中の炭素含有率は低い方が好
ましい。ただし、鋼の炭素含有率が低いと浸炭または浸
炭窒化処理時間が長くなってコストを上昇させるため、
0.5%以上とすることが好ましい。
【0013】また、使用する鋼の炭素含有率が1.1重
量%を超えると、マトリックス中に巨大炭化物が析出し
易くなり、第1の転がり軸受の軌道面が芯部の露出面の
場合に、軌道面に巨大炭化物が存在し易くなって転動疲
労寿命が低下する。他部材との接触面の表層部の炭素含
有率が1.7%を超えると、浸炭・浸炭窒化にかかる処
理コストが高くなるだけで、耐摩耗性の向上効果は飽和
する。
【0014】本発明はまた、軸の外周面を内輪軌道面と
する転がり軸受において、軸は、合金成分として、重量
%(質量%)で、Cを1.1%以下、Siを0.01%
以上1.0%以下、Mnを0.10%以上0.9%以下
の範囲で含有する鉄鋼材料からなる素材を所定形状に加
工し、この被加工物に対して浸炭または浸炭窒化処理を
含む熱処理を行った後に、高周波焼き入れおよび焼き戻
しを行うことにより、内輪軌道面となる外周面の表層部
の炭素含有率が1.2%以上1.7%以下に、この表層
部の硬さがHRC58以上に、芯部の硬さがHv300
以下になっていることを特徴とする転がり軸受を提供す
る。この転がり軸受を本発明の第2の転がり軸受と定義
する。
【0015】この第2の転がり軸受によれば、内輪軌道
面となる軸の外周面の表層部について、炭素含有率を
1.2%以上1.7%以下、硬さをHRC58以上とす
ることにより、内輪軌道面の耐摩耗性が改善される。前
記表層部の硬さはHRC62以上であることが好まし
い。なお、前記表層部の炭素含有率が1.7%を超える
と、浸炭・浸炭窒化にかかる処理コストが高くなるだけ
で、耐摩耗性の向上効果は飽和する。
【0016】本発明はまた、軸の外周面を内輪軌道面と
する転がり軸受において、軸は、合金成分として、重量
%(質量%)で、Cを1.2%以上1.7%以下、Si
を0.01%以上1.0%以下、Mnを0.10%以上
0.9%以下の範囲で含有する鉄鋼材料からなり、組織
が網状炭化物と初析パーライトとの混合組織である素材
を所定形状に加工し、この被加工物に対して高周波焼き
入れおよび焼き戻しを行うことにより、内輪軌道面とな
る外周面の表層部の硬さがHRC58以上に、芯部の硬
さがHv300以下になっていることを特徴とする転が
り軸受を提供する。この転がり軸受を本発明の第3の転
がり軸受と定義する。
【0017】この第3の転がり軸受によれば、炭素含有
率が1.2%以上1.7%以下で且つ前記組織を有する
素材を用いて軸を形成し、内輪軌道面となる軸の外周面
の表層部の硬さをHRC58以上とすることにより、内
輪軌道面の耐摩耗性が改善される。前記表層部の硬さは
HRC62以上であることが好ましい。また、「JIS
G0551」による高周波焼き入れ前のオーステナイ
ト粒度が4(断面積1mm2 当たりの結晶粒の数が12
8個、結晶粒の平均断面積が0.00781mm2 )以
上であると、組織の網状炭化物がより微細化されて内輪
軌道面の耐摩耗性がより向上するため好ましい。より好
ましくは、高周波焼き入れ前のオーステナイト粒度を6
(断面積1mm2 当たりの結晶粒の数が512個、結晶
粒の平均断面積が0.00195mm2 )以上とする。
【0018】なお、使用する鉄鋼材料の炭素含有率が
1.7%を超えると、圧延等の鋼の加工にかかるコスト
が高くなるだけで、耐摩耗性の向上効果は飽和する。第
1の転がり軸受の回転輪に使用する鉄鋼材料と、第2お
よび第3の転がり軸受の軸に使用する鉄鋼材料のSi
(珪素)とMn(マンガン)の含有率は同じであり、S
iを0.01%以上1.0%以下、Mnを0.10%以
上0.9%以下の範囲で含有する。
【0019】珪素は製鋼時に脱酸剤として添加されてい
るため、鋼中に0.01%以上含有している。珪素の含
有率が1.0%を超えると、冷間加工性が低下する。プ
レス加工を行う場合には、珪素の含有率を0.15%以
下とする。マンガンは焼き入れ性を向上する作用を有す
る元素であり、十分な焼き入れ性を得るためには0.1
%以上含有する必要がある。珪素の含有率が高いと変形
抵抗が大きくなるため、0.9%以下とする。
【0020】第1の転がり軸受の回転輪に使用する鉄鋼
材料と、第2および第3の転がり軸受の軸に使用する鉄
鋼材料には、クロム(Cr)を0.3%以上2.0%以
下の範囲で含有することが好ましい。また、モリブデン
(Mo)を0.1%以上1.0%以下の範囲で含有する
ことが好ましい。クロムは焼き入れ性と耐摩耗性を向上
させる元素であり、その含有率が0.3%未満では、焼
き入れ性向上効果が実質的に得られない。クロムを2.
0%を超えて含有すると、クロム炭化物が多く生成され
て、塑性加工性が低下する。
【0021】モリブデンは焼き入れ性向上させる元素で
あり、その含有率が0.1%未満では、焼き入れ性向上
効果が実質的に得られない。モリブデンを1.0%を超
えて含有しても、焼き入れ性向上効果は低下する。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。 [第1実施形態]鉄鋼材料からなる素材として、合金成
分が下記の表1に示す各組成である素材を用意した。各
素材を用いて、図1に示す外輪ロール軸受(複列円筒こ
ろ軸受)2の外輪(回転輪)4を作製した。この軸受2
の内径は100mmであり、外径は200mmであり、
幅は120mmであり、外輪4の軌道面の直径は150
mmである。ころ5の寸法は、直径:10mm×長さ:
40mmである。
【0023】No. 1−1〜No. 1−4,1−8,1−1
3では、各素材を所定形状に切削加工した後、被加工物
を炉内に入れ、温度:900〜920℃、雰囲気ガス:
Rxガス+エンリッチガス、保持時間:2.0〜3.0
時間の条件で浸炭処理を行った後、油冷却による焼入れ
を行った。次に、温度:160〜180℃、保持時間:
2時間の条件で焼き戻しを行った。次に、表面の仕上げ
加工を行い、その際に、軌道面の表層部(厚さ0.2m
m〜0.3mm分)を除去した。
【0024】No. 1−6とNo. 1−10では、各素材を
所定形状に切削加工した後、被加工物を炉内に入れ、温
度:820〜830℃、雰囲気ガス:Rxガス+エンリ
ッチガス+アンモニアガス(アンモニア濃度3〜5体積
%)、保持時間:2.0〜3.0時間の条件で浸炭窒化
処理を行った後、油冷却による焼入れを行った。次に、
温度:160〜180℃、保持時間:2時間の条件で焼
き戻しを行った。次に、表面の仕上げ加工を行い、その
際に、軌道面の表層部(厚さ0.2mm〜0.3mm
分)を除去した。
【0025】No. 1−5,1−7,1−9,1−11,
1−12,1−14では、各素材を所定形状に切削加工
した後、被加工物を炉内に入れ、温度:850〜900
℃、雰囲気ガス:Rxガス、保持時間:0.5〜1.0
時間の条件でずぶ焼きを行った後、油冷却による焼入れ
を行った。次に、温度:160〜180℃、保持時間:
2時間の条件で焼き戻しを行った。次に、表面の仕上げ
加工を行った。
【0026】内輪(固定輪)3は、各サンプル毎に外輪
と同じ材料を用いて同じ熱処理を行うことにより作製し
た。ころ(転動体)5は、SUJ2を用い、ずぶ焼き後
に焼入れ焼き戻しを行って表面硬さをHRC62〜63
としたものを用いた。なお、図1の符号6はシールであ
る。作製された各外輪の外周面(他部材との接触面)
と、軌道面の表面炭素濃度(表層部の炭素含有率)を測
定した。また、図2に示すように、この軸受2の外輪4
の外周面に負荷ローラ7を押しつけながら回転させるこ
とにより、以下の条件で、転がり疲労寿命を調べる試験
を行った。内輪または外輪の軌道面に剥離が生じるまで
の総回転数を測定し、この総回転数を転がり疲労寿命と
した。 <試験条件> 荷重:20トン 回転速度:500rpm、 温度:40℃ 潤滑:潤滑油「VG60」に、異物として、硬さHv5
40、平均粒径100μmの鉄粉を300ppm混入さ
せて使用 また、図3に示すサバン式摩耗試験用の固定試験片11
を、各外輪と同じ素材を用い、同じ熱処理を行うことに
より作製した。なお、この試験は外輪の外周面の摩耗特
性を調べる試験であるため、固定試験片11の作製時に
熱処理後の表層部除去は行っていない。回転試験片12
としては、「JIS SKH10」からなり、熱処理と
して、1250℃で保持後油冷却を行う焼入れと、55
0℃での焼き戻しを行ったものを使用した。
【0027】これらの固定試験片11と回転試験片12
をサバン式摩耗試験機に取り付け、荷重用の重りとバラ
ンス用の重りとにより固定試験片11を回転試験片12
の外周面に押し付けながら、無潤滑で、回転試験片12
を固定試験片11に対して回転させた。固定試験片11
の寸法は、19mm×19mm×厚さ3mmであり、リ
ング状の回転試験片12の寸法は、外径45mm、厚さ
6mm、幅6mmである。
【0028】試験条件は、1mm2 当たりの面圧(Pm
ax)を98N(10kgf)、押しつけ荷重を36.
0N(3.68kgf)とし、回転試験片12を固定試
験片11に対する回転速度を周速度で2.0m/sと
し、回転試験片12の回転距離を1000mとした。こ
の回転に伴う固定試験片の摩耗体積を測定し、比摩耗量
(単位:mm3 /kgf・mm)を算出した。
【0029】これらの試験結果も下記の表1に併せて示
す。なお、表1で本発明の第1の転がり軸受の構成から
外れるデータには下線を施してある。
【0030】
【表1】
【0031】この結果から分かるように、本発明の第1
の転がり軸受の構成をすべて満たすNo. 1−1〜No. 1
−3、1−6,1−8,1−10では、転がり疲労寿命
は6.5×106 回以上と長く、比摩耗量は1.2×1
-8mm3 /kgf・mm以下と少なかった。これに対
して、本発明の第1の転がり軸受の構成の少なくともい
ずれか一つを満たさないNo. 1−4,1−5,1−7,
1−9,1−11〜1−14では、転がり疲労寿命が
6.5×106 回より短いか、比摩耗量が1.2×10
-8mm3 /kgf・mmより多かった。
【0032】すなわち、本発明の第1の転がり軸受によ
れば、良好な転動疲労寿命を保持しながら、他部材との
接触面の耐摩耗性が改善されることが分かる。 [第2実施形態]鉄鋼材料からなる素材として、合金成
分が下記の表2に示す各組成である素材を用意した。各
素材を用いて、図4に示す自動車のタペット用ローラフ
ォロア軸受(ニードル軸受)8の軸81を作製した。こ
の軸受8は軸81の外周面を内輪軌道面としている。こ
の軸81の直径は8mmであり、一端がロッカーアーム
9に固定されている。外輪82は、外径が16mmであ
り、幅が12mmであり、軌道面の直径が14mmであ
る。外輪82は、外周面が常にカム(他部材)10と接
触した状態で回転する。ニードル(転動体)83の寸法
は、直径:2mm×長さ:12mmである。
【0033】No. 2−1と2−2では、各素材を所定形
状に切削加工した後、被加工物を炉内に入れ、温度:9
00℃、雰囲気ガス:Rxガス、保持時間:0.5〜
1.0時間の条件で加熱後空冷した後、2Tコイル、1
0kHz、表面温度830〜840℃の条件で高周波焼
入れを行った。次に、温度:160〜180℃、保持時
間:2時間の条件で焼き戻しを行った。
【0034】No. 2−3とNo. 2−5では、各素材を所
定形状に切削加工した後、被加工物を炉内に入れ、温
度:900〜920℃、雰囲気ガス:Rxガス+エンリ
ッチガス、保持時間:1.0〜1.5時間の条件で浸炭
処理を行った後、上記と同じ条件で高周波焼入れを行っ
た。次に、温度:160〜180℃、保持時間:2時間
の条件で焼き戻しを行った。
【0035】No. 2−4とNo. 2−6では、各素材を所
定形状に切削加工した後、被加工物を炉内に入れ、温
度:820〜830℃、雰囲気ガス:Rxガス+エンリ
ッチガス+アンモニアガス(アンモニア濃度3〜5体積
%)、保持時間:1.0〜1.5時間の条件で浸炭窒化
処理を行った後、上記と同じ条件で高周波焼入れを行っ
た。次に、温度:160〜180℃、保持時間:2時間
の条件で焼き戻しを行った。
【0036】外輪(回転輪)82およびニードル83と
しては、SUJ2からなる素材を用い、ずぶ焼き後に焼
入れ焼き戻しを行って表面硬さをHRC60〜62とし
たものを用意した。これらの外輪82およびニードル8
3と、上述のようにして作製された各軸81とを用い
て、図4に示すローラフォロア軸受(ニードル軸受)8
をロッカーアーム9に組み込んで、外輪82の外周面に
カム10を押しつけながら回転させる試験を下記の条件
で行った。この回転試験後に、各軸81の外周面(内輪
軌道面)の最大摩耗量(摩耗深さ)をダイヤルゲージで
測定した。 <回転試験条件> カムの回転速度:4000rpm 外輪の周速:4m/sec 荷重:39.2N(4.0kgf) 潤滑:エンジンオイルの吹き付け また、作製された各軸の外周面(内輪の軌道面)の表面
炭素濃度(表層部の炭素含有率)を測定した。また、各
軸の外周面(内輪軌道面)の硬さ(HRC)と芯部の硬
さ(Hv)を測定した。また、各軸の外周面の高周波焼
入れ前のオーステナイト(γ)粒度を測定した。
【0037】これらの試験結果も下記の表2に併せて示
す。なお、表2で本発明の第2の転がり軸受の構成から
外れるデータには下線を施してある。
【0038】
【表2】
【0039】この結果から分かるように、浸炭または浸
炭窒化処理により軸の外周面(内輪軌道面)の表面炭素
濃度を1.2〜1.7重量%としたNo. 2−3〜2−6
の軸受は、No. 2−1および2−2の軸受よりも摩耗量
が少なかった。すなわち、本発明の第2の転がり軸受に
相当するローラフォロア軸受(ニードル軸受)によれ
ば、従来のローラフォロア軸受(ニードル軸受)と比較
して、軸外周面の荷重を受ける部分の耐摩耗性が改善さ
れることが分かる。 [第3実施形態]鉄鋼材料からなる素材として、合金成
分が下記の表3に示す各組成である素材を用意した。各
素材を用いて、第2実施形態と同じ図4に示す自動車の
タペット用ローラフォロア軸受(ニードル軸受)8の軸
81を作製した。
【0040】いずれのサンプルについても、各素材を所
定形状に切削加工した後、被加工物を炉内に入れ、温
度:850〜900℃、雰囲気ガス:Rxガス、保持時
間:0.5〜1.0時間でずぶ焼きを行った後、2Tコ
イル、10kHz、表面温度830〜840℃の条件で
高周波焼入れを行った。次に、温度:160〜180
℃、保持時間:2時間の条件で焼き戻しを行った。
【0041】外輪(回転輪)82およびニードル83と
しては、SUJ2からなる素材を用い、ずぶ焼き後に焼
入れ焼き戻しを行って表面硬さをHRC60〜62とし
たものを用意した。これらの外輪82およびニードル8
3と、上述のようにして作製された各軸81とを用い
て、図4に示すローラフォロア軸受(ニードル軸受)8
をロッカーアーム9に組み込んで、第2実施形態と同じ
方法で回転試験を行い、同じ方法で摩耗量を測定した。
また、各軸の外周面(内輪軌道面)の硬さ(HRC)と
芯部の硬さ(Hv)を測定した。
【0042】また、作製された各軸の外周面(内輪の軌
道面)の表面炭素濃度(表層部の炭素含有率)を測定し
たところ、使用した素材の炭素濃度と同じであった。ま
た、各軸の外周面の高周波焼入れ前の組織を観察した。
また、各軸の外周面の高周波焼入れ前のオーステナイト
(γ)粒度を測定した。これらの試験結果も下記の表3
に併せて示す。なお、表3で本発明の第3の転がり軸受
の構成から外れるデータには下線を施してある。
【0043】
【表3】
【0044】この結果から分かるように、炭素含有率が
1.2〜1.7重量%である鋼で軸を形成したNo. 3−
3〜3−9の軸受は、炭素含有率が1.2重量%より少
ない鋼で軸を形成したNo. 3−1および3−2の軸受よ
りも摩耗量が少なかった。すなわち、本発明の第3の転
がり軸受に相当するローラフォロア軸受(ニードル軸
受)によれば、従来のローラフォロア軸受(ニードル軸
受)と比較して、軸外周面の荷重を受ける部分の耐摩耗
性が改善されることが分かる。
【0045】なお、第2および第3の転がり軸受におい
て、外輪および転動体を、軸と同じ素材を用いて同じ熱
処理を行って得られたものとすることにより、軸受全体
としての耐摩耗性をより高くすることができる。また、
第2および第3の転がり軸受において、回転輪である外
輪(例えば図4の外輪82)を、第1の転がり軸受の回
転輪を満たす構成とすることにより、軸受全体としての
耐摩耗性をより高くすることができる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
に係る転がり軸受によれば、回転輪が他部材と接触しな
がら回転する転がり軸受において、良好な転動疲労寿命
を保持しながら、他部材との接触面の耐摩耗性を改善す
ることができる。本発明の請求項2に係る転がり軸受に
よれば、軸の外周面を内輪軌道面とする転がり軸受にお
いて、軸外周面の荷重を受ける部分の耐摩耗性を改善す
ることができる。
【0047】本発明の請求項3に係る転がり軸受によれ
ば、軸の外周面を内輪軌道面とする転がり軸受におい
て、軸外周面の荷重を受ける部分の耐摩耗性を改善する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態で作製した外輪ロール軸受を示す
概略構成図である。
【図2】第1実施形態で行った転がり疲労寿命を説明す
るための図である。
【図3】サバン式摩耗試験を説明するための図である。
【図4】第2および第3実施形態で作製したローラフォ
ロア軸受を示す部分破断斜視図である。
【図5】クラッチレリーズ軸受の一例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
2 外輪ロール軸受(複列円筒ころ軸受) 4 外輪ロール軸受の外輪(回転輪) 5 ころ 6 シール 7 負荷ローラ(他部材) 8 ローラフォロア軸受(ニードル軸受) 81 ローラフォロア軸受の軸 82 外輪 83 ニードル(転動体) 9 ロッカーアーム 91 ロッカーアームの支点 10 カム(他部材) 22 円筒状スリーブ 23 皿ばね 24 クラッチレリーズ軸受 24b 外向きフランジ 25 インプットシャフトの支持軸受 25a 外輪の伸長部 D ダイヤフラムばね(他部材) F フォーク S インプットシャフト
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16C 33/62 F16C 33/62 33/64 33/64

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転輪が他部材と接触しながら回転する
    転がり軸受において、回転輪は、 合金成分として、重量%(質量%)で、Cを1.1%以
    下、Siを0.01%以上1.0%以下、Mnを0.1
    0%以上0.9%以下の範囲で含有する鉄鋼材料からな
    る素材を所定形状に加工し、この被加工物に対して浸炭
    または浸炭窒化処理を含む熱処理を行った後に、軌道面
    の表層部を除去することにより、 他部材との接触面の表層部の炭素含有率が1.2%以上
    1.7%以下に、軌道面の表層部の炭素含有率が0.7
    %以上1.1%以下になっていることを特徴とする転が
    り軸受
  2. 【請求項2】 軸の外周面を内輪軌道面とする転がり軸
    受において、軸は、 合金成分として、重量%(質量%)で、Cを1.1%以
    下、Siを0.01%以上1.0%以下、Mnを0.1
    0%以上0.9%以下の範囲で含有する鉄鋼材料からな
    る素材を所定形状に加工し、この被加工物に対して浸炭
    または浸炭窒化処理を含む熱処理を行った後に、高周波
    焼き入れおよび焼き戻しを行うことにより、 軌道面の表層部の炭素含有率が1.2%以上1.7%以
    下に、軌道面の表層部の硬さがHRC58以上に、芯部
    の硬さがHv300以下になっていることを特徴とする
    転がり軸受。
  3. 【請求項3】 軸の外周面を内輪軌道面とする転がり軸
    受において、軸は、 合金成分として、重量%(質量%)で、Cを1.2%以
    上1.7%以下、Siを0.01%以上1.0%以下、
    Mnを0.10%以上0.9%以下の範囲で含有する鉄
    鋼材料からなり、組織が網状炭化物と初析パーライトと
    の混合組織である素材を所定形状に加工し、この被加工
    物に対して高周波焼き入れおよび焼き戻しを行うことに
    より、 軌道面の表層部の硬さがHRC58以上に、芯部の硬さ
    がHv300以下になっていることを特徴とする転がり
    軸受。
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