各コンデンサ素子の陽極部を機械的及び電気的に接合するための溶接の方法としては、例えば、レーザ照射による溶接方法が考えられる。コンデンサ素子の積層方向に交差する方向、例えば、当該積層方向に垂直の方向から、積層されたコンデンサ素子の端面に向けてレーザを照射する方法である。
しかし、積層された状態のコンデンサ素子の陽極部及びスペーサの端面に対して実際にレーザを照射すると、レーザが照射される各コンデンサ素子の陽極部の端部を規定する端面の部分であってレーザ照射により溶融して陽極部同士が互いに接続される溶融部及び接合部に、比較的大きな略球形の空隙が高い確率で形成される。このような空隙は導通不良の原因となり、空隙が形成されたコンデンサ素子を有する固体電解コンデンサは不良品となる。
コンデンサ素子の陽極部間にスペーサを設けずに、陽極部どうしを直接積層させたものの当該陽極部の端部にレーザを照射してみた場合であっても、同様に空隙が形成される。この場合には、スペーサを陽極部間に介在させた場合よりも、より大きな空隙が形成されてしまい、不良の発生を防止することはできない。
そこで、本発明は、コンデンサ素子の積層方向に交差する方向から、コンデンサ素子の陽極部の端部に向けてレーザを照射したときに、コンデンサ素子の溶融部及び接合部に空隙が形成されることを防止する固体電解コンデンサの製造方法、及び当該製造方法により製造される固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は表面に酸化膜層が形成され弁作用金属からなる陽極部と、該表面の所定の領域に固体電解質層を有して層状に形成された陰極部とにより構成されるコンデンサ素子を複数備え、該複数のコンデンサ素子は該陽極部の端部同士が互いに隣接して積層配置されるとともに該陰極部同士が互いに積層配置されて、互いに電気的に並列接続される固体電解コンデンサであって、該複数のコンデンサ素子の各該陽極部の該端部を互いに電気的に接続するための導電性の材料からなる接続部材がすべての該陽極部の該端部に跨って固定され、該接続部材は、すべての該陽極部の該端部に当接又は近接対向した状態で、該コンデンサ素子の積層方向に交差する方向から且つ該接続部材の外側からレーザを照射することにより、該陽極部の各該端部にそれぞれ電気的に接続される固体電解コンデンサを提供している。
接続部材は、すべての陽極部の端部に当接又は近接対向した状態で、コンデンサ素子の積層方向に交差する方向から且つ接続部材の外側からレーザを照射することにより、陽極部の各端部にそれぞれ電気的に接続されるため、陽極部の溶融部及び接合部に、空隙が発生することを防止することができる。このため、導通不良が生ずることを防止することができ、不良品の発生を防止することができる。また、コンデンサ素子が多層であっても溶接を可能とすることができる。
また、コンデンサ素子の積層方向からレーザを照射することにより複数のコンデンサ素子の陽極部を互いに電気的に接続する場合には、陰極部と陽極部とのショートを防止するために、陽極部の端部と陰極部とを結ぶ方向において、陰極部が設けられていない陽極部の端部の長さを長くせざるを得ない。
これに対して接続部材により陽極部の端部をレーザ照射により溶接して電気的に接続するため、比較的弱いレーザ照射により溶接することができ、溶接によるショートを考慮する必要性は低くなり、当該陽極部の端部を短くすることができる。
また、コンデンサ素子の陽極部に対して直接レーザを照射する場合と比較して、レーザ照射による溶接時の飛散物の発生を抑制することができる。
また、複数のコンデンサ素子の各陽極部の端部を互いに電気的に接続するための導電性の材料からなる接続部材がすべての陽極部の端部に跨って固定されているため、接続部材によって、陽極部の端部間にそれぞれ所定の空間を確保した状態で陽極部の端部を支持することができる。
固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子では、固体電解質層や陰極部が設けられている部分は、これらが設けられていない陽極部の端部の部分と比較して積層方向の幅が厚くなっており、この厚い部分である陰極部を互いに積層させると、陰極部が積層されることに伴い互いに積層される陽極部の端部の部分では、厚さの違いにより当該端部間に空隙が形成されることになる。しかし、上述のように接続部材によって、陽極部の端部間にそれぞれ所定の空間を確保した状態で陽極部の端部を支持することができるため、陽極部の端部間に別途スペーサを設けずに済む。このため、薄い陽極部の端部の側を無理に曲げて互いに隣接させて接続しなくて済み、コンデンサ素子の層数が多い場合であっても、容易に陽極部を無理に曲げることなく互いに接続することができる。
また、コンデンサ素子の積層方向に交差する方向からレーザを接続部材に対して照射するため、個々のコンデンサ素子に対するレーザ強度を略一定に保つことが可能となり、各陽極部の端部と接続部材との溶接を、いずれも同じような状態で均等に行うことが可能となる。
ここで、該接続部材には、該複数のコンデンサ素子の該陽極部の該端部がそれぞれ係合可能な溝が複数形成されていることが好ましい。接続部材には、複数のコンデンサ素子の陽極部の端部がそれぞれ係合可能な溝が複数形成されているため、陽極部の端部が溝に係合することにより陽極部の端部が接続部材に当接して、複数のコンデンサ素子の陽極部間を所定の間隔で保持することができる。
また、該複数のコンデンサ素子の互いに隣接する該陽極部の該端部間には空隙が画成され、該接続部材には該空隙に配置される複数の凸部が設けられていることが好ましい。複数のコンデンサ素子の互いに隣接する陽極部の端部間には空隙が画成され、接続部材には空隙に配置される複数の凸部が設けられているため、凸部が空隙に配置されることにより陽極部の端部が接続部材に当接して、複数のコンデンサ素子の陽極部間を所定の間隔で保持することができる。
また、少なくとも該接続部材のレーザ照射を受ける表面は粗面化されていることが好ましい。レーザ照射を受ける表面は粗面化されているため、レーザ光の反射を低減することができる。このため、接続部材におけるレーザ光の吸収を増加させることができる。
また、該接続部材は、それぞれ略板状をなす接続部本体と底部とを有し、該接続部本体と該底部とは略垂直の角度をなして接続されて略L字状をなし、該底部は、該積層された複数のコンデンサ素子の第1層と該複数のコンデンサ素子が載置されるプリント基板との間に配置され、該プリント基板上の導電パターンに当接し、該接続部本体は、積層された該コンデンサ素子の積層方向に該底部から延出し、該陽極部の各該端部にそれぞれ当接し接続され、該接続部本体は、該陽極部の各該端部に当接又は近接対向した状態で、該陽極部の該端部が当接又は近接対向している側とは反対の側から該コンデンサ素子の積層方向に交差する方向に向けてレーザを照射することにより該陽極部の各該端部に電気的に接続され、該底部は、該コンデンサ素子の積層方向においていずれの該コンデンサ素子の該陽極部とも重ならない非重畳部を有し、該非重畳部は、該コンデンサ素子の積層方向からレーザの照射を受けることにより該プリント基板の該導電パターンに電気的に接続されることが好ましい。
接続部材は、それぞれ略板状をなす接続部本体と底部とを有し、接続部本体と底部とは略垂直の角度をなして接続されて略L字状をなし、底部は、コンデンサ素子の積層方向においていずれのコンデンサ素子の陽極部とも重ならない非重畳部を有しているため、非重畳部に対してコンデンサ素子の積層方向からレーザを照射することにより、プリント基板の導電パターンに非重畳部を電気的に接続させることができる。底部の一部は、非重畳部であるため複数のコンデンサ素子がその積層方向において重なる重畳部に対して薄いため、レーザ強度の制御が容易であり、レーザの強度を調整してやることでレーザ照射によりプリント基板を貫通してしまうことを防止することができる。
また、接続部材は、接続部本体に接続された底部を有しているため、複数のコンデンサ素子とプリント基板とが、接続部材を介して一体に接続することができるので、固体電解コンデンサ全体の強度を向上させることができる。
また、略直角の角度をなして接続される該接続部本体と該底部との交差接続線方向において、該接続部本体の長さと該底部の長さとが同一であることが好ましい。接続部本体の長さと底部の長さとが同一であるため、接続部材を簡単な形状とすることができ、複雑な形状に外形加工する必要性をなくすことができる。
また、接続部本体の長さと底部の長さとが同一であるため、交差接続線の方向において接続部本体を長く構成することができる。このため、陽極部の端部と接続部材との溶接時に、陽極部の端部と接続部本体との間に空間が生じないようにするために、又は、陽極部の端部に対する接続部本体の位置がずれないようにするために、コンデンサ素子の積層方向に垂直の方向であって陽極部の端部から陰極部へ向う方向へ、接続部本体を押圧するための押さえ代として接続部本体を利用することができる。
また、本発明は、表面に酸化膜層が形成され弁作用金属からなる陽極部の該表面の所定の領域に、固体電解質層を有する陰極部を層状に形成する工程を有するコンデンサ素子製造工程と、該コンデンサ素子製造工程を複数回行うことにより製造された複数の該コンデンサ素子を、該陽極部の端部同士が互いに隣接するように積層配置するとともに該陰極部同士を互いに積層配置する積層工程と、積層した該複数のコンデンサ素子を互いに電気的に並列接続する接続工程とを有する固体電解コンデンサの製造方法であって、該接続工程では、導電性の材料からなる接続部材を、すべての該陽極部の該端部に跨って当接又は近接対向させ、該コンデンサ素子の積層方向に交差する方向から且つ該接続部材の外側からレーザを照射することにより該接続部材を該陽極部の各該端部にそれぞれ電気的に接続させる接続部材固定工程を行う固体電解コンデンサの製造方法を提供している。
接続工程では、導電性の材料からなる接続部材を、すべての陽極部の端部に跨って当接又は近接対向させ、コンデンサ素子の積層方向に交差する方向から且つ接続部材の外側からレーザを照射することにより接続部材を陽極部の各端部にそれぞれ電気的に接続させる接続部材固定工程を行うようにしたため、陽極部の溶融部及び接合部に、空隙が発生することを防止することができる。このため、導通不良が生ずることを防止することができ、不良品の発生を防止することができる。
また、接続工程では、導電性の材料からなる接続部材を、すべての陽極部の端部に跨って当接又は近接対向させて接続させるため、接続部材によって、陽極部の端部間にそれぞれ所定の空間を確保した状態で陽極部の端部を支持することができる。
また、コンデンサ素子の積層方向に交差する方向から且つ接続部材の外側からレーザを照射することにより、接続部材を陽極部の各端部にそれぞれ電気的に接続させる接続部材固定工程を行うため、個々のコンデンサ素子に対するレーザ強度を一定に保つことが可能となり、各陽極部の端部と接続部材との溶接を、いずれも同じような状態で均等に行うことが可能となる。
ここで、該複数のコンデンサ素子の該陽極部の該端部がそれぞれ係合可能な溝を該接続部材に複数形成する工程を有し、該接続部材固定工程では、該陽極部の該端部を該溝に係合させることにより該接続部材を該陽極部の端部に当接又は近接対向させることが好ましい。
複数のコンデンサ素子の陽極部の端部がそれぞれ係合可能な溝を接続部材に複数形成する工程を有し、接続部材固定工程では、陽極部の端部を溝に係合させることにより接続部材を陽極部の端部に当接又は近接対向させるため、陽極部の端部が溝に係合することにより陽極部の端部が接続部材に当接して、複数のコンデンサ素子の陽極部間を所定の間隔で保持することができる。
また、該積層工程では、該複数のコンデンサ素子の互いに隣接する該陽極部の該端部間に空隙が画成され、該空隙に配置される複数の凸部を該接続部材に設ける工程を有し、該接続部材固定工程では、該複数の凸部を該空隙に配置させることにより該接続部材を該陽極部の該端部に当接又は近接対向させることが好ましい。
複数の凸部を接続部材に設ける工程を有し、積層工程では、複数のコンデンサ素子の互いに隣接する陽極部の端部間に空隙が画成され、接続部材固定工程では、複数の凸部を空隙に配置させることにより接続部材を陽極部の端部に当接又は近接対向させるため、凸部が空隙に配置されることにより陽極部の端部が接続部材に当接又は近接対向して、複数のコンデンサ素子の陽極部間を所定の間隔で保持することができる。
また、該接続部材は、それぞれ略板状をなす接続部本体と接続部材と当接する該陽極部の端部の当接面を規定している幅よりも大きい幅を有する底部とを有し、該接続部本体と該底部とは略垂直の角度をなして接続されて略L字状をなし、該接続部材固定工程では、該積層された複数のコンデンサ素子の第1層と平行に該底部を対向配置させた状態で該接続部本体を該陽極部の該端部に当接又は近接対向させることにより、該コンデンサ素子の積層方向においていずれの該コンデンサ素子の該陽極部とも重ならない非重畳部を該底部に規定し、該陽極部の該端部に当接又は近接対向する該接続部本体の側に対する反対の側から該コンデンサ素子の積層方向に交差する方向に向けてレーザを照射することにより該接続部本体を該陽極部の各該端部に電気的に接続し、該接続工程の後に、プリント基板の導電パターンを該底部に当接させ、該非重畳部に対して該コンデンサ素子の積層方向からレーザを照射することにより、該底部を該プリント基板の該導電パターンに電気的に接続する基板接続工程を行うことが好ましい。
接続部材は、それぞれ略板状をなす接続部本体と接続部材と当接する陽極部の端部の当接面を規定している幅よりも大きい幅を有する底部とを有し、接続部本体と底部とは略垂直の角度をなして接続されて略L字状をなし、接続部材固定工程では、積層された複数のコンデンサ素子の第1層と平行に底部を対向配置させた状態で接続部本体を陽極部の端部に当接又は近接対向させることにより、コンデンサ素子の積層方向においていずれのコンデンサ素子の陽極部とも重ならない非重畳部を底部に規定するようにしたため、非重畳部に対してコンデンサ素子の積層方向からレーザを照射することにより、プリント基板の導電パターンに非重畳部を電気的に接続させることができる。
また、接続工程の後に、プリント基板の導電パターンを底部に当接させ、非重畳部に対してコンデンサ素子の積層方向からレーザを照射することにより、底部をプリント基板の導電パターンに電気的に接続するプリント基板接続工程を行うようにしたため、底部は非重畳部を有し、非重畳部は複数のコンデンサ素子がその積層方向において重なる重畳部に対して薄いため、レーザ強度の制御が容易であり、レーザの強度を調整してやることでレーザ照射によりプリント基板を貫通してしまうことを防止することができる。
以上により、コンデンサ素子の積層方向に交差する方向から、コンデンサ素子の陽極部の端部に向けてレーザを照射したときに、コンデンサ素子の溶融部及び接合部に空隙が形成されることを防止する固体電解コンデンサの製造方法、及び当該製造方法により製造される固体電解コンデンサを提供することができる。
本発明の実施の形態による固体電解コンデンサ及び固体電解コンデンサの製造方法について図1乃至図3に基づき説明する。図1に示されるように固体電解コンデンサ1は、積層された4つのコンデンサ素子10〜40と、プリント基板50と、接続部材60と、4つのコンデンサ素子10〜40を覆うようにしてモールドする図示せぬモールド部とを備えている。
4つのコンデンサ素子10〜40は、それぞれ同一形状且つ同一の構成であり、図1に示されるように陽極部11〜41と、陰極部12〜42とを備えている。なお、図2を参照して説明する以下の説明では、4つのコンデンサ素子10〜40の構成は同一であることから、コンデンサ素子10のみについて図示し、他のコンデンサ素子20〜40については説明を省略する。
陽極部11は略長方形状をした板状をなしており、図1及び図2に示される左右方向に長辺が指向し、図1に示される左側の端部11Bには、図3に示されるように外方へ略長方形状に突出する凸部11Cが設けられている。陽極部11は弁作用金属であるアルミニウムにより構成されており、図2に示されるように、その表面には、表面積を増やすためにエッチングが施されることにより粗面化(拡面化)されてポーラス状になっている。このポーラス状の表面全体は化成処理(陽極酸化)によって絶縁性の酸化膜層(誘電体層)11Aが形成されている。陽極部11の寸法は、長手方向の長さが10mm、幅が5mm程度であり、厚さ、即ち、図2に示される上下方向の幅は100μm程度である。
陽極部11の表面の所定の領域、即ち、図2に示される陽極部11の右側の端部から左側の端部11Bに向って陽極部11の左右方向の長さの略2/3の位置に至るまでの領域全体には、導電性のポリマーにより構成される固体電解質層12Aが形成されている。固体電解質層12Aは酸化膜層11Aの上に積層して設けられており、酸化膜層11Aに対向する固体電解質層12Aの部分は、エッチングにより陽極部11の表面に形成されたポーラスの中に入り込んでいる。固体電解質層12A上には、グラファイトペースト層12Bと、銀ペースト層12Cとがこの順で積層されており、固体電解質層12A、グラファイトペースト層12B、及び銀ペースト層12Cは陰極部12を構成する。グラファイトペースト層12B及び銀ペースト層12Cは、固体電解質層12Aが形成されている陽極部11及び酸化膜層(誘電体層)11Aの領域を覆うようにして固体電解質層12A上に形成されている。
陽極部11の図2に示される左側の端部11Bであって陰極部12が設けられていない領域と陰極部12との境界位置には、絶縁性を有するエポキシ系樹脂等からなるレジスト13が設けられている。レジスト13は、固体電解質層12Aを陽極部11上に形成するために陽極部11となる化成箔を溶液に浸漬させているときに、ポーラス状になっている陽極部11の表面において毛細管現象により溶液が所定の領域よりも図2の左側の方へ上がってくることを防止し、固体電解質層12Aが形成されていない陽極部11の図2に示される左側の端部11Bを確保するために設けられている。
4つのコンデンサ素子10〜40は、図1に示されるように、陰極部12〜42同士が互いに積層配置されている。陰極部12〜42は、板状の陽極部11〜41上に形成されているため、陽極部11〜41の厚さ方向に対して略垂直な上面10A〜40Aと下面10B〜40Bとを有している。図1に示されるように、積層される4つのコンデンサ素子10〜40の第1層をなす第1コンデンサ素子10の上面10Aと第2コンデンサ素子20の下面20Bとが導電性接着剤71によって接着され、第2コンデンサ素子20の上面20Aと第3コンデンサ素子30の下面30Bとが導電性接着剤71によって接着され、第3コンデンサ素子30の上面30Aと第4コンデンサ素子40の下面40Bとが導電性接着剤71によって接着されている。従って、4つのコンデンサ素子10〜40の陰極部12〜42は電気的に接続されており、後述のように4つのコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の図1に示される左側の端部11B〜41B同士が電気的に接続されることと相まって、4つのコンデンサ素子10〜40は電気的に並列接続されている。
4つのコンデンサ素子10〜40の陰極部12〜42が設けられていない陽極部11〜41の端部11B〜41Bの部分は、陰極部12〜42が設けられている部分と比較して銀ペースト層12C等が形成されていないことから薄くなっている。このため、図1に示されるように、コンデンサ素子10〜40の積層方向において、陽極部11〜41の図の左側の端部11B〜41B同士が互いに所定の間隔で離間して隣接して積層配置されている。
積層された4つのコンデンサ素子10〜40は、陽極部11〜41と略同一形状をしたプリント基板50上に載置されている。プリント基板50は、例えば、エポキシ樹脂製のプリント基板50である。4つのコンデンサ素子10〜40は、プリント基板50に対して形状が一致して重なるようにプリント基板50上に載置されている。プリント基板50は、積層された4つのコンデンサ素子10〜40のうちの第1コンデンサ素子10の陰極部12及び陽極部11の下面に対向している。
プリント基板50の表面50A及び裏面50Bには、第1の導電パターン51A、51Bと第2の導電パターン52A、52Bとがそれぞれ設けられている。表面50Aの第1導電パターン51A、第2の導電パターン52Aは、それぞれ裏面50Bの第1の導電パターン51B、第2の導電パターン52Bと、スルーホール50a、50bを介して電気的に接続されている。第1の導電パターン51Aは、第1コンデンサ素子10の陽極部11の図1に示される左側の端部11Bに対向する位置に配置されており、第2の導電パターン52Aは、第1コンデンサ素子10の陰極部12に対向する位置に配置されている。
プリント基板50の裏面の第1の導電パターン51B、第2の導電パターン52Bは、それぞれ図示せぬ電子回路等に実装されるいわゆるユーザ端子であり、プリント基板50の表面の第1の導電パターン51A、第2の導電パターン52Aと同様の金属材料により構成されている。陽極部11の図1に示される左側の端部11Bは、プリント基板50の表面の第1の導電パターン51Aに電気的に後述の接続部材60を介して接続されている。また、陰極部12が導電性接着剤71によって第2の導電パターン52Aに電気的に接続されている。
4つのコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の図1に示される左側の端部11B〜41Bの位置には、接続部材60が設けられている。接続部材60は、図3に示されるように、それぞれ略長方形状の板状をなす接続部本体61と底部62とを有しており、接続部本体61の一の短辺の全体は、底部62の一の長辺の長手方向の略中央の位置に一体に接続されている。接続部本体61と底部62とは略垂直の角度をなして接続されて略L字状をなしている。従って、接続部本体61は、積層されたコンデンサ素子10〜40の積層方向に底部62から延出している。
接続部本体61は、図1に示されるように、陽極部11〜41の各端部にそれぞれ跨って当接して固定されており、すべての陽極部11〜41の図1に示される左側の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cに当接した状態で、コンデンサ素子10〜40の積層方向に交差する方向であって、且つ陽極部11〜41の端部の凸部11C〜41Cが当接している側とは反対の側である接続部材60の外側から、即ち、図1の左側から右側へ向けてレーザの照射を受けることにより、陽極部11〜41の各端部11B〜41Bにそれぞれ電気的に接続される。接続部材60はNiにより構成されている。
接続部材60の底部62は、第1コンデンサ素子10の陽極部11の図1に示される左側の端部11Bと、プリント基板50の第1の導電パターン51Aとの間に配置されており、プリント基板50の第1の導電パターン51Aに当接している。底部62は、コンデンサ素子10〜40の積層方向、即ち、図1において上から下に向う方向へレーザの照射を受けることによりプリント基板50の第1の導電パターン51Aに電気的に接続される。
前述のように、陽極部11〜41の図1に示される左側の端部11B〜41Bには凸部11C〜41Cが設けられているため、図3に示されるように、あたかも長方形状の一の短辺を挟む2つの角部を、それぞれ切欠いて取除いたたような形状をなしている。これに対して、図3に示されるように底部62は長方形状をしている。底部62は、コンデンサ素子10〜40の積層方向において、陽極部11〜41の図1に示される左側の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cと重なるように配置されるのであるが、底部62の長手方向の幅、即ち、図3における左右方向の長さは、陽極部11〜41の延出方向に対する幅方向における凸部11C〜41Cの幅、即ち図3における凸部11C〜41Cの左右方向の長さよりも大きいため、底部62は、結果的にコンデンサ素子10〜40の積層方向においていずれのコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41とも重ならない非重畳部62Aを有する。
4つのコンデンサ素子10〜40の各陽極部11〜41の端部の凸部11C〜41Cを互いに電気的に接続するための導電性の材料からなる接続部材60が、すべての陽極部11〜41の端部の凸部11C〜41Cに跨って固定されているため、接続部材60によって、陽極部11〜41の端部11B〜41B間にそれぞれ所定の空間を確保した状態で陽極部11〜41の端部11B〜41Bを支持することができる。
固体電解コンデンサ1を構成するコンデンサ素子10〜40の、酸化膜層11Aや固体電解質層12Aが設けられている部分は、これらが設けられていない陽極部11〜41の端部11B〜41Bの部分と比較して積層方向の幅が厚くなっており、この厚い部分である陰極部12〜42の部分を互いに積層させると、陰極部12〜42が積層されることに伴い互いに積層される陽極部11〜41の端部11B〜41Bの部分では、厚さの違いにより当該端部間に空隙が形成されることになる。しかし、上述のように接続部材60によって、陽極部11〜41の端部11B〜41B間にそれぞれ所定の空間を確保した状態で陽極部11〜41の端部11B〜41Bを支持することができるため、陽極部11〜41の端部11B〜41B間に別途スペーサを設けずに済む。このため、薄い陽極部11〜41の端部11B〜41Bの部分を無理に曲げて互いに隣接させて接続しなくて済み、コンデンサ素子の層数が多い場合であっても、容易に陽極部を無理に曲げることなく互いに接続することができる。
また、接続部材60は、接続部本体61に接続された底部62を有しているため、コンデンサ素子10〜40とプリント基板50とが、接続部材60を介して一体に接続することができる。このため、固体電解コンデンサ1全体の強度を向上させることができる。また、接続部材60の底部62の長手方向の長さの方が、同方向における接続部本体61の幅よりも小さいため、後述のプリント基板接続工程においてレーザを照射する際に、レーザ照射位置を目視することができ、正確な位置にレーザの照射を行うことができる。
また、コンデンサ素子10〜40の積層方向からレーザを照射することにより複数のコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41を互いに電気的に接続する場合には、陰極部12〜42と陽極部11〜41とのショートを防止するために、陽極部11〜41の端部11B〜41Bと陰極部12〜42とを結ぶ方向において、陰極部12〜42が設けられていない陽極部11〜41の端部11B〜41Bの長さを長くせざるを得ない。
これに対して接続部材60により陽極部11〜41の端部11B〜41Bをレーザ照射により溶接して電気的に接続するため、比較的弱いレーザ照射により溶接することができ、溶接によるショートを考慮する必要性は低くなり、当該陽極部11〜41の端部11B〜41Bを短くすることができる。
固体電解コンデンサの製造方法では、先ず、コンデンサ素子製造工程を行う。実際に行われるコンデンサ素子製造工程では、複数のコンデンサ素子が同時に製造されるが、ここでは、説明の便宜上1つのコンデンサ素子10が製造される工程を一回のコンデンサ素子製造工程とする。先ず、表面に酸化膜層11Aが形成され陽極部11となるアルミニウム板、即ち、化成箔を打抜いて一端を陽極部11の形状とする。このとき、後述のように陰極層が形成される化成箔の部分は、複数同時に製造される他のコンデンサ素子の陰極部が形成される化成箔の他端の部分と、製品にならない余分な化成箔の部分を介して接続された状態となっている。後述の接続工程を行う直前に行う切断の工程において、この余分な化成箔の部分は切断され除去される。
次に、スクリーン印刷法を用いて、陽極部11の所定の位置であって陰極部12と陽極部11との境界となる位置にレジスト13を形成する。次に、前述のように化成箔を打抜いたときに、打抜いた断面には酸化膜層11Aが形成されていない部分が生ずるが、この部分に酸化膜層11Aを生成するために再度酸化させる再化成を行う。
次に、レジスト13を境とする所定の領域、即ち図1に示される陽極部11のレジスト13よりも右側の部分に相当する化成箔の部分を、固体電解質層12Aを形成するための反応溶液中に浸漬し、化学酸化重合を行うことにより、固体電解質層12A、即ち、導電性ポリマー層を形成する。陽極部11の表面はエッチングによりポーラス状になっているので、直接銀ペースト層12Cを形成することができないため、銀ペースト層12Cを形成する準備のために固体電解質層12Aを形成するのである。
次に、何らかの原因により、化成箔の表面に形成されている酸化膜層11Aに破損が生じることがある。この部分を修正するために再度酸化させる修復工程を行う。次に、導電性高分子層の上にグラファイトペースト層12Bと、銀ペースト層12Cとをこの順で積層して形成する。グラファイトペースト層12B、銀ペースト層12Cの形成は、ディップ法やスクリーン印刷法やスプレー塗布法等が用いられる。以上がコンデンサ素子製造工程である。このコンデンサ素子製造工程を4回行うことによって、4つのコンデンサ素子10〜40を製造する。
次に、積層工程を行う。積層工程では、4つのコンデンサ素子10〜40を、陽極部11〜41の図1に示される左側の端部11B〜41B同士が互いに隣接するように積層配置するとともに、陰極部12〜42同士を互いに積層配置する。陰極部12〜42間には、導電性接着剤71が塗布され、陰極部12〜42同士が導電性接着剤71によって互いに電気的に接続される。導電性接着剤71としては、例えば、銀−エポキシ系接着剤が用いられる。
次に、積層された状態の4つのコンデンサ素子10〜40を、製品とならない余分な化成箔の部分から切断して陰極部12〜42の形状とすることにより、略長方形状をしたコンデンサ素子10〜40の形状とする。
次に、接続工程を行う。接続工程では、図3に示されるように、4つの積層されたコンデンサ素子10〜40とは別体として用意された接続部材60を、積層した複数のコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の図1に示される左側の端部11B〜41Bに、電気的に接続することにより、4つのコンデンサ素子10〜40を互いに電気的に並列接続する接続部材固定工程を行う。具体的には、先ず、積層された4つのコンデンサ素子10〜40の第1層をなす第1コンデンサ素子10の陽極部11の図1に示される左側の端部11Bの凸部11Cと平行に底部62を対向配置させた状態で、接続部材60の接続部本体61をすべての陽極部11〜41の当該端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cに跨って当接させる。このことにより、コンデンサ素子10〜40の積層方向においていずれのコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41とも重ならない非重畳部62Aを底部62に規定する。
なお、図3において二点鎖線で示される矢印は、単に積層された4つのコンデンサ素子10〜40と、接続部材60と、プリント基板50との位置関係を示しているだけであって、必ずしもこの方向に移動させることによりこれら3つを接続するという意味ではない。
次に、陽極部11〜41の端部11B〜41Bに当接する接続部本体61の側に対する反対の側、即ち、図1に示される左側から、コンデンサ素子10〜40の積層方向に交差する方向、具体的には、積層方向に垂直の方向に向けて接続部本体61に対してレーザを照射する。レーザはYAGレーザ溶接が用いられ、レーザの照射は、接続部本体61の長手方向の一端から他端へ向って波を描くようにして照射する。このことにより接続部本体61を陽極部11〜41の各端部11B〜41Bに電気的に接続する。以上が接続部材固定工程である。
次に、プリント基板接続工程を行う。プリント基板接続工程では、図3に示されるように、4つの積層されたコンデンサ素子10〜40、接続部材60とは別体として用意されたプリント基板50上に、当該4つの積層されたコンデンサ素子10〜40及び接続部材60を載置し電気的に接続する。具体的には、先ず、導電性接着剤71を塗布した陰極部12〜42をプリント基板50の第2の導電パターン52A上に当接させ、また、接続部材60の底部62を第1の導電パターン51A上に当接させ、非重畳部62Aに対してコンデンサ素子10〜40の積層方向から、即ち、図1又は図2に示される上方向から、図3の破線で示される円の位置にレーザを照射する。このことにより、接続部材60の底部62をプリント基板50の第1の導電パターン51Aに電気的に接続すると共に、陰極部12〜42を第2の導電パターン52Aに電気的に接続する。
その後、固体電解コンデンサ1を保護するためにモールドを行い、切断を行い、更に、損傷している部分を修復するためのエージングを行い、特性検査、外観検査を経て固体電解コンデンサの製造方法の全工程を終了する。
接続工程では、導電性の材料からなる接続部材60を、すべての陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cに跨って当接させ、コンデンサ素子10〜40の積層方向に交差する方向から且つ接続部材60の外側からレーザを照射することにより接続部材60を陽極部11〜41の各端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cにそれぞれ電気的に接続させる接続部材固定工程を行うようにしたため、陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cの溶接部の空隙が発生することを防止することができる。このため、導通不良が生ずることを防止することができ、不良品の発生を防止することができる。
これは、陽極部11〜41の表面は、前述のようにポーラス状になっているため、レーザの照射を受けるとポーラス中の細かい気泡が集まり大きな気泡となるが、溶接部材60を用いることで、溶接部材60が溶融し、溶接部材60と陽極部11〜41の凸部11C〜41Cの界面付近で接合が行われるため、陽極部11〜41の溶融を最小限にでき、導通不良を起こす程度の空隙の発生を抑制できる。
また、コンデンサ素子10〜40の積層方向に交差する方向から且つ接続部材60の外側からレーザを照射することにより、接続部材60を陽極部11〜41の各端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cにそれぞれ電気的に接続させる接続部材固定工程を行うため、個々のコンデンサ素子10〜40に対するレーザ強度を一定に保つことが可能となり、各陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cと接続部材60との溶接を、いずれも同じような状態で均等に行うことが可能となる。
また、接続部材固定工程では、第1層のコンデンサ素子10と平行に底部62を対向配置させた状態で接続部本体61を陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cに当接させることにより、底部62に非重畳部62Aを規定するようにした。このため、非重畳部62Aに対してコンデンサ素子10〜40の積層方向からレーザを照射することで、プリント基板50の第1の導電パターン51Aに非重畳部62Aを電気的に接続させることができる。
また、接続工程の後に、プリント基板50の導電パターン51Aを底部62に当接させ、非重畳部62Aに対してコンデンサ素子10〜40の積層方向からレーザを照射することにより、底部62をプリント基板50の導電パターン51Aに電気的に接続するプリント基板接続工程を行うようにしたため、底部62は非重畳部を有し、コンデンサ素子10〜40がその積層方向において重なる重畳部に対して薄く、レーザ強度の制御が容易であることから、レーザの強度を調整してやることでレーザ照射によりプリント基板50を貫通してしまうことを防止することができる。
本発明による固体電解コンデンサ及び固体電解コンデンサの製造方法は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、コンデンサ素子10〜40の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cに当接する接続部材60の接続部本体61の側は、接続部本体61自体が板状をなす一方の面であり平面であるが、これに限定されない。例えば、図4に示されるように、4つのコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cがそれぞれ係合可能な溝61′aが接続部本体61′に複数形成されていてもよい。陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cが溝61′aに係合することにより、陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cが接続部材60′に当接して、4つのコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41間を所定の間隔で保持することができる。このため、溝61′aを画成する接続部本体61′の部分は、コンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の凸部11C〜41C間に位置してスペーサとしての機能を発揮することができる。
この場合には、固体電解コンデンサの製造方法は、4つコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cがそれぞれ係合可能な溝61′aを接続部材60′に複数形成する工程を有するようにし、接続部材固定工程では、陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cを溝61′aに係合させることにより接続部材60′を陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cに当接又は近接対向させるようにすればよい。接続部材60′がレーザ照射を受けることにより溶融し、たとえ接続部材60′と陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cとの間に隙間が空いていたとしてもこれらは互いに電気的に接続されると考えられる。
また、図5に示されるように、接続部本体61″には、4つのコンデンサ素子10〜40の互いに隣接する陽極部11〜41の端部11B〜41B間に画成された空隙に配置される複数の凸部61″Aが、4つのコンデンサ素子10〜40の陰極部12〜42の方向に向けて延出して設けられていてもよい。凸部61″Aが空隙に配置されることにより陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cが接続部材60″に当接して、4つのコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41間を所定の間隔で保持することができる。このため、凸部61″Aは、コンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の凸部11C〜41C間においてスペーサとしての機能を発揮することができる。
この場合には、固体電解コンデンサの製造方法は、複数の凸部61″Aを接続部材60に設ける工程を有するようにし、積層工程で画成された4つのコンデンサ素子10〜40の互いに隣接する陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41C間の空隙に、複数の凸部61″Aを空隙に配置させることにより接続部材60″を陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cに当接、又は近接対向させるようにすればよい。接続部材60″がレーザ照射を受けることにより溶融し、たとえ接続部材60″と陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cとの間に隙間が空いていたとしてもこれらは互いに電気的に接続されると考えられる。
また、接続部材の底部の長手方向の長さと、同方向における接続部本体の幅とが同一であってもよい。即ち、例えば図6に示されるように、略直角の角度をなして接続される接続部材60′′′の接続部本体61′′′と底部62′′′との交差接続線60A′′′が、それぞれ略長方形状をした接続部本体61′′′と底部62′′′との一の長辺をなし、当該交差接続線60A′′′の方向における接続部本体61′′′と底部62′′′との長さが同一の長さであってもよい。
この構成により、接続部材60′′′を本実施の形態よりも簡単な形状とすることができ、本実施の形態のような複雑な形状に外形加工する必要性をなくすことができる。
また、交差接続線60A′′′の方向において接続部本体61′′′を長く構成することができる。このため、陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cと接続部材60′′′との溶接時に、凸部11C〜41Cと接続部本体61′′′との間に空間が生じないようにするために、又は、凸部11C〜41Cに対する接続部本体61′′′の位置がずれないようにするために、コンデンサ素子10〜40の積層方向に垂直の方向であって陽極部11〜41の端部11B〜41Bから陰極部12〜42へ向う方向へ、接続部本体61′′′を押圧するための押さえ代として接続部本体61′′′を利用することができる。
また、図7に示されるように、接続部材80の底部82の長手方向における接続部本体71の一端及び他端を規定する長辺81A〜81Bから、それぞれ底部82の長手方向に対する幅方向に延出する一対の壁部82、83を設けるようにして、図7の上から見た形状が略コの字形状となるようにしてもよい。この構成により、当該略コの字形状の部分に陽極部11〜41の凸部11C〜41Cを嵌合させて、接続部材80を凸部11C〜41Cに接続させる前に凸部11C〜41Cに対する接続部材80の位置がずれることを防止することができる。
また、図8に示されるように、接続部材90の接続部本体91を、陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cの突出端縁11D〜41Dではなく、凸部11C〜41Cの側面11E〜41Eに溶接するようにしてもよい。本実施の形態では、コンデンサ素子1の図1に示される左側の端部には接続部材60の接続部本体61が存在しているが、接続部本体を凸部11C〜41Cの側面11E〜41Eに溶接することにより、コンデンサ素子の図1に示される左側の端部相当位置に接続部本体61を配置させずに済み、図1に示される左右方向に相当する方向において接続部本体91の厚み分だけコンデンサ素子の長さを短くすることができる。
更に、図9に示されるように、図8に示される接続部材90の底部92を、陽極部11の端部11Bの凸部11Cに対向する位置に至るまで延出させて接続部材100の底部102としてもよい。この構成により、底部102をスペーサとして利用することができ、凸部11Cと基板50との間に所定のスペースを確保することができる。
また、図10に示されるように、略長方形状をした板状の金具を折り曲げて接続部材110を構成してもよい。接続部材110は、平行に配置された一対の側壁111、111と当該一対の側壁111、111の上端を互いに連結する上面113とを有する略コの字形状をした中央部110Aと、上面113に平行に中央部110Aから離間する方向へ側壁111、111の下端から延出する一対の底部112、112とを備えている。一対の側壁部111、111は、凸部11C〜41Cの側面11E〜41E、11E〜41Eにそれぞれレーザ照射により溶接されることによって、接続部材110と陽極部11〜41とは電気的に接続される。接続部材110をこのような構成とすることにより、接続部材110の製造を容易とすることができる。
また、レーザを照射する位置は、図3において破線で示される位置には限られない。例えば、底部の周縁部、即ち、図11において示される破線A、破線B、破線Cの位置等であってもよい。
また、該接続部材のレーザ照射を受ける表面は粗面化されていてもよい。粗面化されていることにより、レーザ光の反射を低減することができる。このため、接続部材におけるレーザ光の吸収を増加させることができる。
また、接続部材60は、底部62と接続部本体61とを備えていたが、接続部本体のみを有する構成であってもよい。また、固体電解コンデンサの寸法は、本実施の形態による値に限定されない。また、積層されたコンデンサ素子10〜40はプリント基板50上に配置されたが、これに限定されない。例えば、プリント基板に代えてリードフレーム上に載置されるようにしてもよい。
また、陽極部11〜41を構成する弁作用金属はアルミニウムにより構成されたが、これに限定されない。例えばタンタルやニオブ等であってもよい。
また、接続部材60はNiにより構成されていたが、これに限定されない。例えば、SUS、鉄、アルミニウム、銅、リン青銅、Mo、Cr等の導電性の金属、又は、Fe―Ni合金に代表されるようなこれらを含む合金であればよい。また、表面に導電性材料がメッキされたものを用いてもよい。この場合メッキとしては、例えば、Snメッキ、Znメッキ、半田メッキ、Niメッキ等が用いられる。これらは、レーザを反射する等のレーザ照射に対する悪影響の少ないものであるため用いられる。また、例えば、日立電線株式会社により製造されている商品名「日立ハイクラッド」のような、異種金属を金属学的に接合させたいわゆるクラッド材等を用いてもよい。また、コンデンサ素子10〜40は4つ設けられていたが、個数は4つに限定されない。
また、接続部本体61と底部62とは一体に接続されていたが、これに限定されず、予め別体として用意された接続部本体と底部とを溶接等により接続して構成してもよい。
また、レーザの照射は、接続部本体61の長手方向の一端から他端へ向って波を描くようにして照射したが、これに限定されない。例えば、接続部本体61の幅方向の一端から他端へ向って波を描くようにして照射してもよく、また、陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cに当接する接続部本体61の位置にのみにスポットで間欠的にレーザを照射してもよい。スポットで間欠的にレーザを照射するときには、例えば、光ファイバとしてφ0.4mmのSIファイバを用いた場合には、1回の照射エネルギーは3Jから15J程度である。また、レーザの強度は略一定であってもよく、また、照射する位置によって強度を変えてもよい。
また、レーザはYAGレーザ溶接が用いられたが、これに限定されず、例えば、第二高調波レーザや、LD(半導体)レーザ、エキシマレーザ等を用いてもよい。
また、接続部本体61は、すべての陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cに当接した状態でレーザ照射されたが、当接せずに接続部本体61と凸部11C〜41Cとの間に僅かな隙間を介して近接対向した状態でレーザ照射されてもよい。この場合には、接続部本体61と凸部11C〜41Cとの間の距離は50μm以下であることが好ましく、更に、30μm以下であることがより好ましい。このように近接対向した状態でレーザ照射された場合であっても、レーザ照射によって接続部本体61が溶融して陽極部11〜41の凸部11C〜41Cに当接した状態となると考えられ、凸部11C〜41Cと接続部本体61とは電気的に接続されると考えられる。